?フォーマルウェア文化普及協会の「フォーマル検定」で、フォーマルの歴史についての一時間の講義をおこないました。久々の対面講義、とても楽しかったです。

受講生のなかには、有名な芸能人や一流スタイリストの方もいらして、長く一線で活躍しているプロの方ほど謙虚で勉強熱心なのだなとあらためて感じ入ります。

 

?安宅和人さんが Twitter およびFacebookにて、『新・ラグジュアリー』に対する好意的なコメントを書いてくださいました。嬉しいサプライズでした。「ミルフィーユ」という表現も素敵。ありがとうございました。

まったく蛇足もいいところなんですが、安宅さんは私と同じ富山中部高校のご出身のようです。(お会いしたことはないので、安宅さんはご存知ないとは思いますが。)

新刊に関連し、インタビューの申し込みを立て続けに3件、いただきました。2か月たってようやくじわじわきている反響です。最初は「旧型」コミュニティからのバックラッシュのきつさに参り気味でしたが、日経、東洋経済はじめ各種SNSやアマゾンなどでフェアなレビューが増え始めて、ようやく光の兆しが見え始めたというところです。

別府の高台に建つANA Intercontinental Beppu Resort and Spaその2,パブリックスペースです。

プールからは別府の街を一望する眺めを楽しむことができます。結婚式の前撮り写真も撮影されていました。

ロケーションを活かした素敵な建築です。

が、屋久島のサンカラで似たような景色を見たような既視感もあり……。最近のリゾート系ホテルのトレンドがこうなのかもしれません。

露天もすばらしく、サウナもあります。朝と夜で「男湯」「女湯」がチェンジしていました。一方はドライサウナ、もう一方はミストサウナです。絶景を楽しみながらの温泉は最高です。あえてコンサル視点を入れるとアメニティや椅子の高さ、人員配置など気になる点は若干ありましたが、今回はそんな役割は求められていないので、美しかったところを記憶にとどめておきます。

フィットネスルームもよい景色を見ながらエクササイズできる絶好の環境に。

レストランも立地を生かした気持ちの良い環境にあります。テラスでの朝食は快適で、とても美味しくいただきました。スタッフのあたたかいおもてなし、ありがとうございました。

アクセスがやや大変なのですが、プライベートヘリとかリムジンとかを惜しみなく使える方には大きな問題ではないと思われます。バスに頼りたい庶民は、待ち時間や道中を楽しむ心意気が求められます(笑)

そろそろインバウンドも再開しますね。ご発展を心よりお祈り申し上げます!

「ブランディングやりすぎてどこかと同じになってしまった感」を楽しむ?湯布院フローラルヴィレッジの続き。

こちらは、The Hideout.
イギリスものを中心としたアンティークウォッチやインテリア、革製品、クラシックカーのミニチュア、ガジェットなどを扱っています。アンティークのロレックスも。もちろん本物。

不思議の国のアリスの世界観で作られたチェシャ猫カフェ。ベンガルキャットばかりずらりそろってサービス?してくれます。興味ない顔しつつしれっと膝に乗ってくる。キラーテクニックですね。

チェシャ猫のオブジェが散りばめられる館の前に、シュールに鎮座する真実の口」占い。手を入れるとAI?が手相を読んでくれます。「ギャンブル運」が最強と出てきました。いわゆるお金を賭けるギャンブルはまったく経験がありませんが、人生はギャンブル続きかもしれません。勝ってるのか負けてるのかはたぶん最後までわかりません。

ヴィレッジはコッツウォルド風、アリスありフクロウありハイジありローマの休日ありロレックスありコスプレありで、このなんでもありな詰め込み感が日本の得意とするところ? パワーストーンみたいなお守りでもつけて身を守らないとやられそうな過剰さだなあと思ったら、ちゃんとパワーストーンの専門店までありました。

「もどき」は一時的には楽しいですが、本物の満足には程遠いですね。コッツウォルズにますます行きたくなりました。

読者の方から教えていただいたのですが、湯布院はアンチ・別府として作られた温泉街だそうです。そして俗化が進み過ぎた湯布院のアンチとして守られているのが、黒川温泉とのことです。別府→アンチ別府としての湯布院→アンチ湯布院としての黒川。なるほど。系譜がつながりました。ご教示ありがとうございました。

ブランディングのやりすぎなどと苦言を呈しながらも、コッツウォルズをイメージして作られたというフローラルヴィレッジにて、真剣にフクロウさんに遊んでいただきました。

「なんだコイツ」という冷ややかな視線を送られておりますが。

魔法使いのコスチュームまでお借りしました。
フクロウ、ミミズクのみなさまがたとは、手の甲で触れあうことができます。
個性的なフクロウのみなさまとは、目で会話できます。

相性のよい方とはとくに。これ、不思議なことに、実感するんですよ。

こちらのお二方とは結構長い間「会話」していた気がします。目をそらさないで見て、何か語ると、目で反応してくれるんですよね。

同じフクロウでもコーケージャン系? 見た目は本当に多様です。種によって上下の構造はなく、横並びの「違い」があるだけ。人間だって本来はそうなのだ。

こちらはミミズクさん。別格の貫禄があります。

フクロウさんたちは果たして幸せなのだろうか?とまたしても「山地獄」のときと同じ疑問を抱きつつではありますが、まずはここで出会えたことに感謝します。

別府から湯布院へ。高速バスの本数があまりにも少なく、かつ、湯布院から空港までのアクセスも不便すぎて、結局、湯布院には2時間ちょっとしか滞在できないことが判明。(バスがないため早く着きすぎる大分空港には、ほぼなにもないところに2時間強も滞在する必要があることになり……。いったい観光業に携わっていらっしゃる方はアクセスの時間的配慮をしていらっしゃるのだろうか?)

それはさておき。高速バスの窓から見る景色は幻想的でうっとりでした。

前日とうってかわってお天気が今一つで雨もぱらついていましたが、それはそれで霧がかかって幽玄な感じ。

本当ならば湯布院もじっくり見るべきところを見たかったのですが、なにせ2時間しか滞在が許されなかったので、湯の坪街道あたりをほぼ駆け足で見るだけになりました。

情緒のある川べりの道。

期待したのがよくなかったのかもしれませんが、この街道の雰囲気、京都や長野や原宿ぽくてどこか既視感あり……。

いまどきの洗練されたブランディングがなされすぎていて、どこもかしこも同じようなおしゃれ感で、おなかいっぱいになるのです。

一軒一軒はほんとうに素敵なものを扱っているし、頑張ってほしいと思うのですが。

こういうのがおしゃれでしょう、という資本力で「ステキ」にされたお店が延々と続くと、いや、これは京都でも見たから、という感覚が芽生えてくるのはどうしようもなく。

とはいえ、若い女の子たちはそれなりに楽しそうなので、私が場違いだったんだね。失礼しました。

なんて苦言を呈しながらも、その後、まさか真剣に楽しんでしまうことになろうとは…… (続く)。

 

エネルギーが渦巻くスポット、坊主地獄。ここは7つのスター地獄には含まれていない、「はずれ」の地獄です。しかし、「はずれ」ゆえに、大当たりでした。

トップ写真の蒸気井は大地から湧き出る蒸気を直に感じることができます。神が宿るとされます。貴銭が変色するほど温度が高いのです。

こちらは「ピラミッドパワートイレ」。受付の方に聞いたら、2分ほど説明してくれましたが、要は、古代から続く天と地のパワーにあやかれるトイレらしい。(←雑)

ふつふつ湧く熱泥坊主地獄が大小いたるところに。

480年前の大地震での爆発跡があったり、

学問の始祖が祀られていたり、とにかくカオスなエネルギーが渦巻くスポットです。
もともとエネルギー体というのは、カオスなんでしょうね。坊主地獄帯のエネルギーを浴びていると、人間がこざかしく分類するジャンルにちんまりおさまる必要なんかないぞ、と力強く背中を押してもらえる気がします。人間社会に疲れてしまった時ほど、地球の源のエネルギーを思い出すことは大切。

小さいカテゴリーに収まらなくても地球の一部であることには変わりないから安心するがよい、という神の声が聞こえるような場所ですよ。

 

海地獄のとなりに、おまけのように山地獄というのがあるのですが、7大地獄にラインナップされてないのですね。

そのあたりがかえって気になるので、興味津々で入ってみましたら。

アニマル共同体のようなところでした。(平たく言うと、Zooです。)

インドクジャクはずっと羽根を広げて歓待してくれました。写真と鉄格子で美しさが減じて見えるのがとても残念ですが、この造形を考えた神はほんとうに天才だ……と見入ってしまいます。

みなさん、とても人なつこくて、かなりぎりぎりまで接近してくるんですよ。こちらはカピバラさん。

人間の表情みたいですね。人を信頼して、安心しきった表情。飼育者に恵まれているのでしょう。信頼できて安心できる人が周囲にいるということは、もっとも大事なことなのだ思います。というわけでここは「地獄」と対極にある世界といった印象でしたが、動物さんたちにとっては、安心できるけれど行動の制限がされていることは「地獄」なのか? いや、そもそも地獄はそんなに悪いところでもない、人間の善悪判断を超越した「興味の尽きない」概念と言った方が正確なのかもしれません。

 

鬼石坊主地獄。灰色の熱泥の地獄。ぷくぷく膨らんでくる泥が、坊主頭に見えるのでこのように呼ばれるそうです。

温度は99度。ころっと足を踏み外したら文字通りの地獄です。地獄の各様相をいろいろ見ているうちに気分が高揚してくる不思議はいったいなんでしょう。天国のイメージは一つくらいしかないけれど、地獄のイメージは多彩。ダンテ、ミルトン、ブレイクの描いた地獄も永遠に芸術として残っていることを、深く考えてみてもいいかもしれませんね。

“Human beings need to experience hell in this life at least once, to empty themselves of their superfluous accumulations, to reflect on their past conduct, and to contemplate the path ahead.” (by Kon Toukou)

 

 

別府はとにかく交通の便がよくなくて、ANA Intercontinental からバスでふもとを下ろうにも1時間に1本とか2本とか。

結局、炎天下を延々と1時間くらい歩いて鉄輪あたりまで。運動をするよい機会になった、と思うことにします。上は中腹から見上げたホテル。

国指定名勝「海地獄」。このあたりには「7つの地獄」があり、それぞれに特徴があります。海地獄は美しいコバルトブルーの地獄です。

涼しげに見えますが98度。

噴熱を利用した植物園も見ものです。鬼蓮。乗っかれそうな頼もしさ。

蓮の花も咲き誇っています。

バナナも育つ噴熱の力。

 

血の池地獄までは今回、時間の関係で行けなかったのですが、「海地獄」の敷地のなかに、血の池っぽい地獄がありました。

行けなかった他の地獄は「龍巻地獄」「鬼山地獄」「白池地獄」「かまど地獄」。またの機会の楽しみにとっておきます。

今年は横浜の満開の薔薇を見のがしていたのですが、なんとこんなところで薔薇園に出会い、ちょっと得した気分でした。

地獄で仏、ならぬ地獄で薔薇。

祈るときにはエゴを入れないことを大切にする。地獄であれば、いっそう。

“Only those who have been through hell and lived to tell the tale are worthy to be called true human beings.” (by Kon Toukou)

 

 

 

 

ANA Intercontinental から徒歩圏(といっても20分くらい歩く)にある明礬温泉。周辺はいたるところに露天風呂や「ゆ」屋があり、温泉好きな人にはたまらないでしょうね。

こちらでは「湯の花」が製造されています。

江戸時代より行われている「湯の花の製造技術」が、平成18年に国の重要無形民俗文化財に指定されたそうです。

「薬用 湯の花」(since 1725~)は、世界でここでしか作られないそうです。

湯の花小屋という製造施設の内部で、噴気と青粘土を利用して湯の花の結晶を作り出しています。

祖先のクリエイティビティにほれぼれ。感動しました。

さわやかなブルースカイですが、実は濃厚な硫黄の香りに包まれています。

 

 

 

取材で大分。別府を初訪問しました。

バスから見える風景も南国風。

別府駅はすでに硫黄の香り。

路線バスの外も「ゆ」、中もこんな感じで「ゆ」。

ANA Intercontinental Beppu Resort & Spa.に宿泊しました。

別府の街を見下ろす高台に建つ、最近のリゾート建築のトレンドをおさえたホテルという印象です。

「水」と「吹き抜け」と「音楽」と「香り(アロマ)」のある、解放感のある今どきなエントランス。

クラシックツイン。同じANA Intercontinental グループの石垣と印象が似ています。

ベランダでもくつろげるようになっています。空気一面に立ち込める硫黄の香りにもすっかり慣れてきます。

大理石のバスルーム。とても洗練された作りなのですが、トイレが独立していない(独立した部屋にはありますが、バスルームというくくりでセットになっている)のがこの建築家の難点でしょうか。どちらかがバスルームを使っていたら、トイレも使えない、という不便さ。このあたりの感覚はやはり西洋的なホテルの感覚なのでしょう。

スタッフの人数は全体的に少ないようで、バスの時間の確認をお願いしていたことが(たぶん、お忙しくて)忘れられているなど。このご時世ですとしかたがない部分もありますね。スタッフがいてほしいところに誰もいない(フィットネスルームやプール、温泉のラウンジ)など、なんだか不安にあるところもありましたが、他の場面では親身にサービスに奮闘してくださいました。

イギリス最高峰のスパークリングワイン、「ナイティンバー」より、プラチナジュビリーを祝う記念ボトルが発売されるそうですよ。

プラチナをイメージさせるオイスターホワイトの外装に、繊細なゴールドの泡が描かれています。

名付けて、

ナイティンバー プラチナ・ジュビリー・リミテッド・エディション・クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ。

…長い。

ヴァルカナイズ・ロンドンで6月1日より数量限定で発売されます。限定40本。

写真は、先の記事での7輪のバラを違う方向から撮ってみたもの。

幻想的です。

椿山荘の庭園に、巨大な薔薇のオブジェが7輪出現しています。


開業70周年、即位70年にかけて7つの薔薇。一輪のみ、イギリスの紋章に使われている紅白の薔薇をイメージしているそうです。


ここはとにかく映えスポットになりそう。薔薇のオブジェ以外でも、庭園はどこを切り取っても絵になります。


三重の塔の裏手、苔庭エリアで7月31日まで。

こちらは庭園内の滝。広大な庭園を歩くだけでもプチトリップ気分を味わえますね。

プラチナジュビリーまでのカウントダウンが始まりましたね。

開業70周年を迎える椿山荘東京が、即位70周年を祝うドキュメンタリー映画「エリザベス 女王陛下の微笑み」とコラボしたアフタヌーンティーを6月11日より提供するとのこと、発表会に伺いました。

トップ写真のエリザベス女王バービー人形は、スタッフが執念で競り落とした貴重なものだそうです。

アフタヌーンティーは、一品一品に女王陛下にまつわるエピソードがあります。

こちらは、椿山荘が駐日英国大使館主催のケーキコンテストに応募したケーキ。

ホテル3階ヒストリーラウンジでは、エリザベス女王の写真展も開催されます。無料ですのでぜひこの機会にどうぞ。

本日発売の週間東洋経済5月28日号 書評欄に大きくとりあげていただきました。

評者は塩野誠さん。的確にお読みいただき、とてもわかりやすくご紹介くださいました。ありがとうございます。

 週末の日経書評効果でしょうか、現時点でずっと「ベストセラー」マークがついております。感謝。

日本経済新聞の書評欄で、『新・ラグジュアリー』をご紹介いただきました。

東洋経済オンラインでもご紹介いただきました。

ありがとうございます。

 

 

フィンランドからシンプル・ラグジュアリーコスメ、HENUAが上陸します。

発表会がフィンランド大使館でおこなわれました。


大使の挨拶に続き、ブランド創始者のひとり、Jenni Tuominenさんによる詳しいプレゼンテーション。


発表会のあと、Jenniさんに北欧的シンプル・ラグジュアリーの考え方を中心にインタビューしました。なんだか国旗を背負った「どうだ」写真になって恐縮です。

インタビューに加え、フィンランド大使館に来てみて、大使、そして大使館商務官のLaura Kopilow さんのお話もじっくり聞いて、北欧ラグジュアリーの感覚が少し理解できた気がします。ヨーロッパ的ラグジュアリーの旧型とも新型ともちょっと違う、北欧のラグジュアリー観。日本との親和性は高いと思う。
フィンランドといえばムーミン⁈

詳しくは媒体に書きますので、またご案内させてください。

HENUAの日本展開においては、candlewickがパートナーとなるそうです。PR会社のあり方も時代に応じて変わっていかなくてはならないというCEOのNoriko Silvester さんのお話も印象的でした。

このスキンケア、写真で見るより実物を見て、試してみるとそのレベルの高さを実感します。

容器にいたるまでテクノロジーが駆使されている。このケース、マグネットですっと閉じるのですよ。数々のデザイン賞をとっているというのも納得。シンプル・ラグジュアリーを体現する最先端オーガニックコスメ。フィンランドの底力を感じさせます。

こちらはフィンランドのガチャで、椅子のミニチュア。精巧に作られているのでコレクターもいらっしゃるそうです。大使館では一回400円で遊べます。

Forbes JAPANでのポストラグジュアリー360°連載、更新しました。「『柔らかい言葉』が新しいラグジュアリーをつくる」。

デュッセルドルフで起業した、有松絞り5代目でもあるsuzusan代表の村瀬弘行さんへのインタビューからスタートしています。

後半の安西さんによる論考は、<日本の伝統文化や技術を海外にもっていく>ときに留意したいことにふれています。新ラグジュアリーの文脈で海外進出を考える方は必読と思われます。

村瀬さんは、日本の伝統文化をヨーロッパという異文脈にもちこんで、まったくコネのない土地でファッションビジネスを成功させたユニークな方です。現地の方との関係の築き方からして驚愕(のち納得)でした。

村瀬さんは新しいラグジュアリーを理解し、それを自分なりの方法で実践する方でもあります。ヨーロッパにおける「旧型」の扱いの変化の話もあり、多岐にわたり示唆に富んでいて面白いと思う。よろしかったらぜひForbes JAPANのサイトでご覧ください。

尾張一宮のレディースオーダースーツ専門店、LEODA。

ブランドを立ち上げたLincoさんは、ご自分が着たいと思うスーツをとことん研究し、商品に反映していらっしゃいます。手足の長い長身のLincoさんが着こなすスーツのかっこよさときたら。3年ほど前に国島のトークショーに来ていただいたときは、ラジオのパーソナリティのお仕事をなさっていました。それから起業、出産とめまぐるしい変化を経ながら、やりたいことを着々と実現していく彼女のパワーには刺激を受けます。

店内はパリをイメージしたという、こだわりの装飾で彩られた空間ですが、スーツ生地がほぼ全て尾州産というのがポイント。しっかりと密に織られた生地だからこそ、このデザインもきりりと映える。

ビジネスラインの生地や、上のコートドレスの生地は国島製です。
尾州産の生地を使うことで、地域の振興にも貢献していらっしゃいます。

#GoTailored

 

尾張一宮の歴史遺産、Re-Tail 。1933年に建てられました。補修が必要だった箇所は、国島の伊藤格太郎社長がリーダージップをとり、一部をクラファンで補いつつ、少しずつリノベしています。

改修された屋上。なんだかシュールですね。

トップ写真の中央にある古時計は101歳。修理して動くようになったそうです。上の写真は集会場のような講堂のような場所として使われていたところ。

尾州はウールが有名ではありますが、デニムも作っています。尾州デニムって色落ちしないんだそうです。色落ちこそ味わいとされるなかで、そういう性質、価値として発信する手もあるのではと思うんですが、いかがでしょう?

写真左から、国島の森さん、伊藤社長、田添さん。私が座っている椅子は、昭和天皇が座った椅子だそうです。

日本経済新聞夕刊「モードは語る」。本日は、SHIROの砂川プロジェクトについて書きました。

20代の化粧品購買層の判断基準も「かわいい」ではなくなっている、と創始者の今井さんは話します。

木曜日にアップした北日本新聞「まんまる」の記事とあわせてお読みいただければ幸いです。

MIKAKO NAKAMURA 南青山サロン10周年おめでとうございます。

10周年を記念し、サロンが美のミュージアムになりました。

躍動をテーマにしたモノトーンのコレクションは、アーティスティックスイミングオリンピアンの藤丸真世さんがダイナミックに表現。


歴代のカシミアマント。上質なカシミアの美しさもさることながら、色使いが洗練されています。毎年、完売の人気アイテムだそうです。

ブラックフォーマル。裳の場面でも着用可能なものも。日本では地味でマットな黒が「常識」とされていますが、海外では黒で華やかにドレスアップした姿を見ることも多いですよね。

2022秋冬コレクション。ザ・ミカコという高品質な素材と、アート感ある構築的なシルエット。

10年前はファストファッションの全盛期。そのころから、「捨てることができない」ほど高品質な服を丁寧に作りつづけてきたブランド。いま、時代がついてきた、という感あります。時代を超えて世界で通用する、普遍的なラグジュアリー感を湛えています。

ミカドシルク、と呼ばれる最高級シルクを使った一着。間近でみるととんでもない迫力です。

 

 

Gucci CEOのマルコ・ビッザーリ氏が3年ぶりの来日、9日にインタビューの機会をいただきました。

私が子供のように小さく見えますね。5センチほどのヒールがある靴なので身長170センチです、これでも。マルコさんが2mくらいの身長なのです。

並木旗艦店の3階VIPフロアでインタビューが行われました。90分、非常に濃い充実した時間でした。マルコさんは当然と言えば当然ですが、ホスピタリティに富み、頭の回転が速く、場を明るくするオーラをお持ちの素敵な方でした。

今回の来日でのメディアインタビューはForbes Japan独占とのことです。これから原稿を書きます。お世話になりましたGucci、およおびForbesスタッフのみなさまに心より感謝します。

おもにラグジュアリービジネスに関するテーマで話を伺いましたが、本題とは関係のない、マルコさんのファッション(眼鏡やスーツの袖口のタグ)についても、雑談の中で面白い話を伺いました。これらについてはまた別の機会に!

 

マルコさんに「ナイススーツ!」と褒められたスーツは、廣川輝雄さんが魂を込めて作ってくださった作品。裏地が表以上にすばらしいのです。インナーは心斎橋リフォームの内本久美子さんに依頼して創っていただいたもの。襟元が半襟を重ねたようにダーツ状になっています。袖口のボタンはパールになっており、男性のカフリンクスのような効果もあります。さすが久美子さん、センス良く、希望を具体化してくださいました。

今回のようなブランドCEOやデザイナーを取材する場合、他のブランドを着ていくわけにもいかない。相手に敬意を表現できる程度にきちんと格を整えることができて、ブランドに煩わされない服……となると、テイラードに落ち着くのです。#GoTailored

 

北日本新聞別冊「まんまる」6月号が発行されました。「ファッション歳時記」No. 129 は「この昆布からどんなコスメができるのか?」

SHIROの会長、今井浩恵さん、取材ご協力ありがとうございました。

プリンス・オブ・サステナビリティことプリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)が、サステナブル・マーケッツ・イニシアティブの晩餐会をバッキンガム宮殿で開催したというニュース。

新ラグジュアリーの旗手、ブルネロ・クチネリは、フェデリコ・マルケッティ率いるファッションタスクフォースに参加表明。再生ファッションのプロジェクトです。

こうして影響力のある方々がどんどん新ラグジュアリーのあり方の例を見せてくれるのは頼もしいですね。チャールズ皇太子は1980年代からすでに筋金入りのサステナ王子。「時が来た」という力強さを感じます。今後の展開にますます期待したくなります。

写真はブルネロ クチネリからのご提供です。この3人のスーツスタイルも語りどころ満載ですね(今はその場でない?)

全くおススメしないけれど、ありうる未来への警告だ、と衝撃を受けたディストピア映画。

メキシコのミシェル・フランコ監督による「ニューオーダー」。格差拡大するとこうなるしかない、という警告がリアリティありすぎ。フランス革命的なもの、今、リアルに迫っているのかもしれないとさえ思わせる。

くどいですが、一時的に映画でハッピーになりたい人には全く勧めない。ほんわか志向な方、見ないでね。でも、持続可能性のために格差拡大をなんとかしたいと真剣に考える方は、覚悟して見る価値あり。リアリティの凄さに眠れなくなる。こわいもん、見てしまった…?

ヴェネツィアで審査員大賞受賞の問題作。

6月4日公開です。
配給クロックワークス

Netflix 「ホワイトホット アバクロンビー&フィッチの盛衰」。

1990年代に排他的な戦略(白人・美・マッチョ以外は排除)がウケてカルチャーを席巻したブランドが、その価値を貫いたゆえに2000年代に失速,凋落。その過程に2000年代、2010年代にうねりを見せた多様性と包摂の動き、#metoo 運動など社会の価値観大変動がありました。関係者の証言で生々しく描かれる内部の様子が非常に興味深い。

それにしても、言葉遣いにいたるまできめ細かく設定された「エリート主義+セクシー+エクスクルーシブ(+伝統)」なアバクロのブランド戦略=排他的文化の構築に驚愕。

アバクロのモデルは服を着ないで服を売った。ファッションビジネスは、服を売るんじゃなくて文化を売る、ということがよくわかる例にもなってます。ふつうに良いものがあふれる今は、ますます文化に細心の注意を払う必要がでてきます。

とりわけラグジュアリー領域にその兆候が現れやすい。新ラグジュアリーが文化盗用や人権、包摂性やローカリティー、倫理観に対して敏感になり、新しい文化を創るのとセットになっているというのは、そういう文脈に則っています。ラグジュアリーが特権的で神秘的で選ばれた人のための贅沢品という思い込みのままなのは、1990年代で止まっているのと同じ。あらゆる文化間に「上」「下」関係を作るのがダサくなっている今、ラグジュアリーの概念も大変動を起こしています。価値観をアップデートしましょう。

 

?ファッションジャーナリストの宮田理江さんが『新・ラグジュアリー』のレビューをアパレルウェブに書いてくださいました。

?amazonでは連休中、その他の地域経済関連書籍部門でプーチンをおさえて一位。8日の現時点でまだベストセラーマークがついてます。ありがとうございます。

本日公開のオードリー・ヘプバーンのドキュメンタリー映画。

天真爛漫な愛くるしさで永遠のスタイルアイコンとして人気ではありますが、映画では、あまり知られていない幼少時の悲惨な戦争体験や二度の結婚生活の不幸も描かれます。ユニセフの親善大使になったのも凄絶な戦争体験からの必然的な流れだったと見えてきます。

戦争をやめない人間への彼女の訴求力は今なお強い。というか今だからこそ各国の指導者に見てほしい……。

©️PictureLux / The Hollywood Archive / Alamy Stock Photo

 

 

昨日見た試写は、アレックス・トンプソン監督のアメリカ映画、「セイント・フランシス」。34歳独身、仕事も中途半端、人生がまったくぱっとしない、見た目も平凡な女性が主人公。レズビアンの両親に育てられる女の子フランシスのナニーをしながら強さに目覚めていくストーリー。女性の生理や中絶などのなまなましすぎる「本音のリアリティ描写」に戸惑うくらいでした。中絶後の「細胞のかたまり」まで見せるのが今なのかと衝撃を受けました。男性とのやりとりも、「ど」のつくリアリティ。「そこまで描くか」というショックはありながらも、繊細な人間的な感情の変わらなさも同時に感じたのですが。

オードリーの時代は、映画の世界はいわば「きれいごと」でした。だから神秘的で夢のような「スター」も存在しえた。そんな時代はもうすっかり遠いものになったような気がしています。(どちらがいい悪いの問題ではなく、大きく変化した、という感慨)

鉄板のウォーキングコース、日比谷から二重橋経由でパレスホテルまで。ファミリーの会食でしたが、ウェディングのラッシュで、ロビーは礼服の人だかり。

コロナ前は、日本独自のホワイトシルバータイに黒い礼服という慣習は改めて、昼間なら海外と同じようにスーツに明るいタイでよいのではと思っていましたが、こうして久々に白黒礼服を見ると、それはそれで日本的な美しさがあって、よいかもですね。無理にグローバル基準に合わせなくても、日本ローカルなフォーマルのスタイルがかくも根強く定着しているなら、その独自な基準と美意識を言葉にして、逆に堂々と世界に発信するというやり方もあるのではと感じた次第です。

洋服発祥の西洋の基準を「従うべき基準」とみなしているかぎり、日本発ラグジュアリーに根本的に必要な「自尊」がついてこない。150年も経って定着した「慣習」であれば、それはそれ、これはこれとして、「違い」を認識した上で、日本ローカルに熟成したものとして自信を持って発信することも、「文化的植民地からの解放」という意味で必要なのかもしれないと思い始めましたが、みなさんはどう思われますか?

いずれにせよ、ホテルウェディングの活気が戻ったこと、業界のみなさまにとっては喜ばしいことですね。モノトーンの日本式礼服、華やかな西洋式セミフォーマル、各民族独自のフォーマル、いろいろ入り乱れているのが、かえって良い感じに見えました。

 

ゴールデンウィークといっても混雑が何よりも苦手なので日中は引きこもって仕事とファミリーの世話と家の手入れ、すべてノルマを終えたあとは試写です。ラグジュアリーな感覚とは遠いけれどユニークな2作、まとめてご紹介。

まずは、夏が近づいてくることを知らせる風物詩、サメものです。
ひたすら生々しい恐怖を味わえる今年の佳作はこちらでしょうか。
「海上48hours」。

教訓1: 友達が一緒だからって調子に乗るな
教訓2:調子に乗りやすい友達とつるむな
教訓3:調子に乗りやすい友達はだいだい裏切る

恐怖とスリルとアドレナリンで時間を忘れる没我の85分。
暑くて人生投げ出したくなるようなことあればそのタイミングでご鑑賞ください。この状況に比べればマシな人生にもどりたくなると思われます。納涼B級シネマ。

7月22日公開です。
監督ジェームズ・ナン、出演ホリー・アール、ジャック・トウールマンほか
配給GAGA 。

もう一作は、タイトルからして挑戦的な、”The Worst Person in the World.” 「わたしは最悪。」

オスロを舞台に、ひとりのアラサー女性の日常が淡々と描かれます。本人はいつも正直にその時々でこれしかないという選択をするのですが、引いて見ると、最悪のやらかしばかりにも見えてきます。でもことさら騒ぎもなく日常は続いていき、静かにチャンスを逸しながら人生は下降線、おそらくヒロインは一生、こんな最悪の人生の選択をしていくのであろうか…。ズキッとします。自分に正直に行動せよ、というスローガンが正義みたいになってますが、ほんとにそれがよい結果をもたらすのでしょうか? そもそも「よい結果」ってなんでしたっけ? ちょっと考え直してみようよ、と問いを投げかけられます(受け止め方は人によってずいぶん異なると想像します)。

どこかにきっと特別な自分がいる、と選択を否定し続けて次へ次へと行くヒロインに対し、いかにも私のことです、とおそらく多くの観客が共感し、カンヌで女優賞受賞。

本音のリアリティが静かに描かれるからいっそう、痛烈でぎょっとするほどアナーキーです。痛みと苦味とともに深い学びがちりばめられる映画です。語り口がちょっとこれまでになかったような感覚で、観客を退屈させるフリしてなかなか新鮮でした。北欧映画って人間の暗いところをぐいぐいえぐってきますね。

7月1日公開。
監督ヨアキム・トリアー 出演レナーテ・レインスヴェ
配給GAGA

日本のラグジュアリー、とりわけツーリズムから見たラグジュアリーを考えるのに読んでおきたい本2冊。

まずは、原研哉さんの『低空飛行』。

日本がすでにもっている資産を、へんに西洋化されない形で活かすにはどうすればいいのか、考えるヒントがちりばめられています。

日本のラグジュアリーホテルのあり方も、根本から考えなおしたくなります。ツーリズムを超えて、日本の資源に関し、あらゆる角度から光が当てられます。緻密な観察眼で紹介されているホテルや旅館、全て行きたくなりました。混雑がなくなる時期をひたすら待とう。

味わいがいのある美しい文章と写真が豊かな読書体験をもたらしてくれます。

インターネットがもたらしたのは、「わたしたち」の「ほの明るい時代」であるという指摘,なるほど、です。「私、私」とエゴを出す態度は、ますますはじかれていくでしょうね。

原さんつながりで、瀬戸内デザイン会議の議論を収録した『この旅館をどう立て直すか』。こちらも観光ビジネスに関わる方は読んでおいた方がよさそうです。MATCHA代表、明治国日一期の青木優さんと最近、ランチをする機会があり、彼も参加しているこの本をプレゼントしていただきました。彼はこの領域でのリーダーシップをとるほどに活躍しており、頼もしい限りです。臆せず人とコミュニケ―ションをとっていく、素直で大胆なつながり方など、見習いたい点も多い。

「モノを作る」から「価値を作る」という新しい産業の見立てという点では、新・ラグジュアリーとも通じるところがあります。

「観光とは、光を観ること」。ラグジュアリーの語源にも「光」がありますね。

もっと光を、と言ったのはゲーテでしたか。

 

LEON 6月号に書評が掲載されました。ありがとうございます。

ゴールデンウィークといっても24/365 ワークという私のような身分ではあまり関係なく、むしろ世の中が平日で交通機関が空いているときに仕事を兼ねた旅に出るというスタイルなのですが。

30日は久々に快晴となり、「光」を浴びに近くの南町田まで。空には雲一つないですが、地上は人と犬だらけ。ワンちゃんたちは私よりいい服を着て毛並みも体格もよいです。眼福。

スヌーピーミュージアムもあるので、公園にもスヌーピーが。

「観光」というのは「光を観る」という意味なのですね。みなさま、光あふれるよき5月をお過ごしください。

 

 

 

 

 

 

 

 

経産省のホームページで、「ファッションの未来に関する報告書」が公開されました。

経産省の本気が伝わってきます。

「ぽくない」カラフルで写真満載の資料に、失礼ながらびっくり。本にできそう。ファッションの現在・未来を概観する、少なくとも手がかかりにはなってくれそうです。短期間にこれだけまとめあげるのはちょっとすごいと思う。ぜひチェックしてみてください。

ラグジュアリー概念のアップデートに関しては、p.121あたりから出てきます。議論の一部しか掲載されないのはしかたないとして、記録に残されてない内容に関しては、『新・ラグジュアリー』に書いてあります。

 

「ラグジュアリーは、情報・文化格差があった富が中心の世界観から、文化の上下構造がなくなる世界における人間らしさの本質的価値追求に移行するだろう。今後は、排他的・特権的、階級や名声、神秘性といったキーワードが似合う権威世界ではなく、包摂性、文化創造&コミュニティ形成、自由な軽やかさが大切にされる世界の感覚を先導する領域になるだろう」

この感覚、怒涛のように来ています。旧型も嗅覚の早いところは変化しています。

上記の資料は、経産省HPからダウンロードしてご覧ください。ファイル重ためです。