パレスホテルのロビーに「竹あかり」をフィーチャーした七夕のインスタレーション。渡部総支配人が直々に運んできたという貴重な竹が使われています。夜はあかりが映えてさらに見応えありそうです。

祈りには欲望を入れない節度が大切、というのは『新ラグジュアリー』後書きでも書きましたが、Forbes JAPAN の谷本有香さんの名言。こんな美しい七夕飾りには、短冊にエゴ丸出しの欲望を書くのは憚られる、という抑制力が自然に働きますね。

グランドキッチンでビジネスランチでしたが偶然、多くの友人にお会いしました。七夕の引力かパレスの磁力か。あそこに行けば知り合いに必ず会えるというホテルのオープンスペースがあるというのは素敵なことですね。

Joy is prayer; joy is strength: joy is love; joy is a net of love by which you can catch souls.

マザー・テレサのことばです。ジョイというと「スパーク・ジョイ」のこんまりさんを連想しますが、ジョイこそが祈りであり強さであり愛であり、ソウルに出会える愛の網である、と。

ザ・プリンスパークタワー東京「芝桜」にてビジネスランチでした。来年に向けての新しいプロジェクト。

視界には東京タワーと芝公園、水の流れる美しい建築。サービスもよく、美味しいです。今はお仕事では関わっておりませんが、周辺にとてもよい「気」が流れている穴場的パワースポットホテルとしてお薦めであることには変わりありません。

 

さてタイトルにしたのは「DUNE 砂の惑星」からのセリフです。「偉大な人間は自ら民を導こうとはしない。押し上げられるのだ」。何かに「呼ばれてしまう」ということ。私は偉大ではまったくありませんが、キャリアを振り返ると、呼ばれてしまった結果としてこんな仕事をすることになった……というのばっかりなので、どこか救いのあるセリフでした。

中目黒にてカポックノット展示会。

今期から「ラグジュアリー」という言葉をはっきりと出してきたのが頼もしい。

新型ラグジュアリーは、サステナビリティーを当然の前提として含めます。旧型(の一部の性格)は、いまのままだとGenZからはダサいと見られてしまいます。10年後を考えると新型の考え方にシフト、少なくとも配慮したいところ。時代の急速な変わり目を感じます。

これってラグジュアリーではないでしょ?という声も旧世代から聞こえるのですが、シャネルが最初に装飾を省いた帽子を出した時、あるいはアクリルのアクセサリーを出した時も同じような声が起きていたことを思い出します(いや、見たわけじゃないけど)。今のGen Zが求めているのが何なのか、その「願い」の方向に次世代ラグジュアリーが形成されていきます。「兆し」や「種」を見て、育てていきたい。きらっきらに完成されたものを資本の暴力でマーケティングされ、受け身でありがたがれという世界はもうムリ、という世代が10年後、市場を主導していきます。


デザインのバリエーションが増え、ファンも確実に増えており、猛暑のなかでのダウンの試着、大盛況でした。

トップ写真、左がデザイナーの満汐国明さん、右が代表の深井喜翔さん。伸びしろの大きい、日本の次世代ブランドです。

目黒川の周辺はおしゃれな店がひしめくウォーキングに最適な場所ですね。桜の季節はあまりにも混むので避けていましたが、今度ゆっくり歩いてみたい場所です。

 

 

三菱一号館美術館で開催中のシャネル展。月曜日に鑑賞して時間が経ちましたが、まだ余韻が残っております。
1920年代の初期のものから、晩年の作品まで、スーツ、ドレス、香水、バッグ、靴、ジュエリーにいたるまで、よくぞ集めたという圧巻の本物が展示されています。


シャネル本の翻訳、監訳ばかりか膨大な数の関連エッセイを書き、名言カレンダーまで作っているので、シャネルの作品の写真ならいやというほど見ていたつもりでしたが、実物の迫力からは全く違う印象を受けました。

とりわけ彼女が70歳で復活したあとの作品ときたら……

人生のストーリーを重ねて見ると、ひときわ感慨深い。1920年代のラグジュアリーの概念をひっくり返してソーシャルイノベーションを起こしたシャネルは、当時における「新しいラグジュアリー」の旗手だったんだとあらためてわかる。

日比谷周辺はシャネルのパネルや旗で盛り上げられております。

ガブリエル・シャネル展は、Gabrielle Chanel Manifeste de Mode は三菱一号館美術館にて9月25日まで。
秋にはマリー・クワント展がBunkamura で開催されます。準備も着々と進行中です。ファッションの展覧会が普通に頻繁に行われるようになったこと、感慨深いです。

 

 

Forbes JAPAN 連載「ポストラグジュアリー360°」更新です。

今回は安西さんスタート。イタリアのドラーリという自転車(の歴史の継承)をめぐる新しいラグジュアリーの萌芽について。

これを受ける私は、あまりの完璧な世界にコメントのしようもなく(!)、マイケルブラスト、龍言、トップガンの三題伽でむりやり着地いたしました……。お時間許す時にでもご覧くださいませ。

 

龍言については、感激の余韻の勢いで、プロデューサーの井口智裕さんらにインタビューをしました。詳細は来月のこの連載で書きます。

同じ6月誕生日の友人と、小さなお祝いの会。

セルリアン最上階のベロビスト。早目の時間は空いてて良い席に座れます。暗くなる前に解散。このくらいがちょうどいい感じ。

さて、くどいですがハリー・パーマー。コメントをこんな素敵な写真に重ねてくれました。ルーシー・ボイントンの堂々たる浮きっぷり。あやかりたい。スターチャンネルで全6話として配信されております。

 

繊細な技巧を尽くし、まさかの合わせ技で攻めてくるミズノブのメロンパフェ。インテリアと相まって世界観に一貫した哲学を感じます。出てくるまで30分くらい待たされますが、ワインでも飲みながらじっくり待てという作り手の自信に、妙に納得させられます。

解説イラストも美しく、素敵な制服を着た店員の立ち居振る舞いも自信に満ちている。


メロンそのものの美味しさをどーんと真っ直ぐ堪能させる千疋屋のメロンパフェの王道感は永遠に好きですが、アートなレベルまで繊細な技巧を尽くして美を追求するミズノブの有閑貴婦人感も捨てがたいし、インスピレーションを与えてもらうことが多い。

こちらはチェリーパフェ。中には意外とぎっしりチェリーが入っています。


哲学、伝統技術、美意識に基づくライフスタイルのあるところ、堂々と高価格を提示できるというラグジュアリービジネスを学べる小さな例にもなっています。

アガパンサスの季節ですね。

 

横浜に新しくできたグローバル展開するホテルを視察に行ったのですが……(これもまた仕事)。ぱっと見の雰囲気はそれなりに素敵でしたが、エレベーターの壁がべニヤ板っぽいのをはじめ、いたるところで「安く」上げているのがさすがに目につきました。

「それっぽく」収めようとしても、見透かされますね。あらゆる仕事に言えること。自戒。

富裕層インバウンドを意識してラグジュアリーホテルを誘致せよという議論がありますが、それ違うかもしれない。いや、そういうのあってもいいですが、それよりも、もっと地域に根差して日本的感覚を活かしたオリジナルなホテルを作ってほしいものです。

そのホテルのロビーラウンジのカフェは開店まもないこともあって満席で入れず、近くの穴場カフェに行ってみました。

アウディのショールームに併設されたアウディカフェ。あらゆるものにアウディマークがついていて、なかなか高揚しました(単純)。

新ラグジュアリーが人文学発ということにまだピンと来ていらっしゃらない方に、とてもわかりやすい安西さんの論考です。ぜひお読みください。「インバウンド論議を『孤立』させない --- 文化・ビジネスの全体的構図を描く」

 

なぜ海外に対して高価格交渉ができないのか? 日本のライフスタイルを<幸福>として自信とともに示し、人生哲学を誇らしくもつことの重要性がよくわかる必読の論考です。未来を作る新ラグジュアリーが個人の尊厳を大切にする人文学発という意味もまさにここに気づいていただけることと思います。

インバウンドにしても、表層を「京都っぽく」して客を呼ぼうというのはもう、絶対に違う。通販で買えるような土産ばかり売っているお土産屋さんもいらないし、おしゃれな抹茶カフェもいらない。その土地の人々がどのような人生観をもって地域と暮らし歴史を作ってきたのか。どこに幸福を感じてきたのか。それを自信をもって発信することが、高価格の交渉を可能にする根拠になります。イタリア、フランスはそのような「ライフ」観を自信をもって示すことでラグジュアリーの根拠を作ってきたのです。

 

新潟・六日市の旅ではその可能性の具体例を見た気がします。日本のインバウンドに通底させたい考え方と、メイドインジャパンのラグジュアリー製品の高価格を支えるべき哲学は、決して切り離すことができません。「ライフ」に対する哲学、幸福感を自信をもって示すことができるかどうか。「わたしたち」全体に問われています。

とはいえ現状の日本では相当にハードルの高い理想だということは、重々、承知しております。まずは、目指したい理想を書いてみました。

 

2日間にわたり、NewsPicksでじっくり取り上げていただきました。ありがとうございます。2日目の記事です。「ラグジュアリーで『社会課題』を解決する」。

発売後、日本経済新聞、東洋経済、日経ビジネス、LEON、そしてNewsPicksで書評やご紹介をいただきました 。「鳥の鳴き声か?」と言われた当初に比べたら、じわじわと広まっている手ごたえを感じます。SNSで応援してくださいました皆さまにも感謝します。

尊厳を守られた個人の内面に起点をもつ創造性が、ラグジュアリーを生み、結果としてそれが社会課題を解決し、これまでとは違う世界を現出させる。「新しいラグジュアリー」の世界観です。

 

さて、下の写真は、『新・ラグジュアリー』にも登場する、大阪大学のピエール・イヴ=ドンゼ先生が編集された大著。

カデミックな大著ですが、世界レベルでラグジュアリーを論ずる土俵に立とうとするときに、知っておくべき今の議論がひととおり、あります。戦略やマーケティングが中心となる「旧型」とは立場を異にする人文的「新ラグジュアリー」の土壌を耕すためにも、世界のアカデミックな現場では何がどのような言葉で論じられているのか、まとめて学べるのはたいへんありがたいです。

日本にも本格的なラグジュアリー・マネージメントの研究機関が作られることを願っています。

 

 

NewsPicks の「ザ・プロフェット」で二回にわたり『新・ラグジュアリー』が取り上げられます。今日は第一回目の記事の配信でした。『新・ラグジュアリーを知れば、社会がわかる』

NewsPicksの記者、藤田さんが、ラグジュアリーの歴史の要点をわかりやすく図解入りでまとめてくださっています。ありがとうございます。

この記事につけたNPコメントと重複しますが、あらためて以下のことはもう一度言いたい。

ラグジュアリーに対して日本人が抱くマイナスイメージ、ないし無関心はすさまじいものがあり、「金持ち相手の高級品ビジネスだろ」「鳥の鳴き声かと思った」「生活に手一杯で贅沢には関心がない」という声を露骨に聞きますが、まずはその偏見から取り外し、本来の意味や歴史を踏まえたうえでの最新の動向を知っていただければ幸いです。ラグジュアリー=ラグジュアリーブランド、でもありません。そんなイメージが支配的になったのはここ30年ぽっちのことです。

ラグジュアリーは社会の変化にいち早く反応し、今まさに次の姿へと変容を遂げつつあるまっただなかにあります。人々の「願い」の方向へと社会変化を先導する力を発揮しています。あと5年もすればラグジュアリー領域で起きていることが他の領域でも顕在化してくることが予想されます。

 

 

◇京都大学の山内裕先生による、けっこう詳しい『新・ラグジュアリー』評。山内先生は京都クリエイティブ・アッサンブラージュのリーダーです。

読む人にとって、反応する箇所がまったく異なるのが、ラグジュアリー論の面白さでもあります。

女王の多面的な魅力が満載のドキュメンタリー、本日公開です。

パンフレットに寄稿しています。


年表や家系図、主要な登場人物のリストもあり、充実した内容になっています。劇場でチェックしてみてくださいね。

日本経済新聞16日夕刊に広告も掲載されました。配給会社、イベントも多々行っており、とても力を入れています。

 

ABCのトークイベント(ご視聴ありがとうございました!)、ウェブメディアからのインタビュー、とZOOMでの話が続きました。ともに黒レースのインナーの上に音遊さんの赤い備後木綿の着物を着ておりました。視聴者のおひとりがTwitterで好意的に書いてくださいましたが、気分はジャポニスム時代のヨーロッパ人が着た室内着kimonoです。(本当のところ、ただ着付けが下手なので、いっそそっちを演出してみたというだけなのですが。)

 

 

Gucci CEO、マルコ・ビッザーリ氏にインタビューした記事がForbes JAPANのウェブサイトにて公開されました。

コロナ後初の来日のタイミングでの独占インタビューです。編集部のもろもろのご配慮に感謝します。

2mはあると思われるマルコさん。

社会のできごとに対し、これからの企業は「中立」ではありえず、立場を明確に表明すべき時代になっている、という言葉が印象的でした。それが従業員にとっても誇らしいことになる、と。

数年前とは激変した価値観のひとつです。新疆問題でも「ノーコメント」はありえなくなっているということが記憶に新しいですね。スポーツ選手はスポーツだけやっていればいいという時代ではなくなっていることは、大坂なおみの行動を支持するラグジュアリーブランドの動きをみてもわかる。ラグジュアリー領域は変化に最も敏感に反応し、先手、先手で動いています。

 

カメラマン小田駿一さん、編集は鈴木奈緒さんです。小田さんによる写真は、マルコさんが大変気に入り、公式ポートレートに採用されたそうです。(袖口のタグに注目!)

昨日は「未来」に向けた仕事の打ち合わせが2件で、脳内は2023年、2028年でしたが、かんじんの2022年はあと半年なのですね。過去に実現されるはずだった仕事もまだ終わっていない(関係者の方、ごめんなさい、追いつきます)。

実績を残すにはある程度の時間、社交の世界ではゴーストになる必要も出てきますね。より大きな力で人のために貢献するためにも、一定期間はGo Ghost and Focus on Yourself という構えでいるのもいい。それを理解してくれるゆるいコミュニティにいるのがいい。

 

さて、『新・ラグジュアリー』掲載お礼です。

13日発売の「日経ビジネス」。小さな欄ですが、「編集部のお勧め」として掲載されました。ありがとうございます。

 

そしてダイヤモンドオンライン。京都大学山内先生が主導するKyoto Creative Assemblage紹介シリーズのなかで、新しいラグジュアリーの考え方が紹介されました。「ヴィトンなどラグジュアリーブランドがこぞって『人間性』を志向する理由とは? その新潮流を読み解く」

 

(本のなかでヴィトンは旧型に分類したのですが……笑)ダイヤモンドに関しては、この文脈とは別個に「リベラルアーツ」として「新ラグジュアリー」解説の機会が決まっております。さらにNewsPicks でも近日中にインタビュー記事が掲載される予定です。

日経新聞、東洋経済、日経ビジネス、ダイヤモンド、NewsPicksと好意的にとりあげていただいたことで、ビジネス界の情報の送り手にはじわじわと認知度が高まってきた感があります。ありがとうございます。ラグジュアリー領域で起きていることは、これから他の領域でも起きていくでしょう。勉強会における本條晴一郎先生の言葉を借りれば「ラグジュアリービジネスは、トイモデル」。

湯沢高原パーク。

世界最大級のロープウェイで上ると、雲の上に広がるパノラマが待っています。

はるか下に越後湯沢の駅周辺が見渡せる。雨が降ったり日がさしたり、光次第で高山植物園は白日夢のような世界になります。

 

白日夢的な景色に包まれてみると、「世界」の可能性が広がるように感じられるのですよね。

日々の現実が「広大な宇宙のほんの一部」でしかないとわかると、小さな悩みはどうでもよくなります。悩みですらなかったと気づくというか。

この地点を過ぎるとややきつめの山登りになっていきます。各カーブに小さなお墓や石造があったりして、ひやりとした霊気を感じます。

いかにもな「映え」スポットでなんだかな感はありますが、せっかくなので乗ってみました(笑)。

かなり歩き疲れて戻ると、本格釜焼きピザの店アルピナが目に入ります。

素朴で王道なお料理&ワインですが、運動の後にいただくスパークリングの美味しさはひとしおですね。

ウクライナ事変以降、平和祈願でしばらく禁酒していたのですが、久々にいただきました。なぜかまったく酔わない。

自然のエネルギーや霊気を浴びて、眠っていた本来の野生みたいなものが刺激されました。トレッキング途中、何度か先のわからぬ怖い思いをしました。これを乗り越えて崇高に至るというのがロマン主義1.0の考え方ですが(『新・ラグジュアリー』ロマン主義の章を参照してください)。野生の直感を研ぎ澄まし、崇高の感覚に近づくためにも時々自然の中に身をおくのは大切ですね。

六日町、「龍言」周辺は時間がゆったり流れていて、地域の住人の方もごくあたりまえのように「おはようございます」と声をかけてくれます。

それぞれの家には(さすがに撮りませんが)には、小さな田んぼや菜園や花壇がきれいに手入れされた形でついており、互いを尊重しながら分を守り丁寧に暮らしているという空気感があります。

鴨は近所の人に餌をもらっているためか、人を信頼しておっとり優雅。日本人は本来、こういう生き方で静かな平和を守り続けてきたのではなかったか?

「龍言」メインレストランでの朝食もすばらしく、地元の食材を活かした、ヘルシーで洗練されたお料理の数々を楽しませていただきました。ティピカルなメニューが一切なかったことに驚きがありました。

朝のラウンジサービス。朝食後のコーヒータイムが豊かになります。

ガーデンラウンジに持って行って食後のおやつをいただきました。全ての宿泊客に豊富な飲み物とともにふるまわれます。

夜のカクテルタイムには日本酒と梅酒がフリーで。パブリックスペースは広く開放的で、バラエティに富むように設計されています。

どこもかしこも美しく、裸足で歩けるのも快適。本当に居心地の良いホテルです。

薪の間に鳥が巣をつくっていました。

グローバルな基準でのラグジュアリーホテルとは全く次元を異にする、日本らしい豊かさにあふれた滞在で、歴史と地域につながる新しいラグジュアリーについて、多くを学ばせていただきました。

「龍言」の近辺散策。

朝ご飯前に、六日町の「国指定史跡 坂戸城跡」を目指して歩き始めたところ、実はちょっとした高度のあるワイルドな登山コースでした。

こんなはずではなかった……というくらい登らせられる。

というのも、なにかが引き寄せているとしか思えない感覚で、先へ先へと進まざるをえなくなるんです。

ところどころに小さな神社や鳥居や石像があり、霊気に満ちた世界です。

六日町を見下ろせる、かなりの高さ。けっこうな有酸素運動で、汗だくになります。

たどりついた史跡は「城跡」と書かれた棒が1本立っているだけ。かつての栄華も夢のあと。

人間のはかない栄枯盛衰を何百年も静かに見守ってきた森の声を聴け、という史跡のメッセージですね。しかと聞き届けました。

栄枯盛衰は必定ながら、盛運は必ずしもただ時流に乗ってれば上がるっていうもんでもない。タイトルにしたのはチャーチルのことばです。「凧は風に逆らう時に最も高く上る。風に乗るときではない」。

逆風が来ていると思った時、そこに抗う闘いをすることで、実はのほほんとただ時流に乗っている時よりも高く上ることができるという先人の教え。山を下りるころには、無意識の一部分が覚醒した感覚がありました。こういう場所、世にパワースポットと呼ぶのでしょうか。あまり雑誌などが騒いでない場所というのがいいですね。ほんと、人が少ないのです。

急なミッションが下りてきて(詳しく説明すると長くなるので省略)、銀座での仕事の後そのまま東京駅へ向かい、越後湯沢→六日町へ移動しました。

東京から70分くらいで到着、あっという間です。越後湯沢からの在来線は、完全に「貸し切り」。自分で扉を開けて閉めるタイプのワンマン電車ですが、ほんと、大丈夫なのか経営はと心配になるくらい。

越後湯沢駅前の「中野屋」さんで、へぎそば。超美味。

六日町の「龍言(りゅうごん)」滞在が今回のミッションです。

有形文化財に登録されている豪農の家屋を2020年にリノベしたホテルです。

都市型ラグジュアリーホテルの画一性に疑問をもちはじめた、というかグローバル基準に合わせたホテルには全く新鮮味を感じなくなった身には、かなりワクワクさせてもらえます。


ふるい歴史はそのままに、最新のインテリアやサービスが提供され、快適です。「ああ、これが日本のおもてなしであり日本的なラグジュアリーなんだ……」とじわじわ満足感がくる感覚。

こちらは「クラッシック」タイプ(標準タイプ)の部屋。かなり広く感じます。

パブリックスペースもとても充実しており、目に映るものすべてが美しいように配慮されています。

全ての宿泊客に太っ腹なラウンジサービスがあるのにも感動しました。

東京から1時間半でこんな豊かな場所に行けるとは。熱海、箱根ばかりではなく、(スキー)シーズンオフの越後湯沢や妙高も穴場ですよ。何より人がほんとに少ない。酸素濃度は濃い。きわめて濃い。自然と歴史と現代が調和した、ほんとうによい「匂い」がします。

美的Grand 夏号、香水特集で巻頭エッセイを寄稿しました。

パートナー・フレグランスというのは、今回あえて作ってみた造語です。

 

アクリス銀座店、一粒万倍日と天赦日とが重なるという佳き日にグランドオープン。おめでとうございます。

デイヴッド・チッパーフィールド・アーキテクト・ミラノとのパートナーシップにより生まれた店舗。アクリスの近未来的な洗練を引き立てています。


イタリアから苦労して輸入された石も床、階段はじめインテリアに使われています。コロナ→戦争が入って輸送にかなり手間取ったそうです。ぜひ踏みしめてみてくださいね。


一階がバッグやスカーフなどのアクセサリー、2階がウェアを扱うフロアになっています。

私がこの日持っていたバッグはアクリスですが、一泊出張大丈夫なくらい入ります(って詰め込みすぎですね)。スカーフもアクリスです。一応、春夏ものです。多くの色が絶妙のバランスで配色され、意外とどんな服にも合います。

フラワーインスタレーションもAiをかたどって作られています。これから咲く青系の花によってさらにくっきり浮かび上がってくることが期待されます。

アクリスの洗練に思うのは、「美学を押しつけない育ちの良さ」みたいなものと、そこからくる風通しの気持ちよさです。ロゴも強く出さないし、これが上質だろうというわかりやすいこともやらない。でもよくよく見ると大変な技巧が凝らされていたりする。わからない人には永遠にわからない(わかってもらおうと思わない)。そこになんともいえない余裕と成熟を感じます。

さて、最近何かと話題のスピリチュアル消費について思うところを。

一粒万倍日の拡大解釈がスピリチュアル消費を生み、エルメスやシャネルやロエベに長い長い行列ができていました。そもそも行列を作って買うようなブランドではないと思うのですが、みなさんお財布を新調するようです。でも、振り回される前に、冷静になって落ち着きませんか? もちろん本人がそうと信じて買うならばそれで幸せ、ブランドも売り上げを伸ばせるならまあよいことなので別にケチをつける気はないのですが、スピリチュアル・マーケティングの思うつぼにはまり散財する初日にしてしまってどうするんだ……。この日に始める小さなことがやがて「山」となる、というイメージをもって何か意味のある行動をスタートする、そんな心構えでいいのでは? ダイエットを始めるとか(あ、それ、昨日も一昨日も始めた……笑)。

 

 

 

 

日本経済新聞連載「モードは語る」。

11日版では、エリザベス女王の「いつもの」衣裳が意味することについて書きました。「エリザベス女王の『小道具』 変化と継続を象徴

タイトルにしたのは、エリザベス女王の名言のなかから。「正しい訓練を受ければ、だいたいのことはできるものだ」。正しい訓練。それが受けられる環境に恵まれることそのものが偉大な幸運だと思う。

「ハリー・パーマー 国際諜報局」(イプクレス・ファイル)全6話がスターチャンネルで公開されました。


推薦コメント寄稿しました。公式HPに予告編ほか詳細があります。

アンチ007として設定されたハリーがじわじわくるんです。最初の2,3話はペースについていく忍耐が必要かもですが、後半、独特の感覚に乗ってくると俄然、面白くなっていきます。

ルーシー・ボイントンが着る60年代ファッションも眼福です。

ブリティッシュカルチュア、1960年代ファッション、英国スパイ映画の系譜、に関心がある方はまず見ておきたいドラマです。

Kingsman のハリーのモデルになったのがハリー・パーマーで、60年代当時はマイケル・ケインが演じていました。メンズスタイルも丁寧に再現されています。

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NewsPicksのプロピッカーも務めておりますが、昨日ピック&コメントしたなかからシェアしたものを転記しておきます。

NewsPicksのシリーズもののなかでも私がもっとも好きな番組が「伝書鳩TV」。毎回、新鮮な海外最新ビジネス情報をぎゅっとコンパクトにして楽しく届けてくれます。昨日の回では、盛りだらけのSNSに疲れたGenZに人気で、インスタグラムのダウンロード数を超えているというSNS、Be Realについて、ポイントと未来の可能性をわかりやすく教えていただきました。

“「盛れないSNS」。盛るとか撮り直しとか遅れるとかのチートまがいなことが一切できない、またはバレバレで、一日一回、タイミングが来たときのみ、目の前のリアルを投稿できる。そこで投稿しないと友達のも見られない。なんの罰ゲームですかという感じですが、アンチ盛りSNSとして新鮮なのでしょう。私にはさすがに無理ですが(←聞かれてない(笑)!)

naoさんのインスタについてのコメント「ソーシャル無関係に、企業の発信みたいなものをチェックするのに使っている」のはまさに私もそうで、インスタはある程度、成熟した世代にとってはソーシャル無用の情報収集ツールになっているように思います。ただここからGenZがごっそり抜けるとなればそれにつられて企業も撤退し、情報ツールとしても力を失っていく可能性があるわけで…… となればまた新しいSNSのほうへどどどっと。プラットフォームのいたちごっこを連想しました”

すでにTickTockはついていけず、clubhouseなど早々に脱落し、ましてやBe Realは厳しそうですが、これからますます短いサイクルで新しいプラットフォームが生まれていくのでしょうか。すでにメタバースには乱立してそうですね(まだよく理解していない世界)。多くのブランドが「コミュティづくりに力を入れる」と言っているのは、こんなSNS乱立時代だからこそ安心感のある居場所を提供して、信頼できる価値を共有することで顧客と世界を共創&ともに繁栄しておきたいということでしょうか。

kotoba 発売。もう連載は終了しているのですが、編集部のご厚意でお送りいただきました。今回は「運」の研究。毎回、テーマが鋭く、多方面からのアプローチにより多角的に考えることができて楽しいですね。今回も読み込んでしまいました。

以下は、ちょっと覚えておきたいと思った言葉の引用です。一言一句正確ではないところもありますが、支障ない程度に省略しています。

・植島啓司「教授はいかに運に賭けてきたか」より

“人間を人間たらしめている当のもの、「自己」とか「精神」とか「合理性」とかいう言葉こそが、未来を見えなくしている最大の阻害要因ではないかと思えてならない。(中略)「自己」とか「精神」とか「合理性」などに固執さえしなければ、われわれの運命はどこまでも透明に見通せるのではないか”

・羽生善治×酒井邦嘉「実力を支える運・鈍・根」

“運というのは、考えすぎたり、意識しすぎたり、思い入れが強すぎたりすると逃げて行ってしまう。ですから「追いたいけど、追わない」みたいな、そういうマインドセットといいますか、矛盾した状態を目指さないといけないということはありそう”

・吉川浩満 「地獄の沙汰も運しだい」

“「絶滅の類型学」 1. 弾幕の戦場 2. 公正なゲーム 3.理不尽な絶滅” “理不尽な絶滅シナリオに関しては、おそらくこれからもずっと「フェアプレーはまだ早い」はずである”

・小島寛之 「『ツキ』と『運』の数学」

“「誰も見ていないと思っても決して手を抜かない」という命だ。誰にも注目されていないと感じる行動や仕事も、必ず世の中の誰かには観測されているものなのだ。そして、その観測がやがて、「必然」として自分に良いことをもたらすのである。それが自分には「ツキ」や「運」に見えるだけなのだ”

私は強運の持ち主のほうだろうという自覚はありますが、運がないと感じることも多々あります。運というのは常にころころ流転しているので、心をオープンに世界に開いていて、これね!と思ったら考えすぎずに乗ってみる、というのがよいのかもしれません。とはいえ、波に乗っていると思っている時こそ一歩踏み外すと奈落の底というのは古今東西の文学が嫌というほど教えていますから、調子のいいときほど驕らず、運のなさに苦しんでいる人への配慮や「運のおすそ分け」を忘れず、謙虚でいることは最重要。調子のいい時にはだいたい人の嫉妬にやられるというのも古くからの教え。とりわけ世の中が沈滞している時代には、人の神経を逆なでするようなエゴは、絶対に出さないほうがいい。

逆に運がないなあ、と感じられるほど、地道にやるべきことを着実に進めたり勉強に没頭したり無料奉仕で陰徳を積んだりするように心がけておく。そういう時間がチャンスを見る目を養う「準備」になる。

そんなふうにしていても運というのは理不尽なもの。絶滅のシナリオはだいたいにおいて不条理で、コントロール不可です。徳を積みつつも、あまり「私」とか「合理性」とかにこだわりすぎない、という植島先生的な姿勢というか、動物的なありかたでいるのが落ち着きどころなのでしょうか。

北日本新聞別冊「まんまる」発行です。またかという感じで恐縮ですが(笑)、ファッション歳時記第130回は『エリザベス 女王陛下の微笑み』に見る「女王が愛される本当の理由」。

エリザベス女王には70年間分のおびただしい量の名言があるのですが、タイトルにしたのはそのなかのひとつです。

I have to be seen to be believed.

国民から信頼されているように見られなくてはならない、という感じでしょうか。そのように振る舞い続けてきたということそのものに、信頼されるに足る絶大な根拠がある。やはり女王からは「ブランド」のエッセンスを学べます。

さて昨日、誕生日を迎えました。メッセージをお寄せくださった読者のみなさまに深く感謝いたします。イタリアでは誕生日は周囲の人に感謝する日で、自分がホストになってパーティーを開くのだそうです。私はパーティーという柄でもないので、「いちばん人に喜んでもらえて、自分もハッピーになれるのは何か?」と考えた結果、方々から頼まれていた無償の仕事をいくつか、一日どっぷり使っておこないました。この日だからこそのご恩返しとか恩送りというような感覚です。人に感謝されるためにやるわけでもないけど、結果として感謝されるのはとても気持ちがよいですね。誰かのお役に立てたと実感できるのは幸運なことです。まだまだ頼まれながらできていないこと、返さなくてはならないご恩が山積しています。心にエリザベス女王のお言葉を住まわせつつ(!)誰かのために貢献していけたら幸いです。

?ウォルポールのラグジュアリーリポート”Be More Queen“より、英国No.1ブランドとしてのエリザベス女王の在り方解説。以下ラフな抜粋です。

“ブランドの成功の要は「Authenticity (本物であること)」にある。「誰かの二番煎じではなく、あなた自身の第一級のバージョンであれ」(ジュディ・ガーランド)。

なかでも最重要なのが「本物の声のトーンを確立すること」。ナイキの「Just Do It」のように。それを書いた人は「ナイキにアイディアは与えなかった。彼らが自身の声を見つけることを助けただけ」と。

ブランド不可欠なこの「本物の声のトーン」を確立し、最もうまく使い続けているのがほかならぬエリザベス女王。すべてを支配するNo.1ルールは「タイムレスな信念と価値観を持ち、相手がだれであろうとこれを一貫させること」。

女王は変身などしない。守る価値は変わらない。自身ではない別のものになろうとはしない。強い信念をもち、目の前にいる人への共感をもとに、知的に柔軟に対応するだけ。 各ブランドはこの最高の例からラグジュアリーブランディングを学べ。”

ビジネスのインスピレーション源にもなるエリザベス女王でした。

 

?ZUU Online シリーズの続きです。

第4回 ショパン国際ピアノコンクールで優勝者使用。新興「ファツィオリ」のすさまじきこだわり

第5回 日本のラグジュアリーの元祖。秦ヴィトンから学ぶビジネスモデルとは

第6回 「何の役に立つ?」からの解放。宇宙ビジネスに見るラグジュアリーの喜び。

 

?青山ブックセンター主催、オンラインでのトークイベントのお知らせです。

これからのビジネス、文化、社会、ひいては生き方の方向を照らすのは、新しいラグジュアリーです。

ここ30年くらい世界に影響力をふるい、肥大化を起こしていたラグジュアリーブランド的なやり方を「旧型」と位置付けています。もちろん旧型も時代に合わせて急速に変化しています。旧型の変化、新型のあり方を解説します。

青山ブックセンターのイベントページからお申込みくださいませ。

6月15日(水)19:00~20:30 ズームにて。詳細はこちらです。

「ザ・ロストシティ」試写。小さな試写室ではなく、日比谷TOHOシネマズでの劇場試写だったのがラッキーでした。

サンドラ・ブロックとチャニング・テイタム主演、ブラッド・ピットがパンチの効いたチョイ役でいい味だして出てきます。

「インディ・ジョーンズ」と「ハーレー・クイン」系ドラマと「スピード」と「世界遺産」系ツーリズム映像をごたまぜにしたような、少なくとも見ている間は現実を忘れて楽しめる映画でした。この手のお気楽映画のヒロインが<若くない>女性だというのもハリウッドでは画期的なのかも。サンドラ・ブロックあっぱれ。

チャニング・テイタムは次のジェームズ・ボンド役でもいいのではと思えたほど。抜群に美しい逆三角形ボディでダンスシーンではことにセクシーです。ブラッド・ピットが戦闘シーンでキレキレのアクションを見せてくれて、これもまた眼福でした。

とはいえ「トップガン・マーヴェリック」の余韻がある後ではどうにも映画として「あれにはかなわない」感が残ります。いや、「トップガン」は別格でしたね。

 

 

いきもの使いになりつつあるこの頃。


湯布院のフクロウに続き、品川のマンタとも気持ちが通じた(気がする……)。

ラグジュアリーの反対語は、ヴァルガー(下品)。この場合の下品とは、本来の自分ではないものになろうとすること。
いきものの在り方から、ラグジュアリーの根源的な本質とは何かを学ぶことができます。それぞれが本来のネイチャーを十全に発揮する。それが可能な環境を作ることまで視野に入れるのが新・ラグジュアリーの立場。

イルカのパフォーマンス。イルカと人間の楽しそうなコラボ。

こうやってイルカを「働かせる」ことを虐待と批判する声があることも知っている。でも目の前のイルカも人間も、能力をフルに発揮して幸せそうに見えた。心の中の声まではついぞわからない。

「トップガン マーヴェリック」をその後アイマックスで鑑賞。30年以上も前、ケンブリッジ生活に備えて「トップガン」のセリフを丸暗記して臨んだほどの身なので、エモーショナルなポイントが多々ありました。前作をはるかにしのぐ、愛情にあふれた完璧な映画になっていました。

「おまえのようなパイロットは絶滅する」と言われ、「たぶんそうでしょう、でも今日じゃない」と答えたマーヴェリックのセリフに、スーツ史「続編」のヒントとモチベーションをいただいた気がします。

 

 

 

 

 

イタリア街ってどういうこと?と訝りつつ、縁あって初めて足を踏み入れた「汐留イタリア街」。


資金の潤沢な企業がイタリア風の建築をしてみました、というタイプの建物が並んでてなるほど、と。

それぞれの建築は素敵で、そこそこおしゃれ感はありますが、「もどき」は永遠に「もどき」だなあ、という勉強をさせていただきました。

すでにあるなにかを「見立てる」なら知的な感じがするけれど、真似を目的とすると「オーセンティック」には永遠になれないのだな。

歩いていたらフィレンツエに行きたくなりました…。もうピッティの季節ですね。

最後にPRです。ZUU ONLINEにて、6回にわたり、『新・ラグジュアリー』からの抜粋記事が掲載されます。

第1回 偏見に満ち、物議をかもす。「ラグジュアリー」とはいったい何か。

第2回 100回通っても買えない超高級時計‥‥‥「戦略」としてのラグジュアリーとは。

第3回 「偽物」で遊ぶことこそ洗練の証? ココ・シャネルの生んだ「偽物」ムーブメント

残り3回は追ってアップされます。

フェイクと「もどき」はまた微妙に違う気がするのですが、追って言語化にトライしてみます。

エストネーション秋冬の展示会で、ひときわ目をひいたバイクと自転車のハイブリッドのような乗り物。


1920年代の初期のモーターサイクルにヒントを得て生まれた「温故知新」電動自転車です。オーストラリアを拠点とする多国籍文化をもつマイケルブラストのチームの作品です。日本仕様にスピード調整され、秋冬に登場するとのことです。景色を変えてくれそうで、楽しみですね。これなら環境にも優しくかっこよくて乗りたいかも。


秋冬もの素材でもお腹見せ、おとなのY2Kスタイル。腹筋が縦に走っていると最高のアクセサリーになりますね。鍛えよう。

オリジナルや別注コラボの靴もかわいくて、見せ方もセンスいい。

エストネーションの展示会には初めて伺ったのですが、担当者の方がTwitter のメッセージでお招きくださいました。この方はなんと、22年前の拙著『スーツの神話』をこよなく愛読してくださっており、この日もお持ちくださっていました。驚きつつ、感激です。

本って何かを犠牲にしながら時間と労力を注いで注いで注ぎつくしてようやく仕上がるチームワークの賜物なのですが、それでも呆れてしまうほど直接の利益にはならないし(時給換算なんかすればそれこそ1円以下だと思う)、昨今の出版事情の厳しさでますます書く虚しさが募るばかりだったのですが、こうして時間を超えて人とのつながりを作ってくれることがあることを思うと、経済的価値とは全く別次元の「価値」があるのだなと実感します。いくつものことを犠牲にして献身した30代の自分に会ったらちょっとねぎらいたい(とはいえ、別の道を勧めると思う。笑)

プラチナジュビリーの記念行事が盛り上がりを見せていますね。

初日では道路に横たわって行進の邪魔をするプロテスターたちが警官に排除されるシーンもありましたが、政治的信条として王政は認めないがエリザベス女王は人間として好き、という方もいるほどの女王人気の高さを世界に見せつける壮麗なイベントとなりました。

日本でもドキュメンタリー映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』が17日から公開されます。プレスリリースでもコメントを寄稿しています。

 

6月17日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ ほか全国公開
© Elizabeth Productions Limited 2021
配給:STAR CHANNEL MOVIES

バンフォードから待望のオードパルファムが発売されました。

香りのテーマは、「イギリスの移りゆく季節の中で森や草原の中で過ごす時間」。

「ウッドランドモス」はアンジェリカ、ベルガモットにローズやセージの深みが加わり、ラストはサンダルウッドで渋い森林感におちつく。

「ワイルドメドウ」は、ベルガモットオレンジの軽やかさからはじまり、ハニーサックルに移ってベチバーで明るい洗練を漂わす。

という違いはあるものの、重ねづけしても複雑な深みが増して快く深呼吸させてくれるパルファンです。ほんと、コッツウォルドの風を思わせる気持ちのよい香りです。

背景の森はコッツウォルドではなくご近所の公園です。朝の光がきれいな時間に撮影しました。

昨日は偶然のつながりから、古来の技を受け継ぐ「陰陽師」の方に出会い、お祓いをしていただきました。「あなたが人を羨まず恨まず我が道を行くというタイプであっても、他の人はそうとはかぎらない。デフェンスがあまりにもなさすぎる。人の恨みや嫉妬に警戒しなさい」というお言葉をいただきました。なるほどと真摯に受け止め、とはいえ他人の気持ちまではコントロールできないので、謹んで目の前の仕事ひとつひとつに丁寧に向き合い、感謝を伝え続けてよい循環を生み強いネットワークを作っていくことで、デフェンスにかえていくしかないかのかなとも感じます。

 

KITOWA 展示会。

「木は永遠(とわ)」という意味をこめて名付けられた日本発のメゾンフレグランスのブランドです。2018年創業。

三重県産ヒノキ、屋久島産クスノキ,青森産ヒバ、などの和木が用いられた、こころが落ちつく香りもののバリエーション。

オードパルファム、インセンス、バスエッセンス、キャンドル、ハンドウォッシュなど、ひととおり揃います。スタイリッシュな容器は有田焼。すべて日本産で、調香師、デザイナーも日本人です。

伽羅のインセンスは40本で11000円という価格帯。世界のニッチトップをめざすブランディングですね。

貴重な香木、マンションが買える価格の数々の香木も目の当たりにして驚愕。そのあたりに落ちてても価値がわからなくてふつうの枯れ木だと思って拾わないだろうな。奥の棚に鎮座するのは高価な香木の数々。個々の香木の撮影は不可ですが、全体の雰囲気フォトならと許可をいただき、ぼんやりしたイメージではありますがアップさせていただきます。

香りの濃度が強くて深い。バスエッセンスを試したところ、家じゅうに木の香りが広がって癒されました。

ムエットまでおしゃれですね。横にすると「K」というアルファベットにも見えます。