イギリス大使館にて23日、スコットランドの新しい魅力を紹介するイベント”Scotland is Now”。主催はScottish Development International.香水、スキンケア、木製バッグ、アクセサリーといった、これまでのスコットランドのイメージにはなかった製品が新鮮でした。

ウイスキーの新しい楽しみ方を教えてくれるガラス製品も。Angel’s Share Glass.
Rocioの木のバッグは意外と軽くて、艶感、品格があります。パーティーバッグとしてよさそう。

Horus Stidioの香水も濃密で個性的。当然、ジェンダーフリーで使える今どきの洗練が感じられる高級ライン。調香師ユアン・マッコールはスコットランドにおける香水業界のパイオニア。Ishga の海藻を活かしたスキンケアはすでにフォーシーズンズのスパで採用されているとのこと。スコットランドの変化が垣間伺われる商品展開でした。しばらく訪れていないスコットランドですが、いつまでもタータン、バグパイプ、スコッチエッグのイメージにとどまっているはずもなく。

新しいスコットランドを体験しにいきたくなりますね!

 

JBpress autograph フィンランドのラグジュアリー観、後編が公開されました。「日本人が知らないリアルな『北欧スタイル』から考える新しい『ラグジュアリー』。

こちらでいったんフィンランドシリーズは終了です。ニセコに続き、人々の幸福感に政治が極めて重要な働きをしていることを、ひしひしと感じる取材となりました。機会があればぜひ訪れてみたい国です。

 

 

25日発売の週刊文春、森英恵さん追悼記事でコメントさせていただきました。

反骨のエレガンスで時代を切り開いた偉大なデザイナーである、とあらためて思います。

 

 

 

サンナマリン首相のダンス動画が話題になっておりますが。

フィンランドのラグジュアリーについて、大使館上席商務官に取材した記事を書きました。

本日より3回に分けて掲載されます。

1日目の今日は、フィンランドの幸福感とデザインの特徴についてです。JBpress autograph でお読みいただければ幸いです。

 

サンナマリン首相のダンス動画流出に関しては、英ガーディアン紙の反応がいちばんクールでした!モラルの是非は問わず、各国首脳のダンス映像とひたすら比較して、だれが一番うまく踊れるかという論点にすりかえてしまった記事。こういう反応、とてもイギリス的で痛快です。

1月にBunkamura で開催される「マリー・クワント展」(V&A巡回展)に合わせ、ジェニー・リスターが編集したこちらの本の日本語版も、グラフィック社から発売されます。

展覧会の解説も兼ねるビジュアル豊富な224ページの大型本ですが、これはもうカタログを超えたアカデミックかつジャーナリスティックな永久保存版。人間マリー&家族とビジネスパートナーのみならず、イギリスの社会と文化、アパレル産業、繊維産業、ブランドビジネス、デザイン、広告、写真、モデル、ヘアメイク、化粧品&香水、インテリア、といった側面から多角的に詳細なマリークワント研究がなされた骨太な一冊でした。日本が果たした大きな役割も明かされる。たったいま、監修作業第一弾を終えました(これから校正が待っている)。翻訳もすばらしく読みやすい。初めて知る内部事情の連続で、もろもろの事象を見る解像度が上がります。

それにしてもマリーがデザイナーとして長命だったのは、とにかくとんでもなく堅実によく働いたからというシンプルな事実に尽きるのですね。シャネルも働きものだった。もう一つの共通点は、人の縁を大切にして、互いに全然違う個性を活かしあっているところ。選択の基準、考え方、行動、アテチュード(社会との向き合い方)において、ファッションに関心ないという方にも多大なインスピレーションを与える女性という点でもシャネルと通じる。

ちなみにマリーは引退しましたがまだご存命です。92歳。お会いしたい。

森英恵さんの訃報。戦後日本のファッションを国際的なレベルに高めた大功労者です。足跡のハイライトを記します。

森英恵さんは、1951年、新宿に洋裁店を開くのですが、米軍大尉の夫人が店を訪れた時、採寸のために夫人が脱いだ服を手に取ってショックを受けるのです、「服が丸い」と。

森さんはここで、洋服は立体であることを知り、立体裁断への独学の挑戦を始めます。戦後の日本ファッション史は、「平面から立体へ」という革命から始まったことがわかります。

50年代の日本映画全盛期には、数百本にのぼる映画の衣装を手掛け、ビジネスも好調だったのですが、当時の日本人の盲目的なパリ信仰、それと裏腹になった日本人デザイナー蔑視に失望し、日本を脱出します。

1965年にニューヨーク・コレクションに参加。蝶をモチーフにしたエレガントなドレスが人気を博し、「マダム・バタフライ」と呼ばれて有名になります。

アメリカでの成功を受け、パリコレにも進出。1977年にはアジア人として初めてパリ・オートクチュール組合への加盟が認められます。

パリ信仰、日本蔑視が根強い風土の中で自分を高く評価しない日本にいらだち、日本を脱出しながらも、故郷の島根に根ざす日本らしさをアピールすることによって世界に認められたパイオニア。その功績は、先日亡くなられた一生さんはじめ、続く日本人デザイナーたちに大きな自信を与えることになりました。

ありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。

写真は1974年の森英恵さん。From Wikimedia Public Domain.

女性服にポケットがない(小さい)問題、盛り上がっているんですね。日本でも世界でも不満を抱えている女性が多いとは。

「女性服のポケット問題」にデザイナーやブランドが反応 (fashionsnap.com)

「なぜ女性服にはポケットがないのか」 海外のムーブメントを追う (fashionsnap.com)

 

Fashionsnap.comがまとめた上の記事に対してNewsPicksでコメントしました。こちらにも転載しておきます。

 

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ジェンダーが問われない時代になって、ようやくポケット問題も解決に向かいそうで喜ばしいかぎりです。

テイラードスーツの世界の話ではありますが、私も10年以上も前から「なぜウィメンズにポケットが少ない?」と怒りを感じ、何人かのテーラー、作り手に聞いたことがあります。結果、「シルエットが崩れることを女性自身がいやがる」という回答を得ました。

で、なぜシルエットが崩れるのか、よくよく調べてみると、そもそも「女性用」とされている生地が、「男性用」とされている生地よりも薄くて柔らかい=シルエットが崩れやすい、のです。

しかも「女性のシルエット」とされているものが、そもそも凸凹やダーツ多め、あるいは「細く見せる」よう体のラインに沿うように作られている(メンズに比べゆとり少な目)ので、ラインが崩れやすいのは当然。

そこで私は、「男性用」とされているしっかりした生地を使って、凸凹を強調しないラインにしたうえで、男性と同じ位置、同じ数でポケットを作ってもらうようにオーダーしました。これはけっこう成功で、内ポケットにはアイフォンが入る深いポケットがあるし、メンズ生地、ゆとりあるメンズラインであればあれこれ入れてもそんなに型崩れはしない。快適です。

だれもがオーダーでスーツを作れるわけではないことは了解しております。既成のスーツにおいても、

・女性向けという(薄い柔らかい)生地を避け、男性用と同等のしっかりとした生地を使う
・凸凹多め、かつタイトなシルエットから脱する
・思い込みから脱し、ポケットがついていることはジェンダー不問でかっこよく機能的であるという認識をもつ

ことで型崩れせず機能的なポケットをつけることが可能になります……というか、メーカーさま、ぜひきちんとつけてください! 社章用(?)のボタン穴も。ジェンダーギャップの解消は、些細に見える細部から(笑)

思えば、シャネルがスーツの上着にポケットをつけたことは「画期的」だったんですよね・・・。シャネルはわざわざポケットに手を入れて立ち、写真を撮らせていました。

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実は先週の高知での仕事でも、「女性らしいスーツ」という業界の思い込みを撲滅しようと闘っておりました。「女性らしい華やかさ」とか要らないし、ましてや「女性らしいやさしい印象」なんてもっといらない。仕事着に「女性らしい」をわざわざ持ち込まなくていい。「女性向け生地」(安くて薄くて柔らかい)なんてのもなくていいのではと思う。その人らしさは、仕事をしているうちに勝手ににじみ出てくる、というのが実感です。そもそもなんで女性は華やかでなくてはならんのだ?

トップ写真は2019年のGo Tailored キャンペーンのものから。「女性用スーツ」の既製品に理想に近いものがまったくないので、それぞれテイラーにゼロからオーダーしたり、メンズスーツの古着をリフォームしたり、自分で作ったりして着ています。反響が大きく、需要は多いはずなのに、スーツ業界の人はなぜよい生地と機能的なディテールを備えた女性のスーツを作らない?

KAAT神奈川芸術劇場でミュージカル「夜の女たち」が上演されます。9月3日~19日。

パンフレットに寄稿するために、オリジナルの溝口健二監督の映画「夜の女たち」(1948)を観ました。

衝撃でした。1948年……戦後間もない日本の「同時代のリアル」を描いたものと想像されます。凄まじい世界。衝撃の最大の理由は、弱者をとりまく状況が、現在、何も変わっていないことです。

何もかも奪われて、追い詰められて、絶望して、忍耐の限界にきて、ついに最後のエネルギーをふりしぼって人間全体への反逆に出た弱者による「犯罪」がいまも絶えないのではないか。「責任」をすべて本人になすりつけるのはあまりにも過酷な状況がある。転落せざるをえなかった背景も知らないで高みからキレイゴトを並べて批判する「教育婦人」も登場する。「どんな理由があろうと暴力はいけません」とか言いがちなあの種の人間にだけはなりたくない、と心底思わされた。溝口健二、すごい。

この物語を現代、ミュージカルとして上演するという意味がまさにここにあるのだろう。

パンフレットではさらに戦後ファッションの話とからめて書きます。

 

婦人画報9月号発売中です。シャネル展にちなんだ特集記事があります。

シャネルのアイコンバッグとバイアラーシューズについてコメントを寄稿しました。

飽きられないモノの秘密を考えることは、「飽きられない人」について考えることにもつながる。たぶん。

今秋、マリークワントブームが展覧会、映画、本と連動して到来することは何度か書いておりますが、私は展覧会の展示物テキスト監修、映画のパンフエッセイ寄稿に加え、クワント本の監修も担当させていただきます。

幸いにして翻訳者が素晴らしい方ですので、英語と日本語を整合させながら細部の正確さを極めていくのが仕事の一つになりますが、大型ハードカバー、224ページ、各ページに2段に分かれて文字ぎっしりというなかなかの分量です。

イギリスでは2019年にV$Aから展覧会にあわせて発売されていますが、綿密な調査に基づき書かれた内容がすばらしいだけでなく、写真も初登場のものが多く、amazonの評価には74個のレビューがつき欠けるところなき5スターズ。

思わず覚えておきたい名言も多く、たとえばこんな感じとか。

From the grey of post-war Britain, ‘necessity’ wasn’t the mother of invention, fun was.

「戦後英国の薄暗い時代において、発明の母となったのは<必要>ではなく、楽しさだった」

作業中におお!という名言に出会ったらTwitter (kaorimode1)で即時紹介していきますね。

 日本語版はグラフィック社より12月初旬に発売予定です。

 

取材予定の方がコロナにかかってキャンセル、とか担当編集者がコロナに、というケースが続くようになりました。みなさまどうかくれぐれもご自愛ください。私は睡眠・運動・バランスよい食事・大量のビタミンC・高麗人参粉末という5大防御(免疫力強化)を意識的に行っています。それでもどこにリスクが潜んでいるかわからないのが怖いところですね。仕事のご迷惑をおかけしないためにも、最大限の緊張感をもって過ごそうと思います。

よい一週間をお過ごしください。

きものやまと秋冬展示会。トップ写真は加賀友禅。

正統派の凛とした絹のお着物から、日本の織物産地とコラボした木綿着物、アバンギャルドな折衷スタイル、デザイナーコラボ、アウトドア着物、ジェンダーフリー着物にいたるまで。上の写真は大島紬。

片貝木綿。

久留米絣。

「なでしこ」のラインはアバンギャルドな折衷型。下にパーカーをあわせるのがユニーク。ファーがついた下駄など、着てみたいもの多数。

こちらも着てみたいと思ったレース製の着物。ドレスのような迫力あり。

スノーピークとのコラボ。アウトドア仕様になっています。

スーツ地を使ったY & Sons のシリーズも相変わらずスタイリッシュです。井上ブラザーズとコラボしたアルパカの着物もありました。

現代にふさわしい多様な着物のあり方を見せていただきました。こうでなければならないという偏見から自由になりさえすれば、着物は無限の可能性を秘めていますね。