オードリーヘプバーン、初のドキュメンタリー映画が公開されます。

世界中から愛された大スターですが、両親は離婚、父には冷たく見放され、自身も二度離婚。心の傷を、愛することに変えることができた人でした。

華奢なのは戦争中にひどい栄養失調になっていたため…。晩年、ユニセフ親善大使として世界を訪問し、飢えて痩せ細った子供たちを抱きしめるとき、幼少期の思いも重ねていたのですね。

世界が憎しみや暴力で傷ついている今だからこそ、オードリーの言葉と行動が強く響きます。

5月6日公開です。
配給 東北新社

ロジャー・ミッチェルがコロナ禍の最中につくりあげたドキュメンタリー映画「エリザベス」試写。

女王が走る、笑う、なんだかファニーなことを言っている。これまであまり表に出てこなかったプライベートな一面もさしはさまれながら、女王の生涯をポップにコラージュした映画。ファンにはたまらないニッチな深掘りをしておりますが、おそらくイギリスや王室に関心の薄い方には「?」かもですね。女王ファンには全力推薦したい。

プラチナジュビリーに向けて、詳細は後日!

「帰らない日曜日」(Mothering Sunday)試写拝見しました。


原作はグレアム・スウィフト「マザリングサンデー」、監督はエヴァ・ユッソン。

1920年代のカントリーハウスを舞台に繰り広げられる天涯孤独のメイドと名家の跡取り息子の秘めた官能的愛。とくればカズオイシグオ的世界のなかにダウントン風人間模様。

淡く物悲しいストーリー展開にとって大切な役割を果たしているのが、眼福を与えてくれるインテリアや衣裳。

衣裳はサンディ・パウェル。「女王陛下のお気に入り」を手掛けた方です。20年代コスチュームにエッジを効かせて見せてくれます。絵画のように上品で「自然な」(ここ、強調しときますね)ラブシーンにはちょっと驚きますが。

5.27(金)全国公開

2021年/イギリス/104分
配給;松竹
© CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND NUMBER 9 FILMS
SUNDAY LIMITED 2021

北日本新聞「まんまる」4月号発行です。連載「ファッション歳時記」第127回は、「ナイトメア・アリ―」のコスチュームについて。

ギレルモ・デル・トロの世界が好きな方には全力おすすめの映画です。

 

©2021 20th Century Studios. All right reserved.

この映画のケイト・ブランシェットのクラシックな髪型にしてみようかと思ってしまうほど磁力が強い。

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
3月25日より全国公開

kotoba 春号 ゴッドファーザー50周年記念特集。本日発売です。

このような目次です。これは永久保存版でしょう。

 

拙稿「マフィアとスーツ」では、バー「ル・パラン」の本多啓彰さん、「アジャスタブルコスチューム」の小高一樹さん、「スローンレンジャートウキョウ」の大西慎哉さんに取材のご協力をを賜りました。ありがとうございました。

ご覧のように、小高さんは「パートII」でのヴィトー・コルレオーネのスタイルを再現した装いで取材に応じてくださいました。マニアックを極めた観察力で多くのご指摘をいただきました。

『ナイトメア・アリー』試写拝見しました。

濃厚な、極限の最悪な悪夢を見ているような時間が2時間半。世界の見え方が変わる寓話。強欲な資本主義への警告にも見える。あなたは獣か人間か。

見終わるとぐったりしてしばらく立ち上がれませんでした。ギレルモデルトロのダークなイマジネーション炸裂の最高傑作、更新。

1939年、40年あたりのコスチュームも美しいし、インテリアそのものもスペクタクルになっている。カーニバルはトッド・ブラウニングの「フリークス」を連想させるし、おどろおどろしさと不穏な世界観はギレルモ節全開。

 

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

3月25日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

映画『ゴヤの名画と優しい泥棒(The Duke)』。


あの不朽の傑作『ノッティングヒルの恋人』の監督、ロジャー・ミッシェルの遺作となった長編です。ザ・プレイハウス(青山店)でのプライベートシアターで鑑賞させていただきました。

映画は、1950年代にイギリスで起きた実話をもとにしています。〈ロンドン・ナショナル・ギャラリー〉で起きた、フランシスコ・デ・ゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件。

当時の労働者階級のリアリティ、家族の絆、イギリス社会の不平等とそれに対して果敢に闘う人に向けられるさりげない共感が、ミッシェルらしい優しい目線で描かれます。現代社会へのメッセージとしても響くようなセリフも多々あり、最後は心がほっこりとあたたかさに包まれます。

このプライベートシアターには、英国王室御用達のオーディオブランド「LINN(リン)」が、ザ・プレイハウスのために特別設計した5.1chサウンドシステムとして搭載されています。

ゴヤの「ウェリントン公爵」は、映画『007 / ドクター・ノオ』にも登場するんですよね。「007」グッズだらけのこの部屋でなぜこの映画なのか? 最後には違和感がなくなる。

2月25日(金)からTOHOシネマズ シャンテ他で公開されます。

日本経済新聞「モードは語る」。22日付では、「ハウス・オブ・グッチ」を撮ったリドリー・スコットへのリスペクトを込めて書いてます。

 

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photo ©2021 Metro-Goldwyn Mayer Pictures Inc. All Right Reserved.
配給 東宝東和

 

ゴッドファーザー」生誕50周年記念の原稿8000字近く脱稿しました。書き上がるまでかなり苦悩して長い「旅」になりました……。

20世紀の実在のマフィアのボスのスーツスタイルを調べつくしてやたらこの分野に詳しくなりました。

だからってまったく何の役にも立ちませんが、そんな無駄なことが意味もなく楽しいから困ります。(ちょっとは役に立つ人間になりたい)

その仕事の意味は? 意味ある仕事と感じられる時は幸せでしょう。一方、「意味ない」と感じられることもあります。「意味のなさ」にも二種類あって、虚しすぎて意味ないと感じ、疲労ばかりが増していく「ブルシットジョブ」もあれば、社会的な意味なんかまったくないんだけど没頭しているだけで脳がフル回転して元気になっていくという「意味のなさ」もありますね。私はどちらかというと後者の無意味にひたっているのが得意(?)で、無意味を極めるための苦労は苦しいんだけど苦しくない。そういうことを何の疑問も抱かずやっている変人を見つけたらお仲間としていたく共感を覚えがちです。

 

取材にご協力くださいました方々、ありがとうございました。

「アジャスタブル・コスチューム」の小高一樹さん、ヴィトー・コルレオーネ スタイルでの熱いお話ありがとうございました。


「スローンレンジャー・トウキョウ」の大西慎哉さん(右)、スーツの細部に関するマニアックなお話ありがとうございました。

そしてルパランの本多啓彰さん、ありがとうございました。


同、上村卓さん。ありがとうございました。

紙幅の関係で豊穣なお話のごく一部しか引用できなかったのが残念極まりないのですが。3月に活字になります。

 

雲一つない空の暗闇、目の前には2022年最初の満月。

House of Gucci. 14日から公開になりましたね。

ファッション史に興味があってもなくても飽きさせず、2時間半、目が釘付け。

 

ノリノリの70年代末~80年代ミュージックと感情揺さぶるイタリアンオペラがいい感じで「意味まみれ」。衣裳は眼福、俳優は驚愕。

ジャレットレトを探せ。史実を知っていたらなお面白くなる。(「アパレル全史」参照。笑) ちょうどゴッドファーザーの原稿を書いていて、アルパチーノの演技に歴史を重ね見てじわり泣きました… とにかく必見です。

 

写真はすべて、© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

 

House of Gucciで印象に残った人間観察のひとつに、「人と違う個性や才能をアピールすることは、実は凡庸さの頂点である」というのがあります。本当に革新的なやり手は、最も静かで平凡に見えたアノ人だった!という事実に基づくオチが渋い。画期的な変化を起こす人はいちいち人と違うアピールなんてしない。静かな意志を、平凡に着実に淡々と貫き、その暁に結果を出す。そんなもんです。

 

 

 あわせて読むとよりいっそう面白さが増す原作本。

 下巻末の解説も理解を深めてくれます。

 映画の中に出てくるトム・フォード、ドメニコ・デ・ソーレ、アナ・ウィンター、カール・ラガーフェルドがどんな位置づけの人なのか? 占い師役のサルマ・ハエックの現実世界での夫がどんな人なのか(グッチを傘下におさめるケリングの会長)? 今のグッチをもりあげるアレッサンドロ・ミケーレはどんな仕事をしていて画期的なのか? いつからファッションのメインプレイヤーが資本家になったのか? などなどご参考になる点いろいろあるかと思います。電子書籍版もあり。