A Happy New Year.

May the New Year Bring You Love, Joy and a lot of Ecstatic Moments.


 

あけましておめでとうございます。

旧年中のあたたかなご交誼に心より感謝申し上げます。

皆様の一年が愛と喜びと、感動的な瞬間で満ち溢れますように。

 

1月から「まんまる」連載100回、新刊発売、新刊記念講演、新連載(掲載は翌月)、その他チームでの大きなプロジェクトのキックオフや新企画のお披露目準備など、区切りのイベントやチャレンジングな仕事が目白押しです。年間を通しても10年前の仕事の続編と、20年前の仕事の集大成の機会をいただいております。ひとつひとつ、凡事徹底と想定越えの両立を心がけ、愛情と感謝をこめて向き合ってまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2019年をなんとか乗り越えることができそうで、読者のみなさまはじめ支えてくださった多くの方々にあらためて感謝申し上げます。

2017年は全世界から拒絶されたようなどん底状態でしたが、なんとか気持ちだけ立て直し、2018年は先の見えない不安と闘い続け、2019年には、後がないなら前しかないという諦念で、今できることを枠を外して全部注ぎ込む、ということだけに集中してきました。まだまだ勉強不足だし、通過点ではありますが、折々にチャンスをくださった方々、ご支援くださった方々の御恩は忘れず、着実に実績を重ねていきたいと思います。

 

暗闇の時間を乗り切るための心がけ

・なくなったものはしょうがないので、「とりあえず、ある」ものを無理にでも数え上げ、感謝してそれを愛でる
・現在をConsummatory に生きる。将来の手段として現在の活動を不本意ながらおこなうのではなく、活動それ自体を楽しむ
・凡事徹底をきわめる
・チャンスをいただいたら、先方の期待を超えるサービスをする(仕事でも社交でも)
・悲惨なできごとも「ヒーローズ・ジャーニー」のなかの「深淵」としてストーリー化し、復活後のストーリーを妄想する
・古今東西のヒーローには、世間から理解されず、孤独な時間があったということを思い出す
・そういう時こそ「人間」がよく見えるので、善悪の判断ぬきに観察してメモしておく
・会った人、会話した人(メールなどでも)には、別れ際によい印象を残す

 

そんな気持ちの持ち方すらできないほどの不幸や災害に見舞われた方も、大勢いらしゃいます。身近にもおります。明日のわが身としていつも心の片隅で見守り、ささやかながらできることをしています。一日も早く平穏な生活に戻ることができますよう、お祈り申し上げております。

 

?さて、先日アップしました日中のスーツの色が光の加減で今一つ正しく伝わっておりませんでした。カメラマンの写真ではなく、一緒にいた友人がスマホで撮影してくれた写真が、より実物に近い色です↓



(Tailored by Teruo Hirokawa with the fabric of Chugaikunishima 1850)

仕事着として着るものがないとお困りの女性管理職のみなさま、ブランド名がちらつかず、ジャストサイズで長く着ることができて、昼は会議OK夜は上着を脱げばレセプションOKという本格派テイラードスタイルはいかがでしょうか(同じ服でのドレススタイルは、信濃屋さんパーティーの回にてご確認ください。昼間のポケットチーフを夜の首元にあしらっています)。すでに女性用テイラードを提供している百貨店や小売店は、「女性におすすめ」として薄め軽め明るめの生地を推奨していらっしゃいますが、逆です。重役が着るような重厚な服地で作ってください。というか「女性におすすめ」っていう甘いカクテルにしろ薄い服地にしろ、いつまで女性を軽く見ているのか。来年以降、このフレーズは社会的タブーとしたい。笑

 

一年間ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

次男がホリデーシーズンの「出稼ぎ」に出かけたのと入れ替わりに長男が帰省。戦士にとっては心が休まるらしい寺家町。


空気が穏やかで澄んでいます。

Tranquility ということばがふさわしい空。


枯れ木の落下に注意、という看板がところどころにありますが。この時期の枯れ木は(見る分には)風情があってよいですね。

電線がご愛敬。

 

Great tranquility of heart is his who cares for neither praise nor blame. (Thomas a Kempis)

?Once you have been disliked, you will end up being criticised for whatever you wear. If you should be put in such a situation, you would be dragged down by a single fatale mistake of selection of clothes. 

“Hate a priest, and you will hate his very vestments.”

On the other hand, if people love you through your behavior and words, failure of choice of clothes would often be overlooked.

So  we had better be aware that “sense of fashion” should include our words and behavior,  as I always insist.

 

?A former student, Asako-san, is going to marry so she and would-be husband went to Crescent Vert in Ginza to find a wedding ring.

Crescent Vert is Managed by Kyocera. There she met an article I had contributed to the Nikkei Style.

So she sent me a photo.  This is an article when I interviewed Paul Costelloe, an Irish fashion designer of Princess Diana.

In the article I mentioned the claddah ring designed by Costello, which Kyocera was involved with. The world is so small.

Anyway , congratulations, Asako-san! (Accidentally, she is actually a priest, loved by people around her.)

 

The story of the claddah ring is contained in this book.

秋の大きなプロジェクトの打合せ。Table 9 Tokyo 。

 

お客様のいない時間のTable 9のウィスキーバー。東京タワーも見えて、大人な空間です。

楽しそうな企画にわくわくしていたら、Jacobs Ladder の出現。よいことがありそうな。sunbeam とか、crepuscular rays とか、God rays などとも呼びますが。空一帯に広がり、あまりにもきれいだったので。

 


品川プリンスのフロントの花も、秋バージョンに変わっています。前野博紀さんによる「秋の夕日に照る山もみじ」。どーんと豪華。

 

 

*「フォーマルウェアの教科書(洋装・和装)」は以下のサイトで大好評、売れてます! 「ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史」もあわせてお求めいただけます。サイン入り書籍のご希望にも応じます。

Verita Ironica 

 

先週に続き、台風が猛威をふるっておりますね。現在まさに台風に襲われている地域の方々、どうかくれぐれもご無事で。被害が大きく広がりませんように。

こういう時に浮世離れしたようなファッションの原稿を書かねばならない仕事というのもほんとうに間が抜けておりますが、このような仕事にも多くの方々が携わっており、それにより回る経済によって支援できることもあります。その循環を信じて、自分でも可能な貢献をさせていただくのが最善と思い、謹んで仕事に励みます。

重ねて、被害が最小限となりますよう、お祈り申し上げます。

 

地球環境問題に本気で取り組まない社会に抵抗して世界を旅して講演や演説をしている活動家、Greta Thunberg 。今、心の中で応援している10代です。世界を変えようと声を上げ、行動しているのは10代や20代の若い人々。彼らの勇敢な行動力に未来の希望を見る思いがする。

 

友人ファミリーがホテルニューグランドに宿泊しているというので、急遽、夕食をご一緒することに。

昼の開放感とはまた一味違う趣があります。

噴水にこんな像があったなんて、昼間には気がつかなかった(どこを見てたんだ)……。

氷川丸も夜には別の印象。


 

 

週刊ポストの「断韓」見出しが話題になっていた。教え子に韓国からの留学生が大勢いるが、みな素直で日本が大好きで(だから留学してきた)勉強熱心、人懐こくてとても良い子たちだ。彼らがこういう文字を電車のなかで見たらと思うと、やるせなく、泣きたくなった。

一方、小学館は巨大な企業で、私が仕事上のお付き合いのある小学館の社員の方々はそれぞれ誠実に向き合ってくれ、充実した仕事の成果を上げるために最大限の努力を惜しまないでいてくれる。良心的で倫理感もあるリベラルな彼らが、自社の暴挙とそれにともなう自社バッシングにどれだけ心を痛めているかと想像すると、これもまたつらくなる。

目の前にいる生きた人を見ず、国や所属団体という塊でくくって差別したり憎んだりしてしまうことの恐ろしさを思った日でもあった。

 

母国への罵詈雑言に耐えている韓国の留学生のみなさん、自社への非難を耐え忍んでいるリベラルな小学館社員のみなさん、がんばれ。

ボリス・ジョンソンが英首相になって、大方の新聞はジェットコースターのようにイギリスが落下する未来しか描いていないようです。

秀逸だったのは、Hey Dude! Don’t make it bad. というタイトルをつけた大衆紙、The Sun。 (解説するのはダサイですが、Hey Judeの歌詞をもじったものですね)

BJは政治的に危険な存在かもしれないですが、ファッションを含めけっこう愛嬌もあります。笑いどころ、つっこみどころが満載。

「ガーディアン」では、胸元にわざわざ「prime minister」と書かれたジャケットを着てスコットランド訪問するBJを茶化していました。  こちら

この方の乱雑な外見は、イギリス上流階級の伝統にあるものなのですね。Choreographed British Scruffiness と表現していたFTの記事がありましたが(振付ずみの英国的ボサボサ、というニュアンス)。銀行にお金を借りに行く必要がない、就職の面接をする必要がない、という特権を誇るボサボサぶりですね。ツイードにひじあてをして、ぼろぼろになっても古い服を着ているカントリージェンツの意識とどこか通じているかもしれません。

さて。先日富山で収録したラジオ番組は、本日15時~ 小林淳子アナウンサーの「でるラジ」で放送されたそうです。「なぜヒールを履くのか」とか「クールビズで気をつけたいこと」などなど服飾史のつれづれなる話をしつつ新刊のお話なども。お聞きくださいました方、ありがとうございました。

悲しい、悔しいという感情すら押しつぶされるほどの、恐ろしさと絶望と怒りに襲われます。京都アニメーションの放火殺人で30名を超える方が亡くなり、多くの方々が負傷に苦しんでいると報じられています。なんと凄惨な、救いのない事件なのか。

京都アニメーションが世に出した多くの作品は世界中の人々の心を豊かに、幸せにしている。アニメ好きの息子たちもどれほど多くの豊かさや楽しさを与えていただいたことか。感謝してもしきれない。命を削るように作品を生み出してきた才能あるクリエーターの方々が、こんな逆恨みのようなテロで人生を終えなければならないなんて不条理すぎる。あんまりだ。「国宝」の焼失を嘆く声もあって、たしかに文化的な喪失もはかりしれないのだと思うけれど、それ以前に、これほどの非道なやり方で多くの命を奪う行為に走らせる殺伐とした憎しみが日本に生まれていることに、底知れない恐怖と、やり場のない怒りをおぼえる。

犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます……そんなことばも上滑りするほどショックで、むしろ生き還ってほしい。こんなひどい仕打ちで大切なご家族を突然奪われた方々の絶望もいかほどだろうか。悲しすぎる。

アメリカではドナルド・トランプが大統領自ら「そんなにアメリカが嫌いなら元いた国へ帰れ」と排他的なツイートを繰り返したあげく、トランプの演説時には背後にいる支持者が「Send her back!」(国へ返せ!)の大合唱。それを是認する(12秒間沈黙して、合唱するままにさせておくというのは、どう見ても是認だろう)大統領。大統領だよ? アメリカの歴史においてこんな信じられない光景が現出するとは…。これほどの排斥主義は1930年代のヒトラーを想起させて空恐ろしい。アメリカがんばれ、トランプの暴走を止めてください。

世界の多くで政治がとてつもない勢いで壊れており、その影響をもろに受けて人々の間で憎しみが蔓延している。よいわけがない。憎しみは破壊と分断しか生まない。やがて世界を壊し、憎んだ本人に報いが返ってくる。自分一人で何ができるというわけではなく、無力感に襲われるばかりだが、せめて愛と寛容の側に立ち、その支援者・発信者であり続ける。

「ロイヤルスタイル」に関し、その後もウェブサイト、インスタ、ブログ、メッセージなどで嬉しいご感想を頂戴しております。

日頃、褒められることもないし、12年間の集大成の本を出した直後ぐらい、レビューを集めさせていただいてもご寛恕いただけるかなということで、以下、ご紹介させていただきます。

これから何の先入観もなく読みたい、と思ってくださっている方、拙著のレビューなどに関心のないは、どうぞ本欄スルーしてくださいね。よい週末を?

☆静岡のジャックノザワヤさんは、註にいたるすみずみまで丁寧にお読みくださったうえ、このような読後感想をブログでアップしてくださいました。全文はこちらです。

以下、抜粋です。

「学者でもなく、ジャーナリストでもなく」という立ち位置は、まさに私が「既成の枠」にはまることを拒絶して開拓してきた道でもあり、それを指摘してくださったことは感無量です。ノザワヤさんからは、称賛だけではなく、専門的な用語の正しい表記法に関してもいくつかご指摘をいただきました。「重版」をめざし、その際に改訂表記を反映できるよう、全力を尽くします。心より感謝申し上げます。

☆The Rake Japan でもご紹介いただきました。こちらです。

☆綿谷寛・画伯のインスタグラムでご紹介いただきました。

「服装だけに終始した薄っぺらなお洒落指南書でもない。かといって小難しくて退屈な英国王室研究書でもない。人間愛に溢れたエッセイスト中野香織さんらしい、ちょっとためになる(スタイルについて考えさせられる)エンターテイメント」 ←このまま帯のコピーにしたいくらいのありがたさです。

☆batak社長の中寺広吉さんより、読後のコメントを頂戴しました。ご了解を得て、一部抜粋して紹介します。

「生々しくならない程度のリアルさ」というのはまさに目指したところなので、伝わったことがわかり、嬉しかったです。超多忙な日々の合間の貴重な休日にいち早く読んでくださいました。感謝。

みなさま、ほんとうにありがとうございます。