エスパシオ ナゴヤキャッスルで開催された「あいちテキスタイルフェスティバル2026」、実に大勢の方にお運びいただき、大盛況のうちに終了いたしました。
愛知県知事、一宮市長はじめ、そうそうたる方々もご参加くださっており、「テキスタイルの愛知」に賭ける意気込みがアツく伝わってきました。
尾州は、イタリアのビエラ、イギリスのハダ―スフィールドと並ぶ世界三大テキスタイル産地のひとつです。
底力がすさまじいのに実は日本人が一番知らなかったりします。
matohu、somartaという日本が誇るブランドのデザイナーによる三河木綿と尾州ウールを使った新作のショーもすばらしかったです。

デザイナー直々の解説つき。左からmatohuの関口さん、堀畑さん、somartaの広川さん、そしてMCの干場さん。
三河木綿×matohu. matohuらしい、環境にとけこむやさしさとやわらかさにあふれています。

尾州ウール×somarta. きらきらと繊維が光るキモノコートがスタイリッシュ。

私は第4部の尾州ウールに関するトークショーに登壇し、ラグジュアリー文化という観点から尾州ウールの強みと未来についてコメントいたしました。
・イタリアの艶と発色のよさ、イギリスのハリとドライタッチに対し、尾州ウールはソフトからハードにいたる全てのレンジが設計可能で、繊細な風合い調整に長けるため、ラグジュアリーメゾンの細かなオーダーに対応できる力があるということ。そのため、海外の名だたるメゾンに実に多くの生地を提供している(2023年以前では守秘義務あり、下請け扱い)
・ラグジュアリー文化の変化という観点からは、最近では「だれが、どこで、どのような風土のもとで作ったのか」というテリトーリオのストーリーが強く求められており(それが透明性につながる)、長い織物文化の歴史を1000年以上もち、プロフェッショナルな分業体制が整う尾州はその文脈にかなっているということ。
・若い世代の反応に感じる点としては、尾州ロリータに代表されるように、「教科書の中に出てくる名産地」ではなく、自分たちの感性でアップデートして自由に遊んでいるという点に大きな希望を見出しているということ。作り手の方も、スーツ用の生地が意外な使われ方をすることで、これまで見えなかった生地の特性を逆に学んでいるなど、双方向に良い影響がみられるのも嬉しい。
・尾州が未来に残るために必要なこととしては、ラグジュアリーブランドと対等に組むポジション取りが必須であるということ。LVMH会長のアルノー氏が2023年に来日し、約束して以来、もう産地を隠す必要はなくなっています。尾州のストーリーを前景に出し、ブランドの世界観を底上げするパートナーとして企画段階から入り込むことが未来に残る産地になるための条件です。
というようなことを全体の流れのなかで話しました
産地全体が雇用と税収を生み、シビックプライドを育てる産業文化として設計し直すことが、尾州が生きた産地として未来に残るために決定的に重要だと思います。
今後とも応援していきます。

MCの干場義雅さん、ともに登壇した国島社長の伊藤核太郎さんと。私が着用しているスーツの生地は国島のシルク混のウールで、カーディガンのように軽く着ています。仕立ては廣川輝雄さんで、裏地にはきものの裾の「八掛け」という手法があしらわれています。日本の伝統はこうしてスーツを通して継承していくことも可能、という廣川さんの素晴らしいアイディア(壇上で披露させていただきました)。ブルーのオッドベストとタイは、豊橋のSyuhariさん。
この日、予想外のできごとで嬉しかったのは、「わたのまち、応答セヨ」の岩間監督とお目にかかったこと。監督が私のコメントで力づけられ、背中を押された、とおっしゃってくださってくださり、今日は私に会ってお礼を言うことが目的だった、とまで。映画によって励まされたのは私でしたが、言葉によって翻って監督に力を与えることができたらなら、本当に良い仕事をさせていただいたことになります。こういう人との関係を大切にする監督だからこそ、あの傑作が生みだされたのだと改めて実感しました。
この映画、最後に深い本物の感動が待っています。機会を見つけてぜひ、ご覧ください。

多くの出会いと発見と感動にあふれた豊かな時間でした。実行委員会、スタッフのみなさま、ご来場のみなさまに深く感謝いたします。

この日はバレンタインデーだったことも忘れていましたが、恒例の、愛弟子さんからの薔薇が届いていました。忘れずに毎年、お贈りいただくのは本当に嬉しくありがたいことです🌹
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