
Not to cover. To reveal meaning. That is apparel. 「覆うためではなく、意味をあらわすため。それが装いだ」
『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』本日、発売です。
ご協力を賜りました方々に、あらためて、厚くお礼を申し上げます。
各章扉につく格言(英語・日本語)も、著者の私が作成いたしました。先人の名言をもっともらしく引用するのはもう十分、やりつくされた感もあります。自分が新しく言葉を作ってもよいのではないかと思い、挑戦しています。
西洋と日本、ハイブランドから日本の先駆者、裏原から伝統工芸まで、100人の変革者を通してアパレルの今を概観しました。
初版にあった口絵の年表をはずし、代わりに、LVMH、ケリング、リシュモン、それぞれの傘下にある全ブランドを一覧にしました。エルメスの家系図もつけております。巻末には日本のファッションブランド一覧をつけました。参考文献、参考映画一覧も整え、全494頁です。
“The…

十三夜の不完全な美 銀座・和光 展示会
銀座・和光2025秋冬展示会。
時計、宝飾、皮革製品、ファッション、スイーツ、伝統工芸まで、日本の職人が創り上げたユニークなストーリーをもつ品々。
「日本文化の発信」を明確に掲げ、文化イベントも多々企画しています。
ジュエリーのモチーフにはとりわけ日本の洗練された思想を感じさせるものが多く、たとえば「十三夜」と名付けられたジュエリーは、少し円が欠けた月の形。しぶい…。
ルームフレグランスも「墨の香り」など、なかなか斬新な日本的発想を感じさせるものがあり、多々刺激を受けました。
和光は、モノを超えて、物語を手渡す場所。「和の光を未来へ」とつなぐ銀座の灯台のような。
WAKO…

ラグジュアリーの価値観をアップデート MEN’S EX 2025 SUMMER ISSUE
Men's EX 2025年夏号は、ラグジュアリーライフ特集。マテリアリスティックな話が多い誌面ではありますが、そのなかで「ラグジュアリーの価値観をアップデートする」というテーマで取材を受けました。ラグジュアリーの歴史の概要から最新のトレンドまで。大雑把な年表つきです。ラグジュアリー文化を考える糸口になれば幸いです。
The…

ケリングCEO交代
日曜の夜にフィガロ紙がさらっと第一報を報じました。ケリングがルカ・デメオ氏を新CEOに起用するようです。自動車業界出身という異色の人選ながら、デメオ氏はフィアットや…

ブルネロ クチネリ2025秋冬 「直感と理性」
前半はまるで文学部の講義のような展示会でした。2025年秋冬のブルネロ クチネリ・ウィメンズコレクションのテーマは「直感と理性」。
単なる抽象概念にとどまらず、それを表現するビジュアルとして「乗馬」と「英国モチーフ」へと昇華されていました。
乗馬の世界を思わせるテーラリングやカシミアケーブルのジャケット、メタルボタン、しなやかなコーデュロイ、プリンス・オブ・ウェールズ・チェック(=ガレス)など。英国のカントリーと紳士文化に根ざした素材やシルエットには、18世紀にルソーが唱えた「自然に帰れ」という思想の余韻が漂っています。
しかも、すべてのモチーフが大胆にアップデートされているのです。シャイニーなプリンス・オブ・ウェールズ・チェックには心奪われました。
このコレクションは、都市の理性に対する感性の回復、つまり人間性を取り戻すためのカントリーライフ礼賛の現代的再解釈とも言えるでしょう。その思想的基盤を18世紀のルソーから抽出している、というか。
そんなコレクションに通底するのは、合理性と官能性、構築と緩やかさのバランス。厳格すぎず、甘美すぎない。自然と文化の調和を志向する美意識は、まさに「人文学的ラグジュアリー」の体現になっていました。
世界観を築くために、人文学の深みが必要とされる時代に、ブルネロ…

「レースが紡ぐ美と社会の物語」Precious.jpに転載
クワイエットラグジュアリーへの反動からでしょうか、今シーズンはレースが華やか。
手間暇がかかり、高い技術を要する稀少品であったこともあり レースはラグジュアリーの象徴でもありました。それゆえに、階級とラグジュアリーが結びついていた時代には…

千總「絵と着物」日経ウェブ版に公開されました
Nikkei The STYLE 掲載の千總に取材した記事が、ウェブ版に公開されました。
会員登録なしで全文お読みになれます。
江戸幕府による贅沢禁止令で華やかな刺繍が禁じられ、 「…

『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』(日本実業出版社)
新刊『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』の見本が届きました。質・量ともにオリジナル版から大幅にパワーアップいたしました。社会にインパクトを与えたクリエイター、経営者、ディレクター、エディター、学芸員まで、西洋と日本を広くカバーしています。変革者の情熱と功績に焦点を当てながらファッションの推移をたどる、類のないファッションの近現代史です。
ご協力を賜りました多くの方々に、厚くお礼を申し上げます。
The…

S. S. Columbia in Disney Sea
ディズニーとのささやかなコラボ仕事が決まったどさくさにまぎれ、
ディズニーシーの中の数少ないおとなのスペース、SSコロンビア号の中のラウンジでプチお祝い会をしてい…

戦争、格差、分断のもとでのラグジュアリーとは
戦火のもとで、刺繍は希望と人間性の証となる。
ガザの女性たちが難民キャンプで縫い上げたパレスチナ刺繍と日本の帯が出会い、 紡がれた、新たな美とラグジュアリーの形。
「溺れている人に、国籍を問うか?」この言葉がずっと重く心にのしかかると同時に、かすかな希望にもなっています。
戦争、格差、分断の時代におけるラグジュアリーの意味とは。
日経新聞連載「ラグジュアリー・ルネサンス」第3回は「戦火のもとでの美と共創 海超えた刺繍と帯の融合」です。
中央の女性が掲げているのは、ガザの避難所のなかで作られたばかりの刺繍。
English…

派手婚、地味婚、ナシ婚
明治神宮大全に収録予定の「婚礼のモード」のための研究メモその2です。石井研士先生『平成以後の結婚式の併用と儀礼文化の現在』を関連事項に絞って要約。
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神前結婚式からチャペルウェディングへ
明治神宮大全に寄稿するための「婚礼のモード」をテーマにしたエッセイに、目下、鋭意取り組んでいます。大量の文献を読みこんでいるのですが、そのいくつかの要約を備忘録として残しておきます。以下は、國學院大學神道文化学部教授…

雅耀会 立川裕大さん講演@帝国ホテル
雅耀会第3回、立川裕大さんをお迎えした会、「伝統工芸の未来への糸口 ミドルウェアという立場からの実践」が盛況のうちに終了しました。
経産省、メディア、大手ラグジュアリーコングロマリット、クリエーター、ジャーナリスト、伝統工芸従事者、ブランディング専門家、大手百貨店など多様な業界において最前線で活躍する方々が参加され、ご参加者の一人の言葉をお借りすると「エネルギーの強い時間」を共有させていただきました。パッションあふれる立川さんのお話そのものにも引き込まれたのですが、質疑もまた発見の連続で、濃厚な時間を過ごさせていただきました。
長年にわたり日本の伝統工芸技術をラグジュアリー領域で通用する製品、ホテル、インテリア、空間デザインに応用してきた立川さんの目から見た、日本の伝統工芸を巡る現状と、そこに潜む課題や未来の可能性。なかでももっとも重要と思ったことに関しては、後日、記事化します。
帝国ホテルのスタッフにもきめ細やかに場を整えていただきました。
立川さん、主催者、ご参加の皆様に心より感謝いたします。(今回は序と結びを中心とするコメンテーターを務めさせていただきました)
The…

「着物と絵の深い関係」Nikkei The STYLEに寄稿しました
6月1日(日)付け日本経済新聞The STYLEで、千總×加藤泉「絵と着物」を展開する千總の礒本延社長にインタビューした記事を書いています。
京友禅のはじまりが、贅沢禁止令…

Takashimaya Salon 6月号 香水インタビューを受けました
タカシマヤカード顧客様限定マガジンだそうで恐縮なのですが、Takashimaya Salon 6月号香水特集でインタビューを受けた記事が掲載されています。
香水との思い出や使い方などに…

日本でラグジュアリービジネスが育たない理由(のひとつ)
「自己犠牲の美徳」か「自己価値の尊重」か。
日本において、ラグジュアリービジネスは育ちにくい、と言われてきた。単なる経済規模や購買力の問題ではない。根底にあるの…

LED技術を伊勢型紙に応用した「灯」の記事、ウェブ公開されました
「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」、半導体業界から伝統工芸の世界へと転身した高橋完治さんに取材した記事が、ウェブ版でも公開されました。
第二の人生の生…

贈り物の緊張
贈り物の季節になると、思い出す光景がある。
ある日、訪問先の企業で、応接室の片隅の棚に「〇〇さんより」「△△社長から」と付箋の張られた手土産がずらりと並んでい…

「ラグジュアリーの優勝劣敗を分けたもの」コメント協力しました
NewsPicks冨岡記者から取材を受けて「バブル終焉、ラグジュアリーの優勝劣敗を分けたもの」という記事にご協力させていただきました。最後の方にコメントが引用されています。
少しだけ補足するならば、エルメスにおいて一部のバッグを手に入れることは「特別な体験」を超えてもはや神話化しており、稀少性から二次流通でも高価格を維持しています。このように供給を絞る戦略と一貫したブランドイメージのコントロールを徹底し続けていることが、時代を超えるラグジュアリーブランドとして不動の地位を保っていけるシンプルな秘訣でしょうか。
ラグジュアリー領域で強みを発揮するには、大胆なプロモーションよりも「いかに顧客がブランドを体感し、敬愛し、長く愛着を持ってくれるか」を重視する姿勢が、継続的な信頼を築きます。
ほんとに蛇足もいいところですが、長期戦を闘うラグジュアリーブランドのあり方を研究するというのは、人の生き方を考えることにもつながります。各ラグジュアリーブランドの浮沈を観察することで、変わり続ける世界にあって、ブランドの世界観と伝統を損なわずにどれだけインテグリティを保ち続けられるかが長いスパンで見て勝負の分かれ目になるという教訓を、(人のあり方として)学ぶこともできるかと思います。
平たく言うと
・安売りするな
・時代にも客にも媚びるな
・時代がどうあれ、一貫性を保つべきところは誠実に保ち続けよ
・(精神の)自主独立を保て
・唯一無二のレアカードになれ
・高品質を極めることができる構造(日常)を作れ
・大声でPRするな
こういうことをエルメスを筆頭とする強いブランドの長期的強さから教訓として抽出できます。もちろん、理想実現にはハードルが高いのですが、心にいちおう、指針をもっているだけで、日々の選択や行動に違いが生まれてきます(たぶん)。
Don't…

「スーツの歴史」「世界のスーツ」解説
KASHIYAMAさんの動画サイトBE SUITS! 内の「服学」講師としてお招きいただき、「スーツの歴史」「世界のスーツ」について解説しました。
写真は撮影前に現場を調整するスタッフ…