「三体II」下巻も読了。スケールがけた違いのスペースオペラがこれでもかというくらいに展開して、大胆な想像力に圧倒される。SFだけど自分の物語として読める理由は、戦いが起きる原因として普遍的な人間の心のひだが描かれ続けること。三体人との対決を通して描かれるのは人間世界の残酷(と小さな希望)かもしれない。
「歳月に文明を与えよ。時間に命を与えよ」。
このフレーズが出てきたとき、「ゴドーを待ちながら」を思い出した。邂逅、あるいは絶望的対決を待つ間の時間をどう過ごすのか。大切なことはその待ち時間に起きるということ。この壮大な三部作も三体人との対決を待つ間に起きる物語である。
「黒暗森林」というタイトルの意味の本当の意味がわかったとき、足をすくいとられるような思いがした。
さらに続編があるそうなので、こちらも「待つ」ことにしよう。
〇横浜市中区をほぼ初めて歩き通して見て、予想以上に美しい歴史的建造物の数々に遭遇。3週間ほど前のことですが、歩きながら撮影した写真をのこのことアップしてみます。解説なしで失礼します。公の建物が多いですが、気になる建物があったら適宜、画像検索などで調べてみてくださいね。
実はこの日、朝おそろしく早く出て、中華街で朝食でした。同行者の絶対的な推薦により「馬さんの店」で朝がゆ。
感動的なくらい美味しくて、価格もリーズナブル。あまり日頃足を踏み入れない雰囲気の店でしたが、ごめんなさい、偏見でした、お味はすばらしかったです!! 小籠包も絶品。また食べに行きます。
一方、期待十分で行ったのに「???」で終わったのが、新しくできたハイアット系のホテルのランチ。
お料理もプレゼンテーションも食器類もすべてが10年以上前のトレンド?という印象でハイアットクオリティには届いていないのでは。いったいどうしたのかといぶかっていたら、どうやらオペレーションが異なる会社であるらしい。ブランド名を守るためにもここはもうひとがんばり、ハイアットのエッセンスをまぎれもなく入れることが大切なのではないでしょうか。まだまだこれからのホテルなので、今後に期待いたします。
長い間、積読状態でしたが、読み始めたら一気に読了。黒木亮『アパレル興亡』。
小説の体裁をとっていますが、戦中から現在までの日本のアパレルビジネスの歴史が綿密に取材されており、アパレルビジネスの興亡を通して日本社会の推移も描かれる。これだけの取材するのはどれだけ大変か、痛いほどわかるだけにリスペクトしかない。ドキュメンタリーでなく、小説だからこそ描ける世界もありますね。虚実皮膜の間に立ちのぼってくる、本質をつかんだ絵。これが脳内に描ける。
私自身、日本の百貨店ビジネスや「営業系・体育会系アパレル企業」のことをほとんど知らなかった。なじみのない日本アパレルの業界用語がいろいろ出てきて、すっかり勉強になった。こうした男ばかりの暴力体質の企業が日本の経済成長を支えてきたのかもしれないですね。分厚さにひるんでいたけど、読み終えるまでだれることなく、スリリングな学びの体験ができた。テキストにして経済小説。黒木さんの力量に感動。
“Wild waves rise and fall when they arrive. And that’s what makes the calm sea alive” (By
〇デジタル版となったパリコレクションとミラノコレクション。
全部観られるのはよいけれど、結局は動画にどれだけお金をかけられるかの問題?とも。ブランドの世界観を表そうとして「夢」(悪夢含む)のような映像になったり、アニメだったり、ドラマのオープニング風だったり、香水のコマーシャル風だったり。アトリエの裏を見せるなどドキュメンタリー風味もあったり、玉石混交だったのはやはり第一回だから当然といえば当然ですね。気になったのは日本ブランドの多さで、数えて見たら11もパリコレメンズに進出していた。
フミトガンリュウ
イッセイミヤケ
ヨウジヤマモト
オーラリー
カラー
ミハラヤスヒロ
ファセッタズム
ヨシオクボ
ダブレット
サルバム
ホワイトマウンテニアリング
デジタル版となって進出しやすくなったため? 以前から日本の参加は増えていたという話は聞くけれど、いつのまに。中国、韓国のブランドも進出しており、たしかにかつての敷居の高いヨーロッパのコレクションというイメージはなくなっている。
時代の変化の渦中だからこそチャンスでもある。日本のクリエイターのますますの活躍を楽しみにしています。
〇2年ほど前に大ヒットした「カメラを止めるな!」。Netflixに入っていたのでようやく鑑賞。後半、爆笑のち感動。悲劇でもロングショットで見ると喜劇になる、ということばを思い出した。
“Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.” (By Charlie Chaplin)
日本発メンズブランドのFORTUNA Tokyoが、抗ウィルス抗菌加工Tシャツの予約販売を始めました。
抗菌Tシャツは3種類のデザインを4色で展開。TioTio®PREMIUMの抗ウィルス加工が施されています。
「Keep Fighting」。江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の鳳凰図があしらわれています。吉兆をあらわす神獣の下に、コロナ禍に立ち向かうあなたを鼓舞するメッセージ。
「Never give up」。ブラック、ブルー、リネンの3色で展開。サー・ウィンストン・チャーチルのかの名演説、”Never, Never, Never Give Up.”をデザイン化。コロナ禍にある現代にも共鳴するメッセージです。右下にちょこっと描かれたチャーチルの横顔が効いてます。チャーチルファンへのプレゼントにもよさそう。
「Return Alive」。降下する5つのパラシュートで、危機からの脱出と生還を表現。新天地への着地から、新たな希望が芽生えますように。
■「消臭」・「防汚」・「抗菌」効果
抗ウイルス加工には、特定のウイルスに対して有効な試験データを示したハイブリッド触媒®溶剤を使用しているとのこと。この加工剤は一般社団法人 繊維評価技術協議会が効果・耐久性・安全性を審査し、基準を満たしたものとして認証されているそうです。
抗ウイルス性のほかに、消臭・防汚・抗菌効果が認められています。触媒は常温で蒸発したり溶出したりしないので、繰り返し洗濯しても効果が長期間持続。
(「TioTio®」、「ハイブリッド触媒®」は、株式会社サンワード商会の登録商標)
まだまだ先の見えないコロナとの闘いが続きそうな時代、抗ウィルスの繊維はますます増えていくと予想されます。
■健闘する日本発ブランド、応援したいですね。FORTUNA Tokyoの設立者は、村井亮さんです。オンラインショップでは、西陣織のネクタイやお洒落なマスク、扇子なども展開しています。
詳細はこちら。FORTUNA Tokyo 公式HP https://fortunatokyo.com
FORTUNA Tokyo 公式オンラインショップ https://shop.fortunatokyo.com
「mid90sミッドナインティーズ」試写。
製作はA24、あの「ミッドサマー」を製作した会社です。監督・脚本はジョナ・ヒル。
90年代半ばのロサンゼルスが舞台。シングルマザーの母と兄と暮らす13歳の少年が、スケボーを通して仲間と出会い、青春時代に経験するあれやこれやを経て成長していく過程を描く、ある意味では普遍的な青春映画。
90年代の音楽、ファッション、スケボー文化が甘酸っぱく広がる。派手な演出は一切ないのですが、あとからシーンの断片がフラッシュバックしてじわじわきます。
多少、きわどくても、ある程度、冒険的な経験の数々を若者に許した方がいいのでは、と思う。今の日本は幼いころからあまりにも逸脱不可になっていて、それが若者の生きづらさ、息苦しさを増やす原因になっているのではないかと思う。みんな、もっと若い人に鷹揚になろうよ。ツーブロックぐらい、冒険にすらならないのに、なんですかこの国の窮屈すぎる理不尽な厳しさは。
なーんてことまで考えさせられる映画でした。スケボーシーンは見ているだけで快感です。
「mid90s ミッドナインティーズ」
9月4日(金) 新宿ピカデリー、渋谷ホワイトシネクイントほか全国ロードショー
© 2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
婦人画報.jp のフォーマル連載Vol. 9は、元オリンピック水泳選手でもあるモナコのシャルレーヌ妃のフォーマルスタイルです。こちら。
星5段階でフォーマル度を格付けしてみました。
トップの写真、右から2番め。アクリスの幾何学フォーマル、こう着るのか、としびれました。
前回のロイヤルアスコットに続き、今回のオリンピックがらみ。「本来ならば~~の時期だったのに」シリーズになりつつあります。リアルなフォーマルイベントが再開されるのはいつのことになるのやら…。
婦人画報8月号に寄稿した記事が、ウェブに転載されました。こちらです。
それにしても、本誌の発売が1日で、15日にウェブ転載。こんなに早くウェブに転載してしまったら紙の雑誌の価値がますます薄れていくのではないか……。しかもウェブ版のほうが資料の文字がくっきりはっきり見える。複雑な気分ですが。
本誌には本誌の統合感があり、それはそれで価値が高いのです(と思いたい)。
品川プリンスホテルの「ハプナ」が大きく生まれ変わります。
1994年のオープン以来、累計2000万人を導入してきたブッフェレストランでしたが、コロナの影響でブッフェは難しくなりました。ブッフェに代わるエンターテイメント要素を取り入れた新しいダイニング・エクスペリエンスとして、香港の飲茶にヒントを得た、ワゴン形式のダイニングとなります。
インテリアもぐっと高級感が増し、座席間のゆとりも広がり、リュクスな空間となりました。
プリンス・セイフティ・コミットメント(安全宣言)に則り、徹底した衛生、安全管理が行われております。
この日はメディアお披露目会でした。テレビは全局参加。ブッフェに代わる新しいスタイルはどのホテルも模索中であることでしょう。ニューノーマルの時代に入ってプリンスが先鞭をつけたこのスタイルは、ブッフェに代わる最善の方法として一つの参考例になりますね。
プリンスホテル東京シティエリア統括総支配人の武井久昌さんによる挨拶。挨拶に続き、華やかな音楽にのってワゴンが続々登場。
現在、ハワイアンフェア開催中につき、ムームーやアロハを着ているスタッフが多いです。
球場風な生ビールデリバリー。
運ばれてくる料理によって衣裳が違うのも楽しい。飲茶を運ぶスタッフはチャイナドレス。
和食は着物、とワゴンのジャンルが一目でわかるコスチュームを着用しています。
カニを運ぶスタッフはカニのカチューシャ。
シェフのスペシャル料理、オマール海老のテルミドールが登場するときには「2001年宇宙の旅」に使われたことで有名な「ツァラトゥストラかく語りき」が華麗に流れ、期待も盛り上がります。
楽しい、美味しい、気分が上がる。ほんとうに素敵なレストランになりました。
エグゼクティブ シェフパティシェの内藤武志さん。スイーツだけでも16種類(すでに包装されたマカロンなどを入れるともっとあったかも)の壮観。
4月から品川プリンスホテルの総支配人となった佐々木潤さん。
品川プリンスホテル総料理長の吉田功さん(左)、ハプナ総料理長の小川守哉さん。ひとつひとつの料理が、素材を活かしてきちんと美味しく丁寧に作られており、上質な洗練を感じました。
シェフのみなさま、美味しいお料理をありがとうございました。従来のハプナよりも、雰囲気だけでなく料理の内容、サービススタイルともに格段に良くなった…というかまったく別物に生まれ変わったという印象です。
従来はファミリーが目立ちましたが、新ハプナはおひとりさまでもゆったり楽しめる、大人のエンタメレストラン。もちろんファミリーでも、ちょっと背伸びした雰囲気のなか、寛げます。遠くへ旅行することが憚られる現在ですが、天井の高~い非日常空間でしばしハワイ気分を楽しむのも悪くないですね。品川プリンスホテルじたい、ショッピングアーケード内の店舗も変わり、入り口でメルセデスベンツのショップが迎えてくれるなど、かつての喧騒のイメージから姿を変えています。
リュクスダイニング「ハプナ」、7月15日(木)17:30 オープンです。
#PrinceHotelsTokyoCityArea
#BeyondYourExpectations
〇 Men’s EXに寄稿した、名作映画と避暑地の文化のエッセイがオンラインでも読めるようになりました。こちらです。
感染を拡大させないためには脳内避暑地に遊んでいるのがいちばんよいのですけどね。感染拡大のなかのGo To キャンペーン前倒しの結果、どうなるのか。誰がその結果の責任をとるのか。相変わらず、見通し不明のまま成り行きで強行のインパール。
〇「三体」第二部の上、読了。けたはずれの想像力がこれでもかこれでもかとくる。襲来する三体人に対抗すべく地球人がとった戦略とは。その計画を、監視者に読み取られないためにとった戦略とは。スケールがいちいち並外れて大きく、しかもとてつもなく精緻なのでリアリティがある。面壁者と破壁者とか、アイディアとその呼称もいちいちユニーク。三体人との最終対決まであと400年。
政治のデタラメ、責任の押し付け合い、責任の放棄、せこい利権争い、命より経済、環境よりエゴ、国民の諦め、倫理の崩壊、不条理な差別、その結果もたらされる人災としか思えない悲劇の繰り返しを見ていると、地球人はもうダメだと思わざるをえなくなる。そんな社会のムードがますますこのSFを面白くしている。
“All men’s miseries derive from not being able to sit in a quiet room alone.” (By Blaise Pascal)
Netflixに登場していた「タクシー運転手」。2017年の映画。1980年に実際に起きた光州事件をもとにした社会派の映画。当時から名作の誉れ高く、公開時に見逃していたので視聴しました。
こんなに重たくてあたたかい号泣ものの映画だったとは。目覚めていくタクシードライバーを演じるソン・ガンホがすばらしいし、クライマックスのタクシー運転手たちの援護シーンには鳥肌が立った。大ヒットも当然の傑作。
ヒューマンストーリーとして名作ながら、同時に、今の香港に思わず重ねて見ていた。すでにじわじわと情報統制が行われ、腐敗や不公平が露骨に目に余り始めている社会に生きていれば、自分に無縁な他人事として見るわけにはいかなくなってくる。
韓国で130万部突破のベストセラーとなった「82年生まれ、キム・ジヨン」が同タイトルで映画化されました。試写を拝見しました。
誕生から学生時代、仕事、結婚、出産、再就職への挑戦……。ごく普通の女性、ジヨンがその過程で遭遇する差別や偏見、障壁の数々。向けてくる相手は往々にして無意識で、何も考えていない。でも一つ一つの「ささいな」経験を我慢してきたことが、知らず知らずのうちにジヨンの精神を壊していた。
淡々と静かな描写が続き、とりたてて「大事件」は起きない。しかし、日常に起きる一つ一つの小さなエピソードがいちいち胸をえぐる。そうだ私もそういう経験をしてきたのだ。でも「そんなものだ」と思って心に蓋をしてきた。と思っていた。でもそうではなかった。
韓国だけでなく、日本の女性も「これは私の物語」であると共感するだろう。ひとり一人が、自分のケースにあてはめて共感したり違和感を覚えたり、つまり考え始める、そんな映画。
配給:クロックワークス 10月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 (c) 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
エトロから、携帯にも便利なスプレータイプのフレグランス3種のコレクションボックスが発売されます。
エトロのオリジナルファブリックを用いた小箱に、 エトロのアイコニックな香り三種を10mL サイズのスプレーに収めた「エトロ パース・スプレー トリオ」。
新作には、人気の「シャンタン」、「ウダイプール」、「ムスク」の香りが収められています。
「シャンタン」は、イタリアンマンダリンの香りをブラックカラントの甘さとライチのフルーティなアロマで包みこんだ香り。ローズの花びらがフェミニンな印象を与えます。
「ウダイプール」は、夏の地中海とマハラジャの庭園の両方をイメージさせるフレグランス。インド産ジャスミンサンバックが、ガーデニアとロータスフラワーの官能的な香りと溶け合い、エキゾチックな印象。
「ムスク」は、タイムレスでクラシックな香り。ベルガモットやグレープフルーツのシトラスが数種類のウッドとムスクに包み込まれており、気分をリフレッシュさせてくれます。
パッケージも、エトロらしいペイズリー柄のバリエーション。ペイズリー柄は、生命力の象徴です。
エトロの香りにふれるたび、明治大学時代に講義に来てくださったメンズディレクターのキーン・エトロ氏のエネルギーと言葉を思い出して、少し力がわいてきます。「すべての善きものは、ワイルドで自由」。生命力を全肯定するところからキーン氏のクリエーションは始まります。
(2017年10月、壇上中央がキーン・エトロ氏、右がパンツェッタ・ジローラモ氏です)
エトロ パース・スプレイ トリオ2020は、7月10日(金)発売予定です。
取扱いは、主要百貨店フレグランスコーナーおよびエトロブティックにて。
*九州、岐阜、長野で水害に遭われた方々にお見舞いとお悔やみを申し上げます。「前例のない」「記録的な」という形容がつく災害が続いて、さらに週末にも大雨と予報が出ております。関東では地震も頻発しております。どうかみなさま、お気をつけてお過ごしください。
「最強のふたり」の監督、エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュが、またしても人間愛にあふれる(という表現ではとても足りない)映画を作りました。「スペシャルズ!」、試写を拝見しました。
原題は、Hors Normes . 規格外、というようなニュアンスでしょうか。社会、病院、学校からも疎外された重度の自閉症の子供たち、ドロップアウトした若者たちの面倒を見る二人の気骨ある男性を、ヴァンサン・カッセルとレダ・カデブがごくナチュラルに演じます。
実話に基づくストーリーで、監督は25年前にモデルとなった男性たちに会い、映画にすると決めていたそうです。その想いの厚みが感じられる、本物の感情が伝わってくる映画です。
登場する自閉症の子供たちも、本人(本物の自閉症)であったり、自閉症患者の兄だったり、まさに当事者で、当事者しか使わないことば、当事者しかわからない行動や反応が、生々しく描かれます。それを受け止めて、決して見放さず「なんとかする」ヴァンサン・カッセルとレダ・カデブ。
決して重たくすることなく、押し付けることもなく、誇張することもなく、彼らを聖人視することもなく、むしろ軽やかにリアルに、時にユーモラスに描く監督の視線もあたたかい。
弱者が弱者に向き合うことで互いが救われていくプロセスも心に残ります。制度からはみ出してしまう弱者を薄情に切り離していく日本社会への警告に見えたところも。少なくとも、他人ごととは思えませんでした。多くの方に見てほしい。
配給:ギャガ
公開表記:9月11日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー
© 2019 ADNP – TEN CINÉMA – GAUMONT – TF1 FILMS PRODUCTION – BELGA PRODUCTIONS – QUAD+TEN
7月21日~23日、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション主催でグローバル・メンズ・スタイルのデジタル会議が行われます。メンズファッション学もついにここまでアカデミックに。オンラインで視聴できる貴重な機会。関心の高い方、ぜひご参加を。詳細は、こちらから。
ホストは、Jay McCauley Bowstead とCharlie Athill 。Mr. Bowstead はMenswear Revolution の著者ですね。
Jun Ashida and Tae Ashida 2020-21 AW Exhibition.
デザイナーの芦田多恵さん。ジュンアシダのディレクターも兼ねています。
JAは上質なカシミアを贅沢に使った機能的で心地よさそうなアイテムを多々提案。手元のファーは取り外しができます。
こちらもJAですが、黒白ストライプのトップは、素材がユニークです。スパンコールをぎっしり縫い込んであり、触れるとスパンコールの方向が変わるので、このようなパンクな柄にもなる↓
もちろん、なでるとまた元の方向に戻ります。フォーマルドレスでこうしたパンクなアレンジができるのは楽しいですね。こういうオリジナルな素材の感触や質感は、観て触れてみてこそ面白さが実感できます。
エレガントなマスクは大人気で生産が追い付かないくらいだそうです!
TAでは、メンズのアイテムも増えてきました。「今はメンズを創るのが楽しい」と多恵さんは語ります。既存のルールや慣習にとらわれない自由な男性像が目に浮かびます。その隣には、同じ感性をもつパートナーが。やはりファッションはペアで見ると奥行きが出て面白い。
ベルトや襟が取り外し可能になっているコート。
フォーマルも素材から新しい。ブラウンというのはあまりフォーマルに使わない色なのですが、こうして生地に光沢とグラデーションを与え、相応しいオーナメントとデザイン性を加えることでブロンズの輝きを帯び、一気に洗練されて見えますね。フォーマルドレスに関しては、ほかにもため息ものの美しさで魅了してくるものがずらりとそろっていたのですが、写真でただドレスを紹介してもなかなかその迫力が伝わらないのがもどかしい。モデルがこれを着てランウェイを歩くさまを間近で見たかったなあ。でも今のこの時期はこうして展示会で間近に触れることができただけでもありがたきこと。
万全の態勢でコロナ対策をとり、こうして展示会を開いてくれたデザイナーはじめスタッフの努力にただただ頭が下がります。
人間が愛情をこめて作る美しいもの。ファッションであれ映画であれ料理であれ本であれ、美しいものに接することで心が生き返るような思いがします。
グローブトロッターがロンドンのバーリントン・アーケードに旗艦店を再オープンします。
バーリントンアーケードにまつわるストーリーはこちら。イギリスの商業史をめぐる話で勉強になります。「ビードル」という存在を初めて知りました。
「ビードル」は、数世紀前から続くバーリントン・アーケードの私的な警備員だそうです。今もリージェンシー時代風のエレガントな制服を着て任務にあたっています。私的警備員って!
調べてみたら、もとは教会の雑務をする教区の吏員のことを言うんですね。
“Character Sketches from Charles Dickens, Portrayed by Kyd” (Public Domain) 19世紀のイラスト。
21世紀のバーリントンアーケードのヘッド・ビードルであるマーク・ロード氏↓
写真はグローブ・トロッターのウェブサイトより。なるほど。21世紀のアレンジがなされた「リージェンシー風」。
ロンドンへ渡航はできるようですが、帰国したあとが隔離その他でたいへんそうで、落ち着いて旅行できるのはまだしばらく先になりそうです。しばしグローブトロッターのウェブサイトで脳内旅行を楽しみましょう。
“People may hear your words, but they feel your attitude.” (By John C. Maxwell)
愛読しているWWDジャパンに、菅付雅信さんの連載「不易と流行のあいだ」が掲載されています。
本日発行のvol.2144 に掲載されたvol.8 「ウォンツはニーズを超える(後編)」で、「モードとエロスと資本」を引用していただきました。写真つき。
光栄です。この菅付さんの連載、とても面白いので書籍化希望します。
10年前に書いた本ですが、いまだにあちこちで引用されているのがありがたいかぎりです。集英社は校閲がほんとうに細かく厳しくて、膨大な「?」をひとつひとつ調べ直していくのが大変だったのですが、その過程で新しい発見もあったし、そのおかげで本が長寿になりました。
結果と実績だけで語れるようこつこつ積み重ねます。
“A professional writer is an amateur who didn’t quit.” (By Richard Bach)
〇熊本、鹿児島の豪雨の被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。逃げられなくなるまで水嵩が増すのはほんとうにあっという間なのですね……。犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。鹿児島ではなお危険が迫っておりますが、どうかくれぐれもお気をつけください。
〇東京都知事選の結果次第では今の腐敗しきっている政治になんらかの風穴を開けられるのではと期待していた神奈川県民ですが、結果を見て、閉塞感がひときわ重たく押し寄せてきています。
〇オンライン試写でジョン・トラボルタ主演の「ファナティック」鑑賞しました。熱狂的なファンが、サインを拒まれたことを機にじわじわと恐ろしいストーカーと化していき、ついには凄絶な光景が。ジョン・トラボルタが次第にエスカレートしていく「虐げられたファン」を怪演。ファンも怖いがアーチスト側も対応に気をつけようと警告されつつ、なんとも不気味な映画。
重たく重なる雲から雨がたたきつけてくる月曜日です。災害や疫病に警戒しながら慎んで愚直に務めを果たそうと気を引き締めるにはうってつけの日。
“Life is far too important a thing ever to talk seriously about.” (by Oscar Wilde)