“Going to a party, for me, is as much a learning experience as, you know, sitting in a lecture.” (By Natalie Portman)
2015年感謝のまとめ その5、ソーシャルイベント。ただの阿呆なパーリーピーポーと言われればそれまでですが、社交は人の意外な本質を観察することができ、また自分の思わぬ面があらわれる現場に立ち会うことができる、きわめて学びの多い機会です。書物や芸術の「行間」の隠れた意味がわかるようになったのは、実地の社交の経験を積んだからこそ、というところが多々あります。またファッション史に登場するアイテムの大部分は、社交の場で着られていたもの。その場でのリアルな心身の動きを理解することで、300年前の衣裳に隠された知恵がわかるということもあります。また私の場合、次につながる仕事やご縁の多くは、出席したパーティーがきっかけになっていることが少なくありません。というわけで言い訳がましくてすみませんが、今年もさまざまなソーシャルイベントにお声掛けいただき、多くの方々と忘れがたい時間を共有できたこと、たいへんありがたいことと心より感謝しています。
ブルックス・ブラザーズのパーティーでは「ジャッキー・ケネディを連想させる」(!)という理由で女性部門の「ベストドレッサー」に選ばれ、WWDにも掲載されたのでした。笑 ジャッキーと似てるのはエラ張ってるところだろう、ということぐらいは自覚しております。
コニャックの「ルイ13世」と東京フィルのコラボイベントはこの上なくラグジュアリーなもので、その後に続く貴重なご縁が生まれたし、チャーリー・ヴァイスやイセタンメンズのパーティーはいつだって新しいファッションを目にすることができる上、おもしろい方々がいらしてなにかと盛り上がり、楽しかった。改装前のオークラで6月生まれの誕生会を開いていただいたのも印象深いし、そのメンバーで真夏に汗だくになりながら屋外バーベキューをしたあと六本木ヒルズの屋上に上って月をあおいだのも忘れがたい。教え子のOGOB(僧侶もいる)が「キリストンカフェ」に集まって花園神社に詣でに行くという神仏習合のミーティングも強烈だった。グローブ・トロッター英本国会長来日のディナーも今年のハイライトを彩るほどの……とひとつひとつ挙げたらとうてい終わりそうもないくらいたくさんの思い出がぎっしりつまっています。
なかでも異色でひときわ強烈な思い出になりそうなのが、12月最後の土曜日に中目黒のスナックで行われた綿谷画伯主催の爆笑忘年会でした。コラムニストのいであつしさん、メンズプレシャスのファッションディレクター山下英介さん、画伯のお弟子さん「セクシーまちゃ」さん、そしてなんとあの国民的イケメン有名俳優Tさんが、もったいないくらいのカラオケ熱唱合戦。あの伝説の「おしゃれ似顔絵講座」から半年、まさか再会できるとは思っていなかったので再び同席できただけで感激でしたが、全員、信じられないくらいカラオケがうますぎる、面白すぎるのです。Tさんも3曲歌ってくれましたが、ルックスの美しさは言うまでもなく、選曲のセンスはよいし、声はつややかで渋いし、最高のクリスマスプレゼントとして聞かせていただきました。不思議なのは、狭いスナックは途中からほぼ満席になったのですが、だれもTさんに気付かなかったということ。さすがに最後に山口百恵を熱唱したときには気づかれたようで、Tさんが「♪ さよならのかわりに~」と歌い終わるとスナックにいた全員が拍手喝采。天井で大きな鈴がふたつに割れて中から金銀クリスタルのオーナメントがはらはらと降り注いでくるような(あくまでイメージ)こんな瞬間、短い人生であとどのくらい味わえるんだろうか。
Tさんが歌った「さよならの向こう側」のこのフレーズをそのまま、今年会ったみなさん、そして読者のみなさまにも伝えたい。
” ♪ Thank you for your kindness. Thank you for your tenderness. Thank you for your smile, thank you for your love. Thank you for your everything ♪”
私の退職記念講義もこの歌で締めようかな。