「銀座百点」5月号 (No. 774)に寄稿しました。

銀座百店会に加入している銀座の店舗でフリーで入手できます。よろしかったら銀座にお立ちよりのついでにでも見てくださいね。

伝統あるタウン誌にお招きいただき、光栄でした。ありがとうございました。

後進の育成にも熱心で、人望も厚いテーラー、廣川輝雄さんが、日本橋蠣殻町にアトリエをオープンしました。Bespoke H & Sons.

私のメンズスタイルのスーツは廣川さんが作ってくださっております。大河ドラマ「いだてん」の衣装も制作していらっしゃるそうですよ(うちにテレビがないので見ていませんが……)。

オープニングレセプションには若いお弟子さん方はじめ、大勢の方がお祝いに駆けつけ、大盛況でした。

廣川さんはディレクターズスーツ姿で。

(後ろにはフォーマルウエア文化普及協会で一緒に顧問を務めているホテル業界誌オータパブリケイションズの太田進さんが映っています。世界は狭いですね。笑)

プリンスホテル東京シティエリア(ザ・ギャラリー、ザ・パークタワー、ザ・さくらタワー、高輪、新高輪、東京プリンス、品川プリンス)+新宿プリンス、新横浜プリンスの計9つのプリンスホテルで、スペインフェア2019が開催されます。4月26日~6月30日。ザ・プリンスパークタワー東京でレセプションが開催されました。

恒例、氷の彫刻。闘牛のモチーフですね。精巧に作られており、ほれぼれします。レセプションが終わる頃には溶け始めるというはかなさがまたよいのかもしれません。

4回目となる今回も、フェアの内容はスケールアップしています。招聘シェフは、マドリードの5つ星ホテル「エスペリア・マドリード」のミシュラン2つ星レストラン「サンセローニ」のシェフ、オスカル・ベラスコ氏。そしてバスク地方、サンセバスチャンの「ホテル マリア クリスティーナ ラグジュアリーコレクションホテル」より、ヘスス・カバジェーロ氏。両者とも、3日間限定となります。

各レストランでもスペインメニューが展開されるほか、「リヤドロ」とコラボレーションした「リヤドロラウンジ」を開催、またオリーブオイルと焼き鳥のコラボレーションなども楽しめます。小松原庸子スペイン舞踏団によるフラメンコとお酒を楽しむ夜など盛りだくさんのイベントが用意されております。詳しくは、こちらをご覧ください。

半年前に駐日スペイン大使に着任されたホルヘ・トレド氏。食を通したスペインと日本の文化の交流が盛んになっていることを強調されていました。このような形でホテルは外交や国際交流にも貢献をしているのですね。

テープカットです。右から、リヤドロ相談役(リヤドロのリブランディングを成功させた方です)にして在日スペイン商工会議所理事の麦野豪さん、シャネルジャパンの社長にして在日スペイン商工会議所のプレジデント、ギエルモ・グティエレスさん、大使のホルヘ・トレドさん、プリンスホテル東京シティエリア統括総支配人の武井久昌さんです。

小松原庸子スペイン舞踏団によるフラメンコ。

シェフパティシエ内藤武志さんによるチョコレートの彫刻。牛の上にはフラメンコダンサーが華麗に踊っています。

シェフです。右から、ザ・プリンスパークタワー東京&東京プリンスホテル総料理長の三浦健史さん、品川プリンスホテル総料理長の吉田功さん。フェアを通して各国の一流シェフと協働することも刺激になって、シティエリアの料理は着実にグレードアップし続けています。

ソムリエのみなさん。右から品川プリンスアネックスの山崎武史さん、プリンスホテル全体を統括するシェフソムリエの市村義章さん、グランドプリンス高輪の安藤祐さんです。

スタッフ集合写真です。手前のおふたりもプリンスホテルの社員ですが、この日は受付にてフラメンコの衣装を着用して迎えてくれました。私が手に持っているのはリヤドロの陶器の人形です。

大使も強調していましたが、回を重ねるごとにスペインとのつながりが密になり、また拡がりも生まれています。個人的な興味の一つは焼き鳥とオリーブオイルのマリアージュですが、これ実は自分で試してみたことあるのです。良質なオリーブオイルならどんな素材でも美味しくしてくれるということはありますが、シェフはどのようなスパイスを用いて、ほかのお料理とのバランスはどうとるのか。楽しみです。フェアの期間にぜひ訪れてみてくださいね。

日本FIT会(Fashion Institure of Technology卒業生の会)の主催でおこなわれた、Dr. Valerie Steele (The Museum at FIT Director and Chief Curator)を囲む会にお招きいただきました。

Dr. ヴァレリー・スティールは、本ブログでも何度もご紹介しておりますが、FITの名物キュレーターで著書も多い。私も20代のころから彼女の本をほぼすべて読んできました。最新刊は、みなさまのご記憶にもあるかと思いますが、「Pink」です。

そういう方のレクチャーを聴けるというのは存外の喜び。たっぷりと贅沢な写真を用いての30分のレクチャーを楽しませていただきました。

立ち姿も絵になっていた、さすがのヴァレリーさま。英語もとても聞き取りやすく、ご自分がおこなってきた仕事に対するパッションと自信が伝わってきます。こんなふうに一途にキャリアを貫くことができるなんて、とても幸運な方だなとまぶしく拝見しました。

「ゴシック」展ではこんな展示も。こちらのインスピレーションの源は、バーニーズニューヨークのウィンドウだそうです。

左からWomen’s Empowerment in Fashion 会長の尾原蓉子先生、Dr. Valerie Steele、ファッションジャーナリストの生駒芳子さんです。講演のメインテーマが最新の「Pink」展だったのでリスペクトをこめてピンクを着用。生駒さんも。笑 

すばらしい機会にお招きいただき、ありがとうございました。

アイ・コーポレーションの西村京実社長が展開する高品質のラグジュアリーソックス「イデ オム (ide homme)」のお披露目会にお招きいただきました。銀座six のオフィス棟にあるプライベート感たっぷりのラウンジにて。セキュリティーもしっかりしており、広々としてラグジュアリー感抜群の空間でした。所有するのは、海外不動産ビジネスのオープンハウスさんです。

西村社長によるアツい思いが伝わるプレゼンテーションのあと、トークショー。元アップルジャパン社長の前刀禎明(さきとうよしあき)さんと、イギリス室内管弦楽団招聘指揮者の村中大祐(むらなかだいすけ)さんによる話は、それぞれのご専門でなければうかがえないようなユニークで興味深い話でした。土地のエネルギー、現代のリーダーシップ、陰陽、感性を鍛えること、経験をひたすら蓄積するということ……。「陰」というのは隠されているということで、陽と対等であるという話はとくに面白かった。靴下という存在はまさに「陰」。

西村さんのリーダーシップが、「思わず周りの人々が助けてあげたくなるような」タイプのリーダーシップであるということも、これからのリーダーの在り方のひとつを示唆していました。写真右から西村社長、前刀さん、村中さん、司会の方。

桐箱に入り、真田紐で結ばれ、和紙に包まれたカシミアソックスは、1万円。穴が開きにくいようにするための、「靴下の下着」まである。靴下への投資価値を活かすのは、履く人の感性次第!?

なめらかな手触りのパズルに触れていた人々と、ざらついたパズルに触れていた人々では、その後の周囲への思いやりの行動が全く違っていたという実験結果にも驚きと納得。五感で心地よいと感じる時間を過ごしていると、大切に扱われていると感じ、結果、人にやさしくなれるので間接的に平和につながる。

自分に自信をもつことが感性を鍛える第一歩、自分の感覚を正直に発信することにつながるからと語る前刀さんは、実は10年以上前にご講演を聞いたことがあるのですが、当時から全然変わっていない。驚異の還暦ですね。

左からインフルエンサーの山内美恵子さん、スタイリストの森岡弘さん、中野とんで前刀さん、「ジャパニーズダンディ」プロデューサーの河合正人さん、今回のイベントをプロデュースした佐々木みみおさん。靴下から世界が広がる、学びの多いお披露目会でした。お招きありがとうございました。

ゴールデンウィークシーズンのお約束映画「名探偵コナン 紺碧の拳」。

今回はシンガポール、マリーナベイサンズを舞台に、怪盗キッド、平井アーサー、京極真が大活躍。昨年泊まったばかりの場所だったのでひときわ嬉しかったな。インフィニティプールのシーンもばっちりありましたね。

京極真、強い。かっこいい。一途。いろんなものを背負って闘う、ロマンティックな最強男子。

最後のマリーナベイサンズでのアクションシーンもタイタニックを思わせ、最高でした。これを破壊し、新しい街に……という構想は、案外、シンガポールの一部の人が心の中で思っていることなのかもしれないと憶測したりもして。

一年に一本、凝縮した作品を届け続けるって偉大だな。毎年この時期に夢中になれる映画が来るというのもありがたきこと。ラブ&リスペクト。

北日本新聞別冊「まんまる」5月号が発行されました。

連載「ファッション歳時記」第91回 「『七輪』はなぜ批判されたのか」。

アリアナの「七輪」の話題もずいぶん昔のように思えますね。今年の初めの頃の話題なのに。ついでにいえば富山トークショーも一か月前。ずいぶん昔のことのように感じられます。時のスピードは速い。

100回までのカウントダウン、あと9回。

顧問をつとめる日本フォーマルウエア文化普及協会一周年記念パーティー。六本木ミッドタウン、Nirvanaにて。

桜がまだ半分ほど残っています。Nirvanaのテラスから、刻々とライトアップされていくピンク七変化を楽しませていただきました(空気は冷たく、寒い…)。

今年は元号が変わるので皇室関連のフォーマル行事が多い。引退世代によるクルージング需要が盛り上がりを見せている。女性の管理職登用により、グローバルレベルで通用するフォーマルドレスに対する需要が高まっている。などなどの理由により、かつてないほどフォーマルウエアの市場が活況を呈しています。

カジュアル化がすすむ世の中ですが、ビジネスの現場でカジュアルであっても、きちんとしたドレスコードが定められた場でフォーマルウエアを着こなせる余裕があるといいですね(場数を踏むのが理想ですが、ドレスコードの基本的知識があるだけでも違います)。

顧問として挨拶をさせていただきました。

左はウエディング業界の重鎮、オフィスマリアージュの安部トシ子先生。(私は寒いのをがまんしておる。笑)

上は着物メンズ、下は着物ガールズと。実はかくいう私も着物の知識は皆無です。ごくまれに着る時には全面的にプロにお任せ。これから折に触れ勉強していかなくてはね。

ともあれ、一周年おめでとうございます。さらなる躍進を応援します。

奇遇なんですが、JFCAと弊社は同じ創立記念日なのです。2年目に向けていっそう気を引き締めて、一日一日を慎重に過ごしてまいります。

映画「芳華」にコメントを寄せました。

先日も書きましたが、心が洗われるような映画です。いまの中国映画の底力を見る思いがしました。「流星花園」(←いまだ余韻続く)とはまた趣きの異なる王道の青春もの。ダンスのレベルも高く、驚かされます。

たかくら新産業が、日本人の髪質や風土を前提に、ヘアケアを開発しました。発表会に伺いました。

海外ブランドのヘアケアは香りも華やかで素晴らしいものも多いのですが、水質が日本とヨーロッパではそもそも異なるので、パリで使ってよかったけれど日本で使うと「?」ということもままありますね。日本で購入できるものは、日本仕様に多少は合わせてあるとは思いますが、あくまで基準は「本国」にあり。

「余」は、日本人の髪質、風土を前提に、本来は必要のない要素を潔くそぎ落とし、天然由来の成分で作られた身体にやさしいヘアケア。

余白1はシャンプー「素髪感」。余白2はシャンプー「潤い感」。そして余韻1はトリートメント「浸透感」。

さっそくミニサンプルを使ってみました。「1」で頭皮まですっきり、「2」で扱いやすい髪になり、「3」で潤いとまとまりが完成する、という印象。「強くて早い効果ではなく、じんわり優しく」を謳っていますが、いや、一回で即効性を感じます。「すっきり」と「うるおい」の両立という難題をみごとクリアしています。香りもオーガニックなエッセンシャルオイルの香りで深呼吸したくなり、とにかくシャンプーをするのが楽しみになります。

ボトルにもストーリーがあります。恒久用ボトル「余の箱」と、詰め替え用の簡易パッケージ。ボトル「余の箱」もまた、装飾性を潔く省いています。あえて指紋などがつきやすいようにデザインされています。使い手が、空白を埋めていけるよう、経年変化を楽しめるように、という願いが込められています。

「シャンプー界の灯台をめざす」と高倉健社長。いつもそこに立ち戻れる絶対的な基準となるシャンプー、という意味だそうです。

5月25日から伊勢丹新宿店ビューティーアポセカリー、omotesando atelier、余[yo] 公式サイトで先行発売。「シャンプー難民」のみなさまは、ぜひ一度試す価値あります。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。

6日(土)付けでは、日本特有の「黒の略礼服」誕生の経緯について書いています。

貴重な資料は、カインドウエアさんがご貸与くださいました。心より感謝申し上げます。『ソシアル産業を拓く 渡辺国雄の歩んだ道』は、日本繊維新聞社編集、カインドウエア発行、非売品です。(昭和61年5月15日)

カインドウエアさんが現在、販売する略礼服。

新聞連載では字数が限られ、泣く泣く割愛した話が多くありました。もっとご紹介したいエピソードがありますが、それらは他の形で書けるよう検討中です。

銀座ミキモトホールにて、ボンボニエールの世界展が開催されています。プレビューに伺いました。

ボンボニエールとは、手のひらサイズのお菓子入れのこと。天皇の即位や皇族の成婚、誕生など、慶事の際に皇室から贈られる引き出物です。

皇位継承で新時代が始まる今だから、こんな展示もとてもタイムリーですね。

小さな「菓子入れ」ではありますが、日本の伝統文化を表現したモチーフが、高度な職人技を駆使して作られています。実に精巧で、ひとつひとつ、完璧なミニチュア世界に吸い込まれるように眺めてしまいます。

ボンボニエールはなぜ始まったのか? 1876年の廃刀令により、これまで刀剣の金属細工をおこなっていた錺職(かざりしょく)という職人が仕事を失う羽目になりました。せっかく磨き上げた匠の技を次世代に伝え、存続させていかねばならない、ということで、彼らの技術を活かし続けるためにボンボニエールが考案されたとのことです。皇室のノーブレス・オブリージュ。

上は、幸吉翁が陛下からいただいたボンボニエールだそうです。

個人的に発見があったのは「諫鼓鶏(かんこどり)」。

閑古鳥かとおもっていたら、本来は諫鼓鶏だったんですね。中国の故事に由来。尭帝(ぎょうてい)が朝廷の門前に諫鼓(太鼓)を置いて、自らの政治に誤りがある時は、人民にその太鼓を打たせて、訴えを聞こうとしたのだそうです。しかし尭帝の政治には誤りがなく、人民が打つこともなかったので、諫鼓は鳥の遊び場になってしまいましたとさ。面白い!知らなかった!

諌鼓に鶏が止まっているのは、善政により世の中がうまく治まっている天下泰平の世である証なんですって。

小さな世界に驚きがつまったボンボニエール展は、4月5日から5月10日まで。こんな貴重なコレクションを見られることは幸運で、入場無料ですし、行かない理由はないですね。銀座にお出かけの際はぜひミキモトホールへ。

夜のライトアップがさらにひときわ幻想的な高輪の日本庭園。

プリンスホテル東京シティエリアの2019年観桜会がおこなわれました。高輪の貴賓館にて。

昨年、同じ時期におこなわれたこの会では、すでに葉桜でしたが、今年はタイミングよく満開。幸運でした。

琴の生演奏で迎えられたエントランスには、恒例、氷の彫刻が。いつもながら芸術です。宴が終わる頃には溶け始めているはかない美しさは、桜と通じるところがありますね。

シティエリア統括総支配人の武井久昌さんよりごあいさつ。ロンドンや中国に進出するプリンスのお話も。今年のグローバルな躍進が楽しみです。

総料理長の高橋慶太さんからもご挨拶はじめメニューの解説。うしろに並ぶのは各ホテルの総支配人。

高橋総料理長はじめキッチンスタッフが丁寧に作り上げたお料理の数々。

貴賓館の数部屋を使い、高輪エリアのキッチンスタッフが最高のお料理を提供してくれました。

貴賓館から臨む桜も美しさ最高潮。

左は「家庭画報」の大野陽さん、右は「Men’s EX」の田上雅人さん。

せっかくの貴賓館なのでどさくさにまぎれてベストスポットで記念写真。

各ホテルの総支配人、マーケティング・広報担当者と記念写真。前列左から3人目はこの日の司会、レイチェル・チャンさんです。支配人はタキシードですがタイはピンクのバリエーション。ここには映っていませんが、マーケティング担当の男性社員はラウンジスーツにピンクのタイとチーフで華やかでした。

新年度のスタートを飾る、幸先のよい満開の桜の宴。一年前がついこの間のように思い出されます。一年は早い。倍速、三倍速……というよりもむしろ、特濃、超特濃のイメージで仕事と研究を開花させるべく、一瞬一瞬を油断せず過ごしたく思います。



昨日はコートを着ても震えるような寒さでしたが、つきぬけるような快晴。澄み切った空気のなか、満開の桜がひときわ切なく美しく見えました。

幸運なことに、日中の打合せから夜の社交まですべて高輪の日本庭園まわりでしたので、刻々と移り変わる高輪の桜を思う存分楽しみました。

というわけで、仕事の合間に撮った写真集。笑 移り変わる光の下での高輪の桜をお楽しみください。

鉄板のさくらタワーと桜。この組み合わせは最強ですね。

午後一番の光を浴びる桜から、午後6時30頃までの移り変わり。時間順に並べていますが、一切、何の加工もしていません。ライトアップのセンスもよいのです。

光の当たり方でさまざまな表情を見せてくれるので、同じ樹でも違う方向から見ると、また異なる味わいです。

「桜まつり」の灯りがつきはじめる午後6時ごろ。空のブルーと桜のピンクがぼんやりと溶け合っていくような感じがよいよね。

幽玄な印象。非日常感たっぷり。

たわわ、という言葉がでてくるほどの、たっぷりと咲き誇った花。

こういう瞬間に立ち会えるのは、ほんとうに幸運で、幸せだと思う。一期一会の桜。

外はかなり寒いですが、グランドプリンスのラウンジ「光明」からはおいしいお酒またはお茶をいただきながら、堪能できますよ。今のシーズンは大人気なので別途お席料が1000円かかりますが、庭園の手入れやライトアップの手間を考えれば、それだけの価値がある景色。

延々と飽きずに眺めては撮っております。笑 人混みが苦手な私には、桜の下で酔って騒ぐ「花見客」がいないこのような場所がほんとうにありがたいです。

深夜の桜もまたすばらしいのですが、それは次の記事にて。

昨日遭遇したインスピレーショナルなことば二つ、備忘録メモです。

まずは「コナトゥス」(conatus)。

President Online での山口周さんのインタビュー記事のなかで出会いました。

「哲学者のスピノザが、自分が本来の自分であろうとするエネルギーのことを『コナトゥス』と言っています。このコナトゥスが破壊されたり麻痺したりすると、世の中で『よい』とされているものを盲目的に信じ、うらやましがられるような人になる方向へ、自分のエネルギーが向かってしまうそうです。それは本来の自分から相当ずれたものですから、徹するためにはどうしても無理をすることになる。そうすると、日々の生活が空疎なものになっていきます」

なるほど。コナトゥス。辞書的には「自然の傾向」「事物の持つ自己持続の努力」とありますが、そういうことなのか。それが壊れ、価値基準が「世間から見たステキ」になってしまい、そこを目指そうとすると虚しさばかりが増大することになる。コナトゥスが何なのか、見極めておくことは、孤独を伴いますが、同時に心の安定ももたらしますね。

もうひとつは、consummatory。今年の東京大学総長による卒業式の式辞で出会ったことばです。

「第三はconsummatoryであることです。見田先生は、これはとても良い言葉だが適切な日本語に置き換え難いと断りを入れたうえで、instrumental すなわち『手段的』『道具的』といった認識とは反対の境地だと論じています。それは、私達が行う現在の活動について、未来の目的のための手段として捉えるのではなく、活動それ自体を楽しみ、心を躍らせるためのものと捉えるということです。語源を探っていくと、con-は『ともに』という意味であり、summateは『足し合わせる』という意味ですから、ただ一人だけで楽しむということではありません」

consummateとは辞書的には「完遂する」とか「完了する」「頂点に達する」、そこから派生して「結婚を肉体的に完遂する」という意味にもなります。

consummatoryとは 完了行動の、という形容詞。いまおこなっていることを、なにかの手段としてしょうがなくやるのではなく、その行為そのものをこの上なく完全に、目的そのものとして楽しんで(やりきる)、ということなんですね。そこに幸福のヒントがある、と。

conatusに忠実に、行動をconsummatoryに変えていきなさい、と。思えば私は天然にそういう選択をし、無自覚にそういう行動をとってきたために、社会的には苦労をする羽目になった。子供たちには「大ばかすぎる」と怒られ呆れられています。だからこういう生き方はあまり万人にはお勧めしないけどね。覚えておくと、決断・判断すべき時になんらかの助けにはなることばです。


(写真は全て一年前の千鳥が淵で撮影)

元号が変わるということで元号フィーバーのような様相を呈しておりますが、私は日頃からほぼまったく元号を使わないので(役所系の書類だけが困る)、ほとんど関心がありません。わざわざ言うほどのことでもないけどフィーバーは淡々とスルーしています。

さて、昨年の9月に日本経済新聞夕刊で書いた、女性スポーツ選手のファッションについての記事がK大学の入試問題として使われました。記事はこちらで読めます。著作権教育研究会からのご連絡。感謝。

Serena Williams

問題は「次の文章を読み、スポーツと女性差別という問題について考えるところを800字から1000字以内で答えなさい」というもの。難しいね。私が受験していたら落ちてたと思われます……? 

「モードとエロスと資本」「ダンディズムの系譜」からも過去に入試問題が出題されています。ともに作者の想像を超える出題がなされておりますが、いったん世に出た作品の解釈は読者のものでもあります。ご子息の入試対策にもぜひどうぞ。笑

Truth, honesty, empowerment – it’s what I want for myself and my readers. (By Rupi Kaur)

*アイキャッチ画像は昨年の千鳥ヶ淵の桜。今年はまだお花見に行けておらず。