先日、お伺いしたポーラ文化研究所でご恵贈いただいた本、『平成美容開花』。これが優れた平成美容史になっているのです。

コロナ禍において、研究員のみなさまが平成に出版された美容誌やファッション誌をくまなく読み込んで研究。その成果が本にデータとして反映されているとのこと。

あと50年経ったら(今も、ですがさらに)とんでもなく貴重な文化資料になっているでしょう。

コスメの空前のブームです。自分を素敵に見せるメイクの研究に余念がないのはけっこうなことですけれど、どのような時代にどんな思いをもって何を目指して自分はヘアメイクをしているのか?ということは一度考えてみても無駄ではないように思います。

それを考えるときの基準として、近過去の日本女性によるヘアメイクの闘い(!)を知るのも一興です。

瞬間風速的に「かわいい」「きれい」をめざした集合体の無意識が、時の経過で浮き彫りになる感じ。

ポーラ化粧文化研究員のみなさまによる地道なリサーチとわかりやすいアウトプット、リスペクト💙

ブルネロクチネリ2025SS。まずは香水のニュースから。

すでに発売中の2種の香水に加え、来春、6種の新たな香水が加わります。左(ベルガモット)から右(レザー)へ、色が濃くなるとともに深みと艶が増していきます。「天上への道」「夜開く夢」という詩的な名前も魅力。

クラシックな王道的なカテゴリーを網羅し、すべてにクチネリ的解釈を加えた新・王道、という印象があります。陶酔に導かれる香りです。

サロン・ド・パルファン2024。

上はイギリス発のブーディカ・ザ・ヴィクトリアス。存在感大。

ナルシソ・ロドリゲスはじめ、今年初登場の高級ブランドが多いし、クリベリ様、さとり様はじめ調香師自ら解説してくれるしで、祝祭感最大。

「パルファンSATORI」の調香師大沢さとりさんと。手前にあるのは新作の「WABISUKE」。

「メゾン・クリヴェリ」の調香師クリヴェリさんにはじかに手首に新作のおすすめ2点を重ね付けしていただきました。伊勢丹の名札にカタカナでお名前が書いてあったのがかわいい。

アンリジャックのローズ3種限定ボックスには出会いたくなかった。2023年に摘まれた薔薇のみを使ったローズの芸術的なバリエーション。「パフューム」のラストシーンを連想させる、天上の陶酔に導く香りだった。恋したものの150万て。伊勢丹では限定3箱のお取り扱い。入手できる世界の500人はお幸せですね。

パルファンサトリの待望の新作「WABISUKE」が完成、発売の運びとなりました。まずはおめでとうございます!

調香師の大沢さとりさんから直々にご紹介いただきました。フレグランスエキスパートの地引由美先生もご一緒で、「WABISUKE」に対する理解と愛情がいっそう深まりました。

WABISUKE(侘助)でイメージされているのは、「暁の茶事に宿る侘び寂びの香り」。

茶道の「暁の茶事」という特別な儀式に着想を得たそうです。

夜明け前の闇に包まれた茶室に、朝の光が差し込み始める暁の時間。床の間には一輪の侘助椿(わびすけつばき)が佇み、その足元に光が届く瞬間の静謐な緊張感。奥には墨絵。蝋燭の灯りと朝日が溶けあい、茶事が終わる。そんな情景をさとりさんは語りました。

まさにそんな情景が脳裏に浮かび上がるフレグランスです。トップノートはパチュリとダバナ(インドヨモギ)、ミドルにカモミールがきて、ラストではアンバーや墨や香木が深い余韻を残します。高貴な日本らしさの印象。

「利休が侘び茶を通じて伝えたかったことは、身分や階級にとらわれず、人は誰もが自由であるということ」とさとりさんは語ります。まさに利休は当時における「新しいラグジュアリー」を考え、表現されていたのですね。

10月22日ローンチ(10月16日伊勢丹先行発売)です。

I’m pleased to announce the launch of Parfum Satori’s highly anticipated new fragrance, “WABISUKE.” Congratulations on this achievement.

Master perfumer Satori Osawa personally introduced the fragrance, accompanied by fragrance expert Yumi Jibiki. Their insights deepened my appreciation and understanding of “WABISUKE.”

“WABISUKE” (侘助) is inspired by the “scent of wabi-sabi inherent in the dawn tea ceremony.”

Satori-san described the scene: In the pre-dawn darkness of the tea room, as morning light begins to filter in, a single wabisuke camellia stands in the alcove. The moment light touches its base creates a serene tension. An ink painting adorns the background. As candlelight merges with the morning sun, the tea ceremony concludes.

The fragrance perfectly captures this evocative scene. The top notes feature patchouli and davana, followed by chamomile in the middle, and concluding with deep lingering notes of amber, ink, and agarwood. It exudes a noble, distinctly Japanese impression.

Satori-san reflects, “Through wabi-cha, Sen no Rikyu sought to convey that all individuals are free, unrestricted by social status or class.” Indeed, Rikyu was conceptualizing and expressing a “new luxury” for his time.

SPUR 11月号「私が愛した香水物語」でインタビューを受けました。フレデリック・マルに香水を選んでいただいたときのエピソードを紹介しています。お近くにSPURがありましたらご覧ください。

 

さて、フレデリック・マルがパリ本店で顧客に香水を選ぶとき、顧客の話を聞きながらアドバイスをするので、その結果、「パリの秘密の人間関係のすべてを知っている」ことになるわけだが(まるで告解室)。フランスに奥深い香水文化が発達していることと、パリに秘密の人間関係がたくさんあることとの間には、密接な関係がある。

ヨーロッパ型ラグジュアリーの源には、語源のイメージから、「色欲(lust)」があるということを本にも書いた。ヨーロッパ、とりわけフランスは色恋沙汰には寛容である。フランスの大統領の不倫やら恋愛沙汰はプライベートの問題で仕事や人格とはまったく無関係と見られてきたし、一般人も、他人様のことをとやかくいう資格は私にもないので、という態度である。

このような、自由奔放な性愛の快楽を肯定する思想を「リベルティナージュ」という。遠くアンシャン・レジーム時代の貴族社会に根を持つこの伝統、早い話が不倫に関する寛容さが、ヨーロッパの服の色気や優雅な空気感、香水の繊細で奥深い魅力をひそかに支えている。

リベルティナージュをホメているわけではないが、その独特の秘めやかな雰囲気を理解しないと、フランスのラグジュアリーも理解できないだろう。

一方、日本は、皆様ご存じのように、リベルティナージュ一発退場である。日本という環境でヨーロッパ型ラグジュアリーを真似をしても本物感が生まれにくい理由もそこにある。

日本は日本で、自分たちの独自の快楽や文化を冷徹に見つめなおし、そこに根差すラグジュアリーを創造していきたいものです。

日本古来の知恵と世界初のiPSテクノロジーを融合させた日本発のスキンケア、TEUDU発表会が12日におこなわれました。

TEUDU=手水。

防腐剤を使わないと聞いて驚きましたが、肌の菌のバランスを最大限に整える「菌との共生」に焦点をおいた美肌スパイラルを生む環境を作ると知り、なるほど、と。

エスヴィータ代表篠崎祥子さんと研究者の継国孝司博士が10年以上かけた日本の思想と最先端テクノロジーの結晶。日本発のスキンケアはどんどん進化していますね。

 

さて。

菌を徹底的に除去するのではなく、ある程度残し、菌との共生に焦点を置いた環境を考えるという考え方。これって谷崎潤一郎のいう「なれ」ですよね。ぴかぴかに完璧に消毒しきるのではなく、むしろ手垢の照り?が残る艶をよしとする日本古来の美学。最初読んだときはぎょっとしてムリ、と思ったのですが、今回の発表会を聞いて、なるほど、汚れを落とし切らないことによる菌との共生か・・・とその思想の普遍性に感じ入ったのでした。

12日におこなわれたHAYAMA AROMANCE 発表会。ブランドを立ち上げた真海英明さんが徹底的に考え抜いたコンセプトの話、日本でもっともキャリアの長い調香師である森日南雄さんの話がリアルで興味深かった。
調香師を探していた真海さんが、日経BPに出ていた森さんを見てピンときて直に会いに行き、目を見て決めた話もヒューマンなエピソードでいいな。森さんは絵も描く。調香師は技術者というよりアーチストなんですよね…。

それにしても、というか、だからこそ、製品の「調香師の名を明かさない」のは「職人が匿名」という旧弊と根が同じでは、と感じることがある。理由はなんだろう? ブランドの世界観に奉仕するため陰の存在になっておくべきという考え方だろうか。
(HAYAMA AROMANCEはその点、調香師の名をきちんと立てていて新時代の感覚があるなと感じる)

日本の調香師界にもフランスのように「名のある」調香師がどんどんフィーチャーされていくとよいですね。

(会場になった原宿bamboo)

 

さて、香水の話題ついでに。

宮本輝『ドナウの旅人』に、「本物の香水、本物の人」に関する会話があります。

「香水って、乾いて何分かたってから役割を果たし始めるのよ」
「役割って、何の役割?」
「香水の種類によって違うと思うわ。ペーターが没頭している学問も、同じことよ。私はひとつのことに没頭して貫きとおした人は、それが決してはなやかな物でなくったって、忘れたころに匂いを放つと思うの。忘れたころに匂いを放って、人間をほっとさせたり、うっとりさせたりするのが、本物の香水よ」

ニセモノは、乾けばそれっきりというわけですね。

この道50年というような職人さんたちから放たれる人間的な「匂い」の正体もまさにこれ、と共感した一節です。

本物の香水や本物の人に接していると、自分の行動の影響を、目先の周囲の反応ではなく長期にわたるスパンで考えたいと思うようになります。

セルジュ・ルタンスの新作「La Fille Tour de Fer (鉄塔の娘)」発表会。エディション虎の門、テラススイートにて。

テラススイートのあちこちにセルジュ・ルタンスの世界観を伝えるディスプレイが飾られ、薔薇の香るおもてなしで新作香水やルタンスワールドを堪能いたしました。

広いテラスも東京のどまん中とは思えぬ、というかむしろ東京の超一等地だからこそ可能なんだろうなと思われる、静かで洗練された別世界。

「鉄塔の娘」は実は個人的にすでに今年のトップ3には入れたいと思っている香水です。

高級感と芸術感を湛えるのにすっきりと軽やかな使い心地の新感覚の薔薇(ターキッシュローズ&ブルガリアンローズ)で、比較的、万人受けするフレグランスです。

11月21日全国発売予定(一部先行発売店舗あり)。

富山・立山町のヘルジアン・ウッド。ビューティー&ウェルネスをコンセプトにしたヴィレッジです。富山駅から車で30分くらい。

周囲は昔ながらの田舎で、田舎道をドライブしていたら、さらっとさりげなくお洒落な空間が現出する面白さがあります。

富山ではタクシーがむちゃくちゃ高いので、レンタカーを借りるのがむしろ気軽にどこへでもいけるし、お勧め。辺鄙なところほどお宝豊富な富山では、公共の交通機関はあまり期待できません(そもそもバスが通ってないとか、通ってても1時間に1~2本とか)。


ラベンダー畑がよい香りを放っており、自家製アロマ抽出工房で作られたアロマ製品が充実。

クルーズ船「飛鳥II」ではここTaromaのアメニティが使われているそうです。レストランでは季節に応じて変わるハーブブレンドティーも。

8月限定のランチプレートも自然のこだわりがぎっしりつまっていました。

ほかにサウナ、スパ、宿泊施設、多目的スペースもあります。

(こちらもワンピースはユニクロ。洗濯乾燥機で雑に洗ってもまったく型崩れなしの優れもの。)

風に天然ラベンダーが香る気持ちがのびるヴィレッジです。

 

ELLA Kの新作ORCHID Kの発表会。調香師でブランド創設者のソニア・コンスタンによる解説。ソニアはジボタンのマスターパフューマーでもあり、数々のブランドの有名香水も手掛けている。受賞も多々。
深いブルーが印象的なボトルの新作はコモ湖のロマンティックな旅のイメージ。ブラックバニラオーキッドを中心にコモ湖の花々、教会のお香などを香水に封じ込めた。旅の記憶を香水に変えて永遠にするって素敵ですね。ソニア本人の装いも細部にいたるまでエレガントでした(かぶりつきの席で眼福)。
会場になったのは、できたてほやほやの渋谷サクラステージにあるハイアットハウス。グーグルマップも対応不可で炎暑の迷宮を延々と歩き抜けてたどりついたのですが中は未開(笑)のオアシスでした。外国人ファミリーが長期滞在するタイプのホテル。到着困難ゆえの(いったん場所がわかってしまえば早いのですが)静かな隠れ家感があります。
ORCHID Kは8月21日発売。

ドイツの皮膚科学者と福岡県糸島市のGST Japan 株式会社が共同開発したダーマトロジー スキンケアブランド、「ハウトシールド」発表会。「肌の盾」の意。

洗顔後、これ1本でOKというクリームは、ますます細分化が進むスキンケア市場では拍子抜けしそうですが、そもそも一般的なクリームとは構造そのものが違うとのこと。健康な肌を1枚重ねたような働きをして「楯」のように肌を育み、守ってくれるのがハウトシールドのクリームの考え方。

ファシリテーターにYukirin。代表のヤンケ清香さんのお話も興味深く、ビューティサイエンティスト岡部美代治さんの成分解説も勉強になりました。

ドイツの質実剛健と生真面目さが反映されているというイメージをうまくアピールした個性的なブランドですね。「キラキラ成分」は入ってないけれど、人類にとって普遍的に効果的な働きを精密に追求した、という姿勢が好感を持って受け入れられそう。

発酵エイジングケアFAS の10番目の新製品発表会。

Fas The Black Daily Sheet Mask.
丹後の黒米発酵エキス、山桜から生まれたポリフェノール成分
「精密発酵ナリンゲニン」、さらに屋久島産クチナシエキスなどを配合し、活性酸素を除去しながらエイジングケアをしてくれる5分間の「発酵漬け込みマスク」。

10月9日発売。

デビューしてもうすぐ一年になるFAS。開発チームの情熱もますます熱く、製品の原点に人がいる、ということを常に思いださせてくれる発表会。毎日のようにどこかで新製品が発表され、よい製品が過剰にあふれる時代だからこそ、携わる人間のぶれない意志と情熱が成否を決めるようなところもありますよね。PRの岡本さん、シロク専務の向山さん、ブランドマネージャーの井上さん、「Fermentation & Science Research Center」所長の伊達先生、そしてPRの田中さんはじめチームワークも絶妙です。

売り上げも好調でうめだ阪急でもカウンター常設とのこと。ますますの躍進を期待します。

英コッツウォルズ本社からバンフォードのインターナショナル・セールスディレクター、トニー・スタック氏来日歓迎。コッツウォルズの雰囲気に似た軽井沢のハンナフラガーデンにて。バラをメインに500種の花が咲くプライベートガーデン。近くのビルゲイツ別荘からビル邸で不要とされた土をおすそ分けいただいたそうです(縁起よい土⁈)
バラから夏の花へ移行中といった感のあるガーデンでしたが、巨大なミツバチ、蝶、鳥が飛び交うワイルドな楽園のような場所でした。
The Barnのお料理、エスティームのおもてなしも素晴らしく、AMATAオーナー美香さん(右)、美容ジャーナリスト倉田真由美さん(左)はじめゲストの皆様も素敵で学ぶこと多々。倉田さん隣はトニー・スタックさん。コッツウォルズは30年ほど前に一泊、行ったきり。再訪したい思いが湧き上がっております。

ミラー ハリスから「ストーリーズ コレクション」。発表会にお招きいただきました。ヴァルカナイズロンドンにて。

このコレクションは、物語から抜粋した一節に着想を得たフレグランスシリーズ。

オレンジの印象が強い「スフロ」は、アーネスト・ヘミングウェイの『日はまた昇る』。パリのリュクサンブール庭園での早朝の散歩の記憶を再現しているそう。朝なのにタバコとレザーの余韻が残るグルマンフローラル。

グリーンの印象を放つ「セラドン」は、曹雪芹の『紅楼夢 』。翡翠色の青磁を想起させるモス系グリーンノート。

もう一つは陰影のある華やかさが印象に残る「スケルツォ 」。
F・スコット・フィッツジェラルドの小説『夜はやさし』からインスパイアされた、1930年代のフレンチリヴィエラの再現。

言葉から立ち上がる物語の情景を想像しながら試香すると、ああ、なるほど…と納得感がある。香りと情景と言葉の複合作用。感覚が鍛えられるような体験でした。

STEMCELL & Co.株式会社の代表取締役、石川和彦さんにお招きいただき、銀座7丁目の幹細胞培養上清液エステサロン「STEMCELL & Co. GINZA」に伺い、お話を聞きました。

いまでは多くのコスメが「幹細胞」をうたい、いわばブームになっています。しかし、いったいどこの幹細胞由来なのかについてはあまり表記されていないのではないか? 先日は「リンゴ幹細胞」まで見かけました。植物ならまだよいかもしれませんが、海外ものに関しては、ドナーが誰(何)なのか、安全性をうたっていても濃度がどうなっているのか、疑念がつきまといますよね。幹細胞培養上清液の基準については、厚生労働省が定めたガイドラインや法律がない無法地帯なのだそうです。

その点、このサロンで使用する幹細胞培養上清液は、由来が確かで、全てセルプロジャパン株式会社製の上清液と保証されています。日本人ドナー、100%国内製造のヒト臍帯由来幹細胞培養上清液、100%原液! -60℃での冷凍保存が可能な医療用フリーザーで保管して、使用する直前に上清液を解凍して施術を行います。

セルプロジャパンとは、再生医療の研究の第一人者、佐俣文平氏が2019年に設立したバイオベンチャー企業です。佐俣氏は、京都大学のiPS細胞研究所(CiRA)の神経細胞研究分野の研究員。ドナーを選定する際のドナースクリーニングやドナーから提供された幹細胞に対する検査や試験を行い、抽出した培養上清液についての検査も実施。結果、世界最高クラスのクオリティの高さと安全性を備えた幹細胞培養上清液の提供が可能になっているとのこと。

なかでもさらに稀少なCPJ(コードプラセンタジャンクション)由来の幹細胞培養上清液に関しては、ステムセル社が独占販売権を持っています。

サロンはベッド1台だけのプライベート感のある部屋で、イオンクレンジングのあと、エレクトロポーションで原液を導入していきます。即効力があり、直後は内側から発光しているような肌に仕上がりますが、3日ほど経つとさらにつや感増し! 原液の威力。

最初は2週間に一度、定着したあとは1か月に1度くらいのケアが理想だそうですが、合間のためのホームケア用品もあり。

CPJ由来幹細胞培養上清液とWABARAが食用として育てたダマスクローズの100%ローズウォーターを主成分とするエッセンスと、10日間の集中美容液。このサロンのほか、セレクトショップ、リステアで限定発売されているそうです。

フランチャイズ店は表参道とモンゴルのウランバートル(!)にあるそう。モンゴルでは西洋とロシアをつなぐ貿易で富裕になった層が美容に関心高く、日本産の化粧品がとりわけ人気なんだとか。知らなかった…。

 

 

 

SPUR 8 月号発売です。

SPUR初開催のベストフレグランスアワード2024 ss (上半期)。上半期に発売された100種類くらいの香水を試香し、そのなかから部門ごとに選びいくつかについてコメントしました。

それにしても日本でもこんなに多くの香水が発売されるようになっていたのか。たったの半年間ですよ? クリスマスを控える下半期はさらに増えそうですね。

選者それぞれに基準や好みがあるので多様な製品が選ばれているのが興味深いです。

私はエルメスの「H24 エルブ ヴィーヴ」を選んだのですが、基準は「ラグジュアリー(ブランド)のあり方を示している」という点です。これは世界初の最先端テクノロジーを自然と癒合させた新時代のフレグランスでした。「シャネルNO.5」もそうでしたけど、まだだれも使っていないテクノロジーや素材や考え方をいち早くとりいれて伝統に新しい視点をもたらすという姿勢、これがラグジュアリーを謳える最低必要条件になってくると思います(十分条件ではないですが)。

長いコメントが掲載される誌面の余白がなかったので、補足しました。

 

ラグジュアリー論はさておき、やはり個人的な好みの多くはバラ系に行きつきます。現在のヘビロテは先日ご紹介したセルジュルタンスの「鉄塔の娘」。バラのインパクトを強化すべく、飲むバラ水の飲用も始めました(笑)。

アウグスティヌス・バーダーとソフィア・コッポラがコラボしたティント・リップバーム発売に際し、バーダー教授とシャルル・ロゼCEOが来日、トーク。「私のクリームを使った人はすぐわかるよ」と会場をにこにこ見渡す教授の蝶ネクタイと迫力時計がいい味を出していました。目が合いました(笑)

研究資金が必要で始めた事業が大ホームラン、多くの人を幸せにしているって幸運な科学者人生ですね。

アウグスティヌス・バーダーは、細胞の自己治癒力を促すシグナルを再建するTFC8で特許をとっています。

「停電を修理しようとしても、道具箱がないと直せないよね? TFC8は細胞を修復するための道具箱のようなもの」という「ツールボックスコンセプト」の解説がわかりやすかったです。

ティントリップはソフィア・コッポラがこの3色さえあればすべてのオケージョンに対応できると厳選した色味らしく、どれも肌なじみのよい洗練された色です。

セルジュ・ルタンスの「水」をコンセプトとするマタン・ルタンスのシリーズから「ポワン・ド・ジュール」(「目覚めのとき」)。

タイムの香りで安らぎとともに目覚める清らかなひと時をイメージしています。湿度高めの季節の朝をフレッシュで高潔な感覚に切り替えるルタンスらしい香り。日本では8月1日発売予定とのこと。
こちらは自宅に咲いたガクアジサイです。あたりの空気ををさわやかにする美徳つながりで。

セルジュ・ルタンスの新作「鉄塔の娘」。バラをフィーチャーした清々しく好感度あふれるフレグランスです。鉄塔=エッフェル塔、ですね。パリのエッフェル塔が似合う女性のイメージ。意外でしたが、長いキャリアをもつルタンスが王道的なバラを手がけるのは初とのこと。フレデリックマルの「ポートレート・オブ・ア・レディ」以来、久々にハマりそうな華やかなバラです。日本では今秋発売予定。汐留の資生堂本社でたっぷりレクチャーを受け、ひととおり試香させていただきました。ありがとうございました!

事情あって100種類超の香水を試香した。これだけの数を試香すると、数時間後に記憶に残るのは大きく分けて2パタン。

①「好感」の範囲を逸脱しすぎて「なにこれ?」レベルの強烈な個性を発揮する勇敢な香水 ②これまでのブランドのベースを踏襲しているため表層が変わっても「やはりこれ!」と安定感を与える香水

そして圧倒的に大切なのはネーミングとボトル。プラスチックの実験用品みたいなサンプルケースに入ったものを試すのと、実際のボトルを手に取って試すのとでは香りの印象が全く異なる。

そんなこんなのあらためての気づきも得ながら香水と格闘した。詳細は6月。しばらく香水つけたくない気分。

「婦人画報」5月号フレグランス特集の巻頭でインタビューを受けた記事が、ウェブ版に転載されました。こちらです。転載、早いですね…。

20年前から伊勢丹のメディアなどで香水の記事に折々、関わってきましたが、当時はまったくひっそりとしていた市場も、今は盛り上がりを見せています。日本の調香師のなかにもアーチストとして活躍する人が出てきたりして、今後ますます楽しみですね。

風が変わると、香水も変えたくなりますね。雑誌の「モテ香水」みたいな、「これをつけるとモテますよ」みたいな勧め方をされる香水はスルーでいいと思います。ほんとうにモテる人は香水なんかつけなくてもモテます。それより、香りをかいだときにふっと自分のマインドが変わり、結果、表情がやわらぐとか、ご自身の直感的な感覚を研ぎ澄まして、それを大事にするのがいいですよ。判断基準を他人にゆだねていると、ましてやマーケティングの口車に乗せられていると、いつまでたっても不安から逃れられない人生になります(自戒)。

「婦人画報」5月号発売。画報ではほぼ10年ぶりの香水特集が掲載されています。なので「再びのフレグランス道」というタイトルがついてますが、特集の巻頭でインタビューを受けました。歴史から最近の潮流まで、時代とフレグランスの関係を中心に解説しています。新しい季節の香水選びのご参考になれば幸いです。

シスレーの新製品「シスレイヤ インテグラル フレッシュ ジェル クリーム」の発表会、小笠原伯爵邸にて。
初代「シスレイヤ」が発売されたのが1999年。開発に10年以上かけられた、50以上の成分が溶け込んだ究極のエイジングケアクリームとして話題になりました。ブランド名+「ヤ」の「ヤ」は感嘆詞。それから段階的にアップグレードして今回は第三世代のジェルクリームとして4月1日に発売されます。


20世紀初頭に建てられた洋館、小笠原伯爵邸は、時を超えた美しさを保っているインテリアや庭園を誇り、シスレーのコンセプトとぴったり。

ピンクの花が咲いている木は桜ではなくアーモンドだそうです。

ご一緒したフレグランスエキスパートの地引由美さん、(株)ウエスト社長の西村京実さんとシガールームで撮影してみました。

シスレージャパン社長ジェローム・ドヴィレさんはじめマーケティング、コミュニケーションの皆様、素晴らしい発表会をありがとうございました。

19日に英国大使館で開催されたスコットランドファッションの展示会<ScotStyle : Redefining Scottish Fashion>に伺いました。スコットランド国際開発庁主催。

2010年創業のISLANDER。ハリスツイードをモチーフにしたフットウェアやアクセサリー。プライスも抑えめで「かわいい」と感じさせるたたずまい。古くからのハリスツイードのイメージを覆し、現代性を打ち出そうとしている努力を讃えたい(上から目線でスミマセン)。
スコットランド香水業界のパイオニア、ユアン・マッコールが率いる2019年設立のフレグランスブランド、Jorum Studio。赤いボトルのRose Highlandは潮風に運ばれ海岸線に吹きつけられるバラを着想源にした辛口ローズ🌹

つやつやのバッグの素材はアカシアの木。ハンドメイドで、オブジェのようですが、意外とものがたくさん入り、バッグとしての機能は十分満たせます。ブランド名はROCIO(ロシオ)。デザイナーはHamish Menziesで、2006年創業。コーディネートの主役になる迫力があります。

オーディオシステムをグラスゴーで展開するLINN。1973年創設で、優れた音質で知られます。上はストールなどではなく、下の縦長スピーカーのように、ハリスツイードのファブリックをスピーカーにカバーとしてまとわせて独自の音を楽しむシステム。

みんな大好きスコットランドと言えば、のJohnstons of Elgin.

トップの記念写真はバグパイパーのティム・二ーリー氏と大英帝国勲章MBE受勲者のDJ、ガイ・ぺリマン氏です。

ストラスベリーのバッグ他、多くのファッションブランドが出展していたのですが、すべて紹介しきれず、ご寛恕ください。

スコットランド国際開発庁のアンジェラ・コルソープさんはじめスタッフのみなさま、お招きありがとうございました。ツイードに関しては、次の記事Vol. 2で詳細を書きます。

アンチエイジングをはじめとする予防医療も、マーケティング的な意味での「ラグジュアリー領域」に含まれます。

ペニンシュラホテル4階にある9ru clinicで話題のNMN吸引療法を試す機会をいただきました。クリュと読みます。グランクリュのクリュ。

NMNはテロメアに働きかける、もともと体内にあった物質で、アンチエイジング、若返りに効果を発揮するそうです。発見したのは日本の医師。現在、「食品」扱いですが、サプリ、点滴などの形で多くのクリニックが採用していますね。こちらのクリニックは吸引という方法を考案しました。鼻から脳の視床下部にダイレクトに届き、代謝やホルモンバランスにすみやかに働きかけるとのこと。

ペニンシュラホテルの部屋の延長のような感覚の個室で30分。終了したら視界がくっきり明るく見えやすくなっていたのが驚きでした。(肌のアラなどがくっきりわかるのでショックも伴う!)

サプリなどで継続的に取り続け、ブースト的に吸引を取り入れることがお勧めだそうです。なんでもそうですが、続けることが大切ですね。お向かいには人間ドックを受けられる姉妹クリニックがあります。こちらもペニンシュラのテイストと矛盾しない雰囲気。9ruは基本、会員制ですが、インバウンドの宿泊客にも利用されているとのこと。日本の最新の予防医療を体験するプラン、なるほど!でした。「ラグジュアリー」カテゴリーのホテルが予防医療や美容皮膚科、人間ドックを併設するのがあたりまえ、という時代になりましたね。モノは要らない、健康に投資したい、という願望が見えます。

イギリスの老舗香水ブランド、クリードが日本でも8月30日より発売されます。川辺株式会社が日本国内における独占輸入販売権を取得しました。

クリードは1760年、ロンドンのテーラーがジョージ3世に香り付き革手袋を届けたことから始まっています。いま、ブランドはケリング傘下に入りました。

発表会は6月におこなわれたのですが、情報解禁を待って公開いたしました。下の写真はサラ・ロザラムCEOを囲み、ヘアサロンAMATAのオーナー、美香さん(左)と美容ジャーナリストの松本千登世さん(右)と。会場はフォーシーズンズ東京。

FASのローンチ発表会にお招きいただきました。Fermentation and Science の頭文字をとり作られたブランド名は、発酵と科学という意味。

素材(丹後の黒米)✖️酵母✖️発酵技術 の研究を3年間積み重ね、誕生したスキンケア。738種もの発酵由来成分から作られています。

発酵独特の香りがなく、アロマティックな快い香りも魅力ですが、香りのコンセプトは「晴れた日の哲学の道の6時」。ラストに残るフランキンセンスで、ああ、と納得。

発売元は株式会社シロク。あのN organic を生み出した会社です。専務取締役の向山雄登さんからイベント後にご連絡をいただきました。「実は、FASを企画してる途中で、『新ラグジュアリー』に大変インスピレーションを受けました。とくに日本のラグジュアリーとして紹介されるようなブランドになりたいと強く思いました」。感激です。よいブランドに育っていくよう、応援します。

6月に開催されたラ・コゼット・パフメでのイベントの模様が動画で公開されました。

ラ コゼット パフュメ 第56回『これまでの、そしてこれからのラグジュアリーと香水』 – YouTube

ラ・コゼット・パフメ様にお招きいただき、「これまで、そしてこれからのラグジュアリーと香水」というテーマで講演しました。主催者である地引由美さんと一緒に持っているのは、人間のための資本主義を掲げる新型ラグジュアリーの旗手、ブルネロ クチネリから2024年1月に発売される予定の香水です。貴重な現品を会のためにお貸し出しくださいましたブルネロ クチネリ ジャパンに感謝します。きめ細やかに盛り上げてくださった関係各位、ご参加のみなさま、ありがとうございました。

ラ・コゼット・パフメさんにお招きいただき、「これまで、そしてこれからの『ラグジュアリー』と香水」というタイトルで講演します。

日 時:
6月24日(土)14:00 – 16:00

会 場:
東京都港区南青山5丁目
※ 参加お申し込みを完了された後に、会場の詳細をお知らせ致します。

 

詳細とお申し込みは、ラ・コゼット・パフメのホームページからご確認くださいませ。お申し込みの際には「中野香織HPを見て」とお書き添えください。

Precious 5月号「読むフレグランス」特集巻頭で取材を受けました。コクーンフレグランスやスキンセントといった最近の香水事情についてコメントしています。とりわけ日本では香りをパーソナルテリトリーの外まで漂わせるのはNGという場面が増えていることもありますね。香りの繭(コクーン)に包まれるというイメージ。

 

ウェブ版にも転載されました。

BUNKAMURAで開催される「マリー・クワント」展。展覧会の展示パネルなどの翻訳、およびグラフィック社から発売の図録の翻訳の監修をしました。図録はマニアックで専門的な研究書です。一年がかりの大変な仕事でした。報酬的には信じがたいほど報われない仕事でしたが、マリー・クワントへのご恩返しができたかなとほっとひと段落の充実と達成感を感じた有意義な仕事でした。

図録はアマゾンでは販売していません。限定で増刷もしません。

超高級フレグランスブランド、アンリ・ジャックを取材しました。

こちらは100万円を超える香水でございます。

通常のタイプは15mlあたり8万円から20万円。

価格の根拠は何なのか? 魔性の魅力の本質は? などなど、あれこれ迫りながらも試香させていただき、陶酔の時間でした。詳しくは後日、活字化します。しばしお待ちくださいませ。

現在、Ginza Six 地下1階でポップアップ展開中です。香水好きの方はぜひ訪れてみてください。

1月にBunkamura で開催される「マリー・クワント展」(V&A巡回展)に合わせ、ジェニー・リスターが編集したこちらの本の日本語版も、グラフィック社から発売されます。

展覧会の解説も兼ねるビジュアル豊富な224ページの大型本ですが、これはもうカタログを超えたアカデミックかつジャーナリスティックな永久保存版。人間マリー&家族とビジネスパートナーのみならず、イギリスの社会と文化、アパレル産業、繊維産業、ブランドビジネス、デザイン、広告、写真、モデル、ヘアメイク、化粧品&香水、インテリア、といった側面から多角的に詳細なマリークワント研究がなされた骨太な一冊でした。日本が果たした大きな役割も明かされる。たったいま、監修作業第一弾を終えました(これから校正が待っている)。翻訳もすばらしく読みやすい。初めて知る内部事情の連続で、もろもろの事象を見る解像度が上がります。

それにしてもマリーがデザイナーとして長命だったのは、とにかくとんでもなく堅実によく働いたからというシンプルな事実に尽きるのですね。シャネルも働きものだった。もう一つの共通点は、人の縁を大切にして、互いに全然違う個性を活かしあっているところ。選択の基準、考え方、行動、アテチュード(社会との向き合い方)において、ファッションに関心ないという方にも多大なインスピレーションを与える女性という点でもシャネルと通じる。

ちなみにマリーは引退しましたがまだご存命です。92歳。お会いしたい。

カテゴリー分け不能な新感覚ホテル、ダーワ・悠洛 京都にはスパまであります。

バンヤンツリーが誇る、日本初上陸の8エレメンツ・スパ。青いお茶はバタフライピーですね。
帰る前に一時間の全身トリートメントを受けてきました。ゆったりたゆたうような感覚を与えてくれる高いレベルの施術で、疲れた感情のゴミみたいなものがすっきりデトックスされます。

こちらも、ホテルスパにしてはリーズナブルな価格で、嬉しいような申し訳ないような。

上は朝食。この価格帯のホテルにしては、ほんとにレベルが高い。3段になったドレッシングが出てきたときには楽しくて悶絶しました(笑)。ホテルの滞在時間が短かったのですが、たいへん印象深いホテルステイになりました。あたたかくおもてなしくださったスタッフのみなさまに感謝します。

本日の日経連載は、フィンランドから上陸するスキンケアブランド「ヘヌア」について書いています。創始者にインタビューしました。フィンランドの女性首相や党首たちがなぜあれほどカジュアルでリラックスした装いで公務を務められるのかについても。

紙版とともに、電子版ではこちらからお読みいただけます。

エベレストよりも高い美意識の持ち主、AMATA 代表の美香さんが、ついにその美意識を結集させたアロマオイルを完成、めでたくリリースされました。

ブレンドされたオイルそのものが最高品質であるのは当然。有田焼のボトル、ボトルを飾る伊勢志摩のパール,波止場承龍による家紋,紅白の水引などにいろどられたパッケージなど、とりまくすべての世界に美香さんの美意識と哲学が貫かれています。

添えられた手書きのお手紙の品格とあたたかさにとどめを刺されます。

究極の日本発アロマオイル。高揚のCD 、至福のBC、官能のSN。空間を変え、感覚を研ぎ澄ませる強いパワーが、「薫黒(くんこく)」の有田焼ボトルから溢れでるというイメージ。

妥協なき美の追求の姿勢にはいつも感銘を受けていますが、今回のプロジェクトもさらにレベルを上げてきました。妥協しない理想追求の価値をあらためて教えられた気分です。ほんとうにおめでとうございます。

美的Grand 夏号、香水特集で巻頭エッセイを寄稿しました。

パートナー・フレグランスというのは、今回あえて作ってみた造語です。

 

バンフォードから待望のオードパルファムが発売されました。

香りのテーマは、「イギリスの移りゆく季節の中で森や草原の中で過ごす時間」。

「ウッドランドモス」はアンジェリカ、ベルガモットにローズやセージの深みが加わり、ラストはサンダルウッドで渋い森林感におちつく。

「ワイルドメドウ」は、ベルガモットオレンジの軽やかさからはじまり、ハニーサックルに移ってベチバーで明るい洗練を漂わす。

という違いはあるものの、重ねづけしても複雑な深みが増して快く深呼吸させてくれるパルファンです。ほんと、コッツウォルドの風を思わせる気持ちのよい香りです。

背景の森はコッツウォルドではなくご近所の公園です。朝の光がきれいな時間に撮影しました。

昨日は偶然のつながりから、古来の技を受け継ぐ「陰陽師」の方に出会い、お祓いをしていただきました。「あなたが人を羨まず恨まず我が道を行くというタイプであっても、他の人はそうとはかぎらない。デフェンスがあまりにもなさすぎる。人の恨みや嫉妬に警戒しなさい」というお言葉をいただきました。なるほどと真摯に受け止め、とはいえ他人の気持ちまではコントロールできないので、謹んで目の前の仕事ひとつひとつに丁寧に向き合い、感謝を伝え続けてよい循環を生み強いネットワークを作っていくことで、デフェンスにかえていくしかないかのかなとも感じます。

 

KITOWA 展示会。

「木は永遠(とわ)」という意味をこめて名付けられた日本発のメゾンフレグランスのブランドです。2018年創業。

三重県産ヒノキ、屋久島産クスノキ,青森産ヒバ、などの和木が用いられた、こころが落ちつく香りもののバリエーション。

オードパルファム、インセンス、バスエッセンス、キャンドル、ハンドウォッシュなど、ひととおり揃います。スタイリッシュな容器は有田焼。すべて日本産で、調香師、デザイナーも日本人です。

伽羅のインセンスは40本で11000円という価格帯。世界のニッチトップをめざすブランディングですね。

貴重な香木、マンションが買える価格の数々の香木も目の当たりにして驚愕。そのあたりに落ちてても価値がわからなくてふつうの枯れ木だと思って拾わないだろうな。奥の棚に鎮座するのは高価な香木の数々。個々の香木の撮影は不可ですが、全体の雰囲気フォトならと許可をいただき、ぼんやりしたイメージではありますがアップさせていただきます。

香りの濃度が強くて深い。バスエッセンスを試したところ、家じゅうに木の香りが広がって癒されました。

ムエットまでおしゃれですね。横にすると「K」というアルファベットにも見えます。

フィンランドからシンプル・ラグジュアリーコスメ、HENUAが上陸します。

発表会がフィンランド大使館でおこなわれました。


大使の挨拶に続き、ブランド創始者のひとり、Jenni Tuominenさんによる詳しいプレゼンテーション。


発表会のあと、Jenniさんに北欧的シンプル・ラグジュアリーの考え方を中心にインタビューしました。なんだか国旗を背負った「どうだ」写真になって恐縮です。

インタビューに加え、フィンランド大使館に来てみて、大使、そして大使館商務官のLaura Kopilow さんのお話もじっくり聞いて、北欧ラグジュアリーの感覚が少し理解できた気がします。ヨーロッパ的ラグジュアリーの旧型とも新型ともちょっと違う、北欧のラグジュアリー観。日本との親和性は高いと思う。
フィンランドといえばムーミン⁈

詳しくは媒体に書きますので、またご案内させてください。

HENUAの日本展開においては、candlewickがパートナーとなるそうです。PR会社のあり方も時代に応じて変わっていかなくてはならないというCEOのNoriko Silvester さんのお話も印象的でした。

このスキンケア、写真で見るより実物を見て、試してみるとそのレベルの高さを実感します。

容器にいたるまでテクノロジーが駆使されている。このケース、マグネットですっと閉じるのですよ。数々のデザイン賞をとっているというのも納得。シンプル・ラグジュアリーを体現する最先端オーガニックコスメ。フィンランドの底力を感じさせます。

こちらはフィンランドのガチャで、椅子のミニチュア。精巧に作られているのでコレクターもいらっしゃるそうです。大使館では一回400円で遊べます。

日本経済新聞夕刊「モードは語る」。本日は、SHIROの砂川プロジェクトについて書きました。

20代の化粧品購買層の判断基準も「かわいい」ではなくなっている、と創始者の今井さんは話します。

木曜日にアップした北日本新聞「まんまる」の記事とあわせてお読みいただければ幸いです。

北日本新聞別冊「まんまる」6月号が発行されました。「ファッション歳時記」No. 129 は「この昆布からどんなコスメができるのか?」

SHIROの会長、今井浩恵さん、取材ご協力ありがとうございました。

Ginza Six のアクア ディ パロマが一周年。おめでとうございます。

フレグランス、ルームフレグランス、ボディクリームなどの全ラインナップがそろいます。

「フレグランスファインダー」が導入され、いくつかの質問に答えていくと、その感覚にぴたりあうフレグランスが提案される仕組み。

たくさんありすぎて迷う!選べない!という方にはよきヘルプとなってくれるかも。私も試してみたら、もっとも意外な、想定外の香りを提案されて、なるほどこういう感覚もあるのか、と。

店内のディスプレイ、ブランドカラーのイエロー、ディープグリーン、ブルーを中心にとてもセンスよく配色され、よい香りとともに目ももてなされる感じ。フレグランスの成分も写真で紹介されているので、わかりやすいし、勉強にもなります。Ginza Sixの地下コスメフロアに展開されています。

「新・ラグジュアリー」でも日本発の新ラグジュアリーとしてご紹介したSHIRO。

創始者で現会長の今井浩恵さんにインタビューしました。お召しになっているのは「サカイ」だそうです。

とても楽しいインタビューでした。詳しくは後日、媒体で!

 

SHIRO東京本社を出て、次の場所へ向かう途中で、「香織族」の妹、安田香織さんにばったり!なんと9年ぶりでした。マスクしてても9年ぶりでも認識されたのはやはり似たような感性が流れている「名の宿命」でしょうか(笑)。いくつかのCMに出ていらっしゃいます。

 

この日着ているダブルのスーツは、廣川輝雄さん作です。インナーは心斎橋リフォームの内本久美子さんにお願してつくってもらいました。男性のシャツのような堅い襟はいらないけれど白い部分はしっかりと上着の襟の外にでていてほしい、かつネクタイなどの装飾がなくても首元がそこそこ華やかに見えるレイヤーがほしい、という難度の高い注文に応えてくださいました。袖口からもしっかり1.5センチ白いブラウスの袖口が出て、かつカフスボタンのかわりにパールボタンがついており、カフリンクスのような働きもします。市販の「女性用」スーツもインナーも、女性のテイラードスタイルを男性よりも軽く見ているのか、素材からしてぺらぺらしていて、まともなものにお目にかかれません。いつまでたっても需要に応えるものがでてこないので、しかたなくこちらから提案していきます。#GO TAILORED

ハイテク系の美容で快進撃を続けているMTGから、「めぐり」をコンセプトにした炭酸セルフケアブランド「MEGLY」が発売されます。発表会に伺いました。

高濃度のガスが入ったカートリッジとめぐり導入液を装着し、シュッと吹きかける。あらゆるお手入れに加えるだけで(これだけでも)炭酸の効果が堪能できる仕組み。

 

ラベンダーやベルガモットのような、やさしくリラックスできる香りです。年齢、ジェンダー問わず使えます。

開発者は30代前半の男性、山崎友也さんです。肌荒れが炭酸美容によって治り、歴代の「女性向け」の容器(両側)を、なんとか男性にも若い世代にもアピールできるものにできないかと考え、現在(中央)のようなシンプルでモダンなボトルにデザインを変えました。ガスボンベ(カートリッジ、ですね)にも改良が加えられています。ちなみに、頭皮にも足にも、全身に使えます。

会場になったのは、銀座の「ビューティー・コンセントレイト」。一階にはMTGが展開する製品がすべてそろいます。壮観。

4月26日発売です。

 

 

美容室Zele グループのスーパースタイリスト講座で、美容師さん向けブランディング、マーケティング、ファッション&ビューティー史、最新トレンド、新ラグジュアリーのレクチャー合計4時間。

2年間、コロナで中止になっていたので、久しぶりの講座となりました。この2年でビューティー界もそれを取り巻く価値観も大きく変わりましたので、内容は大幅に変更し、最新のバージョンにアップデートしました。

最新の感覚と熟練技術を兼ね備えたヘアアーチストとして、世界で自由自在に活躍されることを心より願い、応援しています。

 

本日の日経The STYLE で生誕100年を迎えたNo. 5論を書きました。

なぜ一つの香水が100年トップセラーであり続けることができたのか?

半年前にご依頼をいただき、シャネル本社にもインタビューを重ねて360°からの究極のNo. 5論を目指しました。

シャネルのアニバーサリーイヤーの今年は、映画にユリイカに名言カレンダーにとシャネル関連の仕事がほんとに多かったのですが、最後をこの仕事で飾ることができてココにすこしは恩返しできたかな。

それにしても大変な仕事だった…。2000文字程度の紙面ですが、なにげに半年分の涙と汗の結晶です。

よろしかったら本紙ご覧くださいませ。

ミッドタウンに入っているテネリータの取材。

イタリアブランドかと思ったらそうではなく、今治タオルをブランディングした生粋の日本ブランドでした。

タオルを中心に、ブランケット、ホームウェア、パジャマ、バスグッズ、フレグランス用品などを扱っています。

甘撚り、超甘撚りのリッチなタオルはギフト需要が高いというのも納得です。テネリータ積み上げたいですね。色のセンスもよい。麹塵(きくじん)っていう色、ご存知でした? 皇室のみに使われることが許された色だそうです。品よきグリーン。(この写真では上から2段目の棚)

オリジナルルームフレグランスのほか、レアなアッカカッパのフレグランス製品(練り香水、香水、ボディもの)も扱ってました。

最後の2枚の写真はミッドタウンのクリスマスツリー。

天空橋が完成していたら羽田空港から車で10分、というアクセスではあったのでしょう。まだ工事中のため、天空橋にタクシーGOで車を呼んで(タクシーがふつうに来ないところなので)、ぐるりと20分ばかり遠回りしてKawasaki King Skyfront Tokyu Rei Hotel に到着。

The Warehouse (倉庫)とでかでかと書かれていますが、倉庫をリノベした(というイメージの)新感覚ホテルです。

天井がこれです。このままインテリアとして活かされています。

近隣の建物も近未来的なのですが、これについては別の投稿で。

広いパブリックスペースの向こう(ホテルの裏側)はまさかの美しいウォーターフロントでした。

宿泊している人や、近隣のお散歩中の人たちが談笑していて、ここはサンフランシスコですかという雰囲気。

次世代の感覚にフィットする、という感覚についていく(笑)。

 

この夕暮れの景色、麗しくないですか? まったく想定外の川崎です。

夜は夜でまた違う表情を見せてくれます。

川崎の香水、044。工場の香りもベースになっています。「ベンゾイン」が使われているようですね。ギャグすれすれですが、大真面目。

 

 

 

 

 

SETAN サロンドパルファム、大々的にリニューアルされたCARONを拝見しました。

伝統的でクラシックな香りのベースは保ちながらも現代的なアレンジが加えられた、品格ある香りのバリエーション。

丸いかたちの0ボトルは、詰め替え可能。お弁当箱のようなボックスはリサイクル紙で作られています。

会場で偶然ご一緒できた廣瀬規子さん、ご案内くださいました田中雅之さんと。しばし香水談義で盛り上がりました。

それにしても香水の祭典、驚きの大盛況です。10年前には「香水市場がのびない」という話ばかりだったのに、すっかり時代は変わりました。関係者の努力の賜物ですね。

パレスホテル東京のパレススイートにて、イギリス・コッツウォルズ生まれのオーガニックスキンケアのブランド、バンフォードの展示会が開催されました。

バンフォードのアメニティは、すでにパレスの上級カテゴリーの部屋では使われていますが、今後はすべての部屋にバンフォードが提供されるとのことです。

バンフォードはギフトにも最適。ルームフレグランスは私の自宅の玄関でも香らせております。ローズマリーの香りは深呼吸したくなる癒しの香りで、おすすめ。

もうクリスマスの飾りつけ。早いとは思わなくなっている自分の感覚がこわい…。

外が見える開放的なバスルームもバンフォードの良い香りに包まれて、ひときわ気分が盛り上がります。

バンフォードはウェアも作っています。ベッドルームに飾られたバンフォードの気持ちよさそうなウェアの数々。パレススイートとよく合っており、絵になりますね。

 

ピーコック色のドレスはJun Ashida です。レースの抗菌マスクもJun Ashida です。写真の左側手前に見えるのは、日本未発売のバンフォードの香水2種。これがなかなかよいのです!  発売を楽しみにしています。

 

 

もみじの香りって想像できますか?

匂いのないもみじをイマジネーションの源にし、自由な発想で作られた香水が、リベルタの新作「Fructus」。

豊かな実り、美味しい赤、落日の最後の輝き(ボードレールか)、もみじから連想された力強いグルマンゴージャスな香りに悩殺されました。

9月9日より限定イベントにて先行発売予定、16日よりリベルタの公式サイトより発売開始だそうです。

匂いのないものに想像の匂いを与える、というのは「シダの香り」ことフゼールロワイヤルからおこなわれてきた王道のアートですね。

 

出発前に、サンカラのスパでトリートメントを受けました。

ホテルのメインの建物の2階にありますが、2階から見下ろすプールもまた違う表情。

ストーンを使った施術がこちらのシグニチャートリートメントのようです。実際、石が秘めるパワーというのを屋久島のいたるところで感じてきました。


トリートメントルームは全部で5部屋あります。今回は海側の広々としたお部屋でした。


お風呂とシャワーもついています。

屋久杉を燃やして、その煙の香りをかぐ儀式からトリートメントはスタートします。「やく落とし」の意味があるそうです。世界観がここまで徹底していると心底、感心します。その後のトリートメントは都内のホテルスパとそれほど変わらない(高い)レベルで、それはそれですばらしかったのですが、この「屋久杉を燃やす」儀式はここでしかできない。これがあることで他のホテルスパとは鮮烈に異なる記憶が植えつけられるのですね。

ホテルのスタッフに屋久島空港まで送ってもらい、コミューターで鹿児島空港まで30分。

鹿児島から羽田へ乗り継ぎ、というルートで全1泊2日。この日程で十分、屋久島を堪能できます。仕事の調査もばっちりできて、2日間、きれいに晴れ渡りさわやかな気候のなかで無事に過ごすことができたことには、ただただ感謝です。

縄文杉に触れる体験をされたいときは、ホテルを朝4時頃出て10時間くらいの往復の旅程を見ておいてくださいとのことです。その場合はもっとじっくり滞在したほうがよさそうですね。

 

奥深い屋久島の、本当の魅力にはまだまだ触れていなかったのかもしれません。ご縁あれば屋久島の神々に再び「お招き」される機会もあるでしょう。その時を願いつつ、精進します。

東京ミッドタウンの「バンフォード ヘイバーンスパ」。

イギリスの軽井沢ことコッツウォルズで生まれたウェルネスブランド「バンフォード」の本格的なトリートメントを受けられる「シティスパ」です。

バンフォードのアメニティはパレスホテルとガンツウで使われてますね。あの香りの上質な癒し効果は心の宇宙を広げてくれる感じ。

 

アプローチには非対称のハートのマークが。レディ・バンフォードが散歩の途中で集めた石を敷き詰めてハート型を描いた、というイメージです。

バンフォードのオイルを使ったシグニチャートリートメントであるストーンマッサージは、あたためた玄武岩と、

 

少し冷やした蛇紋岩を使います。

 

石の赤外線効果でオイル浸透効果とマッサージ効果がひときわ高まるのだそうです。ゴッドハンド吉成さんのトリートメントはなめらかで音楽的な印象さえ覚えました。

 

コッツウォルズの干し草の納屋(ヘイバーン)をイメージした部屋で、しばし世間の喧騒と隔絶された深い瞑想時間に浸ることができます。

疲れが蓄積しているけどケアの時間もなかなか取れない、という多忙な時こそ、ランチタイムや仮眠タイムをさっとトリートメントに充てることでリフレッシュするのもよいですね。

リードディフューザーの香り方もよく、お部屋に置いておくと香りの効果で空間の印象が変わります。深呼吸したくなるコッツウォルズの空気になっている(とはいえ換気はこまめにしましょう)。

コッツウォルズに行きたいな~。

リッツカールトン京都泊。鴨川側の眺めのいい部屋をアサインしてくださいました。

関西で唯一のForbes 5 Stars の実力。徹底的に機能的にあらゆるものが配置されているだけでなく、美しく雅やかな外観は統一感があり、目に入るすべてのものが繊細で高級感にあふれている。冷蔵庫の中、ワインのチョイスに至るまで脱帽ものでした。

バスルームの壁にも桜の花が舞う。

アメニティはアスプレイ。和の紫がしっくり溶け込んでいるし、香りもさわやかで使い心地よし。

他のアメニティ類も漆のケースに入れられています。基礎化粧品セットだけがいまいちな感じでしたが、不足分はお願いしたらすぐに持ってきてくださるし、本当に申し分なく快適で居心地のよいサービスでした。

フロントロビーまわりの質感も、和の要素をふんだんに取り入れた落ち着きのある品格を漂わせています。照明、香り、家具、人にいたるまで独特の空気感を創ることに寄与しており、これは並みなことではないと思われます。

ピエール・エルメのブティックも併設。「世界一のクロワッサン」が人気だそうです。バターが8割を占めるのではないかと思われるパリパリした高級クロワッサンで、美味でした。

スパは人気で予約とれず。スイスのラ・プレリー、イギリスのエスパ、フランスのジェモロジーを扱っています。次回は事前予約が必要ですね。

 

夜食に和牛バーガーを頼んでみました。ジューシーで極上のおいしさ。ついてくるトリユフポテト(←ホテルでは必ず頼んでみるほど好き)もカリっとした細長の好みのタイプで、感動ひとしおでした。

 

 

 

オーストラリア発のハイエンドなスキンケアSubtle Energies 創業者の息子さんMr. Nick Iraniにインタビュー。西洋とオセアニアのアプローチの違い、これからのウェルネスとラグジュアリーなど、興味深いお話に発見多々でした。このブランドを日本へとりつぐ(株)エスティームの山崎静子さんにも感謝します。

日本ではペニンシュラとマンダリンオリエンタルのみの扱いです。ペニンシュラでトリートメントを受け衝撃を覚え、伝を頼ってインタビューにこぎつけました。近日中に記事化します。

おつなぎいたました田中雅之さんにも感謝します。

オセアニア、この分野ではとにかく進んでます?

 今年はシャネル没後50年、No. 5 生誕100年で盛り上がっております。ドキュメンタリー映画も7月23日に公開。勢いに乗り、「ユリイカ」7月号もシャネル特集です。

巻頭で鹿島茂先生と対談しました。『「皆殺しの天使」の精神史』。6月29日発売。予約が始まっております(画像クリックでアマゾンにとびます)。

「ユリイカ」がファッション特集を組むのも貴重です。お楽しみに。

FRaU 本誌で掲載されたインタビュー記事が、ウェブでも読めるようになりました。

齋藤薫さまによるインタビューです。日本の香りについて語っております。

FRaU 公式ウェブサイトでご覧いただけたら幸いです。

いくつかの仕事を兼ねてマンダリン・オリエンタル東京。

バースデー祝いとしてホテルからカードとフルーツ盛り合わせが届いていました。ありがとうございました。

部屋はゆったりと使いやすく、文具が一通りそろった引き出しも備えられており、ワーケーションにも最適です。

 

嬉しかったのが、メモパッドはじめ紙の文具もたっぷり用意されていたこと。いまコロナ対策で、ペーパー類を一切おかないというホテルも多いなか、この判断はとても貴重。

リクエストベースでもってきてくれる基礎化粧品のセットも、フランスの「オムニサンス」。たっぷり使えるサイズなのも嬉しい。隠れたサービスに底力を感じます。

高層階の景色は仕事柄見慣れて感動が薄くなりがちでしたが、これには驚き。日本銀行の屋根が見えるのですが、上から見ると「円」という字の形になっている。日本銀行なだけに。

 

マンダリンのスパ。聞きしに勝るすばらしい質感とサービス、トリートメント技術。

 

写真撮影不可なので写真はありませんが、37階に全面古ガラスになっている開放感ありすぎのサウナにはちょっと圧倒されました。ミストサウナも別にあるほか、広く高く深い(印象的日本語)お風呂もいい。これだけ充実のスパ施設はなかなかないのではないか。

オーストラリアのサトルエナジーは、こちらででも取り扱い。(ペニンシュラとマンダリンのみ)

アロマテラピー・アソシエイトのバスオイルはセラピストお勧め。「ディープリラックス」を購入してルームバスに入れてみたら驚きのデトックス効果でした。

お風呂の照明もセンスよく、お湯がゆらゆら揺れて見える照明です。(時間にせこくて、ぼーっとするのが嫌いなので、パソコン持ち込みの入浴。笑)

水が流れる素敵すぎるバーでお酒が飲めないのは残念でしたが、アフターコロナのお楽しみということで。

部屋の冷蔵庫にはクリュッグの誘惑。飲まないけど。ルームサービスの和牛バーガーがとても美味しかったです。

夜景も完璧。

朝食のクオリティも高く、とても美味しい。

マンダリンカフェでのグルメおみやげのラインナップも充実しています。

適度にオープンなロビー。待ち合わせができる程度の広いロビーがあるのはよいですね。

 

日本橋周辺は歴史的な建造物も多く、周囲の環境も落ち着いていながら便利です。

となりには千疋屋本店。チェックアウトの後、立ち寄ろうとしたら長蛇の行列であきらめました。

いくつかの仕事を兼ねてペニンシュラ東京泊。36時間ステイというプランに便乗してみました。10時にチェックインして翌日の夜10時までいられるって実質まるまる二日間使えるということですね。(実際にはそれほどいられなかったのですが)

すっかりあじさいの季節になっています。

いつもの通りも、華やかな花に彩られておりました。あいにくの曇りです。それにしてもこの週は一週間陽射しがありませんでした。こんな5月もありますね。

お部屋には総支配人さまからのメッセージとウェルカムスイーツが。(一休のダイヤモンド会員だから、だと思います。笑) 手書きのメッセージには心があたたまりますね。

デラックスルームという標準ランクのカテゴリーですが、ビジネスパーソンにとってはこの上なく機能的に作られていると思います。上のようなコーナー、仕事に最適です。机の前の眺めがよすぎると落ち着かなかったりしますが、このコーナーはほんとうに書くことに集中できる。しかも右下にはプリンターも備え付けです。印刷もコピーもファックス(もう使いませんが)もビジネスセンターに行かずにここでさらっと済ませられる。ワーケーションに最適です。

バスルームもすばらしく、テレビは当然のようにあるし(見ないけど)、モードを変えると照明が少し落ちてリラックスミュージックが流れてくる。外部からの連絡を遮断することも可能。この音楽があまりにもよいので、ずっとBGMとして流していました。

 

クローゼットが広々としていて、この中でヘアドライやメークができるというのも気が利いている。とにかく非常に使いやすく、ストレスがまったくない設計。ドライヤーはレプロナイザー。今やほとんどのホテルがこれですね。

基礎化粧品セットをリクエストしたらたっぷりとしたサイズのこれ。嬉しいですね。

アメニティはペニンシュラオリジナル。パルファンさとりの大沢さとりさんがこのアメニティの香りに関わっていらっしゃるようです。やさしい香りだちで、現代の日本らしさを感じさせます。バレーボックスもあり、ドアを開けなくても新聞やルームサービスを受け取ることができる仕組み。人と接しないので安心・安全。むしろ徹底的にビジネスパーソンの需要をくみ取ったホテルだと感じました。

滞在中にスパでトリートメントもお願いしました。あいにく時節柄、サウナは使えませんでしたが、きわめて快適な施設で、セラピストの腕も極上。

オーストラリアの高級アーユルヴェーダ系の「サトルエナジー」と、モナコ発のアンチエイジングブランド「マージーズ」を使用。ホテルで販売もしています。

「目に見える」効果に、勢いで購入したのが「サトルエナジー」のバスソルトと、マージーズのローション。バスソルトはとにかく心の深部まで癒される香りで、これを入れて入浴すると不安要素や不快要素がデトックスされるような感覚。マージーズを扱っているのはペニンシュラのみ、サトルエナジーはマンダリンとペニンシュラのみの扱いだそうです。

滞在中はスタッフにたいへんよくしていただきました。お水やお茶もふんだんに補給していただいて集中できたおかげで4日分くらいの(ウソ)仕事ができました。

それにしても怒涛の長時間プラン。ホテルの稼働率が低いこの時期の一つの流行のようで、いま40時間ステイプランも出ております。一泊の料金で40時間。書き物を一気に仕上げたい人にとっては、ありがたきプランです。

 

 

 

 

Chanel Meets Manga 展。銀座シャネルネクサスホールにて。

規模は大きくはないのですが、シャネルの中核となるエッセンスを現代的に抽出し、漫画とのコラボで表現。

 

いやたしかにココシャネルだったらそうするだろうなあという納得のコラボでした。

さりげなく、初めてみるシャネルのポートレートがあったりとか。

 

 

 

 


展覧会も無料なうえに、No.5のサンプルまでお土産に配っています。なんと太っ腹な広告戦略。

感激したZ世代がどんどんSNSで拡散し、結果的にこの世代に届く広告になってますよ。今どきの戦略ですね。

 

シャネル・ネクサスホールのHPからお申込みくださいね。

FRaU Jaxury 特集号。

日本発のラグジュアリー、各部門のアワードの発表です。

齋藤薫さまにインタビューしていただきました。僭越ながらラグジュアリーという視点から日本の香水文化を語っております。

コロナの間は海外取材ができず、海外ブランドも日本でPR展開が難しく、結果、日本にいやおうなく目が向き、多くの日本の企業を取材できたのは幸いなことだったかもしれません。

よろしかったら本誌をごらんくださいませ。

カメラマン:野口貴司さん
ヘアメイク:面下伸一さん
スタイリスト:長谷川綾さん
ドレス:アクリス
撮影協力:ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町
企画&編集:吉岡久美子さん

多くの方にお世話になり、ありがとうございました。なかでも、とりとめのない話をすっきりとまとめてすばらしい記事にしてくださいました齋藤薫さまにあらためて深く感謝するとともに、心より敬意を表します。

 

*本ウェブサイトは3月末をもちましてクローズいたします。その後の仕事の活動状況は、Twitter: kaorimode1、Instagram: kaori.nakano にてアップしてまいります。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。本日は、山根大輝さん(29)が手がけるサクラ・マグナの香りについて書いております。

山根さんは、「パルファン・サトリ」の大沢さとりさんのお弟子さんのひとりです。

クラブハウスで公開インタビューさせていただいた内容を反映しております。お聞きくださったみなさま、ありがとうございました。

日経夕刊がお近くにありましたら、ご覧くださいませ。電子版はこちら(有料会員のみですが)。

 

「満開の夜桜はむしろ、こわい」という山根さんの言葉に、目の曇りを払われた思い。桜が可憐ではかなくて、というのは偏った刷り込みかもしれませんね。

日本の桜の花そのものには、香りがほぼありません。これをどのように解釈し、においを与えるのか? ここに調香師が詩人に匹敵するアーティストになりうるカギがあります。

それにしても、最近、ビューティーやファッションの分野で面白いことを仕掛けている人の中には、29歳男性、という方が多いな。頼もしいことです。

25ans 4月号発売です。ご結婚10周年を迎えたキャサリン妃特集。「プリンセスの強さ」というテーマで解説しました。

 

キャサリン妃のしなやかで静かな強さ、あやかりたいこの頃です(←疲れている…笑)。私が私がと主張せず、だからこそ周囲の自発を促し、よい方向に感化してしまう強さ。こういう強さを身に着けていきたいものです。

 

 

昨夜はリベルタ・パフュームの山根大輝さんにクラブハウスで公開取材をさせていただきました。プレタラインの香水「サクラ・マグナ」が糸口でしたが、日本文化の解釈が斬新なうえ、ミレニアルズの考え方もよくわかり、未来への希望を感じた取材でした。来月初めの日経連載に書きます。ありがとうございました。

 

 

3月5日発売のkotoba。予約受付が始まっております。特集「将棋の現在地」です。連載「スポーツとファッション」で佐藤天彦九段のファッションにも触れております。

Forbes 連載「ポストラグジュアリー360°」。第三回目です。

バッグも香水も下着も、世界で生まれる新しいラグジュアリー」。安西さんスタートの回で、前半に安西さんがヨーロッパの動きから具体例を、後半に私が日本の起業家の例から具体例を3例、紹介しています。

コングロマリットに制圧されていない国は、この「戦国時代」において、ラグジュアリー起業を世界に送り出すチャンスを手にしています。

鮮やかな快晴。近所から撮影した昨日の空です。

昨日は永く記憶に残るであろう一日でした。

なんと憧れの齋藤薫さまにインタビューをしていただくという仕事。

齋藤薫さまといえば私が有象無象の平ライターの頃からもうすでに女性誌業界の書き手としてはダントツの雲上人、トップを走り続けて、いまなお女性誌を開けば齋藤薫さまの連載がある、というグレートな方です。ぐいぐい読ませる、説得力のある強い筆致は、「齋藤節」として鮮やかなスタイルになっており、万一、署名がなくても「これは齋藤さんの文章」とすぐわかる。

そんな齋藤薫さまが、私にインタビューし、記事を書いてくださるというのですから、光栄を通り越してもったいなきこと極まれりという感じなのでした。

テーマは香水。香水を通して日本文化や新しいラグジュアリーを語る、という試みで、2時間くらい話していたかなあ。

薫×香織で香り対談。

鋭い質問の数々でしたが、日頃のラグジュアリーに関する研究や香水とのつきあい方がいろんなところでつながった気もした、有意義でありがたき体験でした。齋藤さんはあんなにすごい方なのにこちらが恐縮してしまうほど謙虚で、トップを走り続けている方というのは、こういう姿勢でお仕事に臨んでいらっしゃるのだなあと学ばせていただきました。

 

撮影もあったのでヘアメイク、着替え、撮影、インタビュー、と一日がかり。

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のギャラリースイートにて。芝田総支配人はじめスタッフにはきめ細やかな配慮をしていただき、深く感謝します。

 

ほかにも多くの方々にお世話になりました。記事が出たらあらためてクレジットさせていただきます。

 

こんな日が来ようとは。30年前の自分に知らせてあげたい。笑

 

 

 

 

パナソニック汐留ミュージアムにて、「香りの器 高砂コレクション展」が開催中です。

古代オリエントの香油壺に始まり、近代ヨーロッパの陶磁器やガラスの香水瓶、アールデコの芸術品、大戦中の作品にいたるまで。化粧用具や家具なども含めたおよそ240点が展示されています。高砂香料工業株式会社が収集してきたコレクションです。

香水瓶に、いや香水瓶だからこそ、ここまで凝ったものを作るのかというイマジネーションの炸裂。

 

マイセンの香水瓶たち。ほんとうに小さい陶磁器なのに、精巧に作られています。それぞれにストーリーもあります。さすがのマイセン。

1900年ごろの花蝶文様香水瓶とパウダー容器。

 

 

 

1920年ごろの鳳凰文香水瓶、化粧容器、アトマイザー香水瓶。タッセルそのものが鳳凰のように見える。

マルク・ラリック「喜びの心」(ニナ・リッチ)、1942年。ハート型にくりぬいてあるのがすばらしい。右もマルク・ラリック「いちずな願い」(ウォルト)、1944年。

ルネ・ラリック「りんごの花」、1919年。

3月21日までです。公式HPはこちら。

 

「MISS ミス・ふらんすになりたい!」試写。

少年のころに抱いた夢、「ミス・フランスになる!」を叶えるべく闘いながら自分と周囲の殻を破っていく主人公を、ジェンダー自由自在モデルとしても活躍するアレクサンドル・ヴェテールが好演。

ミスコンの裏舞台、現在のフランス社会のリアルも描かれる、エモーショナルで楽しい作品。詳細はあらためて別媒体で書きますね。

 

写真ともに©2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS

 

2021年2月下旬、シネスイッチ銀座 他全国公開

配給:彩プロ

「パリの調香師」、パンフレットにコメントが掲載されております。

1月15日、Bunkamura ほかで公開です。

Bunkamura上映作に立て続けて3本、コメントしたことになります(カポーティ、ヘルムートニュートン、調香師)。なんだか今年後半は(小さいものばかりとはいえ)、おそろしくたくさん仕事をしているなあ……。ほんとうにありがたいかぎりです。ひとつひとつを確実に、を心がけてさらに精進します。

Netflix のオリジナルシリーズ、「Emily in Paris (エミリー、パリへ行く)」が面白い。

シカゴのマーケター、エミリーがパリで仕事をする羽目に。パリのイジワルな同僚や上司、いかにもフランス的なオフィスカルチャーと恋愛事情、フランス語ができないエミリーに対して必ずしも優しいとは限らない住人、でも素敵すぎるパリの街並み。フランス文化とアメリカ文化の衝突が、きわめて現代的でリアルな視点のなかに描かれていて、笑いながら考えさせられることが多い。天真爛漫なヒロインを演じるリリー・コリンズがなんともかわいくて、デビューしたころのアン・ハサウェイを彷彿とさせる。


まだシーズン1の5話くらいまで見ただけですが、ブランド、香水、コスメのマーケティングに携わる人にとっても、有益な勉強になるドラマだと思う。パリの街並みやレストラン、各キャラクターのファッションもユニークで眼福です。

 

 

今年オープンで評価の高いホテルのひとつ、フォーシーズンズホテル大手町に宿泊してみました。


いつもお世話になっている読売新聞東京本社の斜め前にそびえたつビルの39階がフロント。1階のエントランスの期待感から39階でエレベーターを降りた時の高揚まで、もう最初からけた違いでやられました。

フロントは日本語がネイティブではないスタッフが多かったのですが、親身な対応。

皇居側の眺めはすばらしく、広い広い皇居の奥に沈む夕陽の美しさときたら。

室内は一つ一つの調度品、お茶、冷蔵庫内、すべてが超一流品で選び抜かれ、考え抜かれており、完全に敗北を味わうレベルです。笑 だってアメニティにしてからがフレデリック・マルですよ? 最愛ブランドのひとつ、マルのアメニティ。パリのホテル・ルテシアのアメニティがエルメスだったとき以来の衝撃です。ボディローションをたっぷりつければ香水不要で全身まろやかにマルの「マグノリア」が香ります。なんという幸せ。

サービスの山椒のおせんべいも洗練の味わい。


宿泊したら必ずリクエストする女性用の基礎化粧品セットは、なんとなんと、カルトゥージア。修道院ブランドで、ここの「メディテラニア」は永遠の定番なのですが、化粧品も作っていたとは。通なセレクションのすばらしさに言葉を失いました。というかもうこれはレアすぎて使えない。持って帰る。いったい何のためにリクエストしたのか。笑

とにかく5stars は軽く超えているレベルであることを見せつけられるホテルです。中も、外も、これまでの5 stars のスタンダードを塗り替えるのではないか。

ライブラリもため息ものです。

ピニェートでアペリティーボをと思っていたのですが、満席で入れない。予約しなかったのが悪いのですが、なんだかなあ。そりゃあ、話題のレストランとなれば仕方ないですね。

ホテル内の施設では飲めないということになり、せっかくの快晴の夜なので、徒歩圏内にあるパレスホテルまで遠征しました。

ここの6階にあるプリヴェは週末の夜でも意外に入れます。眺めは絶景、サービスは5 stars 級で、期待以上のおもてなしをしてくださって、ほっと寛げます。写真は1970年代にコンテストで優勝したオリジナルカクテル、「エルメス」。洗練の余韻が続く、飽きないおいしさです。お料理もおいしい。

金曜の夜でしたが、窓際のロマンティックな席はずらりと女性の二人連れで占められていました。最近は珍しくなくなった光景ではありますが、おそらく日本特有なのでは。

 

それにしても徒歩圏内にシャングリラもアマン東京も東京ステーションホテルもペニンシュラも帝国も、なんならフォーシーズンズ丸の内も星のやもある。この時代に、この激戦区で、すべて経営が成りたつというのはすごいことなのでは。

23日金曜日のダノンビオのトークイベントをご視聴いただきまして、ありがとうございました。

それぞれにユニークで面白いメンバーで、楽屋でも盛り上がり、楽しい時間を過ごさせていただきました。

視聴者のみなさまのお役に立てる話が少しでもあれば幸いです。

 

この日着ているドレスは、H&Sons 廣川輝雄さん制作です。生地は薔薇柄のシルクですが、ニューヨーク在住のHiromi Asai のものです。ドレスのデザインも浅井広海さん。襟の部分が取り外し可能になっており、2バージョンで着用可能です。いつものことながら多くの方に助けていただきました。ありがとうございました。

ダノンビオ新製品発売を記念するイベントに出演します。

10月23日(金)19:30~21:30

 

内側からキレイを創る、というテーマのもと、オーガナイザーの湯山玲子さんが、ウェルネス、ボディ、インテリジェンスそれぞれのテーマでゲストと話します。

わたしはインテリジェンス部門でご指名いただきました。インテリジェンスなんてかなり小恥ずかしいというか気後れがするのですが、ことばをどうやって使ってキレイな印象を残していくか? を考えるヒントになるようなお話ができればと思っています。

スタジオからの放映で、ゲストはZOOMまたはYoutube でご覧いただけます。15日までのお申し込みでプレゼントもあるそうですよ。

詳細はこちら

本ブログの読者のみなさまにはもはやキリアンは説明不要かと思いますが。

Kilianの新しいコレクション、The Liquors by Kilian が世に出ますのでお知らせです。

ヘネシー家に対する敬意と愛が感じられるザ・リカーズ。コニャックベースとジンベースの二種で、それぞれAngels Share とRoses on Iceという名前がつけられております。

二人だけのお酒の情景を連想するうっとりどっぷり酔える香りなのに、余韻は軽くて品よく、あたかも内側から自然に匂いたつようになじむ。これぞキリアン印。秋冬の思い出に寄り添ってくれそうな、すでに切なさを秘めた香り。コニャックのボトルのような香水ボトルも迫力の美しさ。

しばし、香水で深呼吸。周りから見たらヘンタイすれすれですね。

10月16日発売?

Les Parfums 「パリの調香師 しあわせの香りを探して」。

エマニュエル・ドゥボスが調香師として主演する、じわじわ素敵な大人のバディムービーです。

香水好きな方にも、人生に行き詰った方にも、フランス映画好きな方にも、オススメ。

パンフレットに寄稿しました。

来年1月公開です。どうぞお楽しみに。

季節の変わり目に強力に効くスパ&エステ。

先日、Forbes 5 Stars を見事に獲得したThe Prince Gallery Tokyo KioichoのスパKIOIです。スイス・パーフェクションの直営サロンが入っています。

30階からの眺めを楽しめるスパのお風呂にじっくりつかったあと、スイスパーフェクションのスキンケアコスメをふんだんにつかったトリートメントを受けると、心身がすっかり生き返ります。日帰りでも十分、肌が鏡のように光を反射するほどになります。

最近はファンデを一切つけていません。ファンデはマスクとも相性よくないですしね。コロナ自粛を機にネイルカラーもやめ、まつげエクステもやめたら、自由で快適と感じることも増えました。今まで相当、無駄なエネルギーを使ってたな。コロナ自粛がそれに気づく機会になってよかった。虚飾をやめた分、「素」の部分のごまかしが一切きかなくなるので、今まで以上に日々の生活からきちんとしようという方向に意識が向くようになる。

コロナ前、コロナ後の違いは、感覚的イメージとしては、フランス革命前のロココファッションと、革命後の新古典ファッションの違い、みたいな感じ。パニエやヘアパウダーをやめて古代ギリシア風になりました、みたいな。笑

エトロから、携帯にも便利なスプレータイプのフレグランス3種のコレクションボックスが発売されます。

エトロのオリジナルファブリックを用いた小箱に、 エトロのアイコニックな香り三種を10mL サイズのスプレーに収めた「エトロ パース・スプレー トリオ」。

新作には、人気の「シャンタン」、「ウダイプール」、「ムスク」の香りが収められています。

 

「シャンタン」は、イタリアンマンダリンの香りをブラックカラントの甘さとライチのフルーティなアロマで包みこんだ香り。ローズの花びらがフェミニンな印象を与えます。

「ウダイプール」は、夏の地中海とマハラジャの庭園の両方をイメージさせるフレグランス。インド産ジャスミンサンバックが、ガーデニアとロータスフラワーの官能的な香りと溶け合い、エキゾチックな印象。

「ムスク」は、タイムレスでクラシックな香り。ベルガモットやグレープフルーツのシトラスが数種類のウッドとムスクに包み込まれており、気分をリフレッシュさせてくれます。

パッケージも、エトロらしいペイズリー柄のバリエーション。ペイズリー柄は、生命力の象徴です。

エトロの香りにふれるたび、明治大学時代に講義に来てくださったメンズディレクターのキーン・エトロ氏のエネルギーと言葉を思い出して、少し力がわいてきます。「すべての善きものは、ワイルドで自由」。生命力を全肯定するところからキーン氏のクリエーションは始まります。

(2017年10月、壇上中央がキーン・エトロ氏、右がパンツェッタ・ジローラモ氏です)

 

エトロ パース・スプレイ トリオ2020は、7月10日(金)発売予定です。

取扱いは、主要百貨店フレグランスコーナーおよびエトロブティックにて。

 

 

 

*九州、岐阜、長野で水害に遭われた方々にお見舞いとお悔やみを申し上げます。「前例のない」「記録的な」という形容がつく災害が続いて、さらに週末にも大雨と予報が出ております。関東では地震も頻発しております。どうかみなさま、お気をつけてお過ごしください。

Day 3のテーマは、「美と醜の境界」です。

「美」に普遍的な基準はあるようでいて、案外、時代に応じてころころ変わりうるということが歴史を概観するとわかります。絶対的不動の美というものがあったとしても、常にそれはNo.1の地位にいるわけでもなく、人は飽きて、それさえないがしろにすることがあります。(また復権するんですけどね。)

そんな「美」の歴史は「醜」の歴史とあわせ読むことで、より輪郭がくっきりとしてきます。ウンベルト・エーコ編著の大作。

また「美人」の基準となると、さらに変動激しいのですが、それぞれの時代の「美人」は必ずといっていいほど同時代社会の視線にけなげに応えている。その応え方、および応えるための涙ぐましくも時に意味不明な「美人」の努力の歴史の本。「美人」は社会の産物であることがわかります。

#BookCoverChallenge
#Day3
#FourBooksforFourBatons

みなさまどうかお健やかに、安全にお過ごしください。

Day 2のテーマは、「匂い」です。

書棚の一列分は、匂いや香水に関する本で占められています。
見えないけれどダイレクトに本能へ届き、確実に人間の行動に影響を及ぼすもの、それが「匂い」。こういうつかみどころのない相手を言語化することが、長年の課題であり続けています。

人類学者、評論家、調香師、小説家、それぞれの立場から匂いの本質に迫ろうとした本、4冊をピックアップしました。

高砂香料の調香師でもある鈴木隆さんは、「悪臭学」のほかにも匂い関連でおもしろ本を多くお書きになっています。「悪臭学」もかなり「うわ~~~」(絶句)という世界で、息を止めながら爆笑したり人間の奥深さにうならされたりします。


パトリック・ジュースキントの「香水」は映画化もされていますが、究極の香水を完成させた天才調香師が仕掛けたクライマックスとその後の末路は思い出すだけで鳥肌が立ちます。善悪の基準などはるかに超絶した、壮絶に何かを追究する人間の物語。映画版の主人公は、「007」のQのベン・ウィショー。この映画が実質的な出世作になりました。

#BookCoverChallenge
#Day2
#FourBooksforFourBatons

みなさまどうぞお健やかに、ご無事に、お過ごしください。

 

 

 

 

ゼニアから男性向けに新しいフレグランスが発売されたことにちなみ、J B press autograph にてビジネスエグゼクティブの香水に関する記事を書きました。

こちらです。「日本のエグゼクティブに”匂い”はあるか」

“Smell is a potent wizard that transports you across thousands of miles and all the years you have lived. ” (By Helen Keller)

 

イタリアは新型コロナの影響で生活に必要のないものの生産中止を余儀なくされておりますね。ファッションや香水なんて、「必要のないもの」の代表格でしょうか……。せめて何らかの形でイタリア製品を応援したい。がんばれイタリア。

北日本新聞別冊「まんまる」発行です。

連載「ファッション歳時記」、第102回『「琥珀のりんご」「龍の涎」の効き目とは』

 

“Here we are, trapped in the amber of the moment. There is no why." (By Kurt Vonnegut)

2月14日に伺った「マイセルーチェ」のプレゼンテーションがご縁となり、当日、講演をおこなわれた伊藤実佐子先生が院長を務める「ウェルネスクリニック銀座」へお伺いしました。

 

ウェルネスクリニック銀座は、最先端の検査を取り入れた予防医学のクリニックであるとともに、美肌治療や身体のエイジングケア、コンディショニングを「切らずに」行える頼もしい美容クリニックでもあります。

せっかくの機会なので、どきどきしながら施術を受けさせていただきました。より浸透しやすい状態にトリートメントしたあと、マイセルーチェで使われていたヒト骨髄幹細胞培養上清をエレクトロポレーションにより入れ込んでいくというプロセス。エステの強力パワーアップ版という印象。心なしか引き上がったような。

写真は、伊藤実佐子先生です。メニューはホームページにも明記してありますし、伊藤先生は納得がいくまで優しく丁寧に説明してくださるので、不安材料は取り除いていけます。

 

新型コロナ騒動で過敏になっているこの時期は、いわゆる病院はできるだけ行かないほうがいいと言われておりますが、こちらのクリニックは病気の兆候が出てから行く病院ではなく、病気や老化を予防するための措置を行う場所なので、今の時期はむしろ穴場的エステのようなイメージでとらえていただくとよいかもしれませんね。

ウェルネス、というのはヘルスとどう違うのか?と考えた時に、このことばが助けになってくれます。

“Health is a state of the body.  Wellness is a state of being. ”  (By J. Stanford)

ヘルス&ウェルネスのための日常的な習慣として、(何度か書いていますが)私はビタミンCを長年、比較的大量に摂取しています。できる予防措置は、納得しながら、可能な限り行っていきたいですね。今はとにかくKeep Calm and Wash My Hands.

 

 

 

株式会社昇陽が満を持して世に出す幹細胞コスメ「マイセルーチェ(MYCELLUCE)」の発表会。

昇陽の取締役会長は元タニタの社長、谷田大輔さん、代表取締役は奥様の谷田光代さん。タニタといえばヘルスメーターやタニタ食堂でも有名ですが、そのタニタの社長だった方です。経営を息子さんに譲り、ご自身は引退されましたが、まだまだ社会に貢献できるということで、「健康」をテーマとするビジネスの延長として幹細胞コスメのブランドを立ち上げられました。元宝塚⇒女優⇒実業家の奥様は77歳。ご夫婦二人合わせて154歳の起業だそうです。

谷田大輔さんはタニタを引退後、中小企業機構を通じてコンサルタント先を紹介してもらいます。それがほかならぬリプロセル社。リプロセル社のiPS細胞でなにか事業ができないかと考えていたら、奥様が基礎化粧品を提案、そこから化粧品事業に乗り出したとのこと、このストーリーだけでも引き込まれました。

 

リプロセル社の提供した稀少な培養液を用いて、幹細胞培養上清液を作り、それを用いて安全性が高く、アンチエイジング効果の高い基礎化粧品を製造します。

ウェルネスクリニック銀座の伊藤実佐子先生によるかなり専門的な解説もありました。はじめて聞く言葉も多く、ついていくのもたいへんでしたが、肌が老化していくシステムに幹細胞がどのように影響力を及ぼすのかについて、話を聞きながらなるほどなるほど……と分かった気にはなれました。(が、説明を再現できない?)

株式会社昇陽の取締役 最高戦略責任者である石川和彦さんのブランドコンセプトの解説も非常に面白かった。印象に残ったのが、「ペディグリーがよい」ということば。pedigree 出自・血統という意味。ともにビジネスをおこなうにおいて、パートナーとなる会社にペディグリーが求められる、と。今回の場合、リプロセル社は「ペディグリーがいい」。なるほど。ブランド論にも応用可能な考え方です。


同じリズムを繰り返す、継続性と再生。月をコンセプトとしたパッケージも品がいい。期待大。

美容液「マイセルーチェ エッセンス」と「マイセルーチェ  フェイシャルトリートメントマスク」、3月20日全国発売です。

 

 

 

 

 

 

 

基礎化粧品会社イービーエムが展開する銀座のエグゼクティブメンテナンスサロン「ブルームオーラ・ザ ジャーニー」のことは、何度か本ブログでもご紹介しておりますね。

このたび、期間限定のトリートメントプランが提供されます。2020 年2月 16 日(水)~3 月 14日(土)まで、「売り切れ続出のガトーショコラ」KEN’S CAFE TOKYOとコラボレーションしたプラン。

(予約申込み期間:2020年2月 6 日(木)~2 月 29 日(土)、定員となり次第受付終了)

実は私も即、予約いたしました! ……のであと9名様、あるいはさらに激戦となっておりましょうか。

ブルームオーラ・ザ ジャーニーは、心と身体のバランスを整え、癒やしとエネルギーチャージを叶える、心身のメンテナンスサロンを謳っています。オールハンドによるトリートメントにより、心身の奥から解きほぐされるという印象です。テーマは「七感、輝く旅」。七感とは心がリラックスして自由な状態の時に、 直感や閃きが得られる感覚をさします。

ホワイトデー企画で、大切な方とご一緒に、あるいは大切な方へのプレゼント……と想定されておりますが、Self-Partneredであるワタクシは休みなく働いている(?)自分にプレゼント、というか、さらにたくさん仕事をするための必須のメンテナンスです。笑

 

 

 

☆KEN’S CAFE TOKYO コラボレーション☆ 限定トリートメント

『ブルームオーラ・ザ ジャーニー120 分エクスペリエンス』 通常価格 71,500 円⇒特別ご優待価格 22,000 円(税込)

<メニュー内容>ボディトリートメント 100 分+デトックス SPA20 分
EBMの「ローズガルヴァーニ」を使ったトリートメント。「ローズガルヴァーニ」 は、昨年 12 月、アジア優秀企業家連盟が主催する国際表彰『Asia Honesty Award 2019』にて「商品賞」も受賞しています。

全身の疲れやストレスが消えない、という男性にも 。

【ご予約】下記ご連絡先までメールまたはお電話で。 E-mail: info@journey-ginza.jp TEL: 0120-815-855 担当:元良さん 田中 さん

<店舗情報> ブルームオーラ・ザ ジャーニー

住所:東京都中央区銀座 3-4-1 大倉別館 4F 営業時間:11:00~21:00(最終受付 18:00) https://www.journey-ginza.jp/

*今回は、「売り切れ続出のガトーショコラ専門店」として人気の高い、氏家健治シェフが手がける 「KEN’S CAFE TOKYO」とのコラボレーション。限定プランを利用すると、「特撰ガトーショコラ」を 1 本プレゼントされるそうです。

 

 

 

 

富山の廣貫堂といえば、くすりの老舗。私が絶大な信頼を寄せている、海外には必ず持っていくお守り的な胃腸薬(胃腸が丈夫なのでめったに使わないですが……)は廣貫堂製。

 

その広貫堂から、エイジングケアのためのスキンケアコスメが発売されます。和漢のハーブ、酵母の有効成分を配合し、不要物は極力省いた、現代にふさわしい自然派スキンケア。

その名もSmuk 。デンマーク語で「美しい」という意味だそうです。


香りよく、保湿力も高い。価格も手ごろな感じに設定されているので続けやすいのもいい。個人的にも期待大。

 

さらに、スペシャルケアとして洗顔料やマスク、美容ドリンクなどをそろえる「レグル」(ものさしの意味)のラインも発売。

2月25日より、オンラインショップK-to. (ケート)で発売されます。
http://www.k-to-kd.jp



発表会場は表参道のバンブー。

2階のテラス。とても感じの良いレストランだったので、プライベートで再訪しようっと。


快晴ですが風が強く極寒の表参道。

地引由美さん主催のラ・コゼット・パフメにお招きいただき、新刊記念を兼ねた講演をさせていただきました。六本木の国際文化会館にて。

14種類もの高級香水のそこはかとないよい香りで、満席のお客様とご一緒にたいへん充実した時間を過ごさせていただきました。

香水をテーマにした会であり、地引さんも14ブランドもの香水のサンプルを用意してくださていたので、選ばれた香水ブランドに関連のあるクリエーターの話を中心に進めました。


(Photo@ Yumi Jibiki)

56人のクリエーターひとりひとりに思い入れがあり、ほんとうは全員について話をしたいくらいでしたが!

本も用意していった分が完売+不足分まで出て後日お送りするという前例のない事態に…。ありがとうございます。

 


(Photo @Yumi Jibiki)

お一人お一人、心を込めてサインさせていただきました。

 

(Photo @Ms. Kaori Tanaka)

14種類もの香水のムエットを、互いに香りが混ざらないように参加者の人数分用意し、かつ、当日も重い香水ボトル14個も持参して会を盛り上げる地引さんの香水愛にはいつもながら目を見張ります。

 

主催者の地引さん、スタッフの方々、そしてご参加くださいましたみなさま、ありがとうございました。

 

*当日の模様は、ラコゼさまのサイトに。こちら

*アンケートもとりまとめいただきました。自賛めいて申し訳ないのですが、一部ご紹介させていただきます。

「大変おもしろかった。ファッション雑誌の文脈では切り離して語られがちな人たちを横断的な視点で語っており、さすがの企画力だと思いました。(中略)一部のファッション好きだけでない、より多くの人にわかりやすい語り口なので『アート志向』をめざして山口周など読んでいるビジネスマンにも聴いてほしいと思いました」

「とても楽しく勉強させていただきました。最後の『何のためにビジネスをしているのか』ということばが刺さりました。数々のイノベーターのお話を聞いて、自分のこだわりはとにかく表現する!ことが大事だと改めて感じました。今年は恐怖心を乗りこえることがテーマの一つだったので、結果を気にせずまずは行動に起こしてみようと思います」

「とても有意義な時間でした。内容ギッシリで、本当に来てよかったです」

「先生のお話が楽しくて笑いが絶えず、あっという間でした。もっとお聴きしたいです」

「本日のお話も期待どおりでした。香織先生も楽しそうにお話くださりいっそうなごみました。アパレル史、装いの歴史をながめていくと、まさに時を反映していることに気づかされます。格差、差別をとりはらい人が自由に生きるための模索をこの中にも感じることができました」

……などなど、多くのあたたかいお言葉をいただき、励まされました。多謝。

 


 

“By Kilian” has released the first collection of lipsticks “Kilian Parfum Le Rouge Lipstick”.

The collection consists of 6 red shades with matte finish and satin finish. Only red.

 

High-intensity and luxurious pigments to create intense colour, velvet touch, silky finish and durability.

Here are 6 shades of red by Kilian. Each with Satin finish and Matte finish.

 

  • Heaven: intense bright red with orange undertone
  • Aphrodisiac:  a glamorous intense red with blue and orange shade
  • Prohibited :  luxury intense red with a cool blue undertone
  • Dangerous: elegant red with a blue undertone
  • Intoxicating :  a complex red with a neutral cool undertone
  • Devil: deep red with plum undertone

This is “Dangerous” Rouge with satin finish, which contains fragrance of Kilian. Durability and sensuality is great and It makes me feel romantic and intoxicated all day…   Recommend for the specific occasion of your holiday season.

フレデリック・マルの新作! これほど心躍ることばがあろうかというくらい楽しみにしていた新作説明会。エステー・ローダー本社にて。


(今年6月にオープンしたばかりのエステーローダー新本社。圧倒的にすばらしい眺め)

来日したグローバル・エデュケーション・ディレクターのルイーズ・ヴァンサンによるプレゼンテーションで、新作の背景を学ぶワクワクの一時間。

今回の新作はフレデリック・マルと名調香師ジャン・クロード・エレナが15年ぶりにタッグを組んだことでも話題です。

待望のRose & Cuir は「薔薇とレザー」。とはいえ、原料には薔薇も革も使っていないのです。薔薇も革も使わずに、薔薇と革のイメージを喚起する。しかもたった15の原料で。ぎりぎりそぎ落とした原料を用い、ひとつのイメージ世界を創出する。俳句のような、とても詩的な挑戦です。

薔薇の印象をつくる香料は、Timut Pepper という胡椒。なんとシトラス系でパッションフルーツの香りがする胡椒です。これがローズの一つの柱になります。


(このドリンクの上のほうに浮いている黒い粒が、ティミュット・ぺッパ―です)

もうひとつはBourbon Geranium 。きわめて稀少価値の高いゼラニウム。

このティミュット・ペッパーとブルボンゼラニウムを使って、薔薇のイリュージョンを創り出すのです!

そして一方のレザーはといえば、Isobutyl Quinoline (IBQ)という合成香料がレザーのイリュージョンを醸し出しています。この合成香料は「忘れられた」ものだったそうですが、久々に表舞台に登場。

 

この3つの原料、薔薇でも皮革でもない原料が、「薔薇とレザー」という二面性をもつ「静かなる嵐」の幻想を創出する。これまでにないクリエイティブな挑戦をした香水で、ドラマティック。

“It’s very Elena. But a new tone. New Chapter of Elena.” とはルイーズの評。

この日は新作に敬意を表して、「合成皮革で作られた薔薇のモチーフ」があしらわれたドレスを着ていきました(気合、入り過ぎ……笑)。タエアシダです。

私もNew Chapter へ移行しようっと。この秋は、このRose & Cuir とともにたくさんの思い出を作りたいと思います。

10月25日発売。20日は伊勢丹で先行発売されるそうです。知的で、ロマンティックで、「俳句のような」芸術的香水、ぜひ、店頭でお試しを。


エステーローダー社からの眺め。心が広がるような思いがする絶景。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。6日付は「キリアン」創業者、キリアン・ヘネシーの香水観について書いています。

コニャックのヘネシー家に連なる御曹司であることのメリットとデメリットを最大限に生かした、見事なブランディング。お近くに日経夕刊ありましたら、ご笑覧くださいませ。

ともあれキリアンの香水は、ずぶずぶと人を妄想世界に耽溺させます…。Good Girl Gone Bad のゴージャスで甘美な世界には、完全にやられました。

<追記>一日経ちましたのでアップしますね。

Men’s Precious コラムを更新しました。

フレデリック・マルの作品と装いについて。こちらです

マルとキリアン。まったく違うタイプですが、それぞれに装いと作品に一貫する哲学があります。(キリアンについてはこれから書きます。しばし!)

キリアン・ヘネシー来日祭り。2日目はアマン東京の個室にて、キリアンとランチをいただきながら少人数のジャーナリストとともにインタビューするという至福の時間でした。

ミューズである奥様にプロポーズしたときの様子、好きな映画、苦手な飲み物(バブル。シャンパンはクリュッグのみ好き)、ファッション、ランジェリー、週5回は食べるという日本食にいたるまで。パリでの行きつけの日本料理店は、8区にある「キヨミズ」。

ファッションに関しては「いつも同じ」。同じシャツ、同じ上着、同じようなジーンズがずらりとクローゼットに並ぶそうです。この日のウエストコートはマックイーン。ジョブズと同じ、ノームコアですね。やはりジョブズと同じ理由で、毎朝、服のことを考える時間を少しでも減らしたいから。自分にとって完璧なものがすでにわかっているからこそのスタイルですね。

昨日も思いましたが、襟腰の高いシャツをこれだけ胸下まで開けて品を保っているキリアンスタイルは、誰もマネができないでしょう。

「セクシーになろうとはしない。セクシーが私になろうとする」と刻印された限定10個のクラッチ。

セクシーの秘訣は、You have to be strong. Don’t dress for men.

好きな映画は「カサブランカ」「めぐり逢い」「風と共に去りぬ」。嫌いなファッションはトレンドのストリートウエア。奥様へのプロポーズにも「めぐり逢い」にからめた演出を。

インスピレーションの源は、旅、本、過去の香水、絵画、そして「ぼく自身」だそうです。

2日間にわたってどっぷりキリアンの世界に浸りました。ご高配を賜りました関係者のみなさまに心より感謝します。

香水界のロールスロイス、キリアンの調香師、キリアン・ヘネシーさまが来日しました。この日をどんなに楽しみにしていたことか。2日間にわたり、たっぷりキリアンと至近距離で話すことができました。なんという幸福。

初日は恵比寿のシャトー・ロブションでの会見。コニャックの名門、ヘネシー家の御曹司である彼がいかにして香水ビジネスに関わることになったのかというキャリアの経緯をたっぷり1時間ほどかけて。

ほぼ3年ごとに「転職」しているのですが、「幸運の星が常に僕の上に輝いてきた」と語るとおり(こう語っていやみにならない)、タイミングよく数々のすばらしい出会いに恵まれてキャリアを築いていらしたことに驚き。文字通り、幸運の星の下に生まれてきた方なんですね。

なんどか「ヘネシー家から逃げたかった」「コニャック以外の仕事を探した」という趣旨の話をなさっていたので、最後の質問コーナーで「なぜそんなに家業を避けるのか?」と聞いてみました。行く先々で「ああ、あのヘネシー家の御曹司…」という目で見られるのが負担で、家名ではなく、自分自身の力で何か事業を成功させたかったとのこと。家名を背負う御曹司の苦労、サラブレッドなりの野望というものがあるのですね。

さらに、各製品、パッケージへの思いや工夫が語られ、いちいち納得。バカラへの思い。香水ケーズが捨てられてしまうことをさけるために、徹底して細部にこだわっていること。レフィルは光と空気を避けるための完璧なテクノロジーの賜物であること。

そしてクラッチにもなるケースの誕生物語。奥様がある夜、バッグを忘れ、香水ケースをクラッチバッグとして持っていったことがヒントになっているそうです。

ため息ものの香水は、まさに芸術品。Good Girl Gone Badの「ミルフィユのように」重ねられた複雑な香りは中毒性がある。

日本ではこの秋に発売となるル・ルージュ・パルファム。香りつきのリップスティックは、赤のバリエーションだけで12色! 前列がサテン、後方がマットです。ケースも香水と連動する美しさで、なによりもなめらかな着け心地。前列左から3本目の「デンジャラス」という赤をつけてもらいました。それがこの写真です↓ ネーミングも香水同様、詩的で、キリアンの世界観を形づくっています。 

キリアンのジャケットはサンローラン、襟腰の高いシャツはパリのお仕立てだそうです。シャツボタンを胸下まで開けているのに品が保たれているという驚異の貴公子ぶり。

シャトー・ロブション庭のあじさい。キリアンの世界を受けとめるにふさわしいレストランでした。

アーティスティックな香水ブランド「リキッドイマジネ」の発表会に伺いました。南青山のモルティーニにて。

アーティスティック・ディレクター、フィリップ・ディメオ氏直々のプレゼンテーション。香水を通して想像力を刺激され、シュールでロマンティックな世界に遊んだ一時間でした。

リキッドイマジネの香水はすべて三部作から成り立っています。香水ひとつひとつが物語の魅力的なキャラクターで、3人が一つの物語世界を創り上げる、というイメージです。

彼は本物のアーティストだなと思ったのは、下の香水についてのプレゼンテーションを聞いた時。帰ってきたら自分のアパルトマンが火事になっていて、その燃え殻からヒントを得た……って……。筋金入りの芸術家だわ。

イメージ源も実際の香りも想像を超えるレベルの香りの数々だったのですが、とりわけ私が悩殺されていまったのは、ドム・ローズ。シャンパンとバラがメインテーマの香りですよ。もうくらくらしました。イメージ画像も耽美的。

このたび発表されたのは、新たな三部作、オーデラメ(魂の水)のシリーズの第1作目、ボーテ・デュ・ディアーブル。イメージモデルはケイト・アンダーウッド。

「あなたはその香水を手に入れるためなら、悪魔に魂を売ってもかまわないと思うでしょうか?」それほどの誘惑力をもつ香水、がテーマ。混沌とした不協和音。未知の世界。心がざわざわ。

発表会場になったモルティーニの雰囲気に、リキッドイマジネはぴったりでした。モルティーニはイタリアの高級家具ブランドですが、静かで、一筋縄ではいかないラグジュアリーな雰囲気を醸し出します。

照明もドラマティック。

モルティーニとリキッドイマジネの幻想的なコラボ。秘儀的で、詩的で、官能的で、新たな冒険に誘う香水の、ひとつのマニアックな極みの境地を見るような作品群でした。

キリアンから4月5日に発売されるLove Don’t Be Shy Eau Fraîche を試香させていただきました。


グルマン系の真骨頂、食べてしまいたくなる恋の香り。白とゴールドの光のオーラはまさしく恋の高揚をイメージさせます。

黒バージョンのLove Don’t Be Shyは妖艶な夜闇に似合う。

これで何も起きなかったらまちがっているというレベルの誘惑力。中毒性があります。神話からインスパイアされたという柄の、鍵つきケースも魔力を感じさせます?

ヘビのケースはGood Girl Gone Bad のもので、クラッチにもなる。アダムとイヴの物語をイメージ。


香りだけでキリアンの耽美世界にずぶずぶ溺れそうなひとときでした?

キリアンは、アートとしてのパルファムを謳うブランドです。

プロデュースするキリアン・ヘネシー氏は、セクシーな超美男。コニャックで有名なヘネシー家に生まれています。幼少期はヘネシー家の城で過ごし、コニャックセラーに漂う芳醇な香りに包まれて育ったそうです。ソルボンヌ大学を卒業するときに執筆した論文は、「神や運命との共通言語としての香り」。創る香りの次元が違う。ファッションブランドの香水(ももちろん悪くはないのですが)と一緒に語ってはいけない別格感があります。

香水の奥深き威力を知りたい方、一度キリアンの世界を試してみてください。

I wishes you and your loved ones a lucky, healthy and prosperous New Year!

さて、春節には、イギリスのクラシック・ラグジュアリーブランドであるアスプレイのティーパーティーにお招きいただきました。銀座サンモトヤマにて。

Aspreyは1781年創業のイギリスのラグジュアリーブランド。王室御用達です。メーガン妃が結婚披露宴のときにつけていたアクアマリンの指輪も、もとはダイアナ妃がつけていたものですが、アスプレイ製でしたね。

陶器、バッグ、ジュエリー、香水、布製品、インテリア小物などなんでも作っています。フランスにエルメスがあるように、イギリスにアスプレイがある、と喩えたらわかりやすいでしょうか? 贈り物をもらう瞬間、エルメスのオレンジの箱にときめくように、アスプレイのパープルの箱にときめくという感じ。

上の写真、ウェルカムシャンパンから、アスプレイならではのシャンパングラスに。内側が金で塗られているのですが、ずっと冷たいままで、泡が消えにくいのです。

アスプレイジャパンの社長を15年もつとめる中村之夫さま直々のプレゼンテーションにより、アスプレイの歴史やイギリスの工房の様子などを学びます。

新作のバッグを手に取ってじっくり解説を聴きながら撮影会。

この深いグリーン、落ち着きと品格を備えながらモダンです。
ミレニアム仕上げされたクロコ。あまりのつややかさとセクシーな色に陶然とします。
左はパイソンのポシェット。あえてフェイクっぽく表面を加工しているそうです。中央のローズペタルの167ミニ、かわいいですね。オプションで部品をいろいろつけかえることで、自分オリジナル仕様にすることができます。
こちらは印伝。鹿革にうるしの仕上げ。美しすぎ……

ジュエリーもひとつひとつが芸術品クラスなのですが、たとえば上は「カオス」というシリーズ。石のひとつひとつ、大きさも種類も違うんですが、全体としてブルー系でまとまっている印象になる。イギリスの多文化主義を象徴するシリーズだそうです。

シルバーウエアも茶目っ気たっぷりで楽しい。ロケット型のカクテルシェイカーはすでに有名ですが、上は、ピッグの貯金箱。

こちらは、エッグスタンド。リアルなひよこの脚がついています。こういうのに入ったゆでたまごは、正装した執事にもってきてほしいところですよね。(どこにおるんや……笑)

「カオス」のブルーネックレスの臨時モデルになっておりますよ。ひよこエッグスタンドのアンバサダーのほうが似合っておりますが。

リッツカールトンで使われているのがアスプレイのアメニティですね。高級感とさわやかさとセクシーさ、すべて備えた、深呼吸したくなるような香りです。中央、フレグランスのボトル部分がギザギザになっているのですが、ここでマッチをすると火を起こすことができるのだそうです。ジェームズ・ボンドがそうやって葉巻に火をつけるとキマリそう?

ブルーのクロコバッグとブルーの「カオス」です。中村社長がもつのは珍しいグレーのブリーフバッグ。

中村社長のビジネスの現場のお話から、知らなかったイギリス文化のことも学ぶことができて、たいへん楽しい春節のお茶会でした。ありがとうございました。

アラブストリート。

ベタですが、モスクを背景に。


目的の一つは、香油を買うこと。ジャマール・カズラ・アロマティクスさんで、いろいろ香油を試しつつ、2種、購入してきました。

同じ香料を使っていても、アルコールを使うものと、使わないものでは、まったく違う印象の香りになるのですね。中東の歌姫ナジワ・カラームにインタビューしたとき、別世界の人のようないい香りがしていたので聞いてみたら、アラブの香油と西洋のパフュームの重ね使いでした。以後、私もいつかチャレンジするぞと思っていたので、念願が叶いました。幸いなことに、フレデリック・マルと非常に相性が良いことを発見。

それにしても日本人のお客様が多いのですね、この店は……。

日本でいえば竹下通りのようなハジ・レーン。おしゃれなショップがひしめいております。


アートな店舗も。

これもかなり目をひきました。背景の高層ビル群とのコントラストがシンガポールらしさですね。午前中でしたので、飲食店はまだ開いてません。

高い湿度と暑さでじわじわ汗ばむ気候。鳥さんも水たまりの水を飲んでます。

 

日本経済新聞 土曜夕刊連載「モードは語る」。本日は、香水ビジネスのゲームチェンジャー、フレデリック・マルについて書いております。

よろしかったらご笑覧ください。

香水は「成分を並べられてもわからない」という意味で、「料理と似ている」というマル氏。素材だけを列挙されても、どんな料理が出てくるのかわからないのと同じということですね。料理が発達しているフランスで香水も発達したことにはしかるべき理由がある、と。

 

フレデリック・マル祭りが続きます。フレデリックを囲んで、小人数でのランチという贅沢きわまりない会。パレスホテル「クラウン」個室にて。

質問に対する回答を兼ねたお話ひとつひとつが、詩的で、時にユーモラス、時に皮肉まじり、時に論理的、時にあとからじわじわくる……とまるでフレデリック・マルの香水ラインナップのようでした。いつまでも話を聞いていたかったなー。ほんとに素敵な語り口だった。芸術家にしてビジネスマン。


時間が限られていたのが惜しかったですが、最後に、フレデリックから直々にシグネチャー・パフュームを選んでいただきました。


私の印象は、Lipstick Rose だそうです。とても華やかな、鮮やかな色彩を感じさせる香りです。光栄ではありましたが、自分が自分に抱いているイメージと、人が自分に抱く第一印象はほんとに違うんだなといつも思う…。私は素朴で地味な人間で、華やかさとはもっとも遠いんだけどね。華やかな場に出入りすることが仕事上、多く、場に敬意を払った服を着ていくと(←こういう行動そのものが愚直でしょ?笑)華やかな錯覚ないし誤解を与えるのですね、おそらく。

今回は時間がなかったので、フレデリックはそれぞれのゲストにほぼ第一印象だけで銘柄を選んでくれたのですが、パリでお客様にシグネチャー・パフュームを選ぶときには、じっくり時間をかけてお客様の話を聞いてから選ぶそうです。お客様は赤裸々に、時に人生のすべてを(罪までも)告白してしまうんだそうですよ。だからフレデリックはパリの顧客の私生活を全部知っている。笑 まるで神父さまですね。

要は、これまでの人生を作ってきた内面+こうなりたいという未来の理想の先に、ぴったりの香水がある、ということですね。なるほど、香水が人生と密接に関わっているフランスならではの考え方。

お話を聞いて得た収穫はあまりにもたくさんあるのですが、近日中に活字でまとめます。インスタグラムで反応があったスーツのことも詳しく聞きましたよ! 正統な紳士文化(スーツ文化)を継承している、グローバル・ジェントルマンでいらっしゃいます。

Uomo、Ginza、Figaro、Numero、Precious各誌のすてきな編集者のみなさま、ありがとうございました。エステー・ローダーさま、キャンドルウィックさまにも心より感謝します。(この日はフレデリック・マルに敬意を表して、マルカラーの赤×黒を着ていきました)

 

 

 

 

フレデリック・マルが日本に再上陸します。フランス大使公邸で発表会がおこなわれました。

フレデリック・マルの叔父は映画監督のルイ・マル。祖父はパルファン・クリスチャン・ディオールの創設者セルジュ・エフトレ=ルイシュ。母もその部門で長らく指揮をとっていたという、サラブレッドですね。

フレデリックはニューヨーク大学で美術史と経済学を修め、卒業後は広告代理店での経験を経てから、プレステージフレグランスのラボとして知られるルール・ベトラン・デュポンに入社。そこで多くの調香師たちと出会い、彼らと親交を深めながら膨大な香りの原料に対する知識や調合、構成などに対する造詣を深めていきます。

多くの香水会社が「ブランドイメージ」「キャンペーンモデル」「パッケージ」「ローンチパーティー」などに奔走するなか、フレデリックは主役である「香り」そのものに焦点を取り戻すことを考えます。

そして2000年、「エディション ドゥ パルファム」(香りの出版社)を掲げた自身のブランド、「フレデリック マル」を創設するのです。

フレデリック自身は、編集者として、調香師たちを「作家」「芸術家」として扱い、彼らに自由に芸術作品を創作させ、彼らのそれぞれの名前を冠した香水を世に出すのです。つまりフレデリックはブランドのCEOにして、作家の能力を引き出す編集者。このあり方じたいが本質的ながら斬新で、持続性もある。結果、本物を求める香水愛好者たちから絶大な支持を得ています。

私自身、フレデリック・マルのことは、10年以上前に伊勢丹メンズに入ってきたときから知っておりましたが(OPENERSでバイヤーと対談しました)、その後日本で見かけることが少なくなり寂しく思っていました。このたび、エスティ・ローダー社がグローバルに事業を展開します。なんと心強いことでしょうか。

発表会ではマル氏のスピーチのあと、作家の平野啓一郎さんとの対談がおこなわれました。平野さんは、マルのコレクションの香水のタイトルの日本語訳を作ったそうです。やはり、「文学者」の訳なのですね。「享楽之華」とか「口づけの薔薇色」とか「スヰートアカシア」とか……。やや気恥ずかしさもありますが……(^^;)

スピーチからも対談からもとても多くを学ばせていただきました。とりわけ印象に残った言葉をメモメモ。(重複した発言などは、私の印象としてまとめてあるので、そのままの言葉ではないことがあります)

・一流の調香師たちに大衆向けの香水を作らせるのは、F1ドライバーにタクシーの運転手をさせるようなもの。

(中野註:タクシーの運転手をおとしめているわけではもちろんありません。ジャンルが違う、という喩えです。)

・現代は10㎝ほどのスクリーン(スマホですね)のなかですべてが完結するようなところがある。でもほんとうの満足はそこにあるのか? 私たちはスマホにできないことがやりたい。インターネットで再現できないこと。それは香りであり、人が愛を交わすことではないか。「人が愛を交わすことがなくなったら私たち香水会社は倒産してしまう」。

・人間が人間であり続けるために香水がある。

・香水はセンシュアルな欲望を育て、インティメートな関係を深めるためのもの。人と人との関係を近づけるためのもの。(スマホは逆に人と人との距離を遠ざけている)

・今後、ロボット向けのフレグランスが出るかもしれないが、ルームフレグランスと人間用香水を差別化しているように、ロボット用香水と人間用香水は分けて考えるべき

・香水の名前の役割とは、方向性を失わないための道しるべ。

・フランスの作文教育では最初に2時間程コンセプトを考えさせる。その後、2時間かけて実際に書いていく。香水もまずはコンセプトを考えるところからスタートする。

・香りを表現するために作られた言葉はない。だから調香師たちとは、料理や化学に使われる言葉を使って、独自のコミュニケーションをとっている。

100人ほどのゲストがいらした中、本物の(!)香水の香りにひたりながらもちろん最前列で聞いていたので、細部もよく見えました。フレデリックはスーツの着こなしもすばらしいのですが、カフリンクスがポップな黄色だったのね。ちらっと、わかる人にしか見えない。そしてポケットチーフもペイズリーっぽいのが5ミリほどしか見えない。こういうの発見すると、うれしくなるわ~。お宝さがしみたい(コドモか……(^^;))

 

みなさまもシグニチャー・フレグランスを探してみてね。私は「ポートレート・オブ・ア・レディ」に脳天をやられました。メンズにおすすめは、「ムスク・ラバジュール」かな。ジョージ・クルーニーもこちらを愛用しているそうですが、まさにそういうイメージ。男女ともに使える香り。

とはいえ、全種類、それぞれにまったく個性が違うので、すべて、お勧めといえばお勧めなのですが。同じ香りでも、人によって違う印象になるので、いろいろ試してみるのも楽しそうですね。意外な自分の一面を発見できるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

読売新聞 金曜夕刊連載「スタイルアイコン」。

本日は、キム・カーダシアンについて書きました。

この人だけは取り上げるのをやめとこうと思っていたのですが、さすがに科学者が「カーダシアン指数」というのを持ち出すまでになると、それはそれで現代を象徴する人なのかと。

お近くに読売夕刊がありましたらご笑覧ください。

 

 

さて、カーダシアンついでに。

記事の文中で、「キム・カーダシアンも愛用」という惹句をつけると売れる、という趣旨のことを書きました。

まさにその製品のひとつ、ロディアルの ドラゴンズブラッド リップマスク。

キム・カーダシアンが自身のインスタでこのマスク(下の赤いパッケージ)を愛用中の写真をアップしてました。不気味な説得力のある写真でした。笑

上のピンクのマスクは、肌が夏枯れしてる今の時期にもお勧めのマスクです。ピンクダイヤモンド フェイスマスク。ダイヤモンドパウダー配合のバイオセルロース素材のマスク。

ロディアルはイギリスのブランドで、設立者は元美容エディターのマリア・ハッチステファニス。スネークシリーズとか、ドラゴンズブラッドシリーズとか、名前がおどろおどろしいのですが、最先端テクノロジーを駆使した美容製品を続々出しているセレブ御用達コスメブランドです。

ピンクダイヤモンドのフェイスマスクは8枚で18000円とお値段もよいのですが、効き目も確実。ハリ、艶、一気に上がります。勝負をかけたいプレゼンや登壇など、大切な日の準備に。

 

 

 

美容室Zeleネットワークのスーパースタイリスト講座。真夏の240分、今年も楽しく終えました。

午前中は最近のトレンドワードとセレブリティヘア。午後は、時代を作ったスタイルアイコンやデザイナーについてのレクチャー。

こんなワードを聞いて、髪型が連想できますでしょうか? Messy Bun.  Blunt End.  Growing Out Shag.  Super Sleek. Lob. どれも、ここ1年くらい頻出しているヘアスタイルに関するトレンドワードです。今は、反エレガンスの時代なのかな、という印象。でも、流行は刻々と変化し、らせん状に「次」へと進んでいくはず。

スーパースタイリスト候補のみなさん、がんばりましたね! 楽しい講座だったとはいえ、さすがに終了後の記念写真では(私が、ですが)疲れが出ておりますな。

来年もより充実した講座ができるよう、研究を怠りなく続けたいと思います。

 

 

秋のイベントの打ち合わせや会議なども続きます。高輪の日本庭園は静かな別天地です。

こちらはザ・プリンスさくらタワーの「チリエージョ」から臨む景色。

新高輪プリンスホテルのロビーラウンジMomiji からは、プールも見えるうえ、ピアノ生演奏にも癒されます。おすすめの涼みスポットです。

 

Miller Harris の新作発表会。CEOのサラ・ロゼラム氏が来日、プレゼンテーションがおこなわれました。南青山のAglaia Intellectual and Comfortにて。

新作は、Scherzo (スケルツォ)とTender(テンダー)。ともにサラが、スコット・フィッツジェラルドの「Tender is the Night 夜はやさし」から着想を得たそうです。

Scherzoの調香師は、フランスのマチュー・ナルダン。グラース生まれ、調香師の家庭で育った生え抜きの「ネ(nez 鼻=調香師)」ですね。


タンジェリン、ダヴァナから始まり、ハートにダークローズやピットスポウム(トベラ)、ナルシス、そしてラストにはバニラやウード・ウッドが残ります。

一方のTenderはベルトラン・ドゥシュフールが調香。ロックなパフューマーであり、環境に配慮したオリジナル作品を生み出すことでも知られます。

ピンクペッパーやグリーンヒヤシンスから始まり、ハートには徐々にインクブラックへと変貌していくブラックチューリップ、そしてラストにはアンバーやサンダルウッド、ミルラ、フランキンセンスが神秘的な印象とともに残ります。

インスタ映えよきように(!)本とともに美しく飾られたミラー ハリスの「Scherzo」と「Tender」。香水はやはり文学と相性がいいと納得したプレゼンテーションでした。

ちなみにパッケージデザインも考慮されており、万華鏡のように色が立ち上っていくイメージと、多様な香りが立ち上っていくイメージが重ねられているとのこと。なるほど、「アーバン」で「ボタニカル」なドラマティックなデザインです。

CEOのサラと記念写真。ファッションテキスタイルを勉強した後、アスピナルというバッグブランドへ就職、その後、香水業界へ転身し、ペンハリガン、ラルチザン・パフューム、モルトン・ブラウンなどを経験。香水愛があふれる、パッショネイトで知的な方でした。

ふたつの新作はともに5月25日全国一斉発売。(三越伊勢丹ではすでに先行発売中)

 


“Dior, The Art of Color “展が表参道のSo-Cal Link Gallery で開催されています。11日のプレオープンにお招きいただきました。

 

ディオール・ビューティーの歴史は、1949年に始まる。この年、ディオール本店で「ルージュ ディオール」が限定品として紹介されたとのこと。

1967年からセルジュ・ルタンスが、1980年からはティエンが、アーティスティックイメージディレクターに就任。

現在はピーター・フィリップスがディレクター。ディオールメゾンの真髄である「カラー」のすばらしさを表現。上のアイシャドウパレットは、今回の展示において数量限定で発売されます。


アートブック、The Art of Color は2016年に刊行されています。今回の展示では、このアートブックで紹介されている、ディオールの歴史を築いてきたアーティストたちの作品と言葉が堪能できます。


こんな「カラーレス」メイクも、ディオールの手にかかるとゴージャスですね。

ビューティーの可能性があらゆる角度から追求されており、脳内に多彩な美のイメージを蓄積するには格好の展示です。本も買えます。巨大ですが、コーヒーテーブルブックとしてひときわ存在感あります。

(Click to amazon)

 

Dior Art of Color

4月12日(木)~21日(土) 11:00~19:00 土曜のみ21:00まで。

会場 表参道SO-CALL LINK Gallery

#diortheartofcolor

 

 

“Pink isn’t just a color, it’s an attitude!” (By Miley Cyrus)

 

 

The Prince Gallery Tokyo Kioicho. 時間がとれないけどリフレッシュが必要なとき、遠いところまで旅行にいかなくても、非日常の世界にトリップできるホテルです。

部屋から見える富士山。

 


朝食のブッフェも、新鮮で良質な食材が豊富に並びます。



こちらはトリュフ入りオムレツ。




スパKIOIではアンチエイジングライン、スイス・パーフェクションを使った施術が受けられます。


紀尾井町名物? インフィニティ・スパで体をあたためてからトリートメントに入ります。


今回、こちらでブライトニングフェイシャルのコースを受けました。きめ細やかなおもてなしと芳しい花の香り、和楽器を使ったヒーリングミュージック、適度に落としたあたたかな照明で、五感をリラックスさせてくれます。技術も高く、施術後はかなりつやつや。リピートしたくなる効果は確実にあります。

こちらはカップルでも施術を受けられるスパスイート。日が落ちてからの夜景を見ながらここでエステサービスを受けられたら至福ですね。

すっかり生き返りました。明日からまた爆速で書きます。

昨日は新宿のホテルで次男の学校説明会。知識を得るということがいとも容易くなったいま、得た知識をどのように表現するのか、いかに社会と接点を作って世の中に役立てていくのか、熱中できるニッチなことをどのように社会とからませていくのか、教育の主眼がそちらに移っているということを実感する。学校で授業をするならば、youtube やパズドラより面白いものにしなくてはならない(!)。教師のライバルはyoutuber。だから教師のメインの仕事は一人一人に向き合うコーチングにシフトしていく。5年前の「職業」の枠組みや価値観は5年後には「過去」のものになっているだろう。

(写真のホテルは会場となったホテルの近くだったので帰途に立ち寄りました)

子供の将来を考えながら自分の仕事のあり方もあれこれ考えさせられた良い機会でした。

追加したpdfの中から。続きです。いつか未来に「過去にはこんな見方もあったのか」という資料として誰かの役に立つかもしれないし、何の役にも立たないかもしれない。紙の雑誌も5年後あるのかどうか、なんとも予測できない時代ではありますが、「こんな誌面のデザインがあったのか」という点で面白がられることがあるかもしれない。フォントが揃わずお見苦しく申し訳ありません。いったん他に転記して揃えてから戻す、などいろいろ試しましたがリンクが消えてしまったりと素人には難しく、サポートに聞いてもうまくいきませんので、このままでご寛恕ください。

 

 

 

 

 

 

 

新たに追加した過去作品pdfのなかからピックアップしました。とりわけメンズファッションに関し、10年以上前に書いたり言ったりしていることのなかには、「歴史」になった話もありますが、実はそんなに古くなっていないものも多い。メンズファッションが大きく変化していないからか。たぶんそれも一部。あるいは本質をついているからか。後者が少しはあると思いたい。未熟だったりダサかったり気負いすぎていたりする過去の自分を消去したいのが本音だが、そういうダメだった自分を救えるのも自分しかいない。10年後、今の仕事を見て「なかなかきちんとやっていたな」と納得できる、そういう仕事を今、現在やり続けていかなくてはいけないのだとあらためて自戒。順不同です。ここにピックアップした以外のものは、etc.の欄に。

 

 

 

 

過去作品pdf化できたものシリーズ。前回、子供に任せたら何が何やらわからなくなり、しようがないので自分でやってみたらおそろしく手間がかかることが判明。追々、仕事の合間に不定期にアップしていきます。そうこうするうちにも次の締め切りくるし。単行本もあるし。合間っていつ。

順不同です。自分で書いたものが主ですが、インタビューを受けたものもあり。インタビューを受けた記事は「談」と書いてあります。タイトルをクリックするとpdfにとびます。不備あればお知らせください。

「ジョルジオ・アルマーニというブランドが男のスタイルにもたらしたもの」  (Men’s Precious 2015年5月号 2015年4月6日発行)

・ 「ラ・マルセイエーズを! たかが酒場のワンシーンに込めし『尊厳』」(Men’s Precious 2014 年11月号 2014年10月6日)←「カサブランカ」はボギー絶賛ばかりなのですが、実はヴィクター・ラズロのかっこよさが見逃されているのではないかというお話。夫にするならヴィクターだろう

・ 「真夏の夜の嵐」(クロワッサンPremium 11月号  No.60  2012年9月20日)←めずらしく小説スタイルで香水を紹介してみた

 「愛に理由などありません ~『アンナ・カレーニナ』~」(WWD 2013 Spring 2013年2月25日)

・ 「これで王妃もギロチンへ行けるわ ~『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」(WWD 2012 Winter 2012年11月30日)

・ 「ファッションに見る平和のムーブメント」(25ans 6月号 No. 429 2015年4月28日)談

・ 「クール・ビューティーの心意気」(ミセス 7月号 No.691  2012年6月7日)

・ 「オヤジが巻物を必要とする理由とは?」(LEON 3月号 No.137  2013年1月24日)談

・ 「時代を超えて人々の記憶に輝き続ける60~70年代のジェットセット・スタイル」(Men’s Precious × Precious 2012 spring 付録 「Gucci 男と女の旅する名品物語 2012年4月6日)

・ 「品格こそサクセスの条件」(25ans 2012年1月号 No.389 2011年12月26日)

 

 

The Show must go on.

 

ラ・コゼット・パフメ第10回のゲストとしてお招きいただき、「ファッション史から読み解く香水」をテーマに講演しました(25日)。日仏会館にて。21種類もの香り(新製品の試香を加えればそれ以上)を試しながらの濃厚な120分でした。

参加者のレベルが高く、美容・香水のプロフェッショナルの方のみならず、会議通訳の方、広報の専門家、空間デザイナーなど、各分野の勉強熱心な方がずらり。専門家ではなくとも関心の高い主婦の方やブログ読者の方もいらしてくださり、熱心にノートをとりながらご参加くださいました。

一番の驚きだったのは「20年前、駒場で中野先生の授業を受けていました。もう一度ぜひ先生の歯切れよい講義が聞きたくて今日はやってまいりました」と言ってくださったお客様(にして元学生さん)。20年前の駒場。東大教養学部で英語の非常勤講師をしていた頃です。一クラス100人程度の授業だったのでお一人お一人は覚えていないのですが、なんとまあ。どこでどんな風につながるかわからないものですね。あの頃も一回一回の授業に準備の時間をかけ、学生の関心をひきつけておくために細部まで工夫を重ねていました。(同僚には、時間の無駄、と笑われながら。)こうして20年経ってそのように記憶し、わざわざ来てくださる元学生がいる。当時の「無駄な努力」が少しだけ報われたようで、感無量でした。

男性の参加者も3名いらして、彼らのコメントも鋭く、ユニークな見方に盲点をつかれます。

たとえば、No.5がたっぷり配合された合成香料アルデハイドの原料香に対し、男性からは「カブトムシのにおい」とのコメントがあったのです。そして賛同するもう一人の男性。これには意表をつかれました。まさかのカブトムシ。シャネルNo.5が男性ウケするのは、実はそのあたりに理由があるのか?!(子供の頃遊んだ、なつかしいカブトムシの匂い……って? 笑) ほかにも仰天ものの例えが多数あり、参加者の表現力にうなりました。

 

主宰の地引由美さんは、多数の香水ボトル現品をご持参くだったばかりでなく、下準備として人数分のムエット(試香紙)に試香用の香水をつけてご用意くださっておりました。おかげさまで、ぎっしり詰め込みの内容だったにも関わらず、ムエットの用意に手間取ることなくスムーズに話を進めることができたのです。感謝!

最後には大輪の薔薇(All for Loveという名)までご恵贈いただき、感謝感激。忘れがたい一日になりました。ご参加くださいましたみなさま、主宰者の地引さん、そしてきめ細やかな心配りでサポートしてくださったアシスタントのみなさまに、重ねてお礼申し上げます。

 

 

 

 

 

近年盛んな企業アロマの話に関連付けて、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町で使われているオリジナルアロマを入り口で焚き、みなさまをお迎えしました。日本らしさ+最先端というホテルのイメージをより鮮やかに脳裏に焼き付ける、深みのある上質感と落ち着きを感じさせるアロマです。フランキンセンスの効果が比較的強く出ることもあって個人的に気に入っており、自宅ではリピート使いしています。(ザ・プリンスギャラリーのベルデスクで購入できます。) 機会がありましたらホテルに足をお運びいただき、この香りを体感してみてください。

フランキンセンスはキリスト生誕の際に東方の三賢者から贈られた三つの贈り物のひとつで「偉大なる預言者となるように」との願いがこめられていたと伝えられています。インスピレーションを冴えたものにしたいときにはおまじないがてらフランキンセンス!です。

 

<追記>

ラ・コゼット・パフメのウェブサイトにも、ご参加くださいましたみなさまのお写真を中心に詳細が紹介されています。

 

 

 

Ferragamo Signorina in fiore 発表会にお招きいただきました。22日、パラッツイオ・ドゥカーレ麻布にて。2.22.2017.4

シニョリーナシリーズからの新バージョンです。トップは梨シャーベットと柘榴、ミドルに桜とジャスミン、そしてラストノートにサンダルウッドとホワイトムスクが香ります。2.22.2017.3

ロマンティックでフェミニンな印象に仕上がっています。恋の喜びに輝く華やかな笑顔の女性がイメージされています。

2.22.2017.2

調香師のエミリー・コッパーマンが来日、発表会後に、小一時間ほどインタビューの機会をいただきました。

エミリーはとてもフレンドリーな女性で、なんと4児の母。下は5歳から上は18歳までの子育て真っ最中。

この日は、インタビューとプレゼンテーションが続くハードな一日で、その最後の仕事だったらしいのですが、まったくお疲れも見せず、終始、明るい笑顔を絶やさず丁寧に答えてくれました。

2.22.2017.5

以下、インタビューを通して伺うことができたことの一部。

・最近の香水のトレンドは、「ソルティ」。エダマメ(英語でもエダマメなんです)やピーナッツ。あるいはプレッツエルのような、塩っぽくて甘さもあるというのがトレンド。「グルマン」系の香りの延長にある。(今回のシニョリーナはソルティではありません、念のため)

・薔薇は多くの香水のベースになっているが、とても大きな可能性を秘めており、異なる香料を掛け合わせることで、まったく思いもよらなかった顔を見せる。男性用の薔薇の香水は、その点、チャレンジのしがいがある。掛け合わせるハーブなどによって、きわめてマスキュリンな局面が現れてくる。

・今回の「シニョリーナ」には主張の強い花を一切使わなかった。強く主張しすぎず控えめな、甘く優しくロマンティックな女性を意識した。(これは日本の男性が女性に求める要素そのままですね、という同席の男性ジャーナリストからのツッコミ)

・桜の花じたいは、香らない。香料として使うときに大切なのは、「桜のフィーリング」。ウォータリーでパウダリー、というのがエミリーの桜に対するフィーリング。

・香水は、パーソナリティとキャラクターをまるごと表現するものであり、「souvenir of memory」。その香水をかぐだけで、その人のことすべてが思い出される、エモーショナルなもの。(everything!とエミリーは強調)

エミリーとともにパーティー会場に戻り、どさくさにまぎれてフォトスポットで撮影。

 

Salvatore Ferragamo Signorina in fiore オードトワレ インターモード川辺より3月1日発売です。

 

 

27日、Nina Ricci 新作フレグランス発表会にお招きいただきました。

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Les Belles de Nina. Nina とLuna。Ninaは赤いボトルに入ったトフィーアップルの甘いグルマンノート。10年前に発売されて人気だったこの香りに、「親友」が見つかった、というコンセプトです。今回新しく出たのが、Luna。こちらはパープルのボトル、梨のさわやかさと官能性をあわせもつ香りです。調香師はファブリス・ペレグリン。

香水単品では、それほど目新しさを感じさせるものではないのですが(失礼……もちろんフレッシュで好もしい香りであることにはまちがいないのですが、ターゲットはミレニアル世代)、今回、衝撃を受けたのは、そのコンセプトでした。Nina とLuna、これは女性のカップルフレグランスでもあるのです。

 

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カップルと言っても、同性愛ではない。これはミレニアル世代のフレンドシップをコンセプトにしているのだそうです。

いいときも悪い時も感情を分かち合い、さらにそれをSNSで世界とシェアすることで、ますます友情の絆を強くする。二人でいると、より強く、自分らしくいられるという、SNS時代の親密なフレンドシップ。実生活でも親友という二人のモデルがイメージモデルをつとめています。

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似ているようでタイプが異なる二人が、互いに手をとりあってフェミニニティを追求する冒険の旅に出る……。このようなコンセプトが提示された時には、ええっ!?と椅子から転げ落ちそうなほどの(陳腐ですが、まさにそんな感じ)ショックを受けましたよ。Friendship is the New Couple.

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世界とシェアすることでさらに強まる友情の絆。男性の入る余地はない。笑

そこはかとなく不気味だ…信じられない…と感じた私は古い時代の人間でしょうか。マーケットは確実にミレニアル世代にヒットするように移っている。

SNSによって友情のあり方も変わる。異性(というか現在あるいは未来の恋愛対象)目線が皆無のフレグランスなんて、前代未聞ではないのか。ともかくも、現代を映し出す、斬新なコンセプトのカップルフレグランスの登場です。

 

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軽いカルチュアショックとともに発表会会場をあとにしました。すてきな場所でした。

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SNSシェア用のプロモーションの装置は完備。屈託なく「フレンドシップ」を誇示する「カップル」が想定されていたなか、一人の私はなんだか居心地悪そうにしておりますな。笑

 

*ニナリッチ「ニナ」はすでに発売中。「ルナ」は2月24日発売です。INTERMODE KAWABEより。

シスレーの新製品発表会にお招きいただきました。南青山スパイラルホールにて。

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フィトブラン・ブライトニング・デイリー・デフィエンス。美白・保湿・保護・下地の全ての効果を備えた、日中用総合美白美容乳液です。SPF50 PA++++ という強力な防護効果なのに、白浮きせず、ラベンダー、マジョラム、セージのアロマティックな香りでのびもよく、快適なつけ心地です。癒しという効果も含めれば、一本で5役?!

都市部に暮らす女性は、地方より、シミ発生率が20%も多いのだそうです。紫外線ばかりでなく、大気汚染、ストレスといったものもメラニンを発生させる刺激要因になるのだとか。

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目に見えなくても、毛穴から浸透するという微粒子汚染物質の存在を知ったからには、早目に防御するにこしたことはないですね。

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2017年2月1日発売。50mlで29,000円。
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シスレー・パリ アジアパシフィックのマネージング・ディレクター、ニコラ・シャニエ氏です。

Diorから新しいスキンケア、Capture Total Dream Skin Advanced が発売されます。開発にかかわった二人の科学者が来日、インタビューの機会をいただきました。

エドアール・モーベーズ=ジャービス博士はディオールの科学的・環境的分野のサイエンティフィック・コミュニケーター。

そしてアルノー・オーベール博士は神経科学のエキスパートで、トゥール大学上級講師。

質問のテーマは「社会性のある美しさ」。ここぞとばかり、日頃の疑問をぶつけてみました。

「電車で化粧がNGの理由」「化粧の目的」「50代以上の女性をとりまく日仏の違いの理由」「頬骨のなぞ」「美を損ねる要素」などなど、「美の社会性」という視点から日頃の疑問をぶつけてみました。

 

科学者ならではの、明快で論理的な回答をいただきました。長年の疑問が氷解した、印象深いインタビューとなりました。後日、Precious誌に書きます。

丁寧にお答えいただいたエドアール博士とアルノー博士、またとない機会を与えていただいたPrecious誌とParfum Christian Dior社に心より感謝します。

dior-11-9左がアルノー博士、右がエドアール博士です。

Dream Skin Advanced は来年1月1日発売です。

 

下村一喜さん著『美女の正体』(集英社)。大勢の女優やモデルら「美女」を撮ってきたカメラマン(しかも美にうるさいゲイ)の視点から、「美女」と呼ばれる人は何が違うのかということを、具体的に、実名を挙げながら解説する。

美女の正体

いきなり美人のヒエラルキーの話がでてきてぎょっとするし、このなかのどこかに女は属するなどと言われると絶望するし(ちなみに私は「別物(異形)」が近いようです)、ほんとにズバズバと言うべきことをおっしゃってくださいます。

分量的にやや「すかすか」感が否めないのですが、でも、ファッション史やヘアメイク史の学徒にとって不可欠な固有名詞とその簡単な解説は有意義で、「オードリー・ヘップバーン、誰それ?」と言い放ったモデルみたいな輩を撲滅したい身には、エールを送りたい本でした。

・「結局勝ち残るのは、他人とは比較されない何かを見つけた人なんです」

・「ファッションはお金で買える人格」

・「今のあなたは、あなたがなりたかった自分です」

・「美女になりたかったら、練習すること」「ポイントは腰と指先」

・「表情をコレクション」

・「本人がその特徴を受け入れていないときには欠点となり、受け入れてしまえば個性として説得力が出ます」「顔立ちはきれいなのに自信がなくて、卑屈になったりオドオドしている人は、美女にはなれません。逆にそれほど整った顔立ちでなくても、存在感があって華やかな人は、美女と呼ばれます。華やかさはとは、パワー」

・「正しさより方便を使う女性は魅力的」

・「洗練とは知性、華やかさ、センス、オーラ、あたたかみ、信頼感。人の痛みがわかる、他人に恥をかかせない、大きな優しさを持っていること。自分の足ですっくと立って、一人で生きていく力のあること」

・「美しい人には知性と冒険心がある」「知性のある人ほど、キャパシティも広い。頭の良い人ほど、自分のイメージにこだわることなく、自分が想像もしなかったアイディアに、楽しみながら乗ってくれる」

好奇心、向上心、冒険心を忘れず、他人に対しても謙虚でオープンで、過去にしがみつかず、常に努力を続けていれば、いつのまにか「美女」になっており、その暁には美醜などにこだわらなくてもいい自由な世界が広がっている……という教えはほんと、「ファッション学」に通じますよね。

参考映画リストにある映画も、ぜひ観てみたい。

エリザベット・ド・フェドー著『マリー・アントワネットの調香師』(原書房)。王妃の香水を調香していた香水商ジャン・ルイ・ファージョンの視点から、当時の宮廷やマリー・アントワネットをとりまく革命の状況を描いていくという物語。香水商が扱うもののなかには、化粧品や健康補助、治療用の薬品も含まれていた。

丁寧に掘り起こされた史実の間に、当時の香水の事情や、著者の想像もはさみこまれながら、「トップノート」から「ミドルノート」、「ラストノート」へとドラマティックに物語が紡がれていく、香り高い本。2005年のゲラン賞を受賞している。

マリーアントワネットの調香師

とても充実した内容の本ですが、やや翻訳に残念なところがあり、主語と述語が呼応していなかったり、校閲が徹底していないようにうかがわれる箇所もあったので、以下、興味深かったことのメモですが、必ずしも本文のままではありません。適宜、要約してあります。

・香水発祥の地はモンペリエ。モンペリエ風オードトワレの処方は「9つの植物—イリス、camanneの根、ローズウッド、白檀、カラムス、スーシュ、シナモン、クローブの実、ラブダナム、そのほかあらゆる対比を与える香り」

・治療性のある薬剤を扱う薬剤師のうち、香水のエッセンスを蒸溜するアラブの技術を習得した者にはアロマタリという称号が与えられる。

・ハンガリーウォーター。14世紀に60歳の老妃ジャンヌが、放浪の修道士から手渡されたもの。ハンガリーウォーターはジャンヌ王妃に以前のような体力と美しさを取り戻させ、76歳でポーランド王にめとられた。ハンガリーウォーターはかくして万能薬として認知され、とくに若さと美しさを取り戻すと信じられていた。

・デュ・バリー夫人が訪れた時、ジャン・ルイはシトロン、ネロリ、イリスをコニャックに混ぜ合わせ、メースとニンジンを調合した香りを差し出す。「サンシュエルウォーター(快楽の水)」として。

・1775年にジョン・フランソワ・ウビガンが「コーベイユ・ド・フルール」という名の店舗を開く。花だけを使い、肌をリフレッシュさせて保湿するウビガンウォーターも発売。

・「王妃風」とは、スミレ、ヒヤシンス、赤いカーネーション、ジョンキル、ムスクの組み合わせ。

・入浴剤「ル・バン・ド・モデスティ」(慎みの入浴)。スウィートアーモンド、エレキャンペーン、松の実、リネンシード、たちあおいの根、ユリの球根からできている。

・王妃に仕える侍女は、ヴィネグレットの小瓶を持ち歩き、王妃の気分が高揚してしまった時に使用。

・マリー・アントワネットの要望にあわせ、ファージョンは、ワインエキスを使って、バラ、スミレ、ジャスミン、ジョンキル、チュベローズなどの花を蒸溜したエキス水を創る。そこへムスク、アンバー、オポナックスを加える。ファージョンはこれを「エスプリ・アルデン(熱烈エキス)」と呼んだが、王妃は「エスプリ・ベルサン(染み入るエキス)」と呼ぶ。

・アントワネットが別荘用に所望したプチ・トリアノン香水の核となるのは、イリス。イリスはギリシア神話でゼウスの使者から名づけられ「奇跡の粉」とも呼ばれる。毅然とした香りが、王妃に似つかわしい。ファージョンはすでにこれを王妃の手袋用香水に使い、国王用の髪粉にも応用していた。また、ファージョンはイリスを使ってスミレの香りを再現することにも成功。スミレの香りは、かつてのフェルセン伯爵との「消え去りし恋」も象徴した。

・フェルセンが勇気をふりしぼって用意した国王一家逃亡計画。目立ってはいけないにもかかわらず、王妃はあらゆるものを新調、馬車に詰め込んだ。王妃がファージョンに発注した香水周辺グッズは次のようなリスト。トリアノン香水、ファージョン風パウダー、ポマード入りケース、ラベンダーウォーター、セレストウォーター(天空の化粧水)、スヴランウォーター(至高の化粧水)、オレンジウォーター、ラベンダーエキス。鎮静効果で有名なトニック、ヴィネグレット、「慎みの入浴」と名付けた入浴剤入りサシェ。ベルガモットエッセンス、ヘリオトロープポマード・・・。髪結いまで予約をしたので、結局、国王一家の逃亡はバレバレに。

・王妃幽閉中も、ファージョンは、苦悩から解放されるためのラベンダーウォーター、オレンジフラワーポマードのほかに、トリアノン香水を届ける。

・1786年にファージョンが購入したスルス城にほど近いシュレーヌの家屋は、それまではスケルトン伯爵の持ち物だったが、一世紀半後、この地に香水商フランソワ・コティが住まい、1904年にはシテ・ド・パルファムをここに設立。

巻末には香水の成分の解説や、製法の解説、手袋の製法、詳しい参考文献リストがつく。香水のことを学びたい方には役に立つ参考書ともなる一冊。革命前のアンシャンレジームの宮廷生活も、匂いを通してありありと想像できる。

 

美容室Zele networkのスーパースタイリスト講座。今年も招聘講師をつとめさせていただきました。「美」を表現する多様なことばやトレンドワードの解説から、20世紀ファッション史まで、250分盛りだくさんで。学ぶ意欲の高い方々で、とても楽しく時間があっという間に感じられました。

ヘアメイク+服+時代背景をトータルで考えてイマジネーションを羽ばたかせ、独自の提案をおこなえる美容師さんがもっともっと増えることを祈りつつ。(そういう自分は仕事で時間がないことを理由に3か月もカットせず伸び放題……(^-^;))

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ヴィダル・サスーンのドキュメンタリーDVDは、美容師を目指す人は必見、そうでない人にとっても、キャリアを考えるうえで刺激に満ちた作品です。60年代ロンドンの雰囲気もよくわかる。お勧めです。

ロンドンのフレグランスメゾン、ミラー・ハリスの調香師、Mathieu Nardin マチュー・ナルダンが来日、新製品のプレゼンテーションを行いました。

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マチューはフレグランスの聖地グラースで生まれ育ち、家族がほぼ全員フレグランスに関わる仕事についており、自分も当然のように香水の仕事をすると信じてごく自然にパフューマーになったという人。13歳のときからすでにロベルテで研修を始め、31歳の現在は、ニューヨークで活躍中です。若きベテランですね。

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ミラー・ハリスは良質なボタニカルの原料を使い、ロンドンのハイストリート感を基本に、ひねりのきいたパリ風の洗練を加えて独自のニッチブランドの地位を確立しているモダンブリテンを象徴するメゾン。

イラストを描くのは日本人のボタニカルアーティスト、Mio Matstumotoさん。この日は裸足でライブペインティングのパフォーマンスをおこないました。

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マチューが手がけた2種類の新製品「ルミエール ドーレ」と「エチュイ ノワール」は、相反する要素でありながら、ふたつでひとつのセットになるというコンセプトをもちます。光と影。昼と夜。陽と陰。オレンジと革のジャケット。なるほど、それぞれ単独でも際立った特徴をもつすばらしい香りですが、ふたつ重ねると、いっそう深みが増します。実際、試すとミステリアスで、心臓の鼓動が早まります。

香りの構成要素を色で視覚化してみせるという手法もユニークでわかりやすい。納得。

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ルミエール ドーレはトップにビターオレンジ、ミドルにネロリ、ラストにオレンジのフローラルウォーターと、光り輝くオレンジのイメージ。これからの季節にぴったりで、日本人ウケもよいはずです。上級者にはエチュイ ノワールとの重ね付けをおすすめします。レザーノートに、高価なイリスがアクセントを添えています。二つ重ねると、相反する二面性をもつ神秘的な魅力を放ちます。8月24日発売です。

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調香師マチューと記念写真。

発表会後、SPURの秋の香水大特集に関し、香水の歴史について取材を受けました。香水好きな人と香水の話をしていると時間を忘れます。以下、私が愛読する匂い関連の本(本棚の一角をがっちり占めていますが)のなかから3冊ご紹介します。

こちらはもう絶版ですが、香りの記憶に関する多くの著名人によるエッセイ集。新潮社編。