19日(金)夕方は、ジョー・マローンの新作「ミモザ&カルダモン」発表会、麻布十番のカフェにて。カフェは入口からエレベーター、店内に至るまで完璧に「ミモザ&カルダモン」の世界に彩られていました。
ロンドンからライフスタイル・ディレクターのデビー・ワイルドが来日。出席者の名前を一度で全部覚える(!)という頭のいいデビーによる、エモーショナルかつ理知的なプレゼンテーションを拝聴しました。「ミモザ&カルダモン」のインスピレーションの源は、ブリティッシュ・ボヘミアン。さらに具体的に言えば、ホランドパークにある、フレデリック・レイトンの「レイトンハウス」。調香師は、このレイトンハウスと、南仏のミモザ畑に連れていかれたそうです。
レイトンハウスは、あのプレ・プレラファエロ一派の熱気を象徴するような館ですね。会場のテーブルに敷き詰められていたこのタイルプリントも、レイトンハウスからヒントを得たものだそうです。ヴィクトリア時代のあのボヘミアンでロマンティックな画家たちの人間関係を思い出して心ざわつく。笑。
なかでも、レイトンが描いた「燃え上がる6月」、Flaming June! ここへきて、香りのイメージと絵のイメージが完璧に結びつき、深い感動を覚えました。それまでまったく予想もしなかった点と点が有機的に結びつく瞬間って、脳内に打ち上げ花火が連続で上がったような興奮をもたらすものですが、この時もまさにそんな感じ。南仏のミモザとヴィクトリア朝のボヘミアンのソウルはかくして、21世紀にこんな形で幸せをもたらしてくれる。
香水のボトルは「メモリー・イン・ザ・ボトル」でもある、というデビーの話に共感。ひとつの香りは、ひとつの記憶と結びつく。愛用してきた香水の数=宝物のような思い出の数、ですね。実際、私は「新しい季節を始めよう、始めねば」と思った時には、香水を変えます。香水を新しくするということは、記憶のファイルを新規に一つ創っていく、ということでもあります。
「センティッド・ダイニング」という発想もジョー・マローンらしい。ダイニングの席でのアロマキャンドルが放つ香りによって、ディナーの「味」が完成するという発想です。ディナーの席に強い香水は厳禁、という「常識」を逆手にとるようなポジティブな発想。ワインとディナーと香水ではじめて完成する「味」を創作できたら、それこそ、フレグランスの可能性を拡大することになる。と考えるとワクワクしてきます。
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