下村一喜さん著『美女の正体』(集英社)。大勢の女優やモデルら「美女」を撮ってきたカメラマン(しかも美にうるさいゲイ)の視点から、「美女」と呼ばれる人は何が違うのかということを、具体的に、実名を挙げながら解説する。
いきなり美人のヒエラルキーの話がでてきてぎょっとするし、このなかのどこかに女は属するなどと言われると絶望するし(ちなみに私は「別物(異形)」が近いようです)、ほんとにズバズバと言うべきことをおっしゃってくださいます。
分量的にやや「すかすか」感が否めないのですが、でも、ファッション史やヘアメイク史の学徒にとって不可欠な固有名詞とその簡単な解説は有意義で、「オードリー・ヘップバーン、誰それ?」と言い放ったモデルみたいな輩を撲滅したい身には、エールを送りたい本でした。
・「結局勝ち残るのは、他人とは比較されない何かを見つけた人なんです」
・「ファッションはお金で買える人格」
・「今のあなたは、あなたがなりたかった自分です」
・「美女になりたかったら、練習すること」「ポイントは腰と指先」
・「表情をコレクション」
・「本人がその特徴を受け入れていないときには欠点となり、受け入れてしまえば個性として説得力が出ます」「顔立ちはきれいなのに自信がなくて、卑屈になったりオドオドしている人は、美女にはなれません。逆にそれほど整った顔立ちでなくても、存在感があって華やかな人は、美女と呼ばれます。華やかさはとは、パワー」
・「正しさより方便を使う女性は魅力的」
・「洗練とは知性、華やかさ、センス、オーラ、あたたかみ、信頼感。人の痛みがわかる、他人に恥をかかせない、大きな優しさを持っていること。自分の足ですっくと立って、一人で生きていく力のあること」
・「美しい人には知性と冒険心がある」「知性のある人ほど、キャパシティも広い。頭の良い人ほど、自分のイメージにこだわることなく、自分が想像もしなかったアイディアに、楽しみながら乗ってくれる」
好奇心、向上心、冒険心を忘れず、他人に対しても謙虚でオープンで、過去にしがみつかず、常に努力を続けていれば、いつのまにか「美女」になっており、その暁には美醜などにこだわらなくてもいい自由な世界が広がっている……という教えはほんと、「ファッション学」に通じますよね。
参考映画リストにある映画も、ぜひ観てみたい。
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