香水界のロールスロイス、キリアンの調香師、キリアン・ヘネシーさまが来日しました。この日をどんなに楽しみにしていたことか。2日間にわたり、たっぷりキリアンと至近距離で話すことができました。なんという幸福。
初日は恵比寿のシャトー・ロブションでの会見。コニャックの名門、ヘネシー家の御曹司である彼がいかにして香水ビジネスに関わることになったのかというキャリアの経緯をたっぷり1時間ほどかけて。
ほぼ3年ごとに「転職」しているのですが、「幸運の星が常に僕の上に輝いてきた」と語るとおり(こう語っていやみにならない)、タイミングよく数々のすばらしい出会いに恵まれてキャリアを築いていらしたことに驚き。文字通り、幸運の星の下に生まれてきた方なんですね。
なんどか「ヘネシー家から逃げたかった」「コニャック以外の仕事を探した」という趣旨の話をなさっていたので、最後の質問コーナーで「なぜそんなに家業を避けるのか?」と聞いてみました。行く先々で「ああ、あのヘネシー家の御曹司…」という目で見られるのが負担で、家名ではなく、自分自身の力で何か事業を成功させたかったとのこと。家名を背負う御曹司の苦労、サラブレッドなりの野望というものがあるのですね。
さらに、各製品、パッケージへの思いや工夫が語られ、いちいち納得。バカラへの思い。香水ケーズが捨てられてしまうことをさけるために、徹底して細部にこだわっていること。レフィルは光と空気を避けるための完璧なテクノロジーの賜物であること。
そしてクラッチにもなるケースの誕生物語。奥様がある夜、バッグを忘れ、香水ケースをクラッチバッグとして持っていったことがヒントになっているそうです。
ため息ものの香水は、まさに芸術品。Good Girl Gone Badの「ミルフィユのように」重ねられた複雑な香りは中毒性がある。
日本ではこの秋に発売となるル・ルージュ・パルファム。香りつきのリップスティックは、赤のバリエーションだけで12色! 前列がサテン、後方がマットです。ケースも香水と連動する美しさで、なによりもなめらかな着け心地。前列左から3本目の「デンジャラス」という赤をつけてもらいました。それがこの写真です↓ ネーミングも香水同様、詩的で、キリアンの世界観を形づくっています。
キリアンのジャケットはサンローラン、襟腰の高いシャツはパリのお仕立てだそうです。シャツボタンを胸下まで開けているのに品が保たれているという驚異の貴公子ぶり。
シャトー・ロブション庭のあじさい。キリアンの世界を受けとめるにふさわしいレストランでした。
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