増田弥生・金井壽宏『リーダーは自然体』(光文社新書)読み終える。お気楽なOLだった増田さんが、外資企業の人事部門のトップとして活躍するまでになれた秘訣。
性格、周囲に対する態度、人生に対する楽観など、くりかえし説かれてきた「成功の秘訣」が、ひとりの女性の具体例のなかに、あらためて読み取れる。「映画みたい」なキャリアの進展ぶりを楽しみつつ、自己啓発のヒントが見つかる、というような一冊。
心に引っかかったことばの、備忘録。
・「彼女は一味違う。だから採らなきゃ(She is different. That is why we need her)」。
・「彼に対し、私は自分のよい面も悪い面も包み隠さず話し、思った通りをそのまま言い、疑問に思ったことは聞き、わからない点は確認しましたから、そういう態度が『違い』となって表れたのかもしれません」
・「思えばその日、私は『自分はプロです』と宣言したのです。誰かに公言したのではありません。私は今のままで大丈夫、ありのままでOKなのだから、プロらしく仕事をしなくてはならないと、自分に対して宣言しました。そうすると、次の日から、世界がはっきり変わって見えるようになったのをおぼえています。周囲の人たちが私に一目置いてくれ、プロ扱いしてくれるように見えました。これは錯覚でもなんでもなくて、私が変わったからだと思うのです」
・「何か特別なものを手に入れるのではなくて、今のままの自分で大丈夫だと信じることが『自信』」
・「コミュニケーションとは、自分の思いが相手に正確に伝わり、それが相手の具体的な行動につながって、ようやく完結するもの」
・「上司が部下に対して『なんべん言ったらわかるんじゃ』と言ったら、これは上司の敗北宣言であって、『言う』と『伝える』の違いをその上司はわかっていない」
・「リーダーには、『doing(何をするか)』もさることながら、『being(どう在るか)』も大切」
・「ありのままでいるとは、今この瞬間の自分を大きくも小さくも見せようとせず、いつも等身大でいて、仮面もかぶらず、何よりも自分自身に嘘をつかず、誠実にそのまま在るように意識すること」
・「『今ここ』の瞬間のありのままの自分でいると、自分の魂レベルと感情レベルと思考レベルがいずれもずれないので、周囲から見ても軸のぶれないリーダーとなり、職場での判断軸も明らかになってきます。リーダーがありのままでいないと、周囲の人も居心地が悪く感じて、自分のありのままを出しにくくなり、本来もっている力を発揮しづらくなると思います」
・「リーダーは自分の足りない部分を受け入れ、周囲にも見せて、助けを求めたり、感謝しつつ協力を仰いだりすべきなのであって、結局のところ、自己受容ができるかどうかの度合いは、その人のリーダーとしての器の大きさを表わしている」
・「出張で飛行機に乗ったときには必ず隣に座った人をチェックしましたし、泊まったホテルの従業員で優秀だと思った人には名刺を渡し、将来、転職を考えたときには連絡をくれるよう頼んだりしました」
自己理解と自己受容ができているうえで(ここ、重要)、率直でありのままで、周囲にオープン。仕事でリーダーシップをとるための秘訣であると同時に、たぶん、モテる秘訣のひとつでもあるのだろう(オープンネスが行きすぎて暑苦しくならなければ、の話だが)。「ありのまま」が好もしくあるよう、日頃一瞬一瞬の心がけと修練がいっそう大事ということでもありそうだ……。