ティエリー・ヴォワザン氏がシェフとして招聘されているメインダイニング、「レ セゾン」。
オープン当初から存在するという個室にご案内いただきました。
ガラスの上に浮遊しているように見えるバターは、パンプリー・バター。
前菜の前のアミューズからして驚かされます。見た目も美しいですが、心が揺さぶられるおいしさ。
ポワロ―・ヴィネグレット、ティエリー・ヴォワザン・スタイル。トリュフが仕上げにかけられます。
それぞれのお料理に合わせて選ばれるワインがこれまたすばらしく、感激するばかり。
マスタード風味のフランス産ヒラメのグリエ。ソースシャンパーニュ。
上の平目のお料理で出た白皮とエンガワを使った、フランス風茶わん蒸し。食材を無駄にしないで新しいクリエーションに有効利用するという発想には、杉本総料理長の影響も感じられます。実際、サービススタッフが「杉本(総料理長)が来てから現場ががらっと変わった」と称賛していました。
シャンパーニュソースなので、お酒は再びシャンパーニュに戻ります。
殻付き黒アワビのゆっくりロースト。海の香りのソース。
黄金軍鶏のドゥミドゥイユ仕立て。一品一品が、このようにドラマティックに登場してくるんですよね。感動に追いつかない自分のボキャブラリーの貧しさがつらくなってきます。
サービススタッフもソムリエも本当に洗練された身のこなしで、流麗で自然な動きを見ているだけでうっとりさせられます。
こちらが驚愕(ボキャ貧……)の黒トリュフのパイ包み焼きです。なんとパイの中には黒トリュフがまるごと入っているのです。まるごと黒トリュフをかじったのは初めてのことでした。
プレデザートのさっぱりしたシャーベットの後に出てきたのは、ほのかな甘みの苺のデザート。ここで粉もののケーキを出さないセンスがすてき。フレンチのデザートってこのくらいさっぱりしているのがちょうどいいと思います。
オリジナルのハーブティーも未体験のおいしさで、聞くと厨房でオリジナルで作っているので販売していないとのことです。
デザートワインまで気品にあふれていました。
「レ・セゾン」のフレンチがなぜここ一番のときに選ばれるのか、ゲストの期待を超えていくもてなしとは何なのか、深く学ばせていただいたレストラン体験になりました。