ヴィンテージ・メンズウエア解剖 その3。ハンティングジャケット。狩猟用のジャケットで、多くのカジュアルジャケットの原型にもなっています。これは1920年代ごろ、フランスの服。
ハンティングジャケットの常ですが、動物をモチーフにしたボタンがついています。このジャケットには、下のようなイノシシ×ベルトのボタン。Ecoute a la tete. という文字が見えます。これはどこかの結社?なにかの警句? おわかりになる方、どうか教えてください。
このサイトには、やはり似たモチーフ、「イノシシ×ボタン×Ecoute a la tete」 のボタンが紹介されています。
http://www.venerieducerf.com/humeurs.html
ハンティングジャケットには、背中の部分に、大きな「ゲームポケット」がついています。ゲーム=獲物。撃ち取った獲物を入れておくポケットですね。
フランス製のこの上着にはポケットの下部分に大きなマチがつき、中身を入れてもあまり背中のシルエットが崩れないような工夫がされています。
一方、写真に撮りませんでしたが、同時期のアメリカ製のハンティングジャケットは、作りは丁寧なものの、マチのあしらいはなく、シンプルなパッチポケット仕様なんですね。モノは入りますが、これだと中身を入れたときに上着のシルエットが崩れます。ポケットのつけ方、袖のマチのつけ方にも、フランス製には美意識が徹底的に行き届いている…と彰良氏は解説してくださいました。
中身を入れたときのことまで想像して細部にひと手間を加えるフランスと、とにかく丈夫さ優先のアメリカ。お国柄の違いではなく、メーカーの「格」の違いであったかもしれませんが、いや、でも、狩猟の歴史が長いヨーロッパの美意識に裏付けられた細部のひと工夫であるに違いない…と想像したくなります。
このように、双眼鏡+帽子+ネクタイ+ブーツとともに着用されたハンティングジャケット。ミリタリーはハンティングから生まれているのではないか?というのが彰良理論ですが。
まったくおバカな個人的な希望としては、背中にゲームポケット仕様の大きなポケットがついた女性用の上着がほしい。そこにPCを入れて持ち歩くのです。笑
to be continued…