ラスベガスの不動産王フィリペ・ジアード氏とNIKKEIグローバルのチームが来日中(日曜にはもう日本を発ち、今度は南アフリカへ)。金曜夜にはブガッティ主催の勉強会&パーティーにお招きいただきました。シャングリラ・ホテルにて。
フィリペの話をうかがうのはこれで4度目くらいですが、不動産の取引には全く縁のない私でも、学ぶところが多い。
19歳のときにレバノン内戦を逃れてアメリカに移り、修理工から身を立て、いまやラスベガスでトップ、アメリカで13位の不動産王。修理してより良いものにして売るという技術とテクニックは、中古不動産を修理し、よりよい付加価値をつけて売る、という発想につながっている。
不動産王ということばから連想される世間のイメージを裏切り(ドナルド・トランプ氏みたいのが思い浮かびやすいですよね)、フィリペは謙虚で誠実な人柄だ。だからこそ信頼されているんだろうと思う。今回も話の半分以上が自己啓発的な内容だった。以下、フィリペの話のメモ(ごくごく一部ですが。ここでは書いていない生々しい不動産投資の話も多々)。
・2015年に初めて来日して以来、5度目の来日になるが、日本は一番好きな国になった。テクノロジー、都市の機能性などが優れているだけでなく、人々の高潔さや伝統を重んじる誇り高さがすばらしい。成功の理由をしばしばインタビューされるが、2015年以降は、「サムライ的なもの」を大切にしているから、と答えている。前世はサムライだったのだと思っている(笑)。
・お金を得ても「幸福」にはなれない。幸福は、自分自身にチャレンジし続けることから生まれる。挑戦し、結果を勝ち取り、また挑戦し、勝ち取り、という繰り返しの過程、そこにこそ幸福がある。
・成功に必要なことは2つある。まずはModesty、謙虚さ。他人を敬い、謙虚に話をよく聞くことで学びも協力も得られる。二番目にはServant Leadership。奉仕的なリーダーになること。現場の実情をよく知り、現場の人に奉仕することで、ミッションを確実に達成することができる。
・理性と感情のバランスも重要。仕事をともにする相手の人間性もとても大切で、心が納得しなかったら一緒に仕事をすることはない。
・ドナルド・トランプ氏の政策はつまり、「あなたのおこなうビジネスのコストをお安くしますよ」ということだ。規制が緩和され、大幅な法人税の減税がおこなわれる。これは投資マーケットにとってはとても仕事がしやすくなるということを意味する。
・Commercial vs. Residential 、つまり商業施設に投資するのか、住宅に投資するのか、という問題がある。テクノロジーが加速度的に発達し、アマゾンで注文したらその30分後にドローンが届けてくれるという時代。もはや商業施設は空室率が目だっており、投資にはやや危険が伴う。しかし、そんな時代になっても、人には「住む」ところが必要。これから自宅勤務も増えていくことも思えば、住宅に投資する方が確実。
・リーマンショックをなぜ生き残ることができたのか? という質問をしばしば受ける。ジェネラル・ルールは常に同じで、マーケットを熟知していれば必ず収益は上がるのだ。1.Worst Case Scenarioを思い描く。最悪のケースとは何かを考え、自分自身でコントロールできると思ったときのみ投資する。2.Create Value 付加価値をどうやってつけ、上げていくかを考える。自分で付加価値をつけて高く売ることができるもののみを扱う。3.Exit Strategy 出口戦略を明確にする。お金の流れを明確につかみ、「売り切る」ことを考える。
・(最後に、どうしても話したい、と強調していたこと)Ambition 野心について。リスクとはなにか? リスクをとらないことと、リスクをとること、どちらがよいのか? 私の哲学としては、リスクをとることのほうが、リスクをとらないことよりも、はるかにリスクが少ない。意見を言うときもそうでしょう? 何か発言すれば、かならず批判する人がでてくる。中傷もされる。それをおそれて何も言わないというのは、もっともリスキーだ。You never succeed without risk. 成功するには、必ずなにがしかのリスクをとっていかなくてはならない。愛だってそうだ。もし、誰かを愛して失うのがこわい、とおびえて愛することをしなければ、それはほんとうに虚しい人生になる。失うことを恐れては人を愛することなんてできない。一歩を踏み出さなくては。Don’t fear.
……というふうに最後は愛の話にまで及びます。一歩を踏み出し、リスクをとる、というマインドが、不動産投資に向かうマインドへとつながる、という誘導とも読める。でもそんな商売気をほとんど感じさせないのがフィリペの不思議。
その後、Nikkei Global 日本側の代表取締役(金融・相続対策)の大田勉さんからの具体的な節税対策としての海外不動産のお話もあり。(私には縁のなさそうな話ですが、そういう世界からの視点を知っておくことも大切ですね。)
パーティーでは、マジシャンGO!とアシスタントのYouさんがいらしていて、マジックを披露。さらなる進化を遂げていて、大興奮でした。ブガッティ社長の山本章博さんのご配慮でしたが、そういえばGOさんもラスベガスでゼロから修業を始めたのでした。
(左がフィリペ、右がGOさん)
異なる仕事をしている方の視点から学ぶことはほんとうに多い。門外漢の私にまでいつもお心を配ってくださるNikkei Global 総合代表CEOの皆見友紀子さんはじめ大田さん、小嶋さん(日本側のアメリカ不動産対策代表)ほか写真のみなさま、フィリペ、ブガッティの山本社長に感謝します。
Special thanks to Phillippe, Reina(U.S.Hi-Tech Industries Japan Co.), Mr. Yamamoto, Mr. Kojima, Mr. Ota, and Yukiko.
今回、フィリペのお友達の中東の大スター、ナジワ・カラームはご一緒ではなかったけれど、フィリペはナジワの香水をまとっていました。まさにそこにナジワがいるかのような、なつかしい感覚。パワー・オブ・フレグランス、ですね。
*今日驚いたプチ情報。日本でプライベートジェットを所有しているのは16人だそうです。