投資銀行、コンサル、大手資産運用会社、プライベート・エクイティ、MBAという私にはほぼ縁がない世界で活躍してきた筆者が見た、グローバルエリートの世界。資産運用のトップエリートの公私にわたる特徴が、具体例とともにおもしろおかしく書かれている。
トップエリートの共通点。
1.ニコニコバトル。
2.お金に細かい。
3.大成功するにつれて質素な服装を好む。(ファッション誌が示すようなデキる男のライフスタイルは、成り上がり途上スタイルで、仕事の性格によっては逆効果であることも。大成功すれば、その人自身がブランドになるのでむしろ質素になる)
4.信頼と評判を第一に。「誠実で信頼できる」「公明正大」という評判こそキャリアを守ることを理解している。
5.目の前の仕事に全力投球。そこからおもしろい仕事を獲得していく。
6.長い期間をかけて築き上げたネットワーク内で最強のチームをつくる。
7.おやじころがしがうまい。業界の重鎮を味方につける。(楽天の三木谷さんと元ライブドアの堀江さんの別れ目はここだったという指摘。「おやじをうまくころがした楽天と、若者をころがしているうちに自分もころんでしまったライブドア」という比喩がわかりやすい)
下世話な話題で面白かったのが恋愛・結婚・離婚事情に関する話。携わっている仕事のやり方がそのまま恋愛・結婚にも反映されるさまは、生々しくておもしろすぎる。ぜひとも映画化希望(笑)。
身近な例においても、エリートというか、仕事ができる高収入な人ほど、仕事のやり方と恋愛・結婚のあり方がみごとにリンクするなあ・・・とぼんやりと傍目から観察していたが、やはり投資業界においてもそうだったのですね(^_^;)
以下はスペシャル付録の「今日からマネできる!12のスキル」のなかからピックアップ。「知っている」ことばかりだが、実際に「実行できている」かどうかは、「?」。実行するためのヒントもあって、なるほど、と。
1.与太話の鬼になる。与太話をマメにデータベース化しておく。小さな心配りが大きな報酬につながる。
2.ノンバーバル・コミュニケーションを極める。腕の位置、手のひらの方向、ジェスチャー、動作が言語よりもモノをいう。
5.プレゼン資料は「ブルーオーシャン戦略」で1ページや3ページのシンプルなキラー・チャートのみに。
6.プレゼン前に「本音でどうしても伝えたいことがある」ことを明確に意識しておく。誠実さと情熱こそが成功の鍵。
7.手書きの年賀状を送りまくる。
8.交際費をけちらない。交際費は「自己宣伝費」。
9.レストラン選びは命がけで。
10.仕事とは関係のない幅広い分野の知識を身につける。人間的な深みを伝えて「この人と一緒にいると楽しい」という感覚を無意識レベルで相手にたたきこむ。リベラルアーツがマネジメントの本当の基礎になる。
11.社交パーティーは「エレベーターピッチ」を用意し、事前準備をして臨む。ネットワークでは、自分が相手を知っていることではなく、相手が自分を知っていることが重要。
12.社内政治のプロになる。
油断ならないニコニコバトルの世界。どの業界でも通じる話なのではないか。備えよ常に!ですね。