2013年12月23日
500ページ近くあるリサ・チェイニーのシャネル伝はとにかくリサーチが細かく、すべての記述を根拠のある文献に基づいて正確に書こうという作者の並みならぬ情熱が伝わってくるのである。
読者としてはついていくのが大変ではあるのだが、ときどき思わぬ収穫がある。
1944年6月6日。ノルマンディー上陸作戦の日。ラヴァット卿率いる第一特殊任務旅団がソードビーチに上陸。武装してないバグパイプ奏者ビル・ミリンがそこでバグパイプを演奏する。ドイツ軍が撃たなかったのは、「頭おかしいヤツだと思ったから」。
本部の命令を無視してバグパイプを演奏させた無鉄砲で粋なラヴァット卿は、なんと、シャネルの運命を変えた恋人アーサー・カペルの甥だった。カペルの血を分けていると知って、この行動に納得。
こういう、まったく予想もしなかったことがらがつながっていくのが学問の楽しみ。
逆に、まったく予想もしなかったことをつなげるのが、エッセイストの腕の見せどころ。
まったく予想もしなかった人とつながるのが、仕事の醍醐味。
無理そうな仕事でもついつい引き受けるのは、断れない性格(性格の問題にしてはいけないのだが)が災いしていることもあるが、その先にさまざまな意味でのつながりの夢を見てしまうからかもしれない。で、結果、自分で自分の首を絞めていたりして^_^;
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