SPUR オールタイムフレグランス ベスト2025 ご協力させていただきました。

試香の機会をくださいましたブランドの皆様にも感謝します。ありがとうございました。

各部門、妥当な結果になっている印象です。この夏の香水選びに参考になれば幸いです。

 

香水ではないのですが、イソップの制汗スプレーだけでも汗の匂いを押さえながらユニセックスの香りで快適でいられるので、外に出かける必要のある猛暑の日々にはお勧めです。エルメスもかつて(今のようなコスメラインが出る前)スティックタイプの制汗製品を出していて、これもよい香りで長年愛用していましたが、今もあるのかな。

 

 

 

ラグジュアリー文脈のなかで伝統工藝を考える雅耀会、第4回のご案内です。COS KYOTO 株式会社代表取締役の北林功さんをお迎えして、「ローカルラグジュアリーを再考する 工藝×文化ビジネス」をテーマに開催します。

地場産業は日本固有の資源であり、これからの世の中に必要な知恵が詰まっている。その可能性は、新たなビジネスモデルや販路開拓によってまだまだ広がる」と語る北林氏。COS KYOTOでは、経営戦略の立案やブランディング、新商品開発、国内外への販路開拓、研修や体験プログラムの企画・運営まで、グローバルに通用する地場産業の価値向上を支援・実践しています。

本イベントでは、そうした豊富な現場経験と洞察をもとに、「ローカルラグジュアリー」という概念の本質とその可能性を掘り下げていきます。

日時:2025年8月11日(月・祝)14時開催
会場:国際文化会館 講堂

私はコメンテーターを務めます。

北林さんには、昨年の丹後の取材で多くの職人さんたちにおつなぎいただきました。各地の地場産業を世界につないでいる実績があり、お話も大変面白い方です。

 

今年1月に発足した雅耀会ですが、すでに開かれたあたたかいコミュニティーが醸成されつつあります。一方的な講演ではなく、参加者が積極的に意見交換、交流する場になっており、次回もすでに数名の方が参加を表明してくださっております。

学生さんもぜひお気軽にご参加ください。

詳細とお申し込みはこちらからお願いいたします。皆様にお会いできますことをたのしみにしています。

 

 

KASHIYAMAの動画サイト、「Be Suits! 服学」で講師を務めた「スーツの歴史」「世界のスーツ」がおかげさまで好評をいただき、続編の機会をいただきました。コメントも多々いただきありがとうございました。

今回は「女性とスーツ」「マフィアとスーツ」をテーマに収録しました。ともに準備に膨大な時間がかかりました。たくさんの写真を用意したり、ホワイトボードなどの機材を用意したりときめこまやかにご対応いただいたのは、LuaazのZ世代の撮影メンバーのみなさまです。ありがとうございました。

来年はスーツ生誕360年です。スーツなんて義務的に冠婚葬祭の時しか着ないもの……と思い込んでいる新しい世代に、少しでもスーツの歴史の深さと広がりの面白さに触れていただけたら幸いです。

 

*お問い合わせもいただいておりますが、番組内で私が着用しているスーツは何年も前から着ている廣川輝雄さん(現在The LOA所属)によるメンズ仕立てのスーツです。

 

日経夕刊連載「ラグジュアリー・ルネサンス」。本日付けでは、ブランドの文化戦略について書いています。シャネルがマガジンを出し、サンローランが映画を作り、ボッテガ・ヴェネタが詩の朗読会をする。そんな時代のことを。

英語版はこちら

この連載は本日で最終回となります。ご愛読に感謝します。

 

近年、日本で耳にする「ブリティッシュ・アイビー」なるファッショントレンド。

GQに寄稿した記事がウェブ転載されました。

イギリスではあまり聞かない表現なのですが(植物のアイビーのことかと思われる)、その源流を解説しました。

「アイビー」はアメリカで確立されたスタイルですが 、そのルーツには英国のクラシックスタイルが息づいています。

そして日本は、日本人特有の繊細な感覚をもって 「アイビー」の起源をさらに深く掘り下げ、 新たな視点で「ブリティッシュ・アイビー」というスタイルを編み出し、世界のファッションシーンに再び刺激を与えている、というところでしょうか。

現場に近い方の意見も聞いてみたいところです

北日本新聞別冊連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 32は、「世界観を編む叡智 人文学がローカルな工芸を救う」

雅耀会でお迎えした立川裕大さんの講演から連想を広げ、世界観を創ることの意義について書いています。

While education and discussions around luxury are gaining momentum in many countries outside Japan, the topic is still often avoided or met with indifference here.

Each time I’ve been invited to speak at various venues, I’ve advocated for the need for luxury management education in Japan. Fortunately, starting this September, I’ve been given the opportunity to lead a seminar on luxury management as a visiting professor for six months.

It is an experimental first step, but I hope it will pave the way for others to follow—and that I can leave a meaningful footprint for the future of luxury education in Japan.


「日本にもラグジュアリーマネージメントの教育が必要だ」とあちこちで提唱していたら、幸運なことに、9月から半年間、客員教授としてラグジュアリーマネージメントのゼミを指導する機会をいただきました。試験的な第一歩目の挑戦ですが、小さくとも、あとの方に続くなんらかの足跡を残せるよう務めます。近隣にはラグジュアリーブランドの店舗が立ち並ぶ最適な環境です。

Men’s EX 2025年夏号は、ラグジュアリーライフ特集。マテリアリスティックな話が多い誌面ではありますが、そのなかで「ラグジュアリーの価値観をアップデートする」というテーマで取材を受けました。ラグジュアリーの歴史の概要から最新のトレンドまで。大雑把な年表つきです。ラグジュアリー文化を考える糸口になれば幸いです。

 

The Summer 2025 issue of Men’s EX features a special edition on luxury lifestyles. While much of the content leans toward the material aspects of luxury, I was interviewed for a piece exploring how our values around luxury are evolving.

The article offers an overview of the history of luxury as well as current trends—complete with a broad-strokes timeline. I hope it serves as a starting point for Japanese readers to reflect more deeply on the meaning and cultural significance of luxury today.

クワイエットラグジュアリーへの反動からでしょうか、今シーズンはレースが華やか。

手間暇がかかり、高い技術を要する稀少品であったこともあり レースはラグジュアリーの象徴でもありました。それゆえに、階級とラグジュアリーが結びついていた時代には 迫害にもあうなど、社会変動の影響を受けやすかったのがレース。

そんなレースと社会との関係の歴史を、ざっくりと書いてみました。Precious本誌に掲載された記事がウェブに転載されました。

 

Perhaps as a reaction to the quiet luxury trend, lace is making a dazzling comeback this season.

Lace has long been a symbol of luxury, not only for its delicate beauty but also because of the immense time, labor, and skill required to produce it.

Precisely for that reason, in eras when luxury was closely tied to social class, lace was particularly vulnerable to persecution and upheaval during times of social change.

In this piece, I’ve offered a brief overview of the historical relationship between lace and society.

English version.

Nikkei The STYLE 掲載の千總に取材した記事が、ウェブ版に公開されました。

会員登録なしで全文お読みになれます。

江戸幕府による贅沢禁止令で華やかな刺繍が禁じられ、 「なら、染めならいいだろう」と京都が良きように解釈した結果、友禅染の発展が促された……という話が最高に京都らしくて好き。

制限は創作の源でもある。

英語版はこちらです。

新刊『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』の見本が届きました。質・量ともにオリジナル版から大幅にパワーアップいたしました。社会にインパクトを与えたクリエイター、経営者、ディレクター、エディター、学芸員まで、西洋と日本を広くカバーしています。変革者の情熱と功績に焦点を当てながらファッションの推移をたどる、類のないファッションの近現代史です。

ご協力を賜りました多くの方々に、厚くお礼を申し上げます。

The sample copy of the new edition of The Complete History of Apparel Through the Lens of “Innovators” – Expanded and Revised Edition has arrived. It has been significantly enhanced in both scope and depth compared to the original version. Spanning from Western to Japanese contexts, it covers creators, executives, directors, editors, and curators who have made a profound impact on society. By focusing on the passion and achievements of these transformative figures, this is an unparalleled modern history of fashion that traces the evolution of the industry.

I would like to extend my heartfelt thanks to all those who have offered their invaluable support.

 

アマゾンなどでのご予約を受け付け中です。

戦火のもとで、刺繍は希望と人間性の証となる。

ガザの女性たちが難民キャンプで縫い上げたパレスチナ刺繍と日本の帯が出会い、 紡がれた、新たな美とラグジュアリーの形。

「溺れている人に、国籍を問うか?」この言葉がずっと重く心にのしかかると同時に、かすかな希望にもなっています。

戦争、格差、分断の時代におけるラグジュアリーの意味とは。

日経新聞連載「ラグジュアリー・ルネサンス」第3回は「戦火のもとでの美と共創 海超えた刺繍と帯の融合」です。

中央の女性が掲げているのは、ガザの避難所のなかで作られたばかりの刺繍。

English version is available here.

With Mrs. Maali Siam, Spouse of the Ambassador of Palestine. At the Embassy of Libya.

“Traditional Palestinian embroidery, called Tatreez, has been recognized by UNESCO as an intangible cultural heritage, symbolizing resistance and identity for generations.” (by Mrs. Maali)

明治神宮大全に収録予定の「婚礼のモード」のための研究メモその2です。石井研士先生『平成以後の結婚式の併用と儀礼文化の現在』を関連事項に絞って要約。

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戦後から平成期までの結婚式の姿を通じて、社会の価値観や儀礼文化の変容を描き出した論文。

戦後復興期には、神社での神前結婚式が都市部でも定着し、結婚式は「家」と地域社会の秩序を確認する重要な儀礼であった。やがて高度経済成長期に入り、結婚式は「家の祭典」として豪華化が進み、1970年代後半には玉姫殿の「ゴンドラ演出」に象徴されるような「派手婚」が注目を集める。テレビ番組でも空中や船上での「アイデア結婚式」が話題となり、結婚式は見世物的な消費イベントとして進化していった。

ところが、1980年代から1990年代にかけては、新たな個人主義の波と女性の自己決定意識の高まりにより、結婚式の意味が急速に書き換えられる。従来の「家のしきたり」から解放されるように、チャペルウェディングや海外挙式が急増。結婚式は新郎新婦の個性を演出する「自己表現の場」へと変貌する。

そして平成期に入ると、一転して「ナシ婚(結婚式を挙げない婚姻)」が注目されるようになる。若い世代では、形式的な儀礼に価値を見出さない傾向や、経済的負担への懸念から結婚式を省略する例が増加。これは単なる合理化ではなく、社会の流動化や個人の価値観多様化を映し出す現象として位置づけられる。

著者の石井先生は、こうした「派手婚」と「ナシ婚」という両極の現象が、いずれも儀礼文化の「空洞化」ではなく、むしろ結婚という人生の通過儀礼をめぐる新しい物語の模索であると論じる。豪華演出であれ簡素な式の放棄であれ、結婚式は個人の幸せの演出であり、社会的役割を再確認する場として依然として重要であると結論づける。

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この流れの中に、ダイアナ妃のあのウェディングドレスや、キャサリン妃のドレス、そして桂由美先生の革新的な和装ウェディングドレスが位置付けられるわけですね。おぼろげに関連が見えてきました。

*写真は明治記念館 螺旋階段の下から衣装室を見上げた図 筆者撮影

明治神宮大全に寄稿するための「婚礼のモード」をテーマにしたエッセイに、目下、鋭意取り組んでいます。大量の文献を読みこんでいるのですが、そのいくつかの要約を備忘録として残しておきます。以下は、國學院大學神道文化学部教授 石井研二先生による論文『戦後における神前結婚式の隆盛と儀礼の交代』を私なりに解釈して要約したメモです。

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戦後日本における神前結婚式は、伝統的な儀式への関心が薄れていく時代背景にもかかわらず、国民的な儀礼として急速に広まった。これは必ずしも神道の宗教的信仰によるものではなく、むしろその宗教的意味が欠落していたからこそ、簡便で安価という特徴を備えた神前式が都市部を中心に普及していった。戦後の住宅事情に適合し、大衆化された神前結婚式は、戦争で結婚を先延ばしにしていた人々や疎開から戻った人々の切実な結婚需要に応えるものであった。

その中核を担ったのが、明治神宮である。昭和22年に結婚式場を初めて開設した明治神宮は、戦後の宗教法人制度のもとで自立の道を模索し、結婚式場開設を計画するに至った。これは、焼け跡の狭い住まいでは到底行えなかった結婚式を、若い人々に提供しようとする社会的使命感に根ざしていた。明治神宮が日本で最初に、宗教法人として神前結婚式を公的に提供したことは、その後の神前式の隆盛に決定的な影響を与え、神前式の象徴的存在となった。

神前結婚式は昭和40年代にピークを迎えたが、50年代以降、ホテルや会館が競合し、やがて高度経済成長期を背景にチャペルウェディングが登場する。90年代には神前式とチャペル式の交代が鮮明となり、チャペル式は特に「その形式にあこがれていた」という花嫁たちの夢に応えた。オークラや帝国ホテルのような老舗ホテルが宴会場を改装してチャペルを設けるなど、業界側もこれを支持する動きが見られた。

この変化は、結婚式が依然として日本人の人生儀礼の中で特別な意味を持ち続けていることを示している。病院出産の普及や成人式の形骸化により、個人が自ら選び、主体的に参加する儀礼は限られ、結婚式は数少ない「人生のハレ舞台」となった。神前式は戦後の時期においてモダンでスマートな儀礼として受け入れられたが、次第に家制度や忍耐を想起させる伝統の象徴へと変容し、これに対してチャペルウェディングは個人の愛情を祝福する場として新たな意味を獲得したのである。

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神前結婚式が戦後、「モダン」なものとして普及したというのは意外でしたが、それ以前は「人前結婚式」が主だったのですよね。大部屋に親戚などを招いて延々と宴会するタイプの。これは費用も時間もかかるし、そもそも焼け野原の戦後には「大部屋」もない。モダンとはいえ、神前式はまだ「イエ」は背負っていた。チャペルウェディングが選び取られるようになった理由が「その形式にあこがれていた」5割、「ウェディングドレスが着たかった」2割。

*写真は明治記念館庭園 筆者撮影

雅耀会第3回、立川裕大さんをお迎えした会、「伝統工芸の未来への糸口 ミドルウェアという立場からの実践」が盛況のうちに終了しました。

経産省、メディア、大手ラグジュアリーコングロマリット、クリエーター、ジャーナリスト、伝統工芸従事者、ブランディング専門家、大手百貨店など多様な業界において最前線で活躍する方々が参加され、ご参加者の一人の言葉をお借りすると「エネルギーの強い時間」を共有させていただきました。パッションあふれる立川さんのお話そのものにも引き込まれたのですが、質疑もまた発見の連続で、濃厚な時間を過ごさせていただきました。


長年にわたり日本の伝統工芸技術をラグジュアリー領域で通用する製品、ホテル、インテリア、空間デザインに応用してきた立川さんの目から見た、日本の伝統工芸を巡る現状と、そこに潜む課題や未来の可能性。なかでももっとも重要と思ったことに関しては、後日、記事化します。

帝国ホテルのスタッフにもきめ細やかに場を整えていただきました。

立川さん、主催者、ご参加の皆様に心より感謝いたします。(今回は序と結びを中心とするコメンテーターを務めさせていただきました)

The third installment of the Gayo-society series, held at the Imperial Hotel and featuring Mr. Yudai Tachikawa, concluded successfully under the theme: “A Pathway to the Future of Traditional Crafts — Practical Applications from the Perspective of Middleware.”

The event brought together distinguished professionals at the forefront of diverse fields, including the Ministry of Economy, Trade and Industry, the media, major luxury conglomerates, creators, journalists, traditional craft practitioners, branding experts, and leading department stores. One participant aptly described the gathering as “a time of intense energy,” and I couldn’t agree more.

Mr. Tachikawa’s passionate presentation captivated us, and the insightful questions and discussions from the esteemed attendees further enriched the experience. I am deeply grateful for this fruitful and inspiring time we shared together.

6月1日(日)付け日本経済新聞The STYLEで、千總×加藤泉「絵と着物」を展開する千總の礒本延社長にインタビューした記事を書いています。

京友禅のはじまりが、贅沢禁止令への抵抗からだった!という話に感動し、絵師とのコラボが実は着物の伝統にある、という話にも驚きました。


着物、そして着物の歴史を見る視点が変わる印象深い取材でした。

よろしかったら日経新聞本紙でご高覧ください。

タカシマヤカード顧客様限定マガジンだそうで恐縮なのですが、Takashimaya Salon 6月号香水特集でインタビューを受けた記事が掲載されています。

香水との思い出や使い方などについて話しております。もしお手元にマガジンがありましたらご笑覧ください。

グラースの現在を取材した記事、ジャック・キャバリエにインタビューした記事、香水瓶のストーリー、嗅覚芸術のパイオニアに取材した記事など、なかなか本格派の香水特集になっています。

編集者、スタイリスト、ヘアメイク、カメラマン、ライターの方々に大変お世話になりました。ありがとうございました。

「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」、半導体業界から伝統工芸の世界へと転身した高橋完治さんに取材した記事が、ウェブ版でも公開されました。

第二の人生の生き方、培ってきた仕事の本質をどのように異なる領域に活かすのかという発想など、学ぶところの多い取材でした。

高橋さんを知る契機になったのは、3月の雅耀会でした。「国の支援と伝統工芸」の回に参加してくださっており、見せていただいたお写真があまりにも美しかったので取材を申し込んだ次第です。

明日の雅耀会は、帝国ホテルで立川裕大さんのお話をメインに展開します。すでに多方面からプロフェッショナルの方々がご参加をお申し込みくださっています。志を同じくする人々がお集まりになるだけあって、毎回、有意義な仕事の出会いが次のプロジェクトの輪を生むという、すばらしい現象が起きています。

 

 

 

NewsPicks冨岡記者から取材を受けて「バブル終焉、ラグジュアリーの優勝劣敗を分けたもの」という記事にご協力させていただきました。最後の方にコメントが引用されています。

 

少しだけ補足するならば、エルメスにおいて一部のバッグを手に入れることは「特別な体験」を超えてもはや神話化しており、稀少性から二次流通でも高価格を維持しています。このように供給を絞る戦略と一貫したブランドイメージのコントロールを徹底し続けていることが、時代を超えるラグジュアリーブランドとして不動の地位を保っていけるシンプルな秘訣でしょうか。

ラグジュアリー領域で強みを発揮するには、大胆なプロモーションよりも「いかに顧客がブランドを体感し、敬愛し、長く愛着を持ってくれるか」を重視する姿勢が、継続的な信頼を築きます。

ほんとに蛇足もいいところですが、長期戦を闘うラグジュアリーブランドのあり方を研究するというのは、人の生き方を考えることにもつながります。各ラグジュアリーブランドの浮沈を観察することで、変わり続ける世界にあって、ブランドの世界観と伝統を損なわずにどれだけインテグリティを保ち続けられるかが長いスパンで見て勝負の分かれ目になるという教訓を、(人のあり方として)学ぶこともできるかと思います。

平たく言うと

・安売りするな
・時代にも客にも媚びるな
・時代がどうあれ、一貫性を保つべきところは誠実に保ち続けよ
・(精神の)自主独立を保て
・唯一無二のレアカードになれ
・高品質を極めることができる構造(日常)を作れ
・大声でPRするな

こういうことをエルメスを筆頭とする強いブランドの長期的強さから教訓として抽出できます。もちろん、理想実現にはハードルが高いのですが、心にいちおう、指針をもっているだけで、日々の選択や行動に違いが生まれてきます(たぶん)。

Don’t Dream It. Be It.

 

*写真は恒例の高知出張JAL便で行きの「K」席から見る今月の富士山

KASHIYAMAさんの動画サイトBE SUITS! 内の「服学」講師としてお招きいただき、「スーツの歴史」「世界のスーツ」について解説しました。

写真は撮影前に現場を調整するスタッフの様子。LuaaZのZ世代のスタッフのみなさまには大変お世話になりました。とりわけ「世界のスーツ」では、イギリス、イタリア、フランス、アメリカ、日本、それぞれのスーツをこのようにご用意いただいたおかげで、視覚的にわかりやすくなりました。ありがとうございました。

「スーツの歴史」では、長谷川彰良さんにヴィンテージアイテムやパーツのお写真をいくつもお借りしたおかげで、視覚的な説得力が加わりました。ありがとうございました。

 

来年のスーツ生誕360年に向けて、少しでも関心をお持ちいただけたら幸いです。

2020年に発売した『「イノベーター」で読むアパレル全史』ですが、おかげさまで、増補改訂版を出版できることになりました。

とはいえ二年がかりの大増補改訂、約500頁になっております。ラグジュアリーブランドの系譜、伝統工芸をアップデートする革新者、日本人デザイナーの章も加え、総勢100名。さらにファッション現象の背景をおさえるためのコラムつき。3大コングロマリットの傘下ブランド一覧図や日本のファッションブランド一覧もつき、ほとんど初版とは別物になっております。

現在の総力を尽くした感あり、ご期待いただけたら幸いです。

6月20日発売。各サイトで予約が始まっております。ご支援に心より感謝します。

 

LVMHがいま、なぜ日本にこれほど大きな注力をしているのか?

中国市場が揺れる中、「ラグジュアリービジネスの未来」を模索するうえで、日本の文化的成熟度と消費者の洗練性が、かつてないほど重視されています。

アシュレー・オガワ・クラーク氏によるVOGUE BUSINESS最新記事『LVMH’s big Japan plan』では、京都・東寺でのディオールショー、大阪万博でのフランス館展示、銀座の再開発戦略、そして日本の職人との共創プロジェクトまで、LVMHの動きを通してその本質に迫っています。

私もクラーク氏の取材を受ける形で本記事に協力させていただきました。文化とビジネスが交差する現在進行形のラグジュアリービジネスの動向を、ぜひご一読ください。

Why is LVMH now placing such a strong focus on Japan?
As the Chinese market wavers, Japan’s cultural depth and sophisticated consumer base are becoming more central to the future of luxury.

In the latest Vogue Business article, LVMH’s big Japan plan, Mr. Ashley Ogawa Clarke’s story explores Dior’s show at Kyoto’s To-ji temple, LVMH’s striking presence at the Osaka Expo, major Ginza real estate moves, and meaningful collaborations with Japanese artisans.

I had the pleasure of contributing to this article. It’s a timely look into how culture and commerce are converging to shape the next chapter of luxury.

<Vogue Businessにアクセスできない読者のために、以下、日本語の概要を記しておきます>

LVMHの日本進出大計画

中国の需要が冷え込むなか、世界最大のラグジュアリーコングロマリットが、日本市場への大胆かつ可視的な攻勢をかけている。その動きは、業界全体の構造変化の兆候でもある。
執筆:アシュリー・オガワ・クラーク(2025年5月21日)

4月、京都の東寺にて桜の下で開催されたディオールのプレフォールショー。
先月開幕した大阪万博の「フランス館」は、「遺産と文化の祭典」と銘打たれているが、これはLVMHが日本市場での存在感を大きく拡大することを告げるショーケースでもある。

館内には、ルイ・ヴィトンのトランクが天井まで84個積み上げられ、それぞれの中に職人が製品を作る様子を収めた映像が。中央には白いトランク90個で構成された6.6メートルの巨大な地球儀が宙に浮かぶ。ディオールの展示では、400体のトワル(仮縫い服)が、3Dプリントの香水瓶やブランドを象徴する3色の「バー・スーツ」とともに並ぶ。

LVMHのCEO、ベルナール・アルノーはこの万博で「日本はLVMHにとって特別な場所」と述べた。この関係は1980年代、日本の消費者がラグジュアリーブームを牽引した時代に築かれたが、今あらためて重要性を増している。現在、日本は同社の売上の9%を占めており、アジアや欧州での売上減少が続く中、日本はその活動拠点として注目度が高まっている。

安定市場での「遺産構築」

中国市場の不安定さに比べ、日本のラグジュアリー市場は比較的安定して成長していると、LVMHジャパンのデジタルディレクター・遠藤祐樹氏は語る。実際、プラダとエルメスは2025年第1四半期に日本でそれぞれ18%、17.2%の成長を記録。LVMHは日本で1%の微減にとどまった一方、アジア全体では11%の減少だった。

インバウンド観光の回復と円安による購買力の上昇が、明るい材料とされているが、ユーロモニターのフルール・ロバーツ氏は「2024年の成長鈍化は、経済不安や人口減少による国内需要の弱さに起因しており、先行きは不透明」とも指摘する。

観光客頼みから国内需要へ

中国人観光客の消費は為替変動に敏感で、日本国内での価格上昇によって購買が鈍化している。そのため、多くの専門家は「日本人顧客との関係強化が今後の鍵」と口を揃える。

LVMHはその一手として、日本国内での「レガシー構築」に注力。4月に開催された京都・東寺でのディオールのショーには国内外から500人以上が来場し、日本人アンバサダーの起用も増加。たとえば、「SHŌGUN」主演のアンナ・サワイは、メットガラで白いディオールのスーツを纏った。

銀座争奪戦

こうしたブランドの活動と並行して、LVMHは不動産分野でも大きな動きを見せている。
2024年10月には、東京・銀座のアバクロンビー&フィッチの旗艦店ビルを400億円(約2億7600万ドル)で取得。さらに2025年7月には、アジア最大規模となるティファニーの新しい旗艦店が銀座にオープン予定であり、その向かいにはロエベの新店舗も開業する。

すでに銀座には数多くの旗艦店がひしめいており、GINZA SIX、三越、松屋といった百貨店にも広大な売り場面積が存在する。これらの場では、ルイ・ヴィトン、セリーヌ、ブルガリ、フェンディといったLVMH傘下ブランドが大きな存在感を放っている。

歴史的に日本のラグジュアリーショッピングの中心地であり、近年は観光客で賑わってきた中央通りは、着実に、そして確実にLVMHの「縄張り」となりつつある。


「少し観察するだけでも、LVMHが銀座をいかに重視しているかは明白です」と語るのは、日本市場戦略に詳しいプラス・キュリオシティのシニアパートナー、テオ・ニプフィング氏。「このエリアを戦略的に掌握していることは、LVMHが銀座を長期的なラグジュアリーの聖地として位置づけている証左です」とも付け加える。

とりわけ銀座のような一等地における商業施設の購入(あるいは賃貸)は、日本市場において極めて重要であると、ユーロモニターのロバーツ氏は語る。「日本では、実店舗でのショッピング体験が依然としてラグジュアリー商品の販売の礎になっています」と彼女は言う。「ブランドにとっては、実際の空間を通して触れることのできる本物の体験を提供し、職人技やブランドの独自性を国際的な来訪者に伝える絶好の場なのです」。

ローカリゼーションから共創へ

日本のファッション史家でありラグジュアリー分野の専門家でもある中野香織氏は、ルイ・ヴィトンの銀座並木通り店をその象徴的な例として挙げる。建築は青木淳氏とピーター・マリノ氏によるもので、真珠のように光沢を放つ壁面にアート作品が随所に配された空間だ。

「もはや高級ブティックというより、文化的なランドマークのように感じられます」と中野氏は語る。

食の展開も進んでいる。新たにオープンするティファニーの旗艦店には、日本初となる「ブルー・ボックス・カフェ」が併設される予定で、さらにディオールからも、ブランドのデザインにインスピレーションを得た前菜を提供する「カフェ・ディオール」が登場する見込みだ。

これは、最近ルイ・ヴィトンやプラダ、グッチなどが上海で店舗を閉鎖している中国とは対照的な動きである。


「日本で店舗が閉じられている? いいえ、むしろ次々にオープンしています」と語るのは、ニューヨーク拠点で日本の小売に詳しいコンサルタント、エレナ・キリウキナ氏。「これらの店舗では、ブランドの世界観を表現できるだけでなく、体験型イベントを開催したり、特別な催しのためのスペースも確保できます。可能性は無限大です」。

伝統と未来の両立

LVMHの一連の動きは、ラグジュアリー業界におけるより深い文化的転換を反映している。主要ブランドが日本との関係を、これまでとは異なる新たなかたちで強化しようとしているのだ。


中野香織氏は、「いま起きているのは、単なるローカライゼーションではなく、“共創”へのシフトの始まりだ」と語る。「もはや“ラグジュアリーを日本に持ち込む”だけでは不十分です。日本文化と相互に、意味のあるかたちで関わることが求められています」と中野氏は指摘し、日本を“購買力の高い市場”としてだけではなく、“文化的なパートナー”として見る視点の重要性を説く。

その具体例として挙げられるのが、前述のディオールによる京都・東寺でのショーである。1894年創業の京都の織物工房「龍村美術織物」は、1953年にクリスチャン・ディオールから最初の発注を受けて以来、実に70年ぶりにディオールと再び手を取り合い、プレフォールコレクションのためのブロケード(織錦)を制作。さらに、京都で5代目となる染色家・田畑喜八氏は、自らの工房でオリジナルの桜柄を染め上げた。


「これは単なるファッションではありません。文化への敬意、物語の共有、そしてディオールを“主役”ではなく“日本の遺産に招かれた客人”として位置づける行為です」と中野氏は語る。

文化的な境界線が、これまでになく曖昧かつ流動的になっていることも、こうした動きを後押ししていると語るのは、ジャパン・コンシューミングのマイケル・コーストン氏だ。


「LVMHのような企業が、その影響力を駆使して日本の伝統や工芸の美しさを積極的に際立たせようとするのは、今や自然な流れです」と彼は言う。「20年前であれば、海外のラグジュアリーブランドが日本の文化的伝統と融合することは違和感があったかもしれません。でも、今ではそれが非常に自然に感じられるようになっています」。

こうしたコラボレーションは、職人の高齢化や後継者不足に直面している日本の伝統工芸にも恩恵をもたらす。「これは“職人のオーセンティシティ(真の価値)”を、再び世界に輸出するという意味でもあるのです。というのも、こうした職人のことは、実は世界ではほとんど知られていないのですから」。

品質神話の再構築へ

LVMHグループの「メティエ・ダール(Métiers d’Art)」部門は今年、レジデンス・プログラムのアーティストに東京を拠点とする米澤周氏を選出。日本でこのプログラムが実施されるのは今回が初めてであり、同部門の公式サイトではこれを「日本の豊かな芸術的遺産と卓越したクラフトマンシップに対するコミットメントの深化」と位置づけている。

こうした地元のアーティストや専門職人とのパートナーシップは今後、大小すべてのブランドにとってますます重要になるだろう。というのも、いわゆる「ラグジュアリー商品」が高価格なわりに品質が見合っていないという懸念が、消費者の間で高まっているからだ。

ニューヨークを拠点とする日本市場の専門家エレナ・キリウキナ氏は、中国の不満を抱いたサプライヤーたちがTikTokで「ラグジュアリーブランドではなく、自分たちの工場から直接買った方がいい」と訴え、大きな反響を呼んだ事例に言及する。


「それが事実かどうかに関わらず、ビジネスには影響します」と彼女は肩をすくめる。「でも日本でつくっていれば、誰も“品質が低い”なんて言わないでしょう」。

Special Thanks to Ashley.

PHOTO: 東寺 撮影 Kakidai CC BY-SA 4.0

 

北日本新聞「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 31. 「半導体業界から伝統工芸の世界へ」。伊勢型紙に魅せられ、LEDの技術を活かして伊勢型紙を照明化するという「キャリアの第二章」を歩んでいらっしゃる高橋完治さんを取材しました。

日経連載「ラグジュアリー・ルネサンス」の第二回。

成熟した社会においては、ブランド表示や物質的豪華さはラグジュアリーの知覚とはほど遠くなっていく。ではそれに代わるラグジュアリーとは?

軽井沢でししいわハウスを創設したグローバル投資家、フェイ・ホワン氏に取材しました。

「人間に立ち返る」ラグジュアリー観、「カオスの中に主体的に美を見出していく」美意識を大切にしたホテル文化をどのように設計し、そこからどのような新しい経済圏を生んでいるのか。

未来の人間的な豊かさを考えるとき、フェイ氏の実践はひとつの指針になります。

 

英語版は、こちら

ラグジュアリービジネスにおいて、もはや「体験型マーケティング」を採用するか否かは議論の対象ではない。問われるべきは、その体験がいかに戦略的に設計され、刹那的な感動をいかに持続的なブランド資産へと転換するかという点である。

ロエベの「クラフテッド・ワールド」展(東京・原宿にて開催)は、この問いに対する一つの鮮やかな解答を示したと思う。

本展は、まず視覚的な迫力によって来場者を圧倒する。なかでも、話題を集めたスタジオジブリとのコラボレーションの部屋は幻想的で、赤ちゃんの撮影室と化していた(笑)。巨大な植物モチーフ、シュルレアリスムを思わせるクラフトのインスタレーション、細部まで計算された空間演出、アートとして並べられたドレス。いずれも「思わず写真を撮りたくなる」衝動を巧みに喚起される(写真撮影は自由)。撮影された写真は、ソーシャルメディア上で無数に拡散され、ブランドは広告費を一切かけることなく、圧倒的なプロモーション効果を手にすることになる。現代のラグジュアリーブランドに求められる最も洗練されたマーケティングの形であろう。

とはいえ、この寛大さを装った体験の背後には、取引構造が隠されている。入場は無料だが、チケット取得時に個人情報の登録が求められる。来場者は、一瞬の感動的な体験、写真をSNSに掲載する承認欲求の満足と引き換えに、自らのデータを自発的に提供しているのである。この取引はあまりに巧妙で、消費者はその対価にすら気付かないまま、ブランドにとって貴重な行動データと心理的ロイヤルティを残していく。

すでに「ルイ・ヴィトン & 展」や「ディオール展」あたりから兆しがあったこの取り組みは、ラグジュアリー業界における本質的な転換を示している。もはやモノを売るだけの時代ではない。ラグジュアリーブランドは「エコシステムの構築」に注力している。希少性や価格ではなく、「個人的で、記憶に残り、そしてシェアしたくなる体験」こそが、現代のラグジュアリーを定義づける価値として浮上していることがわかる。

ロエベは、この展示を通じて単に楽しませるのではなく、欲望そのものを精密に設計してみせた。クラフトマンシップという伝統的価値を現代的な文脈で再定義し、ビジュアルの魅力の背後に、ブランドの核となるストーリーを強く刻み込んだ。その結果、訪問者は美しい写真と感動を手にして帰るが、ブランドはそれ以上のもの、つまり消費者データ、文化的影響力の強化、そして現代ラグジュアリーの価値観そのものを形づくる力、を着実に手にした。

ラグジュアリーの本来の価値には偶発的な喜びがあったかもしれない。でも、現在のラグジュアリービジネスは、偶然に委ねられるものでもない。緻密に設計され、消費者に意図的に経験させることで初めて、その価値が最大化される時代に入っている。ロエベ(というかLVMH)はその最前線に立ち、「次のラグジュアリー」の輪郭を描いている。

LVMHによる日本へのてこ入れが積極性を増してますね。4月に2025年フォールコレクションを京都の世界遺産、東寺で開催したり、大阪万博のフランス館に協賛したり、村上隆とのコラボを復活させたり、ロエベの〈Crafted World〉展を開催したりと、華やかなニュースが続いています。

こうした取り組みは、LVMHグループによる「文化的影響力の再構築」と「日本市場におけるブランド再定義」を目指す一連の戦略ではないでしょうか。

2025年4月15日にDiorが京都・東寺で開催したショーは、フランスのクチュールと日本の歴史文化との対話を演出した文化装置になっていました。大阪万博におけるフランス館へのLVMHの協賛も、「未来のラグジュアリーとは何か」という価値観を提示する象徴的な試みです。村上隆とのコラボレーション再開は、2000年代に日本市場で築いた強固なブランド愛を再活性化させる狙いがあります。さらに、ロエベの〈Crafted World〉展は、日本の「つくる文化」への敬意と、クラフツマンシップを軸とした価値観共有の表明と受け取れます。

では、なぜラグジュアリーブランドはここまで日本に惹かれるのでしょうか?

第一に、美意識とクラフツマンシップの親和性があること。日本文化に根づく「侘び寂び」や「職人の精神」は、本来のラグジュアリーが追求するタイムレス、素材の美しさ、手仕事の価値と深く共鳴しています。実際、多くのメゾンが「日本は自分たちのクリエイションを最も深く理解してくれる市場」と語っています。

第二に、日本は「戦略の試金石」でもあります。審美眼が鋭く、体験重視でブランドリテラシーの高い日本の顧客に評価されることは、国際市場での展開においても一定の保証と見なされる傾向があります。だからこそ、LVMHやリシュモンは、日本で店舗設計や展示手法、クラフトコラボレーションを実験的に展開するのでしょう。

第三に、日本での存在感は「文化的ステータスの証明」でもあります。もろもろのイベントは、「自らの文化的立ち位置を再確認する場」として機能しているように見えます。

日本は単なる売上拠点ではなく、ラグジュアリーブランドが自らの哲学を再考し、物語を深め、世界に向けて文化的威信を再定義するための重要な「知的実験地」になっているように思う。

Photo: 東寺 2004年 CC BY-SA 3.0

「Precious」6月号発売です。レース特集の巻頭で「レースが紡ぐ美と社会の物語」を見開き2ページにわたり書きました。

歴史的にラグジュアリーの象徴とされてきた装飾的な布ではありますが、であるからこそ、社会情勢の影響をもろに受けてきました。

奢侈禁止令の対象となり、フランス革命では迫害され、産業革命では階級闘争を激化させ、アイルランド飢饉を救い、現在のかわりゆく価値観のなかで再発見されています。レースを通して読む歴史、ほんとうに駆け足ではありますが、お楽しみいただけたら幸いです。

 

The June issue of Precious is now out.

I contributed a two-page feature at the beginning of the lace special, titled “The Story of Lace: Where Beauty and Society Intertwine.”

Historically seen as a symbol of luxury, lace has always been deeply intertwined with social and political shifts.

Lace was once targeted by sumptuary laws, persecuted during the French Revolution, intensified class conflict during the Industrial Revolution, helped alleviate the Irish Famine, and today—amid shifting values—is being redefined as a warm, handcrafted expression, evolving in collaboration with technology.

Today, as our values evolve, lace is being rediscovered—not just as a nostalgic craft, but as a warm, human expression that continues to evolve in dialogue with technology.

5日(月)20:00 ~ 22:00 放送のBSフジLIVE PRIME NEWSに出演しました。ご視聴ありがとうございました。

2時間の生放送でしたが、話したりないことも多々あり、あっという間でした。

政治とファッションの話が前半のメインで、今回、番組でお話できなかったことは、追々、まとめて書いていきます。来年はスーツ生誕360年。

ダイジェスト版をYoutubeでもご覧いただけます。

最後の提言として、「装いの向こうに、世界を想像しよう」と書きました。表層の見た目をただ批評するのではなく、その服の奥にある背景、文化や歴史や価値観などに目を向けてみましょう、という提言です。装いの奥に広がる物語を想像することで、私たちはもっと他者に、世界に、寛容になれるかもしれない。

 

吉田茂元首相のスーツ姿は、敗戦後の日本の外交理念と国際的な矜持を体現していた。

彼のスーツは単なる個人の趣味を超え、敗戦国・日本が再び国際社会に復帰するための、「装いによる国家戦略」であった。

吉田は戦前、駐英大使を務めた経験を持つ。1936年から1938年にかけて滞在したロンドンでは、外交儀礼のみならず、英国紳士の装いの作法を徹底して学んだ。サヴィル・ロウの仕立て文化に触れた彼にとって、スーツとは、知性・品位・信頼を象徴する「教養の外皮」であった。そこには、戦後日本が「文明国」として再出発するにあたり、欧米と対等な文化コードで交渉を行うという、深い戦略的意図が込められていた。

帰国後、吉田が愛用していたとされるのが、東京・銀座の老舗「テーラー神谷(かみや)」である。同店は明治から昭和にかけて、英国式仕立てを忠実に守り続けた名門であり、多くの政財界人や文化人が顧客として名を連ねる。吉田は、ダブルの三つ揃いスーツを好み、クラシックで重厚なラインを崩さなかった。加えて、外出時に携えたステッキや控えめなポケットチーフは、英国紳士の名残を感じさせ、敗戦直後の日本において異質とも言えるほどの威厳と洗練をまとっていた。

このような装いは、講和条約や安保条約といった歴史的交渉の場において、極めて有効な視覚的言語となった。そして、視覚におけるこの「同調」と対をなすように、吉田は言語において「ずらし」の戦略を取る。1951年のサンフランシスコ講和会議において、彼は英語を完全に操るにもかかわらず、あえて日本語で演説した。そこには「自国の言葉で主権を回復する」という強い意思が込められていた。姿は西洋の形式を纏いながら、言葉はあくまで日本語。まさに日本という国の立ち位置そのものであった。

服装により「国際社会への復帰の意思」を示し、言語により「文化的主権の堅持」を宣言する。その両方を同時に成立させることで、吉田は敗戦国・日本の再出発を強いメッセージとして打ち出したのだ。

注目すべきは、そのスーツが流行を追うものではなかったという点である。生地、ラペル、シルエット、どれもが永続性と格調を重視した選択であり、一過性の時流とは一線を画していた。混乱期にあって、吉田の装いが放った静かな重みは、国民に知的な安定感と、国家としての成熟した自己像を示すものだった。

彼の装いは、戦後日本が掲げた「外交による再建」という道のりにおいて、視覚的信頼の基盤を築いた。それは今なお、日本の政治家がスーツに込めるべき意味を問い続ける遺産でもある。

Photo: 吉田茂(1878-1967) Public Domain

北朝鮮の金正恩総書記が何を身にまとうかは、彼の政治的スタンスと国際社会へのメッセージを視覚的に象徴する。2018年の米朝首脳会談においては人民服、2023年の露朝首脳会談ではビジネススーツを着用した。この服装の違いは、北朝鮮の外交戦略の変化を如実に物語る。

2018年6月、シンガポールで行われた米朝首脳会談。金正恩氏は、父・金正日も好んだ黒の人民服で登場した。人民服は社会主義国家の指導者にふさわしい「反西洋」の象徴であり、資本主義の権化たるアメリカに対する北朝鮮の独自路線を強く印象づけた。この時期、北朝鮮は核・ミサイル問題をめぐる緊張のただ中にあり、人民服はあえて「国家主権を譲らない」という意思表示として機能した。相手がいかに強大な国であっても、北朝鮮の体制と思想は不変である。そんな強硬な自画像を、彼の人民服から読み取ることができる。

一方、2023年9月のロシア訪問では様相が異なる。極東アムール州で行われたプーチン大統領との会談において、金正恩氏はダークスーツにネクタイという、いわば国際標準の装いだった。この選択は、人民服に込められた体制の象徴性を意図的に脱ぎ捨て、「実利を求める交渉者」としての顔を前面に押し出したものと解釈できる。経済制裁下にある北朝鮮にとって、ロシアとの軍事技術協力や物資支援は切実なテーマである。スーツという現代的で合理的な装いは、こうした現実的利害を共有する同志としての立場を演出する。

装いは、多くを語る。人民服を選んだとき、彼は体制の正統性を視覚化し、権威とカリスマを内外に示した。スーツを選んだとき、彼は外交ゲームのプレイヤーとして、共闘と取引のテーブルに着く姿勢を表現した。

この二つの装いの対比は、北朝鮮外交の二面性──理念と実利、孤立と連携、硬直と柔軟──を浮き彫りにする。服は、国家が世界とどう向き合うかという立場をまとう鏡になっている。

Photo: CNN.co.jpより引用

2019年6月、大阪で開かれたG20サミットにおいて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が着用していたスーツは、一見すれば何の変哲もないクラシックな装いに映った。しかし、あの場面を外交的コンテクストとともに読み解くならば、それはきわめて緻密に設計された、静かな演出であったと言える。

プーチン大統領が着ていたのは、黒に近いチャコールグレーのスーツに、白シャツ、そしてワインレッドのネクタイという、保守的かつ抑制の効いた組み合わせである。奇をてらうことなく、ただし冴えわたる精悍な佇まい。挑発ではなく統制、アピールではなく沈黙による圧力である。

当時、米露関係はきわめて複雑な局面にあった。2016年のアメリカ大統領選へのロシアの介入疑惑を発端に、トランプ政権は国内外からロシアとの癒着を疑われ、いわゆる「ロシアゲート」が政権を揺さぶっていた。さらに、INF全廃条約の失効を目前に控え、軍事・安全保障の枠組みも大きく揺らいでいた。トランプはしばしばプーチンに対して異様な親和性を示したが、アメリカの制度的な対露姿勢は一貫して警戒的であり、両国は、握手しながら疑念を深めているような状態にあった。

そのような文脈のなかで、プーチンの装いは明確な信号を発していた。深いグレーはロシアの現実主義を象徴し、ワインレッドのタイは、赤の持つ攻撃性を巧みに抑制しながらも、権力と主導権の意思をほのめかす。派手なスーツや強い柄を避けることで、「服では語らず、立ち姿で圧倒する」スタイルであり、いわばKGB出身の統治者にふさわしいスーツ美学である。

対するトランプ大統領は、淡いピンクのストライプタイというやや軽快な装いで登場した。政治的な含意はともかく、ビジュアル上は華やかであり、言葉も冗舌であった。プーチンの静けさとトランプの騒がしさ。そのコントラストは、米露の立場の違いを象徴するような一幕だった。

プーチンは、この「静」のスタイルによって、外交舞台においても「読ませない男」であり続けた。スーツに感情を載せず、しかしその無表情のなかに国家の影を背負わせる。

Photo: 駐日ロシア大使館Xより引用

紳士服業界にある方々にはつとに「常識」になっているのだが、今なお、政治家のなかにも「常識」が浸透していないと見受けられる場面が多いので、重ね重ねではあるが、ボタンダウンのシャツを着用する際の注意として記しておきます。

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ボタンダウンのシャツは襟がきれいに立ち、ネクタイとも相性がよく、ネクタイなしでも様になる。実用性に優れた一枚である。

ひとつだけ注意したいのが「公式の場」での使用である。ボタンダウンはその成り立ちや印象から、いわゆる「格式」を重んじる場にはあまり適さない。その背景を少しだけ。

ボタンダウンシャツの起源は19世紀末のイギリス、上流階級の間で人気だったポロ競技にある。騎乗中に襟が顔にかかるのを防ぐため、襟先をボタンで留めたのが始まりだ。つまりこのデザインは、そもそもスポーツウェアの実用性から生まれたものだった。

その後、アメリカの老舗ブランド、ブルックス・ブラザーズが1900年頃に商品化し、「ポロカラーシャツ」として定番化させる。ハーバードやイェールといった名門大学の学生たちがこぞって着るようになり、ボタンダウンは知性や清潔感の象徴として広まっていく。いわゆるアイビールックの代表アイテムであり、アメリカ流のカジュアルな上品さを体現する存在になった。

ここで注意したいのは、「カジュアル」と「公式」の違いである。

たとえば、第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディ。彼はアメリカ政界きってのスタイルアイコンと称され、当時としては比較的細身のスーツを颯爽と着こなし、現代にも通じるエレガンスを体現した。そんなケネディ大統領は、プライベートではボタンダウンシャツを好んでいたものの、大統領演説や外交会談といった公式の場では一貫して着用しなかった。代わりに、レギュラーカラーやセミワイドカラーのシャツを選び、ネクタイとのバランスや襟元の美しさを大切にしていた。アメリカという若い国のリーダーとして、伝統的なヨーロッパの格式に敬意を払う姿勢の表れでもあった。

ヨーロッパ、とくにイギリスやフランスでは、シャツの襟元はフォーマルウェアの要とされる。ボタンで襟を固定するボタンダウンは、「略式」として扱われるのが通例だ。タイノットの立体感や襟のロールが制限されるため、正統なスーツスタイルの美意識にそぐわない、という感覚が根強くある。

日本においては1960年代以降、アイビールックの流行とともにボタンダウンがビジネスシャツとして普及したが、その文化的背景やTPOの区別が十分に浸透しないまま定着してしまった。とりわけ、目上の方と対面する場や式典、外交的儀礼のような「格式の要求される空間」では、ボタンダウンは控えるのが国際的にも妥当である。

ボタンダウンのシャツは、親しみやすく、どこかくつろいだ印象をまとう。だからこそ、信頼関係のある商談や、日常のビジネスにはふさわしい。一方で、表彰式、記者会見、外交、葬儀など、儀礼性の高い場では、レギュラーカラーのシャツを選ぶと、節度が漂う。

Photo: Cecil Stoughton, White House. 1963. Public Domain

政治家にとって、言葉と同様に雄弁なのが、装いである。とりわけ外交の場においては、国家の姿勢や理念を象徴的に伝える。

なかでもネクタイは、視線の集まる位置にあり、色・柄・幅の選択が無言のメッセージを発する。たとえば歴代日本の首相たちのネクタイにおいても、それぞれの政治信条、時代背景、国際的立ち位置が織り込まれている。選ばれたネクタイは、おそらく意図以上に、外交における信頼醸成や文化理解に寄与してきた。

象徴的な存在として、海部俊樹氏(第76・77代首相)を挙げたい。1989年、リクルート事件による政治不信が高まる中、「クリーンなイメージ」を評価されて登場した海部氏は、トレードマークとして水玉模様のネクタイを着用した。これは、テレビ出演で同じネクタイを繰り返し使っていたことを視聴者に指摘された経験を受け、逆手にとって個性として打ち出したものだった。600本以上の水玉ネクタイを所有し、常に異なる水玉で登場するという視覚戦略は、清潔感と親しみやすさを演出し、「さわやか宰相」としてのパブリックイメージを確立した。

安倍晋三氏(第90・96〜98代首相)のネクタイ選択もまた、視覚的言語として強い意味を発していた。外交の場において、青系とともに黄色系のネクタイをしばしば選んだ。青は誠実さ、冷静さ、信頼感といったイメージを想起させる定番であるが、黄色はやや異質に見える。だが、日の出ずる国=日本」の象徴としての意識的な選択であったと解釈できる。

太陽の色である黄色や金色は、古来より光明・繁栄・知恵の象徴であるとともに、視覚的に日本を想起させる色である。国際会議のフォトセッションにおいて、黄色のネクタイは視線を引きつけながらも、攻撃性なく品位と存在感を発揮する。安倍氏が標榜した「戦後レジームからの脱却」や「積極的平和主義」の発信において、黄色のネクタイは、日本の伝統と未来をつなぐ光として、視覚的外交における確かな役割を果たしてきたのだ。

小泉純一郎氏は、グリーン系ネクタイを好んだ。グリーンは自然、再生、調和の象徴であり、政界においては異色である。しかし、彼の「聖域なき構造改革」「自民党をぶっ壊す」といったメッセージと併せてみれば、現状への挑戦と刷新を示す色でもあった。グリーンは権威から距離を置き、自然体で風通しのよいリーダー像を演出するための装いであったとも言える。

岸田文雄氏は、無地や控えめなストライプといったネクタイを好んだ。その選択は、調整型で穏健中道を旨とする彼の政治スタイルと一致している。外交の場でも落ち着いた印象を与え、相手国に対する過剰な主張を控えたバランス感覚を印象づけた。

しかし、ストライプの扱いには常に注意が必要だと思う。日本ではストライプのネクタイが若々しいイメージを与えるものとして広く愛用されているが、海外ではこれがしばしば「レジメンタルタイ(連隊ネクタイ)」として認識される。もともとは英国の軍隊やパブリックスクール、クラブに由来し、各ストライプには所属を明示する意味がある。そのため、該当する所属者でない者が無自覚に着用することは、時に無礼と受け取られる。

さらに、英国式では右上がり、米国式では左上がりのストライプが基本であり、方向性までが文化的アイデンティティを帯びている。石破茂氏のように英国式ストライプを愛用する政治家もいるが、国際舞台でこの選択が不必要な誤解や違和感を招くリスクを持つことは否めない。ストライプは、国内では無難な柄でも、国境を越えるとき、文化的誤読の種にもなる。

外交においては、無地のネクタイ、小紋、水玉といった控えめで、非所属的な柄が推奨される。こうした柄は文化的中立性を持ち、相手国への敬意や調和の姿勢を自然に伝える。ネクタイは言葉より先に、相手に見られている。ゆえに、政治的リーダーのネクタイとは、単なる装飾ではなく、自己像と国家像を織り込んだ外交の言葉として扱われるべき。

「どのネクタイを締めるか」の判断の積み重ねが、国際社会における信頼と尊敬を築いていく。

Photo:海部俊樹氏 首相官邸HP CC 4.0

(*スーツ360周年に向けた次の書籍のためのエッセイの一部)

喪に服す色は世界共通ではない。喪の色とは、その文化における死生観、宗教観、社会儀礼の結晶であり、それぞれの地域、民族、信仰によって意味づけが大きく異なる。

日本では明治以降「黒」が一般的となったが、それ以前の神道葬では「白」が正式な喪服であった。中国やインドでは今なお「白」が死者を弔う色であり、アフリカの一部地域では「赤」や「青」が重要な意味を持つ。つまり、喪の装いとは単なる服装規定ではなく、精神の表現であり、文化の記号でもある。

これを雄弁に示したのが、2025年4月に行われたローマ教皇フランシスコの葬儀だった。サン・ピエトロ広場に世界各国の要人が集い、最後の別れを告げたこの日、注目されたのは荘厳な儀式だけではない。各国首脳や王族、宗教指導者たちがまとった「喪服」の多様性である。現代のグローバル社会における弔意のあり方を象徴していた。

アメリカのトランプ大統領は、鮮やかな青のスーツに青系のネクタイという装いで参列した。西洋社会における一般的な喪のドレスコードから逸脱したこの選択は、批判も呼んだ。他国の首脳の多くが黒を基調とした服装で臨むなか、この明るい装いは「自己主張が過ぎる」「哀悼の空気を乱す」と受け止められた。しかし一方で、トランプ氏らしい「俺様がルール」という政治的パフォーマンスの一環とする見方もあり、その是非は文化と価値観の対立を浮かび上がらせた。

イギリスのウィリアム皇太子は、ネイビーのスーツに黒のネクタイを合わせて出席した。これは英国王室が葬儀においてしばしば用いる正式な喪服スタイルである。濃紺は控えめでありながら格式を保ち、また戦後の英国において「黒の過度な強さ」を緩和する色として受け入れられてきた。また、イギリスは宗教的には「英国国教会」であり、カトリックとはやや距離を置く。そうした微妙な宗教的立場の違いも感じられた。

ヨルダンのアブドゥッラー2世国王もまた、ネイビーのスーツで参列した。イスラム文化圏において、喪の色は一義的ではなく、白、緑、青、あるいは伝統衣装など多様なスタイルが認められている。ネイビーの選択は、バチカンの規律を尊重しつつ、自国の文化を損なわない礼節として成立していた。

インドのムルム大統領の装いも目に留まった。彼女は青のサリーで参列した。ヒンドゥー教において、死は魂の輪廻の一部であり、白が喪の色とされることが多い。だが、インドにおける女性の礼装=サリーは、弔意の文脈であっても一色ではない。ムルム大統領の選んだ深い青のサリーには、個人としての弔意とともに、国家の代表としての矜持も感じられた。

一方、戦時下のウクライナから参列したゼレンスキー大統領は、黒の軍服風ジャケットを身にまとっていた。喪服ではないが、国家非常時の指導者としての立場を象徴する装いであり、その佇まいからは、服装規定を超えた「戦時下」にいる指導者としての存在感が伝わってきた。

こうした多様な装いは、形式的ドレスコードと矛盾しているように見えるかもしれない。しかし、真に重要なのは色そのものではなく、「死者に対していかに敬意を表すか」という精神のあり方である。黒ではなくとも、ネクタイがなくとも、敬意があれば、背景に文化があれば、十分に「喪の表現」として機能する。

ローマ教皇という世界的精神指導者の葬儀が、このように多様な装いに彩られたことは、現代が直面する「儀礼の共存」というテーマを浮き彫りにした。「黒でないこと」にもまた、意味が与えられ、共感される時代へと移行しつつある。グローバル化と多文化共生の時代にあって、私たちは、弔意の形が一様でないことそのものを受け入れる寛容さを問われている。

それぞれの装いが語る弔意の背景を知ることこそ、異文化理解の第一歩である。(それにしてもトランプ大統領のブルースーツだけは、違う意味を放っていた…)

Photo: Dipartimento della Protezione Civile.  CC BY 2.0

日本の香りを通して考える日本のラグジュアリー。

ヨーロッパの香りとの違いとは? 海外の顧客は何を求めて日本の香水を買うのか? 価格を超える価値をどのように生むのか?

パルファンサトリの大沢さとりさん、リベルタパフュームの山根大輝さんと話した内容を記事にしました。こちらでお読みいただけます。

English version is here.

沖縄の芭蕉布を取材した記事、ウェブ公開されました。

「手で績ぐからこそ糸に小さな傷が生まれる。それが艶に抑制を効かせ、布の魅力の源泉になる」という考え方に視界が開かれた思いがしました。

陰翳礼讃にも通じる日本の美意識がここにも。

職人さんの話を直接、聞いたからこそ学ぶことができた視点です。

ぎらぎらした美の誇示を避け、どこで留めるのかを配慮することが むしろ日本的な美しさにつながるのでしょう。

noteでは英語版を公開し、おもにLinkedInでつながる海外のラグジュアリーセクターの方々に共有しています。

 

I wrote a piece on bashōfu, the traditional Okinawan textile made from itobashō fibers.

What struck me most is how its quiet beauty is born from imperfection: tiny scars in the hand-spun threads soften the sheen, creating a subtle, soulful luster.

This aesthetic—finding allure in what is incomplete—resonates deeply with the Japanese appreciation of shadow and nuance.

In an age of AI and automation, the human touch still holds irreplaceable value.

 

連休中は6月20日発売の『「イノベーター」で読むアパレル全史』初校ゲラと格闘です。

頻出する用語「エレガンス」をどう解説しようかとつらつら考えていて、2行で定義することなんてほぼ不可能なので、ちょっと書ききれなかった思考の余りみたいなものをここにメモしておきます。

 

タバコとシャンパングラスをもち、舞台裏でラフにしゃがむミウッチャ・プラダが「エレガント」と称され 、髪ぼさぼさでメイクもほぼなし、しわくちゃのシャツとパンツ姿のパティ・スミスが美のアイコンとされるのはなぜか?

普通であれば「上品とはほど遠い所作」「美の基準からはずれたヘアメイクと装い」。

でも彼女たちは「エレガント」と評される。

エレガンスとは、品格や美の型を演出することではなく「自分であること」という象徴的な例になっている。

フランス人は人格とからめて「エレガンス」を語る。

エレガンスとは、「どう見せるか」ではなく、「どう在るか」。 フランス人がこれを大切にするのは、文化として「美とは人の奥行きから滲み出るもの」と考えてきたからだろう。

シャネルもサンローランも「エレガンスとは拒絶である」と語る。

世間への迎合を拒絶し、流行型を拒絶して、自分の本質だけを選び取る。 それがエレガンスの要諦なのだろう。日本の「たたずまいの美」にも通じるところがある。

エレガンスとは、服の問題ではなく、人格の結晶。品格よりもむしろ品位。

(自分の現実からは遠い理想ですが、こうありたいですね!)

写真はパレスホテルのロビー花。

北日本新聞「ゼロニイ」6月号 連載「ラグジュアリーの羅針盤」第30回は芭蕉布を創る方々を取材した記事です。

近日中にウェブにも掲載されます。

 

本文にも書いているのですが、明治以降に生まれた意味不明の「きものルール」に縛られるのではなく、温暖化も進んでいるので、着たいと思った季節に自由に芭蕉布を着てほしい、と。そうすることで職人さんたちが少しは救われます。きものを継承していきたいと思えば、後付けで決められた決まり事を守るのではなく、職人さんの生活をまずは守ることを考えたいところです。

伊勢型紙を使い照明器具をつくる高橋完治さんを取材。伊勢型紙を4000枚譲り受けた経緯や、半導体業界から全く畑違いの伝統工芸アートの世界に入った経緯を伺いました。

詳しくは後日記事にしますが、この型紙の可能性、無限にありそうです。

それにしても。きものが着られなくなり、伊勢型紙の需要がへり、型紙の価値に目をとめた外国の方がどんどん型紙を買っていく。それでいいの?

I recently had the pleasure of interviewing Kanji Takahashi, a remarkable creator who crafts lighting fixtures using Ise-katagami—traditional Japanese paper stencils. He shared the story of how he inherited 4,000 of these historical stencils, as well as his journey from the high-tech semiconductor industry into the world of traditional craftsmanship and art.

A full article is on the way, but one thing is certain: the creative potential of Ise-katagami feels truly boundless.

At the same time, I find myself reflecting. As kimono culture fades from daily life, domestic demand for these stencils has waned—just as more and more international collectors are recognizing their value and taking interest.

It’s heartening to see this appreciation from abroad, but it also makes me wonder:

Are we, here in Japan, truly seeing the worth of what we have?

 

(No. 1とNo. 2から少し投稿の間があいてしまいましたが)ししいわハウスNo. 3。西沢立衛さんの設計。

日本の木造建築にオマージュを捧げてあり、各部屋が縁側や中庭でつながります。

ヒノキが多用され、お風呂もヒノキ。天然のヒノキの香りに心身が落ち着きます。こちらのお部屋に2泊滞在いたしました。

周囲とのつながりを感じながら開放されるような、新しい感覚がもたらされる滞在でした。

今回のメインの仕事はオーナーのフェイ・ホアンさんへのインタビューでした。新しいラグジュアリーの感覚をホスピタリティを通して実践している投資家。詳細は後日記事にて。

ドキュメンタリー映画「わたのまち、応答セヨ」のコメントが公開されました。

人々の予測できない反応を巻き込みながら、クライマックスに向けて着々と感情が盛り上がっていく骨太なドキュメンタリーです。

「美の継承」に国境はないのですよね。三河木綿の奇跡をぜひ目撃してください。

さらに詳細なレビューは、JBpress autographにて書いております。

大阪万博、モナコ公国のレセプションにお招きいただきました。

ピエール・アンドレ・キアポリ財務大臣、ディディエ・ガメルダンジェ駐日モナコ大使はじめモナコ公国の関係者の方々にあたたかくお迎えいただきました。

モナコのパビリオンは全体が大人の社交サロンのようでした。なんといってもオテル・モンテカルロが提携しているのです。一流ホテルのおもてなしのエッセンスをコンパクトにほんの少し体験できる場所、それがモナコパビリオン。

レセプション会場となった3階のワインセラーには、SBMグループのエグゼクティブヘッドソムリエが選んだボルドー、ブルゴーニュ、ローヌ、ロワール、プロヴァンスのワインが麗しく並んでいます。 家具はイタリアのチェリーニがこのパビリオンのために特別に作ったもので、丸みのある建物と調和する柔らかなデザインです。

庭園もまた見どころ満載なのですが、建物の上階にある展望台ル・ヴェルヴェデーレからはこの庭園を見下ろしながらワインを楽しむことができます。 本格派のワインは、一般のゲストもグラス単位で味わうことができるそうなので、万博に足を運ばれることがありましたら、こちらで大人のゆったりしたモナコ時間を過ごしてみてください。

私は日が沈む前においとましたのですが、夜のライトアップがさらに華麗だと評判です。 未来を見せる万博ですが、モナコはきっと過去も現在も未来も変わらず人と人とのつながりを優雅に演出するラグジュアリーな舞台であり続けていくでしょう。そんな本質を守り貫く意志を感じました。

(レセプションでは社交に集中して写真を撮ることもできなかったので、ワインセラーの写真のみ、公式からお借りしています)

I had the honor of attending the Monaco Pavilion reception at Expo 2025 Osaka. We were warmly welcomed by key figures from the Principality of Monaco, including H.E. Mr. Pierre-André Chiappori, Minister of Finance and Economy, and H.E. Mr. Didier Gamerdinger, Ambassador of Monaco to Japan.

The pavilion itself felt like an elegant social salon for grown-ups—unsurprising, given that it’s in partnership with the Hôtel de Paris Monte-Carlo. A compact yet refined space that distills the essence of world-class hospitality: that’s the Monaco Pavilion.

The reception was held in the third-floor wine cellar, where fine selections from Bordeaux, Burgundy, Rhône, Loire, and Provence—curated by the Executive Head Sommelier of the SBM Group—lined the room like jewels. The furniture, custom-made by Italian brand Cellini for the pavilion, featured gentle curves that echoed the architecture’s soft, rounded form.

The garden is another highlight. From the upper-level observatory, Le Belvédère, you can gaze out over the garden while savoring a glass of fine wine. Even general visitors can enjoy premium wines by the glass, so if you’re heading to the Expo, I highly recommend experiencing this moment of “Monaco time”—an oasis of elegance and calm.

初校ゲラが届きました。

大幅に増補・改訂し、500ページ近い本になりそうです。

ラグジュアリーブランドの系譜から伝統工芸をアップデートするクリエイターまで。20世紀を更新したデザイナーから21世紀を動かすカリスマ経営者まで。総勢100名ほどのアパレルイノベーターが登場します。

6月20日発売です。 各ECサイトで予約受付中。どうぞよろしくお願いいたします。

#『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』(日本実業出版社)

The first proofs of my upcoming book A Complete History of Apparel through Innovators – Expanded and Revised Edition have arrived.

This extensively updated volume will span nearly 500 pages, covering a wide range of innovators—from luxury brand visionaries and creative directors redefining Japanese traditional crafts, to the designers who reshaped the 20th century and the charismatic leaders shaping fashion in the 21st.
Around 100 key figures in global apparel innovation are featured. The book will be published by Nihon Jitsugyo Publishing on June 20.

I’m also currently seeking international publishers interested in producing a translated edition. If this project resonates with you, I would love to connect.

4月20日(日)20:00~20:55 、ミュージックバード「プレジデント・ステーション」でラグジュアリーをテーマにパーソナリティのお二人と話したトークが放送されます。詳細はこちら

やまこきのこ園@浅間山のふもと 取材見学。

きのこの種類によって生育環境条件を細かくコントロールして多種多様なキノコを育てていらっしゃいます。壮観。


キノコは盛りを過ぎてしまうとそこにキノコバエがとんできて幼虫の栄養になる。

最後はすべて土に還りみんなが木の栄養になる。その木が新しいキノコを育てる。

自然界では当初から完璧な循環が設計されていることを実感します。

Visit to Yamako Kinoko-en, at the Foot of Mt. Asama.

Each type of mushroom is cultivated under meticulously controlled environmental conditions, tailored to its specific needs. The result is a breathtaking variety of fungi.

Once mushrooms pass their prime, fungus gnats are drawn to them, turning them into nourishment for their larvae.

Eventually, everything returns to the soil and becomes nutrients for the trees—which, in turn, nurture new mushrooms.

It’s a powerful reminder that in the natural world, a perfect cycle has been in place from the very beginning.

大丸松坂屋百貨店のWEBで「これからのラグジュアリー」をテーマにインタビューを受けました。
こちらでお読みいただければ幸いです。

I was recently interviewed for the official web publication of Daimaru Matsuzakaya Department Stores, where I discussed the evolving meaning of luxury in contemporary culture.

Rather than being confined to conventional markers such as wealth, rarity, or conspicuous display, I argue that today’s luxury is increasingly characterized by a deeper notion of fulfillment—an interiorized richness cultivated through temporal depth, spatial awareness, aesthetic discernment, and intentional engagement.

琉球紅型の工房を訪ね、職人たちにお話を伺った取材記事がウェブでも公開されました。

戦後の混乱の中、「そこら中に転がっていた」銃弾や廃材を道具に変え、王族の衣装だった紅型を復興させた職人たち。苦難を力に変えてきた沖縄の精神が、今も城間家の手で受け継がれています。

城間びんがた工房のみなさま、ご紹介くださいました「きものやまと」さんに重ねて心よりお礼申し上げます。

I had the opportunity to write about the art and legacy of Ryukyuan Bingata, based on in-depth interviews with artisans in Okinawa.

In the aftermath of war, Ryukyuan artisans turned bullet casings and scrap records into tools—reviving Bingata, a sacred dyeing tradition once reserved for royalty.

This story of resilience, creativity, and cultural pride lives on through the Shiroma family’s legacy.

→English version is here.

4日付夕刊から、日経新聞で新連載が始まりました。テーマは 「ラグジュアリー・ルネサンス」 です。

いま日本では、西洋中心のラグジュアリー観から離れ、日本独自の文化的オリジンに根ざした「リアリティ」や「本物の豊かさ」を求める動きが静かに芽生えています。この連載では、過度な伝統主義に陥ることなく、現代を生きる日本にふさわしく、そして未来に希望を灯すようなラグジュアリーのあり方を、多角的な視点から探っていきます。

第1回は、イントロダクションです。

 

I’m excited to share that a new series has just launched in Nikkei Newspaper under the theme:

Luxury Renaissance: Why It’s Time to Redefine What Wealth Really Means

In Japan, a quiet shift is underway—from a Western-centric view of luxury toward a pursuit of authenticity, rooted in Japan’s own cultural origins. This series explores what luxury could mean for contemporary Japan: a richness not bound by Western ideals nor by rigid traditionalism, but one that speaks to our present moment—and offers light for the future.

This is the first installment of a yearlong journey into reimagining luxury from multiple perspectives: culture, craftsmanship, well-being, and beyond.

English version


日経の記事には千鳥ヶ淵の夜桜を使いましたが、こちらは昼間の桜。ほぼ満開でした。

雅耀会第2回、「国×伝統工藝×ラグジュアリー」の回。国際文化会館にて。ファシリテーターを務めました。

名古屋、金沢はじめ遠方からのゲストも多く、産地、教育機関、プロデューサー、メディアの方々からの鋭い質疑に対する応答で盛り上がりました。

職人への支援ばかりではダメ、プロデューサーやマネージメント側面への注力が肝要という現場の専門家からの指摘が、良い形で政策に反映されることを願っています。
経産省中部経済産業局の局長、寺村英信さん、同製造産業課の磯貝智子さん、おふたりのあたたかいハートと冷徹な頭脳のおかげで伝統工藝の現状に対する理解が深まりました。現場の方からは怒りにも近い絶望の声が出たような伝統工藝の現状ですが、「火を絶やさない」という磯貝さんの言葉に希望も見えました。

今回も良き交流の場になりました。それぞれの活動の次につながりますように。

 

「わたのまち、応答セヨ」の紹介記事です。さびれゆく繊維の街の地味な話かと思って見たところ……撮る人が撮られる人を変えていくドキュメンタリーの底力を感じました。ラスト、ロンドンで遭遇する奇跡に泣きました。

「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.29 「銃弾を拾い、祈りを染める 琉球びんがたが伝える物語」公開されました。

沖縄戦のことが、こうした美しい伝統工藝を通じて後世に伝わっていくのだということを体感した取材でした。「鉄砲のたまが、そこら中におちていた。それを拾って道具にした」と淡々と話す城間さんのお話の衝撃がよみがえります。

取材にご協力くださいました城間びんがたのみなさま、ありがとうございました。

雪がちらつく寒い日でしたが、阪急メンズ東京で開催中の「香りで巡る日本の美」ポップアップの中で開催されたトークイベント「日本発の香水ブランドと次世代ラグジュアリーの新しい可能性」を無事終えることができました。

寒い中、立ち見でずっと集中して聴いてくださったゲストの方々には心より感謝申し上げます。

SATORIの大沢さとりさん、リベルタの山根大輝さんとも、準備の段階からアフタートークにいたるまで、深く対話を重ねてきました。当日の内容の概要はあらためて記事化させていただき、英語でも発信する予定です。

ラグジュアリー製品のなかでもニッチな香水はもっとも文化や思想や夢という付加価値の部分が大きいジャンルかもしれませんね。液体の原価を計算することにあまり大きな意味がないというか。価格を超える価値、価格をどうでもよくしてしまうほどの斬新な視点や感動、使う人の人生を格上げすると感じさせるほどの価値をそこにどうやってこめていくのか。そこが問われる。

朝日新聞から依頼を受け、「破れないストッキング論争」の背景を解説しました。

紙版では3月5日付夕刊に掲載されています。ウェブ版は有料会員への全文公開になりますが…。

技術論としてはたしかに、「美しく薄い質感」と「強度と耐久性」を両立させるのは容易ではない。軍事レベルの強度な繊維を使ったとしてもコストや通気性、着心地などが犠牲になる。

だが女性の現実はそこまでの強度を求めているわけではないのだ。あまりにも些細な刺激で(時には履く前に)破れることが多すぎることに不満を抱いている。

メーカー(ほとんど男性)が技術論をふりかざし、ユーザー(女性)の切実な現実をくみとろうとせず「指切るで」などの軽率で的外れな対応をしてしまったことで反感を買ってしまった。

そもそも根本的な原因は、日本のメジャーなアパレル業界において決定権をもっているのがほぼ男性、ということにある。彼らが「多様性の大切さ」を力説し、同じような後ろ姿の男性が全員うなずくというシュールな光景ときたら……。

I was commissioned by The Asahi Shimbun to explain the background of the “Unbreakable Stockings Debate.”

From a technical standpoint, it is certainly not easy to achieve both a “beautifully thin texture” and “strength and durability.” Even if military-grade strong fibers were used, it would come at the cost of breathability, comfort, and affordability.

However, women are not necessarily demanding such extreme durability. Their frustration stems from the fact that stockings often tear too easily from even the slightest stimulus—sometimes even before they are worn.

Manufacturers—mostly men—insisted on technical arguments without considering the real concerns of female users. Their dismissive and tone-deaf responses, such as jokingly saying, “You could cut your finger on them,” only fueled further backlash.

At the core of the issue lies the fact that decision-making in Japan’s major apparel industry is still dominated by men. The irony of these men passionately advocating for “the importance of diversity,” while a room full of similar-looking men nods in agreement, is almost surreal.

展覧会プレビューの翌日は、千總工房の見学と取材。

詳しくは後日記事にて、なのですが、さすが470年の歴史を誇るだけあり、和のデザインの一大アーカイブも持っていらっしゃいました。デザインの数、2万点。有名なデザイナーの和柄をOEM的に手掛けられることもあれば、お茶やお酒、お菓子の外装に描かれた和柄をデザインすることもある。驚きの連続。

千總のマーケティング部長、斯波大輔さんにご案内いただき、締めくくりは社長の磯本延さんにじっくりお話を伺いました。初めて聞く話ばかりでとんでもなく充実していました。記事に書ききれるかな。書ききれなかったことは、講演などでもお伝えしていく予定です。

 

アーチストの加藤泉さんと、創業470年を迎える老舗の千總がコラボした展覧会が千總ギャラリーで開催されています。
記者会見と内覧に伺いました。

加藤泉さんと、千總社長の磯本延さん。

加藤泉さんと、蒲池工芸の蒲池正太さん。今回の作品では、加藤さんのヒトの絵の上にリアルな「みみずく」を描いています。

詳しくは後日記事にて。

 

Q JAPAN 4月号特集はTokyo New Ivy。
ブリティッシュ・アイビーについて解説しました。

とはいえ「ブリティッシュ・アイビー」なる用語は当のイギリスでは使われず、日本独自の分類・解釈により生まれた言葉&スタイルと思われます。
(こういうの、日本は巧いですよね)

日本の「アイビールック」(これじたい、アメリカを経由したイギリスのトラッド由来ですが)がイギリスの伝統服装を再解釈した結果……イギリス側では日本独自のスタイルとして認識される可能性があります。

The April issue of GQ JAPAN features “Tokyo New Ivy.”
I provided an explanation of British Ivy.

That said, the term British Ivy is not actually used in the UK. It seems to be a concept and style born from Japan’s unique classification and interpretation.
(Japan is quite good at this kind of thing, isn’t it?)

Japan’s Ivy Look (which itself is essentially British trad filtered through America) has reinterpreted traditional British clothing. As a result, there is a possibility that it may be recognized in the UK as a uniquely Japanese style.

北日本新聞「ゼロニイ」3月号、連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 28 「金箔の声を次世代に伝えたい」。

金箔の製造方法はもちろんのこと、金箔が100%金沢でつくられていることも、あぶらとりがみの由来が金箔を押す紙であったことも、取材に伺ってはじめて知ったことでした。

箔座のみなさま、ご紹介くださいましたMIZEN寺西さん、ご協力をありがとうございました。

 

ブルネロ クチネリ表参道店B2 アートサロンで、千舟堂・岡垣祐吾社長をお迎えして雅耀会「輪島塗の物語 災害を乗り越え、共感の輪を未来へつなぐ」を開催いたしました。


ブルネロ クチネリの経営哲学を反映した洗練された空間で、このブランドのジェントルラグジュアリーという考え方の延長にあるアート支援、復興支援の実践を知っていただくとともに、災害後の輪島塗をとりまく厳しいと現実と闘い続け、輪島塗の魅力を発信し続けている岡垣さんの人間的なすばらしさにも触れていただく機会となりました。

官公庁、メディア、各ハイブランドの方々はじめ企業経営や伝統工芸にたずさわる方々の意義深いネットワーク形成のきっかけにもなれたことが感じられた、充実した会になりました。

会場を快くご提供くださいました上、店舗内ツアーまで行ってゲストをもてなしてくださいましたブルネロ クチネリのみなさまには、深く感謝申し上げます。

ご参加いただいたみなさまにも心より感謝いたします。お話したおひとりおひとりと心のつながりがあたたかく感じられたのも、特別な空間の力ゆえでしょうか。ブルネロ クチネリと輪島塗、互いの美しさを相乗的に引き出す稀有な化学反応を起こしています。

We hosted Gayo-Society: “The Story of Wajima Lacquerware – Overcoming Disaster and Connecting Empathy to the Future” at the Brunello Cucinelli Omotesando Boutique’s B2 Art Salon, welcoming Yugo Okagaki, President of Senchudo, as our distinguished guest.

Within the sophisticated space that embodies Brunello Cucinelli’s philosophy of humanistic capitalism, attendees were introduced to the brand’s approach to gentle luxury, which naturally extends to its engagement in art and post-disaster reconstruction efforts. It was also a rare opportunity to witness firsthand Mr. Okagaki’s unwavering dedication to promoting Wajima lacquerware while facing the harsh realities of post-disaster recovery. His remarkable character and commitment left a profound impression on all who attended.

The event fostered meaningful connections among government officials, media representatives, leading luxury brands, corporate executives, and traditional artisans, creating the foundation for a warm and supportive network that transcends industries.

We extend our deepest gratitude to the entire team at Brunello Cucinelli for not only generously providing the venue but also for offering a curated boutique tour, making our guests feel truly welcome.

To everyone who participated, we are sincerely grateful. The warmth of each conversation and the deep connections we felt throughout the evening may well be a testament to the power of this exceptional setting. The rare synergy between Brunello Cucinelli and Wajima lacquerware created a profound and unexpected alchemy, enhan​cing the beauty of both.

*ブルネロ クチネリと輪島塗との出会い、という書き方を表向きはおこなっているが、 正確を期すとすれば 「ブルネロ クチネリ ジャパンの宮川社長と千舟堂の岡垣社長との出会い」なのだ。輪島塗の支援のために何ができるかと考え続けていた宮川社長と 輪島塗をとにかく販売しようと東京・広尾で展示会をおこなっていた岡垣社長。考え続けていた人と行動し続けていた人との出会いが、全く予期せぬ奇跡的なコラボを生んだ。

唯一無二とも思える美しいストーリーに出会ってしみじみ思うのは、人の心を動かすラグジュアリーを生むのは、方法論やシステムではない、ということ。その前に人の志があり、自分にできることを考え抜いて行動する人の情熱がある。志や情熱を語る理想論でうまくいくはずはないと冷笑する声もあるが、 志や情熱がないところに、そもそも何も生まれることはない。

これ、素敵じゃない? なんと、陣羽織なんですよ。


やまとの展示会なかでも最も楽しみにしているkimono by nadeshiko のデザイナー、金子茉由さんの作品。シャーリングを入れ、硬いシルエットの陣羽織に丸みを演出しているのがポイント。

丸みを入れたインスピレーション源は「アンパンマン」。飛行機の気圧が下がったとき、子供がいっせいに泣く。その時、CAさんたちが「さあ、アンパンマンとリンゴジュースを用意!」と動き始めたのがヒントになったという。アンパンマンの丸みは愛されるのだ、と。

ほかにも星をテーマにした作品や、作務衣のかわいいバージョンなど、盛りだくさんで、楽しい展示会でした。

若いデザイナーたちに自由な裁量を与えている矢嶋社長もすばらしいなと思う。

きもの文化を継承する鍵はひとえにこうした若い方のきもの愛であって、ルールではないのですよね。

 

Isn’t this wonderful? Believe it or not, it’s a Jinbaori!

This piece is by Mayu Kaneko, the designer of kimono by nadeshiko, one of the highlights I always look forward to at the Yamato exhibition. The key feature is the shirring, which softens the traditionally rigid silhouette of the Jinbaori, adding a rounded touch.

Her inspiration for incorporating this roundness? Anpanman. She recalled a moment on a plane when the cabin pressure dropped, causing all the children to start crying at once. The flight attendants immediately sprang into action, saying, “Alright, time to bring out Anpanman and apple juice!” That moment made her realize—Anpanman’s roundness is a symbol of comfort and love.

The exhibition was packed with other delightful pieces, including star-themed designs and an adorable version of samue (traditional workwear).

I also admire President Takayuki Yajima for giving young designers the freedom to explore and create.

After all, the key to preserving kimono culture lies in the love and passion of the younger generation, not rigid rules.

Tokyo FM President Stationで収録でした。パーソナリティは金子一也さんと川越塔子さん。

日本各地の経営者の方々がメインリスナーと伺い、ラグジュアリー文脈のなかでの日本の各地の可能性を話してきました。4月20日放送予定です。

よい機会をいただきありがとうございました。

日経のコラムにコンパクトにまとめたとはいえ、ほんとうに多くの豊かな言葉で日本のラグジュアリーについて語ってくださったパオラ・ゲイスさんのインタビューでした。英語ですが、全文を公開いたします。

Part 1

Part 2

2回連続で海外のラグジュアリーセクターで仕事をする人のラグジュアリー観を紹介してきました。日本だけで煮詰まった議論をするのではなく、国際的な交流の中で次世代のラグジュアリーがどの方向へ向かうのかの議論を深めたいと思っています。今後とも機会をとらえてインタビューをしていきたいと願っています。同時に、日本の最新の状況も発信していきます。

日本で一か月を過ごしたラグジュアリーホスピタリティーのエキスパート、Paola Gheis 氏にインタビューした記事を書きました。日経連載第99回、「モードは語る」です。

日本のラグジュアリー・ホスピタリティについて、またその課題について、的確に指摘してくださっています。課題については、多くの関係者の方々にぜひお読みいただきたいと思っています。

パオラ、インタビューにご協力くださいまして、本当にありがとうございました。私家版ですが英語版はこちらです。

I wrote an article featuring an interview with Paola Gheis, a luxury hospitality expert who spent a month in Japan. She provides sharp insights into Japan’s luxury hospitality industry, as well as the challenges it faces. I hope many people involved in the field will have a chance to read about these issues.

Paola, thank you so much for taking the time to participate in the interview.

(Photos courtesy of Ms. Paola Gheis)

牛首紬の復活のストーリー、後編が北日本新聞「ゼロニイ」に掲載されました。

前編では、途絶えかけていた牛首紬の伝統を、まずは建築業で経済基盤を築いた西山家が資金を注ぎ込み、復興させるまでのストーリーを書きました。

今回公開された後半では、西山博之さんの海外への挑戦、そして諦めかけていた時に訪れた、寺西俊輔さんとの運命的な出会いについて書いています。

お二人の化学反応を見ていて思います。洋服と着物は別々に分けて考える必要はないのだと。

私はファッション業界では長らく「ああ、メンズのひとね」という言い方をされていました。ウィメンズとメンズがまったく異なる世界として扱われていたのです。私は「業界」の人間ではないものの、両者はセットで考えないとファッション史なんて扱えないだろうと思って書いてきました。

洋服も着物も、業界の垣根を超えることで、新しい可能性が見えてくる。

「やってる人間が違う」という見方はそろそろ終わらせたい。西山さんと寺西さんを中心にした輪が広がっていることに希望を感じます。

ウェブ版はこちら

前編はこちら

英語版もつくりました。

SPUR3月号別冊としてフレグランス・ジャーナルがついてきます。まるごと2025年の香水予報。

アンリ・ジャックについてコメントしました。買える買えないは別として、これだけ大量の香水が発売されるなかで一つの基準になっているのはリスペクトすべきところで、そのスタンスの作り方に学びどころが多いブランドです。

WEB版で大反響のあったパリコレ詐欺の記事、23日の朝日新聞朝刊に大きく掲載されました。

今、公式スケジュールも発表されているので、パリコレを謳うブランドが正規かどうかはそちらで確認できます。

後藤記者のねばり強い取材により説得力ある記事になっています。

Nikkei The STYLEに寄稿した「スーツが映す時代の美意識」が全文、ウェブ公開されました。有料会員でなくても全文お読みいただけます。

英語版も作りました。noteに掲載しています。

 

また、長谷川彰良さんがyoutube で彼の人生を変えてしまった本『スーツの神話』について熱く語ってくれています。彼は語りも上手なのでご覧になってみてください。

横行する「パリコレ詐欺」につき朝日新聞・後藤記者が鋭く追及しています。コメントに協力させていただきました。こちらでお読みいただけます。

「パリコレ出ました」吹聴ブランドも騙されていることを知らないのか、日本人の無知につけこんでいるのか、そのあたり限りなくグレーです。地方新聞が「わが故郷からパリコレ参加」みたいに大々的にとりあげるケースまであり、メディアのあまりの無知っぷりにも愕然とします。

まずは実態を知りましょう。

1月11日(土)大安、J-Lux Salon あらため雅耀会が始動しました。アドバイザーを拝命し、基調講演をさせていただきました。「次世代ラグジュアリーと日本の卓越技能の未来」。

ラグジュアリービジネスの現在 / ウェルビーイングと日本/ 各国で起きている次世代ラグジュアリービジネスの考え方 / 日本の伝統工芸・卓越技能の長所と課題 / 世界各国のラグジュアリー組織は何をしているのか? / ラグジュアリー教育 / 日本がとるべき戦略と目指したい未来

について大きな見取り図としてほぼ90分と質疑30分ほど。

行政に携わる方々、ブランドのデザイナー、伝統工芸に携わる方、経営者、メディア、教育関係者を中心に関心の高い方々が遠方からも集まってくださいまして、未来への手ごたえを感じる幸先のよいスタートになりました。

情熱と関心の高い方々をどんどん巻き込み、大きな渦を生んでいけることを願い、応援しています。

 

On Saturday, January 11th—an auspicious Taian day—the J-Lux Salon, now rebranded as Gayo-kai, officially launched. I was honored to be appointed as an advisor and to deliver the keynote speech on “The Future of Next-Generation Luxury and Japan’s Artisanal Excellence.”

The lecture offered a broad perspective on key themes such as:

  • The current state of the luxury business
  • The relationship between well-being and culture of Japan
  • Emerging concepts of next-generation luxury across different countries
  • Strengths and challenges of Japan’s traditional crafts and exceptional skills
  • How luxury organizations worldwide are evolving
  • Luxury education
  • Strategies Japan should pursue and the future it should envision

I spoke for nearly 90 minutes, followed by a 30-minute Q&A session.

It was a promising start, filled with a sense of momentum for the future, as passionate and engaged participants—including government officials, brand designers, traditional artisans, business leaders, media professionals, and educators—gathered from near and far.

I look forward to seeing this growing wave of enthusiasm and passion expand, drawing more people in and creating a powerful movement.

コラージュ上の左から、Fashion Studies 主宰の篠崎友亮さん、若きスポンサーの菊地耀仁さんです。雅耀会の「耀」はこの上なく光り輝くという意味ですが、菊地さんのお名前の中の一文字でもあります。

 

4o

日経の記事として扱わせていただいた「ザ・リュクスプレナー」の著者、エリザベス・ソラルにインタビューした記事の全文をnote に公開いたしました。3パートに分けています。

In Conversation with the Author of Luxpreneur. Part 1 – The Emerging Future of Luxury | 記事編集 | note

 

In Conversation with the Author of Luxpreneur. Part 2 – Misconceptions About the Luxury Business and |KAORI NAKANO / 中野香織

 

In Conversation with the author of The Luxpreneur. Part III – Unveiling Japan’s Hidden Potential in L|KAORI NAKANO / 中野香織

 

とりわけPart IIIは、日本の企業あるいは起業家に対する助言として伺っています。お役に立てば幸いです。

次回の日経コラムでも引き続き、海外のラグジュアリーセクターで働く方にインタビューした記事を掲載いたします。どうぞお楽しみに。

本日12日付のNIKKEI the STYLEに「スーツに宿る内部の美学」というタイトルで寄稿しました。分解マニア長谷川彰良さんの功績にフィーチャーしつつ、スーツ360年の歴史を2000字余りで一筆書き解説しました。この図は記事の紙面をAI アート化したものです。ぜひ本紙でご覧ください。

11日付の日本経済新聞夕刊連載で、『ザ・リュクスプレナー』の著者、エリザべス・ソラルさんにインタビューした記事を書きました。電子版はこちら

「ラグジュアリーは、哲学である」と言い切り、この分野で起業するための心得と方法をサクサク説き行動でも示すソラルさんには共感し、多くのインスピレーションをいただいた。

アントレプレナーは社会課題解決をめざすが、
リュクスプレナーは人生を変えるほどの体験といった価値を提供する。

あなたの価値は、あなたが叶える願望とあなたがもたらす夢によって決まる。

これからは「見せるラグジュアリー」から「知るラグジュアリー」へ移行する、という予言は彼女だけではなく、スペインのラグジュアリーセクターの方からも聞いた。

人生を格上げするだけでなく文化を格上げするラグジュアリー、 日本に大きなチャンスがあります。

 

記事の英語版はこちらです。

昨日は今年の初出張、日帰りで高知。フレッシャーズのぴんと伸びた姿勢にこちらの気持ちまで洗われる。初心に還り、希望を語り続けようとあらためて決心する。

帰途の空港売店では、激辛からフレッシュまで、柚子胡椒を数種類、購入しました。高知の柚子胡椒はおいしい。やみつきです。

休む間もなく、『アパレル全史 増補改訂版』(仮タイトル、5月刊行予定、あくまで予定)に新しく加える34項目ほどをとりあえず全部提出した。2年以上かかった。

何名かには直接インタビュー、取材できなくても文献と作品読み込み、必要あればお写真の依頼や事実関係の確認、それぞれの項目でぜんぶ一人でやって書ききった感あり、ぐったり疲れたけど心地よい達成感もある。

わかる方にはわかっていただけると思うが、ファッション業界は検閲が厳しい。せっかく原稿を書いて事実関係を確認しようとしたら「そもそも掲載を控えろ」と言ってきたデザイナー(のご遺族)もいらっしゃる。この人がいないと歴史のピースが埋まらないのに。

「並び」(名前が出るのは競合の先か後か)を気にされるブランドも多くて、すべてに配慮していたら倒れそうになる。

そんなこんななので、現代ファッション史を書くのはおそろしく難度が高い。

でも、だからこそ、挑戦してしまう。

インタビューや写真の提供にご協力くださったデザイナーやブランドには、感謝してもしきれない。本当にありがとうございます。

これからチェックや写真をお願いするブランドもある。

どうかどうか、寛大にご協力ください。

ラグジュアリーの研究が楽しい理由のひとつは、 この業界に関わる人々のコミュニケーションの作法である。

ヨーロッパのラグジュアリービジネスに関わる方々の多くは、うっとりするくらいに美しく、情緒に訴える知的な英語を使う。

心の底からあなたとのかかわりを光栄に思っているという言葉の使い方に長けている(本心はどうあれ)。

コミュニケーションがきめ細やかで愛情を感じさせ、また連絡を取りたいと思わせる。そんなコミュニケーションが幸せなので、お付き合いが続く。

ちなみに私は顧客でもなんでもない、一研究者である。

ラグジュアリーマネージメントにおいて必須とされる 「(顧客)エンゲージメント」というのは、まさにこのことなのだ。 あなたのことを深く気にかけている、と相手に感じさせるコミュニケーションの魔法。

その体験が実は世の中にはそれほど多くはないために、価値も高くなる。

日本には別のエンゲージメントの作法もあると思う。プロダクトやサービスを磨くとともに、ここを意識的に鍛えると 必ずよい結果がついてくる。

日本には「控えめ」であることを美徳とする文化があり、海外に倣おうとしてここをはずすと無理が生じることがある。

「予測的な配慮」、つまり相手の気持ちの動きや行動を先読みして察し、それに備える、というのはおそらく日本人(とりわけホスピタリティ業界のプロフェッショナル)が傑出して持つ特技ではないかと推測する。「言葉で言わねばわからない」文化との違いというか。それをあたたかさをもって行うことが、日本的な顧客エンゲージメントにつながるようにも思う。

 

One of the joys of studying luxury is observing the art of communication practiced by those involved in the industry.

Many individuals in the European luxury business communicate in English that is not only intellectually refined but also emotionally evocative—so exquisite it feels almost enchanting.

They excel at conveying a profound sense of honor in engaging with you (sometimes regardless of their true feelings).

Their communication is meticulous, warm, and heartfelt, leaving you with a desire to connect with them again. This attention to detail and genuine tone creates a sense of happiness, fostering enduring relationships.

For the record, I am neither a client nor anyone of importance—just a humble researcher.

The concept of “engagement,” a cornerstone of luxury management, is precisely this: the magical ability to make others feel genuinely cared for.

This kind of experience is rare, which is why it holds such extraordinary value.

Japan, I believe, has its own unique approach to engagement. By consciously honing this skill alongside refining products and services, it is certain to lead to remarkable results.

Japan has a culture that values being “reserved” as a virtue, and disregarding this in an attempt to imitate foreign practices can sometimes lead to unnatural outcomes.

“Anticipatory care”—the ability to intuit and prepare for the emotional movements or actions of others—is likely an exceptional skill possessed by Japanese people, particularly professionals in the hospitality industry. This contrasts with cultures where “things must be explicitly stated to be understood.” Conducting such anticipatory care with warmth, I believe, leads to a uniquely Japanese form of customer engagement.

「ラグジュアリーの羅針盤」VOl.26がウェブ公開されました。「牛首紬の復活」ストーリー、前編です。 建築業から伝統工芸の復活・継承に携わることになった西山家の奮闘。こちらでお読みいただけます。

建築業から伝統工芸の復活・継承に携わることになった西山家の奮闘。伝統継承のために必ずしも「家」にこだわる必要はないのだという証明にもなっています。

取材に応じてくださった西山博之さん、ありがとうございました。

Here is an English version.

少し前、18日の話になりますが、明治記念館Kinkei(金鶏)でランチにお招きいただきました。来年、周年記念となる明治神宮(そして明治記念館)のプロジェクトのなかでお仕事をすることになり、そのお打ち合わせです。


赤坂仮皇居御会食所をそのままに、歴史あるインテリアを堪能しながらの王道の「洋食」。サービスレベルがすばらしく、全てが心に残る完璧ぶり。青山にこんな「穴場」があるとは。

えと鈴もおみやげにいただきました。ヘビの顔がかわいい。

食後に、記念館のなかをご案内いただきました。

明治記念館儀式殿。洋装でも神前結婚式ができる、現代のスタイルに合わせた儀式殿です。そういえば、桂由美先生がこの儀式殿にふさわしい和洋折衷のウェディングドレスをデザインされていました。あのドレスはこの場所で。ようやくつながった感慨。

式を終えて庭園に出るときにフラワーシャワーなども可能。自分で自身のお祓いをしてから入ります。ほんとに清らかな気が感じられる場所でした。

北日本新聞ゼロニイ連載。牛首紬の西山博之さんに取材した記事が出ました。

代々伝わる「家」でないところが伝統を継承するというのは大いにあり。その模範的な実例を見せてくれるのが西山さん。

WWDからご依頼を受け、穂積和夫さんの追悼文を寄稿しました。

あらためて、ご冥福をお祈りいたします。

「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 25 公開されました。

「マイルドヤンキービジネス」とNewsPicksが呼んだ日本の大衆ビジネスの大ヒット。作り手が「他人の目を意識して演じる」ことではなく、「ありのままの姿を見せる」ことを選んでいる点が、大きな共感を呼んでいる。

「本物であること」とは、自分自身に対して正直であること。他者の期待に応えるために変えるのではなく、自分の信念や文化をしっかりと軸に据えて、誠実に表現し続けること。その先に希望があるのだろう。

 

I find myself grappling with complex emotions as I revisit content I wrote for this series two years ago—specifically, in Vol. 3, titled “Before the Luxury Liner Runs Aground.”

In that article, I likened the current state of the luxury business to the Titanic, poised before an iceberg. Unfortunately, that prediction seems to have come true. According to Bloomberg, more than 38 trillion yen in market capitalization has evaporated from European luxury brands since March 2024. While Hermès and Prada have shown resilience, LVMH has reported a significant decline in sales, and Kering, which owns Gucci, has faced even steeper double-digit losses.

The contraction in demand can be attributed to the shrinking Chinese market, upon which the industry had become overly reliant. Adding to this is the phenomenon being termed “luxury fatigue.” As noted by an executive from Chanel in an interview with the Swiss daily Le Temps, “A sense is spreading among consumers that they are beginning to question the very purpose of this industry.”

The overwhelming flood of information surrounding luxury products today seems to strip away their allure of rarity and exclusivity. Many might find themselves fatigued by the relentless marketing excesses involving celebrities. It’s a sentiment that likely resonates with a growing number of people.

Another point that strikes me is a phrase I wrote myself:

“While we speak of luxury as a single concept, the path to pursue is not that of the European luxury industry. Rather, we should re-evaluate the essence of true richness, rooted in the unique philosophies and inherent characteristics of our own land. Or has this now taken root in the form of ubiquitous discount retailers?”

“Ubiquitous discount retailers,” of all things. And yet, that’s precisely what has happened. Japanese businesses offering low-cost, high-experience value—such as Kura Sushi, the amusement chain Round1, and the secondhand clothing store Second Street—are achieving remarkable success in the United States.

Unlike brands that chase status and prestige or proclaim lofty missions such as “making the world a better place” or “promoting Japanese beauty to the world,” these businesses target a customer base that seeks simple, accessible pleasures. Without significantly adapting to local customs, they are embraced abroad exactly as they are, following the Japanese way. The impact of inbound tourism appears to play a significant role in this phenomenon.

This approach—eschewing high-concept branding and embracing a relaxed, unembellished authenticity—ironically aligns with the principle most prized by luxury: authenticity.

Being “authentic,” rooted in the unique culture of a particular place, emerges as a powerful magnet in an era that celebrates cultural diversity. This authenticity, whether in the realm of luxury or mainstream business, captivates people and serves as a bridge connecting like-minded individuals across the globe. This realization feels like a glimpse into a new wave of globalization.

Now that we can observe this trend with clarity, I hope it heralds the rise of Japanese luxury with its unique allure, ready to be confidently shared with the world, distinct from its European counterparts.

北日本新聞「ゼロニイ」12月号が発行されました。「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 12にて「欧州ラグジュアリーと日本発大衆向けサービスの共通点」について書いています。

リアルであること、本物であること、がこれまで以上に価値を帯びるようになっています。

記事内で言及している「ラグジュアリー疲れ」についてはこちらの記事をご参照ください。

石川県の牛首紬展、日本橋高島屋で開催されております。白山工房の西山博之さんに牛首紬復活のユニークなストーリーを取材しました。

牛首紬展は12月3日まで。西山さんもアテンドしていらっしゃいます。ぜひこの機会に!

お話の最後の方で、「業界」なるものについて考えさせられました。西山さんがこんなことを話されました。「着物業界とファッション業界の間には長年、大きな溝があって、まったく違うシステムで動いていた。でもMIZENの寺西俊輔さんが入ってきたことで、両者の溝がなくなり、協力しあうことで可能性が無限に広がりつつある。ワクワクしている」と。

これを聞いて、はっとしました。メンズファッション業界(とりわけスーツ業界)とモード系のファッション業界も相いれない業界で、それぞれ別のシステムで動いていると見られている節があります。が、もしかしたらそれも「人」次第で、溝を取り払うことで新たな可能性が開けてくることもあるかもしれないなあ……

「業界」なるものは、つまるところ、「人」が作っています。

次世代ジュエリーブランド、Gemmyo創業者ポリーヌ・レニョー氏にインタビューする機会をいただきました。彼女が掲げる「スマートラグジュアリー」がカプフェレ教授(ラグジュアリー論の権威)と一緒に練り上げたコンセプトと聞いて、意外で驚きました。フランスでも確実にラグジュアリー観が変化しているのだと知り、次世代のラグジュアリーについて議論する充実した時間になりました。詳細は後日、記事にいたします。

I had the privilege of interviewing Pauline Laigneau, the founder of the next-generation jewelry brand Gemmyo. I was surprised to learn that her concept of “Smart Luxury” was developed in collaboration with Professor Kapferer, a leading authority on luxury studies. It’s clear that the perception of luxury is evolving, even in France.

日経新聞連載「モードは語る」。11月9日付では「若者のウェルネス疲れ」について書いています。電子版は有料会員限定ですが、こちらです。

英語版はnoteに掲載しています。

挙げた例はダリのシュールレアリスムとアルトーの残酷演劇でしたが、マルキ・ド・サドのサディズム、ロマン主義者たちの活動も、人間本来のウェルネス回復のための芸術とみなすことができるのではないかと見ています。

写真はサルバドール・ダリ、ウィキメディア・コモンズより。

資生堂オープン イノベーション プログラムfibonaと、ポーラのマルチプル インテリジェンス リサーチセンターmirc の共同研究に、先月に引き続き外部講師としてお招きいただきました。

未来のウェルネスとウェルビーング(両者は違う)をさらに明確に考えるためのユニークな機会でした。
今年の春にできたばかりのピッカピカの青山ポーラビルにて。

左から資生堂fibonaリーダーの中西裕子さん、大阪大学の佐久間洋司先生、ポーラmircリーダーの近藤千尋さん。

自分のミッションとして、当たり前のように使っていた多くのコンセプトをオリジンから徹底的に洗いなおして現代的に考える、という作業をさせていただきました。良い機会を与えていただきありがとうございました。

 

I am honored to have been invited back as an external lecturer to contribute to the collaborative research initiative between Shiseido’s open innovation program, fibona, and POLA’s Multiple Intelligence Research Center (MIRC), building upon our productive session from last month.

This unique opportunity allowed us to further clarify our thinking on the future of wellness and well-being (which are distinct concepts).

The event took place at the brand new POLA Building in Aoyama, which opened just this spring.

Pictured from left: Yuko Nakanishi (fibona Leader, Shiseido), Project Researcher Yoji Sakuma (Osaka University), and Chihiro Kondo (MIRC Leader, POLA)

In preparation for my participation, I set myself the mission of thoroughly re-examining many concepts we use routinely, tracing them back to their origins and reconsidering them in a modern context. I’m grateful for this valuable opportunity.

少し時間があいてしまいましたが、朝日新聞11月5日付朝刊文化欄「選挙ファッション重視、過去の話?」でコメントが掲載されました。

米大統領選各候補につき、配偶者、副大統領、その配偶者、そしてそれぞれの党の支持者にいたるまでかなりのエネルギーを割いて調べ、コメントを出したのですが、掲載されたのはハリス候補のみ、しかも結構、誰でも思っている普通の内容でした…。新聞コメントはそんなものですかね。むしろまとまった原稿書いておけばよかったかな。

 

ちなみにもっとも面白いと感じているのは、共和党副大統領候補として出たヴァンス氏です。だんだんトランプに似てくるスーツスタイルと、政治家としてはかなり異例なメンズ顔ひげ。政治家の顔ひげの歴史。どこかで書く機会があればまとめて書きたいテーマです。

 

トランプ大統領誕生をお祝いします。

 

 

 

北日本新聞別冊「ゼロニイ」連載、「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.24は、輪島塗職人に取材した記事です。話を伺って一週間後、輪島は豪雨に襲われ、再出発したばかりの職人さんも再度、絶望の淵に立たされました。何を書いても偽善的に見えてしまうのですが、それでも負けずに立ち上がり、支援の輪と協力を続けて輪島塗を存続させようとする姿に逆に勇気をいただく思いがします。

ほんとうは今、輪島は選挙どころではないのだ。自治体も政府も動きが遅すぎる。歯がゆい思いをかみしめながら早い復興を願っています。

SPUR 12月号、発売です。

「読む『宝石と腕時計』」特集で協力させていただきました。宝石を連想させる文学の言葉を探せ、というミッション。

ボードレール、シェイクスピア、キーツ、宮本輝、三島由紀夫から探してきました。本棚の埃がきれいになりました。

よろしかったら本誌をご覧くださいませ。

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文学の言葉は長く残り、時空を超えて後世の人々に影響を与えるものであるなあ……ということを改めて実感していた矢先に、ちょっと心に引っかかる光景を目にしたので、記しておきます。

リアルであれインターネット上であれ、

仮に言葉をかけるならば、どんな相手であれ最低限の敬意をもってかける。
よほど軽蔑や怒りが大きければ、ひねりのある皮肉で昇華する形で伝える。
それさえ難しければスルーするか思い切り距離をおいて法的処置にゆだねる。

それが人に影響を与える言葉を使う人間の責務であり大前提とされてきたし、 言葉によって社会になにがしかの影響を与える人間の価値でもありました。 学問の世界に長くいたのは、そんな「生きるお手本」のような先達への尊敬と憧れがあったためです。

そのような倫理観が公然とふみにじられる光景を目にしました。

若者や子供たちは、それでもなお影響力をふるう大人の態度を模倣します。

罵倒や侮蔑のことばを立場のある人が公然と放てば、それをOKなのかと受け取る若者が主流になる数年後、「そんな」世の中になってしまう。

言葉を用いて仕事をする人が(そうでなくても、ですが)責務を倫理的に果たすということは、何年後かの自分ないし子孫が生きる未来の社会環境を作るための、最低限の投資でもあります。さらにそれを美しく使えば、後世の人々を救う光にもなります。

自戒を込めて、です。

 

大阪・うめだ阪急で開催されたブルネロ クチネリ顧客様イベントでラグジュアリーに関するサロンレクチャーを2回、行いました。テーマ「1920年代の文学サロン」に似つかわしいようVIPルームも装飾され、スタッフのみなさま、顧客のみなさまとともに豊かな時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

1階のポップアップではイタリアからオペラニットの職人が来日、デモンストレーションをおこなっています。ひとりですべて手作業でおこない、20時間から、40時間くらいかかることもあるそうです。お近くの方、またとない機会ですので間近でご覧ください。

I had the pleasure of speaking about luxury at a special client event for Brunello Cucinelli at Hankyu Umeda. The salon was beautifully decorated with books, creating an atmosphere reminiscent of the literary salons of the 1920s, which perfectly matched the theme. Thank you very much.

H&Mグループが2025年までにヴァージンダウンの使用を廃止するなど、ファッション業界全体がファーのみならずダウンも使用を控える方向へとますます進んでいることを受けて。NewsPicks comment をこちらにも転載します:

人類が最初に着た衣類が毛皮。毛皮は土に還るので地球環境との共存という意味では、実はポリエステル製のエコファーよりも、自然の摂理にかなっている。

同じように自然に生え変わる鳥の羽根を使って保温に使ったヴァージンダウンならば地球環境をなんにも損なっていない。

人間の需要(欲望)にこたえて量産しなくてはならない時代になり、動物を痛めつけても毛皮や羽根を強制的にとるという事態が横行したので、ならば使わないことが正義、みたいに極端な方向にいってしまった。

そもそも使いません宣言は、今の時代なら(動物を虐待してまで金儲けするビジネスの横行に対して)効力があり、善いことをしている企業として消費者にアピールするのかもしれない。

しかし、毛皮やヴァージンダウンを着ることそのものは、本来、悪ではない、ということはおさえておきたいところです。

Photo: NASA blue marble (Public Domain)

朝日新聞13日付「万博 デザインの挑戦」というコシノジュンコさんインタビューの記事。最後に万博とファッションについてコメントしました。

コシノさんの言葉が力強い。「今を感動することが未来に通じる」という名言。 朝日新聞の華野記者にお世話になりました。ありがとうございました。

電子版は有料会員限定ですが、こちらでお読みになれます。

 

なお、大阪万博のユニフォームにつきましては、関西電力からご依頼を受けて原稿を書いたことがあります。こちらでお読みいただけます。

日本経済新聞連載「モードは語る」。12日付夕刊では、ブルネロ クチネリ・ジャパンと輪島千舟堂の交流「秘話」を書いています。

この内容は、私が自主的に輪島に取材に行ってはじめて判明したことでした。紙幅の関係で書ききれなかったのですが、クチネリは複数回、輪島に行き支援を続けています。紙面に書いた内容と同様、この事実は、一切、PRされていません。

国や宗教をもはや信じられなくなった時代に、「真・善・美」を示すのがラグジュアリーブランドになった、というのはフランソワ=アンリ・ピノー(ケリングCEO)のことばですが、それを先鋭的に実践しているのがクチネリだと認識しました。

これからのラグジュアリーは、職人に自由に創造力を発揮してもらう環境と待遇を与え、そこから生まれた高価格製品の利益は地域全体の環境の向上のために再分配する。それによって、特権階級の排他的幸福ではない、「包摂」=全体の幸福を目指す必要がある。クチネリ・ジャパンはそれを淡々と実践していました。

富裕層のみのことを考えるラグジュアリーは古い、というのはそういう意味でもあります。

 

トッド・スナイダー氏へのインタビュー記事がウェブ版GQで公開されました。こちらです。

あのウールリッチが今シーズンからステージを変えます。伝統モチーフはそのままに、ちくちくしない、イタリアのカシミア100パーセントの新しいアメリカンカジュアルへ。発想のヒントはいつも日本から。

多くのコラボに貫かれるトッドのビジネススタイル、”True and Honest”な姿勢にも魅了されます。

Rugged Luxury (上質剛健)なウールリッチへの変貌、期待しましょう.


(写真はウールリッチの提供です)

GQ has released an interview with Todd Snyder, the newly appointed Creative Director of Woolrich.

Woolrich is set to enter a new era this season. While preserving its traditional motifs, the brand is evolving towards a new American casual style, featuring 100% Italian cashmere that’s not itchy. Interestingly, Japan continues to be a source of inspiration for his innovative ideas.

Todd’s business approach, consistently evident across his numerous collaborations, is characterized by a “True and Honest” attitude that’s truly captivating.

Let’s look forward to Woolrich’s transformation into a brand of “Rugged Luxury”.

フェリス女学院大学 緑園都市キャンパスで「ラグジュアリーの変遷と時代を創るファッション」というテーマで講義をさせていただきました。150名の学生さんたちの丁寧なコメントシートも拝読し、一層のやりがいと使命感を感じております。お招きありがとうございました。

資生堂のオープン・イノベーション・プログラムfibonaと、ポーラのマルチプル・インテリジェンス・リサーチセンターmircがタッグを組んで、次世代のウェルビーイングの価値を創造する前衛的な研究がおこなわれております。

資生堂とポーラが共に研究をする。これだけでも驚きですが、光栄なことに大阪大学の佐久間洋司先生と共に外部講師としてお招きいただきました。

資生堂とポーラ、総勢20名ほどの精鋭研究員の方々とともに刺激的な議論の時間を過ごさせていただきました。

同業種の競合を超えて人類の未来のためにともに研究するというプロジェクト。こんな若い世代が活躍する日本は頼もしい。

トップの写真はfibonaのリーダー、中西裕子さん、大阪大学の佐久間洋司さん、そしてポーラmircのリーダー、近藤千尋さん。ありがとうございました。


Shiseido and Pola, two industry giants, have joined forces in a groundbreaking research collaboration.

Even more remarkably, I’ve had the privilege of being invited as an external lecturer alongside Dr. Hiroshi Sakuma from Osaka University.

I spent an invigorating session engaging in thought-provoking discussions with an elite group of approximately 20 researchers from both Shiseido and Pola.

This project, which transcends industry competition to pursue research for the future of humanity, is a testament to the promising young generation driving Japan forward.

Pictured are Yuko Nakanishi, leader of fibona; Dr. Hiroshi Sakuma from Osaka University; and Chihiro Kondo, leader of Pola mirc. My sincere gratitude to all involved.

北日本新聞別冊「ゼロニイ」10月号発行されました。「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.23 「ゲストに迎合するのではなく、啓蒙せよ」。

ラグジュアリーに関する講演をするたびに受ける、「富裕層に気に入られるにはどうしたらいいですか?」という質問について考えていました。なんかこれって、「女性にモテるにはどうしたらいいですか?」という質問と似ているなあ、と。

女性っていっても女性の数だけいて一人一人全く違うし、ましてや「富裕層」なんてひとくくりにできるものではない。新興のインフルエンサー系の富裕層と先祖代々の資産を守っている富裕層では考え方も趣味も全く異なるし、保守層の中でも個性がそれぞれ違う。マクドナルドのハンバーガーを好むウォーレンバフェットのような人もいる。

そもそも、「こういうの、お好きでしょう?」「マーケターによれば富裕層はこういうものをお好みらしい」みたいにブランディングされ、提供されたものが面白いのだろうか? マーケティングの結果の予想をはるかに超えてくるもの、圏外から新しい発見をもたらしてくれるようなものに、人は価値を見出すのではないだろうか?

ジェンダー問わず本当にモテる人は、媚びたりせず、自分を曲げても相手の好みに合わせたりはせず、主体性をもち、新しい発見をもたらしてくれる。だからこそ、会いたくなる。

それと同じで、結果的に富裕層にモテるサービスは、志や理念をもち、ゲストに迎合しすぎず、むしろゲストに新しい視点を提供して啓蒙してしまうようなところがある。だからリピートされる。

マーケティングリサーチ以前に大切な前提があるように思います。

 

 

LEON 11月号発売です。LEONには珍しく、ビジネスウェアがスタイリングされておりますね。

特集「チラリズム The Art of Teasing Glimpse」において巻頭エッセイを寄稿しました。お近くに本誌がありましたらご笑覧ください。

SPUR 11月号「私が愛した香水物語」でインタビューを受けました。フレデリック・マルに香水を選んでいただいたときのエピソードを紹介しています。お近くにSPURがありましたらご覧ください。

 

さて、フレデリック・マルがパリ本店で顧客に香水を選ぶとき、顧客の話を聞きながらアドバイスをするので、その結果、「パリの秘密の人間関係のすべてを知っている」ことになるわけだが(まるで告解室)。フランスに奥深い香水文化が発達していることと、パリに秘密の人間関係がたくさんあることとの間には、密接な関係がある。

ヨーロッパ型ラグジュアリーの源には、語源のイメージから、「色欲(lust)」があるということを本にも書いた。ヨーロッパ、とりわけフランスは色恋沙汰には寛容である。フランスの大統領の不倫やら恋愛沙汰はプライベートの問題で仕事や人格とはまったく無関係と見られてきたし、一般人も、他人様のことをとやかくいう資格は私にもないので、という態度である。

このような、自由奔放な性愛の快楽を肯定する思想を「リベルティナージュ」という。遠くアンシャン・レジーム時代の貴族社会に根を持つこの伝統、早い話が不倫に関する寛容さが、ヨーロッパの服の色気や優雅な空気感、香水の繊細で奥深い魅力をひそかに支えている。

リベルティナージュをホメているわけではないが、その独特の秘めやかな雰囲気を理解しないと、フランスのラグジュアリーも理解できないだろう。

一方、日本は、皆様ご存じのように、リベルティナージュ一発退場である。日本という環境でヨーロッパ型ラグジュアリーを真似をしても本物感が生まれにくい理由もそこにある。

日本は日本で、自分たちの独自の快楽や文化を冷徹に見つめなおし、そこに根差すラグジュアリーを創造していきたいものです。

千舟堂/岡垣漆器店の岡垣祐吾社長に、輪島塗りの世界を丸一日かけてご案内いただきました。

下地塗り職人の七浦孝志さん、沈金職人の高出英次さんにじっくり取材させていただいたほか、多くの工程を統括する「主屋(ぬしや)」である岡垣社長の日常のお仕事にも同行。

リアルな輪島塗の世界の一端を学ばせていただきました。

瓦礫も多々残る環境のなか、長年親しんだ工房を失い、それでも手を動かす職人さんたちのお仕事ぶりにふれ、あまりにも多くのことを感じ考えたのでどれだけのことを伝えられるかわかりませんが、最大限の敬意をこめて記事を書こうと思います。
千舟堂の岡垣社長にはすっかりお世話になりました。

そもそも千舟堂とのご縁を作ってくださったのは、ブルネロクチネリ。クチネリ・ジャパンがいかに本気で輪島の支援を持続的におこなっているのかも現地に来て知りました。このストーリーもいずれ記事にする所存です。

取材にご協力くださいましたみなさま、本当にありがとうございました。復興が進むことを願っています。

13日に能登・輪島に輪島塗の取材に伺いました。

 

震災から8か月半経っているのに、まだまだこのような状況があちこちに残る。滑走路も道路もところどころひびわれており、バウンスする。大破したまま撤去もされない家屋があちこちにあり、建っているように見えてもインフラがだめになって休業している施設も多々ある。

仮設住宅からも人が出入りする。

そのような状況のなかでも日常の生活が営まれていて、職人さんたちが淡々と仕事を続けている。辞めざるをえなかった方もいらっしゃるなかで続けていけることはありがたい、と愚痴ひとつ言わず。

海底は隆起し、かつて海のそこにあったと思われるものが現れ、海岸線が変化している。岩が転げ落ち、道路が割れたまま、手付かずになっている。

それでも夕陽は淡々と変わらず輝くという自然の営みに、切なさがこみあげてくる。

日経連載「モードは語る」。昨夕は、ラグジュアリーの持続にとって不可欠な職人の地位向上の提言を書きました。有料会員限定ですが記事はオンラインでも公開されています。こちらでお読みいただけます。

掲載した写真は、丹後のデザイン橡・豊島美喜也さんの作品です。金属織物を使った茶室のパーテーションで、青海波の柄がデザインされています。ロンドンで展示されたもので、豊島さんにお写真を提供いただきました。

英語版はこちらです。(海外の方からのお問い合わせがあった時用に勝手に作っています)

この記事、および最近の取材に関して「ラグジュアリー論のあとに職人の話というのは180度違う路線ですね」と言われて驚きました。

これからのラグジュアリーを考えるにあたり、重要になるのは手仕事の稀少性です。だからこそ職人をもっと重んじ、その地位を上げていくべきだと提言しています。ラグジュアリーの持続と職人の地位向上は、不可分な問題です。

ただ、多くの日本人にとっては、ラグジュアリー=富裕層ビジネス、でとどまっています。ゆえに、富裕層な好きなものマーケティングみたいなのがラグジュアリー研究だと勘違いされている節があります。

ブルネロ クチネリが持続的に輪島の支援をおこなっていることも顕著な一例ですが、ラグジュアリービジネスを長期的におこなう立場にある者には、ノーブレスオブリージュ的行動が大前提として求められます。

表面的なきらきら、一時的な大金の動き(の幻想)、虚飾に惑わされていると、ラグジュアリーの本質を見失うことになります。

JBpress autographにて、『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』レビューを書きました。

AIには書けないであろう私的な偏りの強い感想文、を意識しています。ご高覧いただけますと幸いです。

GQ 10月号 アルチザン特集。 クラフツマンシップとサステナビリティをテーマに斎藤幸平さんと対談しました。本誌をご覧いただけたら幸いです。

〇ゼロニイ連載最新版、「ものぐさの価値を説く勤勉家」、ウェブ公開されました。

Design Week Kyoto 2024 台風が直撃しそうで微妙なところですが……31日登壇です。1600-1800 の部です。気候状況がこうなので、どうか安全第一にお過ごしください。もし当日、台風の影響がさほどなさそうであれば、会場でお目にかかれますように!

〇GQ10月号「モダンアルチザン」特集で、斎藤幸平さんと対談した記事が公開されます。テーマは「クラフツマンシップ&サステナビリティ」。9月1日発売です。

 

 

 

藤原竜也さんのラジオ番組「宇宙一受けたい授業」コーナーにお招きいただきました。

テーマは「ハイブランド」。

藤原さんが最近、DiorのTシャツばかり着ていてそれは成金ぽくない?とスタッフに笑われていると知り、じゃあ、ハイブランドのことを勉強してみようじゃないか、となったようです。

時間が限られていて丁寧に説明すべきところがだいぶ割愛されているのが心苦しいところではありますが。

お聞きになった方が、ブランドってもう記号ではなくて、社会的責任を含めた総合的なありかたになっている(これからますますそうなっていく)、というところまで興味をもっていただけるとうれしいです。

23日~25日まで朝日放送系で全国放映、のちにアーカイブに収録されるようです。

WWDから依頼を賜りまして服飾史上のアラン・ドロンの功績(とりわけ日本に与えたインパクト)を書きました。

これからも何度も引用されることになる永遠のアイコンであろうと思います。

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社主催のハイポテンシャル セールス エキスパートの研修で、“What is Luxury? Past, Present and Future” をテーマに講演させていただました。

翌日はレジェンドと呼ばれるトップ・オブ・トップのディスカッションを拝聴しました。

トップ層に行けば行くほど、方法論ではなく人間力を磨く話になってくる。売る人も一流であるからこそ顧客にとってのラグジュアリー体験を作れるのですね。新しい視点を提供していただいた思いがします。

I had the privilege of delivering a lecture on “What is Luxury? Past, Present and Future” at the High Potential Sales Expert training organized by LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton Japan.

The following day, I attended a discussion featuring top-tier professionals often referred to as “legends” in the industry.

It’s fascinating how, at the highest levels, the focus shifts from methodologies to personal growth and character development. It’s clear that only first-class professionals can create truly luxurious experiences for their clients. This event provided me with fresh perspectives on the luxury industry.

I would like to extend my heartfelt thanks to Ms. Aya Yamanouchi and the entire team for their tremendous support. Thank you very much!

ゼロニイ9月号発行されました。

「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 22 「『ものぐさ』の価値を問う勤勉家」。

声量が減り、声がしわがれることを自然の理として受容する歌い方を上品とみなす、という地唄の世界の発想に思わず正座してしまいました…。これは宮古上布の世界における「60歳で始め、90歳で大成する」という考え方に通じるものがありますね。

中里唯馬さんが主催するFashion Frontier Program 、セミファイナリストの方々を対象に「新しい時代のラグジュアリー」というテーマでオンライン講演をいたしました。昨年に続き、二度目ですが、内容はこの一年の取材体験をまじえ、アップデートしました。

日本各地から、世界から、ファッションで社会を変えるという勇気と志をもったデザイナーのみなさまが熱心に聴いてくださいましたこと、心より感謝します。質問タイムでも逆に質問者の背景や志を知ることができて、最近の潮流もうっすらとですがわかり、充実した時間でした。こんな若い方々と接すると未来に希望を感じます。

このような教育活動を続けている唯馬さんも尊敬します。ブランドの社会貢献としてのCSRとしても、Yuima Nakazatoの価値観の延長にある活動なので、この上ない効果を発揮しています。パリに向けたコレクションを考えるだけでもたいへんなのに、これだけの労力をかけるなんて立派すぎる。親会社のSpiberも取材していますが、人類を救うという高い志を持って創業したCEOはじめ、すばらしい企業です。Yuima NakazatoもSpiberも目指す方向が北極星のように不動で光輝いているゆえに、応援していて誇らしい気持ちになるし、安心感があります。

 

 

日経新聞夕刊連載「モードは語る」、17日付ではHONESTIESの代表、西出喜代彦さんに取材した記事を書いています。

電子版は有料会員限定で恐縮ですが、こちらからお読みになれます。

本文にも書いていますが、「障害の社会モデル」という考え方をこの取材を通して知りました。「医学モデル」では身体機能に原因を見て、それを治すことを考えますが、「社会モデル」ではそうは見ないのです。たとえば階段があってそれが「障害」になってしまう場合、上るためにスロープをつけさえすればいい。そうすればそこに「障害」などない、とみなします。

前後裏表の区別をしなくてはならないことで「障害」を感じざるを得なかった視覚の不自由な方などに、この服はとりわけやさしい。

デザインが美しく、高級コットンの肌ざわりがよいのもいいですね。美しいものを身に着けているという感覚は、自尊の感覚とも結びついていると思うので…。

こういうやさしさにあふれる製品づくりをする企業は尊敬するし、応援したくなりますね。

類似品がちらほら出回っているけれど、本来掲げている志(裏表なし、は社名から)のレベルが違い、総合的な取り組みの範囲が違うから、元祖として強い。マネされることが多いアパレルの世界で、それでも強みを発揮する秘訣はシンプルで、志を高く掲げ、すべてをそれに関連付けて作り上げること。学ぶことの多い取材でした。

「ハイブランド」がテーマのラジオ番組にお招きいただきおしゃべりしてきました。

笑いの絶えない楽しい時間になりましたが、あらためて実感したのは「普通の人はディオールの創業者のことを知らないし、どのコングロマリットの傘下なのかも知らない」。

ここに寄り添うことを徹底してはじめて「広がり」が生まれるのだな、と。

渋谷にあるスタジオの最寄り駅から3分ほど歩くだけで汗が噴き出す信じられない暑さでした…。(せっかくの記念写真が悲惨な状態に)

 

 

 

*写真は富山の呉羽丘陵フットパスの上からの眺め。歩いてから自分が高所恐怖症気味だったことを思い出す、という冷や汗体験でした。高さは約28mです。

 

 

婦人画報9月号発売です。『「ハレ」の日のバッグ』特集で巻頭エッセイ書きました。現代におけるハレとケの意味を考えるのがサブテーマになっています。

見かけられたらお手に取ってご覧くださいませ。北海道特集も眼福です。

酷暑が続きますが、どうぞご自愛ください。

ゼロニイ8月号掲載の記事がウェブ版に公開されました。こちらでご覧ください。

これまで下請け扱いされてきた地場産業の職人さんにもどしどし脚光を当てていきましょう。すばらしく美しいものを創る彼らが海外ブランドとも同格に扱われ、フェアで敬意のある扱いを社会から受けること。「日本発のラグジュアリー」を考えるには、まずはそこからです。

 

 

 

北日本新聞「ゼロニイ」8月号が発行されました。「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 21は丹後の豊島美喜也さんに取材した記事です。

麻布台ディオール内装のメタリック装飾(トップ写真)はこの方の作品。

ロンドンTOTO。

銀座ロレックスタワーのファサード。

ほか福岡リッツカールトンはじめホテルのアートなど。「丹後のレオナルド・ダ・ヴィンチ」こと美喜也さんは名のあるクリエーターとして扱われるべきなのです。ブランドとの守秘契約などもありません。っていうかなんだよ守秘契約って。

どこであれ産地の職人が海外ブランドとも対等の立場で共働できること。新しいラグジュアリーはそこからだ。

日本経済新聞連載「モードは語る」。本日夕刊では、丹後の「民谷螺鈿」に取材した螺鈿織を見ながら考えたことについて。伝統を未来につなぐには何が必要かを、話を聞き、考えてみました。電子版は有料会員のみですが、こちら

写真はグオ・ペイによる螺鈿織を使った2019年春夏クチュールコレクションです。©Guo Pei.

丹後の螺鈿を手がける民谷共路さんを取材。きらきら光るものはやはりラグジュアリーの原点なのですよねえ。

そもそも丹後に来るきっかけになったのは、MIZENの展示会でした。螺鈿を使ったとんでもなく美しいアイテムたちを見てしまったことです。天然のきらきらの輝き。これがシルクと調和するとなんともいえない幻想的な作品になる。ぜひ一度、作るプロセスを見たいと思い、MIZENデザイナーの寺西さんにおつなぎいただいた次第です。

民谷さん取材中の光景。ご案内を引き受けてくださった北林功さん撮影。

ルイ・ヴィトン、ディオール、ハリー・ウィンストンはじめ高級ブランドが民谷さんの螺鈿や箔を使った生地で作品を発表しています。詳細記事は後日。しばしお待ちくださいませ。

北林さん、民谷さんと。ありがとうございました!

丹後に取材旅。職人さんにお話を伺う合間のプチ観光です。今回のご案内役をお引受けくださった「Design Week Kyoto」の代表理事、北林功さんにご案内いただきました。

まずは「立岩」。高さ約20mの一枚岩です。地下から上昇してきたマグマが固まり、その後の侵食により周囲の岩石が削り取られてこの岩が残されたといいます。

周りにお土産店など皆無というそっけなさがいい。いわゆる「観光地」はどこも資本主義のにおいがぷんぷんしすぎるのです…。

 

倭文(しどり)神社にもご案内いただきました。

織物の守護神とされる「天羽槌雄命(あめはつちおのみこと)」を祭神として、毎年春に、丹後ちりめんの繁栄を伝える三河内(みごち)曳山行事が開催されるとのこと。全国に倭文神社はいくつかありますが、そこはすべて絹織物との関連が高い地です。

それにしてもどうやったら「倭文」を「しどり」と読むことができるのか…(笑) 初見ではかなり難しいですよね。

私は名前に「織物」と「香水」の各一字が入っているためか、この領域に呼ばれることが多い気がします。謹んで参拝してまいりました。

 

 

「ゼロニイ」7月号に掲載された、スパイバー社関山和秀さんのインタビューがウェブでも公開されました。こちらからご覧ください。

ファッションのための繊維は当初の目的ではなかったのですが、まっさきに反応してくれたのがファッション業界であったと。社内ではむしろ「ファッションのような軽いことをしたくない」という反対が起きていたそうなのです。それでも関山さんは、理解してくれる業界があるなら、そこから一緒にやっていけばいいではないか、と。大きな目標を掲げたらその程度の批判は「誤差」でしかなくなる、というものの見方にもスケールを感じたなあ。

人類が奪い合いをする必要のない無限の資源、それを作り出すことで世界平和を目指すという関山さんの志の高さに感銘を受けています。

北日本新聞ゼロニイ 7月号が発行されました。鶴岡市のスパイバー本社に伺い、CEOの関山和秀さんに取材した記事を書きました。

 

関山さんは最高にかっこいい方です。人類にとっての普遍的価値を紡ぎ出す、と決めているのですから。

 

なお、スパイバー社は、日本から唯一オートクチュールウィークに参加するYuima Nakazatoの親会社でもあります。

JBpress autographに開催中の「カルティエと日本」展のレビューを寄稿しました。

多くの意味で「結び」の威力を感じさせる展覧会です。個人的に驚いたのは、画家・北野武さんを早くからカルティエが支援していたという事実。武さんの絵は、漫才や映画に通じる破壊力あります。

多くのファインジュエリーや時計なども日本との文化交流で生まれていることがわかり、相互作用の力を再認識いたします。

日本経済新聞夕刊「モードは語る」。本日は、来週から始まるパリ・オートクチュールコレクションの意義について書いています。

運営に詳しいブラッドリー・ダン・クラークスと、日本から唯一、ゲストメンバーとして参加する中里唯馬氏にインタビューしました。

電子版はこちら。(有料会員限定で恐縮です)

紙版コラムもよろしくね。

写真は、Andrea Heinsohn for DesignArtMagazine.com 。
DAMのジャンヌ・マリーさんに大変お世話になりました。パリ・オートクチュール直前の時期に丁寧に取材に応じてくださったブラッドリー、唯馬さんにも心より感謝申し上げます。コレクションのご成功をお祈りし、応援しています。

英語版は、noteに公開しています。

東洋経済オンラインに寄稿した記事に関し、誤解を受ける場面が発生しました。

原因はシンプルです。「ファッションに疎いと感じる読者のため」と配慮がなされ、編集部によりオリジナル原稿から多くの情報が削除され、本来の原稿が短く編集されているためです。

 

結果、「ファッションには抵抗がある」と感じる読者にとっては読みやすくなったのかもしれませんが、一方、関心の高い方にとっては、本来、必要と感じて入れておりました情報が省略されたために、あたかも手抜きのような誤解を生む場面が発生しています。相当の時間を割いて調べたうえで苦労した仕事に対し、この扱いは不本意で、残念と感じます。

公開と同時に(6月9日)、こちらにオリジナル原稿を公開しておりますので、よろしかったらダウンロードしてご高覧ください。ビジネスメディアには向かないクセが強めの文体もそのままです。

それでもはやり、趣旨にとって重要でありながらフォローしきれていない情報もあろうかと存じます。その際はどうぞご教示いただければ幸いです。

 

ブランド名やデザイナー名が並ぶだけで敷居の高さを感じるという一般読者と、その情報がないと手抜きないし無知ととらえるファッション関係者。両方を満足させることはなかなかに困難で、2つのバージョンを作り続けることがいまのところ無難とも感じています。

 

 

 

 

斎藤幸平さんと対談のお仕事でした。駒場の斎藤さんの研究室にて。

大昔にトータル20年ほどお世話になった駒場はずいぶんきれいになっており、一方で昔のまんまという場所もあり、歩いているうちに眠っていた記憶の扉が開かれるような不思議な感覚がありました。

私はいったい何をしているのだろう。過去に夢見たこととのギャップをつきつけられ、こんな迷子感(と少しの絶望)に襲われたことはありませんか? 

東洋経済からご依頼を受け、最近のラグジュアリーファッションの動向をまとめてみました。

「『カルチャー帝国』築く高級ブランドのしたたかさ」というタイトルの記事になっております。

もちろん、ファッションに疎いという読者のためにやや煽情的?なタイトルになっており、文章も平易にトリミングされております。(それがよくないというわけではなく、一般読者にお読みいただくにはこのようなプロセスを経るのが通常ということかと)。

私のオリジナルのテキストは、こちらです。3700字くらいですが、情報量も多めです。ラグジュアリー業界を見る解像度(!)に慣れていらっしゃる方はどうぞこちらのオリジナルバージョンをご参照ください。

明治神宮の花菖蒲がピークを迎えています。紫、赤紫、ピンク、淡いパープル、ブルー、白のバリエーション。アントシアニンたっぷりで(笑)、眺めているだけで目がうるおいます。

池のほうでは蓮も見ごろを迎えていました。
近くにはパワースポットとして名高い清正井も。誕生日の参拝も済ませ、ファミリーに誕生日を祝ってもらいました。毎年、不老ぶりが話題になる荒木先生と一日違いの誕生日。荒木先生にあやかりたいものでございます!

サンローランに映画制作部門が加わり、アンソニー・ヴァカレロがこの部門のディレクターも務める。で、昨年のカンヌで公開された作品の試写を拝見しました。「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ」。西部劇×男同士の愛。「ブロークバック・マウンテン」トリビュートな30分の小編です。クリエイティブディレクターは服ばかりじゃなく映画も作る時代に突入しました。

© 2024 El Deseo D.A. S.L.U. All Rights Reserved.
7/12(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国公開

「ラグジュアリーの羅針盤」、Tagiru.の回、ウェブ版で公開されました。

心は満たすものでも火をつけるものでもなく、本来の自分に戻ればおのずと「たぎる」もの。

高島屋会報誌「ハミングタイム」5・6月号 特集「心はずむ雨の日に。」のなかで傘についてのインタビューを受けた記事が掲載されています。「高島屋友の会」のみなさま、ご笑覧ください。

最近はシェア傘も増えましたね。システムとして構築されているのも見かけますが、最近、見かけて面白いなーと思っているのは、トイレなどに「あえて忘れ傘のように置いてある」ビニール傘。「必要な人、必要なところまで使ってまた次の人のために<忘れて>いってください」という趣旨なんですね。安価なビニール傘だからこそ可能な、やさしい世界。

一方、ハミングタイムに紹介されているのはまったくカテゴリーが異なるもの。バッグのようなファッションアイテムに分類される傘です。店頭の傘立てに置いて「シェア」されると困るような傘は、クロークに預けるなど丁寧に扱うことが求められますね。出かける場所に応じて、持つ傘も変えるべきなのでしょう。

 

朝日新聞後藤記者より取材を受けて、デザイナーとしての桂由美さんについてコメントしました。有料記事ですが、5月1日16:42まで無料で全文公開されているそうです。

マリー・クワントやヴィヴィアン・ウェストのような偉大さを感じます。先駆者として一時代を築き上げ、次世代にレガシーを遺した、すばらしいデザイナー人生でした。

「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 18は、スリランカでアーユルヴェーダを施すホテルを営む伊藤修司さんの起業ストーリーです。

身体をまるごとリセットして「生きること」を問い直した方、ぜひ訪れてみてください。

尾張一宮出張。尾州生地のメッカですが、この地にある近代化産業遺産Re-TAiLの2階に、Kunishima のコンセプトテイラーがあります。尾州生地でお仕立てするオーダースーツのお店です。

名古屋からJRまたは名鉄で15分くらい。建物自体、100年近く経っているビンテージですが、国島が補修をして保存に努めています。中に入っているお店もそれぞれ個性的。

トップ写真に映るスタッフは、山田さん(左)、田添さん。

本日4月18日で創業6周年を迎えました。

2018年に起業して以来、右も左もわからないなか、多くの方々に助けていただき、なんとか6周年を迎えることができました。アカデミズムの世界にとどまっていてはまったくわからなかったことを多々、学ぶことができました。読者のみなさまはじめ、関わってくださった全ての方々に心より感謝申し上げます。

 

今年は桜の開花が例年より遅めでしたが、ソメイヨシノが散ったあと、見事な八重桜が咲いています。つつじも咲き始めました。

毎年毎年、きちんと咲く「順番」を守って咲き始めることに驚異を感じます。

こういう自然の慎ましさに倣い、エネルギーを蓄えるべきときには地道に研鑽を積み、咲くべきときには過不足なく咲いて世界の片隅を楽しませる、というあたりまえのことをきっちりと続けていきたいと思います。

あらためて、みなさまのご支援に感謝申し上げます。

 

映画『プリシラ』にコメントさせていただきました。

GAGAホームページに掲載されています。

『フェラーリ』がザ・マチスモな映画だとすれば、 『プリシラ』はガーリーの極み。 1950年代後半から60年代を背景にするとこういう映画が作りやすいんですね。いまのジェンダーフリーもいいけど、こういう両極端の感覚にふりきった世界観の表現も好き(その時代に生きて楽しそうかどうかは別の問題)。

 

 

 

きものやまと社長、矢嶋孝行さんにインタビューした北日本新聞「ゼロニイ」連載記事が、ウェブ版に公開されました。

英語版も公開しています。

愛子さまがジュエリーをご愛用ということでがぜん注目を浴びているミキモトですが、製品としての完成度の高さ美しさは言うまでもありませんが、そもそも海産物のなかから一番高く売れるものとしての真珠に目をつけ、ならば養殖真珠を世に出そうというトンデモ発想を抱き、12年以上かけて真珠の養殖に成功し、国際社会からの「養殖真珠はにせもの」という総バッシングにもめげず7年かけてパリ裁判を闘い勝利を獲得し、「贅沢は敵だ」の第二次世界大戦の危機を耐え抜いた真珠王、御木本幸吉のことにも思いを馳せてほしいなと思います。高貴な輝きの真珠にひけをとらない、強くてしなやかで尊い御木本幸吉のスピリット。

銀座・ミキモトビルの前を通るたび、幸吉さんの屈託のない笑顔とユーモアあふれる言葉を思い出して元気になれるのです。

詳しくは拙著『「イノベーター」で読むアパレル全史』でも項目を立てて力説しておりますので、お読みいただければ幸いです。

 

婦人画報4月号ジャケット特集に寄稿した記事がウェブ版に転載されました。20世紀初頭から現代までの時代とジャケットの関係をおそろしく限られた字数のなかで解説したミニミニ「ジャケット史」です。こちらからお読みいただけます。

また、過去に婦人画報で書いてきた記事でウェブに転載されたものは、こちらにまとめてくださっています。こういうアーカイブを作ってくださるのはありがたいことですね。

北日本新聞「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 17。きもの「やまと」のパリ進出について、社長の矢嶋孝行さんにインタビューした記事です。

伝統文化に高い価格をつけて売る、という最近の風潮に矢嶋さんは抵抗します。「文化を楯にしたくはありません。私たちは伝統文化を着るために生きているのではありません。着たいと思ったものが文化になっていく」という言葉にはっとさせられます。

ほぼ一週間後、ウェブ版にも掲載されます。同時にnoteで英語版を掲載します。

 

高知へ日帰り出張。ちょうど合間の快晴に恵まれました。行きはJALのいつもの「K」の席。ここからは富士山がきれいに撮影できるのです。見飽きない麗しさですね。

日経新聞夕刊連載「モードは語る」、本日は、アリッサ・ハーディが念願だったキャリアと引き換えに業界の暗部を暴いた渾身のルポ『ブランド幻想』について書いています。

紙版、電子版、ともに掲載されています。電子版はこちら(会員限定公開)。

インフルエンサーに対しても、ご自分の影響力がどのように行使されるべきなのか、もっと責任を自覚すべきと促しています。

ファッションのキラキラした面はすてきですが、それを支える労働者がどのような扱いを受けているのか。知ってしまったら、商品を見る目も変わらざるをえないところがあります。

第10章は、私が遭遇したのと似たような経験が書かれていて、同情の涙なしには読めませんでした。社会正義の側に立とうとすれば、保守勢力から痛い目に遭うのは、どの領域でも変わらないですね。でも新しい味方がもっと増えているはず。アリッサの勇気を讃え、応援します。

宝島社より22日に発売されるムック「Legend Star Graffiti オードリー・ヘプバーン『永遠の妖精』の素顔」。生涯と映画を豊富な写真でコンパクトに紹介しています。レトロな雰囲気。第2章「オードリー・ヘプバーンとファッション」を書きました。

パリ・オートクチュールデザイナー、中里唯馬がケニアで見たものは。「燃えるドレスを紡いで」のレビュー書きました。ファッション産業が利益追求に走りすぎた結果、アフリカに「衣服の墓場」が形成されている。「もう服を作らないで」というケニアの叫び。その状況を受け止めて一歩前進しようとする唯馬さん。

支えるのはセイコーエプソンとスパイバーという日本の最先端技術、ということも頼もしい。

16日公開です。ぜひ、ご覧ください。

英語版はこちらに書いておきました。

エストネーションから、仕事服に関するインタビューを受けました。こちらで公開されております。お時間ゆるすときがありましたらご笑覧ください。

エストネーションの飯島亜沙子さん、水谷優芽さん、竹山賢さん、ヘアメイクの久保田カオリさん、ライターの湯澤実和子さんはじめ、スタイリストさん、カメラマンさん(お名刺いただくタイミング外し)にたいへんお世話になりました。ありがとうございました。

「婦人画報」4月号に寄稿した最旬の靴とジャケットに関するエッセイがウェブ版に転載されました。「靴から始まる『ジャケットのおしゃれ』 王道スタイルと自由な組み合わせ」

靴とジャケットの方向性を合わせることが20世紀の王道スタイルでそれもよいのですが、いまはあえて不協和音を自由に楽しむことができる時代になっています。

富山中部高校同窓会、神通会の会報No.62 に寄稿しました。昨年お招きいただいた講演に関する話題です。お世話になりましたみなさま、あらためましてありがとうございました。

婦人画報4月号、ジャケット特集&シューズで監修・寄稿しています。ジャケットから見る20世紀初頭から現在までのファッション史に関し、2ページにわたり、年代ごとの特徴をできるだけコンパクトにまとめています。ジャケットに合わせるシューズのページではエッセイを寄稿しております。ファッション史のおさらいと最新トレンドのアップデート、楽しんでいただければ幸いです。

GQ 4月号発売です。ジェントルマン特集。

W. David Marx氏と対談した記事が掲載されています。「What Is A Gentleman ジェントルマンよ、復活せよ」。

オールドマネーとニューマネー、クリエイティブクラス、イギリスメンズファッションデザイナーの最近の潮流、ステイタスとジェントルマン、日本の山の手の粋、紳士協定とアメリカ式起業、19世紀ダンディ、新しい日本のラグジュアリーにいたるまで話題は多岐に広がります。ぜひご覧くださいませ。

日経連載、2月24日夕刊はバイオ繊維の可能性について書いています。機能性ばかりが追求されがちなバイオテクノロジー最先端の新素材ですが、新しい次元の美しさや情緒を切り開く可能性にも期待したいところ。

先日の京都府のZET summit 2024での議論の一部です。京都府、スパイバー社長関山さん、京都大大学院沼田教授、中里唯馬さんに感謝します。

写真は、Yuima Nakazato 2021より。ブリュードプロテインを西陣織に織り込んだ生地を用いています。写真だけでも幻想的な美しさが伝わりますね。

電子版は有料会員限定ではありますが、こちらでご覧いただけます。

唯馬さんはスイスにしばらく滞在し、オペラIDOMENEOの衣裳制作に携わっていらっしゃいました。一年がかりで準備されてきたプロジェクトが無事に22日にプレミアを迎えることができたそうです。このオペラが日本にも巡回することを願っています。

PRっぽいVulcanize London でレディースオーダースーツを展開しています。取材を受けました。PRっぽい記事ではありますがスーツは自腹で買っています。コスプレ含めいろんな服を着ますが、身体に合ったスーツは結局長く着られて時代に合っていますね。10年前に作ったスーツもちょこちょこリフォームして着ています。

詳細はこちらをご覧くださいませ。1年半くらい前の取材でしたので髪が短いですね。

(*スーツはちゃんと自腹で購入しております)

ZET (Zero Emission Technology)-summitの公式写真が送られてきましたので、置いておきます。

私はスパイバー×ロンハーマンのフーディを着用させていただいております。関山社長ももちろんスパイバー製品をご着用。プロテインファイバーから生まれた生地はやわらかくてしっとりした感触で、着心地がとてもよいのです。

プロテインファイバーは資生堂のマスカラにも使われていますよ! 脱炭素(すべき)時代に向けて、可能性が無限大のバイオテクノロジーです。

 

2023年10月8日に富山・砺波の散居村の文化的景観を守るためのセミナー講演の内容が文字化されました。こちらでお読みいただけます。

セミナー後半の質疑応答はこちら

 

このセミナーの模様はNHK富山のニュースで放送され、北日本新聞にも掲載されました。

京都府主催のZET-summit 2024に登壇しました。「産学公で挑む技術革新 ゼロカーボンバイオ繊維はファッションの未来をどう変えるのか?」というセッションで、細菌を使って空気から作る「エアシルク」を開発した京都大学大学院教授の沼田圭司さん、プロテインファイバーの領域ですでに成功しているスパイバーの社長、関山和秀さんとご一緒させていただきました。

このイベントに向けてかなり時間をかけて下準備したのですが、当日、ハプニングがあり、終了時間の15分まで「あと5分」の音が鳴り、急いで途中を端折ってまとめに入ったところ、横からスタッフがいらして「あれは間違いでした」と。また端折った部分に無理やり話をつなげてなんとか場を持たせたのですが、ひとえに沼田先生、関山先生の的確で濃いお話のおかげでした。シナリオ通りにいかない場合に柔軟に対処できる胆力を鍛える必要を痛感した次第です。

よいチャレンジの機会を与えていただいた京都府のスタッフのみなさまに心より感謝いたします。また、この日はスパイバーのブリュードプロテイン×ロンハーマンのフーディーを着用させていただきました。近未来的な乳白色を活かすのは白コーデだと思い、全身白でまとめてみまひた。しっとりとやわらかい繊維で、着心地抜群です。

終了後に登壇者と記念撮影。左が沼田先生、右が関山さまです。下は会場になった永森重信市民会館。昨年できたばかりのすばらしい施設でした。

 

このセッションのために、多くの気鋭のデザイナーにヒヤリングをしました。印象的なお答えをくださったのは中里唯馬さんでした。「脱酸素というと機能性ばかりが重視されるが、これまでにない美しさを創造できる可能性がある」という趣旨のコメントで、実際、細尾の西陣織にプロテインファイバーを織り込んだ作品を作っていらっしゃいました。こちらも投影させていただきました。グレースーツの男性がずらりと並んでいたビジネスビジネスした会場で、ファッションデザイナーからの「美」に関する提言は想定外だったようで、すばらしい説得力がありました。スイスでオペラの衣装制作中の唯馬さんですが、ご多用の合間を縫って丁寧にご対応くださいました。心より感謝いたします。

 

 

「ジャンヌ・デュ・バリー」プレミアのイベントの模様が、Madame Figaro.jpに掲載されました。

バロックとロココの違い、革命前後のファッションの違いなどの話題は割愛されておりますが、当時の「公妾」「愛妾」の違いと役割、恋愛・結婚観などについて話したことが文字化されています。

TOHOシネマズ日本橋の外を出ると、こんなシックな風景でした。

日本経済新聞連載「モードは語る」。27日夕刊では、伝統工芸ディレクターの立川裕大さんに取材した記事を書いてます。有料会員限定ではありますが、電子版ではこちらでお読みになれます。

フィガロジャポン✖️ルイ・ロデレールのプレミア「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」、プレミア試写会の上映前にお話しさせていただきました。フィガロ編集部の森田さまが司会、エノテカの佐野さまがルイ・ロデレールの解説、私は当時のフランスの習俗について解説しました。


18世紀フランス宮廷が舞台の映画でコスプレ絶好の機会だったので、なんちゃってロココメンズ風で遊んでみました。「風」なので深いツッコミはなしでお願いします。

アビはアーチストのあきさんの作品です。左右で生地が異なります。プリント生地からオリジナルで制作していらっしゃいます。中に入れているベストはアジャスタブルコスチューム小高さんの作品、レギンスはユニクロです。すべて日本の作り手ですね。

スタッフのみなさま、ご参加くださいましたみなさま、ありがとうございました。あきさん、小高さんにもあらためて感謝&リスペクトします。

北日本新聞「ゼロニイ」本日出版されました。連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.15は、いわき靴下ラボ&ファクトリーに取材した記事です。2~3週間後にウェブ版にも公開されます。

過去の本連載はこちらですべてお読みいただけます。

首都圏のJR東日本10線、ゆりかもめの車内のデジタルサイネージで日本のラグジュアリーについて語っております。18日(木)~21日(日)まで。

NewsPicksの番組The Updateに出演したときの映像の一部です。JR東日本にお乗りになる機会がありましたらドア上サイネージをちらっと見てみてください。

無音で字幕だけが流れることもあり、早速誤解された方もいらっしゃったので、補足しておきます。ここで話していることは、

・ヨーロッパは階級社会だったので農民発のものはラグジュアリーになりえない

・しかし日本の農民発のものは知的な思想や技巧があるもの多く、新しい視点をもたらして次世代のラグジュアリーになる可能性を秘める(だからあえて青森の庶民発のこぎん刺しを着ている)

上の部分の字幕だけ切り取って見て「農民を侮辱している」と勘違いされた方がいらしたのです。ストーリーを全部見ていただけないのはデジタルサイネージの弱みですね。めげずに発信します。

 

今週はラグジュアリー祭りでした。おつきあいありがとうございました。来週からがらっとテーマが変わる仕事が続きます。

WWDラグジュアリー特集号 インタビューを受けた記事のウェブ版が公開されました。会員でない方は「0円」を押すと、この記事だけ無料でご覧いただけます(期間限定かもしれません…その場合ご寛恕ください)。

Forbes Japan 連載 Post Luxury 360° 更新しました。「ニセコにルイ・ヴィトン。グローバル資本と日本の『さまざまな現実』」。

3年ちょっと書いてきた連載ですが、私のみ、今回で引退いたします。ご愛読に感謝します。ミュンヘン在住の前澤知美さんにバトンタッチし、連載は続きますので、引き続きご愛読をよろしくお願いいたします。

ラグジュアリーに関しては引き続き、多様なメディアで発信していきます。

ゼロニイ連載「ラグジュアリーの羅針盤」。宮古島で生産される宮古上布を取材した記事、ウェブ版が公開されました。「高齢女性の価値を高める宮古上布」。

新里玲子さんにご協力を賜りました。とても笑顔の美しい方で、高齢者ほど価値が上がる宮古上布の世界のお話を伺いながら私まで元気をいただきました。ありがとうございました。

 

WWD 1月15日発売号はジャパンラグジュアリー特集号です。

編集部に受けたインタビューの中で、ウエストの靴下や、宮古上布の例を挙げながら、日本が世界でリードできる可能性などについて解説しています。

お近くにWWDがありましたらご高覧ください。

5か月ほどHPにデータをアップロードすることができない状態が続いていました。サーバがこれ以上のデータを受け付けなくなったためです。それで、データ丸ごと大引っ越しをしまして、ようやく完了いたしました。新しいサーバじたいの容量はかなり余裕がありますが、空白の5か月間のデータを埋めていくのにもう少し時間がかかりそうです。合間をみながらアップロードしていきます。

また、お引っ越しに伴い、メールアドレスも変更になります。これは今月いっぱいかかるかもしれませんが、お仕事でご縁をいただいている皆様にお知らせするとともに、公開しておりますお問合せ用メールアドレスも変更いたします。

X(旧ツイッター)やインスタグラムには掲載記事、公開記事の情報、イベント情報を随時お知らせしております。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、早速ですが、公開記事のお知らせです。NewsPicksで、クワイエットラグジュアリーのトレンドと、それが日本の伝統技術や繊維産業に及ぼす(よい)影響について解説しています。会員限定で恐縮ですが、こちらからお読みいただけます。

 

Sanyo Coat for LifeのキャンペーンでSanyoのトレンチコートを着用させていただき、インタビューを受けました。山下英介さんが書いてくださった記事はこちらです。

こちらはカラーバージョンです。あえてコートの下からワンピースのレースをのぞかせて、エレガント風味を添えて着てみました。スタイリストがついてないんです(笑)。普段着ているものを持ってきてください、ということで、いつも着ているものそのまんまで行きました。首に巻いているアクセサリーはMIZENの着物地のニットタイです。最近、ヘビロテです。

Bond映画60周年記念4Kレストア版「スカイフォール」上映前トークショーに登壇しました。9月と同じように、マダム・フィガロ編集部の金井洋介さんとのトークでした。

この日、着用しているのはイギリスブランド「フェイズエイト」のニットドレスです。ラメ糸を使っているのできらきらしますが、実はニットでラクチンに着用できる便利な一着です。数年前のデザインですが、そんなに何度も着る機会があったわけでもないので、大事に着まわしております。

古巣の明治大学国際日本学部でアルムナイが結成されるとのこと、創立当時とこれからを語るトークイベントに、学部長の鈴木賢二先生、小笠原泰先生、現役の学生さんたちと登壇しました。

懐かしいかつての学生さんたちからもたくさんのメッセージをいただき、感激でした。私は創立の2008年~2017年の10年間、特任教授としてファッション文化史を教えていました。ホールが満員になることもある充実した楽しい日々でした。お招きに心より感謝します。

NewsPicks ニュース解説「アパレル超え急成長『ブルネロ クチネリ』とは」に出演しています。会員限定で恐縮です。

クワイエットラグジュアリーの解説から始まり、追い風が吹いている日本の伝統産業の発展の可能性について話しています。

イギリス大使館ビジネス・通商部門主催 ウォルポール&イギリスブランドの日本マーケットの研究会で講演しました。

“Redefining Luxury: Bridging Cultures and Embracing New Narratives in the World of Fashion” というタイトルで、日本のマーケットでは英国文化への愛が英国ラグジュアリー製品の購入を支えている旨や、変わりゆくラグジュアリーの意味の話をしました。

全文を、こちらに掲載しました。

noteをこのスピーチ原稿掲載のために始めました。英語化した記事だけアップしていきます。英語化する時間を確保するのがなかなか困難で、とても散発的になるとは思いますが、noteのほうもどうぞよろしくお願いいたします。

水と匠主催、散居村の保全を考えるセミナー「人と自然がつくり合う価値の再生へ」において講演しました。となみ散居村ミュージアムにて。

富山大学の奥教授が文化的景観について講演、その後、私が変わりゆく豊かさの基準として新ラグジュアリーについて話しました。その後、「水と匠」の水口砂里さんをまじえてのトークセッションでした。文化的景観と新ラグジュアリーの考え方は方向が一致するんですよね。嬉しい発見でした。

翌日の北日本新聞で掲載いただきました。

 

 

NHK富山でもニュースとして放映されました。

楽土庵に泊まりました。3室だけの、それぞれに趣旨を極めたアートホテルです。

ボンド映画60周年記念4Kレストア版「ロシアより愛をこめて」上映前トークショーに登壇しました。新宿ピカデリーにて。マダムフィガロ編集部の金井洋介さんとのトークでした。

トーク内容はマダムフィガロのオフィシャルサイトに掲載されております。

この日着ているのは、Yuima Nakazatoのドレスです。日本の川俣シルクを使い、エプソンのインクで染めている、軽いけれど重厚な一着です。衣装協力いただきました。ありがとうございました。

こちらは客席からお客様が撮ってくださってお送りくださったものですが、シルクのショールの透け感がいくばくかわかります。

ラインナップ的には、Yuima Nakazatoの展示会で圧巻だったこのドレスのいとこ的位置づけです。やはりエプソンのインクで染めてあります。羽生さんが着用してらっしゃいました。

5月にファッションビジネス学会の講演にお招きいただいたときに提言したことがきっかけになり、この学会にラグジュアリービジネス部門が設置されることになりました。そのキックオフを兼ねた「装談」のトークイベント、「これからの日本のラグジュアリー」です。台東デザイナーズ・ヴィレッジにて。

トップ写真左はsuzusan村瀬弘行さん、右はMizenの寺西俊輔さんです。私がMCを務める形で、新ラグジュアリーについて若干のレクチャーをさせていただいたあと、お二人それぞれにお話しいただき、最後に会場からの質問に答える形でトークセッションがおこなわれました。

私が着用しているのは、村瀬さんのお父様が作った絞り染めの生地を、寺西さんがデザインしたセットアップです。

この日の内容を、記事化しました。

JBpress autograph その1「日本独自のあり方とは? 海外だけのビジネスを展開した有松絞り

JBpress autograph その2「『職人こそがブランド』 伝統工芸をラグジュアリーに昇華する、MIZENの革新性

JBpress autograph その3「日本のラグジュアリーの未来、ブランドロゴより重視される職人の仕事と価値

中里唯馬さんが運営する「ファッション・フロンティア・プログラム」にお招きいただき、新ラグジュアリーの講演をさせていただきました。参加者の方には海外の方も数名いらっしゃいます。

社会的責任と創造性をあわせもつデザイナーの育成、というプログラムの趣旨は、新ラグジュアリー的な世界観と重なります。中里さんによる、未来を見据えたグローバルスケールでの教育的活動、応援したいと思います。

鈴木正文さんが編集長だった時代のNAVIに連載していた「スタイリッシュ・カリズマ」、アーカイブにアップしました。全6回です。この連載がもとになって『スーツの神話』が生まれました。もう四半世紀も前の話ですが。

 

ANA 「翼の王国」に連載していた「WHO’S  WHO」もアップしました。第4回、第5回を掲載した本誌だけがどうも見つかりません…。アーカイブが入手できそうな伝手、おわかりになる方はなにとぞご教示くださいませ。各地の目立たぬ、しかし匠の技を駆使した仕事をなさっている職人さんたちを取材した連載です。あれまら17年ほど。みなさんまだお元気でご活躍でしょうか…。

 

トップ写真は寺家町のひまわり。もう枯れ始めております。まだまだ猛暑が続きそうですが、夏も終わりに向かいますね。台風の上陸も予想されています。どうぞお気をつけてお過ごしください。

 

 

共同通信から依頼を受け『デザイン至上主義の世紀』の書評を書きました。ぼちぼち各地方紙に掲載されるかと思います。

そもそも「横浜スカーフ産業」を知らなかったのですが、戦後日本の各地の地場産業の栄枯盛衰の背景には共通する事情があると知りました。

未来に活かせる教訓はたくさんあるのですが、その一つ:外国の権威に頼らずおもねず主体性を鍛えよう。

ソーシャル・コーヒー・ハウスにお招きいただき、令和時代の新ラグジュアリーについて講演しました。オーディエンスは20代から30代、新ラグジュアリーととても相性のいいコミュニティでした。

たくさんの質問、コメントをいただきました。「日本はもうダメなんじゃないかという絶望感がありましたが、日本発のラグジュアリーを世界に届けるためにがんばっている人たちの話を聞いて希望がわいてきた」というのがあって、かえって衝撃を受けました。若い人に絶望感を与える社会ってなんなのか? 大人はそれでいいのか? 自分の利権ばっか、縄張りばっか大事にして、次世代から希望を奪うってなんなのか?

理想論すぎるのは重々承知の上で、私みたいな何の利権も権威もない人間が理想を語っていかないとダメなところまで日本は来ているのか?

権威のある偉い人は、若い人に希望を持たせる振る舞いもノーブレス・オブリージュとして遂行してくださるよう切に願います。

日本の未来、あなたの未来は大丈夫だよと明るい方向を示すこと、それも大人の義務なんじゃないかと気付かされた時間でした。

オーガナイズしてくださいましたソーシャル・コーヒー・ハウスのスタッフの皆様、メンバーの皆様に感謝します。

北日本新聞「ゼロニイ」連載記事、最新のエッセイがウェブ版に転載されました。富山のローカルコミュニティで生まれつつある新しいラグジュアリーの兆し。

きもの専門店やまとが、賃金問題はじめ伝統工芸をめぐる社会課題解決のために龍郷町と「ソーシャル・アクション・パートナー」協定を結んだことについて、29日付けの日経連載「モードは語る」で書きました。社長の矢嶋孝行さんに取材しました。

企業と自治体、できないことを補いあいながら大島紬を未来に繋ぐ努力をしています。産地の職人、都心のビルで働く社員、関わる人みんなが幸福であることが「新ラグジュアリー」的スタンスです。「それを作った職人は幸せであったか?」まで考えるラスキン的立場。

電子版はこちらです。

北日本新聞「ゼロニイ」8月号が発行されました。連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 9は「ママ振スーツと沙羅の花」。

エレガンスと車の歴史の前口上から始まりますが、富士スピードウェイホテル&モータースポーツミュージアムの取材記事を書きました。JBpress autograph の連載です。
お時間ゆるすときあればご笑覧くださいませ。
「富士スピードウェイホテルで深まる、ラグジュアリーとモータースポーツの関係」

News Picks The Update に出演しました。

後半にお話ししたのが日本の庶民発のラグジュアリー。着ていったのは、青森のこぎんざしをフィーチャーしたMizen の服です。こぎんざしは、麻しか着られなかった津軽の農民が、防寒と生地補強のために粗い布目に糸を刺していったことから始まりました。

紬もそうですが、庶民の知恵と工夫と卓越した技術が貴重な伝統工芸になっている。そもそも高級な素材を使っているわけではないのがポイントです。高級素材は高級素材として王道的に素晴らしいのですが、それ以外にもやり方がある、ということです。Mizenの寺西俊輔さんはそうしたやり方を、ラグジュアリー製品を作る日本ならではの職人技術として世に問うています。

「弱者」を救う視点が新ラグジュアリー的です。

ご教示、ご助言いただきました寺西さんとモリー、そしてMizen出資者の珠代さんに感謝します。
NewsPicks スタッフのみなさま、ありがとうございました。

NewsPicksの番組 The Updateに出演します。25日22:00~23:05。いつも完全に眠っている時間なのですが、昼間に仮眠とってお伺いする予定(眠れるかなあ…)。

すごい方々ばかりで辞退しようとも思ったのですが、勉強させていただくまたとない機会と思って臨むことにしました。恥をかいてもそれはそれで後日ネタにすることにします(笑)

Forbes Post Luxury 連載更新しました。「非日常で贅沢な冒険こそが『究極のラグジュアリー』なのか?」

一部富裕層の間で流行している「エクストリーム・ツーリズム」について考えてみたくて書いてみました。後半の安西洋之さんによるアンサーが新ラグジュアリー的です。いっときの対処療法的な刺激ではなく、日々の生活に生活や冒険を持ち込むことができるという選択肢の提示。

 

写真は久々に出かけた軽井沢。涼しいところで仕事を集中的に終わらせる目的でしたが、横浜より暑いし東京より誘惑が多い。ここはもはや「避暑地」ではないのですね。脳内に「避暑地」を創る工夫もしてみようと思います(笑)

断捨離で有名なやましたひでこさんのYoutubeにお招きいただき、おしゃべりしてきました。8月公開だそうです。すてきなタワマン最上階に本格的な自宅兼スタジオ。楽しい体験でした。

6月に開催されたラ・コゼット・パフメでのイベントの模様が動画で公開されました。

ラ コゼット パフュメ 第56回『これまでの、そしてこれからのラグジュアリーと香水』 – YouTube

6月におこなわれたForbes Japan × Brunello Cucinelliのイベントの模様がForbes Japan のサイトで記事化されました。ご参加の女性経営者のなかには、世界で活躍する著名な方も多々いらっしゃいます。質問のレベルも高く、密度の濃い時間でした。

女性経営者が注目の”人間主義的経営”に触れる 「ブルネロ クチネリ トークセッションイベント」

講演後、楽屋に富山新聞の記者さんが5人の中学生とともに取材にいらっしゃいました。「14歳の挑戦」シリーズで、中学生が私に取材をしてそれを記事にするというものらしいです。14歳ってけっこう激しく多感ですよね。できるだけ誠実にお答えしました。

母校の富山中部高校で講演しました。富山県民会館大ホール。

質問タイムが爆笑タイムでした。
「感動しました。僕、政治家になります! 握手してください」と壇上まで来てくれた学生さんにはこちらがウルウルしてしまいました。楽屋まで来て「ファッションデザイナーになると決めています!」と決意表明してくれた学生さんも。

写真は生徒会副会長さんから花束をいただくの場面。撮影は北日本新聞田尻さん。

お招きくださいました神通会、富山中部高校、後援の富山県教育委員会に感謝します。

田中校長先生との記念写真です。

日本経済新聞夕刊「モードは語る」。男女ともにトレンドが続いているジレの進化について書いています。電子版はこちら。写真はエストネーション2023/24 秋冬展示会より。

遅ればせながらの誕生日を祝っていただきました。

 

次男からはThe Okura Tokyoにて。

長男夫妻からは銀座の某レストランにて。

ありがとうございました。

ラ・コゼット・パフメ様にお招きいただき、「これまで、そしてこれからのラグジュアリーと香水」というテーマで講演しました。主催者である地引由美さんと一緒に持っているのは、人間のための資本主義を掲げる新型ラグジュアリーの旗手、ブルネロ クチネリから2024年1月に発売される予定の香水です。貴重な現品を会のためにお貸し出しくださいましたブルネロ クチネリ ジャパンに感謝します。きめ細やかに盛り上げてくださった関係各位、ご参加のみなさま、ありがとうございました。

北日本新聞「ゼロニイ」、「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 8が掲載されました。トレンドの「クワイエット・ラグジュアリー」について書いています。

 

webunにも掲載されています。

秋冬に展開されるトレンチコートのモデルを務めさせていただきました。とても和やかな撮影現場でした。きめ細やかにサポートしてくださった関係各位に心より感謝します。9月にリリースされるそうです。

写真は資生堂パーラー横浜店のメロンパフェ。甘いものが基本的にそれほど好きではないのですが、この季節にはメロンパフェが食べたくなります…。

 

Forbes Japan × Brunello Cucinelli のイベントに登壇させていただき、新・ラグジュアリーと人間主義的経営について話しました。

ソロメオ村のクチネリさん、ローマ、東京をつないだ三者オンライントークもあり、アフターにはご参加の女性経営者の方々(Forbesに登場した方々をはじめ著名なビジネスパーソン)との交流もあるなど、とても充実したイベントでした。

クチネリ・ジャパンの宮川ダビデ社長、PRの遠藤さくらさんはじめスタッフのみなさま、Forbes Japanの谷本有香さんはじめスタッフのみなさま、そしてご参加くださいました方々に感謝します。

*クチネリのワンピースとジャケットを着用しています。

各地でたいへんな雨でしたね。夜中の警報で不安な夜を過ごされた方も少なくないのではと拝察いたします。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

本日の日本経済新聞夕刊「モードは語る」で「カシミヤを着た狼」のレビューを書きました。ウェブ版にも掲載されています。お時間ゆるすときあればぜひHulu で本編全4章をご覧になってください。

『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済10の講義』、重版となりました。皆様に感謝します。

内閣府、経済界、月刊事業構想、東洋経済、日本経済新聞、日経ビジネス、東京経営者会議、東京大学工学部、はじめ多くのメディアにとりあげていただいたり主要機関に講演や講和にお招きいただいたりいたしました。多方面での影響力を実感する一年でした。

 

高知信用金庫で3日間、職員のみなさまのスーツスタイルを指導する講師の仕事でした。クリエイティブな美意識の高い理事長の方針に基づき、3シーズン目です。

 

ザ・リッツカールトン大阪とアスプレイのコラボレーションディナーの席で講演しました。「チャールズ3世とイギリス王室」というテーマです。アスプレイのジュエリーをつけさせていただき、イブニングドレスでレクチャーという楽しい体験をさせていただきました。

ブラックタイで正装したゲストの皆様も素敵でした。お世話になったザ・リッツカールトン大阪の総支配人はじめスタッフのみなさま、アスプレイジャパンの中村之夫社長はじめスタッフのみなさま、ゲストの皆様に感謝します。

Nikkei The STYLEで書いた記事が、電子版に転載されました。

写真は私が監修した展覧会図録本ですが、プレミアがついて今、アマゾンで中古が13000円くらいで取引されています。もとから出版社は重版しない予定だったのですね。この本、多方面からクワントにアプローチしていて、典拠も詳細で明確、史料価値がとんでもなく高い本なのです。仕事も大変でしたが、その分、あとあとまでしっかり残ると思えば。

Forbes Japan 連載「ポストラグジュアリー360°の風景」を更新しました。「ラグジュアリービジネスと日本、『翻訳不能』な国の勝ち筋は」

羽田未来研究所社長の大西洋さんにインタビューしました。後半は安西洋之さんが「これが日本文化だからと押し付ける儀礼は、海外の人にはコミュニケーションを絶たれた翻訳不能の世界」に見えることがあると指摘。

一万字くらいの長い記事なのですが、日本発ラグジュアリーや地方創生、日本文化の海外からの見え方に関心のある方、ぜひご一読ください。

写真©羽田未来総合研究所

大倉集古館で開催中の「愛のヴィクトリアン・ジュエリー」展を、ジュエリージャーナリストの本間恵子さんと対談しながら鑑賞しました。JBpress autographにて記事化しました。自分で言うのもなんですが、アンティークジュエリーの見方が深まる面白い記事になっています。ぜひご覧くださいませ。

また、5月24日にホテルオークラ東京で開催されるランチイベントのご参加もお待ちしております。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で、同学部教授の澤円さんにお招きいただき、講演しました。テーマは「ラグジュアリー文脈における本物と偽物」。澤さんのビジネス文脈への落とし込み方がが絶妙にうまく、学生さんの質問も活発で、大変楽しませていただきました。

KEAとバレンシアガ、グッチのダッパーダンコレクション、シャネルのコスチュームジュエリー、御木本の養殖真珠、ボディーポジティブ、美容整形、スーパーコピー。本物と偽物は互いに互いを必要とし、答えのない迷宮に私たちを連れていきます。本物と偽物を考える議論って、ほんとにおもしろい。

内容は、澤円さんの奥様の奈緒さんがvoicyで紹介してくださってます(教室にいらしたとは知らなかった・・・(笑))。

北日本新聞「ゼロニイ」で連載中の「ラグジュアリーの羅針盤」は、本紙を購読していない方にも過去アーカイブがウェブ版でお読みいただけます。

Vol.1 後世に語り継がれるオリジナルな生き方

Vol.2 グリコのおまけとティファニーの婚姻届

Vol, 3  豪華客船が難破する前に

Vol. 4   「商品」を「芸術」として演出する

The STYLE 欄でマリー・クワントの追悼記事を書きました。あらためて彼女の功績をふりかえってみるとやはり、「違う」と思ったらさっさと自分が解放され、自分が存分に自由を発揮できるコンテクストを創り、そこで思う存分働いたという倫理観に行きつくんですよね。これはココ・シャネルにも通底している要素で、また、ヴィヴィアン・ウェストウッドにも同じような志向性があります。結局、私が彼女たちから学んでいるのはそういう倫理観なのだと思い知りました。

ファッションビジネス学会の特別講演にお招きいただき、「新・ラグジュアリー 倫理、ローカル、ヒューマニティから始まる新しい文化」というテーマで話をさせていただきました。ありがとうございました。

日経新聞連載「モードは語る」。通常の紙版は土曜掲載ですが、戴冠式直前にて電子版では本日公開されています。公表されている情報に基づき、見どころをコンパクトにまとめました。土曜夕刊の紙版には通常通り掲載されます。

また、赤→金→紫と変わるローブ、登場する全3種の王冠に関しては、Twitter kaorimode 1にて写真付きで連続投稿として解説しています。よろしかったら戴冠式ご鑑賞のお供にご参照くださいませ。引き続きお役に立てる情報を発信していきますのでどうぞフォローしてください。

トップ写真は大英帝国王冠。Imperial State Crown. カリナン2世がまばゆく輝いております。

 

かわさきエフエム(79.1MHz)毎週水曜午後9時〜放映されている、森清華さんの「Life is the Journey」の第330回ゲストとしてお招きいただき、話してきた内容が3日に放送されました。

過去の放送は、Spotify、および、こちらからお楽しみいただけるそうです。
http://careercreation.jp/radio/森清華のLife is the journey | Podcast on Spotify

 

ラ・コゼット・パフメさんにお招きいただき、「これまで、そしてこれからの『ラグジュアリー』と香水」というタイトルで講演します。

日 時:
6月24日(土)14:00 – 16:00

会 場:
東京都港区南青山5丁目
※ 参加お申し込みを完了された後に、会場の詳細をお知らせ致します。

 

詳細とお申し込みは、ラ・コゼット・パフメのホームページからご確認くださいませ。お申し込みの際には「中野香織HPを見て」とお書き添えください。

JB press autograph 連載記事を更新しました。「地域ブランディングを成功させるために今、必要なこと」。富山県のクリエイティブディレクターに就任した高木新平さんにインタビューしました。

北日本新聞「ゼロニイ」5月号。連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.6 において、「『くず』は排除するものではなく、稀少品」をテーマに書きました。

LEON 編集部より取材を受けました。大人にすすめたい漫画について。「キングダム」と「王様の仕立て屋」を推薦しました。

 

高知信用金庫創業100年の記念式典に参加しました。高知の全自治体の首長も参加する、盛大な式典でした。(私は高知信用金庫職員のみなさまのビジネススーツのアドバイザーを務めています。)

大倉集古館にて、ジュエリー専門家の本間恵子さんと対談しました。詳しくは後日、JBpressにて公開されます。

*5月24日、11時~13時、ホテルオークラ東京でのランチトークイベントに登壇します。詳細はこちら

GQ JAPAN 4月号に寄稿した「クラフツマンシップとラグジュアリー」に関する記事がウェブ版に転載されました。

日本経済新聞連載「モードは語る」。元エルメスのデザイナーが手掛ける「職人を主役にするラグジュアリー」プロジェクト、MIZENを取材しました。電子版、紙版、ともに掲載されています。

GQ JAPAN 5月号に寄稿しました。エトロの新・クリエイティブ・ディレクター、マルコ・デ・ヴィンチェンツオ氏と新生エトロについて。2月の来日時に、文化服装学院での講義→ランチ→インタビュー→撮影、とほぼ半日ご一緒に過ごすなかで、オフの場面での話も入り混じっております。GQ本誌でご覧くださいませ。

カメラマンに撮っていただいた記念写真です。2月の風の強い日だったので、もこもこの防寒仕様ですね。

エトロのイタリアチーム、ジャパンチーム、GQスタッフに大変お世話になりました。ありがとうございました。

J タウンネットからご質問を受け、「スモーキングジャケット」の由来と歴史について解説しました。2ページ目に主な解説があります。

ただ、この写真のようなタキシードがスモーキングジャケットと同一視された部分に関しての解説は、複雑になるためか、割愛されています。ここでは、解説した内容すべて記しておきます。後半に、タキシードとスモーキングジャケットが混同された経緯を書いています。ご参考になれば幸いです。

 

<なぜ、スモーキングジャケットが誕生したのか。その背景に何があったか>

イギリスを中心とするメンズファッション史の視点から申しますと、今のスモーキングジャケットの原型は1850年代に生まれています。ショールカラー、ターンナップカフス(袖の手首が折り返されているデザイン)で、ヴェルヴェットやシルクで作られています。バーガーデン色だったり、カラフルなことも多いです。

この源流をさらにさかのぼると、喫煙用・くつろぎ用ジャケットとして生まれた17世紀の長いローブ(上着)に行きつきます。この時、アジアや新大陸からヨーロッパにスパイスやたばこ、シルク、コーヒーがもたらされています。スパイス、たばこ、シルクローブもトレンドの高級品でした。

こういう、くつろぎと喫煙を兼ねた上着(正装として着る社交用の上着を汚さないため、別室でそれらの代わりに着る上着)は、その後も延々と命脈を保っています。1850年代にはクリミア戦争があります。このときトルコとのたばこがイギリスにもたらされ、それにともなってたばこ(おもにタイプでたしなむタイプ)が大流行し、喫煙用のスモーキングジャケットも広くジェントルマン社会において流行していきます。

 

<スモーキングジャケットを流行させたスタイルアイコン>

20世紀において、このジャケットを流行させたのはスタイルアイコンたちです。30年代、40年代のハリウッドスター、たとえばフレッド・アステアはスモーキングジャケットを着て埋葬されています。ケーリー・グラント、クラーク・ゲーブル、フランク・シナトラもこれを着て写真を撮らせています。

50年代以降は少しトレンドから姿を消しますが、プレイボーイ誌の編集長、ヒュー・ヘフナーは、スモーキングジャケットをトレードマークにしました。

 

<スモーキングジャケットが誕生した当時の喫煙文化はどのようなものであったか>

いまの日本語でいう喫煙にともなう不健康で公害的なイメージはまったくなくて、むしろ喫煙はパイプや葉巻でたしなむ紳士社会の特権的なお楽しみといったイメージです。

ディナーでは正装しています。夜であれば燕尾服。これが堅苦しいので、別室に行って、上着だけ着替えてリラックスして優雅にタバコや酒をたしなむ、というイメージ。スモーキングジャケットじたいも上質な素材で精巧に作られているので、たんなる「煙除け」というわけではない、高価な「紳士用ワードローブ」の一つでした。階級社会だった当時においては、ワーキングクラスには縁のない世界です。ちなみにシャーロック・ホームズは(架空の人ですが)これを着てパイプをやりながら考え事をしていますね。

 

<スモーキングジャケットは「たばこを吸う時のためにデザインされた服装」と言われていますが、どういったポイントが喫煙時に便利だったか>

シルクやベルベットというやわらかでリラックスできる素材。きれいな色、トグルボタン、折り返しカフスなどで優雅なイメージのものでした。上にも書きましたが、正装用の服は、たばこ(パイプや葉巻)の灰や煙では汚さない。別室でたばこ時間を楽しむためのもの。とにかく状況、時間において細かく着分けるのが当時の文化だったのです。

 

<スモーキングジャケットを原型として新たにタキシードが誕生した経緯>

これは「混同」から来ています。正装用の上着を脱いで、別室で寛ぐための服にはもう一種あります。「ディナージャケット」です。これはイギリス英語で、アメリカ英語で「タキシード」と呼ばれる服です。1860年代に作られたものですが、堅苦しい燕尾服に代わり、くつろげる正装として考えられたのが「ディナージャケット」なのです。

くつろぎの上着として、ディナージャケット(=タキシード)とスモーキングジャケットがいっしょくたになったり混同されたりして、非英語圏に伝わっていきます。フランス語で「ル・スモッキング(スモーキングと書かれることもあり)」がタキシードを表すのはそのためです。イタリア、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、トルコ、ドイツなどでも、「スモーキングジャケット」に相当する言葉がありますが、これすべて「ディナージャケット=タキシード」のことになっています。

ディナージャケット=タキシードそのものはもともと喫煙文化とは関係がありませんでしたが、別室でのくつろぎのシーンでスモーキングジャケットと同じように着られていたことで、混同されたのだと推測します。

現在でも、ディナージャケット=タキシードは準礼装です。正礼装はあくまでも燕尾服=テイルコートです。

 

<サンローランと1967年のスモーキングジャケット>

サンローランはあらゆる偏見を開放していった先駆的デザイナーのひとりです。黒人を「美しいから」という理由でモデルに起用し、多文化社会を促進していったのもサンローラン。まだ女性が二股にわかれたパンツを着用して公の場で正装することがタブーだった時代に、男性のディナージャケット=タキシードからヒントを得て(それがなぜル・スモーキングとよばれたのは前述したとおりの混同によるものです)、女性にはじめてパンツスタイルで正装させた、というのがポイントです。当時のモデルはたしかにたばことともに映っていますが、それよりもむしろ、女性の自由と解放をこのルックで推し進めた、というところに重要なポイントがあります。

 

<常田大希さんがタバコを持ちスモーキングジャケットは正しいのか?>

一時、たばこは潔癖なまでにNGでしたが、最近また、たばこや葉巻をもって写真に写るのがゆるゆると「復活」しているようですね。ファッションスタイルに「正しさ」という表現はあまり似合いません。一律の正義感を押し付けてくる時代の閉塞感を、タブーすれすれにされたスタイルで暗黙裡に批判してみせるという意味では、ファッション的にかっこいいとは思います。誰が決めたかもわからない世の正義感に従順にしたがっているほどダサいことはありませんから。

ちなみにこの文脈での常田さんは、1966年にサンローランが女性の自由と解放のために作ったスモーキング=タキシードを、2023年現在、ジェンダーフリーの象徴(男性も開放されて自由になろう)として着ている、という印象を受けました。

<スモーキングジャケットは生き残るのか?>

すでにスモーキングジャケットの意味は変わっています。20世紀の、上述のスタイルアイコンたちは「優雅な時間を持てるステイタス」や「羨望を掻き立てる特別な地位」「趣味人」の象徴としてスモーキングジャケットを着ていました。いまも、メンズブランドはスモーキングジャケットをコレクションの中に加えていたりします。これはこれで完成された世界を持つアイテムなので、これからも「意味」を変えながら継承されていくでしょう。

そもそも、非英語圏でスモーキングジャケットとタキシードが混同されてしまったがゆえに、「タキシード」が「スモーキング」と呼ばれて生き続ける、という妙な現象が起きています。

東洋経済4月1日号掲載の「テイクアンドギヴ・ニーズ」代表の野尻佳孝氏との対談「世界で激変する『ラグジュアリー』と日本のホテル」 オンライン版に転載されました。

博報堂が発行する「広告」Vol. 417に寄稿しました。特集は「文化」です。拙稿のテーマは「ラグジュアリーブランドの文化戦略のいま」。1万字ほど書きました。

この赤いコロンとした本そのものは1100頁もあります。編集長の小野直紀さん、リスペクトです。
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美容室ZELE ネットワークの「スーパースタイリスト講座」にて現場で活躍中の美容師さん対象に講義をしました。ブランディング、ファッション&ヘアメイクの歴史、新ラグジュアリーをテーマにトータル240分。お世話になりましたみなさま、ありがとうございました。

本日発売の「週刊東洋経済」4月1日号で、テイクアンドギブ・ニーズ代表の野尻佳孝さんと対談した記事が掲載されました。テーマは「世界で激変する『ラグジュアリー』と日本のホテルの可能性」。対談場所は、神楽坂の「トランクハウス」です。

ホテルオークラでのジュエリー関連イベント、Madame FIGARO.jpで紹介されました。

5月24日、ヴィクトリア女王の誕生日です。お待ちしております!

BUNKAMURAで公開中のドキュメンタリー映画「アンドレ・レオン・タリ― 美学の追求者」。彼の功績について、約4000字、3ページにわたり書いています。鑑賞の予習・復習のおともにぜひどうぞ。

アンドレは現代ファッションシーンを語るときに欠かせない、モード界のレジェンドです。

3月6日 「2020年代の『ファッショントレンド』を見直す」という解説をしました。

 

3月14日 アカデミー賞にちなんだ特集「あなたの仕事に影響を与えた映像作品は?」のなかでコメントしました。

取材を受けた過去記事は、本サイト内「Various Works」⇒「Interview」に収蔵してあります。Various Works の第一部に「Copywriting」があり、そのまま下方へ移っていただくと、第二部「Interview」の一覧が出てきます。

日本経済新聞連載「モードは語る」。首里染織館suikaraに取材した記事を書きました。紙版、ウェブ版ともに掲載されています。

 

過去の新聞連載記事は、本サイトWorksカテゴリー内Newspapers に収蔵しています。連載が終了した記事はタイトルの頭文字(アルファベット)ごとにアーカイブ化してあります。

GQ 4月号クラフツマンシップの特集。「新しいラグジュアリーが次の時代を創る 『その職人は、これを作ったとき幸福であったか」というタイトルで新・ラグジュアリーと職人の関係について書きました。

 

過去のエッセイは、本サイトWorks カテゴリーの「Essays」に収蔵しています。

北日本新聞の「まんまる」は休刊となり、11年3か月の間連載していた「ファッション歳時記」も終了しましたが、あらたに同新聞社から「ゼロニイ」がリニューアル刊行されました。それにともない、新連載「ラグジュアリーの羅針盤」が始まっております。こちらは第4回目です。

 

過去の雑誌連載は、本サイトWorksカテゴリー内「Magazines」に収蔵しています。終了した連載は、連載タイトルの頭文字(アルファベット)順にアーカイブ化してあります。

JBpress autographにてBUNKAMURAで開催中の「マリー・ローランサン展とモード」のレビューを書きました。

波乱万丈の人生を送った女流画家、マリー・ローランサンとシャネルの関係」。

 

JBpress autograph では「モードと社会」連載中です。連載過去記事はこちらにまとめられております。

 

JBpress autograph にて、「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」のレビューを書きました。

 

本サイトのWorks カテゴリー内「Websites」において、ウェブサイトで読める記事をまとめてあります。

JBpress autograph での私の記事は、こちらにまとめてあります。

「経済界」3月号 特集「エシカルを選ぶ理由」で取材を受け、記事化していただきました。

ウェブ版はこちらです。「真のサステナビリティとは各々が自分の価値観に従うこと

 

本サイト「Media Appearance」に過去のメディア登場記事を収蔵しています。

 

おそろしく時間があいてしまい恐縮でした。実はウェブサイトの容量が上限に達してしまい、これ以上は何もアップできないという限界まで来てしまったので、過去のデータを断腸の思いで片っ端から消去するという作業に追われていました。Journalは半分くらいごっそり削除しまして何とか少し空きができましたが、今後、本サイトは主に過去作品のデータベースとして優先的に用いることにします。最新ニュースに関してはTwitter やInstagramをご参照いただければ幸いです。

 

活字になったり話したりした仕事に関しては、Worksの各欄に掲載していきますのでご覧いただけましたら幸いです。2023年もすでに国内出張2回で、一日一日がとんでもなく長く感じられます。

みなさまの2023年がお健やかでお幸せでありますよう、お祈り申し上げます。

 

 

 

 

ヴィヴィアン・ウェストウッドの訃報を受けて、朝日新聞に追悼文を寄稿しました。「破壊の先の創造 バンクの女王ヴィヴィアン・ウェストウッドさんを悼む」。ウェブ版、紙版ともに掲載されています。

過去の執筆記事は、本サイトWorks カテゴリーの「Essays」に収蔵しています。

ウェブ版の記事は、同じくWorks カテゴリーの「Websites」からご覧いただけます。

フジテレビ「イット!」において、チャールズ国王のサステナブルファッション、英王室のメンズスタイルの継承について話しました。

ロケ場所として「ル・パラン」にご協力を賜りました。ありがとうございました。

本番組は、FNNの公式サイトに記事化されています。

 

過去のメディア出演に関しては、本サイトWorks カテゴリーのなかの「Media Appearance」にまとめてあります。

 

 

パーソルキャリア エグゼクティブコミュニティで講演しました。テーマは「新しいラグジュアリーが生み出す文化と経済」です。コーディネートしていただきました中薗真理子さんはじめオーディエンスのみなさま、ありがとうございました。

BUNKAMURA ザ・ミュージアムで開催されている「マリー・クワント展」で、展示と図録本の翻訳監修をいたしました。公式サイトでインタビューが掲載されました。

 

このインタビューを含むウェブサイト掲載の過去記事は、本サイトWorks カテゴリーの「Websites」にまとめてあります。

 

 

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されている「マリー・クワント展」を案内する「ニコニコ美術館」に出演しました。モデルの小谷美由さんと一緒に美術館を回り、解説していきました。

 

終了直後の視聴者アンケートでは、「とても良かった」が95.0%、「良かった」が3.8%で、これはかなり好意的な数字とのことでした。ありがとうございました。

 

過去のメディア出演に関しては、本サイトWorksカテゴリーの「Media Appearance」にまとめてあります。

東京大学生産技術研究所「文化×工学 研究会」で講演しました。テーマは「新しいラグジュアリーが生み出す文化と経済」です。コーディネイトいださいました戸矢さまはじめ、オーディエンスのみなさま、ありがとうございました。

Bunkamuraル・シネマで行われた貸し切り試写会「マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説」。レイチェル・チャンさんとトークショーに出演しました。主催は東急ロイヤルクラブです。

 

過去の講演・トークショー登壇に関しては本サイトWorks カテゴリーの「Lecture / Seminar」にまとめてあります。

君塚直隆先生との共著「英国王室とエリザベス女王の100年」(宝島社)が出版されました。中野はエリザベス女王のファッションとジュエリーの章を担当しました。写真豊富なヴィジュアルムックです。

 

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「月刊事業構想」1月号 特集。「日本発ラグジュアリービジネス」。取材を受けた記事が掲載されています。

過去のインタビュー記事は、本サイトWorks カテゴリー「Various Works」第二部「Interview」に収蔵しています。第一部「Copywriting」の項目を下っていくと、「Interview」にたどりつきます。

BUNKAMURAで開催される「マリー・クワント」展。展覧会の展示パネルなどの翻訳、およびグラフィック社から発売の図録の翻訳の監修をしました。図録はマニアックで専門的な研究書です。一年がかりの大変な仕事でした。報酬的には信じがたいほど報われない仕事でしたが、マリー・クワントへのご恩返しができたかなとほっとひと段落の充実と達成感を感じた有意義な仕事でした。

図録はアマゾンでは販売していません。限定で増刷もしません。

Nikkei The STYLEに「The Godfather スーツの歴史絵巻」を寄稿しました。

ウェブ版にも掲載されています。

 

 

過去のエッセイは本サイトWorks カテゴリーの「Essays」に収蔵しています。

ウェブ記事は、同カテゴリー「Websites」にまとめてあります。

産経新聞から取材を受け、チャールズ国王のサステナビリティとファッションについて話しました。本日の朝刊およびウェブ版に掲載されています。

 

取材を受けた過去記事は、本サイトWorksカテゴリーの「Various Works」欄第二部の「Interview」に収蔵されています。「Copywriting」の項目を下っていくと、第二部の「Interview」にたどりつきます。

 

「スペンサー ダイアナの決意」公開中です。

コメントを寄稿しました。シャネルが衣裳協力をしています。カントリーでのロイヤルファミリーの衣裳に学びどころが多い映画でもあります。

 

過去の映画コメントをはじめとした企業・人・作品への応援コメントなどは、本サイトWorksカテゴリーの「Various Works」第一部「Copywriting」に収蔵しています。

2011年8月から連載していた北日本新聞別冊「まんまる」が今月で休刊になりますため、連載も終了します。「ファッション歳時記」ラスト第134回は、特別編として、富山の散居村に10月オープンした「楽土庵」を取材しました。

11年3カ月にわたる長期連載でした。北日本新聞スタッフ、読者のみなさまに心より感謝します。

 

「まんまる」は休刊し、11月からは新雑誌として大幅リニューアルします。

そちらで新しいラグジュアリーをテーマに連載が始まります(ので実質はまだ連載が続く……)。

 

雑誌連載過去アーカイブは、本サイトWorks欄のMagazinesにあります。Archives Fに「ファッション歳時記」の過去記事を収蔵しています。

Hotel the Mitsui Kyoto. 開業早々にForbes 5 Stars 獲得という驚異的なホテルです。京都の二条城近く、町中にあるのに完璧に外と隔てられた非日常感が演出されています。そもそもの設計がとてつもなく素晴らしかった。
部屋の動線からアメニティにいたるまで、徹底的に考えぬかれており、高レベルなブランディングに背筋がのびる思いがしました。

写真は不可ですが、広い洞窟のようなスパが快適でした。サウナもジャグジーも備え、神秘的な空間で異次元トリップできます。

なによりスタッフのホスピタリティがあたたかくて人間的、というか、マニュアル対応みたいなことをしない。

学びどころ満載の、充実した滞在をさせていただきました。総支配人の楠井学さんはじめスタッフのみなさまに感謝します。

 

 

テレビ朝日の「スーパーJチャンネル」に取材を受けた内容が、23日の夕方に放送されたようです(私はテレビを所有しないのでオンタイムで見られません)。

とはいえ7分ほどのラストの1コメント(いつもの話)のみが紹介されています。こちらに概要。

ローナ―のハンドバッグが話題の中心だったようです。『女王陛下のハンドバッグ』など本も出ているので有名な話なのですが、多くの日本人には初めて触れる話かもしれませんね。服にブローチに帽子にバッグ‥‥‥。ニュースを製作される方のご苦労がしのばれます。NHKではブランド名を出してはいけなかったのですが、民放はむしろフィーチャーするのですね。ローナ―にとっては大きなPR効果がもたらされるのでは。

 

今回の一連のメディア取材では、画面には便宜上、「イギリスの王室ファッションを研究する……」と紹介されておりますが、これだけやっている王室ファッション専門家というわけではありません。イギリス文化⇒スーツ⇒ダンディズム⇒ファッション史⇒モード事情⇒ロイヤルスタイル⇒ラグジュアリースタディーズ、と研究領域を広げてきた流れの中に「イギリス王室ファッション」が位置しています。一つのことだけに特化した専門家のほうがかっこいいし権威もありそうなのは重々承知していますけれど、そういう在り方はあまり性に合わなかったようです。

 

 

ダイアナ妃のドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』が30日に公開されます。

コメントを寄稿しました。

 

これはひいき目抜きによくできたドキュメンタリーです。「注目される」ことで、人はよくもわるくも「化けて」いく。多くのことを考えさせられます。おすすめ。

9月19日の国葬の日にNHK「ニュースウォッチ9」で放送された内容が文字化されました。「イギリス エリザベス女王 ファッションに込めた思いとは」。

時間の都合で番組内で話しきれなかった内容も盛り込まれています。

 

過去のメディア出演に関しては、本サイト「Media Appearance」に収蔵しています。

Forbes Japan 連載「ポストラグジュアリー360°」更新しました。「英王室と美術館から考える、『旧型』の意義と存続条件」

新型ラグジュアリーの研究を進める中で、歴史の見え方も変わってきました。

19世紀ダンディズムは、王室に代表される権威(旧型)に抵抗する、当時の「新型ラグジュアリー」であったことに気づいたのです。

旧来のシステムのなかではどうあがいても影響力をもてなかった元祖ダンディ,ブランメルは、<自ら評価を上げるべくコンテクストを創造する>(安西さんの表現)ことをやってのけたのでした。

21世紀のラグジュアリーにとっても、評価を上げるためのコンテクストを創ることがカギになりそうです。

「新型」「旧型」の対比における「新しさ」とか「旧さ」は、中身そのものではなく、文脈も含めた総合的なあり方なのだ、ということを後半の安西さんのテキストが示唆してくれます。

 

過去のウェブ連載は、本サイトWorksカテゴリーの「Websites」に収蔵しています。

Forbes Japanにおける連載「ポストラグジュアリー360°の風景」はこちらにまとめてあります。

Men’s EX 秋号発売です。

特集記事のなかでブリティッシュ・ラグジュアリーについて解説しました。雑誌の性格上、マテリアリズムの世界全開ですが。

よろしかったら本誌でご覧ください。

本誌写真はイギリス大使館にて撮影していただいたものです。もう一枚の候補?だった没バージョンがこちらです。

19日におこなわれたエリザベス女王の国葬に合わせて、NHKのニュースウォッチ9にお招きいただき、ファッション解説をしてきました。

とはいえ生放送の緊迫感並大抵でなく、当初の予定の半分も話せずじまいでした。

NHKが夜のニュースでファッション解説をやる、しかも国葬に合わせてくる、ということが時代の進歩に感じられます。

国葬と台風という話題にはさまれて楽しげにファッションのテーマを話すわけにもいかず、なかなかの試練でした。服装も葬式に出席するわけではないので黒喪服は不要、でも華美はNGで地味めにという制約あり、結果、ダブルのスーツの上を使ってブレザースタイルに。イギリス人もあまり言わないチャールズ新国王のファッションの可能性を話せたことだけはよかったかも?

それにしてもテレビの反響凄くて多くの方から写真やメッセージをお送りいただきました。1-3枚目はその中から使わせていただきました。ありがとうございました。

語り切れなかったネタは、番組のウェブ版で文字化されるときに補足させていただきますね。

ご一緒させていただいた税所さんにスタジオで撮っていただきました。

15日付読売新聞夕刊、モード欄にて、女王の装いについてインタビューを受けた記事が掲載されました。

 

年を重ねれば重ねるほどチャーミングになり、ますます敬愛されるようになっていくという女王のあり方はまさにお手本ですね。「老害」にならない年の重ね方は、女王に学びたい。女王スタイルは、生涯かけて作られたもの。そこには当然、受け取る側の人生に届くメッセージがあります。

 

 

インタビューを受けた記事は、本サイトWorks カテゴリー内「Various Works」の第二部、「Interview」に収蔵しています。第一部「Copywriting」の項目を下の方に行っていただくと、第二部「Interview」にたどりつきます。

富山の散居村地域に10月5日にオープンする「楽土庵」。一足早く取材に行きました。

歴史の継承と地域の幸福、自然との現代的な共存を視野に入れた「新ラグジュアリー」の世界を体現するアートホテルです。

家具一つ一つに、意味とストーリーがあります。お部屋は全3室。すべて異なるテーマで創られています。

詳しくは来月の北日本新聞「まんまる」にて。3ページにわたり紹介されます。

プロデューサーは林口砂里さん。下の写真左です。砂里さんがなにものなのか? なぜこのようなホテルを? というインタビューもあわせて誌面で紹介されます。お楽しみに!

14日、山縣良和さんの「ここのがっこう」で新・ラグジュアリーの講義をしてきました。ファッション関係の方々にこの話をするのは初めてかも? 政治・経済界からのご依頼が多かったです。

さすが山縣さんのがっこうだけあり、質問がレベル高いし熱心度が違うしで、がっちり手ごたえがあり、楽しかったです。唯一の正解がない分野で議論を重ねるって大事ですね。(それこそ贅沢なことなのかも)

トップ写真は、「ここのがっこう」がある浅草橋の風景です。上の写真、左が山縣さんです。writtenafterwardsのデザイナーでもいらっしゃいます。

 

過去の講演、トークイベントに関しては、本サイトWorks 内「Lecture / Seminar」にまとめてあります。

ニセコのラグジュアリーを考える記事、JBpress autograph にて公開されました。

前編 「ニセコHANAZONOリゾートだから実現できる、壮大な光のアートを体感

後編  「根源的で先進的な民主主義。ニセコに独創的なラグジュアリーが生まれる理由

紅葉のニセコ、もう一度行きたいな!

 

内閣府の地方創生推進事務局でお話してきました。永田町合同庁舎なんてこんな機会がないとなかなか足を踏み入れられず、楽しかったです。

話題は地方創生と新ラグジュアリー。スタッフの方々が『新・ラグジュアリー』を読み込んでくださっていて感激でした。雪国観光圏、有松、ニセコの記事も目に留まっていたようです。さすが、永田町の方々は感度が高いと感心いたしました。ローカリティの幸福に根ざす新しいラグジュアリーは、地域創生とダイレクトに結びついているのです。

 

 

11日、日本テレビ「バンキシャ」のリモート取材を受けました。

「英エリザベス女王が死去‥‥‥ファッションに込めた思いと隠れたメッセージ」。インターネットでもご覧いただけるようになっています。こちらからご覧ください。

私の家にはテレビがないので、私もオンタイムでは見られなかったのですが、反響が多くて驚きました。新聞や雑誌にこれだけ書いても誰も読んでないみたいなのに(笑)

「新しいラグジュアリーが生み出す文化と経済」をテーマに講演しました。

講演概要は、「ぱとろな東京 Vol. 113」に掲載されました。

日本経済新聞「モードは語る」。先週、有松に取材したことのなかから書きました。。900字くらいではなかなかすべてを書ききれないのがもどかしいところではありますが。電子版でもお読みいただけます。

サディ・フロスト監督のドキュメンタリー英語「マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説」パンフレットに寄稿しました。

イギリス文化、60年代、ファッション、ヘアメイク、社会改革、アパレル産業、スタートアップ、夫婦で起業、アートスクール、といったキーワードにピンとくる方々は必見の、中身の濃いドキュメンタリーです。

11月26日、bunkamura ル・シネマでロードショー。

 

「ココ・シャネルは私を嫌った。理由もよくわかる」、とマリーは言います。シャネルは膝は醜いもの、と考えて決して膝を出すようなデザインはしませんでしたからね。そうした思い込みに反旗を翻したのがマリーでした。

SUZUSAN のファクトリーも見学させていただきました。

細部まで一点一点、人の手による作業によって製作がおこなわれています。染め上げ、服を作る作業だけでなく、ラベル張りや梱包、発送まですべてここで。歴史の情緒をたたえた有松の町並みに、この絞り染め。

工場の外見も味わい深い。

トップ写真は、左から西谷浩登さん、坂田真実さん、そしてCFOの村瀬史博さん。代表弘行さんの弟さんでもあります。
外気温34度はあろうかという日に歩き回り、エルメスのシフォンスカーフは完全にタオルと化し、ヨレヨレになっておりますが、学びの多い有松でした。

こんなふうに三角形の板を使って染めていく。この工場では体験会なども開催されているそうです。

suzusanのある有松を散策。

歴史的な建物が保存されながら、それぞれ中では今日的なビジネスがおこなわれています。町全体がこのような感じなので、タイムスリップしたような不思議な錯覚におそわれます。とはいえ、村瀬さんたちにとっては「子供のころからふつうにこういう環境のなかにいたので、あたりまえの光景」なんですよね。その「あたりまえ」は、村瀬さんがいったん海外に出てみることで、新しい価値を帯びることになった。自分がもっているものの価値は、いちど「外」の目にさらしてみることでよくわかる。内にこもって同じ価値基準内の評価ばかり気にして小さくまとまり停滞するくらいなら、全然違う価値観のなかに飛び込んでみるのもいいですよ! 私はそればっかりやっているので永遠にアウトローなんですけどね(笑)。

イギリス大使館にて23日、スコットランドの新しい魅力を紹介するイベント”Scotland is Now”。主催はScottish Development International.香水、スキンケア、木製バッグ、アクセサリーといった、これまでのスコットランドのイメージにはなかった製品が新鮮でした。

ウイスキーの新しい楽しみ方を教えてくれるガラス製品も。Angel’s Share Glass.
Rocioの木のバッグは意外と軽くて、艶感、品格があります。パーティーバッグとしてよさそう。

Horus Stidioの香水も濃密で個性的。当然、ジェンダーフリーで使える今どきの洗練が感じられる高級ライン。調香師ユアン・マッコールはスコットランドにおける香水業界のパイオニア。Ishga の海藻を活かしたスキンケアはすでにフォーシーズンズのスパで採用されているとのこと。スコットランドの変化が垣間伺われる商品展開でした。しばらく訪れていないスコットランドですが、いつまでもタータン、バグパイプ、スコッチエッグのイメージにとどまっているはずもなく。

新しいスコットランドを体験しにいきたくなりますね!

 

超高級フレグランスブランド、アンリ・ジャックを取材しました。

こちらは100万円を超える香水でございます。

通常のタイプは15mlあたり8万円から20万円。

価格の根拠は何なのか? 魔性の魅力の本質は? などなど、あれこれ迫りながらも試香させていただき、陶酔の時間でした。詳しくは後日、活字化します。しばしお待ちくださいませ。

現在、Ginza Six 地下1階でポップアップ展開中です。香水好きの方はぜひ訪れてみてください。

JBpress autograph フィンランドのラグジュアリー観、後編が公開されました。「日本人が知らないリアルな『北欧スタイル』から考える新しい『ラグジュアリー』。

こちらでいったんフィンランドシリーズは終了です。ニセコに続き、人々の幸福感に政治が極めて重要な働きをしていることを、ひしひしと感じる取材となりました。機会があればぜひ訪れてみたい国です。

 

 

25日発売の週刊文春、森英恵さん追悼記事でコメントさせていただきました。

反骨のエレガンスで時代を切り開いた偉大なデザイナーである、とあらためて思います。

 

 

 

JBpress autograph フィンランドのラグジュアリー観、中編「ジェンダー平等とルッキズムからの脱却。フィンランド人の自然な付き合い方」が公開されました。

 

トップ写真は、©︎Visit Finland / Anneli Hongisto

 

第10回一青会がほぼ2年半ぶりくらいに開催されました。東京大神宮に併設されているマツヤサロンにて。

ファッション業界のリーダー(私を除く)の方々。主に経営サイドの方々です。

お食事もおめでたい席で出されるタイプの正統派のコース料理で、有意義な時間を過ごさせていただきました。

 

サンナマリン首相のダンス動画が話題になっておりますが。

フィンランドのラグジュアリーについて、大使館上席商務官に取材した記事を書きました。

本日より3回に分けて掲載されます。

1日目の今日は、フィンランドの幸福感とデザインの特徴についてです。JBpress autograph でお読みいただければ幸いです。

 

サンナマリン首相のダンス動画流出に関しては、英ガーディアン紙の反応がいちばんクールでした!モラルの是非は問わず、各国首脳のダンス映像とひたすら比較して、だれが一番うまく踊れるかという論点にすりかえてしまった記事。こういう反応、とてもイギリス的で痛快です。

残暑ということばが似合う淀んだ暑さではありましたが、曇り空であったことをむしろ幸いとして最近の運動不足解消のため近場で2時間ウォーキング。

こどもの国の敷地内であれば延々2時間歩いてもまだ足りないくらい。

サウナ級に汗かきます。

ジャングルみたいなところが多いし、動物も多いので、野生の感覚が取り戻せるのもいい。

この方も目をしっかり合わせてきて、何かを語りかけてくるような。

びゅんびゅん飛び交うのでちょっと怖い鳥たち。色がきれいだから見ていられるものの。ヒッチコックの「鳥」を思い出す。

絵になる光景がじゃんじゃんある。なんといっても匂いが強い。各場所で全然違うけれど、草の匂い、樹の匂い、花の匂い、土の匂い、水の匂い、そして動物の匂い。こういう自然の匂いを浴びていると、「無意識の層」が活性化してくる。

今日の最大の発見はこれ。カメの歩みは意外と早い。そうだカメの歩き方でいこう。絶対ゴールにたどりつく。

クワントがひと段落し(これから校正その他まだ細かい仕事があるものの)、新たなテーマというか、懸案の本を再スタート。あきらめなければ必ずゴールにたどりつく。

1月にBunkamura で開催される「マリー・クワント展」(V&A巡回展)に合わせ、ジェニー・リスターが編集したこちらの本の日本語版も、グラフィック社から発売されます。

展覧会の解説も兼ねるビジュアル豊富な224ページの大型本ですが、これはもうカタログを超えたアカデミックかつジャーナリスティックな永久保存版。人間マリー&家族とビジネスパートナーのみならず、イギリスの社会と文化、アパレル産業、繊維産業、ブランドビジネス、デザイン、広告、写真、モデル、ヘアメイク、化粧品&香水、インテリア、といった側面から多角的に詳細なマリークワント研究がなされた骨太な一冊でした。日本が果たした大きな役割も明かされる。たったいま、監修作業第一弾を終えました(これから校正が待っている)。翻訳もすばらしく読みやすい。初めて知る内部事情の連続で、もろもろの事象を見る解像度が上がります。

それにしてもマリーがデザイナーとして長命だったのは、とにかくとんでもなく堅実によく働いたからというシンプルな事実に尽きるのですね。シャネルも働きものだった。もう一つの共通点は、人の縁を大切にして、互いに全然違う個性を活かしあっているところ。選択の基準、考え方、行動、アテチュード(社会との向き合い方)において、ファッションに関心ないという方にも多大なインスピレーションを与える女性という点でもシャネルと通じる。

ちなみにマリーは引退しましたがまだご存命です。92歳。お会いしたい。

カテゴリー分け不能な新感覚ホテル、ダーワ・悠洛 京都にはスパまであります。

バンヤンツリーが誇る、日本初上陸の8エレメンツ・スパ。青いお茶はバタフライピーですね。
帰る前に一時間の全身トリートメントを受けてきました。ゆったりたゆたうような感覚を与えてくれる高いレベルの施術で、疲れた感情のゴミみたいなものがすっきりデトックスされます。

こちらも、ホテルスパにしてはリーズナブルな価格で、嬉しいような申し訳ないような。

上は朝食。この価格帯のホテルにしては、ほんとにレベルが高い。3段になったドレッシングが出てきたときには楽しくて悶絶しました(笑)。ホテルの滞在時間が短かったのですが、たいへん印象深いホテルステイになりました。あたたかくおもてなしくださったスタッフのみなさまに感謝します。

京都クリエイティブアッサンブラージュの仕事の続きです。

京大での収録のあとは山内裕先生のご自宅で、山内先生の手料理でおもてなしいただきました。ワインは山内先生と佐藤先生がフランスやイタリアで買い付けてきた稀少なナチュール(インポーターか⁈)。


築100年の建物を、柱を活かしながら最先端のテクノロジーで機能的にスタイリッシュに仕上げられたインテリアには、驚くばかり。キッチンには最先端のテクノロジーが搭載されており、スマホで指示するだけであとは機械がやってくれる、と。

お弟子さんたちはいつもこうして先生宅でごはん食べてるそうです。楽しそう。幸せなお弟子さんたちですね。

 

京都大学でレクチャーと鼎談の収録でした。

山内裕先生(下の写真左)がリーダーップをとる京都クリエイティブアサンブラージュのプログラムの一貫です。

文化ビジネスを創造する新ラグジュアリーの考え方が着実に広まっています。右はイタリアから来日中の共著者の安西洋之先生です。撮影は佐藤那央先生。


京大構内、はじめて入りましたが、山内先生の研究室がある建物は赤煉瓦造りで中もレトロな美しさ。

時間がゆったり流れている空間でした。

山内先生。京大に何人かいらっしゃる「変人」(京大では完全にほめ言葉ですね)のおひとりだそうですが、お弟子さんたちとともに、気さくであたたかいおもてなしで仕事をすすめてくださいました。

女性服にポケットがない(小さい)問題、盛り上がっているんですね。日本でも世界でも不満を抱えている女性が多いとは。

「女性服のポケット問題」にデザイナーやブランドが反応 (fashionsnap.com)

「なぜ女性服にはポケットがないのか」 海外のムーブメントを追う (fashionsnap.com)

 

Fashionsnap.comがまとめた上の記事に対してNewsPicksでコメントしました。こちらにも転載しておきます。

 

☆☆☆

ジェンダーが問われない時代になって、ようやくポケット問題も解決に向かいそうで喜ばしいかぎりです。

テイラードスーツの世界の話ではありますが、私も10年以上も前から「なぜウィメンズにポケットが少ない?」と怒りを感じ、何人かのテーラー、作り手に聞いたことがあります。結果、「シルエットが崩れることを女性自身がいやがる」という回答を得ました。

で、なぜシルエットが崩れるのか、よくよく調べてみると、そもそも「女性用」とされている生地が、「男性用」とされている生地よりも薄くて柔らかい=シルエットが崩れやすい、のです。

しかも「女性のシルエット」とされているものが、そもそも凸凹やダーツ多め、あるいは「細く見せる」よう体のラインに沿うように作られている(メンズに比べゆとり少な目)ので、ラインが崩れやすいのは当然。

そこで私は、「男性用」とされているしっかりした生地を使って、凸凹を強調しないラインにしたうえで、男性と同じ位置、同じ数でポケットを作ってもらうようにオーダーしました。これはけっこう成功で、内ポケットにはアイフォンが入る深いポケットがあるし、メンズ生地、ゆとりあるメンズラインであればあれこれ入れてもそんなに型崩れはしない。快適です。

だれもがオーダーでスーツを作れるわけではないことは了解しております。既成のスーツにおいても、

・女性向けという(薄い柔らかい)生地を避け、男性用と同等のしっかりとした生地を使う
・凸凹多め、かつタイトなシルエットから脱する
・思い込みから脱し、ポケットがついていることはジェンダー不問でかっこよく機能的であるという認識をもつ

ことで型崩れせず機能的なポケットをつけることが可能になります……というか、メーカーさま、ぜひきちんとつけてください! 社章用(?)のボタン穴も。ジェンダーギャップの解消は、些細に見える細部から(笑)

思えば、シャネルがスーツの上着にポケットをつけたことは「画期的」だったんですよね・・・。シャネルはわざわざポケットに手を入れて立ち、写真を撮らせていました。

☆☆☆

 

実は先週の高知での仕事でも、「女性らしいスーツ」という業界の思い込みを撲滅しようと闘っておりました。「女性らしい華やかさ」とか要らないし、ましてや「女性らしいやさしい印象」なんてもっといらない。仕事着に「女性らしい」をわざわざ持ち込まなくていい。「女性向け生地」(安くて薄くて柔らかい)なんてのもなくていいのではと思う。その人らしさは、仕事をしているうちに勝手ににじみ出てくる、というのが実感です。そもそもなんで女性は華やかでなくてはならんのだ?

トップ写真は2019年のGo Tailored キャンペーンのものから。「女性用スーツ」の既製品に理想に近いものがまったくないので、それぞれテイラーにゼロからオーダーしたり、メンズスーツの古着をリフォームしたり、自分で作ったりして着ています。反響が大きく、需要は多いはずなのに、スーツ業界の人はなぜよい生地と機能的なディテールを備えた女性のスーツを作らない?

世界でもっとも知られた日本のデザイナーの一人でした。フランスからもイギリスからも、名だたる勲章や賞を授与されています。ファッション界の巨匠ですが、テクノロジー、研究開発、実験など、むしろ理系のことばが似合う、独自の衣服デザインを展開していました。

プリーツ・プリーズにしても、流行に左右されない機能性と美を持つ便利なアイテムとして日常に溶け込んでいるという意味で、ファッションというよりもむしろ工業製品に近い印象です。

研究と改良をおこたらなかった一生さんは、どちらかといえば「エンジニア」と呼びたくなります。故スティーブ・ジョブズがイッセイ・ミヤケの黒いセーターを愛し、これをトレードマークとしていました。ふたりには、装飾をそぎ落とし、本質を追求する姿勢を貫くという点で、相通じる志向を感じます。

幼少時の被爆体験を告白したときには、「破壊ではなく創造できるものについて考えることを好んできた」と語っています。平和に対する強い意志を持ち続けた、素晴らしいデザイナーでした。

Mame Kurogouchi 黒河内真衣子さん、CFCL 高橋悠介さんはじめ、頼もしい後進も育てられました。多くの感動、インスピレーションをいただきました。ありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

*写真は文部科学省、平成22年度文化勲章受章者としての三宅一生(かずなる:本名)さん。Wikimedia Commons

 

猛暑の高知で3日間、スーツを着る方を対象にスーツを着てスーツの話を10クールというハードな仕事でした。

おそろしく体力を消耗しましたが、いまここに無心で向き合うとなんとかなった。なんというか、「限界」を一つ越えた感慨があります。

トップ写真は龍馬も泳いだ鏡川。宿泊先のビジネスホテル「ホテル日航 旭ロイヤル」のすぐそばにあり、ホテル最上階のレストランから絶景を眺めることができます。

ホテル全体は昭和感のある古~いホテルなのですが、最上階のレストランは、高知の素材を生かしたサブスタンシャルなお料理を提供してくれました。おしゃれすぎないのが、体力勝負のビジネス一人旅には気楽で嬉しい。

街中にあるので絶景スポットもないですが、光次第で美しいウォーキングコースになります。

右に見える高い建物がホテル日航。星野リゾートさんが買い取られたそうです。リノベして現代に合った感覚のホテルにバージョンアップされるとよいですね。

高知からの帰路はいつもエネルギーを使いつくして観光どころではないのですが、移動中の窓から見える景色に、つかの間の旅気分を味わいます。

日経連載「モードは語る」。ニセコ取材にもとづき、地域ブランドを支える魅力の根源を考えてみました。

「ニセコ」ブランドの根源 活発な議論、政治が担保: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

ファッションと政治は無関係、むしろ関係づけるものではないと思い込まされていた時期が長かったのですが、「メイドインジャパンのラグジュアリー製品を海外に」という議論に関われば関わるほど、土地の住民の幸福度がブランド力を支えていることに気づき、「翻って日本に住む人は??」となるんですよね。で、住民の幸福度を左右する根源にあるのは政治だということに気づいてしまう。ここでいう政治は、決して「政党」云々の政治ではありません。どれだけ民主的な話し合いがおこなわれているかという問題。「言ってもしょうがない」という絶望とは無縁の行政の話。

ニセコは人口5000人の町だからそれができる、ということはもちろんある。しかし、その小さな単位がいくつも集積することで、県レベル、国レベルの幸福度達成がめざせるのではないか?

もちろん簡単なことではない。全員が落としどころを見つけるまで何度も話し合う「民主主義のコスト」という副町長のことばが重かった。困難で、混沌としている。だからこそそれを抜けた先にある希望に価値がある。

KAAT神奈川芸術劇場でミュージカル「夜の女たち」が上演されます。9月3日~19日。

パンフレットに寄稿するために、オリジナルの溝口健二監督の映画「夜の女たち」(1948)を観ました。

衝撃でした。1948年……戦後間もない日本の「同時代のリアル」を描いたものと想像されます。凄まじい世界。衝撃の最大の理由は、弱者をとりまく状況が、現在、何も変わっていないことです。

何もかも奪われて、追い詰められて、絶望して、忍耐の限界にきて、ついに最後のエネルギーをふりしぼって人間全体への反逆に出た弱者による「犯罪」がいまも絶えないのではないか。「責任」をすべて本人になすりつけるのはあまりにも過酷な状況がある。転落せざるをえなかった背景も知らないで高みからキレイゴトを並べて批判する「教育婦人」も登場する。「どんな理由があろうと暴力はいけません」とか言いがちなあの種の人間にだけはなりたくない、と心底思わされた。溝口健二、すごい。

この物語を現代、ミュージカルとして上演するという意味がまさにここにあるのだろう。

パンフレットではさらに戦後ファッションの話とからめて書きます。

 

パークハイアット ニセコHANAZONO はスケールの桁違いの大きさと雄大な自然、人間的なきめ細やかさを両立させた、すばらしいホテルでした。

多様性と口にするのもバカバカしくなる、30か国スタッフのヒューマニティー。

違いを笑いとばしながら共通することで盛り上がる喜びがあり、心身共にあたたかさに満たされました。


温泉(サウナ完備)、フィットネス、スパ(エステ)完備は当然のこと、豊富なレストランがそろい、レジデンスでの長期滞在でも飽きないようになっています。

ツインルームの羊蹄山側。ビューバスから羊蹄山が見えます。アメニティはLe Labo。ボディローションがよい香りで、香水が不要なほど。

Marvisの歯磨きペーストがついているのも嬉しい。歯ブラシも櫛も木製です。

とにかくスケールが大きく広く、どこを撮っても絵になるし、快適に過ごせるよう作られているので細部を紹介するときりがないのですが、なによりもホテルの格を上げているのが、スタッフのホスピタリティでした。

最高の体験の連続で、魂がのびやかに生き返ったような気分です。お世話になりましたみなさま、ありがとうございました。違う季節にまたぜひ訪れたいニセコ、その印象を強めてくれたのがこのホテルです。

パークハイアット ニセコHANAZONOを舞台にイギリス人の光のアーチスト、ブルース・マンロー氏手がける壮大な光のインスタレーション、マウンテンライツ。


トークショーのあと「体験」しました。

ケタ違いのアートだった…。詳細はメディアで記事化しますので、あらためてお知らせしますね。

光の意味が変わった体験。ラグジュアリー研究者にとっては新しい視点をもたらされた衝撃の出会いとなりました。

アート体験のあとは、ハイアットのバーにてパーティー。

ブルース・マンローさん(右)と奥様のセリーナさん。今回の壮大な光のインスタレーションを創り上げたアーチストは、ピュアに光一筋に生きて、人生の可能性を広げています。”Don’t follow money. Follow your heart, then money will follow you” と言われました。


パークハイアットニセコのマーケティング、西山ユナタさん。今回のもりだくさんな取材中、きめ細やかに配慮していただきました。

ホテルのスタッフは30ヵ国から。ニセコの町にあるレストランなどもそうらしいですが、ここではサービススタッフとの会話がごくあたりまえのように英語。ほんと、外国にいるみたい。

 

 

パークハイアット ニセコHANAZONOは、ピエール・エルメとパートナーシップを結んでいます。

定番のピエール・エルメ・パリ アフタヌーンティーを体験しました。


セイボリーから始まる4つのコースにはそれぞれオリジナルモクテルやペアリングされた紅茶、ハーブティーがつき、ハイテンションで盛り上がれます。


ボリュームもかなりありますが、スイーツラバーであれば楽勝の量だと思われます(少食の私は3コース目から満腹してしまい、写真を撮ったあとに部屋にとどけていただきましたが)。

コースごとに変わるお茶、異なるティーポットなど小物も面白くて、飽きない。

新ラグジュアリースタディーズの一環としてツーリズムの現在を探っているうちに、いつのまにかニセコでアフタヌーンティーをしている自分を発見するわけですが、これって、トラベルライターをしていた19歳の頃と同じことをしているんじゃないか、と気づく。成長してないというか、還暦すぎて原点に一周戻ってきたというか。自分としてはこれまでの研究も経験も全部、巨大な網で伏線回収させていく予定でいるのですが、それまで生きていられるんだろうか。スイーツを食べながらビターな気持ちが一瞬、よぎります。機会はすべて神意とみなして受け止め、天に委ねるしかない。

日本ハーモニーリゾートが展開する、HANAZONO ZIP WORLD。7月1日に始まったばかりです。(10月10日まで)

日本最長の2591mのジップラインを体験しました。

山頂まで車で行き(通常はゴンドラなのですが、この時はゴンドラの不都合で車になりました)、通行禁止区域を車で抜けて(かなり緊張します)、トップから3レベルに分かれたジップラインでふもとまで滑り下りてくるのです。

レベル3が「ブラックダイヤモンド スーパーフライ」と称されるコース。ここでは最速時速120キロメートルで1.7㎞を駆け抜けます。

これがどういう感覚であったかについてはメディアで記事化するのでしばしお待ちくださいませ。

スタッフが撮影してくれた私のパホーマンス?映像はインスタグラムのリールでアップしております。

どこを見ても何を撮っても絶景になる、スケールの大きなリゾートです。紅葉の季節にまた機会があることを願いつつ。

ニセコの「道の駅」も花にあふれてかわいい。

「ルピシア」もニセコに本社を移したそうです。

道の駅では、ニセコでとれた野菜や果物が販売されています。長期滞在の方もここで野菜を買い、自炊されたりしているそうです。私もメロンをひとつ買いました(後日「食べごろ」にいただいたら、若返りそうなジューシーなおいしさでした!)


ニセコ町公用車(!)でご案内くださいました、ニセコ町役場の龍さんと百恵さん。龍さんは九州からの移住、百恵さんは名古屋からの移住。ニセコのことを移動中にたくさんお聞かせくださいました。町役場も訪問し、ニセコ副町長の山本契太さんにインタビュー。ニセコの町の民主主義の具体的あり方など、目から鱗のお話。町長の片山さんとお話する予定でしたが、片山さんがコロナ陽性で自宅療養となってしまい、急遽、山本さんにご対応いただきました次第。お話は後日、記事化します。
できたてほやほやの町役場は、木のよい香りがしました。
歓待いただき、ありがとうございました。

婦人画報9月号発売中です。シャネル展にちなんだ特集記事があります。

シャネルのアイコンバッグとバイアラーシューズについてコメントを寄稿しました。

飽きられないモノの秘密を考えることは、「飽きられない人」について考えることにもつながる。たぶん。

北海道初上陸。ニセコ取材です。

新千歳空港からパークハイアット・ニセコHANAZONOのリムジンに乗って延々と続く白樺林を2時間半。途中、林の向こうに見える支笏湖が雄大でした。

一休みしてから、ニセコ町役場の龍さん、百恵さんにご案内いただき、ニセコ髙橋牧場。


余って捨てていた牛乳をアイスクリームやお菓子に加工して販売することで有効利用しようと始まったビジネスが、地元の方々はじめ道内の方々に支えられて大繁盛しているそうです。

北海道もなかなか暑く(でもからっとしている)、撮影中、手に持ったアイスクリームがみるみる溶けるレベル。

トップ写真は羊蹄山です。こちらは牧場の建物のひとつ。

いまは「花の季節」とかで、いたるところに花が。とりわけアジサイがピークでした(ここにはありませんが)。

Forbes JAPAN 連載「ポストラグジュアリー360°」第20回は、観光と新ラグジュアリーの関係をテーマにしました。

「観光とラグジュアリーの未来 雪国の温泉宿ryugonの場合」

ラグジュアリー観光議連」なるものもあるそうですが、一晩一億の世界はたしかに利益を考えるうえでは重要。ただそんな「旧型」とは別に、次世代の価値観にあう新ラグジュアリーの視点でのインバウンドを考えることもこれからは必要なのではと思い、ryugonのプロデューサーである井口智裕さんと、ディレクターのフジノケンさんにインタビューしました。

TOPのうっとりものの写真はフジノさまご提供です。(Forbes掲載のryugon写真もフジノさま。本欄のTOP以外および近辺地域の写真は中野撮影です)

MATCHAの青木優さん、ご紹介ありがとうございました。

後半を書いている安西洋之さんは、観光地の地元民の生活を切り売りして観光ネタとして見せることを「文化の盗用」になぞらえ、注意を促します。たしかに、新ラグジュアリー視点では、地元民のライフスタイルの切り売りを地元民が快く思っていないとすれば、それを消費することは避けたいところ。盲点でした。

9月30日(金)から公開の『プリンセス・ダイアナ』ドキュメンタリー、試写拝見しました。アーカイブ映像のみを使って悲劇のドラマを創り上げていくエド・パーキンズの斬新な手法。普遍的な問いをいくつも投げかける傑作になっています。

配給: STAR CHANNEL MOVIES

今年の秋には、さらに、クリスティン・スチュワート版のダイアナ映画もきます。前半はエリザベス女王でしたが、後半はダイアナ妃ブームですね。

ある自治体の意見交換会に委員として出席しました。

すばらしいビジョンをもつ知事のもと、識者による理想的な目標が立てられていて、それはそれで賛同しました。

ただ、引っかかったことがいくつか。事務局にも伝えたのですが、もしかしたら多くの日本の組織が似たような問題を抱えているのではと感じたので、こちらでも書いておきます。

〇25歳から35歳の女性の流出が最大の問題となっている、というわりには、会議にその年齢の女性がいない。おじさんばかりでその問題を推測・議論してどうなるのだろう。その年齢の女性を委員に加えることから始めるのがシンプルで、当然のことなのではと思います。

〇スピーチするひとたちががそろいも揃ってグレーの背広の似たようなおじさんばかり。スーツも眼鏡も髪型も似たような感じで、話し方も顔つきも似ているとなれば誰が誰なのか区別がつきません。そういう方々が、相変わらず多様性の重要性を語っています。この「多様性を語るグレースーツ」問題は、コロナ前からずっと指摘していましたが、コロナを経てもまだ変わってないのかと愕然とします。多様性がそんなに重要なら、おじさんはいったん引っこんで、女性や若い人を壇上に出す、というシンプルなことがなぜできないのでしょう。多様性は、語らなくていいです。多様であればよいだけのこと。機会さえ与えられれば、女性も若者も立場にふさわしく成長します。

〇「なにもない」というけれど、自分たちのいいところがまったく理解できていないだけ。ずっとその環境にいてあたりまえすぎて意識にすらのぼらないものと思われます。ゆえに広報がぜんぜんできてない。外部の目からよいところを発見してもらい、言語化してもらうということを一度きちんとおこなってみては。

 

偉そうに放言、失礼しました。風通しの良い先進的な自治体への変貌を、応援しています。

 

三菱一号館でおこなわれているシャネル展のレビュー、JBpress autographのウェブサイトにて書きました。

タイトルにしたことば、Guilt is perhaps the most painful companion of death. これもシャネルのことばです。あまり引用されていませんが。

罪悪感をひきずるような生き方はしたくないですが、果たせていない約束とか、「つもり」はなくても人の心を傷つけてしまったことばとか、資金不足のためにかなえてあげられなかった夢とか、心残りなことは山ほどある。

楽しかったことは忘れても、こういうことは、意外と忘れず、ふとした拍子に浮上してくるものです。展覧会のレビューとしては書けなかったのですが、展覧会ではほぼシャネルの生きた時代に沿って作品が展示されており、いきおい、「これを作ったときには〇歳だった」「このときの愛人はルヴェルディだった」みたいなことを結び付けながら見ていました。

シャネルの自由奔放な栄光の壮年期を思えば思うほど、晩年の孤独と哀しみの深さも胸にせまるように感じていました。それに反比例して作品が円熟していく凄み。

シャネルの人生からも感じましたが、元首相の襲撃事件の背景を知り(完全な全容ではないとしても)、ダイアナ妃のドキュメンタリーを見ると、人間の積み重ねた行動には必然的な(そうならざるをえない)帰結といった「道理」のようなものがあることを思い知らされます。

断るまでもないですが、非業の最期を必然と言っているわけではありません。狙撃犯人の背景を知り、ダイアナ妃とメディア、王室の関係を知れば知るほど、導かれる方向がそうならざるをえないようにつながっていくという、シェイクスピアの悲劇に見られるような哀切で不条理な「道理」のことを指しています。

フォションホテル京都×CARON 初のコラボレーションによるアフタヌーンティーのプレス発表会に参加させていただきました。
噂に聞くフォションホテルの、一歩足を踏み入れたときの高揚感はもうとろけそうですね。徹底的にブランディングされた世界はそれはそれで美しいと感じます。(←「新型」「旧型」の中道を行くイギリス国教会の人(笑))
フォションはさすが食に対する圧倒的な自信がうかがえて、アフタヌーンティーはもう、まいりましたというレベルの高さ。

甘い物苦手な私ですが芸の繊細さと味の複雑な奥行きに感動しました。
グランティーマスターの吉川和孝さん。この日の紅茶は「ワンナイトイン京都」。ティールームでは吉川さんがブレンドした紅茶も何種類か提供されています。

南部鉄器のティーポットと、フォション印の砂時計がたまらなくかわいい。
シェフパティシエールの小野寺美江子さん。
こちらはパルフェ・サヴァラン。仕上げにリキュールをかけていただきます。斬新な味わい。

スコーン、ジャム、バターの盛り方もフォション的。すばらしいお仕事ぶりを見せていただきありがとうございました。
この日ものんちゃんとご一緒させていただき、楽しさ3倍増でした。それにしてもフォションのティールームの豪華さときたら。世界観が明確で、「フォションらしさ」で貫かれているのでゴージャスでも全くいやみなく、実に気持ちの良い空間とサービスでした。

二条城前にぽっかりとタイムスリップしたようなお菓子屋さん、その名も「どろぼう」。

レトロ演出ではなく、本気のどレトロ。
奥にはカフェ(と呼んでいいのか)があり、予約制で名物かき氷が食べられる。崩れそうな家屋ですが、えもいえない妖しい情緒があります。

店主は数々の受賞歴あり。

となりは隠れ家的ラグジュアリーホテル、ギャリア二条城京都。このあたりは時代劇撮影が最初におこなわれた地域だそうです。猛暑でも歩いてみると発見できるものがある。古く時代遅れであることを別に負い目に思わない。逆にそれを貫いていることで(開き直るのではなく、自分はこうだ、と)お客様を呼び寄せている。ほんとに強いブランディングとはこういうこと。

ギャリア二条城京都はウェルビーイング、ローカル重視を掲げていて、お料理にも考え方が反映されています。


レストランの名前は、「真蔵(singular)」。トップ写真は、ウェルビーイング・ブレックファーストです。日本各地の土地の恵みが身体にしみわたる感じ。

ディナーですが、素材を活かしたイノベーティブ懐石といった雰囲気のお料理です。目にも楽しい演出が凝らされていました。これはその後に出てくる牛肉を蒸し焼きにしている様子。

着物のハギレに、ナプキンが包まれていました。

一枚、一枚、異なる柄というのがよいですね。

照明も独特で、昼間とはまた違う幻想的な空間になります。

 

こちらは3日目朝の和食。一切の手抜きなしに、素材にこだわり、丁寧に供されていたことに感動を覚えます。

ギャリア二条城京都では、偶然ですが、のんちゃんことフリーアナウンサーの堤信子さんともご一緒になりました。

せっかくの機会でしたので、ノンちゃんとご一緒に、支配人代理の鈴木通晃さんにホテルをご案内いただきました。

武家屋敷の禅の美意識が貫かれ、自然と人の融合、地域らしさを活かすサステナビリティを考慮して創られています。

伝統の保持に関しては、たとえば、黒い琉球畳もそうですが、名栗加工の壁の装飾、さりげない部分での漆使いなどいたるところで見られます。

アートなオブジェは館内に90点。

最上階のスイートルームからは二条城の門が見えます。天皇陛下しか通ることができない門で、大正天皇が最後に通られて以来、閉じられたままだそうです。

二条城の見えるテラスも広々としており、ここで食事をしたりシャンパンを飲んだりできる、と。

ベッドルーム、リビングは一面、ガラス張り。

ミュージアムガラスという透明度の高いガラスが使われており、屋外にいるような解放感があります。

ビューバスも気持ちよさそうですね。

丁寧に解説いただきまして、見ただけではわからなかった細部についての新しい見方を学びました。ありがとうございました。

 

今回、宿泊したのは、二条城のそば、バンヤンツリーグループの「ギャリア二条城京都」。

ロビーには玄武岩が鏡面仕上げされたテーブルが置かれ、外の景色が映り込んでなんとも幻想的な光景になります。

二条城がある環境を生かし、「禅」がコンセプトの装飾がすっきりと置かれています。中央にあるのは、お茶道具。

25室だけの隠れ家のようなホテルで、宿泊に特化しているゆえに、隅々まで徹底したコンセプトで作りぬいてあります。

4階建てで、4階からは二条城が見えますが、1,2階は完全に森の中にいるような感覚を味わわせてもらえます。

武家屋敷がイメージされており、少し高くなった部分は、琉球畳です。靴を脱いでくつろぎます。漆の朱色がアクセントになっています。

 

バスルームも質感が高く、たっぷりと広く深い。

アメニティ、ドライヤー、お茶まわり、すべてにおいて心遣いがあたたかく感じられる、静かで澄んだ緊張感のあるホテルです。

 

マヤホテル一階は、フィンランドのコンセプトカフェ、アールト。

店員さんのひとりもフィンランド人。
ジェンダー平等や人権意識の進んだ国らしく、トイレの性別表示も新しい。(写真4枚目)
飾らないけど質がよい、というすがすがしい美意識が一貫しています。

コンセプトが一貫しているので、ぱっと見て「フィンランドスタイル」とわかる。

短時間の滞在でしたが、多くのインスピレーションを与えていただきました。

フィンランド式ミニマル・イン・京都、を表現したマヤホテル。

フィンランド大使館商務官ラウラ・コピロウさんのおすすめで取材に来てみました。なんとカプセルホテルです。

小屋に見立てた三角屋根が特徴的なデザインのHUT( ハット )と呼ばれる大小2サイズのカプセル全60室。クリエイティブディレクションをハッリ・コスキネンが行なっています。

各部屋にはオリジナルデザインのコンセントプレート、タイマー式調光、ハンガーフック、ハンガーが取り付けられているほか、Marimekkoが制作したテキスタイルが、ロールカーテンやジャガード織りされたベッドリネンなどに使用されています。

共用ラウンジの食器はイッタラはじめ、すべてフィンランド製。(抹茶の道具だけは日本製)

ここからしばしばフィンランド文化の発信も行われているそうです。

ゴミ箱まで同じデザインで統一感があります。シンプル、ミニマル、近未来。フィンランドの異次元ライフスタイルの衝撃でした。

電撃取材にも快く応じてくださいましたマネージャーさんに感謝します。

同行のZ世代は、この世界観を「リミナル」と表現しました。

京都市内では祇園祭の準備が着々と進行中。外気温35度です。

歩くだけでサウナ。

毎回、一から創り上げていくことで伝統が継承される仕組みなのですね。

錦周辺のちょっと面白いと思った光景から。

わらびもちの山。

提灯屋さん。提灯専門店の底力を感じるディスプレイでした。

内科診療所。タイムスリップしたかのような診療所。

お薬屋さん?!

カエルに癒される。

猫まっしぐら。猫関連グッズ専門店。20年ほど前にもこの通りに来た記憶がありますが、かなり変貌していました。外国人バックパッカーが魚屋の店先でビールとイカ串焼きを食べていたりする濃い京都。

本日の日経連載は、フィンランドから上陸するスキンケアブランド「ヘヌア」について書いています。創始者にインタビューしました。フィンランドの女性首相や党首たちがなぜあれほどカジュアルでリラックスした装いで公務を務められるのかについても。

紙版とともに、電子版ではこちらからお読みいただけます。

高知に日帰り出張。重要なミッションを担うことになりました。前例のない仕事で、大きなチャレンジをさせていただけることに感謝しています。

これから少なくとも9カ月間、行き来することになります。

帰途の飛行機から見た空と地上。「天使の階段」が雲の間から地上に降り、幻想的でした。

ちょうど安倍元首相の訃報が公式発表された時間でした。人の命のはかなさと重さをかみしめます。ついさっきまで元気に演説していた人がかくもあっけなく命を失ってしまう…。それでも地球は淡々と回り、空は刻一刻と姿を変える。宇宙視点から見たら、地上の争いなど取るに足らないことなのだ。地位も資産も来世にはもっていけない。意味のない争いにエネルギーを使うことはやめて、全生物が平和に豊かに共存するために知恵と限られた身体エネルギーを使いたいし、そうすべきときなんじゃないか?

安倍晋三元首相が銃撃を受けて67歳の若さで亡くなられました。

遺されたご家族の悲しみはいかほどでしょうか。まだお母様もご存命のはずでは…。心より哀悼の意を捧げます。

出張先の昼、クライアントさんと食事をしているときに第一報が飛び込んできました。そこにいた全員がショックを受け、動揺していました。まさか手作りの銃で要人を白昼に撃つなんてことがこの日本でありうるとは。その後の展開はなまなましい悪夢のようでした。

まだ犯人の動機の詳細が報じられていない段階ではありますが、政治信条に反対するテロというよりもむしろ、格差の底辺側にいて絶望し、自棄になった(怖いものがなくなった)人の犯行のようにも見えます。京アニ放火や京王線刺傷事件の方をむしろ連想させます……。落ちこぼれる人を出さない包摂性のある社会の実現、格差の解消が、解決すべき最優先課題なのじゃないか。「私たち」として考えることが結果として自身の安全につながる。いま、政治家に急務として求めたいことの一つは、その点です。それを考慮して、まずは選挙に行きます。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

イッタラ表参道店にてフィンランドのラグジュアリーについて取材しました。


フィンランド大使館のラウラ・コピロウさんの話が面白すぎて延々と聴き続けたいレベル。「ヘヌア」の取材で会ったラウラさんがあまりにもユニークなので、もっとじっくりお話聞きたくなり取材を申し込んだのでした。
モノそのものがよいのは大前提。背景の思想や文化のストーリーをセットにすることで高く売れるのは、日本製品にも言えることですね。

詳しくは後日記事にします。

マリ・クレール編集長コラムで、経産省ファッション未来委員会のことをとりあげていただき、「新ラグジュアリー」もご紹介いただきました。ありがとうございます。

 

〇関西学院大学ジェネラティビティ・ラボ『50代からの生き方のカタチ』応援メッセージを寄稿しました。井垣伸子先生にお声掛けいただきました。ありがとうございます。10歳くらいしか違わない方を上から目線で応援するなんて1世紀早い、という感じです。それぞれに成長も環境も違うことを思うと、上下関係なく誰もが「対等」ですよね(むしろ私の方が精神年齢は幼いように思うこともある)。身体的な「成熟」が先を行っているだけという。

本日のタイトルにした格言はまさに実感で、あまり世間の基準での「成功」「失敗」にはとらわれすぎないのがいい、という話。「成功」なるものにいい気になっているとそれが転落の始まりになったり、「どん底だ」と思っていたことが後から振り返ると幸運の兆しになったりするのはよくある話。幸運も、そうでないことも、長期的にみたプロセスの一部として、その瞬間での意味や感情をしみじみ味わったらさっさと「次」へ一歩を進める。これが安定したサバイバルの方法に見えます。

 

 

PresidentとKDDIとNHK エンタープライズが共同で提供する教養講座に講師として呼んでいただきました。新しいラグジュアリーについて話しました。秋に公開されるらしいです。お世話になりましたみなさま、ありがとうございました。

カメラが三方からぐるぐる回っているなかで画面相手に話すのはなかなか緊張しました。あとから「あれも話すべきだった」とか「こう言うべきだった」みたいなことがでてきて、自己嫌悪の嵐です……。あとは編集のお力頼みです。

それにしても、新ラグジュアリーの考え方が、確実にビジネスパーソンの必須教養になっていく大きな流れを実感します。

ネイビーのドレスはアクリスです。

三菱一号館美術館で開催中のシャネル展。月曜日に鑑賞して時間が経ちましたが、まだ余韻が残っております。
1920年代の初期のものから、晩年の作品まで、スーツ、ドレス、香水、バッグ、靴、ジュエリーにいたるまで、よくぞ集めたという圧巻の本物が展示されています。


シャネル本の翻訳、監訳ばかりか膨大な数の関連エッセイを書き、名言カレンダーまで作っているので、シャネルの作品の写真ならいやというほど見ていたつもりでしたが、実物の迫力からは全く違う印象を受けました。

とりわけ彼女が70歳で復活したあとの作品ときたら……

人生のストーリーを重ねて見ると、ひときわ感慨深い。1920年代のラグジュアリーの概念をひっくり返してソーシャルイノベーションを起こしたシャネルは、当時における「新しいラグジュアリー」の旗手だったんだとあらためてわかる。

日比谷周辺はシャネルのパネルや旗で盛り上げられております。

ガブリエル・シャネル展は、Gabrielle Chanel Manifeste de Mode は三菱一号館美術館にて9月25日まで。
秋にはマリー・クワント展がBunkamura で開催されます。準備も着々と進行中です。ファッションの展覧会が普通に頻繁に行われるようになったこと、感慨深いです。

 

 

Forbes JAPAN 連載「ポストラグジュアリー360°」更新です。

今回は安西さんスタート。イタリアのドラーリという自転車(の歴史の継承)をめぐる新しいラグジュアリーの萌芽について。

これを受ける私は、あまりの完璧な世界にコメントのしようもなく(!)、マイケルブラスト、龍言、トップガンの三題伽でむりやり着地いたしました……。お時間許す時にでもご覧くださいませ。

 

龍言については、感激の余韻の勢いで、プロデューサーの井口智裕さんらにインタビューをしました。詳細は来月のこの連載で書きます。