日本経済新聞日曜版 The Style 。本日は、ロンドンコレクションメンズの総括記事を書いております。「ロンドンからの挑発」。

ぜひ、ご覧くださいませ。


Michiko Londonのテーマは、日本の野球少年。


Vivienne Westwood は、現代社会を挑発。


Hacket Londonは船上パーティー形式で新作を発表。

ミハラヤスヒロはオクスフォードストリートの地下駐車場で「ブランク・ミラー」をテーマにショウをおこないました。

そしてEdward Crutchleyは一点ものの生地で軽やかにボーダー越え。


ほかにも多くのブランドのショウやインスタレーションを見ましたが、紙幅がかぎられているため、写真も本文もすべてを網羅することができなかったのが心残りです。しかし、現地の熱気のなかに身を投じて取材してみたことだから見えてきたことがありました。機会を与えてくださったみなさま、ご協力いただいたみなさまにあらためて感謝しております。

「家庭画報」10月号発売です。

パリ&ミラノ ファッション特集の巻頭にエッセイを寄稿しました。

美容院や歯医者さん(←かなりの高確率で家庭画報がおいてある)などでお手にとられることがありましたら、ご笑覧くださいませ。

 

 

私自身のリアリティはといえば、人に誇れるスタイルだのエレガンスだのはかけらも持ち合わせておらず、エラソーなことを言えた立場でもないのですが、掲載する文章の舞台が「家庭画報」ですので、場の空気に合った「演技」で書いております。媒体・内容に応じて文章のトーンや話法は書き分けています。お断りするまでもないのですが、時々、文章のテーマやトーンと舞台裏をいっしょくたにされて当惑することもあるので……。

もっとも困惑するのは、ダンディズムの歴史を解説しているだけのに、なにか私自身まで葉巻を手に持って(←このイメージじたい、歴史の途中で派生した誤解から生まれているというのに)「ダンディズム」を体現しているような人であるはず(なければならない)と見られたりすることでしょうか。体現している人はそもそも自分のことを語りません。ましてや「ダンディズムとは」などとは恥ずかしすぎて言わないでしょう。だから私が動物園のガイドのように解説しているのです。

明治大学主催クールジャパン サマープログラムの一環として、世界各国からの短期留学生を対象に「Japonism & Fashion」をテーマに70分間のレクチャーをさせていただきました。駿河台キャンパスのグローバルフロントにて。

19世紀のジャポニスムに始まり、1980年代の黒の衝撃、21世紀現在のネオジャポニスムにいたるまでを一気に概観してみました。言葉が足りない分はビジュアルに頼るしかないので、用意したビジュアルスライドも60枚超(当日の朝に完成)。拙い英語のレクチャーでしたが、みなさま笑顔で寛大に聞いてくださいました……。講義後の質問も活発で、しかも鋭くて驚き。こちらが世界水準にならなければ(まだまだまだまだ遠い)と身が引き締まる思いがしました。よい体験をさせていただきました。

プログラム参加のみなさま、国際連携担当のスタッフのみなさまに心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

 

28日、交詢社 午餐講演会でお話をさせていただくという光栄に浴しました。

交詢社とは、銀座6丁目バーニーズの入っているビルの9階にある、日本最初の実業家紳士社交クラブ。

福澤諭吉が提唱して以来の、長い歴史を持ちますが、昨年、かつての建物の品格をそのままに保つ形でリニューアルされています。レッドカーペット、シャンデリア、重厚な木、高い天井。クラシックな時計やカレンダー。こんなに品格のある落ち着いた空間があるのかと感動しました。

福澤諭吉のお孫さんにあたる、名誉顧問の福澤武さまほか、理事の方々と同じテーブルでランチを一緒にいただいたあと、平均年齢75歳(なかには100歳超えの方も)という130名ほどの紳士を前に「ダンディズム その誤解と真実」をテーマに60分の講演でした。伝統的に質疑応答はありません、と言われておりましたが、すみません、伝統を破って私の方から2名ほどの方に質問させていただきました。「前例がない」と言われると、(許されると判断した場合のみですが)つい前例になる行動をとってしまうのです。

ふざけたタイトルでしたが、みなさまさすがに知的水準が高く、寛容で、すぐに理解し、とても面白がってくださいました。終了後も「シャツの胸ポケット」の話などでひとしきり盛り上がり。楽しい時間となりました。

 

 

記念写真をレッドカーペットの階段で撮っていただきましたが、内部の写真公開は禁止ということですので、アップする写真はありません。

(アイキャッチ画像は、旧白洲次郎邸)

図書館もあり、「酒場」もあり、ビリヤードもある、限られたソサエティの紳士だけのジェントルマンズクラブ。「女性」は巨大な4枚の絵画としてのみ存在。緊張感がありながらもすばらしい空間でした。入会するためには45歳以上でなくてはならず、2名の会員の審査が必要。かつてはイギリスのブラックボール制度(入会反対の意思は黒球を投じる)にならって囲碁の「黒石」投票をしたこともあるとか。笑

ここはドレスコードも厳しく、ジーンズやポロシャツは禁止。ポロシャツを着てきた場合は、入り口で襟付きのドレスシャツに着替えさせられるそうです。

伝統と格式を誇る、リッチで知的な世界で講演させていただきましたこと、貴重な思い出になります。心より感謝申し上げます。

 

 

 

Forbes Japan 9月号発売です。

5月にIWC×Forbes Japanの企画でシャフハウゼンに行きましたが、その模様が詳しい記事になって掲載されています。目次はこちら

「IWCの伝統と5人の日本女性たち」

なんと8ページにわたります。お話をうかがったクルト・クラウス、フランチェスカ・グゼル、クリスチャン・クヌープ、ハネス・パントリ、各氏のこともすっきり整理されて書かれています。私に響いたことと、ライターさんのまとめが若干ずれております。同じ話を聞いても、受け取る人によって違うところが印象に残る。なるほど、そこか!と。そんな受け取り方の違いを知るのも楽しいものです。

機会がありましたらご笑覧くださいませ。

 

本日付けの日本経済新聞「The Style」。先週に引き続きダイアナ妃の話題です。

ダイアナ妃のパーソナルデザイナーとして妃の日常着をデザインしていたアイルランド人のデザイナー、ポール・コステロ氏にインタビューした記事を書いています。

ダイアナ妃のパーソナルデザイナーとしてのコステロ氏を日本人がインタビューするのは(日本のメディアが記事にするのは)初めてのことだそうです。(釜石のコバリオンを使ったリングのデザイナーとしては一度NHKでちらりと紹介されました。)

ぜひご覧くださいませ。
ケンジントン宮殿で開催中のダイアナ妃展では、主に夜会に着られるフォーマルなステイトメントドレスを中心に展示されています。コステロ氏が作ってきたのは、いくつかの公式訪問服を除けば、ほとんどが日常着。そのため、今回の展覧会には展示されていません。


「マイ・ホース」(私の馬)と言って笑うコステロ氏(左)。右は息子さんでコステロブランドの広報を担当するロバート。

コステロ氏には6人の息子さんがいらっしゃいます。

2010年のロンドンファッションウィーク。ずらりと並んだ6人の息子さんがメンズのショウを締めくくりました。Six Sons. なんという壮観。

コステロ氏が釜石産の合金コバリオンを作って作る「クラダリング」の話も紹介しています。


(インタビュー中にさらさらとデザイン画を描いてプレゼントしてくださいました。)

 

 

*English version of the arcile

  

On Paul Costelloe – Princess Diana and Japan Claddagh Ring

23rd July 2017

 

Twenty years after her death, Princess Diana is still very much loved as “everyone’s princess”.  The image of the “royal but familiar princess “ has also been influenced by fashion. The designer who contributed to that image is none other than Paul Costelloe (72), one of Ireland’s leading fashion designers. From 1982 until 1997 when Princess Diana passed away, he served as her personal designer. I had the pleasure of interviewing him at his design studio in London.

 

It was a coincidence that Princess Diana found him. When Mr. Costelloe opened a boutique near Windsor where the residence of Queen Elizabeth II is located, the designs in the window caught the eye of the Princess. “She understood and liked my tailoring immediately”, Mr. Costelloe said.

 

Upon receiving a request from Princess Diana, Mr. Costelloe went to Kensington Palace for fittings. At the time, an Irish designer was perhaps not so welcomed by the staff of the palace.  But Diana was sure to give him a warm welcome. Mr. Costelloe remembers those moments well. “I always brought her a bouquet of flowers” he said.

Many of the styles requested by the Princess were worn on her official tours around the world, including print dresses created using Irish linen which she wore during a formal visit to Australia. But his most frequent work was her daily wear – outfits worn for her day-to-day responsibilities such as collecting the two young princes, William and Harry, from school. These outfits were functional but smart and beautifully tailored. It was these “everyday pieces”, which combined the elegance of the princess herself and the relaxed and real manner in which she lived her life, that helped to foster the image of Diana as “everyone’s princess”. Princess Diana sent Christmas cards every year to Mr. Costelloe until she died. And Paul is proud to call himself “everyone’s designer”.

 

“What kind of person was Princess Diana, from the viewpoint of a personal designer?” I asked Mr. Costelloe. After thinking for a while, he put it like this: “She had guts…she became a real game changer.”  She fought against prejudice, and talked honestly about her feelings, expressed in her own words. By breaking the standard mannerisms and customs of the royal rules she fundamentally changed the way the Royal Family should be and should behave. Mr. Costelloe says he feels happy Diana’s revolutionary words and actions have influenced her two sons in a positive way throughout their lives.

 

Mr. Costelloe is now working closely with a Japanese family-owned company that produces a cobalt-chromium alloy, Cobarion, in Kamaishi City, Iwate Prefecture. He is working with the firm on the design and development of an exclusive Claddagh Ring – the first of its kind to be made in this metal which is only produced in Iwate Prefecture and nowhere else in the world. The Claddagh Ring first emerged in Ireland in the 17th Century. It’s iconic heart, crown and hands motif has become a globally recognized symbol of love, friendship and loyalty.

 

The ring was launched in Japan in 2017 to coincide with the 60th anniversary of the establishment of diplomatic ties between Japan and Ireland but more importantly is a symbol of remembrance and solidarity for the lives lost in the tsunami which struck north-east Japan and Kamaishi City in March 2011. A wave engraved around the band of the ring is a reminder of the disaster and the many lives that were lost and all those affected. In a ring designed by the “everybody’s designer”, I feel that I can see the charitable spirit of Princess Diana living on – someone who strived to give love and friendship to the injured and suffering.

 

原文の言語: 英語

他のテキストを翻訳

読売新聞夕刊連載「スタイル アイコン」。

本日は、ブルトン・ストライプを流行させたアイコン、芸術家のパブロ・ピカソについて書いています。

これが「ピカソのマン(手)」と題されたドアノーの写真。このシャツはブルトン・トップ(Breton Top)と呼ばれます。柄の名はブルトン・ストライプ(Breton Stripes)。

(French Sailors in Breton Stripes)

 

日本語ではこの柄を「ボーダー」と呼ぶことが定着しているようですが、

英語のborder に「横縞」の意味はありません。縞柄は、横も縦もstripe。

うめだ阪急のプレミアムウォッチフェア。

IWCの南出留理さんのスマートで的確な進行と解説のもと、Code of Beauty, Code of Lifeについて話をしてきました。IWCのコード・オブ・ビューティーとは論理であり、それは黄金比や「生命の花」などの数学的な規則的パターンを基盤にしていること。そこから出発して、ダ・ヴィンチに関わる人、ダ・ヴィンチの各モデルが連想させるさまざまなスタイルアイコンにおけるCode of Life のお話など、私の勝手な連想もまじえつつ。

どうも反応が薄いかな……まずかったかな……(時計のメカニカルな話を期待していらしたゲストの方には見当違いな話だったかも……笑いどころ?も思い切り外したし……)と思って落ち込んでいたら、終了後、ひとりの女性がやってきて「75歳ですが、今日の話を聞いて人生を変えようと思いました」と。

感激しました。
こういう方がたった一人でもいてくださると、少し報われた感がありますね。私も感想はできるだけ伝えるようにしようと心に誓ったできごとでした。ありがとうございました。

他社ブースですが、一着50億円といわれる宇宙服や、

日本初の「機械遺産」に認定された腕時計も展示されていました。「ローレル」という名前が大正ロマンっぽくていいですね。

豊かな時計の世界を楽しませていただきました。時計については学べば学ぶほど奥が深いことをあらためて実感しました。

ゲストのみなさま、およびお世話になりましたスタッフのみなさまに、心より感謝申し上げます。

本日付けの日本経済新聞 The Styleにおいて、ダイアナ妃ファッション展のことを書いております。

写真が大きく、ゆったりした構成で作られたきれいな紙面です。どうぞご笑覧くださいませ。

*日本のメディアではしばしば「ダイアナ元妃」と表記しますが、英語ではPrincess Diana のままで、「Ex」などつかないのです。だから、私はできるだけ「ダイアナ妃」として表記しています。

 

 

こちらのほうは海外の方が対象で、もう締め切られてしまったのですが。明治大学主催のクールジャパン・サマープログラムの一環として、8月1日、「ファッションとジャポニスム」についてレクチャーをします。English version is here.

19世紀の第一次ジャポニスム、1980年代の第二次、21世紀の第三次にかけて一気に一コマで流れを概観します。今年度は明治大学も5年×2期、任期満了の年になります。本当に楽しくて充実した期間を過ごさせていただいたことへの心からの感謝をこめて、機会をとらえて「10年間の集大成」としてご恩返しをしていきたいと思います。

<To the students who have applied for the program>
We will overview the first Japonism of the 19th century, then the second wave of Japonism in the 1980s, when the Japanese designer acted as game-changers. After that, we shall look at the Japonism of the 21st century, and examine the interrelationship between the Japanese fashion and Western fashion. How is the identity of <Japan> expressed, or used in the global fashion scene?  Let’s think and discuss together.

I look forward to seeing you in the class.

 

ゲスト講義のメモ、続きます。3、4年生向けの授業では、「ザ・プラットフォーム」の著者、尾原和啓さんにゲスト講義に来ていただきました。(7月3日)

初っ端からステージにドローンとともに登場。

VR時代のファッションをサブテーマとして、現在、および近い将来に起こりうるさまざまな革命をテンポよく分析・ご紹介くださいました。ドローンをはじめ360度カメラ、VR、太陽光発電装備など、最新のハイテク機器の実物に触れたりしながらの、ワクワクする授業。

最先端の動画を駆使したパワーポイントからして斬新でしたが、講義のやり方においてもGoogl docs.を使った「グーグル方式」を採用。参加者全員で講義を聞きながら議事録を書き込んでいくというものです。こうするとあとで書き起こしてリライトする手間も省けるし、質問もその場で受けられるし、集合知によって間違いも聞き落としも少なくなる。なんとすばらしい!


尾原さんは現在バリ島に在住。プール付き、メイドつきの豪邸で家賃は10万円だそうです。分身である尾原ロボットが六本木で働いており、ほとんどそれで事足りる。どうしても本人が必要というときだけ、夜中の飛行機に飛び乗れば6時間半で朝の東京に到着する。これからの働き方を考えるときの、ひとつの模範例ですね。


以下は、Google docsに学生たちが書きこんでくれた講義録と、私が気になったことなどのなかからの、ランダムなメモ。

絵文字というのは、デジタル世界において感情を表現する最初の最新ツールであり、ヴァーチャルにおけるファッションの始まりと位置付けられること。

現代では共感と経験が新しい貨幣となっていること。「いいね!」は貨幣と捉えられる。


(ヒラリー・クリントンに背を向ける大衆はいったい何をしていたのか?)

VRが普及していくと、まずはレベル1として、距離と時間に関係なく移動できるようになる。その場合、VRのライバルは飛行機!?
レベル2として人間が行けない場所へ行けるようになる。
レベル3では、物理想像の世界を体験できる。
レベル4では自分の世界を相対化することができる…。つまり、自分たちは時間も空間もすべてをデザインできるのだ!

現在、想像を超えるほどテクノロジーが急速に変化しており、今後は想像力(デザインする力)がいっそう必要になってくる。

ヴァーチャルの世界でのコミュニケーションが重要になってくると、たとえば、試着室のなかから、買いもしない服を着てアップして「いいね!」をもらおうとするような行為が派生する。これは「デジタル万引き」として問題になっている。

Tシャツの価値は、コミュニケーション誘発機能にもある。他者だけでなく自分とのコミュニケーションも含む。待ち受け画面というのも、自分に対してどのような感情を起こすのかということを考えて選定すべきもの。

あまりにも世の中が進んでいることを知らされて、めまいがしそうなときもありましたが、いやもう、たいへんに刺激に満ちた100分でした。


授業後は、近くの「Good Morning Cafe Nakano」にて、志の高い学生10人ほどと、お酒を飲みながら懇談会。学生一人一人の夢をしっかり聞いて助言してくださっていました。はるばるバリからご来校くださったうえ、サービス精神満点の、行き届いたすばらしいご指導をいただき、学生ともども心より感謝します!


手前の長方形の物体がカメラ付きのドローン。

 

 

 

 

ストリートファッションフォトグラファーのシトウレイさんに、ゲスト講義に来ていただきました。(6月23日)

「好き!を仕事にする」をテーマに、故郷の石川県の話から始まり、大学時代にモデルとしてデビューしてのちストリートファッションフォトグラファーに転身することになったきっかけ、独立、さらに「好き」を徹底してきわめることで仕事の幅を広げ続けている(ラデュレとのコラボをするほど!)現在にいたるまでの、キャリア構築と人生とファッション写真についてのお話。

ストリートを撮るということで、その国の裏事情まで映し出すことがあるということ。

被写体にインタビューすることで、その人自身の個性(とファッション)がより魅力的に浮かび上がってくるということ。

妥協せず、自分の好きなことだけを貫いていけば結局それが信用となり、ブランドとなっていくこと。

来るチャンスにはとりあえず乗っかってしまうこと、スランプやピンチも前向きにとらえることで成長のチャンスになっていくこと。

シトウさんご自身が楽しんでいらっしゃるので、ホール全体に楽しさが伝染し、刺激的な時間となりました。


終了後も、「質問」や「一緒に写真撮ってください」リクエストの長い列。シトウさん、すてきなレクチャーをありがとうございました!

 

ピッティ最後の日のショウは、OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH 。ピッティ宮殿にて。

ショウ開始が22:00とあり、どれだけ苛酷なのかと心の中で恨む…。疲労も積み重なってかなり消耗してはいたが、なんとか気力だけで起きている。

先に軽く夕食をということで、コーディネーターTerashimasa さんのパートナーの勤務するホテルのテラスレストランに再び。

夕刻は昼間と違う雰囲気で、なんとも幻想的な夕暮れを楽しみました。



すみません、こんな場所でしかできないドルチェヴィータごっこでした…。

 

22:00にピッティ宮殿へ向かうも、始まる気配はナシ。このショーのために屋外に巨大な、特別な階段状のベンチが作られている。フロントロウではあったのだが、席がなかったと怒るカップルが目の前に陣取り、フロントロウの意味がまったくなくなる。プレスの人が注意しても「招待状があるのに席がないのはおかしいだろう」と逆ギレ、移動する気配はない。こういうのはあきらめるにかぎる。客席全体からイライラした空気が漂う。


22:30あたりからようやく始まり、ピッティ宮殿に大きな文字で「ポエトリー」が流れていく。世界のあり方や戦争に抗議しているのだろうか。これがとにかくうんざりするほど延々と続く。なかなかモデルは登場しない。

いいかげん眠気をがまんするのも限界に来たところでショウが始まるものの、会場が広すぎて、モデルが「遠い」。よく見えないまま、あっけなくすべて終わる。

終了直後、正直すぎるジャーナリストのOくんが「くだらん!」と叫ぶ。たしかに、壮大な舞台設定、強いメッセージで斬新な演出を意識したものなのかもしれないが、観客のことをあまり考えていない印象だった。22:30開始という時間といい、「暗くて遠くてよく見えない」ショウといい。実際にどのような作品が発表されたのかを知るためには、撮られた写真だけをあとから見るほうがよほどよさそう。(デザイナーはストリートファッションに対するしっかりした知見の持ち主として高評価の方なのです。ただ、今回の見せ方が、狙いすぎだった。)

とはいえ、夜のフィレンツェの裏通りなんかも、こんなことがないとなかなか歩かないので、見ることができてよかった。映画で見たような光景。

真夜中の橋の上や下でも酒盛りをしている人々がいる。酔って川に落ちる人もいるらしいが、とくに対策などは講じられていないそうです。

 

翌朝。ようやく帰国。とはいえパリのシャルル・ド・ゴールでトランジット、待ち時間8時間と聞いてほとんど気絶しそうになるが、ラウンジでシャンパン飲んだり写真の整理したりしているうちに意外とあっという間に過ぎる。

10日間の休みなしの取材の旅でしたが、なんだか3か月ほど過ごしたような。脳内の一部分が書き換えられた感じというか、別次元にシフトした感じがする。

 

詳しい内容は追々、活字になっていきます。自分のための備忘録のような旅レポにおつきあいくださいまして、ありがとうございました。

 

個々の取材はきりがなく、つかみどころのないピッティ。膨大なピッティの全体を俯瞰する視点がどうしてもほしい。そんなときはトップへの直接インタビューにかぎる。と思ったので、だめ元でピッティCEOにインタビューを申し込んだらご快諾くださったばかりか、イタリアファッション業界の、半世紀以上にわたる歴史をわかりやすく解説し、ピッティとのつながりを解き明かしてくださいました。


ピッティCEOのラファエロ・ナポレオーネ氏。ロマンと現実を織り交ぜながら一瞬たりとも飽きさせない明朗な話しぶりに、すべての霧が晴れました。

イタリアファッションの歴史の本までおみやげにくださったナポレオーネ氏に、心より感謝します。お話はそのまま講演にしたいほど面白かったのです。詳しくは活字で。

イタリア語の通訳をコーディネーターのTerashimaさんにお願いしました。CEOは英語でもお答えくださるのですが、イタリア語になるとお話される量がとたんに3倍くらいになるのですね。となればイタリア語で聞く方がいい。

 

インタビュー終了後、ナポレオーネ氏が、ぜひ見に行くべき、と勧めてくださったピッティ宮殿でのモーダ展に急ぎました。なんとかピッティ宮殿の入場は間に合ったのですが、宮殿がまた大きくて、会場となる部屋までたどりつくのにさらに10分以上かかり、入り口にたどりついたとたんに「すみませんが、本日終了です」と扉を閉められてしまいました…。

ここで「5分だけなら」と開けてくれるのが日本ですが、ぴったり時間通りにクローズするのがヨーロッパ。終わりの時間がきたら1分たりとも開けていない。

というわけで泣く泣く見逃したモーダ展でした。



20時でも余裕で明るいフィレンツェ、サンタマリアノベッラ教会前の広場。

35度超のなか、バスでレオポルダ駅に移動し、ヨシオ・クボのショウ。会場に入ると冷たいドリンクを振る舞ってくださいました。席には扇子。こんな気配りがあることでほっと落ち着いてショウに臨める。この細やかさ、やはり日本のブランドならではのものでしょうか。ついでに連想したのですが、レストランでおしぼりが出てくるのは日本の常識ですが、ロンドンでもフィレンツェでもついぞ出てこない。むしろおしぼりなどないのが世界の常識。とはいえそのままパンをちぎったりするのはかなり抵抗があります……。コーディネーターの方はそんな日本人の葛藤を知り尽くし、常にウェットティッシュを持ち歩いていらっしゃいました。

さて、クボ・ヨシオのショウです。

 

アフガンの戦士?!と第一印象で感じたのだが、あとからデザイナーにインタビューしたところ、まったくそれは私の誤解であり、日本の伝統工芸の絞り染めの、新しい表現方法を提案したとのこと。なるほど、そのような視点で見ればまた見え方も違い、納得。




絞り染めで覆う、縛る、結ぶ、巻く……。新鮮な男性像を見せていただいた、力強いコレクションでした。

デザイナーのヨシオさん。世界の舞台での発表を今後も続けてください!


会場にはこんな万華鏡のような装置がおいてあり、中に入って楽しめました。

 

再びバスに乗りピッティ会場へ戻り、プレスルームで休憩。日頃なかなかお会いできない日本のメディアの方と遭遇することもある。


Men’s EXチームのみなさん。中野の右は大野編集長、左は副編集長の平澤さん。平澤さんはここ数年、イタリア語を学び続けて、かなりレベルアップしたという努力家でもいらっしゃいます。さすがのMen’s EX、35度超えでもタイドアップスーツなのです。


Leonの表紙でおなじみ、長いモデル歴でギネスにも載るジローラモさん。

そしてピッティはまだまだ続く……。今回、Pitti プレスのMorishige Makikoさんにひとかたならぬお世話になりました。

 

 

平和なファッション見本市が行われているとはいえ、バッソ要塞の入り口には写真のような特殊警察が武器をもって見守っているし、フィレンツェの駅周辺にはやはり武装した兵士が巡回しています。目にするといやおうなく緊張が走ります。


むしろこのような方々に守られているのだと心の中で感謝しつつ、3日目(6月15日)。午前中から外気温は35度に上らんとしている会場周辺。


写真を撮られたい方々も、さすがにこの炎天では日陰に逃げ込んでいらっしゃいます。


実は女性も少なくない。メンズにしても、華やかな方々が目立つのでついカメラを向けてしまいますが(彼らは撮られるために来場していたりします)、実際は、しのぎやすい半袖シャツの方も多い。

さて、Pittiのブース。ふと目についた個性的な「アロハ」シャツのブランド名を見たら、沖縄にある日本の会社でした。


PAIKAJ。服地から日本で作り、日本で縫製するアロハシャツを中心に作っています。


日本人にしかできないきめ細かさを活かしたシャツ、と解説してくださる社長の吉田さん。もともと奥様のご実家が沖縄でアロハシャツを作っていたことから、この会社を立ち上げたそうです。

カジュアルスタイルのなかに、ドレスシャツの技法が使われている。上質なカジュアルが中心ですが、上の写真のように、見えないところに遊びのあるドレスシャツも。

そしてユナイテッドアローズの鴨志田さんのブース。なんとピッティ11年目だそうです。世界から敬意を受けるMr. Kamoshitaについては、この後インタビューすることになるピッティCEOもわざわざ名前を挙げて讃えていました。


ジャケットスタイルのドレスダウンをさまざまに提案。「たとえば…」と言いながらその場でぱぱっと各アイテムを選んでコーディネート例を作ってくださいました。

この色使い、さすが。インナーとハーフパンツの色合わせはなかなか素人には思いつかないですが、両方の色を使っているジャケットを合わせることで、トータルにまとまります。


周囲に幸せな空気を作るカモシタ・スマイルは感染力があります。つられて笑顔になる。


そして強力な磁力を放っていた、Gabriele Pasini 。ただものではない美意識が、一体一体のコーディネートから伝わってきます。



「抜け感」も「隙」も、どこ吹く風。細部に至るまで手ぬかりなく緻密にドレスアップ。完成度なんていうことを超えている。

クリエイティブディレクターのガブリエルさん本人も、存在感のある方。強面な感じですが、話すとむしろシャイで優しく、丁寧に解説してくださいました。

あとからLEONの編集長に聞いたのですが、ガブリエルさんはLEON読者にもファンが多く、「ガブさん」の愛称で親しまれているとのことです。不勉強で失礼しました…。それにしても、ここまで突き抜けた美意識は、一種の共通言語になるのだなあと納得。

バッソ要塞へ戻り、ピッティ展示会ブースめぐり再び。


外気温35度のなか、いたるところで撮影がおこなわれています。こちらは動画の撮影。歩く姿や帽子に手をやる姿も、みなさん決まって(決まりすぎて)ます。

ひときわ多くの人が訪れていた、ポール・スミスのブース。彼はイギリス人ですが、ロンドンコレクションではおこなわず、ピッティに来るんですね。ピッティのほうがやはり商業的にもリターンが見込めるのか、イギリス人デザイナーやイギリスブランドのなかには、ロンドンではとくに何もせず、ピッティに力を入れているところが少なくない。ブースにはロンドンの著名なブランドがいくつもありました。気鋭のJ.W.アンダーソン(英)も今回、ピッティでショウをおこないました。J.W.アンダーソンに関しては、ミハラヤスヒロも「注目のデザイナー」として名前を挙げていましたが、今回のショウではかなり強気で、観客数を絞り、招待状を送ったところにまで「送りましたが間違いでした。来ないでください」というメッセージを送ってきたらしい。失礼だと怒るジャーナリストもちらほら。こういう対応もブランドイメージを左右します。ひょっとしたら、「怒らせる」ことで何かのブランド価値を発信しようとしていたのかもしれません。今後どうなるか、徐々に明らかになってくると思います。

さて、ポールのブースです。






展示作品も密集、ゲストも密集。そのなかに何気なくゲストに混じっているポール・スミス発見。左から2人目。


しっかりデザイナーと記念撮影。笑

いいかげんこれ以上歩けなくなったところでこの日の取材は終了。

着替えて地元のレストランへ。Hiromi Asaiさんと彼女の作品のために服地を作った丹後の服地屋Yamamotoさん、そして靴デザイナーKatsukawaさんと、インタビューを兼ねて夕食。詳しい内容は後日。



そういえばフィレンツェに来て初めてまともにレストランで食事をしたなあ。あとはプレス用のあわただしいフリーランチとかパーティーフードやサンドイッチばかりだったような。写真のTボーンステーキはフィレンツェ名物で、5人ならなんとか食べられるだろう、と。



出展の苦労や服作り・生地作りの苦労などうかがいつつ、楽しく過ごさせていただきました。

フェラガモミュージアム。

フィレンツェにおけるフェラガモの影響力の大きさはいたるところで感じる。フェラガモが経営するホテルが数件、レストラン、ワイン、ファッション、などなど。

この建物はフェラガモが買い取ったもので、本社オフィスも美術館もこの建物のなかにある。

美術館のテーマは随時変わる。今回は1927年。これはフェラガモがアメリカからイタリアに帰国した記念すべき年。船での帰還なので、展示においても航海がイメージされている。


靴がみんな小さい…。足が小さかったのだろうか。



20年代といえば、このシルエットですね。頭はボンネット、ストンとしたギャルソンヌスタイル。


当時のセレブリティたち。

フェラガモのほか、今回は時間がなくて観られなかったのですがグッチも展覧会をおこなっている。そもそも町中が芸術的な雰囲気。


コーディネーターMayumiさんのパートナーが勤務するホテル、Tornabuoni Beacci のテラスで少し休憩。ここがもうなんとも雰囲気のある素敵なホテルでした。イタリア名をもつ日本のジャーナリストも常宿にしていらっしゃるとのこと。


世俗の時間の流れが感じられない、別世界。


少し英気を養ったその後、某ブランドのファッションショーを見るために、酷暑のなかシャトルバスでレオポルダ駅まで。レオポルダ駅といっても電車が止まるわけではなく、上の写真ですが、中も格納庫のようで、歴史的な建造物らしい。(こちらのショーに関しては、座席の割り当てられ方において運に恵まれず、よく見えなかったのでコメントを控えることにしました……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

14日はフェデリコ・クラーディのショウから。場所はバルディーニ美術館。画家からキャリアを始め、美術商になったバルディーニ氏が、昔の館を修復し、美術館としてよみがえらせた建物という。


こんなところで生活すると、いやおうなく美意識が鍛えられますね。美術が生活や人格の一部になってしまう。

9:30スタートとインビテーションに書いてありましたが、実際に始まったのは10:30過ぎ。コーディネーターさんによれば、時間の感覚は「そんなもの」だそうです。


スタンディングのゲストが見守る中、裸足のモデルたちが歩いていく。どこからがランウェイでどこからが観客側か、すべてが一体となったような雰囲気。


観光地につき記念写真。歴史的な建造物をファッションの舞台として紹介していくのもピッティの役割。フィレンツェならではの建物でした。それにしても朝から待ちくたびれ、立ちくたびれ……。

 

Baguttaの時点ですでに20時すぎ、日本にいれば当然、本日の業務終了としていい時間なのですが、夏至前後のヨーロッパ、まだ外は明るい。これで帰らせてはもらえず、さらにこれからHugo Bossのショー会場へ移動します。

この日(13日)の朝はロンドンにいました。疲労もとうに極限超えしていますが、経験的に、極限超え、限界超えをすることによって次の次元に行けることも知っている。(不本意な仕事であれば過労死してしまうかもしれないというぎりぎりのところなので、すべてのケースにあてはまるというわけではありません。) もうこんな無茶ができるのはあとどれくらいだろうと思いながら、とりあえず、ほとんど意地だけで行く。


会場は、閉鎖取り壊しが決まった煙草工場。建物の中からの照明の演出が考えつくされており、映画の世界に入ったような錯覚を覚えます。





幻想的で退廃を感じさせる場所に似会うクールなコレクションでした。


終了後はパーティーフードとお酒がふるまわれます。

日本ではかえってなかなかお会いできないファッションジャーナリストの方々とお話することができるのも、ファッションウィークや見本市の楽しみですね。左からコーディネーターのMayumi Terashimaさん、中野、世界各地のファッションウィークを飛び回るYu Masuiくん、そしてジャーナリストのTakuro Ogasawaraさん。それぞれ率直に本音を語る方々で、疲れも吹き飛ぶひと時を過ごさせていただきました。

ラルディーニ、ブルネロ・クチネリはじめ日本にも人気のイタリアブランドのブースを回り、デザイナーやディレクターにご挨拶をしつつ最新作を取材。

クリエイティブ・ディレクターのルイジ・ラルディーニ。ラルディーニはファミリービジネスで、会場でも兄弟何人かでいろいろ言い合いながら楽しそうに。

クチネリのブースは社員?と思しき人が大勢。ソファに座っている左側の方がブルネロ・クチネリ氏。

クチネリのコレクション。色使いがうっとりするほど美しい。

いい加減歩き疲れてきたところで会場の終了時間。


ぞろぞろ出てくるイタリアのファッション関係者の静かな迫力。

その後、急いで着替えて、バグッタのプレゼンテーションへ。



会場はウェスティン・エクセルシオール。

ここは1年半前に泊まったホテルで、ほんとうに居心地のいいホテルでした。

今回もできればこのあたりに泊まりたかったのはやまやまですが、ピッティの時期はホテル争奪戦で、コーディネーターのMayumi Terashimaさんによれば、「みなさん、お帰りになるときに、来年のホテルを予約していかれます」。1年前からすでによいところは埋まっているというわけです。

このたびのピッティ行きが決まってホテルを手配してもらったのが1か月ちょっと前で、そのころに空いているホテルとなると、信じがたいほどに価格が高いのに、なにかしら難点があるところばかりなのですね。しかし、当日、オーバーブッキングで泊まるところがなくなり、電車で30分のボローニャでようやく真夜中にホテルを見つけたという日本人もいたということを思えば、泊まるところがあっただけでも心からありがたいと思いました……。

今回のフィレンツェのホテルに関しては、そんなわけで、この繁忙期に3泊も無事に取材できただけで感謝しつつ、ノーコメントです。学んだことは「4つ星自慢ばかりするのは、最低限の設備は備えているがほかに自慢することがないことを意味する」「ホテル予約サイトの口コミは、ホテルに求める要素が違う人のコメントだったりするので、まったくあてにならない」「場所自慢、歴史自慢には要注意。ほかに褒めるところがないことがある」。

素人レビューにこそ、高いリテラシーが求められますね。

滞在した場所によって、同じ町でもまったく違う印象をもってしまうのは確か。前回のフィレンツェと、今回のフィレンツェで、まったく異なる面を見ることができて、それもまた貴重な経験でした。

13日、空路ロンドンからフィレンツェへ移動して、休む間も与えてもらえず、ピッティ・イマジネ・ウオモ会場のバッソ要塞へ。記録的な暑さらしく、30度を優に超えていますが、フル装備のスーツの男性も多い。



ピッティは世界最大の男性服見本市で、クラシックスーツのトレンドを発信するブランドがブースを出しているイメージが強いのですが、カジュアルウエア、スポーツウエア、装いに関わる各種小物、ニッチな香水などのブランドも出展しています。


ブースを出すという形式だけでなく、フィレンツェの各種歴史的建造物を活かしたショーも行われます。商談がメインになりますが、各国からジャーナリスやブロガー、「写真に撮られたい人」やその他もろもろのファッショニスタらも集まります。年に一度、ピッティで顔を合わせるということになっている人たちもいるようで、メンズファションの一大祭典。

初日のブース巡りでは、まず、Hiromi Asaiさんにご挨拶に伺いました。今回、ピッティに強く誘ってくださったのはほかならぬ彼女なのです。「まんまる」の連載で、もう2年ほど前になりますが、Hiromi Asaiさんの、着物地を使ったニューヨークコレクションのことを記事にしたことがあります。それをきっかけにHiromiさんとの交流が始まり、何度か冬のピッティにもお誘いいただいたことがありましたが、タイミングもなかなか合わず、今回、堂々取材できることになり、ピッティでお目にかかることができた次第です。


着物地からオーダーして作り上げたという作品の数々は、独特の存在感を放っています。

やはり着物地によるメンズウエアというのが珍しく、海外メディアの取材もたくさん来ています。

これは地模様が薔薇なんですよ。薔薇が透けてみえて、意外と涼し気な夏物素材なのです。私自身がこの服地でスーツを作ってもらいたいと思った傑作。

Hiromiさんのディレクションのもと、これを縫製したのは、弟子?の長谷川彰良くんです。Good Job!  良いご縁が生まれたことを、心から嬉しく思います。

 

この日の最後は、ヴィクトリア&アルバート美術館で開催されているバレンシアガ展。

ここはケンブリッジ時代にも、週末にロンドンに来るたびに通った大好きな美術館。


外側は当時のままで懐かしい、ところが、中は大胆に変貌している。そこがいかにもイギリスらしい。
バレンシアガ展はすばらしかった。すべて撮影可能というのもこの美術館のいいところ。撮影されたものが出回ると人が来なくなるので撮影不可にする、というのは主催者側の大きな勘違いです。写真が出回れば出回るほど、人は「本物」を見に来るんです。フラッシュさえ禁止にすれば、来場者に写真撮影を許可するのは、来場者を増やしたければ、メリットになるはず。

詳細に関しては、また機会をあらためて書きます。


次回はピンク・フロイド展ですって! これを見るためにまたロンドンに来なければ!と思わせるクールな「次回予告」。

 

最後のディナーは、ピカデリーのThe Wolseley で。



やはり王道をいくスコッティシュ・サーモン。鱒ずしと錯覚しそうなシンプルなレイアウト。

とても天井が高く、開放的なムードで、好みのど真ん中でした。

(くどいですが)私は小食で、雰囲気のよい店で正統派の(凝りすぎていない)料理を2品ほど食べてシャンパンとワインを1~2杯いただければそれで大満足、デザートも不要という単純なタイプです。そういうタイプにはこの店は気楽なのにリッチな気分を味わえて最高でした。味にうるさい人はまた違う意見かもしれません。

食事が終わる頃、ロンドン在住のソーシャライトで25ansブロガーでもあるSatoko Matsudaさんがご主人さま(←とても優しくて奥様思い♡)とともに合流してくださって、コペンハーゲンファッションサミットの資料をお持ちくださいました。ひととき、ロンドン社交界のお話で盛り上がり、楽しいひと時を過ごさせていただきました。ありがとうございました!

かくしてロンドン取材は無事に終了。終始、晴天に恵まれたのは幸いでした。予定していたショーが見られなかったなどのハプニングもありましたが、予想外の収穫も多々ありました。今回の成果は後日、順に記事になる予定です。どうぞお楽しみに。

疲労も極限にきていて、このあたりで東京に戻りたいのはやまやまですが、取材はもうひと山分残っています。そのままフィレンツェに向かいます。

 

続いて、ミチコ・コシノのプレゼンテーション。ミチコさんは昨年、「ミチコ・ロンドン」30周年を祝いました。ロンドンではベテランです。


テーマは日本の野球少年。



バックステージにもお邪魔しました。インスタレーションのモデルは時々こちらに帰ってきて、着付けを直したり、飲食物をとったりして休憩をとります。

ミチコさんにもお話を伺いました。ロンドンを中心に発表するのは、ロンドンには自由があり、「しがらみがない」から自然な形で服作りができるため、とのこと。「しがらみ」とは、百貨店のバイヤーからの注文や契約や、その他もろもろの数字的な束縛のことのようです。表現は違いますが、同じようなことを、ミハラさんもおっしゃっていました。ロンドンは「コマーシャル(商業的)」ではないところがいいのだと。


気さくに記念撮影に応じてくださるミチコさん。


移動のタクシーの窓から、ジャック・アザグリーのお店発見。ダイアナ妃のデザイナーとして10年以上前?に来日した時、インタビューしたことがあります。今回はお会いできなかったけど、お元気でいらっしゃいますでしょうか?

5日め、12日の午前中はさすがに動けず、少し体力の回復を待ってから、午後のヴィヴィアン・ウエストウッドのショウからスタート。場所はシーモア・レジャーセンター。公民館のような体育館のような場所。すでに外は一目でヴィヴィアンのファンとわかる人たち、彼らを撮るカメラマンらで大混雑。



シートには”We are Motherfucker”と題されたコレクションテーマ、というかアジテーション文が。各モデルのメイクは、次のものを表す、と書かれています。ハート=愛、自由な世界。ダイヤ=欲望、腐敗、プロパガンダ。クローバー=戦争。スペード=シェルやモンサントなど地球を凌辱する巨大企業。現代社会のもろもろのコントロールに対し、抵抗していこうというメッセージ。


開始前、ゲストのファッションを眺めているだけでも相当面白い。


どのショウにも共通しているのですが、おしゃれな方は靴に凝りますね。

向い側のフロントロウも、おそらくファッションエディターらが多いと推測するのですが、個性的な人がずらり。


いよいよ開始。期待を裏切らない、過激で、メッセージ性の強いルックが続々。


ただランウェイを歩くのではなく、サーカスダンサーが大胆なポーズをとりながら踊り、挑発し、移動していく。



フィナーレは大歓声、大喝采。スタンディングオベーション。こんな熱い反応で盛り上げる大勢のファンがヴィヴィアンを支えている。

 


ラストにヴィヴィアンがサーカスダンサーに肩車されて登場した時には鳥肌が立った。なんとかっこいい人なんだろう!


よほどバックステージにかけつけてインタビューしたかったのだが、日本のPRに「混み過ぎていて無理です」と止められる。今から思うに、そこを突破していくべきだった。ヴィヴィアン・ウエストウッドならそんな行動も歓迎してくれたような気がする。


デザイナーに敬意を表して、いちおう、ヴィヴィアン・ウエストウッドのセットアップを着ていったのです(レッドレーベルですが)。しかし私が着るとパンクなイメージからほど遠くなりますね。人込みを突破していくくらいのガッツが足りないのだな。

ちなみに、この服の左肩のボタン(ヴィヴィアンのロゴ入り)だけ、ブロガーさんたちが熱心に撮影していきました。笑


ヴィヴィアン・ウエストウッドはやはりロンドンファッションの女王であると確信した午後。

読売新聞夕刊連載「スタイル アイコン」。

本日は、マーク・ザッカーバーグ<スーツ版>について書いております。

ハーバード大学の卒業式でのスピーチにはまさに未来のビジョンを示してもらった思いがしました。理想主義的、との批判もあったようなのですが、理想を語るリーダーは、懐疑主義的ではなく、これくらいの明るさと信念があるほうが頼もしいと私は感じました。とりわけ現代のような時代においては。

機会がありましたらご笑覧くださいませ。

一日が長い。普段ならこれで眠り始めているところ、これからこの日のビッグイベント。ハケットロンドンによるテムズ川クルーズ。19:30テムズ埠頭のハケット号にて。


ロック帽子店で買ったのはこのハットでした。

今シーズンのテーマがヘンリー・ロイヤル・レガッタということで、船内にはボールドストライプのジャケットやクラブタイで装ったメンズも多く、気分が盛り上がります。

ちなみにハケット・ロンドンはヘンリー・ロイヤル・レガッタのオフィシャルパートナーになっています。HRRに関する詳しい情報は、こちら、HPに。

ハケットの新作コレクションも一応、船内に展示はしてあるのですが、とくに解説があるわけでもないし、みなさんおしゃべりに夢中で誰も観てない。PRの方によれば、この「服なんて関心がない」態度を見せるのが紳士ワールドの感覚なんだそうです。笑

ハケットもそうですが、他のブランドも、ただ服だけを提示するのではなく、その服がしっくりと似あう背景のなかで(ライフスタイルの一環として着用されるアイテムとして)提案しています。

ミスターハケットはさすがのレガッタ風味のジャケット。左はBLBG社長の田窪さん。


レガッタ名物のシャンパンアイスも供されました。シャンパンがそのままシャーベットになっています。

10時半近くなって暗くなったころ、ようやく船はテムズ川ミニクルーズに出航します。このころになるとゲストはほとんど帰ってしまっており、ごく少数の残ったゲストのみ「ザッツ・ロンドンナイト」という贅沢な夜景を楽しむことができました。終盤に差し掛かったぎりぎりのところで本当のお楽しみが出てくるというパターン、これも紳士文化のひとつの型に則ったものでしょうか。

A summer cruise to remember forever.

寝不足続きの上、バイクレースのおかげでタクシーに乗れず歩きどおしで疲労も極致に達していたので、19:30から始まる夜のイベントに備えていったんホテルへ戻って1時間ほど仮眠をとることにしました。

ところが、うとうとしかけたところでけたたましい火災報知器の音が鳴り、万が一本当だったら、と思ってパスポートとお財布だけ持って部屋の外へ。しかし、どうやら間違いらしいと他の客が言うので様子を見ていたら、2分ほどさらになり続けたあとに終了。でもあの音は心臓に響きますね。ドキドキしたまま部屋に戻り、再びうとうとしかけたところ、またしても火災報知器。念のために、もう一度出てみる。やはり間違いとのこと。このときはなんでもなくて幸いでしたが、この誤報事件の翌日、ホテルのあるストランドからは離れるのですがロンドンの高層住宅の火事が発生し、思わずあの報知器の音を思い出して身が凍る思いがしました。巻きこまれてしまった方々は、いかほど恐ろしい思いをなさったことでしょうか……。逃げきれなかった方々に、衷心よりお悔やみ申し上げます。

 

なにかと心労ばかり増え続けた今回滞在のホテルとは違い、その空間にいるだけで疲れが癒される思いがした、リージェントストリートのカフェロワイヤル(ホテル)。「オスカー・ワイルドのバー」に行きたかったのですが、


予約がとれず、ラウンジでカフェ。ここはここで優雅な時間が流れており、別格の居心地よさと安心感を感じさせる対応でした。


高い飲食代や宿泊代には、「安全」や「安心」も含まれているのですね……。

ミハラヤスヒロのショー会場から近いということで、そのまま歩いてサヴィルロウへ。


ザ・サヴィルロウの貫禄、ヘンリープール。



ハンツマンの看板は、右側から見るとHuntsman と書いてあるのに、左側から見るとKingsmanと書いてある。かなり嬉しくなりました。少し光が反射して見えにくいですが、Kingsmanと書かれているのがおわかりになりますでしょうか?


アレクサンダー・マックイーンもサヴィルロウに。刺繍入りのジャケットに目が釘付け。

日曜なのでほとんど休業ですが、リチャード・ジェームズはファッションウィークに合わせた展示会でにぎわっています。



上の写真はリチャード・ジェームズのオーダーメイドの店。今回展示会がおこなわれたのは、お向かいの既製服の店でした。



カラフルな色彩使いのうまさがリチャード・ジェームズ。ピンクと黄色とグリーンを同じ靴下にあしらうなんてなかなかできることではありません。

リチャード・ジェームズご本人もいらっしゃいました。右側です。左は、大手PR会社パープルPRのディレクター、ナンシー・オークリーさんです。

リチャード・ジェームズのマネージング・ディレクターとデザイン&ブランドディレクターのおふたり。靴が茶色です。聴いてみると「もちろん、ブレーキングルールさ!」と即答。この店ではブレーキング・ルールを守ることがむしろ王道という皮肉なことが起きています。笑

こんどは平日に!

日曜日はメジャーな自転車レースがおこなわれているとかで、道路がレースのために使われ、タクシーでの移動がほとんどできない。それで地下鉄と徒歩になるのですが、これがけっこうな距離を歩くことになるのですね。寝不足とオーバーワーク気味で相当、体力は消耗しているはずなのですが、好奇心というのは何よりも強力なエネルギーになるようで、ふだんなら信じられないような体力を発揮してしまいます。

ランチ後のコーヒーもそこそこに、ミハラヤスヒロのショウ会場へ移動。オクスフォードストリートの地下駐車場でおこなわれます。



クレッシェント型にのびる駐車場に、心をざわつかせるような生演奏が響く。ちょっと寒くて怖い。そんな雰囲気によくあうコレクションが展開される。





丁寧に作られた見ごたえのあるコレクションの最後には、デザイナーが走って登場。ちょろっと顔を出してひっこむデザイナーが多い中、カメラの前まで行くデザイナーは珍しい。

感動さめやらぬままにバックステージにお邪魔して(プライベートでは慎ましすぎるほど控えめな私ですが仕事となるとかなりアグレッシブになります)、ミハラさんにお話を伺いました。


テーマはブランク・ミラー(blank mirror)。電源の消えたパソコンのこと。いまや「アンチテーゼ」が当たり前すぎて、パンクすらアンチテーゼになっていない。そんな時代の葛藤や混沌を表現したかったとのことですが、詳細は活字で!

日曜12時からジョン・ローレンス・サリヴァンのショー。大勢の人、人、人。バブル期に人気を博したブランドというイメージもありましたが、今また盛り返しているようです。テーマはポスト・パンク&クール・ウェイブといった音楽を含むカルチャーを背景とするファッション。

定番アイテムをオーバーサイズにすることで挑発。


どこか破壊された服なんだけど、きれいな印象。これが「ポスト・パンク」?


レディス?が何気なく混じっている。写真ではわからないのですが、胸元はニプルまで見せています。


クールウェイブ?


ボディに響く音楽との相乗効果で、なんともしびれるショーでした。最後にちらっと出てきたサリバンは歓声と喝采を浴び、熱気のなかに終了。

 

ランチは会場から歩いて数分のサヴォイホテルの中にあるサヴォイ・グリルで。

日曜なのでサンデーローストがおすすめ、というわけでローストビーフをいただきました。コーディネーターYumiさんによれば、ゴードン・ラムジーが関わるようになってからこのレストランも格段においしくなったとのことです。

またしてもボリュームに泣きそうになりましたが、向こうのテーブルに座っている父子に癒されました。プチ紳士といった風情の坊や、しっかり気取って紳士の振る舞いをしていたのがなんともかわいかった。

サヴォイホテルのサービスも雰囲気もさすがにすばらしい。次の機会があればぜひこんなホテルでゆっくり過ごしてみたいものです……。

日曜。ホワイトオムレツに懲りたので、朝食はイングリッシュブレックファストにしてみました。これで一人分…。小食なのですべて少量でお願いしますといってこの分量。マッシュルームが巨大すぎて怖い。甘いペストリーが山盛りに(トーストを選ばなかったためではありますが)。ベリーミックスにも焼き物のプレートにもエディブルフラワー(食べられる花)が散らしてある。贅沢な不満だとはわかっているのですが、この巨大な量、むだなおしゃれ演出に、そろそろ泣きたくなってきました……。

さて、気をとり直して朝11時スタートだったはずのアストリッド・アンダーソンのショーに行こうとしたら、直前にスケジュール変更があり、10時にスタートしており、見逃してしまう羽目に。

さらに気を取り直し、ロンドンのキングズカレッジ内で行われていたDanshanのインスタレーションに。ぷちぷちで作られたトラウザーズが目をひく。


でもこれだけ!?

不完全燃焼感が残り、隣接するコートールド・インスティテュートで、印象派展を開催していたので、こちらで気持ちを持ちなおすことにする。ファッション展がしばしばおこなわれている館内でもあるので、それを見ておくためにも、というわけで。


麗しき天井画。

ピアノのふたにもアート。


天井画、シャンデリア、宗教画、暖炉、カーペットというのは、この種の「カルチュア&ヒストリー」の迫力で威圧するための必須アイテムと見えました。


館内のカフェから眺める広々とした中庭。ここでもしばしばファッションショーが行われるそうです。メイン会場の隣とは信じられないほどのゆったりとした時間が流れていて、休憩中のファッションジャーナリストやブロガーらがコーヒーを飲みながら談笑している。イギリスでは紅茶、というのは昔のステレオタイプ。時間が止まってほしいくらいの平和で豊かな光景。

フォートナム&メイソン、セリフリッジ百貨店についても最新のディスプレイを見ておかねば。というわけで駆け足で訪問。

店舗内のディスプレイは、とてもわかりやすく、眺めているだけでも楽しいミュージアムのようになっていました。


フォートナムメイソンの入り口では、トップハットのドアマンがいい味だしています。日頃はとなりのおじさんのような装いなのだと思います。お仕事のためのコスプレ。

セルフリッジ百貨店入口にて。入っていきなり広々とした香水売り場で、文字通りむせ返りそうな匂いに迎えられます。入口に香水売り場があるのは、においを外に逃がしやすくするためだそうです。日頃はブティックでしかお目にかかれない、各ブランドのエクスクルーシブラインがすべてそろっているのもセルフリッジならでは。すべて3万円超えクラスの香水。またとないチャンスなのでいろいろ試香してしばし夢の時間を過ごしてしまいました。

靴売り場が顕著でしたが、こちらもミュージアムのように商品を並べており、一点一点、デザイナーの作品を比べていくのは、まさに美術館体験と似ているように感じました。


ヌーディストのサイクリストたち。文字通りフルヌードで自転車に乗っている人もいるんですよ。驚愕でした。一瞬で走り去っていくので、不快なものを見たという気はせず、眺める人たちも寛容な笑顔で。

メンズファッションウィーク期間は、メイン会場だけなくロンドン全体がお祭りを盛り上げる。メンズの聖地、ジャーミンストリートでも道路でファッションショーをしたり、特別なインスタレーションをおこなったりしています。



ジャーミンストリートの守り神といえばこの方。ボー・ブランメルさま。


ルー・ダルトンの店では、ショーウィンドウに生身のモデルが入り、動いたりおしゃべりしたりしながら最新コレクションをアピール。ルー・ダルトンは女性のクリエイティブディレクターです。モデルはみなつるんとして「かわいい」印象の男の子たち。


写真を撮る人、撮られる人があちこちにいて、地味な賑わい感。


ターンブル&アッサーは長く続いた外壁の修復もようやく終わり、少しリフレッシュされた外観。


おなじみのブランドの「本店」「ジャーミンストリート店」というのはやはり心ときめくものですね。


連日、快晴に恵まれています。スーツでやや汗ばむくらいの暑さ。


ジャーミンストリートから少し外れたところには、ロック帽子店が。「キングスマン」にも登場した、世界最古の帽子店です。



大きな古時計と並ぶ、クラシックな帽子の数々。そして美しい帽子ケース。


上階は女性用の帽子やファシネーターが並びます。ロイヤルアスコットも近いので、帽子を売るには最適なシーズンですね。

試着しているうちに、明日夜のイベント用に最適なハットと遭遇。買ってしまいました。
六角形の素敵なハットボックスに入れていただきました。しかしこれはさすがに日本に持って帰れないので、箱はコーディネーターのYumiさんに引き取ってもらい(収納ケースとしても使え、お部屋のアクセントになるそうです)、帽子はかぶって帰ることに。帽子はかぶりなれないと「じゃま」と感じることも多いのですが、それにゆえにたぶん、帽子とのつきあい方を学ぶよい機会。

11日。Me Londonの朝食、モーニングのメニューに「ホワイトオムレツ」というのがあったので、どんなだろうと思って頼んでみた。クリームソースでもかかっているのかと想像していたら、なんと、卵の白身だけを使ったオムレツだった。見た目はおしゃれすぎるほどなのですが、ありえない味でした。


すべてにおいておしゃれすぎる、というのもやや疲れるものですね……。ホテルに入ると、ホテル自慢のオリジナルのアロマが迎えてくれるのですが、これも狙いすぎの最先端で、疲れて帰ってくるとややついていけない感に襲われます。ホテルのホスピタリティも実に多様。よい経験をさせていただいています。

気をとりなおし、ホテルから歩いて3分の、ロンドンファッションウィークメン、メイン会場へ。

このスーツもアトリエサルトの廣川さん作。今回の出張のために、前回の型紙を使って、途中のフィッティングを省いて超特急で作ってもらいました…。廣川さん、ありがとうございました。

フロントロウに座ってファッションショーに参加するには、やはり空気をぶち壊しにするわけにはいかず、それなりの配慮が必要なのですね。

まずはE. Tautzのショー。
こんな打ちっぱなし風のショー会場。



少しゆるい空気感をただよわせるテーラードを中心に。ハイウエストで、ややオーバーサイズ気味の太めのラインが特徴。


クリエイティブディレクターのパトリック・グラントが、最後にちらっと登場。喝采を浴びていました。デザイナーというよりもむしろマーケッターという印象。E. Tautzを立て直した敏腕”ビジネスマン”としてBBCに特集されたこともあるそうです。

会場には熱烈なグラントのファンが詰めかけていました。ひときわ目をひくイケメンさんがいるなあと思ったら、モデルのデイヴィッド・ギャンディでした。LFWM(London Fashion Week Men’s)のアンバサダーもつとめるスーパーモデル。あちこちで記念撮影に応じていました。

サンダーバ―ドから飛び出してきたようで、あまりにも美しすぎてリアリティがない。笑。

ファッションウィークでは、日頃メディアでしか見かけない有名人が何気なく混じっているのも面白いですね。

10日、午後7時でまだ明るい。一日が長いとなかなか仕事も終われない。かなり体力もきつかったのですが、ソーホー地区に新しくオープンしたRag & Boneのパーティーへ。

店内はラグ&ボーン的なファッションの男女でひしめく。

テラスの壁には一面に骨の絵。

道路にあふれるゲスト。

ストリートファッションに関しては、一時、ソーホーの勢いが減じていたのですが、最近、再び盛り返しているそうです。キティスカートの男子も、何でもないようにしっくりと風景に溶けこんでいます。


午後8時過ぎでもまだ明るく、パブでは人が外で立ち飲み。


今回の取材、ロンドン編は、ロンドン在住のYumi Hasegawaさんにお願いしました。きめ細かにアレンジしていただき、ありがとうございます。


帰途、9時半ごろでようやくこのくらいの暗さになる。夜のロンドンも照明が美しく、ムード満点です。


 

その後、いよいよダイアナ妃展へ。詳細に関しては、後日、活字媒体で書きますので、こちらではさらっとね。



社交界デビューに際し、ハロッズで買ったというドレスからスタート。



学芸員のマシュー・ストーリー氏の解説のもと、ダイアナ妃が社交界デビューから晩年にいたるまでに着たドレスやスーツ、それぞれにまつわるエピソード、デザイナーと結んだ関係、およぼした社会的な影響を学んでいきました。

これまでにかなりダイアナのファッションについては書いたり話したりもしてきたのですが、それでも新たに発見したことが多々。




写真で何度も見て、よく知っていたはずのドレスであっても、細部の工夫のすばらしさはやはり、肉眼で見ると初めて心に迫ってくるものなのですね。

それにしても背の高い方だったのだわ。

原稿はどこから何を書くべきか……。字数制限のあるものを、いざ書いてしまうと、「書けなかったこと」がどうしても出てくるのです。それが気になるとなかなか仕上がらなかったりするのですが、最後には、割愛分もまた書かれたことの厚みにつながると自分を無理やり納得させるしかないのですね。

10日、夕方はケンジントン宮殿へ。ダイアナ妃展が目的ですが、その前に、宮殿内を見学。広大な庭園でくつろぐ人々がけっこう多くて、公園と勘違いしそうなのですが、ここは「パーク」ではなく「ガーデン」。あくまでも、宮殿内の「庭」なのです。




柳のように下に垂れさがる大木。夜に遭遇したらかなりコワそう。


ケンジントン宮殿とは、1689年以来、イギリス王室の王や女王らの住まいとなってきた「ステート・アパートメンツ」です。ジョージ2世とキャロライン王妃、メアリ2世、ヴィクトリア女王、ダイアナ妃らがこの「アパートメンツ」のなかで過ごしました。


天井も壁も、隙間なく美術で埋め尽くされております。



窓から見えるガーデン内の白い像はヴィクトリア女王。その先には広大な池が。


18世紀、ロココスタイルの宮廷衣装も展示されています。間近で見ると、ぎっしりと宝石や刺繍がぬいつけられていることがわかります。壮麗というか、これはまさしく権力を見せつけるための衣装だったのですね……と理解できる。かなりの重さだったことがうかがわれます。



こんな豪華なタペストリーも。保存状態がかなりよい。


ハイテンションの勢いで、「女王の椅子」というのに座ってみました。笑


シャフハウゼンのときも感じましたが、ヨーロッパの曇って3G的というか、厚みがある。

10日、エドワード クラッチリーのショウ。場所はバービカン、シャフツベリープレイス、アイアンモンガーホール。


歴史的価値のある建物で、どんなショウが行われるのか、かなり期待が募ります。


時間、国、ジェンダー、肌の色、文化、全てを越境して紡ぐ、最高級素材を使った斬新なルックが続々登場。


バックステージに紛れこんで話を聞きました。次世代の鬼才ですね。



配られたメモから。”The irrelevance of gender; the relevance of sex.  Prog-rock Mediaeval rivivalism.  The role of Wakashu in Edo-era Japan. Poetry, not romance.”

荒唐無稽に見えますが、すべては一点ものの、彼のために特別に作られたテキスタイルから作られています。間近で見ると、リッチで豪華なのです。

マックイーンやガリアーノを生んだ、これがロンドンの底力。

ダイアナ妃関連の取材。パーソナルデザイナーとしてダイアナ妃のドレスを作っていたアイルランド人デザイナー、ポール コステロ氏にインタビューしました。

こちらが日本人だからこそ初めて語ってくれた、アイルランド人の目から見たダイアナ妃像。日本人ジャーナリストとしてのこの話題でのインタビューは初めてとのことで、記念にさらさらとデザイン画まで描いてプレゼントしてくださいました。貴重なお話の数々、必ずよい形で世に伝えます。

 

 

オフィスの前。立っているのは、息子さんでPRのロバート。

実はポールは現在、復興支援として釜石とコラボレートしてアクセサリーも作っています。


ケースの上に彫られているのは、アイルランドの「愛」の象徴。

 

詳しくは後日、活字で。

日本経済新聞土曜夕刊「モードは語る」。第4回の本日は「ゴープコア(Gorpcore)」について書いております。

Givenchy 2017 SSより。

ノームコアの次なる造語、Gorpcpreとは。

ご笑覧くださいませ。
This is Gorp.

北日本新聞別冊「まんまる」7月号発行です。

連載「ファッション歳時記」第69回。クルト・クラウスが時計界に起こしたイノベーションとその意義について書いております。

5月にお目にかかった伝説の時計師、クルト・クラウス氏。


1985年にクラウス氏が考案した「シンプルな」(!)永久カレンダーの設計図を説明するクリエイティブ・ディレクターのクリスチャン・クヌープ氏。

京都国立近代美術館で行われているヴァンクリーフ&アーペル展。土曜日には、CEOのニコラ・ボス氏と、建築家の藤本壮介氏のレクチャーを聞きにいってまいりました。

インスピレーションに満ちたすばらしいお話と、極められた技の前にひれ伏したくなるほどの圧倒的な展示。

 

フェアファクスブログに書きました。その1、です。お時間のゆるすときがあればご笑覧くださいませ。

 

そういえば、ちょうど去年の今頃、ポール・スミス展の関連講演で、この美術館のこの場所で話していたなあ。こうしてわざわざ東京から京都までレクチャーのために出かけるというマニアな聴き手になってみると、どのように聴き手にサービスすべきなのかが、はっきりとわかってくる…。

 

読売新聞夕刊連載「スタイル アイコン」。本日は、フランスの新大統領エマニュエル・マクロン氏について書いています。


就任式でのスーツは450ユーロという庶民的な価格であることが話題になりました。妻のブリジットが着ているのは、ルイ・ヴィトンからの借り物、と報じられました。

 

スーツをダウングレードすることで得られた支持。興味深い大統領選でした。

機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

北朝鮮のミサイルが今朝もまた発射されました。情勢がいっそう緊迫していることを感じますが、直接、私が交渉に行けるわけでもなければ抗議行動をしてどうなる相手でもない。外交・防衛を担うプロフェッショナルの方々に最悪の事態を防いでほしいと希望を託しつつ、Keep Calm and Carry On.  恐れてばかりいても何もならず、避難といってもどこにどんな危険が飛んでくるのか全く読めない状態。知人のなかにはすぐに上海に飛べるような用意をしているという方もいますが、私は海外に頼れる知人がいるわけでもないし、家族をおいていきたくもない。こんな時の最善の過ごし方は、日常の業務をいつも以上に丁寧に務め、会う人に笑顔を向けていくこと、という気がしています。たとえ能天気に見えようと、とりあえずは淡々といつも通りの日々を過ごすこと。不安のなかでこそ意識的にこのように心がける一日の終わりと、その翌日の始まりが平穏だと、心から感謝したくなります。本当に大切で必要なものとそうでないものがはっきりとわかってくるのも、実は「今日を生きることができた奇跡」を実感するこんな時だったりしますよね。

さて、少し時間が経ってしまいましたが、せっかくの貴重な機会をいただきましたので、シャフハウゼンDay 3 のその2、写真と個人的な印象を中心に、記録だけ残しておきます。

Gerberstubeでのランチを済ませたあとは、再びIWC本社へ。

CMO(マーケティング最高責任者)のフランチェスカ・グゼルとの会談です。マーケティングのプロフェッショナルとしてチョコレートの「リンツ」でも働いた後、引き抜かれてIWCに来た女性です。今回の同行者のなかにマーケティングのプロが二人もいた(竹尾さんと武井さん)ことで、とりわけ質疑のときにはきわめてハイコンテクストな会話が交わされていました。

私が深く共感を覚えたのは、男性社会において女性が最高責任者としてリーダーシップを発揮するための条件の話になったときです。振り返ってみれば私も同じことを感じていたし、他の同行メンバーも大きくうなずいていたので、スイスも日本も変わらないのだなと思いました。これについてはまた別の媒体で機会をあらためて書きます。

(左から谷本有香さん、中塚翠涛さん、フランチェスカ・グゼルさん、中野、武井涼子さん、竹尾純子さん)

少し休憩をはさんだあと、いよいよ「シャフハウゼン会議」。フォーブス副編集長の谷本有香さんの司会のもと、今回、シャフハウゼンであらゆる角度から時計文化に接した4人が、「時」「プロフェッショナリズム」「美」「これからの時代に求められる価値」などをテーマに議論を交わします。詳細はフォーブス7月号に掲載されますのでここでは書けませんが、それぞれの分野を極めた結果、越境して仕事をすることになった4人の見方は各自においては一貫しているものの、互いにまったく違うもので、非常にエキサイティングでした。

まだまだ語り足りない状態でしたが、時間がきてしまい、続きは後に、移動の車の中や食事の時などに交わされることになります(笑)。実際、今回のメンバーがとてもユニークだなと思ったのは、表層的な世間話がまったくなかったことと、女子会的な同意のノリ(「そうよね~」「わかるわかる」)が皆無だったこと。いきなり「本題」的な話が始まり、「いやそれは違う」から次の議論へ続きます。それぞれの人格と貴重な時間を尊重するからこそ、そうなるんですよね。意見に違いがあるからこそ、面白い。相手の人格を尊重し、信頼するからこそ、「違う」と言える。唯一の人格から出てきた、かけがえのない他人の「違う意見」と、同じように唯一の人格から生まれた「自分の意見」を、どのように掛け合わせ、昇華させていくか。その醍醐味を知るからこその深い会話が、なんとも楽しかったのです。


(自由時間はほとんどないに等しかったのですが、熱い会議のあと、少しだけ町に出てビールを一杯、のセルフィ―)

レストランやカフェは道路までテーブルを出し、こんな光景がちらほらと。平和で穏やかな時間が流れていることの、ありがたき幸せを実感します。

 

 

 

 

 

Meiji.net 最終回が公開されました。こちらです

6回にわたり、お付き合いくださいましてありがとうございました。

3日目の朝の第一部は、IWC本社前で誌面用の撮影の後、
シャウハウゼンの町ツアーから。

ガイドさんに付きしたがって、街を歩きます。
修道院の庭。


修道院だった建物の天井の梁にはとげとげがびっしり。鳩除けだそうです。


水量の多いライン川が交通機関として機能し、商業が発達して、また傭兵も多かった地域。その名残が随所に見られました。
噴水の上には傭兵の銅像。


延々と坂を上り、要塞に向かいます。


中はこんな感じの空洞。敵が攻めてきたらこの中に避難するんですね。


ひんやりした石造りの空洞は声の響きもよく、ここでオペラ歌手でもある涼子さんがワンフレーズ歌ってくれました!

屋上には砲台もありました。屋上から見渡す町の、統一感があって美しいことときたら。

翠涛さん、有香さんと屋上でセルフィ―。

町に降りて、ほぼ休む間もなく、クリエイティブディレクター、クリスチャン・クヌープによるDa Vinciのデザインに関するプレゼンテーションを聞きます。

美しさは論理的に作り上げることができるというその明快な議論に衝撃を受けました。こちらも、詳しくは別の媒体で書きたいと思います。

 

本社近くのイタリアンレストラン、Gerberstube でランチ。ピンクの壁、天井の彫刻、大きな時計、鐘など、インテリアがすばらしかったです。お料理はシンプルで力強いイタリアン。

 

午後のプログラムに向けて、再びIWC本社へ。

2日目の最後のアクティビティは、実際に機械式時計を分解し、組み立ててみるという体験。

一切のほこりが入らないよう、白衣を着用し、靴にもカバーをかけて、専用の部屋に入ります。机も特注で、高め。こうするとルーペをつけて時計を見た時に、ちょうど作業がしやすい姿勢になります。

機械式時計はぜんまいばねと歯車で動きます。これが複雑にかみあい、さらに何層にも重ねられていく。膨大な数の数の、しかもひとつひとつ違いのある小さな部品を、人間が削り出し、磨き、人間が手で組み立てているのですね。

 

くしゃみでもすれば吹き飛んでいきそうな細かすぎるねじなど。専用のねじ回しの使い方も教えていただきます。

部品の精密さもさることながら、それらの部品を作ったり磨いたりするための道具もすべて開発されているんですよね。気の遠くなるような叡智の結晶だと感じます。

レクチャーしてもらい、いったん分解した後、その逆の手順で組み立てていきます。不思議なもので、コツがわかると面白くなってきて、もっとやりたくなってしまいます。隣では現役の時計師が見守り、戸惑ったり間違ったりすると、さりげなくやり方を教えてくれます。


全員、無事に修了証書をいただきました! 本当に楽しかった。でもこの作業を朝から夕方までやれと言われると眩暈がしそうになりますが。

みっちり充実したプログラムをすべて終了したあと、ようやくディナー。


Sommerlustという、庭園の美しいレストランです。夕陽を浴びる庭をながめながらのすばらしいお料理を楽しみました。

スイスの夏の夜。ゆったりと豊かな時が流れています。

 

クルト・クラウス氏とのランチのあと、IWC本社に併設されているミュージアムへ。


IWCの歴史が、豊富な資料とともに時の流れに沿ってわかりやすく展示されています。IWCのホームページにも概要がありますので、ぜひご覧になってみてください。

案内をしてくださったのは、キュレーターのデイヴィッド・セイファー。左は、IWCジャパンの広報、南出留理さんです。今回の旅のコーディネートすべてをおこなってくださった、とても感情細やかで聡明な女性です。IWCにはもう7年目とのこと。IWC愛がとても深く、私たちにもその愛はことあるごとに伝わってきました。

素人写真ではなかなか迫力が伝わらないのですが、当時の広告と並べて展示される貴重な時計は、一点一点が重厚な存在感を放っています。

「アクアタイマー」のコレクションでは「2000メートルまで潜ることができる」ことが謳われているのですが、肝心の人間は2000メートルまで潜ることができない。笑。そこにこそ時計のロマンがあるのですね。


父から子へと伝えられていく時計。時の流れを継承する、という意味でも。

その後、本社の会議室へ移動。Da Vinciコレクションを含む、IWCのすべてのコレクションを、すべて直接手に取って眺め、時には実際に着けてみます。

(このたび発売された、Da Vinciコレクション。IWCのホームページより)

 

これだけたくさんの時計に触れていると、自分が好きな時計というのが、ほぼどのタイプかわかってくるんですね。歴史家の目で見ると、だんぜん男性用の複雑時計がすばらしいと思うのですが、実際に着けてみると、サイズも雰囲気もまったく似合わないことがわかります。

全員が「似合う」と言ってくれたのが、ダイヤモンドがケースにセットされた36ミリ女性用のポートフィノ。自分でもきらきらがついているとしっくりくるのがわかります。笑

 

 

Meiji.net 第5回 「日本のファッションの常識は世界の非常識」。公開されました。こちらです。

同じことを100回くらい(←おおげさ)書いたり話したりしているような気もしますが。

 

お時間ゆるせばご笑覧くださいませ。

Meiji.net  トレンドウォッチ第4回 「プラスワンアイテムの効果」、公開になりました。

こちらです。

 

お時間ゆるすときがあればご笑覧くださいませ。

大学の先生がこんなアイテムをすすめていいものか??と生真面目な私はしばし躊躇しましたが……。しばらく考えて、しかし、なぜこんな不便きわまりないものがいまだ根強く生き残っているのか?を考えるための体験アイテムとしてならよいのかな、と。見えないところなのですが、下着が人の意識に与える効果は侮れないのです(男性・女性ともに)。もちろん、他に考えるべきことが山ほどあります。ぜひにとは言いません。

ライン川の滝の間の崖の中にしつらえられたエレベータ―に乗り、頂までのぼると、なんとも瀟洒なレストランが現れます。

 

「シュロス・ローフェン」。

快晴で風も心地よいので、外のテーブルでランチをとることになりました。

伝説の時計師、クルト・クラウスとのランチです。クルトさんは現在82歳ですが、IWCの旧開発部門トップでした。あの「永久カレンダー」の実現に成功した方で、クオーツ革命の打撃を受けていた時計業界を救っただけでなく、その後の徳のあふれる行動もあいまって、世界中の時計関係者から尊敬されている時計史におけるレジェンドなのです。

インタビューの内容についてはフォーブズ誌に掲載される予定です。また、それとは別に、私なりの視点からもこのレジェンドについて機会をあらためて書こうと思います。しばしお待ちくださいませ。(「まんまる」次号に書きました。)

謙虚で気取りなく、質問を真摯に聞いて、よく考えてから的確な答えをくださる頭のよい方で、その場にいた全員はクルト・クラウスの大ファンになりました。

その後、車に乗って再びIWCの本社へ向かいます。午後もみっちり時計の世界を多角的な視点から学ぶことが予定されております…。(その3に続く)

 

#IWC × Forbes Japan “Code of Me”

 

 

Meiji.net 第三回、Signature Fashionについて。公開になりました。

お時間ゆるすときがありましたら、どうぞご笑覧ください、こちらです

本音の、正直なところをいえば、

実は当初いただいた質問のなかには「どんな店で服を買うといいのですか?」「店員との付き合い方は?」はじめ、あまりにも即物的でハウツーすぎるものが多く、これにまともに答えていると、( インテリぶるつもりはかけらもありませんが、) こんなことを大学で教えているのか?と誤解されるかもしれないという内心のおそれがありました。

アカデミックな場でファッションを論じることについて、機会をいただいてからのこの10年、もっと違うレベルで戦ってきたつもりでした。でもやはり情報の発信が圧倒的に足りないのか届ける力量不足なのか、世間の思い込み(ないし無関心)とのギャップは相変わらずです。

世間の需要との兼ね合いの中で、やや妥協的な発信も時にはせざるを得ない時もあります。それさえも信用として積み重ねていけるかどうかは今後の仕事次第ですね。(気を引き締めるための自戒でした)

 

鳥の鳴き声で目覚め、ライン川を眺めながらの朝ごはん。

昨夜かつてないほどのボリュームのシャリアピンステーキをいただいたはずでしたが、ブッフェ形式で用意されたすべてのメニューが最高でした。とりわけ、半熟卵をお願いしたら、こんなかわいいウォーマーのなかに入れられてサーブされました。

午前中はまずIWCの本社へ。
本社前で記念写真。

今回の旅のメンバー。左から、マーケティングのプロフェッショナルにして二期会オペラ歌手の武井涼子さん、書家の中塚翠涛さん、中野、円谷プロダクション取締役の竹尾純子さん、そしてフォーブズジャパンの副編集長にして経済キャスターの谷本友香さん。全員、越境型のプロフェッショナルです。
まずは広報担当の方から、IWCの歴史のレクチャーを受けます。

これがとても興味深く、ブランドとは何かという問題を考えるヒント満載なのですが、内容については長くなるので、あらためて別の機会で書きます。

その後ファクトリーへ移動し、それぞれの部門でどのように時計が作られているのかを間近で観察し、ときには作業を体験させてもらったりします。カメラマン以外撮影禁止の場所も多く、そのあたりの具体的な話は、後日、フォーブズジャパン誌が詳しく報じる予定です。ルーペで見なくてはわからない細かな部品をすべて人の手が創り出し、人の手が磨き、人の手が組み立てていく。およそ400人の人が従事するその工程を見たあとは、時計に対する見方が一変しました。

ファクトリーがランチタイムに入り、一行はラインの滝へ。



ボートに乗って至近距離まで行くのですが、滝の轟音、水しぶき、迫力、美しさ、すべてにおいて形容などとてもおよばない圧倒的なスケール。

 

滝の間から魚がぴょんぴょん出てきたりして。


接近すると、かなり水しぶきを浴びます。晴れててよかった。

ラインの滝の水まで売ってるあたり、さすが観光地。


ちなみに今回の旅にはカメラマンが二人、同行しています。上は翠涛さんのセルフィ―ですが、後方に二人、カメラマンがいます。左はスティルカメラマンの原田康平さん。上はパリ在住のムービーカメラマン、小田光さん。写真右の美女は、IWCの広報担当の方です。
そしてランチをいただくレストラン目指してひたすら上へ上へと昇っていきます。(その2に続く)

Forbes Japan と IWCの共同企画、「The Code of Meの旅」にお招きいただき、スイスのシャフハウゼンに来ています。

 

シャフハウゼンはIWCの本社を擁する美しい街。スイスの国境にあり、宿泊は国境を越えたドイツのオーベルジュです。これから毎日、国境を越えて(といっても警護がいるわけでもなく、いたってのんびりとしたもの)取材に行くことになります。

ホテルは「レストラン&ホテル アルテン ラインミュール」。高級ヒュッテのようなインテリアのレストランからは、豊かな自然とともにあるライン川の流れを眺めることができます。


部屋に入ると、IWCからの美しいチョコレートとカードが。

部屋のなかはきめこまやかなあたたかさを感じられる居心地のいいインテリアです。水回りも快適で広々としており、ハイテクは一切ないのですがコージーな雰囲気でくつろげます。

 

初日の夜は、今回のメンバーである円谷プロ取締役の竹尾純子さん、オペラ歌手にしてマーケティングのプロフェッショナルである武井涼子さん、書家の中塚翠涛さん、Forbesの谷本有香さん、そして動画・スティールのカメラマンである小田光さんと原田康平さん、そしてIWCのプレスである南出瑠璃さんと顔合わせのディナー。今の季節は日が長く、21時ごろまで明るい夕日が照らすライン川の風景を楽しみながらの食事で盛り上がりました。

細部まで手の込んだおいしいお料理でした。とりわけシャリアピンステーキが最高でした。ハーフポーションでも二度に分けて供され、それぞれのボリュームもたっぷりで、やや日本人には多すぎるかもしれない
…。しかし絶品。

 

雲と空のバランスが刻々と変わり、雨が突然落ちてきて、止んだと思ったら虹が現れ、その虹が二重になり、それぞれがさらにライン川に映され、4つの虹を見ることができたという幸運。

ライン川の流れは思ったよりはるかにスピードを感じさせ、夕日の照り返しを受けて木々の色がドラマティックに変わっていきます。幻想的な光景でした。

翌日からハードにスイス時計文化の取材が始まります。

本日の日本経済新聞 The NIKKEI Styleに、4月にドルチェ&ガッバ―ナにインタビューした記事が掲載されています。写真も美しく、目の覚めるような紙面になっています。ぜひぜひ、ご覧くださいませ。

ショウのこと、ディナーのことも書きたいことはたくさんありましたが、紙幅の関係で割愛せざるをえなかったのが心残りです……。

それにしても本当に豊かな時間だったなあ。パークハイアットでの単独インタビューも、101人の男女日本人モデルを使った壮大なショウも、スカラ座を移した赤テントでのディナーも。そして送られてきたデザイナーからのサンキューカード。けた外れのラグジュアリーを体験し、デザイナーの誠実な人柄にふれ、多くのことを学ばせていただいたお仕事でした。

明治大学情報サイトMeiji.net 第二回が公開されました。こちらです。

自分のいやなところもすべて受け入れるというのは、ほんとうに勇気のいることですよね。でもすべてはそこから始まるということも実感しています。世間の誰か(あなたの勝手な思い込みかもしれない)が決めた「すてきな理想」、その理想に至らない自分に苦しむという非生産的なことはいったん手放して、今、この瞬間に何をすればこの場を最大に輝かせられるのかということにあらゆるエネルギーを集中する。その命の輝きのような印象が時間とともに積み重ねられていき、それが魅力として他人の心に焼き付けられていく(こともある)のではないかと感じています。

あらゆる命は、類例がないからこそ、「ほかに似てるものがない」からこそ、貴重で、価値があるのです。規格や「平均」や「標準」に近づけたいって、それ、工業製品のことですか?

 

☆ちょっとくどいかもしれませんが、他SNSで質問があった(欠点を曝すことは自己満足に堕すことにつながるのではないか?という趣旨)ので、「欠点を強調する」と言うことに対しての私の考えを補足しておきます。

ここで言っているのは欠点を曝す、というよりも、世間が欠点と評価していることに対して恥じない、という程度の意味です。他人の不快をものともせずに「どうだ!」と開き直るのは厚顔無恥で、それこそ自己満足に堕しているだけだと思います。

「欠点」とされていることに恥じることなく開き直ることもなく、自分自身がそれを受け入れていることを示し、やるべき行動をする、そこに好感が生まれていき、その暁には「欠点」とされていたことがチャームポイントにさえ転じることがある、そのような意味です。

外部記者の方による疑問に答えていくという形のインタビュー記事、しかもボリュームが限られていることもあり、つっこみどころが満載かと思います。お気軽にご意見をいただければ、意図するところを可能な限り答えさせていただきます。

 

 

 

おかげさまで、第一回めは同サイト内で読まれている記事ランキング第一位を獲得しました。ありがとうございました。

フェアファクス公式ブログを更新しました。こちらです。

4月25日に駐日アラブ大使夫人の会の昼食会にお招きいただいたのですが、その詳細を記しております。3部作で、ちょっと長いです。

どうして私なんぞがこんなところに??という経緯は「その3」で記しています。私は予想外の幸運に恵まれることが多いのですが、それは、ほんのささいな心がけというか「枠外し」がもたらすものなのかもしれない、と感じることがあります。ちなみに、同じ態度によって「常識」的な幸せをばんばん逃しています(いちいち言わないだけです)。常識的に見て「決してよいほうではない」ことも含め、瞬間瞬間の小さな選択の積み重ねが、現状なのでしょう。

 

お時間のゆるすときあれば、ご笑覧くださいませ。

 

 

明治大学が運営するMeiji.net 。本日より6回に分けて「トレンドウォッチ」に登場します。

主に30代前後の社会人を読者対象として意識し、明治大学の教員が外部のライターさんの身近な疑問に答えていく、という形式のコーナーです。

小難しいことは言わず、「ファッション」に対して若干の抵抗や不得意感を感じている方にもリラックスして受け取っていただけるような回答を心がけました。

お時間の許す時にでも、ご笑覧くださいませ。

それにしてもこの場違い感はなんというか…… まじめにやればやるほど私のコーナーだけがジョークみたいな気がする。

本日の日本経済新聞、The NIKKEI Styleで、女性のパワースーツの歴史と現在について書いております。キャプションもすべて書きました。

紙も上質でクラスマガジンのようなThe NIKKEI Style、機会がありましたらぜひご笑覧くださいませ。

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。

本日は、スコットランド民族党(ウィキペディアなどでは「スコットランド国民党」となっていますが、こちらが読売新聞での統一訳語ということで、そのように表記しております。Scotland National Party)党首にしてスコットランド首相のニコラ・スタージョンについて書いています。

ほんとにワクワクさせてくれる方です。

それにしてもこの写真。スコットランド首相とイギリス首相が並ぶ迫力ある写真ですが、デイリーメイルは正直すぎるタイトルをつけて、性差別主義だとバッシングを浴びました。ブレグジットとレグジットがだじゃれになっている、いかにもイギリスのおじさんが好みそうな見出し。

これはメイ首相がEU離脱を正式に通知する前日におこなわれた会談の写真。2人とも靴が印象的。メイ首相はあいかわらず奇抜で、ヒョウ柄にゴールドの装飾があしらわれた靴。二人ともふだんは赤をはじめカラフルなのですが、シリアスな会談のときは二人ともネイビーを着るのですね。

 

本紙記事には上の写真は掲載されておりませんが、この写真も頭の片隅に思い浮かべつつ、あわせてお読みいただければ幸いです。

Dolce & Gabbanaのデザイナー、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバ―ナが20年ぶりに来日。日本経済新聞のご厚意により、単独取材をさせていただきました。新宿パークハイアットにて。

左からステファノ(右腕に自分の名前のタトウーを入れている)、The Nikkei Style担当の太田亜矢子さん、中野、ドメニコです。

フェミニニティの話題になったときに、ステファノに”Are you Japanese? You’re super feminine.” と言われました。笑。女装が効いたのか。

面白ボキャブラリーが満載の、充実したインタビューでした。

詳しくは後日、The Nikkei Styleにて。

パークハイアット内のジランドールでランチをいただきながら、6月のファッションシーズンに向けて太田さんともろもろの打合せ。


やはり取材をしたり話を聞いたりするのは最高に楽しいなあ。新聞の世界では「取材に行ってメモをとってくるのは<下>の仕事で、<上>はそれを見て記事をまとめる」という序列?もあるそうなのですが、ファッション記事に関する限り、現場の空気感を体験してみてはじめてわかり、書けることもある。ドルガバの本質を2人の話しぶりから感じられた、とても手ごたえのある取材になりました。感謝。

一般社団法人社会応援ネットワーク(高比良美穂 代表理事)が出版する、若者応援マガジンYell  vol.2。

スーツについて取材を受けました。「仕事と服装の関係について教えてください」というタイトルで、話したことをまとめていただいた記事が掲載されています。

フリーペーパーです。

こちらからより詳しい中身をごらんいただけます。

昨日より、日本経済新聞  土曜夕刊での新連載が始まりました。

スタートの日が3月11日になったのは偶然ではありますが、決して驕らず、使っていただけることに感謝して努力を続けるようにという天からの声とも感じ、身が引き締まる思いがします。

日本経済新聞において7年ほど毎週続いた連載「モードの方程式」を卒業してから、ほぼ10年経ちました。もう10年。熱いカムバックコールにお応えし、連載を再開することになりました次第です。(厳密にいえば、最初の「地球は面白い」を加えて3度めの連載となります。)

さすがに今お引き受けしている仕事量では毎週とはいかず、月一度の連載となります。

「モードは語る」。

世界のファッション現象を、キーワードをたどりながら追っていきます。初回のテーマは、「ジェネレーションM」。ムスリム、ミレニアム、モダン、モデスト。

生かされている意味を考えるべきこの日に、かつてのご縁が再び繋がる仕事が始まることを、厳粛に受けとめています。驕らず、必要とされる場で、ささやかであれ求められる貢献ができるよう、精進します。

ヴィスコンティ「家族の肖像」デジタルリマスター版が、11日より岩波ホールで上映されます。

10日(金)朝日新聞、11日(土)読売新聞に掲載される広告のコピーを書きました。

家族の肖像 コピー

39年前の映画ってこんなにもゼイタクだったんですね。スカッとするとか感動するとかというわかりやすいフィールグッドな感情は与えてくれません。この世の人とは思えない美男美女が、ゴージャス極まりない衣装に身を包み、圧倒的に美しいインテリアの中で、不快な、あるいは掘り起こされたくない感情を、ぐいぐいえぐってきます。見るだけで心が鍛えられそうです。

表層だけ無難な「いい人」をやりあっている人間関係にげんなりしている人は、倒錯した快感を味わえるかもしれません。ヴィスコンティは、クセになります。

kazoku no shouzou pic

 

シルバーナ・マンガーノが着る衣装の数々を見るだけでも眼福です。このファーを見よ。フェンディと衣装デザイナー、ピエロ・トージとのコラボ。今回のデジタル修復版は、2013年にフェンディがミラノに新旗艦店をオープンした際の記念プロジェクトの一環として制作されています。

kazokuno 2

明治大学リバティアカデミー 2017年度春期講座のご案内です。

「時代を切り開いたスタイルアイコン: そのスタイル・言葉・行動から今日を生き抜くヒントを学ぶ」

5月24日(水)19:00~20:30

中野キャンパスでの最後の公開講座になる予定です。

一方向のレクチャーではなく、小人数で、参加者のコメントも聞きながらすすめていきます。

ご案内はこちら。申込み開始時には、またアナウンスさせてください。

 

年末に日刊工業新聞より受けていたインタビューが、記事になりました。

「わが友 わが母校」、大学時代の思い出を語るコーナーです。どさくさにまぎれて、アークコミュニケーションズ社長、大里真理子さんに登場をお願いしました。アークコミュニケーションズさんには、このウェブサイトを作ってもらっています。

(写真は、23歳ぐらいのときの、ある結婚式の二次会です。リボン&ロングヘアの真理子さんというのは今のバリキャリな姿との相当なギャップがあるし、私のキモノというのもどこかのクラブのマダムですかという)

 

つないでくださったのは、明治大学国日OGで日刊工業新聞社勤務の月岡亜梨沙さんです。なんだか最近は卒業生に引き立ててもらうことが多い。時間を経てつながるご縁というのは、またひときわうれしいですね。ありがとうございました。

nikkan kogyo

 

会員登録が必要にはなりますが、こちらの公式サイトでもご覧になれます。

昨年の秋におこなわれました銀杏会での講演会の概要レポートです。銀杏会 

銀杏会 3銀杏会 2細部まで詳細に再現してくださっていて、恐縮です。

ほとんど字が小さくて見えませんね。ごめんなさい。「ファッション学」のところだけ、以下に抜き出します。

【ファッションを「時代を、社会を、人を、あなたを形づくるもの」と定義している。「あなたを形づくる」構成要素を考えると、職業や社会的地位もさることながら、服/ヘア・メイク・グルーミング、食事・睡眠・生活習慣、ことば・教養・知識、立ち居振る舞い・表情・作法、つきあう人・住む環境、政治や経済がつくる社会環境、本・映画・音楽、マインドが大事である。こう考えると段々倫理学に近くなってくる。心の持ち方が変わると人は見え方も変わる。学生の成長を見ているとそう実感する。「InputOutputを繰り返す、ActionReflectionを繰り返す、SocialSolitudeを繰り返す、Be PreparedChallengeを繰り返す」ことにより人はアイデンティティが強くなっていく。学問の最終目標は「想像して愛すること」。異文化を受容して理解して愛すること。ひいては世界平和のためにあると思っている。】

 

青臭くてしつれいしました。

 

ところで、銀杏は英語でGinkgo 。ぎんなんは、Ginkgo nutと表現します。

卒業して数年経ったルーマニアからの留学生の教え子が、日本文化やアートに関する記事を書くライターとして活躍しています。そのMs. Cezara Miclea が、私のインタビュー記事を書いてくれました。ルーマニアのアートサイト、Art Outに掲載されました。

ちょっとこっぱずかしいですが。愛情を注いできた教え子と、卒業してから時間が経っても、国を隔てても、思わぬところで、こんな形でつながることができるのは、とてもありがたいことですね。Thank you, Cezara.

cezala

 

自画自賛っぽくて恐縮ですが、前文では、こんなふうに紹介してくれています。あつかましく、以下にコピーさせてください。奮闘してきたことや思いが少しでも伝わっていたんだと感じられて、嬉しいです。電池切れしそうでしたが、あと少し、がんばれそうです。

“Professor Kaori Nakano is teaching fashion at Meiji University in Tokyo. I met her six years ago, when I chose her course about fashion at the same university, and she doesn’t cease to amaze her audience with her enthusiasm, her love for fashion, and her charm. She loves teaching and partying, and she is considered the leading expert in Dandyism and Gentlemanship in Japan. “

SPUR 3月号発売中です。

別冊 「靴&バッグ 新作コンプリートブック」巻頭で、靴とバッグの役割について語っております。

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「”ひとりダイバーシティ”時代の今、必要なのは靴なのか、バッグなのか?」 笑えるタイトル。として聞こえていればありがたいですが。

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機会がありましたらご笑覧くださいませ。

元ファーストレディ、元大統領、元副大統領、毎日のように届いたそれぞれの『最後のスピーチ』にいちいち感動しながら、自分自身の2016年度『最後のレクチャー』がいくつも続いた、ハードながら感慨深い2週間でした。

 

笑いと刺激と友愛にあふれていて、毎週楽しみだった今年度プレゼミ(officially 教養講座)も昨日が最後でした。

オバマ、バイデンのブロマンスな(笑)スピーチに思いを託しつつ。

「心から生まれたものは、心に届く」。

1.23.2-17

みなさんほんとうにありがとう! (記念に、拙著にひとりひとりにぴったりだと思う言葉を入れて一冊ずつ贈りましたため、全員、本を手にしています。宣伝ぽくて恐縮です。)

 

 

ちなみに男子はほぼ全員が「リア充」。オフ時には、クリスマスや誕生日にいかに知恵を絞って彼女を驚かせたかという自慢?話披露会(OBもそうです。その技に磨きがかかっていく)もあり。「若者が恋愛しなくなった」という一般論は、あくまで曖昧な一般論でしかないことがよくわかる。

多くの無邪気な「恋する男子」を見ていて得た結論です。☟

男子というものは、あらゆる知恵と体力を総動員して女性を驚かせることに生きがいと喜びを感じるものらしい。

 

逆に、「彼女にサプライズのプレゼントをもらうのは嬉しいけど、ちょっと悪いなと思う。こっちがいろいろ考えて驚かせ、喜ばせてあげるほうがはるかにうれしいし、楽しい」そうです。

 

 

もちろん、そんな話ばっかりしていたわけではまったくありませんが。笑

今年度もまた、新鮮な学び合いの場に恵まれたことに感謝します。

 

 

読売新聞 夕刊連載 「スタイルアイコン」。本日は、ビル・ゲイツ氏について書きました。機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

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Bill and Steve

ジョブズとゲイツ。年月とともにその人の本質めいたものが外に現れてくる……ということがうかがえる写真。

実は長年の隠れファン。富豪だからではなくて、あのヘアスタイルとメガネ、ラベンダー色のグランパセーターのビル・ゲイツは、あたたかさと寛大さに満ち溢れて(いるように見えて)、見ていて飽きない。

Microsoft Chairman Bill Gates (L) looks on during a news conference at company headquarters in Redmond, Washington June 15, 2006. Microsoft announced that effective July 2008 Gates will transition out of a day-to-day role in the company to spend more time on his global health and education work at the Bill & Melinda Gates Foundation. After July 2008, Gates will continue to serve as the companyÕs chairman and an advisor on key development projects. Robert Sorbo/Microsoft/Handout

 


Your most unhappy customers are your greatest source of learning. (by Bill Gates)

文句を言う客からも学ぶ姿勢。見習いたい…。

関西日英協会設立80周年記念誌。1935年以降の、イギリスの状況、日英協会の活動、会員からの寄稿などが豊富な写真とともに記録、掲載されています。

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80周年記念講演会「ロイヤルな生き方」の模様も掲載していただいています。ありがとうございます。

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こうして、活動を記録し、まとめておくということは大切ですね。それがメンバーにとっても帰属の喜びにつながるし、組織(ブランド)の重みというかステイタスを生むことにもつながります。後日、思わぬページがどこかで役に立つこともあります。

日々流れていきがちな個人の記録も、積み重ねてまとめあげると、意外に大きな「ストーリー」になることもありますよね。

 

会員の方々の寄稿を読んで、イギリス文化に造詣の深い、教養も社会的地位も高いメンバーが、関西だけでこんなにも大勢いらっしゃるのだと知り、生半可なことは書いたり話したりできないなとあらためて身が引き締まる思いがしました。知らないことはまだまだたくさんある……。

重ねて、80周年おめでとうございます。

 

北日本新聞別冊「まんまる」2月号が発行されました。img080

 

連載「ファッション歳時記」第64回。「着てみてわかる、鹿鳴館」。

年末に鹿鳴館コスプレをさせていただいた経験をもとに、服が立ち居振る舞いに及ぼした影響を書いてみました。

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今回はプロフィル写真も鹿鳴館バージョンです。

フェアファクス公式ページの連載ブログを更新しました。

30年前の1987年にロンドンのマリー・クヮント社から送られてきた茶封筒が呼び起こしてくれた「原点」およびそこから連想したことを書いています。

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こちらです。お時間のゆるすときにでもご笑覧くださいませ。

 

“They go low, I go high.” (by Michelle Obama)

11日の半・分解展記念トークショーの内容の一部が、Dress Up Men のサイトにアップされました。

第一部 歴史編はこちら

第二部 テイラリングの現状と未来編はこちら

とりわけ、第二部の話は現場の生々しいお話は貴重。「手縫いの服など要らなくなる」未来に、テイラーが生き残るためにはどうすればいいのか。テイラーばかりではない。人間の手による仕事の多くがテクノロジーにとってかわられる時代に、仕事を続けていくためにはどうすればいいのか。

考えさせられました。ご覧くださいませ。

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その1)(その2)(その3)から続く

今回の最後の取材場所、高円寺の尼僧バー。中野にある坊主バーの姉妹店です。

BGMにお経が流れ、ルームフレグランス?として線香がほのかに香る、こじんまりしたバーのカウンターに立つ「尼僧」は、あれっというほど、ごく普通の主婦でした。聞けばご結婚もしていて、お子さまもいらっしゃるとのこと。口の悪いいでさんは「保育園落ちた 日本〇ね」風の主婦、というような形容をしていましたが(^^;)

尼僧といえば瀬戸内ジャッキーのような風貌の方を想定していたので、やや肩透かしでした。

この尼僧の宗派は真言宗。真言宗は「どちらかといえばゆったりしている」ので、頭髪も丸める必要はないし、結婚してても子供もいても可なのだそうです。なんだ、パートタイムのように尼僧がつとまるのか? 目指そうかと真剣に考える。

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ありがたい名前のカクテルが数種類あり、飲むだけで解脱できたり涅槃に行けたりしそうな感じ。

尼僧バーはお客様というか「信者」の夜中の駆け込み寺のようになっており、客は尼僧ママに悩みや苦しみを聞いてもらいにくるのだそうです。

「いちばん多い煩悩ってなんですか?」と聞いてみたところ、すかさず、

「愛欲ですね」

という答えが返ってきました。「出会いがない」という悩みもよく聞く、とのこと。

ちなみに、いでさんの煩悩は愛欲ではなく物欲だそうです。画伯は自由欲、金森編集長は金銭欲……。

 

当初、尼僧バーで尼さんから煩悩を叱り飛ばしてもらうという趣旨だったので、「煩悩の金字塔」コスプレがウケるかと思い、タダシ・ショージの金きらドレスに着替えていきました。靴もイヤリングもゴールドです。観音像か。現場ではかなり違和感があったようで、「カウンターの女性がガン見してましたよ」といでさん。いや気付きませんでした(鈍感なシェンシェー)。

4人それぞれの煩悩を聴いていて思ったことは、本誌ルポに書かれているとおり。

自分の中にかけらもないものに関しては、そもそも欲しがることすら知らなかったりする。

ちなみに私はたぶん煩悩が希薄です。夢見たこと、強く望んだことが叶ったという経験が一度もなかった。そんな苦い経験を何度か繰り返しているうちに、そもそも「欲」など持たなくなっていきました(最初からこれもきっとムリ、とあきらめの制限をかけてしまう、というか)。欲を自制すると、執着もなくなり、日々、あるもので足りて、案外、ハッピーに暮らせるものです。

「それはアンタが恵まれた立場だから」ということを言われたことがありますが、それは逆なのです。身の丈に合わない欲や、どんなに願っても叶わない夢をあきらめて、目の前の現実のことを損得抜きに最善化することだけを考えて行動するようにしました。その結果、思いもかけないときに、予想もしなかった方から、想定外の幸運がもたらされることが時折あった。恵まれているから欲がない、のではない。欲をなくして人に尽くしたから、少なくとも仕事には恵まれた、と思っています。

(そもそも、別の視点から見れば、私などシングルマザーの苦労人だし、将来もおぼつかない不安定な身分だし、現実には恵まれてるどころか常に崖っぷち…)

 

たとえ今は多少、状況が良かったとしても、人間界のことだからほんと、一寸先は闇。ちょっと浮わつけばこれまで築いたものすべてが瓦解してしまう。幸運をもたらしてくれるのも人間なら、人を地獄に陥れるのも人間。そんな針の筵な世界にあるからこそ、我欲を捨てて、少なくとも捨てるフリして、他人のために尽くすことが、最終的に、自分を生かすことにつながるのではないか。

おっと悪ノリしてさらに説法くさくなったぞ。

現実に煩悩で苦しまないと、ジャッキーのような重みのある説教はできないのかもしれない。それは一理あるが、古今東西の煩悩の行方の法則を学んできた学徒(古き良き時代の「文学部」の底ぢから)にもひょっとしたら尼僧の末端に加えていただくことも、ありえないことではない……と思えたことで、少し将来に希望の光が見えてきた気がします。

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解散したのは結局、12時近く。早朝の登山から深夜のバーまで、ほんとうにおつかれさまでした。得難い体験をさせていただき、楽しかったです。ルポの誌面は一生の記念にしますね。ありがとうございました。

さらなるアニヴァーサリーをめざしてがんばってください!

裏ルポ 終

【ゲストの立場から見たら現場です。勝手に書いてる裏ルポ(その1)(その2)から続く】

ひととおり全員が作り終わり、ようやく全員がほっとして座ることができる時間が訪れました。食べながら品評会と100回を顧みるの巻。

連載を続けるなかで受けたクレームやら行ってきた謝罪やらの数々も、今では半分笑い話になっている。現代の日本社会はささいなクレームに異様に過敏で、主催者側がすぐに作品を撤回したりプロジェクトを中止したりということが多々ありますが、「ナウのれん」は、クレームを何度も受けながら、がんとして連載が続いている。ある方を激怒させ、厳重な抗議を受けたときには、一度、表向きは連載中止にしたという。でもすぐに別のタイトルに変えて連載を復活したとのこと。出版社や編集部の肝の据わり方もあっぱれだし、それにめげず、ギリギリのラインで面白さを追求することをやめない画伯&いでコンビのクリエーター魂もたいしたもの。

そんなこんなも乗り越えての100回だから、偉業ですよね。

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ちなみに、男子4人はビールで。「シャンパンとのマリアージュ」料理は、ひたすら「シャンパンと白ワインしか飲まない」(←今回のキャラ上)シェンシェーが気に入るかどうかを考えて作られたのだった。ネタ的な役柄とはいえ、いやもうほんと、感動しました。役得感謝。それぞれの個性がフルに発揮されたプレゼンテーションで、順位なんてつけられませんよね。

ネタ的な役柄だからこそ、本誌のルポには冠に「美人」とつけられるとか「わたくし」語りとか、嫌がらせに近いムリもありましたが、戯画化された虚構のキャラクターということで。読者にしてみれば、非日常的なキャラのほうが面白いですもんね。

ちなみに、「中野シェンシェー」キャラをこのように書いたことで、いでさんはけっこう内心ビクついていたらしい。「怒ってない?」と心配していました。本が出てしまってからですが(遅いし。笑)

 

 

それぞれの料理ぶりから連想した単語をくっつけたリング名です。レスラーか。

ブリコラージュ綿谷(Bricola Wata)
マイウエイいで(My Way Ide)
スキルド市川(Skilled Ichi)
ビスマルク金森(Otto von Kanamori)

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私からは、連載100年を祝って、スペシャルケーキをプレゼントしました。編集部からは、ナウのれんのチケットが巻かれたシャンパンが。
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いでさん、綿谷画伯、市川さん、金森編集長、あらためて、連載100回おめでとう!

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キッチンの片付けも怒涛の速さで済ませ、出る前に記念写真。

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ここのレンタルキッチンはおすすめです。火力は強いし、あらゆる調味料や器具や食器がそろっているので、材料を買いこんで自分たちでわいわい作りながら楽しめる。お料理ぶりからそれぞれの人がらの一端もうかがい知ることができるのは、なかなか楽しい。

また来たいな!(料理男子を連れて)

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そして一行は三軒茶屋から高円寺へ向かいます。

(裏ルポは続く)

(裏ルポ その1から続く)

編集担当、市川さん作のお料理です。まず一品めは、魚料理、カジキマグロのムニエル。バルサミコ酢を仕上げに少し加えたのが工夫のポイントだそうです。このお酢の酸味によってムニエルがひきしまるとともにシャンパンと連携しやすくなり、料理とお酒の相性がぐっとよくなるのですね。なるほど、たしかに! 論理的です。
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そして市川さん二品めは、牛肉のタリアータ。中までしっかり火が通っていて、素材の味を活かした王道のおいしさ。見た目もきれい。当然、シャンパンがますます進みます。これは他のメンバーにも大人気で、あっという間にお皿が空になりました。

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市川さんはメインとしてボリュームのある魚料理、肉料理に真正面から挑んだわけですね。論理的な工夫もさしこみながら直球で堂々と勝負してくるガッツに誠実な仕事魂がにじみ出ていました。

そして三番目に仕上げてきたのは、いでさん。白菜と豚肉をミルフィユ状にして、ほぼお醤油+αだけでシンプルに蒸しあげた「白菜Nabe」です。「水を一滴も入れてないから、栄養たっぷりで美味しいんだよ、これが」という自信とともに、鍋ごと「でん!」というイメージで出してくださいました。

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たしかに、芯からあたたまり、滋養を実感できます。おいしいことにはちがいありません。……しかし、シャンパンとの相性となると? まあ、合わないということもない。どっちかといえば焼酎に合うような…。

鍋の中身が半分くらいになったところで、お豆腐と、おうどんを入れて、「二度おいしい」お料理に。

お題「シャンパンとのマリアージュ」をあっさりスルーし、わが道をいく自信作で強引に勝負をかける、ルール無用のマイペースぶり。これがやっぱり、いでさんなんだなあ。

そしてトリとして登場した金森編集長のお料理。まず一品めは、さきほどの、丁寧に下ごしらえされたビスマルク風アスパラとチーズのオーブン焼き。アンチョビーが効いた絶品です。アスパラの歯ごたえが快く、シャンパンとのマリアージュという点でも合格。

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そして金森編集長2品目。豚肉に切り込みを入れたり、フレッシュオレンジを絞っていたりと、やはりバックステージでの仕込みがとても凝っていて、料理する姿が絵になるし、プロ級だなあと眺めていたのですが、

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仕上がってきたのが、豚肉のオレンジ&ハニー&マスタードソースがけ。シャンパンといえばフルーツと相性がよい。だから、オレンジを加えることでシャンパンとのマリアージュは成功するはず」と金森編集長。きわめて論理的なのです。

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しかも上質な粒マスタードのぴりっとした辛みも効いて、非常においしい。ポークはシャンパンと合わせにくいという偏見が一掃されました。「これまでシャンパンと一緒に食べたポークのなかではいちばんおいしい」と絶賛しましたら、すかさず、いでさんが一言。「でも、ごはんには合わねーよ!」 それを受けて綿谷画伯「だからあ、今回はシャンパンとのマリアージュだっつーの!」 さすが負けず嫌いのいでさんでした。

なんのかんのと互いに言い合いながらも、画伯はしっかりといでさんの鍋を「おかわり」。口では言いたい放題でも、行動で愛を示す。このあたりがコンビ長続きの秘訣なんだろうなあ……と見ているほうまでほのぼのした気持ちに。なんでもコンビ結成23年。ちょっとした夫婦以上です。

というわけで金森編集長に戻ります。高級素材をおしみなく使い、バックステージで下ごしらえを華麗におこない、論理的に組み立て、時間をたっぷりかけて自信作を出す。あとで知ったのですが、自分以外のメンバーには経費をできるだけ抑えるようにとの指示があったらしい。笑。編集長の特権をフルに行使した専横的パフォーマンスで勝ち抜けるのが金森流?!

(裏ルポはまだまだ続く)

Begin 名物連載「ナウのれん」。100回記念ということで、ネタとして登場すべく?!ゲストとしてお招きいただきました。本誌が発売になりましたので、この裏ルポも解禁です。実は記憶が生々しいうちにと、お招きいただいた翌日の11月6日にすでに書き上げておりました。4回シリーズでお届けします。今日から4夜、20:00時に自動的に公開されます。

さて。取材が行われたのは11月5日土曜日。特別拡大バージョンのための取材スケジュールは次の通り。金森編集長、担当編集者の市川さん、いであつしさん、綿谷画伯の4名は、早朝から高尾山に山登りしたあと温泉につかり、その後さらに電車に乗って三軒茶屋まで来て食材の買い物、それを抱えてレンタルキッチンでそれぞれが2品ずつ料理を作り、さらに最後は高円寺の尼僧バーで一日を締めくくる。相当、ハードなスケジュールですね。

私はレンタルキッチンからの参加です。4名それぞれが、「シャンパンとのマリアージュ」をテーマに料理を作ります。私はそれを味見してコメントする……という役回りです。

なぜにシャンパンとのマリアージュかといえば、シャンパンと餃子のマリアージュをルポした回をふまえているわけですが、「中野香織はビールを飲まない。シャンパンと白ワインしか飲まない」という都市伝説(?)がまことしやかに出回っているからでもあるらしい。いや、ビールも飲むし、学生との飲み会では居酒屋のなんでもありコースだし(こういうときは生ビールとハイボール)。世間のイメージというのはかくもいい加減に作られるもんです。

世間のイメージといえば、数年前に「ナウのれん」忘年会に参加したときにドロンジョ系のコスプレをしていったことがあり、それ以来完全にそっち系の人と誤解されがちでした。今回はそれを裏切るよい機会と思いましたので、メイド服で参加してみました。

メイドなのに働かないし従順じゃない。シャンパンを飲みながら男子4人の働きぶりを鑑賞しつつあーだこーだと上から目線で批評する黒メイドというわけですね。

さて、4人がキッチンのなかでさっそく料理にとりかかります。4人が協働して前菜からメイン2種、デザートまでのコースメニューをつくる……という発想はまるでなく、めいめいが勝手に、「シャンパンとのマリアージュ」にふさわしい料理を考え、どれが一番おいしいのか競うというのがこのセッションのテーマ。

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このキッチンの火力はきわめて強力です。「これならチャーハンを作ればよかった」と言いながらなぜかうどんをゆでているいでさんと、その隣でシンプルなおつまみを手早くしあげていく綿谷画伯。

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アスパラのしたごしらえを丁寧に進めていく金森編集長。根のほうも柔らかく仕上がるようにと表面をピーリングしていらっしゃいます。かなり本格的。begin-14
市川さんは大きな肉の塊を手慣れた様子で転がし、焼き目をつけていらっしゃいます。日頃から料理していると見える安定の手つき。次第に集中してくると口数も少なくなっていく4人。それぞれが「ゾーン」に入っているのか、緊張感も漂ってきます。このころになると、さまざまな料理が仕上がっていく過程で立ち上る香りがまざりあい、調理で生まれる熱もよい感じで空気を満たしていきます。

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待っている間も退屈しないように、おつまみを用意してくださる金森編集長のこまやかなお気遣い。高尾山や温泉の話を聞きながらシャンパンをグラスに2杯ほど飲んだところで、次々と料理が仕上がってきます。

いちばん早かったのが、綿谷画伯の「餃子の皮のピザ」。begin-3begin-16

ピザの台を餃子の皮で代用してあるのですね。下はチーズに海苔がかかっているバージョン。意外とシャンパンにあうし、美味しい。なによりも早い!begin-18綿谷画伯のもう一品は、マッシュルームと魚介のアヒージョ。手前のフライパンの料理です。こちらも手早く仕上げてくださり、あつあつを美味しくいただきました。ピザもアヒージョもイタリア料理系なので、シャンパンとの相性もばっちりですね。

手早く、手堅く、軽やかに器用仕事をして、外さず確実におもてなし。これが綿谷画伯流ですね。(念のため:器用仕事とはブリコラージュのことで、なければあるもので代用するという人間の智恵。ピザ台の代わりに餃子の皮を使うという工夫がよかった。「餃子ルポ」の回に対するオマージュにもなっているし)

そして次、アヒージョのフライパンの横に「どうぞ!」と料理を出してきたのは市川さんでした。その料理とは……

次回へ続く。明日の20:00をお楽しみに。
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Begin 2017年2月号 本日発売です。begin-2017-2

綿谷画伯&いであつし文豪による連載「ナウのれん」が100回目を迎えました。

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100回記念の拡大版に、ゲストとしてお招きいただきました。「中野香織シェンシェー」キャラとして登場しております。

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全容はぜひぜひ本誌をご購入のうえ、ご笑覧くださいませ。なかなか笑えます。

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それにしても、彼らから見た「中野シェンシェー」キャラと、自分の実態が相当違う気がしております。キャラなのでおもしろくおかしくデフォルメされてはいることはわかってますが。

まあ今回はこのようなキャラクターということで。それに合った(合ってるのか?!)コスプレしてますしね。

自己イメージは世間のイメージとずれているものだということをあらためて自覚しました。そういえば私のデビューはルポライター。(メキシコの旅ルポを19歳で敢行。)こういうレアな体験は、自分の言葉で書きたくてうずうずするのです。本誌が発売になったので、裏ルポも解禁。今日の夜から4回シリーズで、ゲストの目から見た「裏ルポ」をお届けしますね!
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日刊工業新聞から取材を受けました。大学時代のこと、その後のキャリアについて、仕事の哲学など。13日、青山カフェラントマンにて。

同新聞社の記者、六笠友和さんに取材していただきました。ご縁をつないでくれたのは、国際日本学部第三期生(卒業生)で、現在、同新聞社に勤めている月岡亜梨沙さんでした。

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思わぬ久々の再会に喜ぶ! 私の教えを、こっちが忘れかけていたことまでしっかり覚えていてくれて、とてもうれしかったです。「カオリズム」(笑)と一期生によって呼ばれるようになったマインドの持ち方は、女子学生のほうが覚えていてくれることが多いようです。確かな手ごたえとともに生きるために、自立し、人と運を味方にしていく行動と表現の心構え、みたいなもの(主に私の痛恨の失敗の数々から導かれていますが(^^;))。OBOG会では、これを覚えている学生に、逆に思い出させられます。

 

記事は来年1月早々に掲載とのこと。楽しみにしています。

 

 

国際日本学部の話ついでに。2016プレゼミ(小人数の教養講座)、一年間がんばりましたおつかれさま!の打ち上げの模様。国際ニュースとプレゼンテーションの技法、そして映画の見方を学んだ今年のプレゼミも活気があふれすぎるほどで、毎回、うるさいくらいの発言が飛びかい、笑いが絶えず、発見が多々ありました。濃い時間のなかで築いた絆のご縁は末長く続く…… でしょう。

中野駅前の「とり鉄」にて。12-13-10

15日付朝日新聞夕刊ファッション面「私にフィット 楽しむオーダー」という記事で取材を受け、コメントが掲載されております。ご笑覧くださいませ。asahi-order-2asahi-order-1

11日(日)に行いました半・分解展トークショー 。

専門度の高い、長時間にわたる話にもかかわらず、約100名もの熱心なゲストにご来場いただきました。この日のために鹿児島から飛んでいらしたお客様もいらっしゃいました。

濃い2時間半でした。ご来場のみなさまありがとうございました。

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 (左から テイラリングコンサルタントの吉田大輔さん、パンタロナイオの尾作隼人さん、中野、長谷川彰良さん )
展示会場には人がひしめき、写真を撮ったり、議論し合ったりする活気ある光景が見られました。「分解してみる」って、けっこう男の子心をくすぐるものなんだ……ということを、ゲストを観察していて感じました。
 
ひとりのマニアックなパタンナーの情熱をつきつめた、前代未聞の展覧会、企業のスポンサードもないのにこれだけ人を集めたのは大成功と言っていいと思います。彰良くんおめでとう!
ストーカーといってもかならずしも悪い例ばかりではなく、ごくまれに、お宝のようなストーカーもいる。
寛大になること、オープンでいること、熱意には耳を傾けてみること。を心がけたことによって、押しかけ弟子からたくさんのことを学びました。笑
こんな志と情熱の持ち主につきまとわれるほどの仕事をさらにさらにしていかなくてはね!
尾作さん、吉田さんの現場のお話も生々しく、多くの業界にあてはまる話として、示唆に富んでました。

 

またどこかで機会に恵まれれば、お二人のお話の概要を紹介したいと思います。

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(手前のクッキーは、今回の展示記念に彰良くんが作ったヴィンテージ服クッキー。背後にあるのは、鹿児島からのお客様にいただいたおみやげです。ありがとうございました!)
ゲストのお一人からの質問。フロックコートが第一次世界大戦後に着られなくなったのはなぜか? これに関して、時間ができしだい調べてみますね。しばしお待ちくださいませ。

昨年の函館ラサール高校の国語の入試問題に、拙著『ダンディズムの系譜』から出題されたことを受けて、来年発売の高校受験用の問題集に一部抜粋が収録されることになりました。

つまり、高校受験をめざす中学生必読参考書になったわけですね(←強引すぎる解釈。笑)

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ダンディズム(史)を語るのに、葉巻を片手にした北方謙三さんのような重厚な語り口でなくてはならない、というステレオタイプに固執すること、そのことじたい、私が「滑稽だ」と感じていることです。いや、北方謙三さんは全く悪くないんですけどね。しかるに、そのようなロマンティックなイメージにとりつかれるあまり、それを壊されると不快を示す男のいかに多いことか。歴史をきちんと知れば、そのイメージの起源がどこにあるか、いかに歴史の中で歪んだものであるのか、わかるはずなんですけどね。

オリジナル・ブリティッシュ・ダンディは、重たくないんです。

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(Count D’Orsay.  Photo from Wikimedia Public Domain)

 

時が、しかるべき評価を下してくれる。発売後、7年経っても重版が出て、このような形で公に評価していただけるというのは、非常にありがたいこと、と心より感謝しています。

 Precious 2017年1月号 発売中です。

別冊「ゲラン 美学の結晶『オーキデアンペリアル』洗練の美肌伝説」がついています。今年の連載「輝き続ける女性たち10人の美の秘密」をまとめた小冊子です。

光栄にも第2回目に登場させていただきました。今回の冊子にも収録されています。

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(リスペクトしてやまないデザイナー、芦田多恵さんも10回めに登場!! ご一緒できるのはたいへん光栄です)

それぞれの方のお話をあらためてじっくり読んでみて、ひとりひとりの考え方に感銘を受けました。「人生は一期一会と申しますが、舞台も同じ。同じ舞台は二度とありません」(尾上紫)。「画面に映らない部分でどう生きるかが勝負」(安藤優子)。「奇跡と思われることも、実は積み重ねと選択の結果なんですよね。選んで選ばされて今があり、さらにその先に、自ずと未来が広がっていく」(村治佳織)。「散らしの美、崩しの美、墨でにじんだりかすれたり……書にはさまざまな美があって、美しさは『きれいに整っている』だけとは違うのです」(木下真理子)などなど。

美人のカテゴリーにも入らない私などがこんなところに登場するのは場違いな気もしますが、仕事を(途中の困難や試行錯誤も含めて)ひたすら楽しんできたことで選んでいただいたものと受け取っています。まだまだ修行の途中で、大成する気配はまったくありませんが、誰かに喜んでいただけるような成果を、ひとつひとつ、積み重ねていくことができれば幸いです。ちょっとこっぱずかしいところもありますが、お手に取る機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

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フェアファクス公式HPブログを更新しました。こちらです。

グレーゾーンをあやつる「ピンク・ジャケット」の話。キツネ狩り法案が成立しているのにキツネ狩りがなくならないイギリス紳士文化の摩訶不思議。そもそもなぜこれを「ピンク」と呼ぶのか。
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お時間の許す時があればご笑覧くださいませ。

 

Men’s EX 2017年 1月号 発売です。mens-ex-1

スーツの着こなしとマナー大特集。監修という形でご協力させていただきました。

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とりわけスーツ初心者にお読みいただけると嬉しいです。

18日、大学の「ファッション文化史」の授業のゲスト講師として、ファッションレスキュー代表の政近準子さんをお招きしました。11-18-14

通常は、現在の視点から見た20世紀社会を、10年ごとの単位で区切って教えている時間ですが、「ファッション」といっても、実に多様なアプローチがあるということは、読者のみなさまもご存じの通りです。この日は特別講義:実践編として、パーソナルスタイリストの仕事の実際と「装力」について、レクチャーをしていただきました。

「装力」については理論だけで知るのではなく、実際にその力を体感してもらいたいということで、ファッションレスキューのスタッフが、たくさんの小物や服を持参してきてくださいました。

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実際に学生に壇上に上がってもらい、数人のレスキュースタッフが、その学生の個性を引き立てるような小物やジャケットを加えていく。まずは男子学生。ほんのひと手間加えるだけで、見違えるようにりりしくなります。

そしてイケメンに変身(!)した彼らが、自分のファッションに釣り合いそうな女子学生を会場から選び、今度はスタッフが彼女たちをほんのひと手間でドレスアップさせていく。

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全とっかえしたわけではないのに、「その他大勢」のなかに「しめじ」のように紛れていた学生が、見違えるように個性的になりました。(学生の写真は、掲載の許可をいただいています。)

 

ただファッショナブルになるために装うのではなく、場や、相手のことをとことん考え抜いて装うこと。「相手のために、考え抜く」。そのことによって、別次元のコミュニケーションが生まれ、それが人生を切り開いていくきっかけにつながること。

これは、準子さんはじめレスキュースタッフと講演などのお仕事をご一緒するなかで、私自身も目の当たりにしてきたパワーなのですが、今回、100名ほどの学生たちも感動とともに知ることができたのではないかと思います。

高い服を買う必要はないし、数をたくさんそろえる必要もない。ただ、丁寧に相手や場をシミュレーションし、考え抜いて服を着る。きめ細やかに考えるというその思考習慣が、仕事や人間関係など、あらゆるところに及べば、生活や仕事の質が違ってくるのは当然ですね。「みんなと同じ、しめじの塊」でいることに疑問を抱かないという自分自身のメンタリティに対してまずは何か考えてみる、刺激的な機会になったのではないかと思います。

先日のシャネルの顧客イベントの記事で触れましたが、実はこの授業のあと、「ココ・キューバ」をドレスコードとするイベントに向かうことになっていました。それを準子さんに前日に(笑!)伝えたところ、「じゃあ、それもいい<教材>になるから、そのイベント用にヘアを作ってあげる」とおっしゃってくれたのです。ヘアスタイリストの臼倉さんが、「ココ・キューバ」のコレクション映像を見ながら一生懸命に考えてくださったのが、件のヘアスタイル。準子さんの講義中、壇上の端で刻々と「ココ・キューバ」風に変身させられていく私を学生は横目で目にしていたわけですね。

 

最後の仕上げは、準子さんによる「仕上げのひと手間」。シルクの感触が美しい薔薇のスカーフをあしらい、それをプレゼントしてくださいました。背景のスクリーンにはシャネルのキューバ・コレクションが流れ、愛と感動にあふれた(!)ドラマティックなエンディングとなりました。
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 その後、スカーフよりもネクタイのほうがよりシャネルらしいということで、最後のぎりぎりにネクタイをあしらってくださったのですが、そのように、とことん、相手の立場に立って考え抜き、ファッションを通してコミュニケーションの感動をもたらしてくれるのが、準子さんなのですよね。

準子さん、レスキュースタッフのみなさま、そしてサプライズゲストとして急遽、ご同行くださいました、福島の地域創生のためアクティブに活動している熊坂仁美さん、ほんとうにありがとうございました!

隅々まで考え抜かれた演出で、お祭りのようにわくわくした90分でしたが、学生も笑顔を輝かせて帰っていきました。自分自身のあり方を考え、変えていく思考習慣・生活習慣を作るためのきっかけになればこれほどうれしいことはありません。

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プレゼントしていただいた、愛のこもったスカーフは、この日の記念として大切にします。

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16日には、明治大学での公開講座を無事終了しました。約130名のお客様にご来場いただきました。心より感謝申し上げます。

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世界ではじめて真珠の養殖を成功させ、大きなビジネスへと発展させた御木本幸吉と、その志を受け継ぐミキモトブランドの現在。

11-16-2016-8洋裁師が洋服を作っていた戦後の日本で「プレタポルテ」を始めた芦田淳と、そのDNAを受け継ぐジュン アシダ ブランドの現在。

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今回の講座のためにミキモトさま、ジュン アシダさまに取材にうかがい、身近な方ならではのエピソードを聞かせていただき、きわめて貴重な、多くの資料をご提供いただきました。

質疑応答では、ジュン アシダ現社長の山東さん、デザイナーの芦田多恵さん、ミキモト広報の小泉さんから、直々にお答えをいただきました。そのお話ぶりから、「一流」の底力、「ラグジュアリーブランド」たる品格とはなにかということが、ご来場のみなさまに、自然な形で伝わったのではないかと感じています。

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あらゆる形でご協力いただきました(株)ジュン アシダの代表取締役社長・山東英樹さま、デザイナーの芦田多恵さま、そして写真には写っていないのですが、広報の熊井美恵さま、野尻恵未さま、(株)ミキモト広報・マーケティングの市川美穂さま、小泉忠明さま、八木千恵さま。みなさまのお力とあたたかな激励なしには実現不可能でした。万感をこめて、ほんとうにありがとうございました。ご一緒にお仕事をできることをこれほど幸せに思ったことはありません。リバティアカデミー事務局の方々にも心よりお礼申し上げます。

中野キャンパスまでお運びくださいましたみなさま、あらためてまして、ありがとうございました。みなさまのご支援があってこそ、このような前例のない試みも「次」を考えることができます。多くの方々の愛情を感じられた講座となりましたこと、心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

 Begin編集部徹底取材「ホワイトハウスコックス ファンブック」が世界文化社より出版されました。whc-2

ブライドルレザーで定評のあるホワイトハウスコックスの革小物をめぐる魅力にあらゆる角度から迫るという、Begin スペシャルムックです。このブランド初の完全ガイドブック。ファンにはたまらない永久保存版です。

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巻頭で、「ジェントルマンと馬とブライドルレザー」というエッセイを寄稿しています。機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

 

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大学の授業のゲスト講師として、株式会社aeruの代表取締役、矢島里佳さんをお招きしました。

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昨年の日本政策投資銀行の女性起業大賞に輝いた方で、そのプレゼンテーションを聴いて、ぜひ、学生にも話を聞かせたいと思ってお願いした次第です。

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学生時代からジャーナリストを志望し、「何かを伝えたい」という情熱をもって方々にアプローチした結果が、ある雑誌での伝統工芸の取材記事につながり、自分も、会社も、職人も、社会も、環境も、すべてがうまくいくやり方、未来に続く良きシステム工夫したその道筋が、大きな成果となり、ますますその世界が広がっていること。

論理的で情熱的、愛にあふれて知的で、合理的な行動力がある。考え方も表現のしかたも、やさしく、新しく、ていねいで、確実に心に届くように伝えるコミュニケーション力がある。これからは彼女たちのようなしなやかな起業家が活躍する時代。本当に心強い、とあらためて感じました。まだ28歳。昨年、メンターをつとめさせていただいた気仙沼ニッティングの御手洗瑞子さんもまだ30歳前後ですが、この世代の自由で垣根のない発想には学ぶところ大です。

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就職活動を続ける中で鬱々とした表情になっていったりする学生も少なくないのですが、広く目を世界に向けると、もっと自由な働き方、生き方がある。ということにも気づいてほしいと願っています。

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終了後、プレゼミの学生も交えてお茶をのみながら、悩み多き学生にもアドバイスをいただきました。年が近いので(6~7歳しか違わない!)ご助言にも説得力がありますね。

講義中に、里佳さんは、「みなさんは、ほんとうに人を信頼したことがありますか?」という言葉をなげかけました。思わずはっとさせられました。愛の側に立つこと、人を心の底から信頼するということで、開けていく世界がある。里佳さんは、職人さんたちから寄せられた信頼にこたえようと、がんばって起業した。彼らの世界を継続させるために、彼らの生活環境を守るために、会社(法人も人格として扱い、aeruくん、と呼ぶところが彼女らしい)を続ける努力を怠らない。

僭越ながらふりかえってみれば私も、人の信頼に応えようとすること、愛をいただいたらお返ししようとすること、それが軸になって仕事が進んできたようなところがある(キレイゴトみたいですが、これは実感です。他人の期待に応えようとすることで、自分では予想もしていなかった力が引き出され、新しい局面が開けてくるということもあるように思います)。期待される信頼にこたえきれないこともあったかもしれないですし、今は調子よくても需要がなくなればそれまで、というシビアな見方があることも承知していますが、それでもやはり、少なくとも今まで、ほぼ30年以上、愛と信頼を軸に仕事が回ってきたということは、とてもありがたく、幸福なことでした。

ありえないことが起きてしまう世界情勢。憎しみや排外主義や無知が力を得てしまう世界が実現してしまう時代。そんなときでも、自分ができることから理想を貫き、徐々に世界を広げ、周囲を合理的に幸せにしていく里佳さんのような生き方・働き方ができるのだということ、学生に伝われば嬉しい。

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里佳さん、ほんとうにありがとうございました。ますますのご活躍とご発展を応援しています。

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海外発信においても、こちらから「出ていく」のではなく、「引き寄せる」ことを目指すという。その「女性らしい」考え方にも賛同します。

 

Diorから新しいスキンケア、Capture Total Dream Skin Advanced が発売されます。開発にかかわった二人の科学者が来日、インタビューの機会をいただきました。11-9-2016-1

エドアール・モーベーズ=ジャービス博士はディオールの科学的・環境的分野のサイエンティフィック・コミュニケーター。

そしてアルノー・オーベール博士は神経科学のエキスパートで、トゥール大学上級講師。

質問のテーマは「社会性のある美しさ」。ここぞとばかり、日頃の疑問をぶつけてみました。

「電車で化粧がNGの理由」「化粧の目的」「50代以上の女性をとりまく日仏の違いの理由」「頬骨のなぞ」「美を損ねる要素」などなど、「美の社会性」という視点から日頃の疑問をぶつけてみました。

 

科学者ならではの、明快で論理的な回答をいただきました。長年の疑問が氷解した、印象深いインタビューとなりました。後日、Precious誌に書きます。

丁寧にお答えいただいたエドアール博士とアルノー博士、またとない機会を与えていただいたPrecious誌とParfum Christian Dior社に心より感謝します。

dior-11-9左がアルノー博士、右がエドアール博士です。

Dream Skin Advanced は来年1月1日発売です。

 

Begin 名物連載「ナウのれん」が連載100回を迎えるとのこと。記念すべき特別拡大回のネタになるべく?!ゲストとしてお招きいただきました。

begin-36左から編集担当の市川さん、編集長の金森さん、いであつしさん、綿谷画伯。

とてもゼイタクで、ありがたき体験の数々をさせていただきました。光栄でした。ありがとうございます。

詳しくは12月発売の2017年2月号「Begin」で。どんなルポになるのでしょうか。いでさん&綿谷画伯による記事が公になったあと、私の視点から見た「裏ルポ」も公開しますね。いくつかの視点があることでいっそう面白くなるのではないかと思います。

begin-24あらためて、連載100回達成、おめでとうございます!

 

リーガロイヤルホテル大阪「エコール・ド・ロイヤル」でのファッション学講座、大きな、確かな手ごたえを感じ、達成感、幸福感に満たされて帰途につきました。

レジーナ・ロマンティコ社長の角野元美さんからは、ゴージャスな花束をいただきました。ありがとうございました!
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ご多用のなかご参加くださいましたみなさま、リーガロイヤルホテルのスタッフのみなさま、とりわけ内池まさ子さん、蓮見里香さん、ほんとうにありがとうございました。

話したり書いたりすることで名前と顔が少しだけでも出ていると、たいしたこともない程度の私ですらとんでもないところから足を引っ張ろうとする輩もいて、日々、雑音に負けないよう自分の心を強く保つ努力をしているのですが、今回のように、顔の見えるお客様に対して確かにことばを届けることができたと実感できる経験を積み重ねることが、最大の心の安定につながります。おそらく方向は間違っていない。と信じることができました。異端呼ばわりされつつもこのまま淡々と着実に参ります。ひとつひとつ、一瞬一瞬の積み重ねがあるのみ、ですね。この日の出会いに、心より感謝します

 

この日の講座でも紹介したのですが、どん底を生き抜いたジョン・ガリアーノのことば。

「たくさんのことと向き合い、『一歩一歩』とか『一日一日』という考え方を学んでいった。それまで『一日一日』なんてまったく頭にない生活をしていたんだ。『未来』と『過去』にがんじがらめになっていた。『今』を生きていなかった。だけど現在は、一瞬一瞬を感謝しながら過ごしている。(中略)私が今、ここにこうしていられる、それだけのことがどれほど幸せなのかに気付いたんだ」(WWD 2016年3月21日)

 

ホテルはもうクリスマスムードでした。

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芦田多恵さんデビュー25周年インタビューでした。ジュン  アシダ本社にて。

20周年記念インタビューをさせていただいてから、はや、5年。この5年に本当にいろんなことがあった……としみじみ回顧しつつ。

奇しくも25年前の同じ日、11月1日がデビューコレクションの日だったそうです。

詳しくは次号のJA誌に書きます。

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斉藤工さんによる、多恵さんのドキュメンタリーは、こちらをご覧ください。デザイナーの日常が非常に興味深いし、最後は目頭が熱くなります…。

 

 

そして下の写真は、25年の作品のなかから代表作をピックアップした、Tae Ashida「塗り絵」ブックの表紙。先日の25周年記念コレクションのおみやげとしていただきました。幼少時にスタイル画を描いて「着せ替え」なんぞやっていたのを思い出し、なかなか楽しいのです。

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思えばJA誌に書かせていただいて、ほぼ10年近くなるのだ……。感慨深い。

コーディネートさせていただいた明治大学リバティアカデミーの堤信子先生による「一瞬で人の心をつかむ話し方」、全三回が熱気のなかに終了しました。

受講生のどなたかが「朝ドラみたい」と表現していましたが、ひとりひとりが強烈にキャラクターが立っていて、伝えるメッセージが面白い!! またそれぞれの受講生を的確なコメントとともにさらにブラッシュアップさせ、クラスをまとめあげていく堤先生の力量はさすが。受講生どうしがお互いにオープンに学び合った、理想的なゼミのようなクラスで、終了後も別れがたい雰囲気が濃厚に残るなか、なかなかみなさんお帰りになろうとしない。笑 社会人のクラスでこのような出会いはなかなか貴重です。

大学生も受講していましたが、社会人の旺盛な意欲に触れて、新鮮な刺激を受けたと思います。プレゼミ卒業生のお母様が受講しにいらしてくださったことにも感激しました。

受講生のみなさま、信子先生、ありがとうございました!最終回はハロウィンと重なり、お目よごしなところもありますが、ご寛恕ください(^-^;  。 堤先生のインスタグラムよりシェア。

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銀杏会(東大OB会)から講演依頼をいただき、こんなタイトルで講演してきました。神保町の学士会館にて。icho
配布された案内には「異色の講師」と紹介してあるし、司会の方は「東大卒業の女性のなかではおそらくもっとも変わった人」と紹介するしで(本人はいたって普通に生きているつもりですが)、場違い感もマックスでしたが、ここまできて遠慮しててもしょうがないので、楽しませていただきました。

聴き手は会社社長を退任、官公庁の役人を退官、医師、会計士、といった70オーバーの男性がほとんどで、そのような方々に「ダンディズム」の話をしてきたわけですが、これが意外と大うけで、熱心にメモを取る方もいらして、こちらがかえってびっくり。

メインテーマの「ラグジュアリーに生きるヒント」よりもむしろ、合理的にできているスーツのルールの話や、イギリスの皇室メンバーのスーツの着こなしの話が、意外にも、喜ばれました(「今までの服の疑問がすべてクリアになった」とか「毎日スーツを着てきたが、これまでの70年間そんなことを考えたこともなかった」とか「チャールズ皇太子を見る目が変わった」などのコメントをいただきました……。ファッション業界以外の、多くの男性にとってはそういうものなのかもしれませんね)。

本も完売御礼。盛り上がりの勢いで、二次会にもお誘いいただき、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。会長からは、「今まで経験したことが少ない、新鮮な刺激的な内容だった」とのお言葉をいただきました。ほめられたのか、呆れられたのかはわかりませんが、このまま「異色」でGO!と背中を押していただいた思いがいたします。

お招きいただき、ほんとうにありがとうございました!

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☆来週のリーガロイヤル大阪講演も、目指すところは同じテーマです。「あなたを形づくる」ためのファッション学に、ぜひ一歩、足を踏み出してみてください。関西方面の方、ご来場をお待ち申し上げております。

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明治大学リバティアカデミー、コーディネートしているもう一つの講座、フリーアナウンサー堤信子先生による「一瞬で人の心をつかむ話し方」講座も、満員御礼をいただいております。ありがとうございます。

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この日は、滑舌の訓練を中心に。

 

第二回が無事終了、あとはハロウィンの日に最終回を迎えるだけになりました。

明治大学リバティアカデミー(公開講座)、コーディネートしたビジネス講座、放送作家・野呂エイシロウさんによる「戦略的PR」講座、満員御礼の上、たいへんな熱気のうちに全三回が終了しました。

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業界の固有名詞や生々しい裏話、驚きの実話などを早口で披露しながら受講生を笑わせつつ巻きこんでいく講座は、毎回、あっという間に時間がたち、30分以上質問の嵐が途切れないという盛り上がりを見せました。noro-4

受講生のみなさま、事務局の方々、野呂先生、ありがとうございました。

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J Quality × Dress Up Menのトークセッションには、定員を大幅に超えるご応募をいただき、大勢のお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。

レナウン・ダーバンの志村裕之さん(右端)、オンワード樫山・五大陸の大圃祐二さん(右から二人目)、三陽商会・100年コートの梅本祐助さん(左から二人目)、それぞれに情熱的、かつ整然とスーツやコートに秘められた技術と思いを語り、純・日本産の質の高さを具体的に知る画期的な機会となりました。

J Qualityとは、「織り・編み」「染色整理」「縫製」「企画販売」このすべての過程を日本国内でおこなった商品に与えられる認証制度です。このたびは、100年コートがグランプリを受賞、五大陸がプロフェッショナル賞を、ダーバンがクオリティ賞を受賞しました。
お三方とも、自社ブランド云々をこえて、高品質の日本製のスーツやコートのブランド価値と信頼を世界基準にするという使命感に本気で燃えていらっしゃいます。日本国内の産地や工場の灯を消さないためにも、がんばりぬく、という決意の表明に感動しました。
日本のスーツはセンスが、という声を数年前まで聞いたことがありましたが、いやいや、実際にこのお三方が着るスーツのなんと素敵なこと!! 間近で見るとさらに美しいのです。あとは国内外への正しい発信、Dress Up Menをはじめ、ビジュアルや動画で、言葉の壁を超えた発信を積極的に続けてください!
個人的には、常日頃から「カワイイ」や「アニメ」ばかりがクールジャパンではない、「ジュンアシダ」や「ミキモト」に代表されるような、世界に通用する大人のエレガンスの世界がある、ということを言い続け、次回の大学公開講座でもテーマにしますが、そこにぜひ、大人の男性が着るJ Qulaityのスーツやコートも加えたい、と思った次第です。

林信朗さんの鋭くユーモアあふれるツッコミが最高でした!

ゲストのみなさま、関係者、登壇者のみなさま、ほんとうにありがとうございました

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WWD 10 月17日号(Vol.1940) に、6日におこなわれた旭化成×Dress Up Menのイベント模様が掲載されています。

wwd-10-17プチうれしい。WWDさんありがとう。

胸のすくような秋晴れに恵まれた土曜日、京都女子大学での半・分解展&トークショーで京都日帰りでした。

東京から、名古屋から、福井から、福岡から、神戸から、大阪から、ヴェトナムから、120名を超える方々に来場いただき大盛況、楽しい交流の機会をもてた、忘れがたい一日となりました。

トークショーも楽しんでいただけたようで、大勢の方々に本を買っていただきました。心より感謝します。(講演後の本の売れ行きは、お客様満足度のシビアなバロメーターとなるのです。)

ご来場くださいましたみなさま、支えてくださいました京都女子大のスタッフのみなさま、ありがとうございました!10-15-2016-2

一般のコスチューム博物館では、手袋をしてさわることも許されない貴重な歴史的資料である服に、ざくっと鋏を入れて分解してみた。この蛮勇あってこそ出てきた新しい発見の数々。
キツネ狩りの赤いジャケットの裏地が、風雨を入れないよう、袖口がすぼまるように作られていたことなど、表から見ていてもまったくわからなかった発見があります。日頃、実際に服を作っているテイラーの方々は、さらに多くの技術上の工夫を見つけて驚かれるようです。
お客様は実際に服を着てみることもできます。フランス革命前のアビ(ジュストコール=上着)が一番人気で、試着して写真を撮る人絶えず。この服を着て人はどんな生活をし、なにを考えていたのか。想像することも楽しくなってきます。

展覧会中は、長谷川くんが常駐しています。ぜひ、試着し、話を聞きにいってみてください。

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フェアファクス公式サイトブログを更新しました。

ビスポークスーツ体験記です。

一生に何度もあることではないですからな……

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Special Thanks to Mr. Teruo Hirokawa.

こちらからどうぞ。

10月6日(木)、旭化成ベンベルグ85周年記念イベントが寺田倉庫で開催されました。午前のセミナー、午後の記者会見、夕方のトークショー&パーティー、と一日がかりの大きなイベントでした。

夕方の部、ベンベルグ×Dress Up Men トークショーに登壇しました。こちらは開始前の打合せ風景。

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左から中野、コラムニストの中村孝則さん、ファッションディレクターの山下英介さん、Dress Up Menの瀬川純一郎さん、ファッションディレクターの大住憲生さん、三陽商会の梅本祐助さん。撮影はJapanese Dandy ディレクターの河合正人さんです。

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第一部は、ヘルノ会長にしてクラシコイタリア協会会長のクラウディオ・マレンツィ氏×中野。第二部は、上記の登壇の方々に、70年代、80年代、90年代、2000年代のドレスアップについて語っていただきました。右端におります私は進行役です。みなさま、それぞれに個性的なドレスアップスタイルも圧巻でしたが、トークもすばらしかったです。その後、ほぼ200名のゲストの方々とのパーティーとなり、イベントは大成功をおさめました。旭化成さま、一般社団法人アパレルファッション産業協会さま、Dress Up Menのスタッフのみなさま、ゲストのみなさま、そして登壇者の方々、ありがとうございました。

10-6-2016-4(左から90年代インディスタイルの山下英介さん、2000年代スリムブラックの梅本祐助さん、中野)

 

☆☆☆
あとは、きわめて個人的な話。

実はこの日のために、メンズ仕様のテイラードスーツも仕立てておりました。フルオーダーだと通常、3か月はかかるところ、無理を言って、ほぼ3週間で仕立ててもらいました。すべて手縫いの、ほんとうに美しいスーツです。アトリエサルトの廣川輝雄さん(写真左)、ありがとうございました。

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公の場で、パンツスーツで仕事をしたのは初めてのことでした。シャツとタイを合わせるとほんとうにメンズになってしまうので(男顔だし)、あれこれ考えて、首・手首・足首にフェミニンな印象も残す感じで着てみました。

初めて尽くしで慣れないことだらけだったこの日の経験のなかには、後悔に近い反省事項もあり、2~3日落ち込んでおりましたが…… すべてを経験としてきっちり受け止めて、今後に活かすべく行動しよう、となんとか立ち直る。

最後に控室での決めポーズで失礼しますm(__)m

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Men’s Precious 2016 Autumn 発売です。menpre-2

英国スタイル大特集! 表紙は、昨年のチャーリーサロンでのハケットさんトークショーにも来ていただいた、フォックスブラザーズ共同オーナーの、あのダグラス・コルドー様ではありませんか。こうして写真になるとひときわ決まってますね。

 

「英国的たたずまいは『スリーピーススーツ』に宿る」と題されたミニ特集で、見開きでエッセイを寄稿しております。

「反ファッションを貫くしたたかなダブルスタンダード」。

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万一、お目に留まることがあれば、読んでみてくださいね。

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1日には、ヴァルカナイズロンドンで開催されたギーヴス&ホークス再上陸記念トークショー「紳士の国のギーヴス&ホークス」に、多くのお客様がご参加くださいました。ありがとうございました。

募集定員の2倍をはるかに超えるご応募があったとのことです。BLBGスタッフが公正な抽選をおこない、ご招待状を送らせていただきました。今回、ご参加いただけなかった方、本当に申し訳ございませんでした。なにとぞご寛恕くださいませ。

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会場のみなさまから質問が途切れず、なかにはビジネス視点からの鋭い質問もあり、アットホームな雰囲気ながら、緊張感のなかに熱のある一体感を味わえた、濃密な時間でした。

ご参加くださいましたみなさま、BLBGのスタッフのみなさま、そして大野陽編集長はじめMEN’S EXの関係者に心より感謝申し上げます。

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大野編集長が着ているのはギーブス&ホークスのスーツです。肩から胸にかけてのスタイリッシュな威厳が、軍服の起源を感じさせます。

ヴァルカナイズ・ロンドン発行「Vulcanize Magazine」Vol.12 リリースされました。

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特集「服飾史家・中野香織がヴァルカナイズ・ロンドンで選ぶ紳士の名品20」。img014

最新のイギリス発の20アイテムのコピーを書きました。全12ページ・20アイテムのご紹介のなかに「紳士論」を練り込みました。

ヴァルカナイズ・ロンドン店頭で入手できます。『紳士の名品50』も販売してくださっています。 9-14-2016-2
秋のロンドンを感じる散歩に、ぜひお出かけください。

 

25ans 9月号 発売です。

特集「エリザベス女王、90年の麗しき日々」において、巻頭言「エリザベス女王が敬愛される理由」を語っております。

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この特集は、イギリスファン、クイニー(Queeny)ファンにとっては、必携の永久保存版です。8ページにわたり、美しい写真を中心に、エリザベス女王の90年の軌跡がまとめられています。ぜひ、ご覧くださいませ。

(Click to Amazon)

J Wave 葉加瀬太郎さんの番組ANA World Air Current にゲストとしてお招きいただきました。

テーマは、ロンドン、スーツ、ジェントルマン。ロンドンSW地区に住んで10年になるというスーツ好きの葉加瀬さんならではのエピソードを聞くことができて、楽しい対談になりました。とりわけ実際に参加されたというロイヤルアスコット、間近でご覧になったエリザベス女王のエピソードはは面白かったです。

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この日は収録だけで、放送は秋になるとのことです。

美容室Zele networkのスーパースタイリスト講座。今年も招聘講師をつとめさせていただきました。「美」を表現する多様なことばやトレンドワードの解説から、20世紀ファッション史まで、250分盛りだくさんで。学ぶ意欲の高い方々で、とても楽しく時間があっという間に感じられました。

ヘアメイク+服+時代背景をトータルで考えてイマジネーションを羽ばたかせ、独自の提案をおこなえる美容師さんがもっともっと増えることを祈りつつ。(そういう自分は仕事で時間がないことを理由に3か月もカットせず伸び放題……(^-^;))

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ヴィダル・サスーンのドキュメンタリーDVDは、美容師を目指す人は必見、そうでない人にとっても、キャリアを考えるうえで刺激に満ちた作品です。60年代ロンドンの雰囲気もよくわかる。お勧めです。

本日付の読売新聞(全国版)夕刊2面に、『紳士の名品50』が大きく掲載されました。

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今回の撮影にご協力くださったのは、ヴァルカナイズロンドン南青山店です。

ありがとうございました。

 

 

本日(21日)付けの毎日新聞夕刊一面に、史上4番目の若さで新・名人となった棋士の佐藤天彦さんのインタビューが掲載されています。

インタビュー当日は同席させていただき、ファッション観や将棋観をたっぷり伺いました。たいへん頭の回転の速い方です。

紙面には、私のコメントはひとことだけさらりと書かれておりますが、将棋の闘い方と通底する彼のファッション観はていねいに論じるに値するので、また別の機会に書きたいと思います。

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インタビュー当日の記念写真。佐藤名人は、アン・ドゥムルメステールのフル装備に、靴はドルチェ&ガッバ―ナ。細部の凝った装飾が写真では完全にご紹介できないのが悔しいところですが、十字架のチェーンや靴の装飾など、雰囲気だけでもご覧くださいませ。ヘアカットも、服の雰囲気に合わせて考えられているとのこと。

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インタビュー場所、将棋会館。

 

こちらから読めます。

 

先日、京都国立近代美術館 でおこないましたポール・スミス展トークセッションの模様を、9日付けで大阪読売新聞が記事にしてくださっていました。ありがとうございました。

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しかし、これだけ読むとなにか誤解が生じるところがあるな……。とくに英王室の話。このように字数が限られた紙面では限界があるのかもしれませんが。近日中にフォローアップの記事をどこかで書きます。

ファッションディレクターのホッシーこと干場義雅さんに、中野キャンパスにゲスト講義に来ていただきました。5年ほど前には和泉校舎に来ていただいたことがあります。

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今回はアシスタントのサトシーノくんもご一緒に登壇していただきました。
下の写真、左がサトシーノ。35歳ということですが、学生の中に溶け込んでしまえる雰囲気です。ピュアにファッションが好きで、ホッシーが編集長をつとめる講談社のウェブサイト、Forza Styleで編集アシスタントとして仕事をしています。

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ホッシーはとにかく存在感が濃くて、登壇しただけで学生からどよめきが起きるほど。

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ファッションメディアの作られ方。「女性にモテたい」という根源動機がどのように発展して「ビジネスにおいてもモテる」につながっていくのか。一見、ばかばかしく見える記事の裏で、どのようにお金が動いているのか。夢をかなえるためにはどのようなマインドセットをもつべきか。などなど、熱く語っていただきました。

最後は近著2冊を学生の「じゃんけん勝者」にプレゼント。

その後も近隣のカフェにて、サトシーノをまじえ、キャリアの話、仕事の話を中心にしばらく話が尽きず。全く違うタイプに見えますが、根本のところで仕事に対する態度や考え方は、私のそれと通底するところがあるんですね。「365日、手抜きをせずに毎日なんらかの仕事をしている」とか、「周囲に対してまず感謝し、与えることから始める」とか、「いま、ここを最高に幸せに生きるために努力をする」とか、「チャンスが来たらとりあえずつかむ、そのために日々準備をしておく」とか。「自分のことばを磨いて発信し、それによって口説く(異性もビジネスパートナーも)、あるいはチャンスを引き寄せる」とか。「他人を妬むひまあれば自分の関心事を究める」とか。フリーランスとして名前を売りながら、むだに敵を作らず、長く働き続けるためにはやはりそのような発想と行動が最低限、必要なのかもしれません。というよりむしろ、それを苦に思わず好きでやっていける人が結果として生き残っていけるケースが多いのでしょう。(例外は常にあります。)

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そのうえで、ホッシーがあっぱれだなあと思うのは、妬みや中傷に対する考え方でした。彼のマルチな活躍ぶりに妬みを感じ、ネットで中傷を書き込む輩もいるらしい。それに対し、ホッシーは「わざわざ僕のことを書くために貴重な時間を割いてくれて、ありがとう」と考えるのだそうです。そうですよね、時間は財産。それをわざわざ他人の悪口を書き込むために使うというのは、愛というか、強い関心の裏返しですものね。どうでもよければスルーします。助手のサトシーノいわく、ホッシーは、自分に対する悪口にも「いいね」を押すそうです。人気の秘密は、卑屈には決してならないこの肝の据わった悟りの境地にもありますね。

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お忙しい中、学生の視野を広げ、彼らのこれからの過ごし方の刺激となるお話をしていただきました。私も見習いたいヒントを多々いただきました。ありがとうございました。

 

6.15 公開講座「時代を導く男性像とモード」の模様を取材してくださったDress Up Menさんによる記事がアップされました。

こちらです。自分としては恥ずかしいところも多々ありますが、認めたくない欠点も受け入れて、それが気にならないくらいの芸風(?)をみがいていかねばと思っております…。

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公開講座にご参加くださいましたみなさま、Dress Up Menスタッフのみなさま、あらためてありがとうございました。

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Brilliant Glanz (株式会社Shunka)2016 summer issue 創刊おめでとうございます。

 

インタビューページ「輝いている女たち」第一回目にとりあげていただきました。輝きってなに??という不可解はいまだにありますが、新刊と一緒に写真を撮っていただいたのは光栄でした。ありがとうございました。

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最後に、「品格と色気」を保ち続ける方法を聞かれました。品格も色気も、他人が感じるもの。おそらく、最も必要なことは「上善如水」の感覚だと思っています。無難にやり過ごすのではなく、さらさらと水のように立ち入り過ぎない関係を長く保ち続けながら、ここぞのときには強い力を発揮するという。

群れずつるまず、日頃は自分の能力を磨きながら、いざというときにチームのために貢献できるような関係だと、互いが互いを「品格と色気」のある存在として認めあえるし、はたから見てもその関係は品のいいセクシーな関係と見えるのではないか。ルパン、次元、五右衛門、(不二子?)のように。

先日書いた「個」を強くする、というのはまさにそのような関係を保ち続けられるような、ここぞのときには全体に貢献できる強い「個」を鍛えるということです。実はあのような考え方をオフィシャルにしてから、まさかの「変人」呼ばわりされたのですが。しかも同僚に(^-^; 若干、へこみつつも、変人上等、と堂々・淡々としていたいと思います。

 

6月18日に行われましたチャーリー・ヴァイスのサロンのレポートが、Isetan Men’s netに掲載されております。
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「中野香織×綿谷寛×バー『ル・パラン』 21世紀に生きる日本の紳士を語り、描き、飲む」。

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前編はこちらから

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後編はこちらです

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あらためて、ご参加くださいましたみなさまに、心より感謝申し上げます。

 

 

 

京都国立近代美術館で開催中の「ポール・スミス」展記念シンポジウム「メンズファッションの歴史と現在」。昨日、盛況のうちに終了しました。FullSizeRender (101)

14時開始のシンポジウムでしたが、11時から整理券が配布され、15分ほどで100名様分の整理券が終了してしまったそうです。これは主催者側も予想外だったとのこと。

早くからお並びいただき、ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました。入場できなかった方々、ほんとうに申し訳ありませんでした。FullSizeRender (103)

客席の熱気と真剣な緊張感にやや気圧され、いつになくあがってしまい、伝えたいことを(わりあてられた時間のわりに)詰め込みすぎたこともあり、自分としては反省点も多々でした。情報が少なすぎるよりもたっぷりのほうがいいだろう、という発想からはなかなか抜け出せません…。次への課題です。

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とはいえ、モデレーターのクールな蘆田裕史さん、クレバーな百々徹さんのおかげで、内容の濃い、刺激に満ちた有意義な時間となりました。とくに、百々さんの、「日本人とポールスミス」の話は興味深く、日本人にとってのスーツを考えるための新しい視点を与えていただいたように思います。

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左が百々さん、右が蘆田さんです。展覧会の最初に登場するバイクの前で記念写真。シンポジウム終了後も、楽屋でメンズファッションの話で盛り上がり続けておりました。

最後に客席から受けた質問のなかに「メンズファッションを学び続けるための心意気はなんですか?」というものがあり、意表をつかれました。「モチベーション」じゃなく「心意気」。いい言葉ですね。たしかに、なにごとにおいても。

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最後は 決めポーズで展覧会の宣伝(笑)。この日は展覧会のテーマカラーと同じピンクのジャケットを着ていきました。写真では見えませんが、百々さんの靴下はポールスミス風ストライプだそうです。入場者も日々記録を更新とのこと。東京では今月下旬から始まります。

数日前、大学内で「キャリアと人生」に関するシンポジウムが開かれ、ご指名を受けて、3人の登壇教授のひとりとして話をしてきました。

一人で話すわけではないので、通常のキャリアに関する講演のようにすべて一貫させるように伝えるということは難しかったのですが、いつものように、

「世間が決めるスペックで競うことに向いていないと思ったならば、自分をもっとも活かせる価値基準を作ってそのブルーオーシャンで悠々と泳げるように努力したほうがラグジュアリーな人生を送ることができる」

という趣旨のことを話してきたのですが、最後に受けた質問が不意打ちで、不十分な答え方しかできませんでした。それに対する「階段のあと智恵」的な補足です。

その質問は、このようにして日々、強い「個」を作るための実践をせよ、ということに対して寄せられました。

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こんなふうに「修身」をした結果、強い「個」になってしまったら、多くの日本の企業や組織では、ういてしまって、うまくやっていけなくなるのではないですか? という質問を受けたのです。

そのときは、とっさによい答えが浮かばなかったのでなにやらお茶を濁した感があったのですが。

私の真意は、強い「個」になることは必ずしも突出した個性になることではない、ということです。

自分の中に、根拠不明な世間の基準ではなく、自分が心の底から信じられるような行動基準・価値基準をもっていれば、多少のことには凹んだりすることもなく心安らかでいられる、結果的にそれが本当の意味でのラグジュアリーな幸福を実感できる「強さ」につながるということです。

心のなかにそのような強さがあれば、組織のなかの多少のごたごたは上手に「流して」いきながら、うまく溶け込むこともできるでしょう。また、ここぞのときにほんとうに力になってくれる人というのも、結局、日頃は群れずつるまない「個の強さ」をもった人たちです。つるんでうわさ話などに興じる暇があれば腕を磨く、そうして磨かれた能力が、いざというときに大きな力を発揮して人や組織を助けることができるのです。

そのような本物の強さを育てるために、上に挙げたような日々の「修身」を着実に続けていくというのも一方法なのです。信じられることを見つけるための確実な方法であり、社会における自分の「輪郭」のようなものもわかってきます。

最後の「想像し、愛する」。やはりあらゆる人文学系の学問が、いかなる議論を闘わせるにせよ、最終的に着地すべき境地だと思っています。

Create your own blue ocean.

☆2017年度版、国際日本学部 学部ガイドが発行されました。こちらからご覧いただけます。6ページめに、私が担当するファッション文化史に対する学生のコメントがあります。ご笑覧いただけましたら幸いです。

 

チャーリーが新刊発売記念に開いてくれた、Isetan Men’s Chalie Viceのサロンには、多くのお洒落なゲストがお見えになりました。FullSizeRender (85)
『紳士の名品50』ができるまでの、連載時の裏話や、取材したけれど誌面に書けなかった小ネタなどを紹介し、第一章「外見をつくるもの」にちなんで、現在の「ジェントルマンズ・スーツ」界の状況を簡単に話しました。

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友情出演してくださったのは、ル・パランのマスターバーテンダーの本多啓彰さん。バーでの「紳士なふるまいかた」や「淑女のNG」など現場を知る方ならではのエピソードを交えてお話くださいました。アシスタントの上村拓さんもご一緒にいらして、ゲストのために飲み物を作ってくださいました。初の「出張ル・パラン」です!

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この日のFab4。カウンターにこの4人がずらりとドレスアップして並んだ姿はなかなかの壮観でした。左から、プレゼミ一期生の大橋秀平さん、島地勝彦さんの元・公認書生として有名な(現在は食に関連する会社に就職)金井洋介さん、本多啓彰さん、上村拓さん。

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もうひとり、友情出演してくださったのは、各章扉と表紙・裏表紙にすばらしいイラストレーションを描きおろしてくださった、綿谷寛・画伯。この日は、イラスト原画をすべて額装して持参してくださいました。それぞれの絵に似合う色とサイズの額縁が選ばれているんです。とりわけ、第4章扉のゆかたの紳士は額縁でいっそうチャーミングになってます。

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綿谷画伯は、いまの日本における「紳士」とは?という話を、ゲストのみなさまや私と話をしながら、その場でイメージを描き上げるというパフォーマンスを!! 実はこのイラストは20分ほどで描き上げられたものなのですが(急かしてしまってごめんなさい)、当日、話題に出てきたいろんなエピソードが描き込まれているのです。しばらくの間、チャーリーのお部屋に飾られることになりそうです。

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さらに。私がプレゼンテーション中に、なんと、綿谷イラストのモデルにもなった俳優のTさんが登場! まったくのサプライズでした。しかも、ニコライ・バーグマンの花束を手渡してくれるという夢のようなできごと。あまりの嬉しすぎるハプニングにその場でくるくる回ってしまったという(^-^; ワンコですか。写真撮影は事務所の都合で許されず、次の仕事があるからと風のようにさわやかに去っていきました…。

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Tさん、お忙しいスケジュールの合間を縫って駆けつけてくださって、ありがとうございました。ゲストも、あまりの突然な展開にむしろぽかんとしていらっしゃったような。笑。これは一生、繰り返し語りたい自慢エピソードになりそうです。

6.18.2016.12
フリーアナウンサーにして大学でも教鞭をとる才色兼備なハンサムウーマン、大平雅美さん(左)、堤信子さん(右)もご来場くださいました。彼女たちのようなスーパーウーマンはとても謙虚で勉強熱心。親しくなっても決してなれなれしい言葉遣いをしないことも共通点です。見習うところ多し。ありがとうございました。

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伊勢丹新宿本店長さまからは山梨のスパークリングワインをご恵贈いただきました。プレゼミOGのキャサリンは、手作りのフラワーボックスをプレゼントしてくれました。Fluer de Catherine というブランド(!)名が書かれた箱をあけるとトルコキキョウとカフェラテという珍しい色の薔薇をメインにしたシックな花々の世界が。そしてユキコさまからは可憐な薔薇。みなさま、ありがとうございました。160618_395
土曜日の午後という貴重なお時間にご参加くださいましたゲストのみなさま、ほんとうにありがとうございました。本多さん、綿谷さん、予想をはるかに超えるサプライズで喜ばせてくださって、ありがとう!! そしてチャーリーのスタッフのみなさま、今回もきめこまやかな準備と演出で盛り上げてくださいまして、心よりお礼申し上げます。おかげさまで、忘れがたい一日となりました。

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後日、ISETAN MEN’S NET に詳しいリポートが掲載される予定です。

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終了後、お礼をかねてうかがったル・パランで。「ホワイトレディ」というカクテルを珍しいティファニーのグラスで出していただきました。「チェイサーはシャンでお願い」とギャグのつもりで言ったらマジでシャンパンのチェイサーを出してくれたわ。笑

15日リバティの講座につき、嬉しい反応をたくさん頂戴しています。心より感謝申し上げます。なかでも、ひょっとしたら私以上に内容を理解していらっしゃったのではないか?と思われるほどのすばらしいレポートを寄せてくださった方があり、ご本人のご了解を得て、その一部をこちらに掲載させていただきます。MTさん、ほんとうにありがとうございました。

(以下、MTさまより)

☆☆☆☆☆☆

今回の講座は、限られた時間内でメンズファッション史を概観し、
ビジネスへのインプリケーションとエンタテインメント要素も加えた
アフターファイブ社会人講座としての「最適解」になっていました。
膨大な量の情報とビジュアル資料をよく整理されて、
90分ピッタリに収まったのはさすがです!

中野様がめざしていらっしゃる(と私が勝手に想像する)
壮大なメンズファッション史の構想も見えてきました。
これは、その先行ダイジェスト版、といえるかもしれませんね。

以下は私なりに講座をまとめたノートと感想です。

序章:ファッション学

ファッションとは時代、社会、人を形づくるもの。
そして視点の数だけ歴史はありうる。
「メンズファッションデザイナーを軸とするファッション史」という視点。
まずこれをおさえてからファション史に進むことが大切ですね。

第一部:メンズファッションデザイナー以前

メンズファッションでは、現在のようにデザイナーがトレンドをリードする以前、
映画スターやセレブリティのような、トレンドアイコンの存在が大きかった。

フレッド・アステア、ケーリー・グラント、ゲーブル、ボガート、そして本物のギャングたち・ミリタリーを起源とする機能先行の服と、それを身に着けたセレブリティのイメージ

こういう視点で映画を見直してみるのは楽しかったです。
スチル写真、映像の引用は、ワクワク感がありました。
さっそく「キングスマン」が引用されていて、感激!
でも「トップガン」すら知らない若い世代がいるとは、
時代の流れを感じました(苦笑)
ビートルズ、ミックジャガーもファッション・アイコンとして眺めてみました。

カルダン、サンローランが第二部のデザイナーたちとは違う立ち位置にあった
ことをあらためて認識しました。

私見ですが、70年代アンディ・ウォーホルのタブロイド誌「インタビュー」が
ジェットセッター/セレブリティとファッション・デザイナー/アーチストたちを
同次元にフィーチャーしたのは、デザイナ―全盛時代へ至る過渡期において
次に来る時代を予見していたと思います。

第二部:時代を導くメンズファッションデザイナー

80年代、アルマーニを分水嶺として、デザイナーがメンズファッションの
トレンドをリードするようになる。

アルマーニは、「アメリカン・ジゴロ」(アンコン・ジャケット)、
「アンタッチャブル」(30年代ファッション)などを通して、
映画やレッドカーペットへの衣装提供を戦略的に行った。
また、服を超えてトータルライフスタイルを提案し、
さらにチャリティ商品デザインによる社会貢献のさきがけとなった。

ラルフ・ローレンは、デザインではなくコンセプト(「幻想のアメリカ上流階級」)
を創出することで、ビジネスとして成功。
この時代は他にも、ボロルックで西欧モードを揺さぶったコムデギャルソン、
哲学者のようなコメントを発する山本耀司、
デザイナージーンズとアンダーパンツのカルバン・クライン、
あらゆる境界を取り払ったJ.P.ゴルチェ、
アンファンテリブルのA.マックイーン,etc.・・・
デザイナーの個性がファッションをけん引していた。

いわゆるDCブランドの位置付けがよくわかりました。
デザイナーの創出するライフスタイルが
商品として売られる時代になってきたのですね。
この傾向は、20世紀後半の社会の中流化(といっても一部の先進国ですが)
と密接に関係して、その後のマーケティング志向ブランドへ
少なからぬ影響を与えたことはあきらかです。

一方、メンズファションの一翼を担うビジネススーツ、
正統派の英国紳士服にも、少しづつ変化がみられるようになった。
デザイナー(J.ハケット、ポール・スミス)の手でひねりが加えられたり、
「キングスマン」の衣装を販売するミスタ―・ポーターように、
映画とタイアップした架空のジェントルマンのブランドも登場。
この英国ファションの流れは、それだけで一つのテーマとなりそうな予感です。

さて90年代のミニマリズム(J.サンダーなど)を経て、21世紀のモードはどこへ行く
のか・・・

2000年代初頭に草食系男子を先取りしたエディ・スリマン、
徹底したマーケティング志向のトム・フォード、
半ズボンのトムブラウン。
そしてトランスジェンダー、ノームコア、コンゴのサプール・・・
なんでもあれで予想外の進化をつづけるメンズファッションのトレンドは
今後どのようになってゆくか、要注目です。
SNS時代にファッションのトレンドをリードするのは、
もはやデザイナー以外の人々なのかも。

20世紀に経済成長の恩恵を受けて、「夢」を提示することで発展してきたファッショ
ンが経済格差、環境問題など、社会経済のマイナス影響をどう受け止めて(あるいは笑い流して)進んでゆくか?
その中でデザイナーの立ち位置はどうなってゆくのか?
ファッションビジネスの実学であると同時に、いろいろと現代について考えさせられ
ました。
こういう時こそ、リベラルアーツの出番。
中野様の切り口は、考えるヒント、人生の宝物となるでしょう。

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ほかにも、異業種の方々から、ビジネスや人生を考えるヒントになった旨の嬉しいコメントを数々頂戴いたしました。ファッション史とは服装の変遷ではなく、生きるためのヒントに満ちている豊かな学問であることを広めようとしている身には、たいへん大きな励みになりました。みなさま、あらためて、ありがとうございました!

明治大学リバティアカデミー「時代を導く男性像とモード」、多くの方にご来場いただき、大盛況となりました。

ファッション史はどこに視点を置くかによって、まったく見え方が違います。

戦後のメンズファッション史だけとっても、先週、デイヴィッドが講義してくれたように、ストリートに視点をおいたら「アメトラ」になるし、ファッションイラストレーション講座のように、イラストに視点を置けばまた別のものが現れてくる。ホイチョイプロダクション的にマーケットのトレンドを見据えていくと、さらに違うものになる。

とすれば私ができることはなにか?と考え、スタイルアイコンとデザイナー(やコンセプター)に焦点を絞り、ここ半世紀のメンズファッション史を整理してみました。まとまった本もないので、50人弱のキーパーソンをどう並べて、どんなストーリーを作るか?という点が最大の課題でした。ただ羅列するだけでは「歴史」にならないのですよね。

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用意したスライド、絞りに絞って111点。粗削りなところもあったかと思いますが、ぴたりと90分で終了できたのは神のご加護に違いない……と思うことにします。

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終了後、3人に一人の方が新刊を買っていってくださいました! なんとありがたいことでしょう。涙。

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ご参加くださいましたみなさま、そしてリバティアカデミースタッフのみなさま、撮影してくださった内田栄治さん、ありがとうございました。みなさまのおかげで、達成感を感じられ、お客様にも喜んでいただけた(と思う…)充実した時間となりました。

そしてピンクの可憐な薔薇の花束をお贈りくださった地引由美さん、新刊祝いに大好物のシャンパンをご恵贈くださいましたマリさま、心より感謝申し上げます。

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☆堤信子さんが「ミモレ」で新刊をご紹介くださいました。さりげなく愛がこめられたお言葉に感激です。ありがとうございました。

(Click to Amazon)

ISETAN MEN’S インタビューの後編も公開されました。こちらです。

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18日(土)16:00~ チャーリーヴァイスのサロンに友情出演してくださるもうひとりのゲストは、あの「巨匠」。パフォーマンスの内容は当日のお楽しみに! 知・酒・絵・品・心でおもてなしいたします。

 

☆☆☆☆☆

 

中野香織さん「紳士の名品50」トークイベント
「紳士の名品50」の著者中野香織さんが「紳士のもの選び」について語ります。スペシャルゲストの登場も!
□日程:6月18日(土)
□時間:4時~5時
□場所:メンズ館8階=チャーリーヴァイス
□費用:1,500円(税込)ドリンク代
□定員:20名
□ご予約:03-3225-2853(直通)
※参加のお申し込みやお問い合わせは店頭またはお電話にて承らせていただきます。 恐れ入りますが定員になり次第、お申し込み受付を締め切らせていただきます。

 

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土曜日におこなわれた、さつき会主催のシンポジウム「逆境に打ち勝ち、リーダーとして道を切り開くには」。男性の参加者も多く、盛況のうちに終了しました。

4人のパネリスト(元・文部科学大臣、遠山敦子さま、宇宙の母こと大塚聡子さま、朝日新聞の高橋真理子さま、中野)、それぞれの20分間のプレゼンテーションのあと、会場からの質問を受けていくという形式。

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遠山さんは東京大学法学部の学生の中に女性がただ一人、という世代の方。その後のキャリアでは何をなしても「女性初」の冠がつき、それこそ道を切り開いてきたお方。

大塚さんは「エンジニアとして女性はとらない」と公言された時代における女性第一号として宇宙の世界で活躍。

高橋さんは「朝日新聞初の女性記者」として当初はその言動がいちいちニュースになった方。

それぞれの壁や逆境の乗り越え方、考え方を聞いていて、通底するものを感じました。仕事の内容はまったく違えど、目の前の具体的な現実に偏見なく対処していく、前例なしをチャンスと見る、やりきるまであきらめない、周囲の協力を上手に得る、自分がやりたいことではなく社会や他人に貢献できることを考える(そのほうが結果として成果も評価も上がる)、他人の考えはコントロールできないのだから、悩まず行動する、など。

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遠山さんの「仕事ができる男性ほど、きちんと公平に評価してくれ、女性蔑視がない」という指摘にはいたく共感。成果を出せない男ほど妬みがひどく、中傷やら足のひっぱりやらを女に向かってやらかすんです。いつの時代でもどこの世界でも同じなんですね。

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4人のなかでは最年少だった私は、大学院を出た後いったんフリーランスとしてスタートしてから現在までの「前例なし」「学歴逆差別」だらけの経験から得たことを、最終的に会場のみなさまにも共感していただけるよう、ファッション学の教えとして話をさせていただきました。演題は「ブルーオーシャンの泳ぎ方」。大尊敬する遠山さんから、「冒険的な経験をきちんと理論に落とし込んでいてすばらしい」と繰り返しほめていただきましたうえ、終了後、多くのみなさまからおほめのコメントやさらなる講演依頼をいただきました。ありがとうございました。東大⇒一流企業や官庁に就職というコースから外れたとしても、フリーランスでもなんとか生きていける、逆にそこはブルーオーシャンかもしれない(笑)というあまりおすすめできない特殊な例ですが、そんなのもアリと自由におおらかにご自分の人生を考えていただければ嬉しいです。

ご来場のみなさま、ともに登壇させてくださった先輩方、ありがとうございました。このイベントのために入念に準備を重ねてきたさつき会の学生・スタッフのみなさまにも心より感謝します。

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前列左から大塚聡子さん、遠山敦子さん、高橋真理子さん、中野。後列はさつき会のスタッフのみなさまです。

 

ISETAN MEN’S でインタビューしていただきました。前編です

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記事の最後に、チャーリー・ヴァイスのサロンのご案内があります。

サロンには、スペシャルゲストが二人、友情出演してくれます。一人は本の中でもさりげなく名言を披露している、あのオーセンティックなバーの名物マスターバーテンダー。シングルモルトの紳士な飲み方を教えてくれます(たぶん)。

 

以下、ISETAN MEN’S net からのコピーです。

 

☆☆☆☆☆

 

中野香織さん「紳士の名品50」トークイベント
「紳士の名品50」の著者中野香織さんが「紳士のもの選び」について語ります。スペシャルゲストの登場も!
□日程:6月18日(土)
□時間:4時~5時
□場所:メンズ館8階=チャーリーヴァイス
□費用:1,500円(税込)ドリンク代
□定員:20名
□ご予約:03-3225-2853(直通)
※参加のお申し込みやお問い合わせは店頭またはお電話にて承らせていただきます。 恐れ入りますが定員になり次第、お申し込み受付を締め切らせていただきます。

 

☆☆☆☆☆

 

「AMETORA」の著者W.David Marx氏に特別講義に来ていただきました。

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これまで誰も書かなかった戦後日本メンズファッションの通史を豊富なビジュアル資料と流暢な日本語でたっぷりレクチャーしていただきました。6.10.11

質疑応答では「なぜ日本ではみんな一緒にトレンドに群がるのか?」という話題も出て、私が「人と違うのが不安だからでは?」と言うと、デーヴィッドは「みんなで一緒に楽しみたいからでは?」と。やさしいね。笑

6.10.1

 BEGINチーム(いであつしさん、綿谷画伯、編集の市川さん)も聴講に来てくださいました。その後の取材に立ち会いましたが、アメカジの超マニアのいでさんとデーヴィッドのオタクな知識披露合戦が非常に興味深かったです。

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どんな記事になるのか楽しみ。6.10.3

6月1日、リーガロイヤルホテル大阪による「エコール・ド・ロイヤル」にて、ファッション学講座を開きました。タイトルは「ファッションスキャンダル~スキャンダルに見る人間の本質と処世術」。ホテルジャーナリストで関西マダムのカリスマ、松澤壱子さんにナビゲートしていただきました。6.1.6

クラウンルームを埋める大勢のファッショナブルなゲストの皆様の熱気で大盛況、一体感を感じられた貴重な経験となりました。6.1.3

女の心を病ませていくジョニデ、センテンススプリングから世紀の大不倫のいくつかのパターン(ロッセリーニとバーグマン、スペンサー・トレイシーとキャサリーン・ヘップバーン、エドワードとウォリスなど)の比較、シャネルとスキャパレリの嫉妬合戦、などの話からヒートアップしていき、後半は、私がファッション史と自分の人生から学んだことから独自に引き出した処世訓「ファッション学の教え10箇条」。

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自分で言うのもあつかましくて恐縮なのですが、控えめに言っても終了後だけでなく、翌日、翌々日まで続々と多くの方から絶賛、大満足の声をいただいています。講演直後はほぼ80%の方が本を買っていってくださいました。なんとありがたいことでしょうか!

ひとえに、関西ノリで深いところに突っ込みながら、デリケートな話もギャグに変えてくれるおもしろ賢すぎるマダム壱子のナビゲート、リーガロイヤルホテルスタッフのきめ細かな準備と演出とサポートのおかげ、と心より感謝しています。笑ったりうなずいたり驚いたりと大いに盛り上げてくださったお客様には最大級の感謝を捧げます。

 

6.1.5
大きな花束を三つも抱えて新幹線に乗る幸せ。苦労がすべてふっとぶ最高の瞬間です。みなさま、ほんとうにありがとうございました。

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明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」第3講。

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この日は最終回にしてようやく、実際に描き始めます。綿谷講師が用意してきた練習用のイラストを使って、スーツにまつわるさまざまな要素を、描きながら学び、最後に講師が講評を加える、という形式。私もいち生徒として真剣に描いてみました。

 

1.シワを入れてみる。FullSizeRender (9)

いやー、むずかしい。これまでスーツのシワがどこにどのように入っているのか意識すらしていなかった。ちなみに上が画伯による「模範例」。なるほど、論理的。

2.ボールドストライプを描いてみる。

ケーリー・グラントの白いスーツを、たっぷりとドレープが入ったボールドストライプのスーツとして描く、という課題。ストライプにしても、パーツによってその方向がどんなふうに向かっているのか、まったく意識したこともなかった。こちらが、「模範例」。

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とくに襟、肩、胸元、袖まわりの方向が要注意だったのですが、途中でわけがわからなくなった私は、ケーリー・グラントに花束贈られたいな願望を描き込んでみました。へへへ。70点でした。上衿、肩まわりなど、ストライプが向かう方向がちがうとストライプスーツらしく見えないんですね。いままでいったい何を見てきたんだろう。下が、花でごまかした(笑)私の作品。肩のストライプは外側に向かっていなくちゃいけないんですね。そして上襟は、首のほうに向かって立ち上がらなくてはダメ、と。胸元に曲線がないからドレープが生まれてないし。むずかしー。

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3.最後は、実際の古い写真をトレースして、モダンブリテンのジェントルマンをイラストとして描く、という課題。そのまんまトレースするんじゃつまらないので、パーツの幅を変えたり細部にアレンジを加えたりして、その人の個性が出る「イラストレーション」にしていく。

受講生それぞれの個性が現れたイラストを一枚一枚、OHPで掲示しながら、パーツや持ち物のうんちくも加えられていくので、メンズスタイルに関する知識も同時に深まっていくという仕組み。

ちなみにわたしは、メガネをかけた英国紳士エージェントであるハリー・ハート、エグジー、などなどを思い出して、黒ぶちメガネを加えてみました。ついでに左手にはたばこの代わりにシャネルのギフトボックス。ふふふ。これも贈られたい願望というか妄想(笑)。このくらいのファンタジーを描き込むことくらい許してね。

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これは大胆なキャラ化がよいと評価されて95点もらいました!笑 靴がベルルッティっぽい、工芸品みたいな、という画伯のコメントには爆笑。

 

そんなこんなで感心したり笑ったり描いたりしているうちにあっという間に時間が過ぎ、ゼミのような一体感を感じられた、貴重な講座となりました。

一般の大学の公開講座としては前例のないテーマでしたが、果敢にチャレンジしてくださり、斬新なアプローチで有意義な学びの場を提供してくださった綿谷画伯には、心より感謝します。イラストレーションという視点からメンズファションを見ることで、これまで盲点だった多くのことに気づきました。今後の研究や執筆、講義にも活かしていきたいと思います。

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ご参加くださいました受講生のなかには、毎回、名古屋から新幹線で来てくださる方(雑誌の表紙を飾ったこともある坪井秀樹さん)もいらっしゃいました。プロをめざす美大の学生さんや、昨年のリピーターの方も何名かいらっしゃいました。熱心な参加者のみなさまのおかげで、3回とも、ハイコンテクストな内容となり、おおいに盛り上がりました。サポートしてくださった事務局のみなさまにも、お礼申し上げます。みなさん、ほんとうにありがとうございました!

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Isetan Men’s Net から、新刊『紳士の名品50』のインタビューを受けました。

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三越伊勢丹百貨店でとりあつかっているものもたくさん取り上げましたので(結果的にそうなったのですが)、そのなかのいくつかの商品と一緒に撮影でした。写真左から、伊勢丹メンズ館の成川央子さん、中野、本書担当編集者の河内真人さん、Isetan Men’s Netの記事を書いてくださる梶井誠さんです。ありがとうございました。

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メンズ館から出版祝いとして花束をいただきました! ニコライ・バーグマン!! ひと月の間に二度もバーグマンを手にできるなんてなんとなんと幸せなことなのでしょうか!!!

本のなかでは「菊はタブー」と書きましたが、この菊は白くない特殊な種類のもので、甘くなりがちな花束にぴりっとスパイスを効かせて深みを与えている感じです。大人の花束です。ありがとうございました。

 

 

<みなさま、応援を賜り、ありがとうございました>

Men’s Club編集長の戸賀さんのブログでご紹介いただきました。

放送作家の野呂エイシロウさんもブログでご紹介くださいました。

まんが家のこやまゆかりさんも、フェイスブックにて身に余るお言葉をアップしてくださいました。

ほかにもSNSで早々にあたたかなお言葉をたくさん頂戴して、感謝感激しています。

 

みなさん、ほんとうにありがとうございます。

Men’s Club 7月号発売です。FullSizeRender (3)

トラッド特集において、世界に影響を与えるリーダーのなかから7人(政治家4人、英王室3人)、トラッド巧者を選び、コメントしています。FullSizeRender (4)

機会がありましたらご笑覧ください。

編集長の戸賀敬城さんのブログに、特集についての紹介があります。こちら。

そういえばこの記事が私のMen’s Club デビューかも?笑

世界遺産富岡製糸場の近くにある群馬県立富岡東高等学校で、高校生、保護者、先生方に講演でした。

素直で初々しい、すてきな生徒さんたちでした。音楽部の合唱、体操部の華麗な新体操を見せていただいたあとでの、90分の「ファッション学ってなに?」と題した講演。

独自のファッション学を築いてみて、そこから学んだことのなかから、高校生にとってこれからの生活や人生の礎になるだろう(と私が思った)考え方をシェアしてきました。

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吉田慎一郎・校長先生、田中克寛・教頭先生と記念写真。

ご縁をつないでくれたのは、なんと、大人の不良のDen(笑)、サロンドシマジ。
右の田中教頭先生がとてもおしゃれな方で、サロンドシマジの常連さんなのだそうです。

どこでどんなご縁がつながるかわからない。予想外、圏外のできごとがあるからこそワクワクしますよね。tomioka higashi

学校の壇上は数年前のPTA会長時代以来で、どこか懐かしい感じがしました。高崎駅と学校までの間は、PTAの役員の方々が自家用の車で送迎してくださいました。帰りには地元自慢のアイスクリームまでご馳走になりました。とてもあたたかなおもてなしに、心より感謝します。ありがとうございました!
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tomioka higashi 1富岡東高等学校は女子高ですが、2年後には、富岡高校と合併されるとのことです。「人品雅致(ひとがらすぐれふぜいあり)」という素敵なことばをモットーとする女子高。その精神が、男女共学校となる合併後も受け継がれていきますように。

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明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」、第2講が無事終わりました。この日は、ホイチョイプロダクションの馬場康夫さんをお招きしての、鼎談式講義。

過去を振り返る、という映画を何本も作っている馬場さんの視点から機関銃のように語り紡がれる戦後風俗史が刺激的すぎた!! 録音しておくべきだったと激しく後悔。

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VAN、石津謙介、本場アメリカのアイビールック、テイクアイビー、みゆき族、ビートルズ、ジャパニーズモッズ、平凡パンチ、アンアン創刊、70年代ベルボトムジーンズ、メイドインUSAカタログ、ジョンデンバー、70年代バックパックスタイル、菊池武夫、傷だらけの天使、ラルフローレン、アニーホール、DCブランド、ハマトラ、ボディコン、ウエアリングバイブル、私をスキーに連れてって、彼女が水着にきがえたら、波の数だけ抱きしめて、アメリカンジゴロ、リチャードギア、危険な情事、マイケルダグラス、レオン、ピッティウォモ、ノームコア、スティーブジョブス、トムブラウン、鈴木編集長

というあたりが主なキーワードだったのですが、ウェアリングバイブルあたりから、スカーフをボタンホールに通すなどわけがわからない着こなしが提唱されはじめ、イラストレーターとしてもまじめにやってらんないやということで綿谷画伯もマンガチックな画風を獲得していった…という話が面白かった。FullSizeRender (12)

日本のトレンドにビッグウェンズデーはじめ、映画の影響がとても大きかったということもあらためて知りました。馬場さん製作映画「スキーに」「水着に」「波の数だけ」のポスターはイラストレーションでしたが(偶然、穂積和夫⇒綿谷寛⇒森本美由紀という師弟ルート)、それはイラストレーションを豪華に使うアメリカ映画への憧れからきたものであり、日本においては最初のことだったということも明かされました。

馬場さんの愛用ブランドはずっとブルックスブラザーズだそうですが、声もダンディだなと思ったら、なんとラジオ番組AVANTIのパーソナリティまでつとめていらしたそうです。馬場さんの手帳にもびっくり。こまかな字でびっしり情報が書きこんである分厚い手帳でした。会食のたびに詳らかに記録しておくそうです。

記録してこそ歴史や作品が作られる。あらためて、記録の大切さを教えられました。

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馬場康夫さん、リバティ事務局の河合充さん、綿谷寛講師です。すばらしいお力添えを賜りましたおかげで、かけがえのない貴重な講座となりました。ありがとうございました!

 

 

 

「紳士の名品50」(小学館)本日発売です。shinshi 3表紙のイラストについて。
表には、コートを手にしている紳士がひとりで立っています。
裏表紙には、こんなイラストが。本を読み終えると、女性にスマートにコートを着せてあげられるような紳士になっているというストーリーですね。綿谷画伯考案のお茶目なコンセプトです。

という話を、昨日、明治大学(リバティアカデミー)にご来校くださったホイチョイプロダクションの馬場康夫さんに伝えましたところ、「ぼくだったら着せるんじゃなくて脱がせてるなあ(笑)」ですと(^-^;

単なるモノガイドではない名品ガイド。50の名品を語りながら、そもそも明確な定義のない<ジェントルマン / 紳士>的な思考や態度やふるまいを考えてみました。お手に取ってご覧いただければ幸いです。

 

昨日の日曜の朝は、J-Wave Smile on Sunday にて、知的な美声のレイチェル・チャンさんナビゲートで、スーツ生誕350周年にまつわる話をしてまいりました。

J-Wave の公式サイトで内容が紹介されています。

とても楽しい時間でした。レイチェルさんはじめ、スタッフのみなさま、ありがとうございました!

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スーツのシステム誕生の経緯は、もう16年前の著書になりますが、『スーツの神話』に詳しく書いております。絶版になっておりますが、復刻版を出してくださる出版社さまを大募集中です(笑)。

「紳士」という観点からスーツの投資価値をどのように考えるのかについては、新刊の「スリーピーススーツ」の項目にも書いております。

 

新刊の見本が届きました。とても丁寧に作られたことが伝わる、素敵な本になっています。ブックデザイン、イラスト、装丁などなど、関わってくださったすべての方に感謝します。

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モノをもたないことがもてはやされる時代でもありますが、人の叡智と技術と愛の結晶でもある名品は、豊かな文化を形成してきました。「紳士」の形成においては、そんな名品とのつきあい方も大切な役割を担っています。

発売まであと4日です。

本日、富山で行われるG7に向けて、5月14日付の北日本新聞に 寄稿しました。女性政治家のパワードレッシングについての話です。紙面が大きく、一度にスキャンできなかったため上下二枚に分割した結果、やや見苦しいですが(^-^;

5月14日北日本新聞 上5月14日北日本新聞 shita

11日、明治大学中野キャンパスにおきまして、綿谷寛先生による「メンズファションイラストレーションの世界」第1講が開かれました。全3回の講座です。

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初回のこの日は、ルネ・グリュオー、ライエンデッカー、バーニー・ヒュークス、レスリー・サルバーグ、ローレンス・フェローズ、そして穂積和夫、長沢節、森本美由紀、中原淳一、小林泰彦、斎藤融、大橋歩ら伝説のイラストレーターの作品のみどころを、時代状況をふまえながら解説。

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ときに綿谷先生の個人的なエピソードもさしはさまれながらの、たいへん興味深い講義でした。実際にイラストレーターが活躍していた時代の雑誌や本という貴重な資料も公開され、これまであまり知られていなかったイラストレーターの世界を垣間見ることができました。

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「ファッションイラストレーションから見る戦後ファッション史」という本、書けるネタが豊富にそろっているし、新しい視点が入ることでファッションの見方も変わり、面白いと思う。

5.11.2016.4

あと2回、さらに別の角度から光を当てて戦後メンズファッション史を再考する予定です。

綿谷画伯もこのようにたいへんお洒落ですが、参加者のみなさまがひとりひとり、個性を生かした素敵な装いで、眼福ものでした。みなさま、ありがとうございました!

5.11.2016.6

 

明治大学リバティアカデミー(公開講座)、プロデュースさせていただいた地引由美先生の「香水学」が開講しました。

4.23.1
土曜の朝、キャンパスに入るとふわっと漂うよい香り。かぎられた人生の時間をより深く濃くしていくための香水の基礎知識、教養と同じで「鼻につく」と言われないためにも(笑)自分自身の自然な構成要素のひとつとなるほどあたりまえに身につけておくことで、魅力も、ひいては、周囲に対する影響力も、変わってくるはずです。

4.23.2
右脳も左脳も五感も、天からのギフトにタブーなし。持てる身体能力はすべて活かし、その特性を学び、磨けるものはすべて磨いてまいりましょう。

今日、地引先生のお話で興味深かったこと。肌に直接つけるものである香水は、心が嬉しいと感じることで、いっそう香りが前面に出ていくのだとか。逆に、気持ちが引くと香りも引いていくそうです。言われてみれば。

一方、繊維に入り込む洗濯用の芳香系柔軟剤はケミカルでできており、ところかまわず平板な匂いをまきちらし、身体にも嗅覚にも文化的にも必ずしもよいものではない、ということ。

一考に値します。

 

また、地引先生によれば、香水は人の肌の上で命を得るものだそう。「香水は、私たちとともに、何時間か、生きている」のだそうです。そのように香水を扱うことで、効果が違ってくるのは当然ですね。

明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」。

5月の水曜の夜(11日、18日、25日)、ご一緒に楽しい学びをいかがでしょう。

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第二回目(18日)のトークゲストはホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さんです。

ホイチョイの最新刊『電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり』(講談社+α文庫)も面白いですね。
これを読んでからの私のビジネスマナーはがらりと進化したはずです。笑

綿谷寛×馬場康夫×中野香織で、ファッション&カルチュア&〇〇〇の濃いお話を展開します。どうぞお楽しみに!

 

詳細は、こちらです

 

Kimono and Cultural Appropriation: The Positive Side of Appropriation and Misapplication of Fashion 

A Look into the Kimono Wednesday Controversy at Boston Museum of Fine Arts

By Kaori Nakano

(Special thanks to Ms.Nikki Tsukamoto Kininmonth, and Prof.Shaun ODwyer, for the English version)

Between the summer and fall of 2015, “cultural appropriation” became somewhat of a buzzword in fashion news abroad.

It all began in July when the Boston Museum of Fine Arts was forced to cancel their “Kimono Wednesdays“ kimono try-on event, due to public criticism. The event was meant to celebrate the homecoming of a painting featured in the Japan leg of a traveling exhibition titled “Looking East: Western Artists and the Allure of Japan”.

That painting, which was the center of the scandal, was Claude Monet’s La Japonaise, in which his wife, dressed in a bright red uchikake -a kimono robe usually reserved for bridal costumes- turns around to strike a pose toward the viewer. The weekly event was intended to attract visitors by offering patrons a chance to wear some similarly exquisite uchikake robes and pose in front of the painting for photos. Japan’s national broadcaster NHK, which had originally provided the uchikake to be tried on by patrons of the “Looking East” exhibition in Japan, had donated them to the Boston MFA to use and display as it liked.

It seemed like an event fit for the social media age; “try it on, take a selfie, upload and share.” But the event attracted guests of a rather unexpected kind – young and angry Asian American protestors bearing placards with slogans like “This is offensive to Asians” and “Cultural Appropriation”. Their message was also spread through fierce social media protests: Asian culture should not be stolen or superficially appropriated by a white supremacist culture.

On July 7, the BBC and New York Times reported the MFA’s announcement that it was cancelling the kimono try-ons (though Kimono Wednesdays continued). A new protest subsequently erupted, this time against the cancellation.

The counter protestors’ message in a nutshell was this: because very few Japanese were taking part in the original protests, the protestors were using the event as an opportunity to soapbox their views on Asian American identity. The counter protestors insisted that accusing Kimono Wednesdays of being a “white supremacist approach discriminating against Asians” was misguided, as the event had been organized through cooperation between Japanese and American parties, as a cultural exchange event.

It was Japan’s kimono industry and other related manufacturers that were potentially affected by these events, and a number of kimono designers have expressed their concern about it. Socially conscious Americans who admired the kimono began to avoid wearing it, from fear of being criticized for cultural appropriation. All this was occurring when Japan’s fast fashion retail company Uniqlo had just released their casual kimono wear and yukata lines for the global market.

The debate seemed to intensify as Halloween neared last year. Young Americans were now worried whether dressing up as a geisha would be cultural appropriation, and even I was receiving such inquiries, to which my response was; “Go ahead – dress yourselves up!”

On January 2016, Boston Museum held a conference concerning a serial debate, but the discussion there was very limited, dominated by identity politics rhetoric, and only one Japanese person spoke up and was critical. So I would like to comment on this case from a view point of fashion historian.

Let’s try to assume for a moment that wearing the kimono in disregard of how it was originally intended to be worn is indeed cultural appropriation. A perfect example of this would be the kosode gown, a traditional outerwear for men and women of samurai rank, brought to Europe in the 19th century and appropriated as room wear. For European women who had to wear a corset as part of their daily wear, the kosode gown was introduced as something more comfortable to slip into when relaxing in the privacy of their home. Looking up the English dictionary even today, the kimono will be described as “room wear” or “dressing gown” – a complete misapplication of the term.

However, it was Paul Poiret, a fashion designer of the early 20th century, who found inspiration in none other than this kimono for his corset-free dresses. Thus, the centuries-old custom of the corset diminished, allowing 20th century mode style in the West to blossom. Throughout history, fashion culture has developed via dynamic exchange between cultures. Through being cut away, or “stolen” from its original context (at times with misinterpretation), it leads to completely new and unexpected creations, which then later come back to their original culture as a new form.

This opinion may make more sense to contemporary Japanese, who have, without considering questions of their superiority or inferiority relative to other societies, welcomingly embraced various cultures. Japanese also usually feel rather honored to have their culture “appropriated”: David Bowie, the British superstar who left us recently, was very famous for “borrowing” his face paint, androgynous look and orange colored hair from Kabuki theatre, and Japanese people applauded him for doing this. But for people who still bear the scars from the dark days of segregation and oppression, having their culture “borrowed” on a superficial level does equal to appropriation. Even if it does not feel relatable to the Japanese, it is important to remember at the back of our minds that such thoughts still persist strongly in our world.

It is almost clear that people in Fashion industry does not care about which culture is inferior or superior. Fashion history so full of examples of “cultural appropriation” that it is even absurd to discuss about such tough question. We can hear the interesting comment from the people in fashion industry in the preview of upcoming documentary movie about Vogue, following the days leading up to the annual Met Ball . The 2015’s gala theme was “Chinese Whispers: Tales of the East in Art, Film and Fashion”. A lot of people expected the event and subsequent exhibition should be rife with racial insensitivity and cultural appropriation, especially in this mood around the Boston Museum. But, it seems the  film doesn’t skirt around the tough questions.  Only Andrew Bolton, the Metropolitan Museum of Art’s Costume Institute curator, tells to the camera, “There’s a lot of political hurdles. Some of the topics that the exhibition is addressing could be interpreted as being racist.” And I am sure they will ignore all claims if they should occur, because it is simply “not fashionable” , or even nonsense,  to take up such claims seriously.

As if to prove the feelings above, NY collection held in February 2016 acclaimed the Kimono Collection by Hiromi Asai. Models are western women, including colored people, who wore about 30 designs featuring colorful kimono of Kyo-yuzen dye and Kyo-kanoko shibori tie-dye accentuated with obi in Nishijin-ori brocade, which wowed the audience at the runway show. Ms. Hiromi Asai, the brand producer said; “We want kimono to become familiar with a wide range of people beyond the boundaries of culture and race.” And there occurred not a single discussion about appropriation.

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(By courtesy of the producer,  Ms. Hiromi Asai)

Something I saw recently in the news felt like a faint ray of hope amidst news stories riddled with darkness and despair – the gentle emergence of Muslim Lolita fashion within Islamic cultures. Young Muslim women are now “borrowing” the Japanese Gothic Lolita style and donning frilly pastel colored hijabs – and it is an incredibly cute sight to behold.

Personally, I simply see this movement as an expression of admiration for Japan’s Lolita fashion. Imagine if no culture was considered superior or inferior to others, and if dark histories of our past were not brought up each time we wished to casually “appropriate” each other’s styles, simply because we admired and adored them. I think “appropriation” of fashion can be one of the most direct and loving ways of saying “yes” to another culture.

Responding to the love call from Muslim women, Uniqlo has teamed up with Muslim fashion designer, Hana Tajima, to create a modest ‘lifewear’ collection for women, which includes traditional wear like kebaya and hijabs. It seems to me this is one modest and modern step of the cultural infusion through fashion, which will lead us to understand each other.

I wonder, or rather pray, that sharing such a sense could one day make this world a more peaceful place.
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(Alfred Stevans, La Parisienne Japonaise. 1872.   From Wikimedia Commons)

Kaori Nakano is a fashion historian and professor at Meiji University in Tokyo.

昨年度の明治大学リバティアカデミー公開講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン」の模様が、明治大学の海外向けサイトで紹介されております。こちらです。

最後の部分を引用します。

“Nakano closed her lecture by saying the following: “All three founders, rather than striving for “premium products” by combing various specifications, lived luxurious lifestyles and were not competing with anyone. I hope that you will feel inspired by these unprecedented designers who transformed the industry while taking in the values of the generation. Her lecture on the pioneers of the people’s fascination with brands came to a close on a very high note.”

6.17.3
400名を超える(ホールがほぼ満席)お客様にご来場いただいた昨年度のシャネル講座。「無料」ということもありましたが(^-^;

今年度春の講座も、パワーアップしてお届けします。「時代を導く男性像とモード」。女性ももちろん、大歓迎です! どの領域もそうですが、「女性」と「男性」は常にセットで考えていくべきだと思っています(LGBTもその対概念の派生形として)。

お申込みはこちらから

みなさまにお目にかかれますことを楽しみにしています。

“All real education is the architecture of the soul.” (By William Bennett)

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最終日の最後には、卒業セレモニーが用意されていました。つい先ほどまでのレッスン風景の写真が、感動的な動画になっていて(結婚式の最後に流れる動画のように)、いつの間に撮ったんだ!?という無防備な写真ばかりですがいっそうジワっとくるものでした。髪を巻いているヒマなどあるはずもなく、毎日、文字通りのノーメイクでトレーニングに没頭していましたが、それもまたよい思い出。ca 71

ひとりひとり、修了証書を授与されたあと、並ぶスタッフそれぞれにハグや握手でのお別れ。アメリカ式ですね。

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今回、中心的に面倒を見てくださったUCIのインストラクター。左から、Roger Dupuy, Michelle Ryan, Chris Stillwell, Karl Kottman。彼らは自称「Crazy Americans」でしたが(笑)、ほんとうにオンオフの区別なく、きめ細やかに、こちらが気付かない深いところまで親身になって、的確に面倒を見てくれた。

さらに、ひとりひとりがスピーチ。ca 46

原稿もなく心の準備もなく、いきなりの英語でのスピーチというのは、かつてなら怯んでいたでしょうが、完全ではなくても、勢いでなんとかなっちゃうものでした。それはやはり、オーディエンスとの信頼関係も大きい。この人たちの前だったら、別に恥をかいてもかまわないというか、多少ミスをしても本意は伝わるはずという安心感があったから。日頃の教室でも、そのような雰囲気を作り上げることが大切なんですね。

Discover, Engage, Transform を地で行く濃密な一週間でした。思い通りに表現できない悔しさにも泣きましたが、かつて味わったことのないマインドセットの「変容」の経験をさせていただきました。これまでただ学生による授業アンケートの評価に安住していた自分がいかに生ぬるかったか。上には上がまだまだある。この経験をこれからの現場に生かしていきます。素晴らしいプログラムを用意してくださったUCI, そして明治大学国際連携部に心より感謝します。また、「たまには家事を忘れて思い切り勉強してこい」と背中を押してくれた息子たちにも感謝。留守中の彼らをそっと見守っていてくれた優しい友人・親戚にも。みなさまのおかげです。

 

 

 

朝一からクリスのハードなレッスンとワークショップ。効果的な質問の仕方、ディスカッションの仕方を実践的に学んでいく。「Yes / No 」で答えられる質問はしない(そこで議論が止まるから)”Do you understand?” “Why don’t you understand?”なども悪い質問例。ca 51

(Prof.Yuichi, Prof. Suzanne, Prof. Keisuke.)

ではどうするのかといえば、パラフレーズ(言い換え)を続けていく。”What I am hearing you say is……” とか、”It sounds like you are saying……”とか。本人に答えを見出させるのが目的であって、決してこっちが答えを押し付けるような真似をしてはいけない。このあたり、カウンセリングの手法ですね。

学生に答えを作り上げさせるこの手法を、Constructivism  というそうです。=Let students help themselves という考え方。演劇みたいですな。

そして教師は常に能動態でクラスに臨めと。Surprise, Make Think, Make Laugh, Scare(笑)など。

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なかでも基本となる能動態動詞が、Create.  Create the happy place for everyone.  クラスの全員すべてが、自分は受け入れられていると感じるような雰囲気を作ること。これまで学んだすべてのテクニックがそのためである、と。もし、クラスの雰囲気がネガティブなものであったら、それはほかならぬ教師の責任。環境は自分が創り出しているのだということを忘れるな、という厳しい指導に身が引き締まる思い。

そうですよね、これは大学の教室のみならず、あらゆる場面で言えること。周囲はいつだって私自身の態度の鏡だ。たくさんの人に囲まれているように見えてコミットしてくれるような人が一人もいないのは、コミットするようなことを私自身が面倒と思って避けているからですね。思い当たることいろいろ。自分のマインドセットや態度が、環境を決めていく。

とにかくクリスもロジャーも、教授法を超えて、本当の意味でコミュニケートするとは、エンゲージするとは、どういうことなのか?を本人たちが実例となって示してくれるのだ。

 

その後、ひとりひとりがファイナルプレゼンテーションをおこなう。月曜と比べ、それぞれが劇的に向上したり、よりその人らしさを発揮したりしている。なんだか感動。私はやはり繊細でこみ入った表現をしたいときにスピードが追いつかずにもどかしく思うこと多々、まだまだ英語のスピーキング力が足りないと思う。これはもう、口まわりの筋肉を慣らしていくのみ。卓球の練習をしていたときのように、ひたすらこまぎれの時間を見つけて実践的なトレーニングあるのみ。

とはいえ、ハッピープレイスを作るためのさまざまなインタラクティブな方法は、まだ「間」が悪いが、できるかぎりやってみた。今後、さらに工夫してやっていけそうなことも多々。

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思えば、大学教師をつとめて何年にもなるけれど「教え方」をこのように専門家から教わったのは初めてのことだ。他の参加者もそのように言っているし、日本の多くの大学の先生がそうだろうと思う。小中高の教師は教育実習なるものを受けているが、大学の教師にはそのような機会はない。自分の教え方を客観的に指導されることなんて、経験している人はほとんどいないのではないか。多くが我流。ないしは師の方法の継承とか。それはそれで味わいもあるけれど。

このたびのEMIのプログラムは、英語で教えるための訓練だったが、すべてのテクニック、考え方、戦略は、日本語で教えるときにも役に立つ。多くの場面で、さっそく応用・挑戦してみたい。

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引き続き、朝8時からガチなレッスン。クリスは、大量の情報のシャワーを休む間もなく与えながら、私たちにグループディスカッションをさせる。それを組み合わせて(ジグソー)、クラス全体の結論を創り出していく。話させる書かせる質問させる考えさせる答えさせる。だからほんとうにあっという間に時間が経ってしまう。レッスンに飽きているヒマもないという感じ。話したことはすべてクリスがすさまじい速さでパワーポイントに書きこんでいく。

こうしてみんなで作り上げた情報でもあるパワーポイントは、その夜のうちにメールで届く。いま、見るとほんとうに宝物、情報の宝庫だ。うわっつらの、というかすでに権威がつくったフィクスしたものではなく、その場、その時、そこにいた人々が、その空気のなかでのみ発することができた、生きたことば、ライブな知恵の集積なのだ。

今回、参加した同僚もすばらしいのである。みな、ホームに帰ればその道で有名な一流のプロフェッサーである。だから質問は鋭いし、教師や仲間をいじって笑いをとるのもお手のものだし、なによりも知的好奇心にあふれていてエネルギッシュ。個性的な彼らからも多大な刺激を受け続けている。日頃、ほとんど接点のない同僚とこうして「クラスメイト」として一日中一緒にいて、互いにファーストネームで呼び合い、課題をクリアし続けていると、戦友のような、不思議な連帯感も生まれてくる。こんな思わぬメリットが生まれるのも、海外集中研修ならではですね。

学んだ詳しい情報をすべて公開しているととうてい追いつかないので、また機会があるときにでも、追々に。

 

また、ランゲージレッスンでは、ボディランゲージを学ぶ。ついでにサイレンスやボディタッチ、アイコンタクトの意味なども。ぐっときたキーフレーズ、「ホンモノになるまでフリをせよ」。

 

午後後半は、各自メンターとのフリーの面談というスケジュールになっていたが、カリフォルニアまで来てビーチを見ていかないのはまちがっている(笑)という声が誰からともなく出て、スタッフとも相談したら快く協力してくれた。スタッフのカールとミシェルの車で、ビーチまでサンセットを見にいく。車で20分くらいのドライブ。

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超高級住宅がずらりと並ぶビーチは圧巻。テレビ番組のロケも。ca 23

夕陽の美しさは壮大で、左のほうに、太陽と同じくらいの大きさの七色に輝く球体が見えた。「シーボール」と呼ぶのだそうで、めったに見られないとのこと。天からの激励として受けとめました。ca 68
みんな黙り込んでしまうほどの、圧倒的に美しいサンセットでした。機会を作ってくださったUCIのスタッフに感謝。

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サンセット後は、UCIの教授お二人も合流して、近くのおしゃれなパブレストランでワインを飲みながら食事。大学のこと、研究のこと、映画のこと、日本文化のこと、人生のこと(笑)などなどを語って、よく笑った、楽しい夜だった。

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Photo of professors.  左端にいらっしゃるのはアフリカン・アメリカン・スタディーズのProf. Chandler。右端は日本文化を研究するProf. Willam Bridges。ウィルは日本語がぺらぺらで、日本文学にやたら詳しい。専門だからあたりまえなのですが。私の名刺をコースター代わりにしていたので怒ってみせたら(ジョークでね)、日本人のように「キョウシュク」していたのがおかしかった。

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そろそろ疲労もピークに達しているのですが、あと一日……。

 

 

 

 

ロジャーことロジャー・デュプイのドラマチックなレッスンからスタート。いきなり、「スターウォーズ」の台本読みのシーンから開始。スクリプトがいかに大切であるかということを印象づけられたうえで、Thinking in Pieces という考え方、そしてFlipped Learning の実践的方法を学ぶ。

Thinking in Piecesを具体的に理解するために、A4の紙を8つに折らせる。それぞれのセクションにスクリプトを書いていくのだ。

1. Metadata  2. One Important Term  3. Definition  4.Picture  5. Sentence of Reason (Why the learning of this topic is important)  6. Tell a Story  7. Mention the Term again  8. Metadata

1ピースに1テーマ。このようなピースに分れたスクリプトを作っていくことで、話すほうもロジカルに話を進めていくことができ、聞く方もわかりやすくなるという仕組み。

Flipped Learning は、20世紀的な授業の進め方を反転する学習方法。これまでは、学生は学校で先生の話を聞き、家でホームワークをする、というやり方だった。それを反転させる。つまり、学生は家でパソコンなどを通して学び、学校では議論をしたり作業をしたりする。

これによって、学生をUnleashする! 束縛を解いて自由にする、という感じでしょうか。

従来、プロフェッサーのイメージは、知識を一方的に授ける賢人であった。しかしこれはもう時代遅れ。インターネットに知識があふれているような現代では、学生の理解を導くガイドであることが求められている。

そのために、学校は、インタラクティブな作業や議論をする場にしなくてはならない!

というわけで、インタラクティブな場にするための、雰囲気の作り方、学生のコントロール、よい質問の仕方、グループワークの方法、必ず挙手させる秘訣、ときどき立って運動させる具体的な方法、などなど、ユニークな方法をたっぷり学ぶ。

そしてなによりもやはり、このようなやり方だと、教師のヒューマニティーが否応なく問われるのですね。

ロジャーはHumanity is Charm. と強調し、どんどんあなたらしさを出していきなさい、英語が完璧でなくても。そのほうが活発なクラスになっていく、と話す。たしかに。

20世紀的な「プロフェッサーらしさ」というものに、あまりにも私はひきずられていたかもしれない(これでも。笑)

賢者からガイドへ。このマインドセットの大転換は、一種の革命……。300人クラスでこれをやるのはビッグチャレンジだ。

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UCIのモットーは、Discover Engage Transform. 発見せよ。深く関われ。変容せよ。インストラクターたちのエンゲージの度合は、想像以上に深い。それゆえ、こちらも感化されていやおうなく変容する。

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午後は、今になって時差ボケが出て、ハードなスケジュールの疲れもかさなり、ややつらかった。おまけにこの研修のためにわざわざ買っていったマイクロソフトのSurfaceの電源が入らなくなった。同僚にアダプタを借りても、ネットで調べた再起動の方法その他もろもろを試してもダメだった。なんだよマイクロソフト。

 

それでもなお、刺激的なレッスンに頭が冴える。実践的なディスカッションの方法、シラバスの作り方、クラスルールを設定するメリットなどなど、おびただしい量の情報を、感動とともに学ぶ。

 

 

ランゲージ運用レッスンのあと、UCIの教授に面談。ラテンアメリカ文学を専門とするDr.ホレーシオ・レグラスにお話をうかがう。

スペイン文学や映画の話、授業の進め方、大学の制度など。なんという贅沢な時間。

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ランチはUniversity Centerで。ここも美しくてレストランのバリエーションが豊富。

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たっぷりの野菜サラダに肉(ビーフかチキン)、少しのパン、というのが「定番」になりつつつある。日本にいるときよりも大量多種類の野菜を食べていてヘルシーな気がする。ただ、昼休みが一時間しかなく、広大なキャンパスの移動時間も考えると、あわただしい。

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午後はクリスことクリストファー・スティルウェルによるスピーディーなレッスン。

EMIの問題点を政治的な側面、大学運営的な側面、教育的な側面、学生からの視点、教師からの視点、それぞれを通してすべて洗い出していく。参加者からどんどん出てくる意見をクリスが驚異的な速さでパワーポイントに打ち込んでいき、それが現前に「書かれた文章」となって表れていく。パワーポイントのデータはその日のうちに、各自にメールで送られてくる。だからメモをとることに気をとられず、議論に集中することができる。このやり方、いいなあ。ただクリスは毎日そのために夜遅くまで準備している。情熱と体力が半端ではない。

さまざまな議論と、それに対する対策が出たなかで、私が授業のやり方として取り入れるべきと感じたのは、コミュニカティヴな方法。教師が一方的に知識を授けるという昔ながらのやり方ではダメ、双方向的にコミュニケーションをとりながら進めていくべき、と。

そのためのクラスの雰囲気の作り方の具体的方法、質問の方法、議論の方法などを学んでいく。実に細かく、実践的だ。いままでぼんやりとしていて「あえて学ぶ必要もない」と思わされていたことを、明確な言葉と、インストラクターであるクリス本人の態度そのもので、はっきりと教えられる。

でも私の授業は一クラス200~300人だ。ホールでの講義。小人数ならいいけど、これにどうやってインタラクティブな方法を取り入れていくのか? いくつか試したいと思った方法があるけど、果たしてうまくいくのか? これからの課題。

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ハードな一日を終えて帰りのシャトルバスを待つの図。Prof. Yuichi, Prof. Keisuke.

オスカーセレモニーに次いで、スーパーチューズデーもアメリカで体験できたのは幸運。下は翌朝のUSA TODAYの一面。大学のスタッフは、「毎朝ドナルド・トランプの顔を見なくてはいけないという状況にうんざり」と言っていた。

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“Let us absolutely clear about one thing: we must not confuse humility with false modesty or servility.” (By Paulo Coelho)

“It is not serving, but servility, that is menial.”(By Hortense Odlum)

“Servility always curdled into rage in the end.” (By Tina Brown)

一日目の午後は、参加者8人それぞれの模擬授業、10分~15分。

英語でのプレゼンテーションのやり方もさることながら、8人それぞれのアカデミックな研究領域の具体的な内容も知ることができる。奴隷制度、ガヴァナンス、映像表現、Kawaii、視覚文化、マーケティングなど。各分野の専門用語のシャワーを浴びたことはなかなか新鮮な体験で、ひるがえって、自分の専門領域のこと(ファッション文化史)をどのように英語で説明していくとわかりやすいのかということを考えるヒントをたくさんいただいた。

インストラクターのクリスとロジャーからのコメントばかりではなく、参加者からの手厳しい(笑)コメントももらえて、これまで自覚していなかったことがあぶりだされてくる。

とどめは、やはりスタッフのひとりであるカールが撮ってくれたプレゼンテーション中のビデオですね。これを見て反省点などを書く課題が出されるのだけれど、自分の姿が正視に耐えない。

ひどく落ち込む。

金曜日の最終日に、改善点をふまえてファイナルプレゼンテーションをすることになる。

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同僚のProf. Connie, Prof. Keisuke, Prof. Yuichi, Prof. Takane. インストラクターたちはすぐに私たち全員の名前を覚え、ひんぱんにファーストネームで呼び、コールドコール(いきなり指名すること)をしたりする。一秒の気も抜けず、時間を忘れるほど集中しているうちにあっというまにレッスンが終わる。

初日は、自分のダメさ加減ばかりが目についてほんとんど卑屈になりかけるが、卑屈と謙虚はしっかり区分せねばとぎりぎりの自尊心を保つ。

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UCIのシンボル、アリクイ。ca 62

キャンパス内はとにかく花と緑にあふれて、胸がすくほどに広大で、癒される。

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ホテルの部屋から見下ろすとプールが見えるが、早朝から夕方までのレッスンと、大量の宿題で、なごむ時間もなく。ca 79

 

 

 

UCI (University of California, Irvine)での研修初日。これから一週間は朝8時開始、夕方5時終了というハードなスケジュールでみっちり「学生」として学びます。ca 44

今回の研修は、EMI (English as Medium of Instruction) プログラム。「英語を母国語としない」教師が、それぞれのアカデミックな領域を、「英語を母国語とする学生も含む多様な学生」に対し、英語で教えるための戦略や技術を学ぶ、あるいはよりブラッシュアップするための集中コースです。大学の国際化にともない、英語を母国語とする学生、留学生もますます増加の傾向にあります。そんな学生に対し、英語で専門科目を教えるということがあたりまえの能力として求めらる時代に入っています。

UCIのエクステンションではこの分野を専門的に研究し、教えているスタッフがいて、今回は彼らが明治大学のためにつくった特別プログラムに参加させていただくことになりました。

最初のオリエンテーション講義からマインドセットを変えるものでした。

インストラクターの一人であるロジャーは、ホワイトボードに、「これまでの人生でもっとも教育上、大きな影響を与えてくれた人」の名前を書かせます。

8人の参加者、それぞれが、自分の父だったり、母だったり、小学校の先生だったり、高校の先生だったり、アドバイザーであったりと、「自分の教育にもっとも影響を及ぼした人」の名前を書いていきます。

ロジャーは次に、「では、どのような意味で、そう思うのか?」をひとりひとりに説明させます。

「経験が豊かで、現実に対処する方法を教えてくれる」「科目への愛があふれていて、先生が好きになるあまり科目まで好きになった」「好奇心を刺激してくれた」「自分の才能を信じさせてくれた」「寛大だった」「自分自身になることこそが人生の目的だと教えてくれた」などなど、理由が続々と出てきます。

ホワイトボードに書かれていく理由を見ているうちに全員が実感すること、それは、

偉大なる教育者であった人は、決して莫大な知識の持ち主ではなかった、ということ。

むしろ、偉大なる教育者は、すぐれたヒューマニティの持ち主であった、ということ。

講座の締めくくりに、ロジャーは言うのです。

「いつか、あなたの学生が、このように、ホワイトボードにあなたの名前を書く。そんな日が来ますように」。

技術や戦略や知識も学んでいくのですが、それ以上に、教育にとって必要不可欠なのは、教える側の人間としての人柄や心の豊かさであること。それをプログラムの最初に叩きこまれたわけです。

 

 

学生のカフェテリアでは多彩な料理のなかから食べたいものを選んでいく。野菜をたっぷり使ったヘルシーな料理も充実。ca 39

久々に「学生」に戻ると、教室で「学生」として過ごすときの気持ちもあらためてよくわかる。

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学内には、このように、スター教授のポスターが掲げられている。社会的な貢献をなしとげた女性の教授が、さながら女優かなにかのように。こりゃあ、研究者のモチベーションも上がるなあ。研究者に憧れる女性も多いという社会的な空気も、こうやって醸成されていくのかもしれない。

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” I thank you all for this amazing award tonight. Let us not take this planet for granted. I do not take tonight for granted. ” (By Leonardo DiCaprio, at Oscar Winning Speech)

One day off before starting a hard week.IMG_2065Visited Fashion Island, New Port Beach, 15 minutes drive from Costa Mesa.FullSizeRender (9)A kind of theme park about American Fashion.

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Heaven or Hell?FullSizeRender (15)FullSizeRender (12)FullSizeRender (11)

After returning to Hotel, watched Oscar ceremony.  Congratulations to Leo! This was his night.

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オスカーセレモニーを同じカリフォルニアで(テレビですが)同時刻の夜に見られるというのはなんという幸運。この日は世界中がレオの受賞を待ち、讃えた日、という印象でした。スピーチも貫禄。冒頭に引用しましたが、「この地球環境をあたりまえに与えられたものと思わないようにしましょう。ぼくも今夜のことをあたりまえのものとはせず、とても貴重なものとして大切に守ります」というニュアンスを感じました。もっと若くして受賞していたら、果たしてこれだけのことばが出てきたでしょうか。総立ちで彼を讃えるオーディエンスの表情に、映画業界全体の、レオへの敬意と愛情を感じました。

“When I despair, I remember that all through history the way of truth and love have always won. There have been tyrants and murderers, and for a time, they can seem invincible, but in the end, they always fall. Think of it–always.”
(By Mahatoma Gandhi)

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Came to Orange County, CA.  To attend the Oscar ceremony.

Joking.

I shall go through some program at University of California Irvine Extension.

大学の研修で、カリフォルニア大学アーバイン校で一週間どっぷり過ごすことになりました。オレンジカウンティあたりは治安の良さにおいてアメリカでもトップクラスだそうで、見た目は品のいい人が多いという印象。親日家も多く、滞在ホテルのそばには日本系スーパー「Mitsuwa」があったりします。およそ日本のスーパーと同じ品ぞろえ。

それにしても広い。今回は同僚8人とともに来ていますが、そのなかの一人、K先生いわく「どこまで行っても自然を征服できないというこの広さに、人は絶望するんじゃないか」

人込みの中の孤独がもたらす絶望とは違う、延々と自然の光景が続き、どう人間ががんばってもこれにはかなわないという絶望。それにも負けず淡々と開発してきたパイオニアのおかげで今があるんですよね。

コスタメサのショッピングモールも、延々と続きます。地図だとすぐですが歩くと20分とか。

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コスタメサのモールのなかのレストラン、 Hamamori で頼んでみたカリフォルニアロール。海苔が外側に巻かれていないことと、アボガドがポイント。美味。ca 5
同じくHamamori のビーフサラダ。食べても食べても終わらない。

 

 

GQ 4月号発売です。GQ 4

GQ TALKのコーナーに、デイヴィッド・マークス氏による「アメトラ」を、著者インタビューも含めた形で、より詳しく紹介しました。

ご笑覧くださいませ。GQ TALK AMETORA

“Focus on the journey, not the destination. Joy is found not in finishing an activity but in doing it.” (By Greg Anderson)

「プレシャス」3月号発売中です。

ゲラン オーキデアンペリアル10周年記念「輝きつづける女性たち10人の美の秘密」連載第二回目に登場させていただきました。

たいへん光栄なことでした。precious guerlain

撮影は昨年の12月でした。スタッフのみなさまとの記念写真です。12.9.2015.4ありがとうございました。とても楽しい撮影でした。

「独自のファッション学を確立した」ということで評価していただきました。

逆風にもくさらずやけをおこさず淡々と仕事をしていると、ときどき、ごほうびのようなできごとが降ってきます。感謝♡ おごらず勘違いせず、ひとつひとつのお仕事を通して出会う方々と喜びを共有しながら、さらに着実に結果をお見せできるように仕事をしていきます。

“I love luxury. And luxury lies not in richness and ornateness but in the absence of vulgarity. Vulgarity is the ugliest word in our language. I stay in the game to fight it.”  (By Coco Chanel)

 

岸田一郎さんとの対談、後半です。こちらです。一流とエロスの艶なる関係というテーマの、本題に入ってます。

ラグジュアリーというのは、上のシャネルのことばの引用(フランス語から英語訳されたものですが)に深く納得するんですが、お金がかかってるとかゴージャスとか、そういうことでは全くなくて、下品な俗っぽさや魅力の押し売り(媚びといってもいい)やマニュアルやハウツーとは無縁であることなんです。拝金主義や、ステレオタイプな魅力の誇示、なにかの二番煎じやスペック競争とは対極にある、唯一無二のホンモノの世界。

価値観はひとそれぞれなので押し付けるつもりもないし、わかりやすい「記号」を売りにする媚び媚びな卑俗世界に需要があることも知っているので非難するつもりもないですが、私がセクシーだと感じるのは、やはりそんな「ヴァルガリティ」とは無縁な、ラグジュアリーな雰囲気をまとっている人です。(言うまでもないことで、あくまで念のためですが、経済的に裕福でなくともラグジュアリーな空気をまとう方はいらっしゃいますし、お金持ちでもヴァルガーな方は大勢いらっしゃいます。シャネルが闘ったのは後者に対して)

 

なんてキレイゴトばっかり夢見て追いかけている人はモテませんので(それが理由か?笑)、手っ取り早く幸せになりたいよいこはまねしないようにね!

対談の多くがそうですが、このときも、収録されていない話(公開されない話)に実は面白ネタがたくさんありました。無駄になったというわけではなく、こういうこぼれネタの蓄積が、別の機会に、思わぬ形で活きてくることが多い。

 

お世話になりました岸田一郎さま、朝日新聞デジタルの加賀見徹さま、ライターの関川隆さま、フォトグラファーの梁田郁子さまにあらためて心より感謝申し上げます。

 

Miracle happens when you open your mind and sincerely trust your working partner.

2015感謝のまとめ その4、明治大学編。通常の講義内に、特別ゲスト講師として、レオン編集長の前田陽一郎さん、気仙沼ニッティング代表の御手洗瑞子さん、ミャンマー出身のデザイナー渋谷ザニーさん、そして後期にはマジシャンGO!こと佐々木剛さんにご来校いただきました。それぞれが、壇上に立っただけでただならぬオーラを放つ存在感のある方々で、ましてや話をしたら時間を忘れるほどの魅力と説得力で心をつかむ実力の持ち主。学生にとっては(私にとってもですが)、日頃の生活態度やものごとのとらえ方、ひいては人生そのものを変えるほどのインスピレーションに満ちた時間になったはずです。授業内ではありませんでしたが、ロンドンからRude Boyも遊びに来てくださいました。超豪華ラインナップです。

2015 university 2

また、2014年12月のシンポジウムのまとめを原稿にしたものですが、執筆者として参加した、明治大学商学部編の「ザ・ファッションビジネス」が今年、出版されました。

そして社会人にも開かれているリバティーアカデミー。ひとつひとつが奇跡の(!)講座になりました。まずは春学期にコーディネートした地引由美さんによる香水学、こちらは大人気ですぐに定員クリア、増員して満員御礼。そして綿谷寛・画伯による「おしゃれ似顔絵」講座。イラスト講座の第一回目は私がモデルをつとめ、第二回目には美人プレゼミ生二人も「チイママ」に扮して手伝ってくれました。そしてそして最終回にはなんと国民的イケメン有名俳優Tさんがサプライズでご来校、モデルをつとめてくれるという、にわかには信じがたいできごとが起きました。その後、画伯とTさんとともに、荒木町でお鮨をご一緒させていただくというここは天国ですかというありがたき経験をさせていただきました。この日の記憶は宝物です。さらに私自身が講師をつとめた公開講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン」には、430名もの受講者が申し込んでくださいました。平日の夜なのに、ファッションの講座にこれほど社会人の方がお運びくださるとは。驚くとともに、一般の方々にもファッション学への関心をもっていただくまたとない機会として、内容やプレゼンテーションの方法をますます磨き上げていかねばと心に誓った日でもありました。

後期は堤信子さんによるプレゼンテーション講座をコーディネートしました。前期の地引さん講座同様、当初の定員をすぐにクリアしたので増員、満員御礼でした。人前に立つときに心掛けるべきことを私自身もしかと学ばせていただきました。

最後に、11.11の田窪寿保さんとのボンド講座こと「ブリティッシュ・ラグジュアリービジネスの秘密をジェームズボンドに学ぶ」公開講座。タキシードで登壇してくださるという田窪さんの心意気を尊重すべく、私もなんちゃってボンドウーマン風ドレスに白いファーでがんばってみました。笑。当日、壇上に現れた田窪さんはまさかのカジノロワイヤル風着くずし! 常に期待の上を行く方です。かなりハイコンテクストな、スピーディーで濃い内容の対談講座になりましたが、会場の熱気高く、受講者のみなさまからのあたたかなコメントを前例がないほど(!)たくさんいただきました。ドレスアップして受講してくださった方も多く、終了後のロビーは、いったいここは本当に大学なんだろうかと一瞬くらっとするほど華やかな空気に包まれました。

教えるという立場を超えて、実は私のほうが多大な学びや感動をいただきました。ユーフォリアってこういう感覚?というほどの至福つづきでした。いやもうほんとうに楽しかったなー。特別なご配慮をしてくださった事務局のみなさまのおかげでもあります。お引き受けくださった講師のみなさま、関わってくれたすべてのみなさま、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

来年度も、学生のみなさまと、リバティーアカデミーに来てくださるみなさまに、学ぶことの豊かさと楽しさを経験していただけるよう、計画を立てております。知は無味乾燥でかび臭いものではなく、有閑階級の知識人がもてあそぶだけのものでもない。本来、すべての人に開かれた、自分自身ひいては社会の可能性を広げ、人生と世界をより豊かにするセクシーなものなのです。「何のために」という目的を問うことすらナンセンスに見えてしまうほどの学びが目標です。すたれゆく人文学の分野ですが、最後の小さな灯?(笑)の一つを端っこのほうで燃やし続けていきます。

Special thanks to all my colleagues, administrative staff and students in Meiji Universiry, Mr. Yoichiro Maeda, Mr. Zarny Shibuya, Ms. Tamako Mitarai, Mr. Go!, Mr. Rude Boy, Ms. Yumi Jibiki, Mr. Hiroshi Watatani, Ms. Catherine Haruka, Ms. Amy Ayaka, Mr. T, Ms. Nobuko Tsutsumi, Mr. Toshi Takubo, and all my friends who attended the classes and administrative staff of Liberty Academy.

Everything happens for a reason.  Even unexpected collaboration works bring you great joy and happiness.

2015感謝のまとめ その3。そのほかのテーマでのレクチャー、トークショー、対談など。2015 lecture talk 1
老舗百貨店のファッション史研修講師、老舗宝飾会社の研修講師、美容室グループの研修講師のほか、主に香水の専門家の方々を対象としたファッションと香水の話、一橋大学での音楽とファッションの話、大阪日英協会主催のロイヤルスタイルの話、リーガロイヤルホテルでのブランドの話、「レジィーナ・ロマンティコ」オーナーデザイナー角野元美さんとの開運トークショー、J-Waveでのハリー杉山さんとの対談、古着マニアのパタンナー長谷川彰良くんのデビュー応援を兼ねたコラボ講義、メンターをつとめさせていただいた「気仙沼ニッティング」御手洗瑞子さんの応援対談、そして「リシェス」英国紳士特集での田窪寿保さんとのハイコンテクストな対談などなど、対談相手や視聴者・参加者のみなさまとの<コラボレーション>によって、自分一人では決して到達しえないところまで導かれた感が強い仕事に多々恵まれました。

とりわけ立場の変化を強く意識させられたのは、長谷川彰良くんのデビュー支援と、御手洗瑞子さんのメンターとしての仕事。上を見ると本当にハイレベルな方々が大勢いらっしゃるので、ぶりっこでもなんでもなく、私としてはまだまだ学ばなくてはならない修業の身というか若輩のつもりで気楽でいたので(こう書いてみると厚かましいね…、やはり)、三好一美様の推薦で日本投資銀行さまより瑞子さんのメンターを依頼されたときには驚愕したし、長谷川くんデビューに関し全面的に頼られた時にも内心、かなり違和感があった。でも訪れるご縁はなにかの理由があって訪れるのだと受け入れ、相手の立場に立って真面目に取り組んでやってみると、予想以上に喜ばれ、何より私自身が視点を変えることでたくさんの気づきを得ることができました。

でもやはり、いまだに苦手なんですよ、大学以外の場所で「先生」と呼ばれるのが。

Special thanks to DBJ, Kesen’numa Knitting, Ms. Kazumi Miyoshi, 45rpm, Horus, Regina Romantico, Rihga Royal Hotel, Richesse, Mitsukoshi Isetan Holdings, Mikimoto, Zele Network, Hitotsubashi University, BLBG, Fondation des Arts de la Fragrance Franco-Japonaise, The Japan-British Society, Penhalogon, Koko-no-Gakkou by Yoshikazu Yamagata,  J-Wave.

Magician Mr. GO!  came to my class and gave a lecture & performance.12.18.5

The unique career building story of Mr. GO!  itself is funny but magical, therefore full of inspiration.  Moreover, his incredible performance surprised and moved us deeply. I feel lucky to share this happy excitement with my students.12.18.6

Special thanks to talented and generous Mr. GO! .12.18.2

Memorial photo, with a magic card of A of Heart.

☆☆☆

マジシャンGO! さんに講演&パフォーマンスに来ていただきました。
世界トップクラスのマジシャンの、夢を抱いてから苦労を重ね、現在に至るまでのお話そのものが、面白おかしくもマジカル。心の底から望むものを手にするためにはどう行動すればよいかという示唆に満ちたお話でした。

驚愕のパフォーマンスもさることながら、なぜ私たちの目と脳は騙されてしまうのか?というアカデミックな問いも突き付けられた、ワクワクする時間でした。クライマックスの「未開封の明大茶ボトルに名前を書いたカードを入れる」マジックでは、ホール全体が興奮のるつぼに。

実は、GO!さんは超超ご多忙スケジュールのなか、クリスマスプレゼントとして、ボランティアで来てくださいました。これからのキャリアに迷う学生にとってはとりわけ、すばらしいギフトになったのではないかと思います。

終了後も、近所のバルでお話を伺いました。震災後は被災地にマジックを披露しにいき、被災者の方々を元気づけるつもりがかえってエネルギーをもらいに行ったようだったというお話。今日も、大学生から逆にエネルギーを与えてもらったというお話。昨日のJUJUさんの記事に関して感じたことと、なにか通じる話のように思います。天からのギフト(才能)を使って人を幸せにしようとすると、逆にエネルギーがますます満ちてくるということ、たしかにあるんですね。

そして来年の夢も。叶うといいね! これからの夢を素直に語りあえる人と時間を過ごせるというのは、幸せなことですね。話を聞いていると「夢に向かってまっすぐ」感が伝染するようで、わたしも2016年は「A of Heart」の心意気で行こうという気になりました。

善意の連鎖がよい循環をもたらしますように。GO! さんと一緒にご来校いただき、プチマジックを披露してくださったお弟子さんのYouさんにも感謝します。思えばGO!さんとのご縁が始まったのは、今年4月1日のチャーリー・ヴァイスの誕生パーティーでした。チャーリーにあらためて感謝。そしてこの日の講演&パフォーマンス実現にいたるまでに関わってくださったすべての方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

“Manmaru” (January issue, 2016), a magazine attached to Kitanippon Shinbun, is released today.manmaru 1 cover

「まんまる」2016年1月号発行されました。

今号は「良書との出会い」特集。「人生を変えた一冊」というお題をいただき、連載「ファッション歳時記」の特別版として、デビュー翻訳『性とスーツ』が変えた人生について書きました。ちょい、ハズカシイですが、このような過程を経て今のような仕事をしています。という話です。manmaru books左下の写真は、自宅で次男撮影。立つ位置を指示されました(まんなかではない)笑。

Isetan Men’s Official Website uploaded a detailed article about our talkshow at Chalie Vice last month.

Be a gentleman isetan
伊勢丹メンズ公式サイトで、先月おこなわれましたチャーリー・ヴァイスのサロントークショーの詳細リポートが掲載されています。こんなことを話していたのか……。最中は夢中なので、あとから気づくことも多々です。個人的には「ああいえばよかった」「こうすべきだった」の苦い反省もありますが、では具体的にどうすべきだったのかを脳内にたたきこんで次に活かしたいと思います。

あー。でもその場で、その瞬間に出てくるものがその人のすべてですね。それ以上でも、それ以下でもない。だからこそ「今、ここ」に対する集中力がものをいう。トークショーや講演の時には常につきまとう思いです。

このトークショーそのものに関しては、田窪さんの名司会ぶりあって、トータルで読めば面白い記事になっているのではないかと思います。ご笑覧くださいませ。

Meiji University Press (1 / Dec. /2015) has introduced our Bond Lecture.  Thank you so much!
meidaikouhou

明治大学広報12月号(No.686)に掲載されました。感謝。
それにしても、他の教授陣の重厚な写真の数々に比べ、この写真だけ浮いておるな……

まあ、自分にないものをまねしようったってフェイクにしかなりませんものね。自分なりの「ファッション・スタディーズ」の考え方と方法論を実践していけばいくほど「倫理」を究めていく感覚に近くなっていくのだが、そうなればなるほど、見た目が一見派手になっていくという、これまた一見「矛盾」。

前例がなかろうと、「そんなことやる人はほかにいない」状況であろうと、積み重ねた試行錯誤の上の内側からの確信があれば、静かな落ち着きを保っていられる。自信というほどではない、虚勢とは無縁、プライドなんぞとも違う、ビクビクする必要も媚びる必要もない、とても「自由」な感覚です。「ありのままで」と訳された”Let it go”というのはこの境地ではないかと思ったりします。The cold never bothered me anyway.

と書くとかっこよくなってしまうのでアレですが、別の言い方をすれば「だれもいないところで一人」の自由に満ち足りるようになった、という程度です(^-^;

Lecture for the staff of the Men’s Clothing and Accessories Department at Mitsukoshi Isetan.  Because I love this theme so much, I am afraid I put the information rather too much. Prepared 150 slides of visual material, not enough for me, but perhaps too many for the listener. Modern history of men’s fashion seems banal but actually, once you find the key to look from the other point of view, it is very tricky and there are abundant episodes to talk.

Thank you all, who patiently listened to my lecture. Special thanks to the staff of Mitsukoshi Isetan Human Solutions who offered me great opportunities.伊勢丹研修

三越伊勢丹百貨店メンズフロアご担当者さまを対象に、研修講師をつとめさせていただきました。ありがとうございました。

Posted an article on Japan in depth.  It’s about fashionable cultural appropriation.

☆☆☆

Japan in depth に久々に書きました。ボストン美術館キモノウェンズデーに端を発した、ファッションにおける文化の盗用について。Yahoo!ニュースにもなっています。

デリケートな問題なので、書かないほうが、無難な感じはしました。日本で大きく報道されなかったのも、やはり政治的な配慮が働いたからだと思います。でもやはり海外においては今年の後半、熱く議論された問題でしたので、ファッション史家の視点から、できるだけ客観的な立場から書いてみました。いかなる人種偏見も私にはありません。本当の火種は人種間闘争にあるのであって、文化の盗用云々は論点がずらされているだけという印象も実はあるのですが、その問題には踏み込みたくありません。

この問題は根が深く、きちんと議論しようとすれば、サイードの「オリエンタリズム」にまでさかのぼる必要があります。でもアカデミシャンではないかぎり、サイードだれ?の世界(^-^;  できるだけ、敷居を低くして書いたつもりです。

ひとたび世界に出れば、さまざまな禍根をかかえた人々がいて、こちらが予想もしない憎悪やトラブルをふっかけられることがあります。だからといって行動せず沈黙したままでいるのであれば何のために生きているのかわからないし、何の発展ももたらしません。そんな現実もあるのだということを、頭の片隅にとどめおきながら、より平和に共存できる未来へのことばと行動を選択できる勇気を持ちたいと思います。God bless us all.

☆☆☆
This photo is nothing to do with the post above.
One of the superb dishes we had last week at the ristorante “i Luci” at Shiroganedai.  I was invited to meet the tailoring and selling staff of  a famous company. Had a fruitful and impressive conversation thanks to the sensitive and gorgeous dishes, created by the chef, Mr. Masahiro Takeda.  In the world of eating, we are enjoying many fruits of  “cultural appropriation”.  Italian, inspired by the Japanese “Sashimi”. How extravagant.11.25.1Thank you all, who presented me such a fantastic time at “i Luci”.

 

 

Japan In-depthに掲載された記事のバックアップです。

投稿日:2015/11/29

[中野香織]【ファッションにおける「盗用」「誤用」の効用】~ボストン美術館「キモノ・ウェンズデー中止事件」~

 

今年の夏から秋にかけて、海外のファッションニュースに頻出したキーワードの一つが、「文化の盗用(cultural appropriation)」でした。発端は、7月のニューヨークで起きたボストン美術館の「キモノ・ウェンズデー中止事件」です。ボストン美術館は、「東方を見る:西洋のアーチストと日本の魅力」展をおこない、キモノ・ウェンズデーというイベントを企画していました。

1876年にクロード・モネが描いた「ラ・ジャポネーズ」という名画がありますね。モネが自分の妻に赤い打掛を着せて見返り美人のポーズをとらせている有名な絵です。来場者は、モネの絵に描かれたような豪華な打掛を着て、絵の前で写真を撮ることができることになっていました。NHKも打掛を用意するという形で協力していました。

SNS時代らしい「着て、撮って、アップ」したくなるイベントです。ところが予期せぬ出来事が起きたのです。アジア系アメリカ人の若い抗議団体がプラカードをもってキモノ・ウェンズデーにやってきました。「アジア人を侮辱する、文化の盗用」などと書かれていました。同時に、抗議団体はソーシャルメディアを駆使して、美術館に対する激しい批判を続けました。要は、「白人至上主義的な上からの目線で、アジアの文化を表層だけ都合よく盗用するな」という抗議でした。

7月7日、美術館はキモノ・ウェンズデーのイベントを中止しました。BBCとニューヨーク・タイムズがこの経過を報じると、こんどはイベント中止に反対する抗議が起きました。

カウンター・プロテスター(抗議団体に反対する人)たちの議論は、わかりやすく言えば、次のようなものです。抗議団体のなかに日本人はいない。抗議者たちは、アメリカにおけるアジア人のアイデンティティを主張したいがために、このイベントに便乗して乗り込んだだけだ。キモノ・ウェンズデーは、日本とアメリカが協働しておこなった文化交流のイベントであり、それに対して「白人至上主義目線から見たアジア人蔑視」という議論をふりかざすのは、筋違いである、と。

あおりを食ったのは、日本のキモノ関連産業です。社会問題に意識の高い、善良なアメリカ人のなかには、キモノに魅力を感じても、着ればひょっとしたら「文化の盗用」としてバッシングを受けることになるのではないかとおびえ、着ることを控える人が出てきました。ユニクロが世界的にカジュアルキモノや浴衣を展開しているタイミングで、です。

ハロウィーン前にはさらに議論が過熱しました。「ゲイシャ」の仮装をすることが「文化の盗用」になるのかどうかと心配するアメリカ人の声が高まり、私にまで問い合わせがくる始末。もちろん「どんどん着てください」と答えましたが。

百歩譲って、キモノをその本来の着方を無視して都合のよいように着ることが「文化の盗用」にあたるのだとしたら、19世紀にヨーロッパへ渡った武家の小袖こそ、いいように「盗用」された顕著な例といえるでしょう。なんといっても、小袖がヨーロッパでは部屋着として着られたのですから。当時のヨーロッパの女性服は、コルセット着用を前提としたもので、小袖は、コルセットをはずした私室でリラックスウエアとして着られていました。今でも英語の辞書でkimonoをひくとroomwear (室内着)とかdresssing gown(化粧用ガウン)なんていう意味が出てきます。まったく誤用されていたわけですね。

ところが、ほかならぬそのキモノにヒントを得て、20世紀初頭のデザイナー、ポール・ポワレが、コルセット不要のドレスを創ります。それ以降、西洋では数百年間続いたコルセットの慣習は廃れ、西洋モードが花開いていきます。

文化がその本来の文脈から切り離されて「盗用」され、時には誤解されながら、予想外の新しい創造が生まれ、その成果がまた元の文化に還ってくる。そうしたダイナミックなやりとりのなかでファッション文化は発展してきました。

とはいえ、それは様々な文化を「上」「下」の意識なく、鷹揚に受け入れてきた日本人の「正論」なのかもしれません。差別や迫害を受けてきたという負の記憶が消えない人たちにとっては、「優位」に立つ側が、「下位」にある文化の表層のいいとこどりをするのは、「盗用」に相当する。私たちにはピンと来なくても、そのような感覚がいまだに世界には根強くはびこるのだという現実も、頭の片隅に留めておいたほうがよいのかもしれません。

殺伐としたニュースが続く闇の中、かすかな一筋の希望の光のように見えているのが、イスラム圏におけるムスリマ・ロリータのひそかな流行です。イスラム教徒の女性たちによる、日本のロリータファッションの「盗用」です。パステルカラー、フリルを多用したヒジャブ姿の女性たちのなんと「カワイイ」ことか。

私の眼には、日本のロリータファッションに対する彼女たちからのラブコールにしか見えません。「上」「下」の意識なく、過去への禍根なく、素敵と感じたものを軽やかに「盗用」しあう感性が、なんとか世界を平和に変えていけないものかと、祈るように、思います。

Ultimate luxury magazine, ‘Richesse’ (2015 Winter, No.14) is released today.

(click to amazon)

I wrote an article about Mrs. Cherie Blair, whom I had interviewed at the end of August.richesse 14
Also wrote about the art events, which are recently called “another fashion week”. In my serial column “World Social Calendar”. I wish I could sneak into the party scenes of the Art Basel Miami Beach, which will be held in coming December.

And I’ m honored to appear in the front page of “contributors”.

Thank you so much, Ms. Sogo, editor-in-chief, who offered me this rare and precious opportunity, and Mr. Nonaka,  an excellent editor,  who always realizes my article into these beautiful pages.

 

☆☆☆

リシェス 2015 Winter No.14 本日発売です。
先日、シェリー・ブレア氏にインタビューした内容をもとに記事を書きました。
Cherie Blair Foundation for Women​のことを日本でももっと多くの方々に知ってほしいです。

連載「世界のソーシャル・カレンダー」では、「もうひとつのファッションウィーク」とまで呼ばれるまでになった、アートイベントをテーマにしました。12月のアートバーゼル・マイアミビーチに潜入したいものです…

現代アートの世界に関しては、『巨大化する現代アートビジネス』がたいへん参考になりました。読後の紹介記事です。 

コントリビューターのページにもちらっと出ています。
ブレア夫人にインタビューするというまたとない貴重な機会を与えてくださった十河編集長と、いつもながら美しいビジュアルページに仕上げてくださった編集担当の野中さんに心より感謝申し上げます。

I was invited by Prof. Shinji Koiwa and gave a lecture for the Koiwa Seminar at Hitotsubashi University. 11.24.4It’s about the Great Composers seen from the history of western fashion.
Discussed about the portraits of great composers, such as Liszt, Beethoven, Bach, Brahms, Mahler, Wagner, Chopin, Clara & Robert Schuman, etc., from the perspective of fashion history. 11.24.3It was first time for me to tackle this theme, and poured a lot of time and energy into the preparation.  But I was rewarded more than that. Inspired so much from the questions and discussions made by the musical professionals after the lecture.

Campus of University looks so academic, stately and beautiful, colored with yellow and green. Reminded me of Komaba days… I love this atmosphere. 11.24.2 A wonderful day. A day to remember forever. Thank you all, who shared the precious time.11.24.5

☆☆☆

一橋大学大学院 言語社会研究科の小岩信治先生にお招きいただき、研究科の先生や大学院生の方々を対象に、「ファッション史から見る音楽史」について講演しました。

はじめてのテーマで準備に手間取りましたが、これまで作曲家の肖像をそのような視点から眺めた人はいなかったということで(小岩先生のアイディアです)、喜んでいただけたようです(I hope)。私自身も、リサーチを通してすべてが新しい発見で、逆にこのテーマをもっと深めたいと思うようになっています。レクチャー後にもたくさんのご質問やご意見をいただき、それを今あらためて調べているところです。

終了後は国立の老舗店で、ワインを飲みながら歓談しました。専門分野は異なれどヨーロッパ文化に精通するプロフェッショナルな方々ばかりで、ハイコンテクストな会話を楽しませていただきました。

黄色に輝くイチョウ並木とコントラストをなす、壮麗でアカデミックな建物。ギンナンの匂い。駒場時代を思い出しました。この雰囲気、心の底から落ち着きます。忘れがたい一日になりました。小岩先生、言語社会研究科のみなさま、ありがとうございました。またお目にかかれる機会を楽しみにしています。

明治大学リバティーアカデミー<1111>ボンド講座には大勢の素敵なお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。1111.kawai

(photo from the administrative office of Liberty Academy.  Thank You.)

決してミッションをはずさないのに必ずヒネリを加えてくる田窪氏は、まさかの、余裕のタキシード着崩しで登壇。日頃の闘いぶりの厚みを時折感じさせながら、だいじなこともあくまでさりげなく語り去る。伏線のようにちりばめたキーワードや印象を最後にさらっと回収して大団円にまとめあげる。「ダブルスタンダードの壁は厚いが、ロジックとプライドをもち、自分ルールを貫いてやんちゃに正面突破すれば新しい視界が開ける」 という力強いメッセージとともに。やはりボンドみたいな。笑1111.bondlecture revised 2

田窪氏のこのディナージャケット(アメリカ語ではタキシード)は、ギヴズ&ホークスでのビスポークです。
・ポケットに軍服仕様のひし形フラップがついている(室内で着るフォーマルには、雨ふたであるフラップはつけないのが原則)
・後ろはダブルベンツ
(ベンツはスポーティーなアレンジなので、フォーマルはベントなしが原則)
・トムフォード風のコンケーヴショルダーにウエストをぐっとしぼったエレガントなライン
つまり、「英国紳士のフォーマルの掟」を破るミリタリー+フォーマルだったのです。これは仕事の戦闘服+エレンガントなフォーマルという田窪スタイルのダブルスタンダードな表現であり、そのうえ、タイをほどいたまま登壇というやんちゃぶり。この日のお話の内容をそのまま体現するスタイルでした。

ちなみにディテールをめざとく指摘したのは、社長アテンドについてくださったハケットロンドンの大西さん。田窪さんご自身はまったく服についての解説はせず、大勢の人からは「気付かれない(Unnoticed)」まま。ハケット氏がいう、ジェントルマンの条件ですね。
にくらしいくらいかっこよすぎです。笑。1111. bondlecture 1

内田栄治さん撮影ありがとうございました。お忙しいなかお運びくださいましたみなさま、重ねてありがとうございました。事務局の方々にも心より感謝します。

The invisible wall of the gentlemen’s society is so high, but if you go through it adventurously with your own rule, you will see the brave new world.

<追記>
フェイスブックには、ご参加くださいましたお客様よりたくさんのあたたかなコメントをいただきました。転載の許可を得たコメントを以下にいくつかご紹介させてください。前例のない(おそらくどこの大学でも、ないであろう)講座でしたので、皆様からのあたたかいお声が、今回はとりわけ、励みになりました。ありがとうございました!

田窪ボンドがヴェスパー中野をエスコートするオープニングから、ワクワクしました! 007プレミアでのキャサリン妃、ダニエル・クレイグとのドライブ(!)など、貴重なお写真も楽しめました。そして生の田窪様からは、本を拝読しただけではわからなかったオーラを感じました。J.ボンドとR.ブランソンというロールモデルがあったにせよ、幾度も失敗を重ねながら自分らしさを追求していった結果が現在の田窪スタイルなのですね。英国のビジネスはプライドとロジック。自分の意見をしっかり持ち正面突破でガンガン進め、というビジネスのお話も興味深かったです。ダブルスタンダードの英国ジェントルマン社会に受け入れられるには「自分らしくあれ」ということでしょうか。そして中野様によるボンド映画の粋な大人の会話・・すべてが楽しく、かつ奥が深い! 素敵な講座をありがとうございました。(まりさん)

☆007ジェームズ・ボンドを通じての英国高級ブランドの裏側についてお話しくださり、相当楽しかった。イギリスについては知っていることも多々あるけど、知らないこと知られざる世界の方がはるかに多い。実際に英国ブランドのビジネスに携わっている田窪氏のお話は生々しくも興味深く、そしてコーディネーターの中野氏が英国人男性社会の暗黙のルールをさりげなく解説してくださって、これもまた知らない扉を開けてもらった感じ。
日本人にイギリス人のあのしたたかさが少しでもあれば、外交面も交渉面も違っていたはず、と頷きながら聞いていた。考えたら、あの中国もアラブ世界もイギリス人に翻弄されたんだった。(R.K.さん)

☆着崩したタキシードがジェームズ・ボンドのようにラグジュアリーのなかにやんちゃさを思わせるBLBGの田窪さん。そして誰もが憧れるボンドガールのようにセクシーな装いで登場した中野先生。オトナな空気感に包まれての講座でした。『ダブルスタンダード』こそ、まさにヨーロッパ文化の深さと誇りだと思いました。閉ざされているから、知りたい!入りたい!
おふたりから発せられる言葉が、いちいち豊かな表現を纏っていて、それでいてわかりやすく、ユーモアがあって…学びの多い、とっても有意義な時間でした。…そして意図せず、自分の生き方について、背中を押されたような、心が軽くなる、そんな講座でした。(Akiho Takakoさん)

☆大変大変楽しい、知的好奇心をくすぐるひとときありがとうございました!!!
ボンドとボンドガールのおふたりの装いとトークにうっとりでした。閉演がお名残りおしかったです。ぜひぜひ第二回も開催してくださいませ。(Y.F.さん)

☆ボンドのスピリットも英国の流儀ですね。ダンディズムの系譜にあるのだと感じました。仕事で「ケンカ上等、正面突破」に活かしている田窪さんの余裕が魅力的でした。
原作のけしからん内容を、大衆が支持したあたりにイギリス人の面白さを感じます。映画の台詞もいつか使ってみたいです!架空の人物が映画だけでなく経済効果を生み、男の理想にもなっているなんて リアルなロマンを感じました。
素敵なドレス姿にタキシード、大学の教室とは思えないゴージャスな授業でした。
個人的には、中野さんのショールケープを田窪さんが外すときに、 「はじめようか?」 「本当のことを話してね…」なんてセクシーな会話が聞きたかった!と妄想しました。ありがとうございました!(中井信之さん)

 中井さん、演技が中途半端だったことを反省しています。笑。ほかにもたくさんの好意的なご感想を頂戴して、感涙中です。もちろんご不満の声もあると思います。できるだけ多く方のお声に耳を傾け、次に活かしたく存じます。あらためて、ありがとうございました。
1111.students revised(Photo from my student of Meiji, who also attended this lecture.  Thank you!)

 

 

 

4日、伊勢丹メンズ館チャーリー ヴァイスのサロンにて、BLBG社長、田窪寿保さんのゲストとして、ジェレミー ハケットさんとともにトークショウをおこないました。
11.4.2

タイトルが ”Be an English Gentleman!”. 自分以外のだれかになりたがることじたい、紳士ではないだろうというツッコミで打ち合わせの時から盛り上がっていたのですが。

田窪さんとお仕事をご一緒すると、イギリス紳士にかこつけてなにげに皮肉や意地悪を優雅に?言いたい放題できることがなんとも痛快なのですよね。「リシェス」のジェントルマン特集でも炸裂していましたが。不快を与えないぎりぎりの感覚を保って笑いに換えるセンスが似ている(というのもおこがましいのですが)のかもしれません。田窪さんの場合はビジネスの現場での百戦錬磨に支えられたセンスで、もうレベルが違いますが。

紳士論を語るふりして、そこはかとなく意地悪を言える。また、あとになってわかるような意地悪をされる。笑。たとえば「ダウントンアビー」のヴァイオレットおばあさまの言葉を連想してください。その快感あって私はこのテーマを追い続けていられるのかも(^-^; フィールグッドのわかりやすいハウツー的啓発や、スピリチュアル&ヤンキーの入った”魂”なんぞが議論に入りこんできづらいのも心地よい。いや、そういう大衆迎合的な要素を巧みに排除することでブランドを保ってきたものこそ、「ジェントルマン」という、排他的なシステム。

それをさらに自覚しているだろうとさりげなく思わせながら、どこまでも好印象しか与えない田窪さんの話芸が上手すぎてコワイ。笑

ジェレミーも鋭い。一言で人の本質をいいあてる。二次会では、「ジャパニーズ・ダンディ」の写真集を見て盛り上がっていたのですが、ある男性を見て「ジュディ・デンチ」とか「ページ3ガール」とか。あくまでエレガントににこやかに。たまりません。(イギリス的なブラックコメントに一同、大笑いしましたが、そこには愛があるので、貶めない。品がいいのです。写真集そのものには好意的でいらっしゃいました。)

ショートノーティスにも関わらず、立ち見のお客様まで大勢いらっしゃいまして、大盛況でした。エクスクルーシブなサロン独特の雰囲気で、お洒落なお客様の熱気がよい刺激になりました。スタッフのみなさま、お運びくださいましたお客様、田窪さん、ジェレミーさん、ありがとうございました。

アレンジしてくださいましたハケットロンドンの大西慎哉さん、撮影の内田栄治さんにも感謝します。

二次会は、ル・パラン。シガーのもくもくぶりに、イギリス人のお二人は「Opium Den(アヘン窟)」のようだと形容してましたが。11.4.1

左から、ル・パランのマスターバーテンダーの本多啓彰さん、ハケットさんの親しいお友達でもある綿谷寛画伯、中野、「ミスター・クラシック」ことジェレミー・ハケットさん、やはりこの日「キャンぺーン・フォー・ウール」のために来日した服地会社Fox brothers社長のダグラス・コルドーさん、ハケットロンドンの大西さん。

この日の洋服はジュン・アシダです。艶のある型押し素材で、左前スリット、左胸ファスナーというセクシーな意匠を凝らしながら、品の良さをきちんと保っているデザインです。着心地も最高で、何よりも着るとマインドからがらっと変わります。さすがエレガンスの巨匠!

どさくさにまぎれて宣伝させてください。田窪さんの「英国流ビジネス」をテーマにしたレクチャーが来週水曜日、明治大学中野キャンパスで行われます。まだ間に合いますので、ぜひ、リバティアカデミーHPよりお申込みの上、ご参加くださいませ。私も僭越ながら登壇し、漫才よろしくときどき控えめに合いの手を入れさせていただきます。お目にかかれますことを楽しみにしています。

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3日文化の日に行われた、日仏フレグランス文化財団主催「ル・パルファム」発売記念イベント。

この大著はほんとうにすばらしい。前にも書いたかもしれませんが、見開きで一年分。右側にその年の香水のボトルの写真があり、左側にその年のニュースやファッション、スタイルアイコンとなる女性の紹介があります。それが100年分。届いてすぐに読みたかったので持ち歩き、満員電車のなかで広げていました。笑。監修の地引由美さんに「持ち歩きは想定していなかった」と笑われつつも。わたしにとってはけっこうど真ん中の、ワクワクする本です。このような学術成果をゴージャスな形で世に出してくださった地引さんと、フレグランスジャーナル社さまに心より感謝申し上げます。le parfum

イベントでは私も僭越ながら登壇し、「ファッションと香水の蜜月の100年」と題して講演させていただきました。伝説となって売れ続け、語り継がれる香水には共通点があると思っています。各時代を象徴する香水をとりあげ、その時代背景との関わりの中でどう受け取られたかという話をしてまいりました。2015-11-03 15_31_23
日頃愛する香水についてより深く考えることができた充実した文化の日となりました。日仏フレグランス文化財団さまとご来場のみなさま、ありがとうございました。2015-11-03 15_30_28

明治大学リバティーアカデミーでの堤信子さんによる3回講座は、26日(月)夜、大盛況のうちに終了しました。liberty non 1

私自身も多くを学ばせていただきました。とりわけ、受講生ひとりひとりに心を開き、敬意を表し、立てる、おだてあげるということ。おだてるというと誤解を招きそうですが、とにかくよいところを見つけ、気分を盛り上げてあげること。講師のほうから心を開く。私はそのようにしていたつもりだったのですが、堤先生に比べると、まだまだ、レベルが低かったことを実感。liberty non 2

受講生のみなさまの幸せそうな表情がなによりの喜びです。堤信子さんブログにもすてきな報告が。堤先生、受講生のみなさま、リバティーアカデミースタッフのみなさま、ありがとうございました。アカデミー賞受賞式じゃないけど、「サンキュー、サンキュー、サンユー!」と言いたくなるあの人やこの人の顔が、いつも以上にうかんだ講座でした。

校舎を出たらほぼ満月。来るたびに新しい感動があるこのキャンパス、本当に大好き。10.27.1

大阪リーガロイヤルホテル「エコール・ド・ロイヤル」のお招きで、講演に出かけてまいりました。10.14.5ファッションにとても高い関心をお持ちの方々が足をお運びくださいまして、美しく装った多くのゲストの方々とともに、達成感の深い、濃密な時間を過ごさせていただきました。

著名な漫画家のこやまゆかり先生と松本美緒先生も、お忙しいなか、お客様としてサプライズでいらしてくださいました! 昨年夏のトークショーにも来ていただきましたが、またお会いできたのは本当に嬉しい。終了後、ホテルのティールームで夢中で話し込んで気がついたら2時間以上も居座ってました。ダイアナ妃、キャサリン妃、ポンパドウール夫人、ラ・ヴァリエール、ルイ13世と14世の愛人たちに見る女の生き方……を議論しだしたら延々と尽きず。
10.14.3左がこやまゆかりさん(「バラ色の聖戦」「ホリディラブ」など。ポンパドゥール夫人の伝記漫画「ポワソン」も大好評)、中央が松本美緒さん(「彼女の彼」「ラヴァーズ」「青春上等!!」などなど)。

レジーナ・ロマンティコ社長の角野元美さんもお忙しいなか駆けつけてくださった上、こんなにゴージャスなお花までお贈りくださいました!感謝です。10.14.4
日帰りの大阪でしたが、数々の新しいご縁にも恵まれ、漫画家のお二人とのおしゃべりから新しい企画のアイディアもわき、充実した一日となりました。ご来場くださいましたみなさま、リーガロイヤルホテルのスタッフのみなさま、ありがとうございました。10.14.9またどこかでお会いしましょう!

本日10月7日は「スーツの誕生日」ですね。
チャールズ2世が衣服改革宣言をおこなってから349年目。
来年は350周年祝?!charles II誕生当時のスーツ。今とは形状が全然違いますが、長袖上着+ヴェスト+ボトム+シャツ+タイ(クラヴァット)から構成されるスーツのシステムが生まれたというわけです。ヴェストが導入されたのがポイント。当時は「貴族に倹約を教える服」としてのヴェストが導入されますが、その後、もっとも贅沢なパーツとして発展していきます。

創作者の意図、創始者の目的とは違う形で発展していくというのは、よくあるパターンではありますね。文章にしても、「作者の意図」とは違う読まれ方をして広がったりとか、ね。それが世の常、コントロール不可。
ダーバンコラムVol.2 本日公開です。「巧みに隠すことから生まれるセクシー」。ご笑覧くださいませ。

明治大学リバティーアカデミーでコーディネートいたしました、堤信子さんの「一瞬にして人の心を捉える第一印象と話し方」講座が開講しました。

当初20名の募集でしたが、大人気につき30名まで増やしての満員御礼講座となりました。

同じ「知識」をもっていても、その伝え方でまったく伝わり方が違ってくる。やはりどうせ伝えるなら、聴き手の心に強く、鮮明に、長く残るように伝えたいものです。そのための具体的な方法を、私自身が学びたいと思って、プロフェッショナルアナウンサーで友人でもある堤さんにお願いしました。

第1回目のテーマは、「自分の第一印象を知り、表現力の基礎を学ぶ」。教室の熱気は高く、よい「気」が流れるなかでの楽しく充実した90分でした。10.5.2
「素の顔のレベルを上げる」方法や、肩甲骨に意識を向ける姿勢と、膝を長時間ラクにくっつけて座るためのとっておきの方法、うなずきの効能、笑顔の具体的実践など、プロの現場ならではのエピソードをまじえながらの話は興味深く、さっそく実践しています。堤先生、ありがとうございました。

第2回、第3回も楽しみです。10.5.1終了後の記念写真。左は堤さんの後輩アナウンサー、栂安亜紀さん。右が堤先生です。プロのアナウンサーも受講するほど、参加者のレベルが高くて驚きました。学ぶ意欲が高い社会人の方々に接すると、こちらもしっかり期待に応えねばと刺激を受けます。受講してくださった皆様にも心より感謝申し上げます。

J Wave Hello World 無事に終了しました。聴いてくださったみなさま、メッセージをお送りくださったみなさま、ありがとうございました!10.2.2015

J Waveのブログにもさっそくまとめられています。リニューアル金曜日第一弾としてお招きいただいたようで、光栄でした。ハリー杉山さん、スタッフのみなさま、ありがとうございました。

番組の冒頭で話していた、ハリーさんと英国大使館ではじめてお会いしたときのエピソードなのですが。写真が見つかりました(下)。2年前、2013年の10月のことでした。ハリーさんが着こなしていたのはユニオンジャック柄のウェストコート(=ヴェスト)、と思いこんでいて、それを前提に話したのですが、あらためて過去ブログをチェックして写真を見つけたら、ユニオンジャック柄のジャケットでした! ボウタイもユニオンジャック。ウエストコート以上にこっちを着こなす方が上級ですね。たいへんしつれいしました。記憶って曖昧なものですね。こういうことがあるから、やっぱり記録を残しておくことにこしたことはありません。
harry union jack
17世紀に日々の記録を残し続けたサミュエル・ピープスにもあらためて感謝!です。スーツの誕生日は1666年10月7日。インターネット上には「10月18日」としている記事もありますが、私が所有する”The Diary of Samuel Pepys” vol. VI (London, George Bell & Sons, 1904)では、10月8日の日記に「昨日のことだが…」(=7日)として記されています。10.2.2015.4

「18日」が間違いと断言するつもりはありません。「18日」とされる理由がまた別になにかあるのかもしれません。

ピープス氏は、まさか自分の日記が300年以上も経って読まれるなんて夢にも思っていなかったでしょうね。淡々とした記録。どこで誰のどんな役に立つからわからないものです。10.2.2015.2350年前から延々と読み継がれて110年前に出版されたピープス全集。

フェアファックスコレクティブのブログを更新しました。

起源のロマン

 

お時間の許す時にでもご笑覧いただければ幸いです。cravats(photo: courtesy of Academia Cravatica;  Marijan Busic “Cravat around Arena”, land-art installation, Pula, Croatia, October 18th 2003)

ミキモトさまにお招きいただき、講演。9.9.2

社員の方の関心に焦点を合わせて、前掲書『真珠の世界史』で学んだことなども重ねあわせていきましたが、あらためて面白いなあと思ったのが、「ニセモノ」(呼ばわりされたもの)を「ホンモノ」に変えた、ソフィスティケーション全盛の時代と、創始者の情熱。

海外で「養殖真珠はニセモノ」とバッシングを浴びた1920年代。
御木本幸吉さんは一歩も引かず闘い、
ココ・シャネルのコスチュームジュエリーが結果として後方支援となり、
養殖真珠は「ホンモノ」として認められていく。

すべての条件がそろっていくあたりに、御木本翁の強運を感じる。

ニセモノとホンモノについて考えるための興味深い事例でもあります。

山縣良和さん(writtenafterwardsデザイナー)主宰の「ここのがっこう」レクチャーコースの講師としてお招きいただきました。

山縣さんが理想とする私塾のような学びの場で、参加者も多彩な業界から。講師も学生も一緒に車座になって肩がふれあうほどの距離で議論を深めるという(私にとっては)新鮮な形式。

この日のテーマは「歴史に残るファッションデザイナーとは? ブランドの創始者と現在」。20世紀のファッション史に名を残す(結果として名を残すことになった)デザイナーの具体例の話をしました。山縣さんはじめ、それぞれの受け止め方が面白く、わたし自身が多くを学ばせていただきました。

今日、知って驚いたこと。現在、サンローランのクリエイティブディレクターをつとめるエディ・スリマンが、現在(パリではなく)ロスに住んでいるということ。その具体的なディレクション(クリエイションではなく)の方法もうかがい、20世紀との違いに唖然としました。大手ラグジュアリーブランドグループの「商品」(作品ではなく)は完全にマーケティングの成果になっているんですね。トム・フォードがやっていたグッチ&サンローランあたりからすでにそうであったとはいえ……。

濃い時間を共有した参加者のみなさま。ありがとうございました! (山縣さんは左から2人目)kokonogakko
アイキャッチ画像の鹿の頭部は、「教室」になった銀座のthe snack の入り口のオーナメントです。

ちょうど山縣さんの活動は、坂部さんとともに読売新聞で大きく紹介されたばかり。 yamagata yomiuri

WAW! (World Assembly for Women) in Tokyo にご参加のため来日中のブレア元英首相夫人、シェリーさんにインタビューをする機会をいただきました。

今力を入れていらっしゃるシェリー・ブレア財団の具体的な活動(世界中の女性のエンパワメントを促し、それにともなう経済の強化をめざす)や、ダウニング街10番地でのファーストレディー時代の思い出ハイライトなど。

気さくにたくさんお話してくださいました。世界を視野におけば、もっと大きな可能性が開けてくる、そのビジョンを見せてもらいました。小さなことで思い悩んでいる時間はもったいない。とてもいい刺激を受けました。8.29.1

詳しくは「リシェス」冬号にて。
8.29.2

WAW!の会場になった、品川プリンスさくらタワー。

 

 

老舗百貨店様の真夏の研修。8.5.2015.1
19世紀ジャポニスムから2016年のネオジャポニスム、過去・現在そしてこれから活躍する日本のクリエイターについてのレクチャー120分。雑多な取材経験や知識を総整理して、系統だててわかりやすく伝えるための工夫をぎりぎりまで考え抜くなんてことが、この猛暑のなかでできるのは、こうした機会があるからにほかなりません。暑い夏こそ、観光旅行に行くよりも、休暇を返上しても参加してくれる本気の社会人を前に研修講師をしているほうがはるかに楽しい。と心の底から思う私はかなり仕事中毒にやられたヘンタイなのかもしれません。機会を与えてくださいました関係者のみなさまに、あらためて心より感謝します。喜んでいただけたことが最高の暑気払いになりました。

東野香代子さんと、「ザ・ファッション・ビジネス」第5章の反省のような話をしていて、なるほどなあと納得した香代子語録。

・「最終的に人を幸せにするのがブランド。人はそれが良くて店に行く」

・「とにかくいろいろやって一割くらい結果が出るのが仕事。皆さんが見るのは出た結果だけですが、小さなことの積み重ねしかできないし、ダメ元と言われながらも瓢箪から駒が出ることもある」

 

この夏もあいかわらずレジャー欲も色気も食い気もなく、仕事に燃焼です。10代とか20代に聞いていたsummer BGMをもう一度聞きながら、その頃夢見たことなど何一つ叶わなかったことにあらためて苦笑する。夏の日に描いた「未来の夢」の記憶だけ、ずっと鮮やか。

 

 

三井住友銀行金融ミュージアム「金融/知のLANDSCAPE」が7月末オープンしました。
タッチパネルにふれると情報が流れてくる体験型ミュージアムです。
金融にはほとんど、というかほぼまったく、縁がない私も出演しています。
お近くに御用がおありの際には、冷やかしに立ち寄ってみてください。

国際日本学部教員フォーラム。

森川嘉一郎先生のコレクションに(いまさらながら)感動する。1960年代の「Out」 とか「マーガレット」とか「りぼん」。「奥様は魔女」の主題歌レコードなど、お宝物がどんどん出てくる。
7.31.2
「奥様は魔女」が戦後日本の家族のモデルになった話とか、サマンサが「ダーリン」と呼んでいるがそれは本当に夫の名前が「ダーリン(・スティーヴンス)」だったとか、7.31.11
すでにこのころから、海外ドラマが日本で「マンガ化」されていたとか、

7.31.10興味深い話も尽きず。7.31.4なつかしい「マーガレット」。中身はけっこう濃厚というか、コワい話が多いんですね。そういえば、子供のころ、「マーガレット」のコワい話を読んで眠れなくなっていたこともあった…と思い出す。

7.31.1
森川嘉一郎先生(右)、鈴木賢志先生(左)。

水虫研究で有名な眞嶋亜有先生のプレゼンテーション「水虫と私」も楽しかった。キャリアの重大な転機と結婚のどちらかを選択しなくてはならなくなった時、泣く泣くキャリアを選択してきた……と面白おかしく話す眞島先生に泣き笑いというか、あまり他人のような気持ちがしなかったです。笑。

7.31.3
多くを学んでよく笑った帰途、ブルームーンがあまりにも美しかったので久々に「ル・パラン」に立ち寄ってモヒートをいただきました。こちらの真夏のモヒートは絶品です。7.31.5

メンズプレシャスブログ、更新しました。ご笑覧いただければ幸いです。

久々に恋した映画、キングスマンのご紹介。ほんとうはもっと語りたい!あれもこれも語り尽くしたい! が、語り過ぎるとネタばれに。あ~見終えた人たちと早く語りあいたい。カルチュアサロン、やりたいですね。シャーロックナイトみたいに。

キングスマンに恋する日々のBGMは、当然「威風堂々」です。
kingsman siren suit
こちらが、キングスマンに登場するサイレンスーツ。

原稿に書きました通り、「ハンツマン」をモデルにスタジオでセットが作られたのですが、実際のスーツは、マシュー・ヴォーンと、衣装デザイナーと、Mr.Porterというアパレル企業のコラボによるもの。新しく「キングスマン」コレクションを立ち上げ、映画の衣装として着せていると同時に、実際に販売もしているようです。こちらに、その記事があります。

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エグジー♡ この初々しいジェントルマンスパイ誕生!っぷりがたまりません。

10日、ファッションデザイナーの渋谷ザニーさんにゲスト講師としてご来校いただきました。

「黒色と生花」と題し、主にスペインにおける権力の象徴としての黒のモードと、「母国」ミャンマーにおける生花ファッションについて、レクチャーしていただきました。zanny 3

興味深かったのはやはり、ミャンマーにおいて、生花を髪飾りとして装うことがいかなる意味をもつのかということ。アウン・サン・スーチーさんが髪に生花を飾るのには意味がある。私(あるいは私の夫または父)が、こんな色とりどりの花を咲かせることのできる領地をもっている、という証明として花を飾るのだと。

ザニーさんはミャンマー出身ですが、幼少のころお母様とともに日本に亡命しました。政治難民でしたが、「いじめられないように」ファッションで武装というか防衛し、闘ってきた歴史も話してくださいました。

スペインに留学したかったけれど、当時は国籍がなかったために行けなかったという悔しさ。

あたりまえに国籍をもっていることが「常識」でしかなかった学生にとって、ザニーの人生の話は、衝撃的な体験となったようでした。

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おもいがけず、ザニーのお母様もいらっしゃいました。誠実さをたたえる、素敵なお母様でした。母国語ではない言葉でこのように堂々と人前で話をする息子を見て、お母様はどれほど誇らしい気持ちであったか。<母の気持ち>が想像できるだけに私も感無量の一日となりました。

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先週3日、LEON編集長の前田陽一郎さんをゲスト講師としてお迎えし、「ファッションとは何か」「編集とは何か」「情報とは何か」について熱く語っていただきました。7.3.8

生々しいファッションの現場の話や舞台裏のエピソードなどに受講者の眼はランラン、終了後も前田さんは学生からの質問攻めにあい、なかなかホールを離れられないほど。

・興味深い話がほんとうに多かったのですが、とくに「クラス社会」であるヨーロッパの船上パーティーに招かれたときのドレスコードの話が際立ってました。「カジュアル」でお越しください、と書いてあっても、前田さんはダブルのジャケット(船乗りといえばダブルですね)、青と白のストライプ、デッキシューズ素足ばき、シアサッカー素材、きちんとした時計、で「武装」。すると向こうから「わかるやつだ」ということで話しかけられ、ご縁ができたとのこと。Tシャツと短パンで参戦した人たちはついぞ話しかけられることなく、最後までその人たちだけで固まっていたそうです。ファッションはコミュニケーションであるという、活きた具体例ですね。7.3.4・「デザイン」はドルガバ、アルマーニあたりで終わった。90年代後半のブランド戦争時代に入り、トム・フォード、エディ・スリマンが活躍する頃は、「マーケティングと編集」でファッションが成り立っている。というメンズファッションの近年の流れの解説も。興味深い話題は山積だったのですが、以下、そのなかから数点だけ、ポイントをメモ。

・日本人は細部に凝る。遠景や全体像が見えず、どんどん細部をくっつけていく、という意味でカオスを創り出していく。一方、ヨーロッパ人はざっくりしていて、遠くから見て美しいものを作ることに長けている。7.3.9

・インターネットはただの箱。キーワードを知らないと何も始まらない。キーワードを知るためにはじかに世界と接することが必要。そして日経新聞の株価から時代を読んでいくことの必要性も。

・正しい情報と正確な情報は違う。正しい情報とは、読者が漠然と求めているものを肯定し、後押しするような情報。マイナス面はあえて伝えないことがある。一方、正確な情報はマイナスもすべて含めた正確なデータ。読者がほしがっているのは、正しい情報。

・日本人の美は日本人にはわからない。アニメも伝統工芸も、外国人が見つけてくれている。

・お洒落じゃなければ意味がない。ただ倫理的によいだけでは共感は得られない。

7.3.30

その後のインタビューでは、編集において目指していることは「共感・共有・共犯」の必要性である、と。納得。

意識をどのようにもって「ファッション」「情報」とつきあい、それらをいかに利用していくべきなのか、ヒントに満ちた濃い時間となりました。ありがとうございました!

7.3.31

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年に引き続き、今年も三越伊勢丹百貨店社員研修において、ファッション史の講座を担当させていただきました。

メンズ、レディス、それぞれに分け、古代エジプトから2015年秋冬トレンドまでのファッションの歴史を150分で語り尽くすという大胆無謀というかチャレンジングなレクチャー。人数を70ずつほどに分けるため、同じ講義を2日ずつ。メンズ、レディスそれぞれなので計4日。不思議なもので、聴衆の反応が違うと話も変わってくるんですよね。反応や熱気によって、語ることを省略したり、予定外のことをついしゃべってしまったり。まったく同じ講義なんて二度とない。ライブみたいな?(^-^; 最後の回は160分となってしまいました。

就職した教え子に再会できたり、講義後にメッセージをいただいて新しいご縁が生まれたりと、ハードながら充実した4日間となりました。isetan kenshu
好きなように積み重ねてきた研究や学びが、ファッションビジネスの現場、最前線に立つ方々のお役に立てるというのが、なによりも嬉しい。

明治大学広報 Meiji University News 7月1日発行の7月号(No.681)。先日行いました公開講座のことが掲載されました。

7.3.10

意外なポイントが記者さんにウケたんですね(^-^; 男性デザイナーと女性デザイナーが作る服の着心地の違いとか。

あらためて、ご来場くださいましたみなさまと関係者のみなさまに心よりお礼申し上げます。

 

明治大学リバティーアカデミーにおいてコーディネイトさせていただいた地引由美先生による「香水学」、全三回も無事終了しました。

受講者からの「古くなった香水はどのように扱えばよいですか?」の質問に対するご回答が、とても「役立つ」ものでした。さっそく試しています。笑。

初心者にも親切丁寧な講義をしてくださった由美先生、ご参加くださった40名の皆様、きめ細やかなご配慮で講座を盛り上げてくださった事務局のみなさまに心より感謝します。6.20.6終了後、由美先生と記念写真。いつもお世話になっている青葉台の「チャコ」さんに、由美さんのイメージをお伝えしたらぴたりと合うブーケを作ってくれました!

香水講座も、もはや二度と起こりえぬ奇跡のレジェンド(!)として語り継がれている「綿谷画伯の似顔絵教室」と同様、大人気でした。今期はリバティアカデミーにおいては「前例のない」講座、しかも、思いきり浮世離れしたテーマの講座を3つ担当させていただきましたが、それぞれが予想をはるかに超える反響でした。受講生のみなさまの「学びたい」という意欲をダイレクトに感じ、ゆえに思い出も鮮烈で、ささやかな達成感を味わっています。「前例がない」ことをやってみること、そのひとつひとつが、何が起きるのかわからない冒険のようで、細胞がすべて覚醒していくような思いを味わいました。これもひとえに、関わってくださったすべてのみなさまあってのこと。最大限の感謝を捧げます。

行動して結果を出す、いたらなかったところは内省して次回の行動に活かす、アクション&リフレクション、それを着実に繰り返して、次、また新しい気持ちで挑戦します。

 

明治大学リバティアカデミー公開講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン:ブランドの創始者とブランドの現在」には、雨にもかかわらず430名ものお客様にご来場いただきました。満員御礼、ありがとうございました!
6.17.3
きめ細やかにご配慮くださいました事務局スタッフの皆様にも心より感謝します。

創始者に見る、プレミアムではないラグジュアリーな生き方に、なにがしかのヒントを感じ取っていただけたら幸いです。

人文系の学部がなくなろうとしていく時代ですが、どんな状況にも適応できるタフな統合力のある人間を作るために絶対必要な教養のための最後の砦として、ファッション学でささやかに抵抗していきます。笑6.17.6

フレグランス文化財団の地引由美さんに素敵な花束をいただきました。「マグマ」のイメージだそうです! ありがとうございました。6.17.1

 

6日(土)にcoromozaにて行いました「メンズファッションの源流」セミナー。

おかげさまで告知から24時間を待たず満員御礼となり、当日までキャンセル待ちの電話がなりやまないという伝説の講座となりました。

ご参加くださいました方々の意欲が高く、80年代の小劇場を思わせる熱気で盛り上がりました。

高い志をもつ若い方のデビューをお手伝いできたことは、たいへん光栄なことでした。私も「技術者の視点」を教えていただくことで、多くを学ばせていただきました。

ご参加くださいましたみなさま、ホルスセミナー、コロモザ関係者のみなさまに、あらためて心よりお礼申し上げます。

詳しくは、長谷川彰良さんのブログにリポートされています。6.6

参加してくれた友人たちとともに隣のワインバーで軽く打ち上げ(といってもヴィンテージ服の話ばかりしている)のあと、原宿のヴィンテージメンズウエアショップ「OLD HAT」へ。店主の石田さんにおもてなしをうけながら、さらなるヴィンテージウエアのマニアトークで盛り上がりました…。ほとんど鉄道マニアと変わらない世界?!

興味深かったのは、アカデミックガウンのタグ。上下逆さについているのですが、裏返し、フックにひっかけると、ちょうどそれが美しく正しい位置にくる。「裏返して、フックにひっかけ、人に見せる」ためのタグなのですね。奥深きメンズウエアの世界。6.6.5

「サライ」7月号発売です。特集「紳士の持つべき傘」巻頭で、取材を受けて協力させていただいた「傘の文化史」が掲載されています。

傘の歴史年表つきです。6.8.1

続くページには傘の見方と選び方、サライ厳選ブランドの傘の特徴、ユニークなオーダーメイド傘、そして傘の修理店情報にいたるまで、傘に関する最新情報が満載です。

100円で使い捨ての傘が買える時代ではありますが、傘職人の智恵と技術を後世に伝えるべき道具にして工芸品でもあります。

一本のよい傘を買うことで、伝統技術の継承にも貢献できるのですね。

また、使い捨て傘の残骸はもえないゴミとなり、地球環境に負担をかけます。

100円傘と上質な傘、上手に使い分けていけたらいいですね。

機会がありましたら、どうぞご笑覧くださいませ。
(クリックするとamazonにとびます)

昨日は誕生日でしたが、プレゼミ生たちがサプライズでミニ花束とカードを贈呈してくれました!6.8.3感激です。ありがとう!!

毎年毎年、ほんとうに心優しくて行動力のある学生に恵まれます。

6.5.8多くの人は年を重ねることを不快と思うようですが、いえたしかに、体の機能や弾力やらいろんなところがぼろぼろになってきてそれはもうげんなりといやになってくるばかりであるのは事実です。

でも、年を重ねると、いいこともあります。これまで積み重ねてきた過去のもろもろのことが、意外な形でつながって、あのときのあの経験がこんな形で実を結ぶのかという驚きのできごとが、連続花火のように訪れることがあります。

黄色とブルーがさわやかにアレンジされたこの花束は、20年前の教え子が贈ってくれたもの。20年前、東大駒場の非常勤講師として大教室で英語を教えていました。そのとき、私に鮮烈な印象を受けていたという学生が、20年間社会の荒波に鍛えられ、成長して、立派なジェントルマンになって目の前に現れ、大きな花束を抱えて笑顔で立っている。「大人になってから先生に会いたかった」と。なんと映画みたいな。泣笑。

20年経たなければできないことがある。それをばっちり決めてみせてくれた教え子がいるって、なんと幸せなことか。この感覚は、英語でいうeuphoriaに近い。多幸感というか、陶酔感というか。若い時には味わえない、歳を重ねないと味わえない経験や感情もあります。20年後、またその年でなければ経験できないできごとや感情が訪れるかもしれない…と思うと、やはり年を重ねていくのは未知の世界を旅する冒険ですね。今いただいているひとつひとつの仕事に愛とエネルギーを注ぎ込んでいくこと、それがきっとさらなる20年後への「種まき」になっているのでしょう。

などとかっこよさげなことを言っているひまあれば原稿を書きなさいというお叱りを受けました。はい。すみません。

27日(水)は、関西日英協会設立80周年記念昼食講演会にお招きいただき、「ロイヤルスタイル」の講演をしてまいりました。

会場はANAクラウンプラザホテル大阪。ランチを円卓で一緒にいただいてからの講演。同じテーブルには、ロンドン在住○十年という方や、一年に一度必ずロンドンへ行くという方、クラシックカーレースに出ている方、テーラーさんなど、イギリス通な方々ばかり。いったい何をどういう顔で話せばいいのだと冷汗たらーりで食べた心地もしなかったのですが、なんとか無事終えることができました。日英協会

ご参加くださいました関西日英協会のみなさま、スタッフのみなさま、ありがとうございました。5.27

とんぼ帰りの新幹線内でワインを飲みながら「ダウントンアビー」シーズン3に没頭。こういう時間がいちばん幸せかもしれない(^-^;

関西日英協会様のHPにレポートがあります。

気仙沼ニッティング代表の御手洗瑞子さんにゲストとしてご来校いただき、
特別講義をおこなっていただきました。5.25.2
ブータンの首相補佐としての経済支援と、気仙沼で起業しての復興支援。
底流には同じ、真の自立を促すシステムを作ることが本当の意味での支援になる、という揺るぎない哲学が流れています。
最高級のオーダーメイドのセーターを届けることでグローバルなラグジュアリーブランドとしての立ち位置を目指す行動力とリーダーシップ。
ひとりひとりの顧客と心が通う「親戚のような関係」を築き上げる人間力。
日・英の編み図の違いに目をつけ、日本ならではの「ぴたりと体にあうオーダーメイドセーター」を可能にした鋭くて合理的な発想力。
およそ300名の学生とともに、あらためて、深く感銘を受けました。5.25.3

被災地の人びとに対して「なにかせずにはいられない」という心の衝動のままに「着なくなった服を送る」という行為は、ただの自己満足であってきわめて迷惑な行為である、という指摘も痛快。あなたがもう着ないものは、被災地の人だって着たくありません。断捨離に、被災地の方々を巻き込むべからず。

学生生活を有意義に送るためのアドバイスもとことん具体的で、あまりの盲点に笑ってしまうほどでした。さまざまな美しさが立ち現われる万華鏡のようなインスピレーションに満ちた時間を過ごさせていただき、心より感謝します!tamako

北日本新聞16日付。日展の作品の中から、宇津孝志さんの「雪国春を待つ」を鑑賞し、レビューを書きました。スーツケースをかたどった、ユニークな作品で、さまざまな「読み」方を誘う作品です。

400字では到底書ききれなかったのでここで書いてしまいますが(^-^;、実はベケットの「ゴドーを待ちながら」を思い出したのです。「ゴドーはくるかな」「いつくるのかな」と二人の男が話しながらついにゴドーは現れないままお芝居が終わるというベケットの不条理劇。「ゴドー」は「神」でも「成功」でも「春」でもなんにでも置き換えられるのですけれど、私たちは、何かが来ることを期待し、待っている間に人生を終えてしまうことがある……のかもしれない。それが来たらようやく出発できる、と思ってぐたぐたしているうちに永遠にそこにとどまっているとか。それはそれで、不幸せなことではない。

逆に、いったん「ゴドー」を忘れて、待つ時間そのものを充実させるということもいくらでもできそうです。

新聞記事5月16日日展053

 

レジィーナ・ロマンティコ南青山店2周年おめでとうございます。

記念トークショーにゲストとして招かれ、オーナー&デザイナーの角田元美さんとともに、品格のあるファッション、女性の人生と運の引き寄せ方、をテーマに話してまいりました。5.9.3

具体例として引き合いにだしたのは、イギリスのロイヤルレディーとアメリカのファーストレディー。ビジュアル資料を見ていただきながら、品格が、その人固有の立場と、それを自覚する行動と考え方から生まれる個性のひとつでもあることを話しました。自分の立場をよく考えることなしに表層だけまねているかぎり、品格はついてこないのだと思う。

運の引き寄せ方について、私が知る中でも最強運の持ちぬしの一人、元美さんの話が興味深かった。素直に感じ、行動する(とにかく来た電車に乗る)、そして責任をすべて自分で引き受け、最後の最後は、「ゆだねる」。その結果、引き寄せられることが「起きたこと」であり、それはすべて起きるべくして起きた「良いこと」と考え、楽しむ、と。私は元美さんほど強運でもなく、「成功」しているわけでも全くないのですが、考え方は似ているかもしれません。電車にひょいと乗っちゃったら、とりあえずその選択を最高にすべく努力をするのみ。

お客様の一人の指摘で、元美さんは南青山のお店から表参道の駅まで、ビニール袋をもってゴミ拾いをしているということを知ったのだけれど、実はそういう隠れた地味な行動、陰徳にこそ強運の本当の秘密が潜んでいるのですよね。本人は何気なく、習慣として意識しないでやっていることが、実はほかの人にはできないことだったりする。

日頃無意識にやっている行動が実はすべての結果の原因になっている。意識できることよりもむしろ、無意識にとっている瞬間瞬間の行動や思考習慣のほうが運命を決めているのでしょう。因果はめぐる、必ずいつかどこかで帳尻があう。そのように思って、人が見ていないところでこそ謹み深くあらねばですね。

私自身も多くを考えさせられた楽しい時間となりました。

 

 

土曜日の午後という貴重な時間にご来場くださったお客様、日頃、立ち寄っただけでもあたたかくもてなしてくださるレジィーナのスタッフのみなさま、そして愛情深くエネルギーあふれる素敵な元美さん、ありがとうございました。5.9.1

元美さんはスリットが両足に大胆に入った新作ドレスを着用。私がはいているのは レジィーナ新作のシースルーパンツです。写真ではわかりづらいのですが(それがよいのですが(^-^;)

 

お祝いのお花を贈ったら(青葉台のチャコさん、いつも素晴らしいアレンジをありがとうございます)、

5.9.9さらに素敵な花束をいただいてしまいました(^-^;5.9.4

ますますのご発展を応援し、祈っています。

8日(金)、京都より、風呂敷の宮井株式会社の久保村正高さんと大工原智子さんに中野キャンパスまでご来校いただき、少人数の「国際実践科目」という授業内で、風呂敷講座をおこないました。5.8.9

風呂敷の歴史、柄の由来、包むという文化について、そしていま風呂敷を使う意義に関するレクチャーの後、

5.8.3

慶弔の際の包み方、まむすびの正しい方法、そしてちょっとしたバッグの即席作成法やペットボトル包みなどの実践講座。

意外とふれることすら少なかった風呂敷の奥深さ、楽しさを知って、学生もほんとうに喜んでいました。5.8.11

「どろぼうの風呂敷」こと唐草模様の風呂敷の実際の意味を知って、驚きの声。私は「サライ」取材の折にお話を聞いていたはずなのですが、何度聞いても楽しい話。5.8.2

繊細で、実はとても合理的なテクニックの数々。マジック感覚で覚え、次世代に伝えていけたらいいですね。5.9.10

久保村さま、大工原さま、すばらしいレクチャーをありがとうございました。きめこまかく授業補助をしてくださった資料室の辻さん、福島さんにも、心より感謝申し上げます!

5.8.6

4.30.1

The Gentlemen Makers Summer に、「ジャパニーズ・ダンディ」インタビューが掲載されています。伊勢丹メンズ館で入手できます。お近くにお立ち寄りの際にはぜひどうぞ。gentleman 2

明治大学リバティーアカデミー 綿谷画伯のイラスト講座は、感動の大団円を迎え終了しました。4.25.2

事情あって詳細は書けないのですが、受講生の一人が「あまりにもかっこよすぎて、描きながら卒倒しそうでした」とコメントしたほどのスペシャルゲストに来ていただき、モデルとして3ポーズさらりと決めていただいたうえでのクロッキー、そして笑いあふれる合評会。 その場に居合わせたすべての人のこの上なく幸福そうな笑顔を見て、この講座を企画して本当によかったと、心から思いました。おそらくもうこれほどの幸せなことは二度と起こらない。奇跡の一期一会でした。4.25.6 その後、ゲストの方とともに四谷荒木町の「鮨 わたなべ」さんで会食。メンズファッション談義をしながら、シャンパンに合わせていただくお鮨は、楽しすぎでした……感涙。4.25.8 最後の一杯は久々に荒木町のバー「エル・ラギート」で。ここは「ルパラン」本多マスターのお弟子さんのひとり、本田くんのお店です。

3週にわたり、豊かなサービス精神を発揮して受講生を楽しませ、驚かせ、感動させ、描く楽しさ・共に学ぶ喜びに目覚めさせるという偉業(!)をなしとげてくれた綿谷画伯に、深く感謝します。講座を盛り上げるためにご尽力くださった事務局の河合さんと清水さん、陰に陽にヘルプしてくれたプレゼミOGのキャサリンとエイミーにも、感謝です。そしてこのような初めての試みに参加してくださった約20名の受講生の方にも、心からの敬意と感謝を捧げます。共有できた至福の時間は、一生の宝物となりました。

仕事の打合せで、銀座アルマーニビルのラウンジ。アルマーニのアフタヌーンティー。4.23特製のゴールド×黒の容器というかプレート(アルマーニのロゴ入り)は、10個しか作ってないのだそうです。それで予約のみ。見た目も豪華ですが、お味もすばらしい。

地味なはずの仕事の打ち合わせの内容は、当初予想もしなかったクリエイティブな方向へ。これはあきらかに場の影響だと思う……。

仕事だけではない。あらゆる種類の交渉や議論には、場所、および何を食べるかが意外と重要な要素になってくる。それをあらためて実感させていただいた。アルマーニ、やはり偉大です。場を選んでくれたKさんのパワフルな交渉力にも、いつもながら感動。

明治大学リバティーアカデミー。綿谷画伯のおしゃれ似顔絵講座の第2回目も開講されました。4.18.11

参加者も互いに少し打ち解け、なごやかなムード。この日のテーマは「バーカウンターで気になった人にコースターにさらっと似顔絵を描いてプレゼントをする」。というわけで、綿谷講師もジョン・トラボルタのスタイルで。4.18.5ノンアルコールのスパーリングワインも綿谷画伯から全員にサービスされました。4.18.17

プレゼミOGのキャサリンとエイミーもヘルプにかけつけてモデルをつとめてくれました。ありがとう!

和気あいあいとしたムードの中、品評会をしながら、同じモデルを描いてもそれぞれのタッチがかくも大きくちがうものかと驚きました。

それぞれがユニークで素敵なイラストだったのですが、なかでもとりわけ印象に残った作品をご紹介します。4.18.14左上がキャサリン、右上エイミー、下が私だそうです。少女漫画タッチがたまらなく楽しいイラストで、今回いちばん称賛された作品です。いくらなんでも美化しすぎだろうという声も多々ありましたが(笑)、私もこのフィクショナルなタッチがなんとも気に入ってしまい、記念にコースターをいただきました。4.18.8こちらもかわいい! 4.18.9すべての線をあえて描かないこのタッチもおしゃれ。
4.18.7こういう乙女な雰囲気の絵にも、思わず笑顔になれますよね。4.18.10そして力強い線だけで私を描いてくださったこんなイラストもかっこいい!

「(画伯が学んだ学校)セツ・モードセミナーにはさまざまなレベルのイラストレーターの卵がいたが、結局、最後まで辞めずに残ったのは、辛口の批評も受け入れていった素直な人ばかりだった」という話が心に残りました。

今回も盛り上がった似顔絵講座。最後となる来週は、いよいよビッグゲストがモデルとして登場します!

 

 

 

次号「リシェス」の対談の仕事、赤坂ニューオータニ内のトゥールダルジャンにて。

tour le dargent

非日常的なラグジュリー空間の中で濃厚に語り尽くした2時間でした。どのような誌面になるのか、かなりドキドキします。詳細は6月末発売の同誌にて…。

4.15.1

テーマに関する、今日の格言。
A gentleman is one who never hurts anyone’s feelings unintentionally. by Oscar Wilde
(紳士は、他人の感情を決して無自覚に傷つけることはない)

4.15

ニューオータニ前の八重桜も満開。

 

 

明治大学リバティアカデミー春期講座「綿谷画伯のおしゃれ似顔絵教室」の第一回めが開講しました。 募集人数を上回る22名の受講生がご参加くださいました。初日はクロッキーの実践。互いにポーズをとりながら、写生していく。へんに影をつけたりせず、線で立体感を出すよう、ご指導いただきました。4.11.4椅子の上にのぼり、基本姿勢をデモンストレーションする綿谷画伯。 私はコーディネイターとして参加させていただきましたが、急遽、クロッキーのモデルにも(‘ω’) みなさん熱心に鉛筆を走らせている様子は、いつものリバティーアカデミーの雰囲気とはまた違って、美術学校のようでした。ひたすら描くことに没頭していた中学校の美術の時間というのを思い出して、なつかしい気分になったり。 4.11.6 画伯制作のオリジナルテキストが凝っていて、笑わせていただきました。なにか特殊なキャラとして描かれてますが、まあ、あくまで虚構のキャラなので。笑 4.11.3最後に作品を見せ合ったのですが、みなさんそれぞれにお上手でした。中央は、私をモデルに描いてくださった方の絵。顔が少女漫画のように美化されていて、参加者のあたたかい笑いをとり、この日の「画伯賞」を受賞。 第二回はまた違った趣向で進めるとのこと。楽しみです。

北日本新聞別冊「まんまる」5月号発行になりました。manmaru 5連載「ファッション歳時記」第44回 『「人を外見で判断してはいけない」という葛藤が渦巻いたミスコン』。最近、対談などでも話しているテーマではありますが、きちんと活字で書いてみました。

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声楽家で、ソーシャライトのせいあ・リーさんに取材しました。セルリアンタワー東急にて。

美しくてお話し上手、素敵な方でした!4.7せいあさん、ありがとうございました。

詳しくは、次号の「リシェス」連載、「ソーシャルカレンダー」にて。

31日は大学の第6期プレゼミ、無事終了おめでとうの会でした。

男子学生が共同で一輪のゴージャスな薔薇を贈ってくれました。サプライズ!3.31.1

宴も終わりかけた頃、店内が暗くなった……と思ったらろうそくつきケーキのサプライズ!3.31.3

濃厚なメンバーで楽しい刺激を与え合った充実した一年でした。みなさんありがとう!3.31.2

 

 

遊戯三昧、後編も公開されました。shimaji taidan 2

ブロマンス、ハーフ、アジェンダー。最近、気になっていることをテーマにしてみました。

現代ビジネスでの島地勝彦さんの連載対談、「遊戯三昧」のゲストにお招きいただきました。

前編が本日、公開されました。shimaji taidan 1スポンサーがJTさんということなので、煙にまつわるエピソードを話しています。

気仙沼ニッティング代表、御手洗瑞子さんとのトークセッション、伊勢丹メンズ館チャーリー・ヴァイスのサロンにて。

御手洗さんがなぜ気仙沼ニッティングを立ち上げるに至ったのか? ブータンの首相補佐をしていたころの経験と、その根本的な発想が地続きであることがわかる。

国家の支援とは子育てのようなもの。ほんとうに自分の力で稼ぐことができるようになる支援をするということ。ただモノやカネをあげても自尊心はかえって傷つけられる。自分の力で働き、自立できてこそはじめて人間として、国家としての誇りが感じられるという考え方に感銘を受けました。

同じように、彼女は震災後の気仙沼を支援しました。気仙沼の女性たちが、自分の力で最高レベルのプロフェッショナルな仕事をし、税金を納めることで、誇りと自信を取り戻すことができるように、と。

気仙沼ニッティングは、100年後も存続する「老舗」を目指す。選択において、どちらが100年後も生き残るために有効か?という基準で選ぶ。だから御手洗さんの選択にはぶれがない。3.28.5

賢くて、タフで優しく、行動力とリーダーシップも兼ね備える。目の前の現実と楽しげに向かいながら長期的ビジョンに則って合理的な行動を着々とおこなっているのにまだ20代(あと数週間、だそうですが。笑)! 御手洗瑞子は日本の宝だ、とあらためて感じ入ったサロンでした。3.28.1

シャンパーニュはじめ、御手洗さんが気仙沼からもってきてくれたお酒や美味も供され、満員御礼の21名のお客様とともに(定員越えで参加できなかったお客様、ほんとうにごめんなさい)、感慨深い2時間を堪能しました。ご来場のみなさま、チャーリーズエンジェルのみなさま、ありがとうございました。3.28.8

メンズ館8階では、気仙沼から編み手さんがやってきてパフォーマンスをしています。春なのにどんどんセーターの注文が入っています。ストーリーのある手編みのニットに、誰もが魅了されるのです。すでにレジェンドとなっており、後世に語り継がれる別格のブランドとなりそうです。

3.28.6

均一の品質を保つために、編み手は「禅」の精神で平常心を保ち続けなくてはならないそうです。感情の揺れが反映されてしまうので。編み手ジュンコさんも、お客様の視線に動じることなく編んでいらっしゃいました。

・セーターの柄の神話について面白いと思ったこと。モノの本によれば、フィッシャーマンセーターの柄にはすべて「意味」があり、「地形」が編み込まれている。ケーブルは漁師の綱で、ダイヤモンド柄はアラン島の平地であり豊漁を祈るシンボル。ジグザグはアップアンドダウンを繰り返す結婚生活の象徴…というような。でも、瑞子さんがアラン島で見学したときには、編み手どうしが「私はこんなのも編める!」「私のほうがすごい!」と、テクニックの競い合いをしているような空気を感じたそうです。ひょっとしたら、編み手が集まっておしゃべりしながらいろいろ編んでいるうちに、先に柄のバリエーションが生まれ、それらしき意味は後からこじつけられたのかもしれませんね。意外と「起源」が生まれる現場ってそんなものなのかもしれません。

フィッシャーマンセーターにまつわる神話に、「水死体になって帰ってきても、セーターの柄を見ればどこの家の人なのかわかる」、つまりセーターの柄が家紋になっている、というものがあります。その話も実はある戯曲にまつわるフィクションであることが知られていますが、瑞子さんとの話のなかで、案外、間違いでもないのかもしれない、という一応の結論に達しました。つまり、セーターを見れば、「こんな編み方をするのはあの人に違いない!」と編み手を同定できる、それがすなわち着る人を同定できるということにつながったのでは?と。

・編み図の日英比較。日本はぱっと目で見てわかる「図」で編み図を表現する。着物の柄についても同じ。だからパーセンテージで拡大縮小も正確にできる。でもイギリスは文字で表現する。「表、2つ進んで一つ交差」のような。日本はやはり視覚に強い文化であること、このような設計図の違いからも見て取れる。

・最後にとっても私的な小ネタ。私の父は商船三井の船で働く船乗りでした(その後、「陸に上がり」小さな会社を始めました)。その話を、気仙沼の船乗りの話が出た時にちらっとお話ししたのですが、なんと瑞子さんのおじいさまも商船三井で、小さいときに船の模型をプレゼントしてもらったとのこと。なにか不思議なご縁を感じたお話でした。

国際日本学部第4期の卒業パーティー。プレゼミOBOGたちと記念写真。3.24.1それぞれ超個性的ですばらしく優秀な学生たちです。東大大学院に進学するベトナムからの留学生Lさん。商社マンになるHくん。初志貫徹でファッションメディアに就職したSさん、某百貨店に就職して研修でまたまた私の講義を受けることになるKくん、大手企業の総合職に就くYさん。そして「僧侶」として出家を果たしながら企業に就職もするAさん。前方にひとり「?!」な彼がいますが、パフォーマンスで「黒一点」のモーニング娘。を披露した直後なのでこの衣装です。ひょうきんものですが、超メジャーテレビ局に就職します。

I am very very proud of you all.  ご卒業ほんとうにおめでとう!

日本経済新聞広告特集18日(水)付け 阪急メンズ The Dandy Style 巻頭エッセイを書きました。

 

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伊勢丹メンズが発行する冊子「Then Gentlemen Makers」。次号の「Japanese Dandy」紹介企画で談話。チャーリー・ヴァイスのサロンにて。3.17.7 後ろ左からJDディレクターの河合正人さん、中野、ニューヨークから飛んできたケン青木さん、前列にお座りなのが、JD「カバーボーイ」になった穂積和夫先生。

84歳のマエストロこと穂積先生はあいかわらず飄々として洒脱です。「スーツを着て、おしゃれして背筋を伸ばして、街を睥睨(しながら歩くのがいいね(笑)」とか。説教くさいところがかけらもないのに(ないからこそ)、多くの男性に、お手本にしたいと思わせる。

 

ダンディ企画なので空気に溶け込むべくテイラードスタイルにしてみました。今年はメンズもレディースもテイパードパンツが主流。足首に向かって細くなっていくデザインのことです。ほんとうはストレートあるいはベルボトム系のほうが全身のバランスはエレガントに見えると思うのですが、不思議なもので、時代のトレンドではないと、とたんにそれが古臭く見えてくるんですよね。空気感がズレるというか…。侮りがたしトレンド。

六本木のシガーバー「ル・コノスール」にて、島地勝彦さんと対談のお仕事でした。

3.17.4

2時間ほど室内にいたら、すっかり薫製になった気分でした…。

ウェブマガジン「現代ビジネス」(講談社)に掲載される予定です。

3.17.1

「2014AW最後の授業」が続々終了。一抹のさびしさと安心感と達成感。プレゼミも終了。今年度も超個性派ぞろいで、想定外のできごとが多々ありましたが、終わりよければすべてよし。いちばん鍛えられたのは私だったかもしれません。まさか制服を着ることになろうとは(^^;)

みんなほんとうにありがとう。これからも、インプット&アウトプットの循環を止めず、よいところをのびのびと伸ばしてオリジナルな表現力を磨き続けてください。

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写真はゼミ生ハルカさん作成。

20日(土)のシンポジウムを終えて最終便で富山へ、21日(日)は「まんまる」創刊10周年記念おとなのティーパーティーでした。第一ホテルにて。100名募集のところ180名もの応募があり、結局、応募者全員が入ることのできる大きな会場を用意しての開催となりました。

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(翌月曜日の北日本新聞朝刊です)

トークショーのあとのティーパーティーでは、「おひとりさま」でご来場くださっている方々のテーブルに座らせていただき、一緒に富山産のお菓子やお茶、コーヒーを楽しみました。「おひとりさま」でいらっしゃる方は心の自立度が高いのか、みなさんオープンマインドでお話も面白く、楽しく盛り上がりました。

北日本新聞社としてもはじめての試みで、まったく予想がつかなかったそうなのですが、結果はかくも大盛況の上、お客様にも満足していただけた大成功のイベントとなりました。

当日の詳しい様子は、「まんまる」2月発売号に掲載される予定です。

ご参加くださいましたみなさま、北日本新聞、ハミングバード、第一ホテルのスタッフのみなさま、ありがとうございました!

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MCの垣田さん(左)、和菓子のパフォーマンスを披露してくださった引網さん(右)、後列はハミングバード(株)と北日本新聞のスタッフのみなさま。

余韻をひきずったまま、最終便で羽田へ。落雷を受けた飛行機の調整待ちで空港で長時間待機、ずいぶん遅い到着となりました…。ともあれ、これで今年のパブリックなトークイベントは終わりです。ほっ。今年は話す仕事が驚くほど激増しました。まだまだ反省点のほうが多いものの、ひとつひとつがくっきりと鮮やかな思い出として記憶に刻まれています。

20日(土)におこなわれた、明治大学商学部主催の国際シンポジウム。

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土曜日の午後にもかかわらず、大勢の立ち見の方まで出るほどの大盛況で、主催者が驚くほど。

FITの川村由仁夜先生による、社会学から見た最新のニューヨークファッション事情のご講演、尾原蓉子先生の最近の主にアメリカの小売り事業のトレンドに関するご講演、と濃密で刺激的なお話が続いたあと、ちょっとリラックスして笑っていただこうという気持ちもこめて、PRの内幕のほぼすべてを知る東野香代子さんとともにラグジュリーブランドのPR戦略についてのパネルトークをおこないました。MCは商学部准教授の藤田結子先生。

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あとからたくさんのメッセージやコメントをいただきました。「衝撃だった」とか「日頃の理不尽の理由がわかってすっきりした」とか「刺激的すぎた」「意外に辛口でどきどきした」とか「笑いっぱなしだった」とか。

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(撮影してくださったのは地引由美さんです。ありがとうございました!)

小さなコップのなかの大真面目な闘争も、遠く離れて見ればいかに滑稽であることか。コップを大きくするためには、中の人がそれに気づかなくては、という願いもこめたのですが。

最後は、戦略をコピーすることなく、独自の路線で気持ちのいい成功をおさめている日本のファッションブランドをいくつか、ご紹介しました。直接、お話を聞いたり取材したりしたブランドのなかからなので、ほかの多くのご活躍中のブランドのことはふれられずじまいでしたが、なにとぞご寛恕くださいませ。

ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました!

10日(水)、大阪リーガロイヤルホテルが主催する「エコール・ド・ロイヤル」にて、「ロイヤルスタイル」講座の講師を務めさせていただきました。

年末のお忙しい中、イギリスやファッションに対する関心の高い(なかにはご専門家も!!)方々にお集まりいただき、濃密で楽しいひと時をご一緒させていただきました。

オーディエンスの反応で次のことばが触発されていく…という理想的なコミュニケーションが生まれた素晴らしい場となりました。

スタッフのみなさま、ご参加くださいましたみなさまに心よりお礼申し上げます。

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女性が圧倒的に多かったなか、ふたりだけ、男性のオーディエンスがいらっしゃいました。ファッションエッセイも出していらっしゃるトニーさんこと小森薫さん(右)と、美容院を経営していらっしゃる甥の山崎達也さん。多謝!(いちおう私はユニオンジャックカラーを意識していきましたが…なんかちぐはぐでしたね(^-^;)

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2015ミスユニヴァースジャパン富山大会基調講演に登壇させていただきました。

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一次選考通過者を含む、なんと定員超えの110名の方々にご来場いただき、熱気冷めやらず。自分が知らない世界の美を理解することは世界平和につながると同時に、美は力でもあるということ、またそれを最高に発揮するためのマインドのもちかたにいたるまで、お伝えできることすべてを心を込めて伝えさせていただきました。

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真剣にメモをとる最前列の美女たちは、出場者。足元はみなユニバース規定の13センチヒール!

第二部、モデルの池端忍さんとのトークも楽しかったです。

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靴からストッキング、スカート…とアイテム順に上へ上がっていき、各パーツをめぐる海外と日本の見方の違い、現在のトレンド、バランスよく見せるためのコツなどをクロストークの形でご紹介しました。

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出場者のみなさまとともに記念写真。誰も何も指示しないのに、カメラを向けられると一瞬で全員がこのポーズをとるという楽しさ。笑。

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ご来場いただきましたみなさま、美しいお花やプレゼントをくださいました方々、スタッフのみなさま、すばらしい時間を共有できてほんとうに幸せでした。ありがとうございました。

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翌朝23日の北日本新聞でも、取り上げていただきました!

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候補者の皆様。3日の本選でお会いしましょう!

チャーリー・ヴァイスに誘っていただき、J Waveで収録でした。

番組は"Chalie’s Party"   
写真家のハービー山口さんとパーティートーク。予定にない話で盛り上がり、楽しかったー!
30日、22:00-22:54放送です。だいぶカットされて、ごく一部のみの放送になるとは思いますが(^-^;

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「ヴァルカナイズロンドン」ギフトブックが発行されました。 私の推薦ギフトをご紹介しているほか、ギフトをめぐるミニエッセイを書いております。店頭などで見つけたらご笑覧くださいませ。 11176

日仏フレグランス文化財団×ディオールのイベント「"クチュリエパフューマ―" 香水とファッションの美しい歴史」。

その第二部「装いのシーンと香水」において、財団理事の地引由美さんとともに、トークイベントの講師をつとめさせていただきました。

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乾杯の音頭は地引さん考案で、名香ジャドールに敬意を表し、"J ‘ adore , Dior!"  上は、ボトルを模したゴールドのジャドール・ドレス&歴代ジャドールのボトル。

銀座エスプリディオールの会場3階から地下一階までの4フロアを、解説付きツアーのように回るのです。それぞれのドレスとその背景を私がレクチャーし、地引さんがそのシーンに合わせた香水を語ります。Dior_2

世界中の女性を「花」にしたかった、花が大好きだったムッシュウ・ディオール。

参加者は、ムエット(直前にパンフレット一枚一枚に袋入りで貼り付けられているというすばらしさ!)で香りを楽しみながら、ファッションと香水を五感をフル動員して学ぶという、かつてない試みでした。

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女性はフルレングスのドレスの方もちらほら。そして男性はタキシードを中心に華やかな盛装。ドレスの女性がタキシード姿の男性にエスコートされて階段を下りてくるという世にも美しいシーンが展開され、あまりの艶やかさに胸が一杯になりました(いや、マジで。笑)。

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すてきなエスコートぶりでロングドレスの女性たちを感動させたタキシード騎士団。左から日野火雅利さん、川部純さん、渡邊敦也さん、大橋雅廣さん、鈴木晴生さん、中野、河合正人さん、大西慎哉さん、大橋秀平くん。中央和服は頼富雄介さん。感謝!

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ロングドレスのフレグランスレディたちの香り高さときたらもう……♡

ファッションと香水のマリアージュを学ぶための、この上なく理想的な時空が実現したのです。なんという幸運なことでしょうか。

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ちなみに私はラフ・シモンズによるディオールのクルーズコレクションから、ジレとシガレットパンツで装っていきました。講師として立つオフィシャルな場でパンツをはいたのは初めてのことです(笑)。靴が中世の「ミ・パルティ」風シルバーと黒のツートーン。お客様の女性がドレスでいらっしゃるので、地引さんと私はパンツで臨むことにした次第。

ご参加くださいました方々の満足そうな笑顔がなによりも嬉しかった、輝く一夜でした。みなさまとかけがえのない貴重なひと時を共有できたことに、心から感謝します。

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お声かけくださいました地引さま、そしてきめ細やかなサポートで会のスムーズな進行を全面的に支えてくださいましたディオールのスタッフのみなさま。ほんとうにありがとうございました。

北日本新聞別冊「まんまる」12月号発行となりました。連載「ファッション歳時記」第39回のテーマは、「ラグジュアリーとプレミアム」です。

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先日の富山での講演「ブルーオーシャンの泳ぎ方」でもちらっと触れたのですが、最近ずっと考えているテーマでもあります。

読売新聞 水曜夕刊連載「スタイル アイコン」。本日はイギリスのバッグデザイナー、アニヤ・ハインドマーチについて書きました。

機会がありましたらご笑覧ください。

アニヤとの昼食会でおみやげにいただいたミニブーケに添えられていた名言

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"Be yourself. Everyone else is alreday taken."

はオスカー・ワイルドのことばで、ワイルドのことは誰でも知っているだろうと思いこんでいましたが、「オスカー・ワイルドってだれ!?という読者も多い」ということで説明を加える必要が出てきたりしました。自分が「常識」と思い込んでいることも世間ではそうでもない。どんな局面にも言えること、と心しておかねばですね。

Numero Tokyo エディトリアルディレクター、ドラマ「ファーストクラス」監修など多彩にご活躍中の軍地彩弓さんをゲスト講師としてお招きし、ファッションとメディアの関係について、1980年代から現在までの流れとこれからの展望をレクチャーしていただきました。

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雑誌全盛期の80年代には誌面に載った翌日に問い合わせが殺到し、店に行列ができ、モノが売り切れた…。

現在は完全に「オワコン」状態。SNSを見れば、素人さんが、「リアルな」コーディネイトをふんだんに紹介してくれるし、似たようなものを入手すればそれでよい。雑誌の需要がほとんどなくなっている。

それでも、雑誌でなければ実現できないアートなレベルなファッション、社会に対してメッセージを発する力をもつファッションがある。それを追求し、意味づけて紹介しつづけていくのが雑誌の使命であり、雑誌にしかできないことでもある。……そんなお話を経験談やデータに基づいてご講義いただきました。

ウェブ(アーカイブと検索機能)、雑誌(プロにしかできない高いレベルの内容)、SNS(即時性と拡散力)。それぞれの特性を理解して、連動させていく力が、これからのファッションメディアにとってますます必要となること、豊富な具体例を通してよくわかりました。

軍地さんのアシスタントとして来てくださった林さんは、国際日本学部一期生でもあります。ずっと私の授業もとっていたそうです(講義の場合は一クラス200人を超えるので全員を覚えていられるはずもなくm(__)m)。好きな道を貫く卒業生の、楽しげに働く姿を見るのは嬉しいものですね。

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軍地さん(右)、林さん(左)、ありがとうございました!

銀座のEsprit Diorにて、ヴォーグナイト。Vogue 編集長の渡辺三津子さん、スタイリストの広田聡さんとともに、トークショーに登壇させていただきました。

トークショーの前には、フランスから来日したキュレーターのフローレンス・ミュレさんから直々に見どころを解説いただくという贅沢な経験までさせていただき、ディオールの世界のレイン・オブ・ビューティーをたっぷり浴びてなんとも幸せな気分に包まれました。レイン・オブ・ビューティーというのは、フローレンスがジャドールのキャンペーンで女優が着たドレスを「レイン・オブ・ゴールド」と表現したことを受けて。印象に残った表現でした。

美しく装ったカップル25組の方々には、にこにこと笑顔で楽しそうに聞いていただいて、こちらもハッピーにさせていただきました。なんと3000人ほどの応募、ヴォーグのイベントとしては最多の応募があったとのことで、ほんとにラッキーなお客様だったのですね。

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左から広田聡さん、フローレンス・ミュレさん、中野、渡辺三津子編集長です。
ディオールが紡ぎだす至高の美に包まれたひとときをご一緒させていただいたみなさま、ありがとうございました。

雨の中、ご来場くださったみなさま、ほんとうにありがとうございました!

「前例」を作っちゃったアフターパーティーにも30人近くがご参加くださいまして、楽しく盛り上がりました。

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先にお帰りになってご一緒に写っていない方々、ごめんなさい。

また来シーズンお会いしましょう!

秋の読書シーズン。島地勝彦さん一押しの本として、「乗り移り人生相談」において『シャネル、革命の秘密』が紹介されています。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20141014/419997/

ブランドのタブーにも切り込んでくださいました。シャネル社が広告を出す媒体は、(ブランドに遠慮して)本を紹介できなかったといういわくつきの本です。

でも、ダークサイドや弱さを知って、いっそうその人を深く理解し、愛するようになる、ということは多くの人が経験していること。人の深さを信じるからこそ、ブランドと一時的に気まずくなるかもしれないことを覚悟の上で監訳を引き受けました。

ペンの美しい力に泣けます。

オチの格言だけはいかにも週プレなノリですが(^-^;

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ちょうどタイミングよく、北日本新聞文化部からこの本についての取材を受けました。そういう波というのがあるものですね。

名古屋のファッション専門学校の先生方の研修で、講演でした。「ウィンクあいち」にて。

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「スーツが秘める物語」と題して、スーツの歴史と各パーツの由来やきまりごとの変遷などを120分。さすが先生方だけあって、反応もよく、こちらも楽しくお話させていただきました。ありがとうございました。

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今年1月にモデリスト協会で話した内容が好評で、同じ話を名古屋で、とお声かけいただき、この日のご縁につながった次第。半年たてばスーツ事情も新しくなっているのでヴァージョンアップしていきましたが、ひとつひとつの仕事に没頭することではじめて「次」のご縁に導かれていくものなのですね。「次の機会」を与えていただく、というのが仕事に対するいちばんの報酬というか喜びだなあ…としみじみ感謝した機会でもありました。プライベートでは「次の機会」がないということは多々ありますけどね(^-^;

中国の『端麗服飾美容』(日本のRayとの提携)、数か月に一度、掲載誌がまとめて送られてまいります。

最新号は9月号。

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連載コラム、今月のお題は「ファッション・イノヴェーション」でした。どんなニュアンスに訳されているのか、ついぞわかりませんが。スタッフのみなさま、いつもありがとう。

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『イヴ・サンローラン』初日は満員御礼で、立ち見の回も出たそうです。鑑賞後に多くの方々からメッセージなどで感想聞かせていただきました。あらためて感動をシェアできたり、新しい発見があったりと、私にとっても嬉しい日でした。

コミュニティ・カレッジのサンローラン講座にご参加くださいました寺部真理さまからも、とても知的な刺激に満ちた感想をお送りいただきました。なるほど!と思わされることも多かったので、真理さまのご了承を得て、以下、抜粋して紹介させていただきます。

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個人的な思い出:

私がサンローランのファッションについて知ったのは、1970年代後半でした。
映画評論家の今野雄二さんのコラムを通してであった、と記憶しています。
今野さんもゲイ的な感性の持ち主で、ラガーフェルド、マノーロ・ブラニクなどに、かなり早い時期から注目しておられました。4年前に亡くなられた時は「シングル・マン」のような最期を遂げられたのが印象的です。
余談ながら、トミー・ナッターの「21世紀にはネクタイはなくなる」という予言を40年前に引用していたのも今野さんでした。
まさかクールビズの時代を予言したわけではないでしょうが・・
ちなみに私は学生時代にリヴゴーシュを愛用し、オピウムについては海外旅行に行く親戚に頼んで、発売当初さっそく買ってきてもらいました。当時、水戸黄門の印籠のようなデザインに驚いたものです。(笑)

ミューズと映画ファッション:

「昼顔」のドヌーヴは、ベージュのスーツやトレンチコートが印象的でした。
人妻・不倫・トレンチコートの三点セット?を踏襲したのはブライアン・デパルマ監督の「殺しのドレス」でしょうか。
この作品はヒッチコックの「サイコ」よりも、むしろブニュエルの「昼顔」へのオマージュだ、とデパルマ監督が言っていたそうです。
こんなところにもYSLの影響があったのですね。

グローバルビジネス:

デザイナー個人としてのブランドと、グローバルビジネスとしてのファッションブラ
ンド、シャネルとサンローランの会社としてのその後・・・
この対比は、国際ビジネスを専攻した私にとって、とても興味深く、かつその矛盾について深く考えさせられるテーマです。
ファッション・ブランドのグローバル戦略については、ビジネス関係の学会でもテーマとして取り上げる先生方がおられるようです。しかし、アーチストの個性が深く絡むファッション産業においては、もっと多角的な分析が必要ではないか、と私は考えています。

デザイナーの感性とマネジメント:

「社会的意味はなく、ただただ美しくあることを唯一の基準として選んだことが、結果的に時代を変えるきっかけになる」、というデザイナーの感性のすごさ。
これがクリエイティビティの真の原動力ですね!
アーチストとしてのデザイナー、ビジネスとしてのマネジメント、イブとピエールの関係も興味深いです。
アーチストには、プライベートも知り尽くして存在をまるごと受け止められる有能な、愛あふれるマネージャー兼パートナーが必要ということで・・・

リシェス・オブリージュ:

最後に・・・もしもシャネルやサンローランが現代に生きていたならば、エコロジー、社会貢献、リシェス・オブリージュといった潮流を、独特の感性でどのようにとらえ、どういう形で表現し、何を起こしていたか・・・?想像するとたいへん興味深いです。
それを考えることは、ファッションを志す若い方々にとっても刺激的なことではないか、と思いました。

本当に楽しく、かついろいろ考えさせられるところの多い講座でした。

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こうして整理してコメントをいただくことで、私が無意識に話したことがどのように受けとめられたのかを確認できて、さらに視野が広がり、私にとっても大きな学びになります。他の受講者の方々にとっても、体験がより深く刻まれる貴重なご意見なのではないかと思います。真理さま、ありがとうございました。他の受講者の感想からも多々学ばせていただきました。受講者のレベルの高さにあらためて身が引き締まる思い。

それにしても、デパルマ、ブニュエルにつながるトレンチコートをめぐる三点セットって、キャッチーで、いい視点です!

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ご参加くださった内田栄治さんもブログ記事でご紹介くださいました。5日のコメント欄からもリンクできますが、あらためて、こちらです。ありがとうございました。

サンローランのドキュメンタリーは何種類かありますが、たとえば、ユーチューブで見られるのは、こちら。全部観ると長くなりますが。

池袋コミュニティカレッジでの「イヴ・サンローラン」講座には、50名ほどのお客様にご来場いただき、ご一緒に楽しい時間を過ごさていただきました。ありがとうございました。

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至らぬところも多かったかと思いますが、好意的に受けとめていただき、多くのお客様がSNSなどで感想をアップしてくださいました。心より感謝申し上げます。

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この写真は内田栄治さんが撮影してくださいました。感謝。


美しいお花まで頂戴いたしました。サプライズで感激、嬉しかったです!マリさん、ありがとうございました。

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手前味噌っぽくてたいへん恐縮ながら、フェイスブックにアップしてくださった、ファッションを志す若い男性、頼富雄介さんの感想を紹介させてください。感性、表現力もとても素敵だと思ったので。

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まだまだファッションの世界を勉強中の僕にとっても聞き覚えのあるデザイナーの話もたくさん登場し、ファッション業界の歴史や人物の繋がりなどについて、わかりやすく面白いお話をたくさん聞かせていただきました。

そして何よりも、早くこの映画を見たくなりました☆

質疑応答にて「男性デザイナーと女性デザイナーの特徴の違い」について質問させていただいたのですが、お応えいただいた考えもとても興味深く勉強になりました!

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一流の人の情熱
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そして知識や歴史を楽しく学ぶことができたことはもちろん、僕がこの度先生から強く感じたのは、

「とにかくファッションの世界の歴史や人物が好き!」

というオーラというか雰囲気を持っていらっしゃること。

歴史や人物について様々な話をされている先生は、やはりその会場の誰よりも興奮されているように感じ、ご自身のお仕事に対する情熱というものが伝わってきました!

やっぱり、一流の方はご自身の仕事に対して誰よりもアツイ情熱を持っている。

だからこそ、こちらがその世界に引き込まれるんだなと痛感しました。

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『社会を変えるなんて大層なことを思ったことはない。ただ純粋に黒人の美しさに惚れ、自分の作った服を着せてみたいと思い採用しただけである』
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イヴ・サンローランが、有色人種のモデルを採用し、当時の社会に大きな影響を及ぼした際に本人が言った言葉だそうです。

純粋に自分が楽しめること、情熱を持つものに真摯に向き合うこと。

それを積み重ねた結果、周りに影響を与えるようにもなる。

本当に大きな学びを得ました。

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こんなふうに受けとめてもらえると、背筋が伸びます。反省点をしっかり踏まえて、いっそうの研鑽を積みます。あらためて、ありがとうございました。

みなさま、またどこかでお会いしましょう。

紀伊國屋書店富山店でのイベントにご来場くださいましたみなさま、スタッフのみなさま、ありがとうございました。

本をお買い上げいただきましたうえ、、たくさんのお花やバスグッズやお菓子などをいただき、感激です。

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店頭イベントのため、通りがかりのお客様やノイズも込み、プロジェクターが使えず、という数々の試練?がありましたが、こういうことも経験を積まなくてはですね。一人もいらっしゃらなかったらどないしよ…と対策を考えていったのですが、用意した椅子は足りなくなったようでしたm(__)m 情報をシェアしてくださった富山フレンズに心より感謝します。男性のお客様が多かったのがこれまでのシャネル関連のトークショーとの違い。でもやはりシャネルは「起業家」にして「ワークライフ・インテグレーション」のお手本にして、「8カ国にわたる人的ネットワーク」を築き上げたビジネスウーマン。これからの時代を突破したい男性こそシャネルから見習うべきところ多なのではと思います。

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会場の様子は、ミラー香保里さんが撮影してくださいました。ありがとうございました。こちらはミラー家のお嬢様。リトル・ブラック・ドレスにボレロがよく似合い、お人形みたい。かわゆすぎる…♡ 

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またみなさまにお目にかかれる機会に恵まれるよう、がんばります…。

Proud Salon の連載が制作サイドの大人の事情で継続できないことに。そんなこともありますね。

2回だけでしたけれど、アーチストたちとのすばらしいご縁をつないでいただき、その縁が思わぬ広がりを見せ、得るところ大の刺激的な仕事でした。ありがとうございました。

スタッフと打ち上げ。グランドハイアットの「六禄」にてランチ。昼間からムルソーで祝い、気持ちよく締めくくり。

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Show must go on…!

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「潮」9月号、「ずいひつ 波音」欄にエッセイを書いております。

「クールビズとハーフパンツの復活」。

機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

明治大学リバティアカデミー秋の講座情報が公開されました。

今秋は、「ロイヤルスタイル」をテーマに、
イギリス王室メンバーのファッションと生き方を通して
イギリスの文化と歴史を学ぶ…というレクチャーをおこないます。
10月15日と22日の全2回講座ですが、
タイミングが合えばぜひお越しくださいね。
中野区のご後援もいただきました! 感謝です。

詳細はこちらから。受け付け開始になりましたら、あらためてご案内させてください。

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そして大阪リーガロイヤルホテル「エコール・ド・ロイヤル」でのトークショーは、予想をはるかに超える大盛況のうちに終了しました。

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笑いに敏感な大阪のゲストに向け、松澤壱子さんがうまいぐあいにツッコミを入れてくださって、笑いにあふれたよいキャッチボールができたかと思います。これもひとえに、前日にみっちり話をしておいた成果かもしれません。

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いわゆる「台本」はなく、会場での話はお互いに初めて聞く新鮮な話として披露したのですが、あらかじめお互いの気質とか考え方の底流にあるものとか、笑いのつぼとかどこまでいじっていいのかとか、深いレベルのところまで知っておくことで、信頼感で結ばれたギリギリ刺激的な会話ができたのであろうと思います。

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全方向にきめこまやかな心配りとしっかりとした下準備を怠らない壱子さんに、心から敬意を表します。

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レジィーナ・ロマンティコの社長、阪口元美さんからは大きな花束もいただきました。ちなみに、壱子さん、私が着ている服はともにレジィーナのものです。そもそも、壱子さんとお知り合いになるきっかけが、レジィーナの服でした。元美さん、ありがとうございました。

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ホテルスタッフ、なかでも担当の内池まさ子さんのホスピタリティにあふれるご尽力は半端ではなく、この日のゲストにはなんと、このような特製スウィーツが供されたのです。マシュマロには文字が書いてあるのですが、右のマシュマロの文字は、MATSUZAWA ICHIKO & NAKANO KAORI と読める!

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あまりの嬉しさに「結婚式の引き出物みたいに、私ら新郎新婦(笑)だけ嬉しくて、もらった人は困っちゃうよね!」などと毒舌で照れ隠しなどしていたのですが、「ここまでやるのだ!」というサービス精神はほかにも随所で発揮され、彼女の大阪ノリのトークのうまさも加わって、やはり感動を覚えたみごとなお仕事っぷりでした。

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シャンデリア輝くリッチなムードの会場に、80名(満席)のお客様が、またこの上なくきらきらと華やかで。

お客様、ホテルスタッフも本当に喜んでくれ、「面白かった!」というたくさんのお声をいただき、本もほぼ完売で、サイン会では多くの読者のみなさまから「あんな話を聞いたら読まずにはいられない!」という感想までいただきました(^-^;

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ご来場くださいました皆様、あらためてありがとうございました。数少ない男性参加者の方が、「男性や若い起業家希望者に聴かせるべきだ!」とFBにアップしてくださいましたが、私も、ほんとにそう思うのです。男性の方もぜひ、「シャネル、革命の秘密」、ご一読を。損はさせませんぜ!

どさくさにまぎれて、私の十八番、「ヒーローズ・ジャーニー」のお話もさせていただきましたが、それこそなにか「敷居を超えた」感のあったお仕事となりました。重ねて、ありがとうございました。大阪でお知り合いになったみなさま、またお会いしましょう!

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野村不動産オウナーズマガジン「PROUD SALON」。連載「DEN 大人の書斎」第2回、アーティストの舘鼻則孝さんに取材した記事を書きました。

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機会がありましたら、ご笑覧ください。

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トークショーのため、前日にあたる31日から大阪。主催のリーガロイヤルホテルさまにプレジデンシャルタワーのすてきな部屋を用意していただきました。一人で泊まるのがもったいなすぎる充実の設備と広さと快適さ。

打ち合わせを兼ねて、ホテル最上階の和食「なかのしま」でディナー。大阪の夜景がすばらしく、また、お料理がおいしい!!! トークショーのホステス、松澤壱子さんや担当の内池まさ子さんとのガールズトークも盛り上がり、時間を忘れて印象深い大阪第一夜を過ごさせていただきました。

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今日のトークショーはほぼ80名満席とのこと。ゲストの皆様にお会いできますこと、楽しみにしています。

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『イヴ・サンローラン』映画公開記念講座のご案内です。

9月3日、池袋コミュニティカレッジにおいて、イヴ・サンローランの仕事と時代、彼をとりまく人々を徹底解説します。

以下、コミュニティカレッジHPより。

Web、電話申し込み(03-5949-5481)、コミカレカウンターにて承り開始いたします。
http://cul.7cn.co.jp/programs/program_688180.html

申し込み方法:http://www.7cn.co.jp/7cn/culture/cc/info/index.html
会場案内:http://www.7cn.co.jp/7cn/culture/cc/setsubi/index.html

ハイブランドの創始者にして、天才デザイナーの美意識と時代を徹底解説!

ファッション史から最新モードまで幅広い視野を持つ中野香織がブランド公認映画『イヴ・サンローラン』をファッションから徹底解説します!
その美意識や生きた時代について映画の魅力をより深く味わえるお話が満載。
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『イヴ・サンローラン』映画鑑賞券1枚、マスコミプレス(非売品)、クリアファイル付
★トーク終了後、『シャネル、革命の秘密』中野香織監訳書(ディスカヴァー21刊)の販売・サイン会を行います。
画像:(C)WY productions-SND- Cinefrance 1888 – Herodiade- Umedia  配給 KADOKAWA

映画公開記念!もっと知りたい モードの帝王 イヴ・サンローラン(服飾史家 エッセイスト/明治大学国際日本学部特任教授特任教授  中野 香織) 映画公開記念!もっと知りたい モードの帝王 イヴ・サンローラン(服飾史家 エッセイスト/明治大学国際日本学部特任教授特任教授  中野 香織) 映画公開記念!もっと知りたい モードの帝王 イヴ・サンローラン(服飾史家 エッセイスト/明治大学国際日本学部特任教授特任教授  中野 香織)

曜日・時間帯 第1水曜 19:00~20:30
開催日 9/3
回数 1回
講師
服飾史家 エッセイスト/明治大学国際日本学部特任教授 中野 香織
備考 映画『イヴ・サンローラン』9月6日(土)より全国ロードショー
公私共にサンローランのパートナーだったピエール・ベルジェ氏が全面協力し、イヴ・サンローラン財団所有の貴重なアーカイブ衣装の貸し出し許可を得て制作された、ブランド公認の本格的伝記映画。その華麗なキャリアと人生の喝采と孤独を描いた感動作です。
体験・見学 体験・見学はできません
お問い合わせ

03-5949-5481 

 

 

2014 S/S シーズンも終わりに近づき、プレゼミ生たちのたっての希望で、打ち上げを兼ねたフィニッシュは制服ディズニー。

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絶叫系アトラクションはひととおり踏破。20歳の体力って半端ない(^-^;

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ノリがよい学生たちで、待ち時間もまったく退屈しなかった。最後クローズに近くなったところでスプラッシュ系アトラクションに。私は「濡れないコース」を選んだはずが完全に裏切られ、真正面から滝のなか。なんなの(T_T)といいながら二度目は完全ずぶ濡れコース。全員水浸しになり、不思議な一体感に包まれて盛り上がる夏の夜。

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ここまで愛してくれるから(^-^;、私も限界超えでがんばれるのです。爆笑の後、じーんときたうしろ姿。値札がすけて見えるのがご愛嬌。みんなほんとうにありがとう! 

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それにしても、当初かなーりコスプレ感の強かったJK制服でしたが、数時間着て歩き回っているうちにすっかりなじみ、明日もプリーツスカートにアイロンあてて着ていこうかという勢い(近所メーワク)。 慣れとはおそろしいもの…

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制服ディズニーのなにが楽しいのか? やってみてこそわかることもある。

4日(金)、大学にゲスト講師として日仏フレグランス文化財団代表理事の地引由美さんをお招きし、香水に関するレクチャーをおこなっていただきました。

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香水の基本的役割からアロマとの違い、各都市で好まれる香水の違い、ブランドが香水を創る理由から、実際のつけ方に至るまで。

何種類ものムエットを試す学生たちも興味深々。

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「香りを纏う人生を選ぶのか、選ばないのか」という問いには私もはっとさせられました。

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地引先生が電車のなかで香水をつけて眠っていたら、目覚めたとき、隣の紳士にいきなりプロポーズされた…というエピソードに驚き。人をダイレクトに動かす効果が、香水にはあるんですね。いやもちろん、香水の効果だけではなかったと思いますが(^-^; そのときの香水はフィジーだったそうです。

ふだん、興味はあってもなかなか実際にこれだけの香水にふれる機会のない学生も大喜びで、終了後、地引先生が持ってきてくださったボトルの周りに集まってなかなか帰ろうとしませんでした。笑。

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ホールに漂う華やかな残り香。

地引由美さんのブログにも当日の模様が書かれています。

学生からは「楽しかった!」という感謝のコメント殺到。地引先生、素敵な講義をありがとうございました。

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三越伊勢丹百貨店の新入社員のみなさまにファッション史のレクチャー。2000年分の男女ファッション史を150分で語りつくすという、私にとっては久々の大きなチャレンジで燃えました。感謝。用意したスライド200枚超え。聴くほうもたいへんだったかも。

200名の新入社員を、50人ずつ4回に分けてレクチャーするというきめの細かな研修。昨日、今日で2組の講義を終了。詰め込みすぎて時間が足りず、反省。でもすべて「最低限」必要なことに見え、何を削っていいものか…。頭を冷やして後半は、情報量を減らしながらより深く印象に残る内容にすべく努めます。

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初日はその後伊勢丹メンズ館で、チャーリー・ヴァイスの秘書のお二人と、パーティーの打合せ。タキシードがタキシード・パークでのパーティーから生まれたように、日本の「リゾートフォーマル」の新しい基準が生まれることになるパーティーになるかもしれない!?


Richesse 2014 Summer 発売です。巻頭連載エッセイ「リシェス・オブリージュ」Vol.8、タイトルは 「スポーツを取り巻く支援 Sports a la Mode」です。

今回も担当編集者、野中さんのおかげで美しい写真がちりばめられています。原稿のアラもカムフラージュしてくれる(m(__)m)すばらしいビジュアリゼーション。毎度ながら、深く感謝です。

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今号もずしりと重く、浮世離れしたゴージャスなクルーズの写真で非日常へ連れて行ってくれます。

小ネタで面白かったのが、長坂道子さんのコラム。色恋沙汰における「ヨーロッパ的寛容」。フランスの大統領の不倫やら恋愛沙汰があまりにも続くのでもはやだれも噂すらしなくなったという話。

色恋沙汰はプライベートの問題で仕事や人格とはまったく無関係という見方。

「『他所様のことをとやかくいう資格はうちにもないので(苦笑)』という態度で一貫している。イスラム圏の一夫多妻とも違う独特の『自由恋愛』の伝統、遠くアンシャン・レジーム時代のリベルティナージュに根を持つらしい伝統(=早い話が不倫に関する寛容さ)が、この地には(実は)今も根強くあって、それこそが欧州連合という会員制クラブの、裏の入会資格なんじゃないか、とさえ思うほど」。

新しく覚えた言葉、リベルティナージュ。ラクロの「危険な関係」などに象徴される、当時の貴族社会における恋愛上、道徳上の自由、放蕩、放埓さのこと。

この寛容がヨーロッパの服の色気や優雅な空気感をひそかに支えているのよね。リベルティナージュをホメているわけではないが、その独特の会員制クラブのような秘めやかな雰囲気を理解しないと、ヨーロッパのファッションも理解できないのでしょうね。

2013年1月に出た「日経ビジネスアソシエ」の教養特集号が、
同年6月にムックとして再発行され、
さらにこのたび、手ごろなサイズのムックとして再々発行されました。

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「残念な人にならないためのマナー・教養 まるわかりBOOK」
ビジネスマンが武器として身につきておきたい教養8科目
(日本史・経済思想・日本文化・世界史・現代文学・経営学・英語・スーツ)
に関する入門ガイドとして幅広い支持を得て、このような形で流通し続けています。
今回の小型ムックは、コンビニでも買える500円。
(校正のミスがいくつか目に留まりましたが…)

僭越ながら、スーツについての解説を担当しています。

この特集号が最初に出た去年のはじめもそうだったし、
スーツの本やらダンディズムの本やらを出した時もそうでしたが、
「スーツを着たことも作ったこともない女がエラそうに言うな」
「女のくせに男の服を知ったように語るな」
というヤジやら中傷やらが面と向かって、あるいは匿名で、
それこそさんざん浴びせられました。(おそらく今も)

いちいち傷ついてたら男社会でやってけないので、
「あ~ら、ごめんあせばせ~」とほほえみ返しでスルー。
器の小さすぎる輩とトラブってる時間が惜しいので
さっさと次の仕事をするほうにエネルギーを注いできたら
気が付けば当初の敵の何人かは今の私の強力な理解者。

A smile for a friend, a sneer for the world, is the best way to govern mankind.
(友には微笑みを 世間には嘲笑を それが世渡りのコツである)

セクハラヤジ騒動につられてつい(^-^; 
都議会はもっと大事な仕事をさっさと進めてください。

ヤジをとばしたほうを議員辞職させるとかもう絶対許さないくらいの言説も飛び交っていますが。
誤解や偏見や思い込みから生まれる対立から始まる関係を、時間をかけてよいように変えていく。ここに人間の面白さとすばらしさがあるんじゃないの? と思います。

(念のため、セクハラヤジを擁護しているわけではまったくありません)

リバティアカデミーの「フォーマルウエアの歴史と現在」第2回目。今回は丸井メンズアパレル課によるフォーマル、ビジネス、クールビズ、ジャケパンスタイルまでの実際と提案。

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メンズアパレル課のイケメンチーム。

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実際のサンプルを見せながらの、具体的な実践講座となりました。

なまなましい現実感あふれるお話も勉強になりましたが、製造もおこなっている会社ならではの情報が新鮮でした。

いちばん衝撃を受けたのは、日本の濃染加工技術の話。

日本の略礼服を黒いスーツでと提案したのは一アパレルメーカーであり、そのガラパゴス性を私もいろんなところで指摘してはいるのだが。それが受け入れられてカスタムとして定着しているというのも事実なのである。

で、日本の略礼服の黒と、ビジネススーツの黒は、同じ黒でも濃度が違うのだそうです。略礼服の黒のほうがより深い黒。その黒に染めるための濃染加工技術において、日本は世界一なんだそうです。他国は年によってムラができるけど、日本はいつ染めても同じ風に仕上がる。他国にまねのできない、日本が世界に誇る技術。

略礼服が育てた日本の技術、といえますね。あるいは紋付袴時代から受け継がれてきた伝統を守っているのかもしれない。その職人さんの努力にまで思いを馳せると、黒の略礼服がガラパゴスだからと言ってばっさりと却下することなんて、私には到底できない。

日本固有の歴史、日本固有の地理から生まれ、受け入れられて定着した日本のローカル・ガラパゴス・ルール。これが世界に誇る染色技術を守り育てていたという衝撃。グローバル基準とズレているのは、案外、悪いことばかりではないのかもしれない。もっと多くの関係者の声を聴く必要がある…と思わされた、意義深い講座になりました。To be continued…

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現在入手困難となっている外務省の「国際儀礼に関する12章」と、日本フォーマル協会発行の小冊子。ルールにズレがあります。日本国内だけでも、さらに「流派」というか、さまざまなバリエーションがあります。

「国際儀礼に関する12章」は、外務省の先輩Sさんが速やかに手配してくださいました。ありがとうございました!

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ご参加くださいましたみなさま、事務局の河合さん、丸井メンズアパレル課のみなさん、ありがとうございました。おかげさまで印象深い講座となりました。

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この日は前回の黒ロングドレスから印象を変えて、ブルーのアンサンブルを着てみました。撮影してくださったのはひぐちまりさん。感謝。

「プラウド」連載記事取材のため、舘鼻則孝(たてはなのりたか)さんのアトリエに取材に行きました。

レディ・ガガの靴をつくっているデザイナーとしても有名な舘鼻さん。世界戦略やファッションとアートの違い、新しさとは何かという話、コミュニケーションとデザインなどなど、話題は尽きず。

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ヒールレスの靴も履かせていただきました。安定感あり、走れる感じ。2時間のパーティーならもちそう!(^^)!

お話ほんとうに面白かった!28歳とは思えない成功哲学をお持ちです。世界に出るというより、世界を引き寄せるための考え方。未来の山本耀司か村上隆になる予感。詳しくは本誌にて。

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記念写真。足元注目。182センチの長身にコム・デ・ギャルソンがよく似合っていらっしゃいます。お父様の実家が富山ということで、高岡でも作品を作っていらっしゃるとのこと。意外な富山つながり。

リバティアカデミーでの講座、「フォーマルウエアの歴史と現在」。最上階の、夜景の素晴らしいファカルティラウンジでおこなわれました。

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テーマにふさわしいエレガントな雰囲気。私もノリノリでロングドレス着用((^-^;)

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おかげさまで大好評!ひぐちまりさんもブログでご紹介くださいました。前回のスーツ講座を受講してくださったらみいさん、今回も参加してくださったうえ、ブログでご紹介くださいました。

ご来場くださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

来週は、丸井メンズアパレル課の石川さん、笹野さんによる実践編。ビジネスカジュアル、クールビズまで提案がある予定。こちらも楽しみです。

6月13日、金曜日、雷雨のあとの快晴、満月でハニー・ムーン。

代官山蔦屋で、干場弓子さん、干場義雅さんと、シャネルトークショー。

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大学で講義3コマ終えたあとの限界越え感のあった夜のトークショーでしたが、おそらく、一生忘れることのできない、レアで貴重な時間を過ごしました。

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(トークショー前、Anginでの打ち合わせ)

というのも、これまでのトークショーはかなり、自分がうまくできるかどうかということでいっぱいいっぱいだったところがあるのですが、この日は、意識の枠みたいなものが一段広がっていて、この場・この時間を共有している人たちと、いかに喜びをシンクロさせて楽しむか、ということにエネルギーを注ぐことができたフシがあります。

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お客様にも恵まれました。スタッフの方が「トークショーの会場だけとてもいい香りが漂っている」(笑)と言ってたくらい、とにかく華やかでした。はじめてお目にかかる読者の方もみな美しく装っていらして、さらに感激したのは、サプライズで多くの友人たちがかけつけてくれたこと。

蔦屋ご近所とはいえ、超ご多忙のデザイナーの芦田多恵さんと、秘書の熊井美恵さん。N-style編集長の廣瀬規子さん。アナウンサーの堤信子さんと放送作家の野呂エイシロウさん。

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(信子さんと野呂さんは、こんなゴージャスな真っ白いお花までプレゼントしてくださいました!)

畏友パーソナルスタイリストの政近準子さん。ハケットロンドンの大西慎哉さん。はじめ多くの友人たち。客席にお顔を見つけて、心がじわ~っとアツくなりましたぜ。

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(終了後の記念写真。左から政近準子さん、山内美恵子さん、干場弓子さん、大西慎哉さん、中野、干場義雅さん)

貴重なお時間を割いてきてくださったお客様のよいオーラが集まり、ダブルホッシーとの相性も抜群で、会場のみなさまと一体感というかコラボ感を感じられた、このときにしか生まれえない祝祭的な時間となりました。「観客のみなさまとともに作り上げる」ライブ感覚を成功体験として実感できたのは、私にとってはそれこそ「静かな革命」となりました。

当日の様子の一部は、政近さんのブログにも。

廣瀬さんのブログにも。アナウンサーの大平雅美さんのブログにも。

最後の質疑タイムで、「あなたにとっての仕事とは?」という質問がお客様から出て、「私から仕事をとったら何も残りません…(笑)」と答えましたが、やはり、自分の限界を超えさせてくれるのは仕事しかないのかな。高みに導いてくれるのはともに仕事をする人だったり友人だったりお客様(読者)だったり。そういう時間や思いを積み重ねたりシェアしたりするのは、世間でいう「趣味」もない(というか趣味が仕事になってしまっている)私にとっては最高の快楽です。限界越えする経験も仕事を通して。最高のスリルも、極上の冒険も、感動の感涙の瞬間も、仕事が与えてくれた。笑。さびしい人生といえばさびしい仕事一筋の人生ですが、そんなふうでしかありえなかったからしょうがないですね。

喜びの時間をシェアしてくださったすべてのみなさまに、心から感謝します。Love!

「エッジ」にて米シャーリー・ジャクソン賞を受賞した作家、鈴木光司さんをお招きし、「日本発コンテンツを、世界へ」というテーマでご講演いただきました。

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「世界で通用するのは情緒ではなく、論理、ゆえに徹底的に言葉を鍛えろ」

「競争するのではなく、自分のスペースを広げていくという感覚で協力」

「ターゲット獲得までの道程を書き出してみる。そのなかに非論理的なもの、他力本願的なものが入っていたらそれは実現しない」

「ターゲットに徹底的に論理で近づいていくが、最後の最後にふと正しい方向へ導いてくれるものは、祈りや直感であったりする」
 

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 …などなど、「人間パワースポット」ならではのアツいトークが繰り広げられ、時間を忘れた濃いレクチャーでした。「エッジ」で意識的にとられた意外な「戦略」の公開もアリ。

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私は一週間ほど前に、結膜下出血を起こしてしまい、完治までの間、高山宏先生メガネで失礼しておりますm(__)m

その後、HENJIN 会議。笑。そもそも昨年、光司さんとお引き合わせくださったのは、<変人塾>の塾長、川下和彦さんでした。お二人に感謝します。ありがとうございました!!

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Boys and Girls、Be Eccentric.

mikio sakabeデザイナーの坂部三樹郎さん、writtenafterwardsデザイナーの山縣良和さんをお招きして、「ファッションは魔法: 服を超えて、新しい人間をつくる」というテーマでクロストーク式のレクチャーをしていただきました。

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左が山縣さん、右が坂部さん。

坂部さんはアントワープのロイヤルアカデミーを主席で卒業後、グローバルに活躍。山縣さんもロンドンのセントラル・セントマーチンズを主席で卒業後、話題を振りまき続け、いまは、故郷の鳥取県の観光大使まで!

おふたりそれぞれの最近のお仕事の動画だけでも、かなり学生には衝撃だったようですが、その後続いた、「ファッションとは」という哲学的な問題に始まり、「生きるとは?」「人間の細胞のしくみとは?」「グローバルに活躍できる条件は」など多岐に、深く、話題が広がり、ファッションの見方ががらっと変わった刺激的な時間でした。

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山縣さんの七服神。「ぎりぎり、着れる服」。きゃりーぱみゅぱみゅや、初音ミクも着用。WWDの表紙にもなりました。ダメダメなアダムとイブの物語からはじまり、この神が出てくるストーリーそのものが奇想天外で、笑いと感嘆の声続出。

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坂部さんの、ジェンダーを問うメンズコレクションから。「ゲイ」もすでにステレオタイプになっている。そうじゃない、「らしさ」にカテゴライズできない男だっている…ということで、まったく新しい男性像の数々。なかにひとりだけ、こんな変なメイクをして出てくるモデルが。「なぜ、一人だけこのメイク?」と聞いたら、予定調和の中にひょいと異物を入れて、リズムを壊すことも大事」と。なるほど。

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以下、とくに印象に残ったことばをランダムにメモしておきます。

・ファッションを考えるとは、環境のなかで生きる服を着た人間を考えること

・イケている、ということはフレッシュであるということ

・人間が新しく生まれ変わるためのもの、それがファッション

・西洋においてアートはファッションよりも格付けとしては上。それはアートが宗教と結びついているため。浮薄で、うつろいやすく、瞬間瞬間できまぐれに変わっていくファッションは軽んじられてきたけれど、実はそのうつろいやすさにこそ、人間の「生」の真実があるのではないか? 日本には「諸行無常」という考え方がある。同じ一瞬は二度とこない。ファッションはその瞬間瞬間のあわいを表現するもの。

・大御所のデザイナーは、ショーの直前になってスカート丈を切ったりする。がっちりした不動のコンセプトがあればそんなことはしない。その瞬間、その場の空気にもっとも「イケてる」と感じられることを表現するからこそ、直前になっても変えてしまう。それこそがファッションの面白さ。

・人と社会との間。人と人との間。そこにファッションは生起する。パリコレの会場でかっこいい人をたとえばこのホールにもってきても、ただの変な人(笑)。必ず環境との調和のなかにかっこよさは成立する。

・細胞が感じて、思考の前に反応してしまうもの。言葉にすくいきれないあわきもの。それを表現するのがファッション。

・祭りはその場に参加すると細胞が沸き立つほど面白いが、テレビで見てもまったくつまらない。祭りの渦中に、生身をさらしてこそ生起することがある。

・日本の着物は四季を描きこんできた。「環境とともに生きる」という意識がそこにある。

・グローバルに活躍するためには、西洋のまねっこをしててもダメ。自分の内面にきっちり向き合うこと、そのほうが世界にダイレクトに通じる。

・山縣さんは日本ではダメダメないじめられっ子でいいところがまったくなかった。でもロンドンへ行ったらそれが逆に強みになった。日本で隠していたことと向き合ったら、それがクリエイティビティにとって強みとなり、すべてが好転した。

・失敗することをおそれてはいけない。失敗をおそれて何にもしないことが、むしろ危ない。ぴょんと行動してみることが、より豊かに生きることにつながる。失敗したってなんとかやっていけるから!

・グーグル検索の予定調和から脱出せよ。検索にひっかからないバグや偶然にこそ豊饒なクリエイティビティのヒントがある。そのためにも、どんどん外に出よ。

講義後のランチをご一緒し、さらにお話伺いましたが……お二人ともユニークで面白いっ。自分の感覚にまっすぐ向き合っている人ならではの独特なエネルギーがあり、学ぶところ大でした。

坂部さん、山縣さん、ありがとうございました! ますますのご活躍を応援します。

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「サライ」チームの連載終了おつかれさま会。新宿5丁目「玄海」にて。

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水炊きがメインの、なんだか老舗旅館にでも伺ったような懐かしい気持ちにさせてくれる、とてもよいお店でした。

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4年半ほどの間に、編集長も替わり、担当編集者もハンジさん、ニシムラさん、オオクボさん、と替わりました(モンダイがあったわけではなく、単に事務的な交替です。笑)。それぞれがエッセイネタになるほどユニークで、いい仕事をする優秀な方々でした。スタイリストの堀さん、カメラマンの稲田さんにもたいへんお世話になりました。スタッフのみなさまあっての仕事だったとあらためて深く感謝します。多くの企業に取材したこの4年半の経験は、かけがえなく貴重です。淡々と、いつの間にか50回を超えていた…という実感。

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玄海の玄関に飾られていた太鼓。一本の木をくりぬいてできているそうです。

明治大学グローバルフロントにて、商学部創設110周年記念 ファッションビジネス国際シンポジウム。

シャネルジャパン社長、リシャール・コラス氏はシャネルブランドの伝統と革新の話を。前日に転倒して膝を痛め、松葉づえでご来校でしたが、そんなことをまったく感じさせないアツいレクチャーで予定を30分延長!

続く太田伸之さんの話ははじめて拝聴しましたが、パワーポイントなどまったく使わない、話だけのみっちりトークでこちらも時間延長のパワフルなレクチャー。

ファッションビジネスにかかわってきたこれまでの経験談と、マーチャンダイジングの現状と未来について。それぞれのエピソードがいちいちドラマティックで情熱的、思わず涙した場面も何度か。

はじめて東京コレクションをするときのテント設営。とび職の方々に、毎晩、150人分、ご飯をつくって差し入れしたという話。予算がないので手作りのおでんとか。それに感じ入った現場の方々が太田さんのためにささやかなご恩返しをし、さらに後日、太田さんが大きなご恩返しをするというあたたかな「ご恩返しの循環」。

日本のデニムのよさを世界に伝えたい一心で、銀座の歩行者天国でデニムファッションショーをしたときの奇跡のようなエピソード。

震災直後、チャリティを募ったら世界中のデザイナーがすぐに協力してくれた話。

ライバル三越と組んでの、異例の銀座ファッションウィーク。役員会にかけたら反対されるにきまってるので、既成事実として両社の名前入りのショッピングバッグを先に作っちゃったという戦略。

松屋に復帰したとき、ライバル社の伊勢丹の大西社長が、「百貨店業界に戻ってくれて、ありがとう」とメッセージをくれたというエピソード。

いちいちじーんとくる。本気で仕事をする人だけに降り注ぐ天からの恵み。

現在はクールジャパン機構の社長として日本発のものを世界へ発信するファンドを運営する仕事をしていらっしゃるのだが、その立場からのアドバイスも刺激的だった。すなわち、勝つためには

絶対におまけをしないこと!

中途半端に妥協すると、結局、ビジネスにも失敗するし、良好な関係も築けない。徹底して戦ったほうが、結果、良好な関係が長続きする。よいと信じるものをきちんと説明して、おまけなどしないこと。

そして、とことんぶれないこと!

お客は自分で作れ。クレームは謙虚に聞くべきだけど、いちいちそれに合わせて小手先の変化をするな。ベンツやシャネルには一貫性がある。ぶれないことがブランディングとなる。

また、マーチャンダイジングにおけるグループ分けを、変えなくてはならない時期にきている、という話も面白かった。もう服だけを並べて売る時代ではない。生活の空気を売る時代。物語のないお店には、人は感動しない。

この話から連想したのは、シンポジウム開始前、東野香代子さんが話してくれたパリのラグジュアリーワールドにおける「アール・ド・ヴィーヴル」の話。生活芸術。コルベール協会に属するブランドの中には、インテリアやテーブルグッズ、香水、チョコレート、シャンパーニュまで含まれる。こうした生活回りすべてがラグジュアリーファッションの世界であって、ファッションとは服やバッグや靴だけの話ではない、ということ。

ともあれ、国際的なビジネスに乗り出したらならば、負けるな、ぶれるな、かたことでいいからひるまず戦え! と強気のはっぱをかけて大盛り上がり。

そして三人目のガシュシャ・クレッツ氏。終了予定時間から始まりましたが、ラグジュアリーブランドとブロガーの今を英語でレクチャー。排他的、エリート主義、卓越主義、歴史主義、タイムレス、秘密主義、近づきがたい…こんなラグジュアリーワールドは、SNSとは相いれない。でももはやそうは言っていられない時代。SNSと巧みにコラボするブランドの例が紹介される。

重要なこととして「身近すぎない」こと、という指摘が興味深かった。すぐコメントに返事を返したりするのはラグジュアリーなイメージにとってはNGなんだと。わはは、すぐ返事を書いちゃう私は完全に庶民派ですな。

ファッションビジネスってほんとうに面白くて奥深い、とワクワクさせていただいた土曜日の午後でした。主催の商学部のスタッフの皆様、講師のお三方に感謝します。良い循環を生み出しながら業界を動かしている一流の仕事人に共通するのは、現場の人への愛であり、愛を示すための常識破りな行動力であること、あらためて学ばせていただきました。

尖閣諸島問題で半年ほど中断しながらも数年連載が続いている中国の「端麗服飾美容」。

一時は分厚さが加速して持ち上げるのも困難かと思えるほどになりましたが、最近はA刊、B刊、2冊分冊になっています。

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写真は5月号A+B。2冊でワンセット。買うほうも作るほうも、大変ですね。でもそれだけ広告が入るということ。紙質がしっかりと良いのもおどろきです。中国のファッション市場の勢いの一端を感じます。

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日本語で書いて送りますが、編集部で中国語に訳されます。微妙なニュアンスなどが最終的にどのような感じで落ち着いているのかは私にもわかりません。どう転んでも政治問題にはならないよう、「あたりさわりなく、わかりやすく、心地よく何かを学んだ気分になれる」ことを至上の課題として書きます。お気楽ご気楽な領域で、若い中国の女性たちに日本に対する親近感を深めていただければ幸い。

ディスカヴァー・ブックバーでのクロストークイベント、50名を超える多くの方々(通常は30名前後だそうです)にお越しいただき、満席の熱気のなか、楽しく過ごさせていただきました。

ほとんど打ち合わせなしで臨みましたが、そこはココ・シャネル通どうしならでは(笑)、ディープなところまでノリよく会話のキャッチボールができたのではないかと思います。話したいことが多すぎて時間が足りないくらいでした…。

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読者の方々からお花やお祝いをいただき、また、関西からはるばるこのイベントのためにお越しくださった方もいらっしゃって、感激しています。本ブログの読者の方々にもお目にかかれて、光栄でした。親子で愛読しています、という美人母娘さまにもお会いして、自分が無頓着に書くものの思わぬ影響力を知ってあらためて身がひきしまったりとか(^_^;)。 みなさま、ほんとうにありがとうございました。

写真は、「リシェス」連載を愛読してくださっている村岡輝子さん撮影です。ありがとうございました!

とやまサンフォルテカレッジ公開講座にご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

「ダイアナ妃の復讐は『リベンジドレス』から始まった」というお題をいただき、ロイヤルウーマンの愛とファッションの関係を話しました。
キャサリン妃、ダイアナ妃、エリザベス女王、ウォリス・シンプソン、そしてエリザベス・バウズ=ライアン(クイーンマザー)。ちょこっとだけヴィクトリア女王。

話を考えながら、それぞれの愛のあり方が社会を変えてきたことをあらためて実感していました。安全パイと思われていたダイアナ妃が、本人も無自覚なまま起こした「革命」の実態は、愛の力が法律の整備以上に多大な影響力をもたらすことを教えてくれます。

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募集人員50名のところ、3倍の150名近くの応募があったそうで、9割ほどが女性でしたが、みなさまノリノリで聴いてくださいました!
たくさんのお花をいただき、感激しています。
寒桜が満開を迎える頃が楽しみです。
あらためて、心から感謝申し上げます。

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Girls, Don’t Dream. Be It.

延び延びになりながらも、ようやく、初稿、完了。


長い長い長い旅だった・・・。3年越し。永遠に終わらないと思っていた500ページだったけれど、ほんとうに終えることができた。映画の終わりの「完」が眼前に広がっているイメージ(笑)。終わるまで生かしてもらったことに感謝したい。お手伝いくださったみなさま、寛大にお待ちいただいた出版社さま、ほんとうにありがとうございました。

忙しい日本人でも読めるようにするために、ここから編訳をすすめるのがまたたいへんですが、ここまで来たらならとことん。

これが終わったらやりたいと思っていた仕事が山のように控えている。ひとつひとつに没頭できれば幸い。

仕事に没頭しすぎてカペルに去られてしまったシャネル。傷を癒したのは仕事だけだった。他人事とは思えませんが(^_^;)

Capel said, "Remember that you’re a woman."  All too often I forgot that.

「東京ウーマン」ランチトーク、「ファッションと恋と仕事と人生と」(・・・おそろしいタイトルですね(~_~;)がアップされました。

https://www.tokyo-woman.net/theme108.html

谷本さんのインタビューに、鴫原さんと私が答えるという形のトークで、3ヶ月ほど前の収録でしたが、今読むとなにエラそうなこと言っているのかと気恥ずかしいかぎりですが・・・・・・。

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あらためて思ったのですが、全ての人に通用するセオリーなんて、ない。また、年代(成長過程)に応じて、考え方も変わってくる。いずれにせよ、アクション&リフレクションによって、そのときの自分の状況にもっともなじむ考え方を自分で作っていかなくてはならないのですね、たぶん。行動なくして幸せなし。byディズレーリ。行動すれば傷つくこともありますが、いちいち傷つかない、というか、すぐ立ち直って教訓を次に活かす!(これは自分に対して言ってます。笑)

というわけで、ここで話していることはひとつの通過点におけるひとつの考え方としてご笑覧いただければ幸いです。また新しい経験や学習をつみ重ねることで、少しは熟成していけるといいのですが。

<補足>

何事にも常に例外はあります。行動なくして幸せなし、ではあるのですが、こと恋愛に関しては、女性は積極的に「行動しない」ほうがうまくいくことが多い、と思います。20歳以上年下の現パートナーをゲット(という言い方もナンですが(^_^;))なさった鴫原さんはご自分からお食事に誘ったのがきっかけとのことでしたが、これはやはり例外中の例外。

もう例外だらけでなにがなんだか、ですが(笑)。例外前提に、お気楽に読み流してね。

行動しない。というのはすなわち、自分からアプローチしない。自分から連絡しない。要求しない。相手に執着しない。

ある程度の苦い経験をいくつか積んでいいかげん学んだら、大人の女は自分から恋をしない、というのが幸せな(ストレスや悩みのない、双方によい循環をもたらす)恋愛のこつなのではないかと思います。自分のミッションに邁進して、男性に惚れさせる。というか、惚れてくれる男性のなかからお相手を選ぶ。だいたい、そのときの自分に見合った人にしか惚れられないもの。レベルにご不満であれば自分のレベルを上げる努力、違うステージに上る努力にエネルギーを注げばいい。

「冷たい」男など、いない。冷たい=あなたに惚れていない。それだけのこと。草食系=あなたに惚れていない。それだけのこと。オス度の高い男ほど、本気になった相手にのみアツい肉食獣に変貌するだけの話。ごくごくシンプルですね。笑。そういうことかと悟れば、自分に関心のない相手に執着したり無理に相手を思い通りにしようとしたりするのは、時間とエネルギーとフェロモンのムダ。断腸の思いであろうと、まちがった思いはいったん手放したほうが、いろんなことがうまくいく。時間が経って、経験を積んだあなたの魅力がアップすれば、向こうから追いかけてくることもあるかもしれないし。

それでも片思いや追いかける恋やつらい恋が楽しいという声を否定するものでは毛頭ありません、もちろん。それぞれの人生の選択です。

500ページ近くあるリサ・チェイニーのシャネル伝はとにかくリサーチが細かく、すべての記述を根拠のある文献に基づいて正確に書こうという作者の並みならぬ情熱が伝わってくるのである。

読者としてはついていくのが大変ではあるのだが、ときどき思わぬ収穫がある。

1944年6月6日。ノルマンディー上陸作戦の日。ラヴァット卿率いる第一特殊任務旅団がソードビーチに上陸。武装してないバグパイプ奏者ビル・ミリンがそこでバグパイプを演奏する。ドイツ軍が撃たなかったのは、「頭おかしいヤツだと思ったから」。

本部の命令を無視してバグパイプを演奏させた無鉄砲で粋なラヴァット卿は、なんと、シャネルの運命を変えた恋人アーサー・カペルの甥だった。カペルの血を分けていると知って、この行動に納得。

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シャネルと伝説のビル・ミリンがこんなところでつながるとは。

こういう、まったく予想もしなかったことがらがつながっていくのが学問の楽しみ。

逆に、まったく予想もしなかったことをつなげるのが、エッセイストの腕の見せどころ。

まったく予想もしなかった人とつながるのが、仕事の醍醐味。

無理そうな仕事でもついつい引き受けるのは、断れない性格(性格の問題にしてはいけないのだが)が災いしていることもあるが、その先にさまざまな意味でのつながりの夢を見てしまうからかもしれない。で、結果、自分で自分の首を絞めていたりして^_^;

商学部主催、ファッションビジネス講演、リシャール・コラス シャネル社社長の最終回は、シャネル銀座のネクサスホールにて。

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コラス氏による特別招聘講座3年目、これでいったん最終回。氏の講義を聴くのは4回目くらいになるけれど、いつも楽しくて深い学びが多い。今回も、ラグジュアリーの本質を考えさせられた、名講義でした。

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質問タイムに、コラスさんが考える女性の美しさとは、とは聞かれて、

自分であること。

と答えていらしたのが印象的でした。ココ・シャネルも、時代の流れに逆らい、周囲の目などをまったく意に介さず、自分がやりたいことを、ココの流儀で、次々にやりとげていった。それが結果として、社会の変革を導いた。

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昨日、原稿を書き上げたばかりのケイト・モスに関しても同じことがいえる。周囲がどうあれ、自分であること。それを淡々と貫き、継続して、別格のラグジュアリ―な存在になる。

ラグジュアリー・クエストの旅は、結局、どれだけ本来の自分を活かせるか、という挑戦を続けることに他ならないのですね。

だからこそ、ラスコーの壁画以来、人類の歴史と常に寄り添ってきたラグジュアリーは、これからも決してなくなりはしない。

他人が決めたマニュアルを捨てる。世間が決めるスペックなどをよりどころにしない。「世間並み」のアリさんレースを突き抜けて、ラグジュアリーな海に泳ぎ出でるには、自分をまず知り、一貫した方針にのっとった仕事や行動を、限界突破しながら一定期間継続するのが基本中の基本。などという認識を新たにする。

シャネルビルの横に刻まれた2500人の名前のエピソードは、何度聞いても涙が出る。職人へのリスペクト。どんな小さな仕事であれ、専門の、仕事をする人に対するリスペクトと感謝。これを忘れては人の心をうつラグジュアリーには至れない。人としての品格を、常にコラスさんから学ぶ。ユーモアをたたえ、あたたかさにあふれた本物の品格。こういう人でありたい、というお手本でもある。

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おみやげにシャネルのミニミラー。コラスさんの教えを思い出せる素敵な記念品となりました。

<追記>CHANELついでに。職人技が存分に披露されるメティエ・ダール・コレクション、今年はダラスだったようですね。

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綿谷寛・画伯に描いていただきました。

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リスペクト&感謝。

6日、「matohu」のデザイナー、堀畑裕之さんを中野キャンパスにお招きし、特別講義をおこないました。

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異国から見たジャポニスムでもない、語りつくされてきた「和」でもない、身近にありながら言語化されていないために気がついていないような日本の美意識。そんな美意識に目を留め、それを衣服を通して表現する、という活動を続けている「matohu」。

5年先のコンセプトをあらかじめ設定し、5年分のインビテーションをまとめて、慶長の美を伝える「絵巻物」にするという長いスパンで見た「待とう」の姿勢もユニーク。ファストファッション&グローバリズム全盛の時代におけるこの姿勢こそが、なによりもかっこよくて貴重だと思う。

詳しいお話はOPENERSのほうでも後日アップされますが、本欄では、とくに印象に残った「日本の眼」シリーズから、メモ程度ですがお話いただいた日本的コンセプトをご紹介。

1.かさね色目=風景+色+言葉、で表現される。「花冷え」「川添の菜の花」「イルミネーション」など。風景を思い浮かべ、それを色で重ねていき、言葉を添える。そこに現出する豊かなイマジネーションにあふれる世界。

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2.無地の美。むらや茶渋、ひびわれにこそ美を見てきた日本。お盆の塗装がはげていく過程にも同じ美が。とすると、ふだんなにげなく素通りしている景色の中にもこの美はあるかも。はげかけた塗装。表面がはがれかけた樹の幹。それを生地で表現すると…?

3.映り。一つだけでは生まれなかった美しさが、組み合わせることで互いに映えあうこと。料理と器、花と花器など。

4.見立て。質実剛健な道具、うちすてられた廃材を、花器に見立てて別の命を与えるなど。

5.やつし。格式のあるもの、豪華なものをあえて簡素にすること。遠山の金さんや水戸黄門もこれにあたる。そっけない麻に見えるんだけど、実はシルクで、着た人にしかその贅沢さはわからないようなもの。繊維をあえてとかしてぼろぼろに見せるんだけど、実はそのぼろが千鳥柄になっていたり、下の色を透けて見せさせたり。

6.あはい。余白や間に漂う詩情。空間恐怖のように装飾で埋め尽くす西洋的な美の概念にはない世界。

はっとさせられる哲学的で詩的な見方を教えられた、「あはい」豊かな時間となりました。言葉を得ることによって、風景やファッションの見え方が変わる。まさにそんな瞬間を体験しました。美しさは、見る人の心の中に生まれるものであり、身近な美に気づき、想像力を働かせることでこそ新しいファッションが生まれるのだということも、実例とともに実感。日本特有の繊細な思考にして表現、自信をもって世界への発信を続けていっていただきたいと強く思います。

待つことによって成熟を促すのは、素敵なこと。そうですね。あんなこんなの、さまざまな人との関係も、結果を焦らず、待ちましょう^_^;

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キャンパス前で記念写真。私が着ているのが、先日、店舗におうかがいしたときに買った今シーズンのmatohuのコートです。丁寧に紡がれたたっぷりとした服地、ひとつひとつ異なる形の「あはい」あるポケット、千鳥が舞う白い裏地、さりげなくつけられた首元のファーなどに、デザイナーの繊細な美意識が感じられる、着心地のよい一着です。…にもかかわらず、留めてない胸元のボタンがあるとか、着るヒトの繊細さがあまりにもなさすぎでほんとにごめんなさい(T_T)

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今年も賛同しました。OPENERSのメリー・グリーン・クリスマス

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シーズンズ・グリーティングカードもちらほら舞い込むようになりました。2013年、目標の何分の一にも届かなかったけれど(T_T)、少しでも来年以降につなげるように、ラストスパートをかけてまいります。

ミス・ユニヴァース・ジャパン2014 富山大会で審査員をつとめさせていただきました。
着物、カジュアルウエア、水着、ドレス、それぞれにおいてウォーキングでアピールしつつ、最後はスピーチと審査員との質疑応答で内面もアピールする、ハードな2時間。

26歳(年齢制限の最年長)のおふたりがとびきり輝いて完成度が高かった。グランプリの高橋映さんは4回目の挑戦。さすがの貫禄。舞台を降りるときに少し顔を残して消えていく、などこまかなところまで完璧だった。スピーチもすばらしく、「えー」や「あのー」などという余計な音が一切ない、優雅な話しぶり。準グランプリの佐野美沙代さんも、2度目の挑戦とのこと。佐野さんのポージングや表情にもすばらしく魅了されましたが、グローバルな舞台で競うには身長がやや足りない(といっても164センチ)だけ。佐野さんは、アフターパーティーで話した時に、私のブログ記事の"Don’t Dream, Be It"に励まされた、と話してくれました。またお会いしたくなるチャーミングな方です。ほかの出場者のみなさまもそれぞれに鍛え上げた力をアピール、経験や鍛錬とともに増していく力強い美を披露してくださいました。

アフターパーティーで、記念写真。左がともに審査員をつとめたモデルでタレントの池端忍さん。中央がグランプリに輝いた高橋さん。

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去年のミスの平野さんもゲストとしてトークショー。保育士である彼女は、富山の観光大使としても活躍中。選ばれてから出会う人が変わって人生が変わった、と。

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そうなんですよね。出会いがないと嘆くのではなく、きょろきょろしたり愚痴を言いあったりするひまがあれば、自分の活躍できるステージを上げる努力をすればいい。そうすればそのときの自分にふさわしい出会いに恵まれる。

彼女が履くのはユニバースの「義務」である13センチヒール。これはユニバースのステージでは必須なのだそうです。で、富山には売ってないので出場者は苦労したそうな^_^;。富山ビューティー底上げのために、まず靴屋さんやセレクトショップさん、がんばってください(笑)。

ミスコンは女の品評会だのなんだのと批判も相変わらずあるけれど、ユニヴァースにかんしていえば、長期にわたる合宿での総合的なトレーニングに耐え、人前で堂々と振舞い、話し、瞬時に受け答えをする教養を養い、その成果をステージで競うわけだから、なんというか、野球少年にとっての甲子園みたいなものではないかと思う。女力だけではなく、人間力を磨く絶好の機会だと思う。

その後、おやじたちにいいように利用される、という話も聞くこともあるが、いや、逆にそういう下心はいいように利用してやるのだ(笑)。それだけの賢さと強さを備えてこそ、女の中の女である。イメージモデルは不二子ね。

美は力。美は希望。美はインスピレーションの源。観客を魅了した出場者のみなさま、あっぱれ!でした。この経験を生かし、今後の人生がますます輝いていくことを祈っています。

「笑っていいとも」回顧ブームにワルノリして。実は私も2回、出演しました^_^; 昨年か一昨年の10月(もう、どっちだったか覚えてもいない…)。普段からテレビを見ないし、いまもテレビがない生活。あるけど故障したまま。時間を削っても観たいDVDはプレイヤーで観るし。ちょこっと出たからといって自分は観ないし。

という、テレビ感覚がまったくない人間なので場違い感マックスでしたが。数分の出演のために待ち時間が異様に長く、打ち合わせとはまったく異なる展開に臨機応変に合わせねばならず、テレビ業界の方々のたいへんさを知るよい機会になりました。リスペクト。

今から思えばタモリさんともっとお話しておけばよかった。という後悔は先に立たず…。今ならだいぶ悟りに近づき(笑)恥ずかしいこともないのですが、1,2年前はまだ相当シャイだった。

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写真は実家の母撮影。

ゲスト講師として来ていただく予定の「matohu (まとふ)」デザイナーと打ち合わせのため、表参道店を訪れました。

「わびさび」ではなく「かわいい」でもない、もっと生活に根差していながら哲学的な日本らしさを追求しているのは、堀畑裕之さんと、関口真希子さん。

見立て、うつりの美、といった美意識を、ファッションを媒体として表現するといった知的試みを続けているブランドです。堀畑さんは、同志社大学大学院の哲学科を出てからギャルソンなどで修行を積み、ロンドンでも一年仕事をし、2008年からご自分のブランドを立ち上げました。ご自分の哲学に基づいたファッションを語る言葉も確かです。

堀畑さんが考える美が細部にいたるまでぎっしりつまった渾身の作品というコート、今年のコートとして購入してしまいました^_^; 日本のデザイナーを応援しながら日本の美を語ることができる一着、タイミングの良い出会いでした。

講義とインタビューの成果はあらためてご報告します。当日は、OPENERSの取材も入る予定です。

堀畑さん(左)、関口さん(中央)と、「matohu」表参道店前で記念撮影。

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水曜夜は、リバティアカデミー、スーツ講座の第2回目でした。丸井メンズアパレル課の石川さん、笹野さんによる、「進化するスーツの現状とその着こなし」のお話。

日本のスーツ市場の現状、ビジネスマンが求めるスーツ、スーツができるまでのプロセス、そして超ストレッチ素材、ウォッシャブル素材が普及する現在のスーツの着こなし、というさまざまな視点からのビジネススーツのお話。

右が話をする笹野さん、左が助手の橋本さん。

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売れるスーツをつくるための赤裸々な裏事情の話の数々には、偏見が覆されました。20万から50万のお仕立てスーツを取材する仕事が多かったが、現実には2万円台のスーツが仕事着として普及していく時代。あきらかにスーツの歴史に革命が起こっていることを知る。歴史を書き換えなくては(笑)。

さまざまな発見に関しては、追って活字原稿にまとめていきます。

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お疲れさまでした!の打ち上げの記念写真。左手前から丸井メンズアパレル課の笹野さん、橋本さん、石川さん。右手前はコーディネーターの河合さん。ありがとうございました!

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明治大学リバティアカデミー、「スーツ講座」その1でした。台風のため、大学自体は全授業休講になったのですが、19時スタートの講座は開講。いつもとちがってひっそりとしたキャンパスでしたが^_^;、さすが社会人の方は学ぶ熱気が違い、反応がとてもヴィヴィッドで、私自身、楽しくレクチャーさせていただきました。アンケートでも大好評を賜り(自画自賛ですいません…^_^;)、感謝です。さらに工夫を重ねて来学期に臨みます。

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来週は、中野に本社をおく「丸井」メンズアパレル課のスタッフによる実践編です。日本の一般のビジネスマンが着る「標準価格帯」のスーツに関し、どんなリアルなお話が聞けるか、今から楽しみ。

北日本新聞別冊「まんまる」11月号。連載「ファッション歳時記」第26回、「素で勝負の時代」をテーマに書きました。機会がありましたらご笑覧ください。タイトルに書いたのは、原稿のヒントになった三つのキーワードです。

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12日(土)日本テレビ、「ズーム・イン・サタデー」、映画「ダイアナ」紹介コーナーで、ダイアナ妃のファッションについてちらっと解説しました。1時間ほど収録にかかったわりには、ほんの一瞬のみしか伝えられないのがはかないというか、逆に、一瞬のシーンにも多くの人がエネルギーを注いでいるということを思うとやはりリスペクト(テレビはほとんど見ないけど^_^;)。

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発売中のエル・ジャポンには、2ページにわたりじっくり解説しております。映画鑑賞のご参考になれば幸いです。

10月のリバティアカデミーでのスーツ講座、打ち合わせ。

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中野に本社をおく株式会社「丸井」のメンズアパレル課、課長の石川雅道さん(右)、バイヤーの笹野一郎さん(左)。

「進化するスーツの現状とその着こなし」というテーマで、日本のスーツ市場の現状、ビジネスマンが求めるスーツ、商品の企画のプロセス、さらにはTPO別の実践的なコーディネイトまでご紹介する予定です。

私は「スーツが秘める歴史的な意味」を解説します。西洋の男の盛装の歴史、各パーツの起源や意味、暗黙のルールの由来など。

中野キャンパス、40名の少人数クラスです。残席あと5になりました。

https://academy.meiji.jp/course/detail/1369/

スーツの季節、そろそろ到来ですね(シーズンレスな服ではありますが、クールビズが終わり、秋冬向けウール素材でのスーツの季節が本格的に始まるという意味で)。

先日出席した駐日大使歓迎ディナーのドレスコードは、「ビジネススーツ」でした。会社帰りの方にもご配慮して、とのこと。

スーツを着るのが当然という世界がある一方、就活したくてもスーツ一式を買えない、買えないから面接に行けない……という悲しいスパイラルもある。安いスーツがあるといっても、靴、バッグ、シャツ、時計などなどの小物をひととおり合わせなくてはならず、その小物にこそその人の背景が表れてしまうというのがスーツの恐ろしいところでもあるし。「若年無業者の4人に1人がスーツを持っていない」という記事。↓

http://blogos.com/outline/70057/

なんでここまでスーツが常識なのか。

イギリス人が19世紀に植民地政策とともに英語&ジェントルマン理念とセットで世界に普及させ、それが定着して、いつのまにかルールになってしまったらそれが勝ち、って考えてみたら無茶苦茶なことですね。これほど周囲から「監視」され、バリエーションが許されない服というのも珍しい。成文法なんてどこにもないのに、なにが「正しい」のか、大真面目に議論され続ける。スーツを着て働き、社交しなくてはならない男性のみなさん、息苦しくないですか?

「たかが服、どうでもいいことだから、慣習にしたがっとけばそれがラク。ほかにもっと真剣に考えなくてはならないことがある。それになんだかんだといってスーツは男をかっこよく見せてくれるし」。そんなところでしょうか。

「正しさ」の根拠なんて、ほんと、いいかげんで、きわめて人間くさいものです。多くの場合、「歴史」のなか、「起源」をたどると、その「正しさ」の根拠らしきものが見えてきます。ふりかざされる「正しさ」にどのように対処するか、それがスーツの着こなしにもあらわれてきますね。ゲームのルールを厳守するのか、ルールをもてあそぶのか、ルールからはずれてしまうのか。その姿勢にこそ、教養やら性格やら社会的な立場やら各種余裕の有無やらエゴやら、とにかくいろんなその人のことが見えてきます。

その「起源」にしても、いろんな考え方があるのは当然。ひとつの事象の見方は、人間の数だけあります。起源ですら絶対ではなく、あくまで、ひとつの解釈。そこまで理解して、はじめて、あなたなりの「正しさ」とのつきあい方が決まる。

以前に告知しましたが、あらためて。10月に、明治大学リバティアカデミーにて、はじめて社会人向けスーツ公開講座を担当します。私の<歴史編>と「丸井」のバイヤーさんによる<実践編>からなる連携講座です(セットにはなっていますが、どちらか片方だけ受講していただくということでもかまいません)。スーツについて多角的に学びたい方、その入門編としていかがでしょうか。このマイナーなテーマにしては申し込み順調につき(ありがとうございました)、来春も開講が決まりました。とりあえず、10月の講座はまだ少し残席あるそうです。お申し込みはこちらから↓。

https://academy.meiji.jp/course/detail/1369/

電子書籍「スーツの文化史」(→)も参考書としてどうぞよろしく。

ファッションプロデューサ―の鴫原弘子さんとともに、
「東京ウーマン」のインタビューを受けました。
キャリアに対する姿勢、時代の風の捉え方、家庭や子供との向き合い方、
さらには恋愛の味わい方まで(この話題は鴫原さんの独壇場!)、
30代~40代の働く女性の悩み全方向に対して、2時間
たっぷり語りつくし。
まだまだ発展途上の身でエラソウにすみません、
なところも多々ありましたが、楽しんでいただけるかと思います。
タイトルにしたのは、私の「助言」の一つ。
笑いと驚きと感動に満ちた、あっという間の2時間でした。
左がインタビュアーの谷本有香さん、右が鴫原さん。
ありがとうございました!

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昨日は弾丸で京都に行ってまいりました。「リシェス」連載「富の品格」のため、京都の老舗、千總(ちそう)さんに取材です。

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奢侈品製造販売の禁令がでていた第二次世界大戦中も、技術保存資格者として友禅染の着物を作り続けていた会社。

ただただ専門技術の保存のためだけの着物は、「着ることを想定されていない」。

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超絶技巧がぎっしりもりこまれた戦時中の贅沢着物は圧巻でした。それらをめぐるストーリーがまた……(T_T)

ファストファッション全盛の時代だからこそ、低きに流れず踏ん張ってほしい。詳しくは、リシェス冬号に書きます。

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長時間にわたる取材に、辛抱強く笑顔でおつきあいくださった素敵な方々。左から「千總」取締役製作本部長の磯本さん、同係長の加藤さん、中野、「リシェス」の編集、野中さん、「千總」製作本部部長の中西さんです。この写真を撮ってくださったカメラマンは内藤さん。ありがとうございました!

ソフィア・ウォリスのフォトシリーズ、Modern Dandy 。私が、「マグナカルタ」の連載で新解釈しようとしているダンディズムと相通じるところがあって、プチ興奮。

なぜ世の中はダンディズムを蔑み、ときに恐れることもあるのか。

精緻な服装術を通して、まったく新しい「ペルソナ」を創ろうとするのがダンディズム。

そのペルソナは、社会の既成の枠組み、というか、性差の役割のステレオタイプを壊すほどラディカルでなくてはならない。

ブランメル、ワイルド、アンディ・ウォーホル…。既成の秩序を覆した男たちでもあります。

この一連の写真においてはティルダ・スウィントン、グレース・ジョーンズのような両性具有系の女性も「モダン・ダンディ」の仲間入り。(ここまでくると、私の領域ではない)

3ピーススーツでばしっと決めて、なにもかも誰かが決めたルールの中に上手に納まっているという姿勢は、伝統回顧を趣味とする保守主義であって、21世紀においてはダンディとは呼ばないのです。保守主義や懐古趣味は、それはそれで素敵なので、讃えたいと思います。スーツでばっちり姿も、それがなんらかの抵抗の意の表明になっているかぎり、ダンディと呼んでいい(というのもおこがましいですが^_^;)。ただ、それと、これとは、話が別。私が積極的に意義を見出したいと思うのは、あくまで、孤独で、クールで、エレガントで、ラディカルな抵抗の態度としてのダンディズム。

ダンディズムとジェントルマンシップを、混同してはいけない。

賛否両論あるのは当然。むしろ異論が多いほうが健全。でも、こういう新解釈の動きをシンクロニシティとして感じるのは、心強いし、胸が躍るものですね。

先日の沢樹舞さんとの対談が、今朝の北日本新聞に掲載されました。私の手元にはまだ届いていませんが、フェイスブックで購読者の方がアップしてくださった写真をシェアさせていただきました。ありがとう。便利な時代になりました…。

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やはり朝刊向きではないお話はカットされていましたが^_^; それはまた機会をあらためてどこかで!

掲載されなかったお話のなかで私がほほう、と思った舞さんの「戦略」をひとつ。

「デートに、あえて、すっぴんで行く」。

これは効くそうです。彼女の言葉によれば、「ハイリスク、ハイリターン」。相手とタイミングを見極めて、勝負をかけるときに。機会があったら(私は永久になさそうですが……(-_-;))、お試しを。

月曜におこなった、沢樹舞さんとの対談。近日中に北日本新聞に掲載されます。テーマは「ワインと恋とファッションと」。姐キャラユニットによる、田尻記者もたじたじの(すまん^_^;)お話となりました。朝刊にはNGな話も出てきて、どれだけ活字になるかわかりませんが…。

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対談で着た浴衣一式は、富山の老舗呉服専門店「牛島屋」で購入しました。ここの取締役が、高校の後輩でもありFB友でもある武内孝憲さん、というご縁。妹のかおりさんとともに、似合いそうなものを見立ててくれました。柄は、「藤と裏梅」、縁起がいい柄だそうです。裏梅とは、梅を裏側から見たもの。こんなふうに、植物を抽象的に表現できるのは、日本独特の感性によるものですね。

着付けをしてくださったのは、武内くんの奥様、美嗣子(よしこ)さんです。きめこまやかな心配りと美しい立ち居振る舞いが印象的な長身の美人でいらっしゃいます。中央が美嗣子さん。左の舞さんも170㎝超えの美女。和服も、長身だといっそう迫力がでますね。

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帯も、遊びを入れて結んでいただきました。

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極力、着崩れを避けるべく、かおりさんが、そのまま対談会場のレストランまで車で送ってくださいました。というわけで、浴衣ひとつ着るにも多くの人々の助けが必要でしたが、ゆえに、いっそう思い出に残る一着となりました。みなさま、ありがとうございました!

そもそも浴衣を着ようと思い立ったのは、カンバーバッチに刺激を受けてのこと。人の影響力、なにがどこにどう作用するか、わからない…。

対談後は、友人たちも合流してミニパーティーとあいなったのですが、そんなこんなの楽しい半日の模様を、舞さんがご自身のブログにアップしてくださいました。ありがとう!

先日、ご縁あってコメントを寄せた「クロワッサンで朝食を」。
初日、2日目で動員2,421人、
興行収入2,807,200円
273席・満席8回、驚愕の大ヒットとなり、
銀座四丁目交差点裏から、晴海通りまで長蛇の列ができたそうです。
6時間も列が途切れないって、ミニシアターではありえないこと(*_*)
おめでとうございます!

発売中の「週刊朝日」8月2日号の映画欄で、
この映画についてのインタビューにこたえております。
機会がありましたら、ご笑覧ください。

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お問い合わせをたくさんいただきながら、長らく絶版中だった『スーツの神話』が、本日、『スーツの文化史』として電子書籍になりました。

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電子書籍化の企画がスタートしてから3年以上も経ってしまいました。写真の版権をとりなおすための手続きが予想以上に難航し、また新たに追加したいと思った写真に関しても、手間取ってしまったのです。結局、図版の多くを断念する一方、新たに追記したい項目も多々ありましたが、完璧な理想を追うときりがないので、いったん、当初のバージョンで出すことにいたしました。

電子書籍版はこちらからです。↓

http://bccks.jp/bcck/113825/info

どうぞよろしくお願い申し上げます。

実業之日本社の宮田和樹さんに、プロデュースしていただきました。表紙の写真を提供してくださったのは、Kenjiro Suzuki  sur mesure Parisの鈴木健次郎さんです。サリトリア・イプシロンの船橋幸彦さんにも写真のご協力を賜りました。電子版にしたときの文字化け校正は、明治大学国際日本学部プレゼミOGの五条琴美さん、藤井亜紗子さん、丸山志穂さんに手伝ってもらいました。みなさま、ほんとうにありがとうございました!

今年初めに出た、日経ビジネスアソシエの教養特集。大好評につき、日経BPムックとなったそうです。

「ビジネスパーソンのための教養大全」。

今、知るべき20分野+α。ビジネスパーソン1000人にアンケートをとった結果、「必要と考える」教養100項目のうち、スーツが8位に登場。そのスーツの教養を解説しています。機会がありましたらご笑覧くださませ。

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7日(金)、大学にゲスト講師として生駒芳子さんをお招きし、エシカルファッションの最前線についてレクチャーしていただきました。題して「エシカルを着た悪魔」。

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21世紀のファッション産業革命のキーワードとなる「エシカル」。その黎明期から現在、そして未来の展望にいたるまで、情報を網羅しながら、無駄なく、しかも楽しく充実したすばらしいレクチャーでした。学生にはもちろんのこと、聴講にいらした社会人の方々にも大好評でした。いちばん楽しんでいたのは私かも^_^;

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ファストファッションについても、現在、いかに各社が「エシカル」に取り組んでいるのか、そのポジティヴな面を中心に解説。悲観・批判しないのがファッショニスタ魂ですね。

具体的なキーワードや固有名詞、新語、人についても、多くを学ばせていただきました。

たとえば「バイコット Buycott」。ボイコットの反対語。ある企業やお店に対し、不買運動をおこなうのではなく、行列を作ってまで買うという行為をおこない、それによって賛同の意を表明して企業を応援すること。

「アップサイクリング」。ただのリサイクルではなく、さらに価値を上げていくようなリサイクルのこと。

社会起業家の代表格のようなイヴォン・シュイナード氏。「革命を起こすためにビジネスをする」。

女優エマ・ワトソン。「私は社会貢献をするために女優をやっている」。日本ではあまりそのエシカルな側面は報じられていない。

モードとファストファッションの違い。モードとは、クリエーションのあるファッションのこと。ファストファッションはコピーであってクリエーションはそこにない。その中間にコンテンポラリーブランドがある。

「悪魔」とは欲望が強い状態。エシカルを推進するには、ファッショニスタの欲望をかきたてていかなくてはならないこと。かっこいいエシカル、欲望を刺激するようなエシカルであれば、自然といい方向へ進んでいく。今後、めざすべきはこの方向。

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ファッション産業に可能な被災地支援のひとつとして、いちはやく東北コットンプロジェクトもおこなった。オーガニックコットンは、土地の塩分など余分なものを吸収してくれる。津波で塩分が増えた土地を健康に戻すにあたり、このプロジェクトが多大な貢献をしている。

ちなみにオーガニックコットンが高価なのは、落葉剤を使わないから。葉っぱの間から綿花をつむのによけいな手間がかかる。でも、作業をする人は、手が荒れないという。

……などなど、学びは尽きず。

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講義後の記念撮影。たまたま二人のモノトーンのコントラストが、いい感じでした!笑。

私も超ポジティヴなほうだと思っていたが、生駒さんは私を上回るウルトラスーパーポジティヴ。講義後、ランチをご一緒しましたが、同席した方が、私たちがあまりにも同調しているのを見て、「お二人は20年来の友人同士みたいですねえ」とタジタジしておりました(大先輩に対して、かなり厚かましいですが)^_^;

ほんの一例、以下の会話…。

生駒さん「グローバルな人材を養成するには、教育の現場から変えないと。英語を小学生からうんぬんじゃなくて、マインド。学生が、臆することなく意見をがんがん言うことを、激励しなくちゃ。海外の会議では、手を挙げてとにかく意見を言わないと、存在しないことになっちゃうのよ。だからとりあえず手を挙げて、意見はそれから考えろ、と(笑)!」

中野「今の学生は浮くのを恐れるんですよ。小人数だと意見を言うけど、大教室となると、手は挙げない。シャイなうえに、目立って浮いちゃうと仲間に入れてもらえなくなりますからね。「ボッチ」って言って、一人で授業にすら出られない。私は常々、『一人で凛としてるのは最高にかっこいい』『一人はモテる』とか言って、一人行動を奨励してるんですが、どうも一人だと『友達がいない人』と見られて、それが恥ずかしいことになってるみたいです」

生駒さん「じゃあ、バッジ作ればいいのよ。<私は妊婦です>みたいなアレl、あるじゃない。電車のなかで席ゆずってもらえるやつ。<私は一人が好きです>みたいなバッジ。あれをキャンパス内でつけとけばいいじゃない。みんな<ああ、この人は一人が好きなのね>って納得するわよ!」

中野「笑。彼らは一人でご飯も食べられないんですよ。それが昂じて、ひとりでトイレの個室にこもってご飯食べる<便所飯>までやっちゃう。どこの大学でも問題になってるほど。グローバル人材育成問題と、便所飯問題は、つながっているんです」

生駒さん「あ~ら、じゃあトイレの個室にソファなんか置いて、<弁所>にすればいいのよ!」

中野「わははっ。なんでも否定や禁止するんじゃなくて、肯定アンド励ましのほうにもってかないと、ですね!」

こんな超陽性の方が第一人者として各現場の人と人をつないでいってくだされば、ファッション産業の未来も明るく感じられる。最高に楽しかったです。ありがとうございました!

5月27日、各方面で大活躍中の二大おしゃれ巨匠、綿谷寛・画伯とソリマチアキラ・王子を大学にお招きし、「ファッションイラストレーションを考える」というテーマで、レクチャーをおこないました。

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それぞれのイラストを見ながら、写真ではなくイラストを使う意義、ファッションイラストレーターの仕事の具体的内容、一枚の絵の中に描かれている情緒や思いなどを、丁寧に解説していただきました。バブル期における、イラスト一枚あたりの驚きのギャラの話も出て(!)、さらに最後には学生への貴重なアドバイスもあり、とても楽しく充実した時間になりました。

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色覚に問題があるため美術学校に入れないとわかっても決して夢をあきらめず、自分のやり方で道を切り開いてきた綿谷画伯。「人が見ていないところでも、決して手を抜いてはいけない」との助言に、学生一同大きくうなずく。

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アパレル勤務、バーテンダーなど、さまざまなキャリアを経てイラストレーターとして開花したソリマチ王子。「メンズファッションには決まりごとが多いけれど、もっと夢や情緒があったほうが楽しいよね」。

以下、お話のなかでとくに面白いと思ったことのいくつか。

・ファッションを描くとは、人物を描くこと。ファッションアイテム一つを描くのに、持ち主のいる部屋、しぐさ、葉巻などの小道具、表情、すべてを想像して、スタイリストのように組み合わせ、ふさわしい世界を描きこまなくてはならない。

・写真はよくも悪くもすべてを映し出してしまうが、イラストは本質だけを描くことができること。いちばん大事な分だけを表現できるのがイラストであること。

・海外の高級な雑誌、あるいはある種の広告は、イラストを使うほうを好む。絵の魅力でモノを買わせるのだ。顧客はすでにそのモノの品質を知っている。絵だけで、イメージだけで、理解してモノを買うことができる。見る方にも教養があるからこそできることであって、それは雑誌(広告)にとっても、顧客にとっても、ステイタスとなる。

・何もかも平板に映し出す写真ではなく、本質をデフォルメして描くイラストレーションだからこそ、時代を超えていける。

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背景に映っているのは、メンズファッションイラスト界の草分け的存在、穂積和夫先生のイラスト。「静止画なんだけど、いまにも動き出しそう」な絵に衝撃を受けてイラストレーターになろうと志したという、綿谷画伯。

学生からは熱い感動のメッセージがたくさん寄せられました。お二人のスタイリッシュな装いと紳士的な振る舞いにも賞賛の嵐が。女子学生からのコメントの一部を紹介します。

「綿谷さんが、プライベートのお楽しみで得た知識や技を仕事に生かしているというのは、<男>をめ一杯楽しんでいるように見えました!私が男性に生まれたら、そんな生き方がしたいなあと思います。全身白の中に、紫の靴下が美しいです!」

「ソリマチさんのような素敵なものごしの男性を育てるために女性ができることは何かあるのでしょうか? 将来結婚する相手には、年を重ねるほどに魅力の増す人であってほしいので。笑」

などなどの楽しいリスポンスに、私も笑わせていただきました。一流の仕事をこなす素敵な大人のオーラに直接触れるということが、なによりもいい経験になったことと信じます。

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綿谷画伯のマジウマ系広告イラスト。50年代アメリカの雰囲気に富士山をマッチさせることができるのは、イラストならでは。ギャラを聞いて会場から驚愕の声が(笑)。

Sori_16リゾートの心地よい風が感じられるような、ソリマチ王子のイラスト。

綿谷画伯、ソリマチ王子、ありがとうございました!ますますのご活躍を応援しています。

今朝の朝日新聞、文化欄「オヤジ おしゃれに目覚める?」にコメントしました。
取材を受けた時には、男性ファッション誌5誌の部数が前年比36%増の計407万部というデータに逆に驚きました。

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ちなみに、誰でもギモンに思う5誌とは、ウオモ、レオン、2nd、メンズex、オーシャンズだそうです。FBでは「週刊少年ジャンプが入っているのでは?」という疑惑まで飛び交いましたけれど。笑。

昨日は、日本砕石協会関東支部総会で、「ダンディズム」をテーマに講演させていただきました。横浜ベイシェラトンホテルにて。

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日頃、ダイナマイトや削岩機を扱っている方々ばかりだそうです。なぜに私。場違いきわまりない人選だったかと思うのですが、辛抱強く聴いてくださった紳士のみなさまに深く感謝申し上げます。テーマに関心のない方々を惹きつけてナンボですね。まだまだまだまだまだ、修行が足りない…あ~…(T_T)

写真は、講演後の懇親会にて。居心地悪そうな女性に話しかけてくださったレアで奇特な?方々。後方の背広軍団に届く平たい言葉を考えていくことが次のミッションかな。壁は厚い。ダイナマイト2,3個くらいじゃ突破できないかも。でも希望をもってがんばってみます。アウェイな場に身をおくことは、自分の未熟さと次の課題を知る大事な機会でもありますね。協会のみなさま、ありがとうございました。こんどはお仕事中の雄姿を拝見したいです!

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昨日は、母校の富山市立呉羽中学校の創立記念式で講演。15歳の時、まさか将来こういうことをしようとは夢にも思わなかった。一日一日の積み重ねの重さをあらためて感じる。彼らはまだわかんないような顔をしてましたが、いつか、話したことの、ひとつだけでも、なにかの役に立つといいなと願いつつ。シャイな印象もあったが、帰り際に「ありがとうございました!」と手を振ってくれた子もいて、嬉しい。

金枝仁治校長先生と記念撮影。校長先生はじめ、先生方がほんとうにきめ細やかなご配慮をしてくださったおかげで、楽しく感動的な一日になりました。心から感謝します。

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小学校、中学校の同窓生たちも応援に来てくれた。夜は彼らと、恩師の石上正純先生をまじえて宴会。12歳に戻って盛り上がる。遠慮なく、今日の講演のダメな点も指摘してくれた。「中学生に12カ条は多すぎる。5カ条でいい!」とか、「えー、と言うクセを直せ!」とか。こういうことをきちんと言ってくれるのも絶対の信頼感があるからこそ。ありがとうね。しっかり反省して、次に活かします!

今朝の北日本新聞にちょこっと掲載されてました。

Img015_3現在の校舎は改築ほやほやの超モダンで贅沢な校舎。私が3年間過ごした円形校舎もすばらしかった。教室からベランダに出て、すぐ全校集会ができるのです。いまはなきそのなつかしい建築は、こちらで見ることができます。

http://www.youtube.com/watch?v=l99m4aCPUgk

制服は、当時のまま、変わっていませんでした。なつかしのセーラー服と詰襟の学生服に、中学生時代の思い出が一気にあふれ出てまいりました。服がもつ記憶誘導力もなかなか強いものですね。

昨日は、日本モデリスト協会総会にて、講演させていただきました。新宿の文化学園にて。お題は「そうだったの?この服、このことばのルーツ!」 

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モデリストとは、アパレル業界以外では聞きなれないことばですが、講演後の懇親会でこのような説明を聞かせていただきました。「パタンナー(型紙を作る人)+夢+コミュニケーション」。

実際に企画者の意図をくみ上げて服を作り上げていくうえで
重要な部分を担っているプロフェッショナルな技術者です。

モデリストに関する詳しい説明はコチラ↓
http://www.ifashion.co.jp/jnma/modelist/background.html

懇親会ではたくさんのよいご縁に恵まれました。

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モデリスト協会のみなさま、ありがとうございました。またお会いしましょう!

http://www.ifashion.co.jp/jnma/notification/130420.html

☆昨日は「サライ」記事のための取材で、錦糸町の「松徳硝子」へ。繊細な「うすはり」はじめ、手作りのガラス製品の数々を見ながら、これをさらに現代にプロデュースしていくためのさまざまな切り口をうかがう。

「バカラ」にはバカラのやり方がある。メイドインジャパンであるからこその闘い方を考えさせられました。

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工場も見学させていただく。45人の社員の方々が、それぞれの持ち場でダイナミックに仕事。1000度を超えるという火の熱気に、失敗作のガラスが割られる音…。けっこうドキドキ緊張します。

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かつて日本の観光地にはほとんど「ガラス館」があった、という話に笑う。言われてみれば、なんだか温泉地でガラスの工作つくった記憶が……笑。

取材終了後、錦糸町のロッテホテルの地下のブリティッシュパブ、HUBでスタイリストの堀さんと小休止&打ち合わせ。その後まだ仕事の予定があったため、アルコールフリーのドリンクで我慢せざるをえなかったけど、モヒート風のミントスカッシュは、疲れを一掃してくれる新鮮なおいしさでした。

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N響ホームページ内「カレイドスコープ」に寄稿しました。演奏されるウォルトンの楽曲から連想が導かれるまま「英国王室行事の底力」。

機会がありましたら、ご笑覧ください。できればウォルトンの「王冠」をBGMに流していただければ、なお光栄です(笑)。

http://www.nhkso.or.jp/library/kaleidoscope/3745/

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本文とは関係ありませんが、上の写真はウィリアム&キャサリンのロイヤルウェディングのときのゲスト。男性は、だれも白いネクタイなんてつけてない……。白いタイにブラックスーツは、あくまでも日本独特の習慣。

「クロワッサン プレミアム」5月号Book 欄でインタビューを受けました。「二十歳の頃に読んだ本」。機会がありましたら、ご笑覧ください。

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Sankei Expresss 03/16号、および、Fuji Sankei Business i 3/16号、「美のクリエイター」欄、芦田淳さんが生み出す美の世界のヒミツについて、書いています。「愛から生まれる 王道」。機会がありましたら、ご笑覧下さい。

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北日本新聞よりシリーズ「友達って何?」の最終回にインタビューを受けました。今朝記事がアップされていました。

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友だちなんて、定義できるものではないし、人と人との関係の数だけバリエーションがあるし(つまり人口×2だけの)、状況によってもさまざま。だからからこそ、繰り返し問われるテーマのひとつ、なんだろうと思う。

掲載されてる写真です、田尻記者撮影@Aoビル内のテラス。青山っぽくないですね。笑。

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「人生は続いていく。望んだようにはいかなかったとしても、常に、あるべきように」

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友だち関係は、「望んだようにはいかない」もののひとつ。ふりかえってみると、一時的にアツクなったりする友情は、そうでもなかった……ということも多い(苦笑)。たんたんと何十年も、細々と続いている友人たちは、やはり淡き水のごとき関係。寄りかかりすぎず、立ち入りすぎず、でも、時々は頼って頼られる。あたたかくて、クール。たまに会うと、状況が変わっていても、コアな部分は変わってない。それが「あるべきよう」なのかもしれないなあというのが、時間が経ってみるとわかる。

J-WAVEの休日特番、LEON presents Style You Up!に出演してまいりました。

クリス・ペプラーさんと大塚善奈さんお相手に、「モテる男とファッション」。休日の昼間っからレクチャーや説教は誰も聴きたくはないだろうと思って、笑える話をピックアップしてまいりました。当然、具体例として挙げたお話には「ファクション」もおおいに混じってます。お二人ともノリがよくて、楽しかった~! あっという間の30分。時間足りませんでしたが、そのくらい名残り惜しい方がいいのかも。

たくさんのメッセージやメールをいただきました。ありとうございました。ジョークっぽい話ばっかりでしたけど、「聴きたかったけど聴けなかった」という読者の方から内容の問い合わせがあったので、簡単に一部メモしますね。

モテる男のファッション、レベル1から5まである。

・レベル1 人としての最低限。清潔感と正しい姿勢。とりわけ手、爪まわりを女はよく見ていて、男の手の印象は、顔以上に記憶に残っていることがある。指輪やブレスが目立つのは論外。服のサイズがぴたりあっていることも、「着られてない」ことを見せるために重要。

・レベル2 親近感を感じてもらうためには、ダークな装いがベースであれば、赤・ピンク・オレンジ・黄色などの暖色を、ほんの少し取り入れる。ネクタイ、チーフ、靴下など、チラ見えする場所に。

・レベル3 コミュニケーションを楽しくするために小道具を活用する。巻き物、ポケットチーフ、ピンブローチ、傘、カフリンクス、ブトニエール、プチ手品小道具(リボン1本とか、箸袋でも)。巻き物なら彼女が寒そうにしていたときにかけて、さしあげるくらいのつもりで。ポケチも同様、ケチらない。かつてカフリンクスが塩・コショウのミニチュアボトルになっていて、そこからステーキに味付けしてもらったことがある。ブトニエールの花を帰り際に贈ってもらったことがある。いずれも感動し、強烈な印象を残す。

・レベル4 3~4時間のデートの間に「変身」する技。帽子やメガネを活用する。途中で脱ぐと、さきほどとは別の顔が現れるのがいい。見せてはいけないブレイシズ(サスペンダー)のちら見せも場合によっては効く。上着を脱いだときのシャツはスーパーファインな生地で、触りたくなるようなのがベスト。下に着るものほど上質であるのが望ましい。香りも重要。フレグランスがぷんぷんするのは論外。接近したときに、シャンプーの香りがする、あるいはシャンプーが必要ない方であればフェイスローションなど、あくまでふわっとかすかに、が基本。

・レベル5 フォーマル。タキシードのボウタイは学芸会のようにできあがっているものではなく、自分で結ぶタイプのものを。パーティー後、はらりとほどけている姿こそ、タキシードの真骨頂。

…っていうような話を、クリスさんと善奈さんの楽しいツッコミを受けながら話ました。

で。まとめとして「大人の男に必要なことは?」というクリスさんの質問を受けて。

・上記にあげた服のことなど、ほんとうはどうでもいい。男の価値は着るものでは決まらない。おしゃれが目につく男ほど、ナルシストでケチで無責任だったりする。かつて、全身パーフェクトに決めた方から、会計のときになって「1000円しかない」と言われて全額こちらが払ったことがある。そのお方は帰りに自分のためにカードで別の高級品のお買い物をしてうれしそうに自慢していらしたわ(笑)。ほんとうの意味で、中身まで豊かな信頼に足る男は、必要以上に飾ったりはしない。できる男は、むしろ無頓着ぐらいの人が多い。ただ、その「すばらしいナカミ」にたどりつくために、レベル1はクリアしてほしい。

さりげなく静かな自信をたたえていて、バランスのいい包容力があり、精神が一定していて、責任感がある(女に恥をかかせたり、悲しい思いをさせたりはしない)。このような資質が最低限、必要なのではないか?

……などとエラソーに男に対して一方的に要求するわけではない。男が、女のためにそのような男になりたいと自発的に努力したくなるように、女のほうが自己を律して成長することが大切。男を育てるのは女。

というような話で笑っていると、あっという間に30分経過していました。

これからのメンズファッションのトレンド(半ズボンスーツの話)なども話す予定だったのですが、まあこちらはまたどこかの媒体で機会があれば。

LEON編集長の前田陽一郎さんともオフ・エアの場所で少しお話する機会をもてました。LEONという雑誌は、表面はおちゃらけているけれど、芯にはロマンティシズムやダンディズムがある、それを持ち続けたいというような熱いお話をうかがいました。

関わってくださったすべてのスタッフのみなさま、リスナーのみなさま、ありがとうございました。(写真はLEON編集部の石井さん撮影)

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「日経ビジネスアソシエ」の反響大きく、じゃあ、スーツにボタンダウンを合わせるのはありかなしか、とか、シャツの下にアンダーシャツを着るのはありかなしか、とか、その他もろもろ、ご質問をいただいたりしています。ありがとうございます。

あることに気づきました。そういう質問やコメントなどを寄せてくる方は、必ず「起源」を書き添えていらっしゃるのですね。たとえばビジネスシャツといえどシャツはもともとアンダーウエアだったものだから(その話は私の『モードの方程式』で読んで知った、と^_^;)、その下にさらに下着を着るのは間違いではないか、とか。

理にかなったご質問をいただくのは、たいへん、ありがたいことと感謝しています。でも、いい機会なので、私のおおよその立ち位置を、書いておこうと思います。服飾評論家ではなく、ましてやスタイリストでもないので、服を実際どう着るのが「正しい」かなんて、指南できるような立場ではないと思っています。

エッセイスト&服飾史研究家としての私は、ファッションの表層的な表現よりも、それを支える人間の行動や心理のほうが興味深くて、観察したりモノを書いたりしてきましたおもしろネタを発見すると、現代の行動にこじつけて何とでも書きます。史実に敬意を評しますが、それを書く目的は、史実の正確な描写というよりもむしろ、「現代の読者に喜んでもらうこと」。それこそ、ダイアナ・ヴリーランド流の「ファクション」です。ファクト+フィクション。淡々とした史実の正確さの再現でスルーされるくらいなら、むしろ、現代人にウケそうな多少の誇張を加えてでも読ませちゃえ、と。

シャツがアンダーウエアであったことはまぎれもなく事実です。それをたしかに拙著で伝えました。でも、そのお話と、現代の男性がシャツをどう着るべきかを指南することは、まったく別問題ではないか、と私は考えています。史実をどう解釈して、どう着るかは、その人自身のモンダイ。かつて下着であったものであろうが、今は素材も違うし位置づけも違う。歴史に敬意を払うもよし、今の快適さを重視するもよし。どちらにせよその男の内面がうかがわれる。私が観察して書いておきたいのは、男の、そんな内面の表れのほう。周囲に迷惑さえかけなければ、シャツの下にアンダーウエアを着ようが着まいが、どっちだっていいじゃないかと思っています。

そういう立場で観察して書き続けていたら、書いてきた分量が分量だけに、いつのまにか「メンズファッションのオーソリティ」みたいに誤解されるようになって今に至ります……。でも私はファッションの権威でもなんでもありません。もちろん、書くことに伴う責任はつねに引き受けているつもりではありますが。どちらかといえば、常に権威に茶々を入れる側の人でありたい。それに、19歳で「書く人」としてデビューして以来、ロマンチストのエッセイストであることには変わりないので、もし、「圏外」からの召喚がきたら、そちらへの冒険に行ってしまうかもしれない。Only God Knows.

それにしても、こうして男のファッション行動を観察してきて面白いなと思うのは、男は、服ひとつ着るのに、「権威の裏付け」みたいなのをほしがるということ。「根拠」や「正当性」を支える理屈を欲しがるということ。それをふりかざすためには、使える「史実」であれ「権威の一言」であれ、なんでも使うのね。たとえそれがどこかで矛盾を起こしたとしても。

さらに興味深いのは、その「権威の裏付け」なり「正しさの根拠」なりを、自分自身に納得させるために、他人にまで広め、同志でそれを共有しようとして「群れる」こと。自信のなさの表れかな。群れてかっこいい男なんていないわよ~(^_-)-☆

今年もこの季節がめぐってまいりました。賛同しました、メリー・グリーン・クリスマス。メッセージがアップされました。

http://openers.jp/culture/merrygreenchristmas/message_merry_green_christmas_2012.html

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11月28日(水)におこなわれた、アルマーニ銀座ビル5周年パーティー。アルマーニの厳選作品を展示する「エキセントリック」展も同時開催。

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前日に電話をいただき、急遽、フジテレビの「ノンストップ」という番組で「エキセントリック」展解説をすることに。当日、なにをすればいいかもわからず現場へ行ってみると、思ってもみなかったハプニングが続々と展開しました…。

まず、あみちゃん(すみません、エグザイルの妹版のバンドメンバーのひとりだそうですが、私はテレビをほとんど見ないのでバンド名がわかりません…m(__)m)というかわいい女の子とパーティーで「出会い」、彼女を案内しながらアルマーニ展のみどころと、パーティーの楽しみ方を伝授することに。いきなりぶっつけ本番の素人演技をいたしました次第(~_~;) 左があみちゃん。寒空の中、肌を露出するファッションでも「がんばります!」と笑顔をたやさなかったかわいらしい方でした。

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フォトコールも解説し(真矢みきさんと上戸彩さんのフォトセッションを間近で見学!)、アルマーニの業績を解説し、パーティーの楽しみ方を伝授し、とひととおり終わって、私のパーティータイムになる予定でしたが、ここでまた予想外の展開に。合流したイラストレーターのソリマチアキラ王子の美男っぷりにテレビクルーも急遽、出演を依頼、王子をあみちゃんに「お友達」として紹介して私は会場へ消える、という設定のど素人演技を重ねました。下の写真、左がファッション業界で「王子」と呼ばれているソリマチさん。バタクのスリーピーススーツを完璧に着こなし、立ち居振る舞いも、ご自身のイラストのように流麗でエレガントなジェントルマンです。

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文字通り嵐のようなパーティータイムでした。来週水曜日の「ノンストップ」で放映予定だそうです。

名古屋ミッドランドスクエア内のヴァルカナイズロンドンにて、’How To Be Like James Bond’ をテーマに、BLBG社長にして『本物の男 25の金言』という2冊目のジェームズ・ボンド本を出版したばかりの田窪寿保さんとトークショーでした。

吹き抜けが爽快なミッドランドスクエア↓ ラグジュアリーブランドやいまどきの高級セレクトショップが結集している感がありますね。

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ボンド御用達シャンパーニュ、ボランジェを飲みながら、アットホームな雰囲気でのトークショーのあと、店内にとどまり、お客さま方とのおしゃべり。お客様はお医者様率が高く、塾の経営者や教職についている方もいらっしゃいましたが、とにかくおしゃれのレベルが高くて驚き。カップル(夫婦)も何組かご来場でしたが、これは東京のファッションイベントのトークショーではあまり見かけない光景だということに気づきました^_^; 素敵で、うらやましいことです。

↓ボランジェと、今回のイベントのために特別に作ったという「007」型クッキー。

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今回の映画では、グローブ・トロッターのスーツケースも登場するということで、店内には007モデルを中心に黒いグローブトロッターがずらりと。ヘンリー・プールのディナージャケット(タキシード)も飾られ、BGMはアデルの「スカイフォール」。さらに、下の写真の田窪さんと私のうしろにあるマネキンが着ているのは、映画の中でボンド&ボンドガールが実際に着用した衣装です。ジェームズ・ボンド色に濃く染まったひとときでございました…。

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文字通り、とんぼ返りのお仕事でしたが、名古屋のファッション好きな方々のリアルな関心に接することができた、貴重で楽しい時間でした。ご来場のみなさま、ヴァルカナイズのスタッフのみなさま、ありがとうございました。

↓11月10日付記事に会場の模様が。

http://blog.midland-square.com/

大学の「ファッション文化史」の講義に、ゲスト講師として、パーソナル・スタイリストの草分け、「ファッション・レスキュー」代表の政近準子さんをお招きして、プロフェッショナルなパーソナルスタイリングについて、そして服育について、アツく、楽しく、堂々と、真剣に、陽気に、語っていただきました。準子ギャグにいちばん笑い転げていたのは私かもしれません。すんません。

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準子さんの顧客のひとり、化粧品のヨンカの社長、武藤興子さんも超多忙のなか駆けつけてくださり、スタイリングの成果をなまなましく語っていただくという贅沢な授業となりました。(このネットワークは、なにげに<飲み>がきっかけ^_^;)

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これがどれだけ贅沢なことか、学生さんたちがわかってくれるのは何年か先だろうな…とか思いながら、まあ、私自身が心の底から楽しめた、至福の時間でした。ありがとう!

「サライ」連載記事のため、ディレクターズ・スーツの取材。横浜馬車道の信濃屋さんにご協力を仰ぎました。

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白井俊夫さん、八木美樹さんにお世話になりました。おかげでとても楽しい取材になりました。ありがとうございました。詳細は本誌にて。左が「和製クラーク・ゲーブル」と呼ばれる白井さん、右が広報担当の八木さんです。

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取材後、スタイリストの堀さんと、馬車道十番館へ。クラシックで昭和モダンな贅沢な雰囲気を堪能しました…。横浜馬車道近辺は、なにげにゆったりとした、ほっとした気持ちにさせてもらえる店が点在していますね。

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1日(金)のお仕事。OPENERS×福助130年のお祝いコメントを述べました。パレスホテルのテラスにて。詳しくは後日。

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夕暮れのパレスホテルのテラスから見る光景というのは、なかなか感動的で、ゆったりとした時間が流れている異次元ですね。去りがたくて、終わってもしばらくぐずぐずしてしまいました…。

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福助さん、130周年おめでとうございます。

☆その後、メンズファッション界で絶大な支持を誇っているbatak日比谷店を訪れ、社長の中寺広吉さんじきじきにご案内いただきました。

インペリアルプラザを見下ろすフィッティングルームは、まさしく「男の舞台」^_^;といった趣きのシックながら贅沢な空間。働く職人さんたちの様子もいいぐあいに店内からうかがい知ることができて、センスの高さを感じました。職人さんのワークスペースには、額入りのソリマチアキラさんのイラストがいくつもかざってあります。

胸元の美しいドレープにほれぼれするbatakのスーツ。

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中寺さんによれば、たとえモノとしては耐久性が高いとしても、スーツにおいて「一生モノ」はありえない、と。30代、40代、50代、それぞれの年代で体型が変わらなかったとしても、成長したナカミにあいふさわしいスーツがある。それを提案していきたい、と。納得。

昨日は雨の中、あちこちでイベントやら選挙やらがおこなわれた日でしたが、多くの方にご来場いただきました。ほんとうにありがとうございました。

第二部の富山女子たちとのトークショーも楽しかったです。終了後はサイン会までしていただき、お花やワインまで頂戴しました(T_T) 

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写真右は、トークショーでご一緒に登壇した、農業で起業した元気な富山女子、橋本めぐみさん。

その後も休む間もなく北日本放送の取材やらなんやらが続き、盛りだくさんの一日でしたが、一夜明けても感激の余韻が続いています。

今朝の北日本新聞がさっそく記事にしてくださいました。

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主催の富山市スタッフの皆様にも心より感謝申し上げます。

またお会いしましょう!

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マドンナ監督「ウォリスとエドワード 英国王冠を賭けた恋」試写会&トークショーでした。by 25ans ×アルシネテラン、六本木シネマートにて。おみやげはペンハリガン「ピオニーヴ」のサンプルとミニカード。

観客は30歳前後の美しい女性ばかりでした。うなずきながら熱心にメモをとる姿が印象に残ってます。映画に描かれなかったウォリスとエドワードにまつわる史実をいくつかご紹介したあと、映画から学べる「現実」に役立つヒントの話などを。「表層や知性もさることながら、チャンスの女神が来たら前髪を確実につかむための直観力を磨くことが大事」という話をしたところ、「直観力を磨くための具体的方法を教えてほしい」という質問を受け、日ごろの私の㊙訓練法などもご紹介してまいりました。っていうか、ほんとはそれ私が教えてほしいのですが^_^;

向上意識の高い観客に、こちらも刺激を受けた夜。

ご来場のみなさま、スタッフのみなさま、ありがとうございました!

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☆チャールズ皇太子がGQ誌に寄せた「私のファッション論」、ついにウェブでも解禁になりました。私が翻訳させていただきました。お気づきの点がありましたら、ご意見お寄せ下さいませ。

http://gqjapan.jp/2012/10/19/story/

読売新聞夕刊、連載「スタイル アイコン」第2回目、本日掲載です。ウィンザー公=エドワード8世が今もなお愛される理由を考えてみました。機会がありましたらご笑覧下さい。

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さてさて、昨日拙ブログのアクセス数が異様に上昇してなにごとが起こったのかと思ったら、紀香さん効果でした。フェイスブック上で、彼女もTae Ashidaデビューコレクション後のディナーのことを紹介し、そのなかに拙ブログのことも書いてくれました。ありがとう!……にしても紀香さんのアーティクルにはたちまち何千もの「いいね!」が。大女優の影響力というものをあらためて実感したことでした(^_^;)

おふたりの了解を得て、紀香さんがアップしたスリーショットを、こちらでも。紀香さんが着ているドレスは多恵さんデザインのもの。裾にかけての模様がヒョウ×グラフィックで目が釘付けになります(全身写真は、フェイスブックの紀香さんのページで)。野生×都会的洗練がここにも、ですね。

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阪急メンズトーキョーにて、GQ鈴木正文編集長とのトークショーでした。ご来場のみなさま、ありがとうございました。笑顔でうなずきながら聞いてくだる優しい聴衆に恵まれて、とても楽しかったです。

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サントリーの青いバラ、アプローズがご来場の先着100名様に配られましたが、壇上にはそのお見本としてこれが飾られていました。私が携帯の待ち受け画面にするほどこのバラにぞっこんということを知ったサントリーの方が、終了後、なんとこれをまるごとプレゼントしてくださいました! 待ち受けの写真は、たった2本のアプローズ。花言葉「夢かなう」なのですが、二つだけ、夢がかなえばうれしいなと思って毎日眺めていたのです。しかししかし、なんとこのアプローズは80本。その場で文字通り飛び上がって大騒ぎして喜んでしまいましたが、そのくらい嬉しかったです。夢、かないすぎたらどうしよう……って(^_^;)杞憂。高貴なバラの香りに満たされて幸せです♡ ここしばらく、2~3時間睡眠で働く日が続いていたけど、予期せぬご褒美に恵まれて、疲れなんて吹っ飛んでしまいました。

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GQスタッフのみなさま、阪急、アウディ、ライカ、モエヘネシーディアジオ、そしてサントリーのスタッフのみなさま、ありがとうございました。

ここ一か月ほど懸案だった、富裕層とエリート教育についての原稿を、とりあえずひと段落させる。

こういうテーマは、「お題」を与えていただかないとなかなか勉強できるものではない。何冊かの本を読んでわかったつもりでも、意外と整理できてない。自分のことばでアウトプットしてみて、はじめて自分が何を理解したかを知る。あるいは、自分が「わかってない」ことは何なのかを知る。

Education
日々の経験も、たぶん、自分のことばで記録してはじめてそれがどのような意味をもっていたのかわかるということがある。経験は「記録」されないとどんどん薄くなり、やがて流れ去っていく。数年すると、「なかったこと」になってしまうことさえある。

歴史が歴史たりうるのは、それが「記録」されているからにほかならない。書いたり描いたり撮ったり、なんでもいいけど、手がかりを残しておくのとおかないのとでは、生の実感もまるで違ってくる。

脱線した。

今回の仕事のために読み返した池田潔『自由と規律』、あらためて名著だと思った。13歳から18歳までは、どこにいようと、人生が地獄としか思えないことのほうが多い。その時期に徹底的に厳しい生活で心身を鍛え上げておけば、その後の人生は何が来ようとやっていける。地獄の経験を生きぬいたタフなエリート。日本に必要なのもこういう人材じゃないのか。甘やかした環境でモノを覚えさせることではなくて。