先週3日、LEON編集長の前田陽一郎さんをゲスト講師としてお迎えし、「ファッションとは何か」「編集とは何か」「情報とは何か」について熱く語っていただきました。
生々しいファッションの現場の話や舞台裏のエピソードなどに受講者の眼はランラン、終了後も前田さんは学生からの質問攻めにあい、なかなかホールを離れられないほど。
・興味深い話がほんとうに多かったのですが、とくに「クラス社会」であるヨーロッパの船上パーティーに招かれたときのドレスコードの話が際立ってました。「カジュアル」でお越しください、と書いてあっても、前田さんはダブルのジャケット(船乗りといえばダブルですね)、青と白のストライプ、デッキシューズ素足ばき、シアサッカー素材、きちんとした時計、で「武装」。すると向こうから「わかるやつだ」ということで話しかけられ、ご縁ができたとのこと。Tシャツと短パンで参戦した人たちはついぞ話しかけられることなく、最後までその人たちだけで固まっていたそうです。ファッションはコミュニケーションであるという、活きた具体例ですね。・「デザイン」はドルガバ、アルマーニあたりで終わった。90年代後半のブランド戦争時代に入り、トム・フォード、エディ・スリマンが活躍する頃は、「マーケティングと編集」でファッションが成り立っている。というメンズファッションの近年の流れの解説も。興味深い話題は山積だったのですが、以下、そのなかから数点だけ、ポイントをメモ。
・日本人は細部に凝る。遠景や全体像が見えず、どんどん細部をくっつけていく、という意味でカオスを創り出していく。一方、ヨーロッパ人はざっくりしていて、遠くから見て美しいものを作ることに長けている。
・インターネットはただの箱。キーワードを知らないと何も始まらない。キーワードを知るためにはじかに世界と接することが必要。そして日経新聞の株価から時代を読んでいくことの必要性も。
・正しい情報と正確な情報は違う。正しい情報とは、読者が漠然と求めているものを肯定し、後押しするような情報。マイナス面はあえて伝えないことがある。一方、正確な情報はマイナスもすべて含めた正確なデータ。読者がほしがっているのは、正しい情報。
・日本人の美は日本人にはわからない。アニメも伝統工芸も、外国人が見つけてくれている。
・お洒落じゃなければ意味がない。ただ倫理的によいだけでは共感は得られない。
その後のインタビューでは、編集において目指していることは「共感・共有・共犯」の必要性である、と。納得。
意識をどのようにもって「ファッション」「情報」とつきあい、それらをいかに利用していくべきなのか、ヒントに満ちた濃い時間となりました。ありがとうございました!
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