エリザベスII世からチャールズIII世へと治世が変わり、時代の空気も一気に変わる予感がします。
チャールズIII世は筋金入りのエコビジョナリーです。世間がまだバブルに沸いていたころから有機農業を始め、地球環境を説いていました。現在もこの分野で積極的にリーダーシップをとっています。
チャールズ新国王についても、おびただしい量の記事を書いてきました。いくつかは本サイト「ウェブ記事」でもリンクをはっています。書籍にもまとまっていますので、もしよろしかったらご参考に。(表紙がいまいちなのですが、カバーをとると品の良いネイビーのチェック柄の本が現われます。私はカバーをとって本棚に飾っています。)
昨日はエリザベスII世のファッションについてメディアからの取材をいくつか受けました。NewsPicksではコメントランキング1位……。こんなところで1位というのを狙ったわけでも嬉しいわけでもないのですが、ただ、日本人が英国女王の訃報にこれだけ反応するということにあらためて深い感慨を抱きました。
ファッションもさることながら、私はエリザベスII世を究極の「ラグジュアリーブランド」としてとらえています。そのありかたは、ウォルポール(英国のラグジュアリー統括団体)も「ブリティッシュ・ブランド」の模範としています。ウォルポールによる2022年度のBook of LuxuryにはBe More Queen という記事もあり、最後のまとめとして、エリザベスII世の顔の隣にこんな言葉が書かれています。拙い訳ですが、つけておきます。
Know what you stand for & against.
Know what is authentic, unarguable & unreplaceable about you.
Never be tempted to forget what you stand for, or try to be something you’re not.
Be authentic. Be credible. Be personal. Be adaptable.
あなたが体現することと、相いれないことは何か、自覚せよ。
あなた自身について確かなこと、議論の余地なく取り換えのきかないことは何か、自覚せよ。
あなたが体現することを忘れてはいけないし、自分ではないものになろうとしてもいけない。
本物であれ。信頼に足る人であれ。個性的であれ。柔軟であれ。
メディアの方は、服の色がどうしたとかバッグのブランドがどこかとかスタイリストは誰かとかだけで話を終わらせないで、その先に見える本質として、エリザベスII世のラグジュアリーなありかたの方に焦点を当てた報道をしていただけると嬉しく思います。
*トップ写真は2~3年くらい前に書いた「English Journal」のイギリス文化論特集の1ページ。