「STYLE」刊行記念サロン、伊勢丹メンズレジデンス(チャーリーヴァイスのサロン)にて。日曜の夜、しかも8000円+税というハードルの高さにもかかわらず、画伯の絵に出てくるようなおしゃれなお客様で満員御礼。まずは貴重なお時間にご参加くださいましたみなさまに、心よりお礼申し上げます。
いつものチャーリーヴァイスのサロンとちがったのは、まず「控室」があったこと。(これまではいきなりサロン集合よ。笑) 控室から会場へ向かう間、ものものしい伊勢丹の重役さん?たちがずら~りと10人くらい並び、お見送りしてくださいました。いつもと違いすぎるこの重たさ、もちろん世耕大臣がいらっしゃるからですね。
トークショーの中で知ったのですが、世耕大臣はメンズ館4階でお仕立てされている顧客でもあり、燕尾服もこちらでのお仕立て。(燕尾服お仕立てまでの経緯は爆笑ものなのですが、それはまたいずれ)
「出張Tender」というムードで銀座Tenderの上田和男バーテンダーと助手のシンさんがカウンターに立ってくださり、伝説のハードシェイクを披露しつつギムレットを振る舞ってくださいました。このカクテルはやはり場所を変えても絶品で、私も司会しながら楽しませていただきました。ハードシェイクによって空気を入れることがまろやかにするポイントだそうです。あまりのおいしさ、飲みやすさに「おかわり」しているお客様も!
(左が上田和男さん。右が助手のシンさん。お二人で30杯以上のカクテルを手際よく作ってくださいました)
トークショーは大人の男のお酒の飲み方や選び方、接待、おつきあいのしかた、そして政治家のスタイル、交渉のスタイルにいたるまで、リアルなエピソードを交えながらの90分。まさかの(というか想定されたことでもありますが、画伯のマンガタッチ的ネタが披露され)爆笑に次ぐ爆笑続きで盛り上がり、もちろんそのなかにためになる話も満載で、時間が足りないくらい。
世耕大臣はこのようなインティメートな空間で、しかも「男のスタイル」という話題でお話をなさるのは初めての経験とのことでしたが、もっとも心を許す飲み友達の画伯とのトークショーとあって、とても楽しんでいらっしゃいました。(前例のない、このようなサロンでのトークショーはあくまでも画伯とのプライベートな信頼関係があって実現したことであって、政治やビジネスの要素はかけらもからんでいません。上田さんも、世耕さんとの長年の信頼関係があってこそ休日返上でいらしてくださいました。)
終了後、お客様からも喜びのメッセージをたくさん頂戴しました。なかには「古典を読んだあとのように、自分の中の何かが変わったように感じた」とまでおっしゃってくださる方も。ほんとうにありがたいことです。準備にはかなりの時間をかけていましたが、やはり準備しただけの結果というのが出るものですね。お伝えしたかった以上の「STYLE」の世界観(崇高なマジタッチから、マンガタッチにいたるまでのすべて)を共有することができ、私も本当に楽しかったです。
書けない話もちょっとはあるのですが、なるほどと思ったことなど。
・日本のバー文化のレベルは世界一。いまや世界中から日本に視察や修行にくる。
・世耕さんは夏でもベストを着用している。世界でも少ないので、今やトレードマークになっている。
・世界の要人は、社交の場ではポケットチーフをするが、交渉の場ではささない。
・相性が悪そうだ、と見えた海外の交渉相手が、意外とよい靴、しかもマニアしかそのブランド名を知らないような靴をはいており、それを褒めたら一気に相手との距離が縮まり、交渉が成功したことがある。靴は重要。
・燕尾服の上着の裾は、少し白いベストを出してピシッと並行にそろえるのがキモ。皇室の方々はこのような着こなしが完璧。
・「夕方にモーニングを着て組閣写真」は宮中→宮内庁が決めていることだから、ということで従っているが海外の要人の接待の場ではきちんと燕尾服を着る。
・伊勢志摩サミット(2016年5月)のとき、海外の首脳がネイビーのなか、安倍首相がブルーのスーツを着ていたことをやり玉にあげていた本もあるが(ホスト側はダークカラーを着るべき、と)、ブルーのスーツをあえて着たことには理由がある。あの色のスーツは安倍首相の「勝負スーツ」。その後、オバマ大統領が広島を訪問するという一大イベントがあったので、あの勝負スーツを着ていた。それに、ホスト側が濃い色を着なくてはならないという決まりなど世界のどこにもないし、他の国の首脳も意外と好きな色を着ている。
(↑ 一瞬を切り取った写真一枚の表層だけで服装批判なんてしてはいけないものですね。前後の文脈まで見た、できるだけ広い視野をもって考慮しないとね。)
ほかにも問題の渦中にある政治家たちのスタイルの具体例も。ヴィヴィッドな例は数多く出てくるけれどスキャンダル内容には立ち入らない、というぎりぎりのところで楽しいお酒にふさわしいお話のレベルがキープされました。(政治的に偏る話はもちろん一切行われませんでした。)大人は公の場ではこういう語り方をするのだ、という模範のようでもありました。
会場には原画が飾られ、「STYLE」ワールド全開。
画伯の発案で、4人のサインが入ったミニうちわが全員にサプライズのおみやげとしてプレゼントされました。ハードシェイクとカクテルのイラストは、一枚一枚、画伯の手描きですよ!
ご参加くださいましたみなさま、世耕弘成大臣、上田和男さんとシンさん、ナビゲートを任せてくださった綿谷画伯、そして伊勢丹新宿店スタッフのみなさま、小学館さまに重ねて感謝します。ご協賛いただいたアクリスジャパンさんにも深く感謝します。待望の名著の刊行記念サロンにふさわしい、プレシャスな時間となりました。