Akris 2018 FW Collection.
20世紀初めのオーストリア、ウィーンが舞台。機能主義、合理主義、自己表現の自由が生まれ、サロニエールが台頭した時代です。グスタフ・クリムト、エゴン・シーレといった芸術家もこの時代に活躍していますね。
そんな時代の芸術や建築に連想が及ぶ、アート色の強い、美しく知的なコレクションでした。当時を席巻した鮮やかなブルー、グリーンといった力強い色彩、建築様式の要素を取り入れた凝った細部が印象的でした。
左のデニムの生地はメイドインジャパン。右のドレスがの素材はワッフル状の起伏が石畳のようなニュアンスのある模様をあぶりだしており、とても軽く、スーツケースに入れてもしわにならない。ジェットセットを意識した一着ですね。
写真ではわかりづらいのがもどかしいですが、左のセットアップは、カシミヤがベースなのですが、黒い模様はレザーの帯なのです。これを手でカシミヤに編みこむように通して模様のように見せています。オットー・ワーグナーの建築様式を表現。
右はあざやかなピーコックグリーンのシフォンドレスとムートンのコート。この色はマラカイト(孔雀石)の色で、19世紀から20世紀の建築に多く使われた鉱石だそうです。
右のコートは一目ぼれコートでしたが、この柄は、ウィーンで活躍したモダニストの建築家が好んで使った大理石の模様を表現したもの。プリントではなく、わざわざ編んであるそうで、ストレッチも効いてます。
パズルのような楽しい一着は、大きさの異なる大理石からヒントを得た柄で、こちらから見て左側(私の右側)、開いてみると、ていねいに「ひび割れ」の柄まで入っているんですよ!
コレクションにも多用されるブルーが美しい、エルダーフラワーのドリンク。
デザイン、素材の扱い方、テクニック、すべてにおいてたっぷり時間をかけて最高級が追求されながらも、これ見よがしなところがかけらもないさりげなさが素敵でした。こういう洗練こそがアクリスの底力であり魅力なのだとも納得。スタッフのみなさま、ありがとうございました。
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