午前中は銀座で宝飾業界の方々にラグジュアリーについての講演。午後は新宿・京王プラザでホテル業界のトップセミナーで、ラグジュアリーをテーマにした講演でした(もちろん、ご参加者に応じて内容を変えています)。

(京王プラザ43階の講師控室からの風景)

午前、午後、トータルで200分ほど、久々にヒールで立ったままのレクチャーでしたが、楽しかったな。お招きいただきありがとうございました。

以下、雑記。

 

「ジェントルマンの定義をすべて満たす男はジェントルマンではない」という”定義”がありますが、実際に会うとこの人はジェントルマンか否かかは感覚で「わかる」。いわく言い難い「ジェントルマンらしさ」というのが確実にあります。表情や言葉の端々、立ち居振る舞いからそれが漂うのです。逆にそれっぽくしていてもニセモノはすぐ「わかる」。

ラグジュアリーにも似たところがあります。ラグジュアリーの言葉による定義には曖昧さが常に残るのだが、実際にサービスを受けるとラグジュアリーであるかないのかが体感で「わかる」。あたたかみのある透明で崇高な清らかさに包まれる感覚というか、現世の価値基準を無にしてしまうような新鮮な感覚というか。(だからおそらくお金の価値基準もなくなるのでしょう)。逆にニセモノもニセモノのオーラをちゃんと出しています。贅沢っぽくしつらえればそれでOKという世界ではない。

ジェントルマンにしてもラグジュアリーにしても言葉による定義に曖昧な部分を残しているからこそ時代に応じて変わり続けることができ、人が追求してやまないという一面があります。言葉を使って考えていくためにはある程度の定義枠も必要ですが、やたらと「定義、定義」と固執しすぎないことも大切なときがあります。

Design Week Kyoto 2024 「ものづくり対話」、終了しました。新幹線が一部終日運休になったため、私はオンラインに切り替わりました。

パネリストの方々はじめ、ご参加のみなさまの問題意識をたくさんうかがえたことは大きな収穫になりました。ヨーロッパで長く仕事をしてきた寺西俊輔さんの「デザイナーと職人の階級の違い」の話は強烈でした。

ヨーロッパではデザイナーの仕事は貴族の仕事、職人の仕事は手を汚すから労働者の仕事、というような歴然とした階級がある。デザイナーはピラミッドの頂点にいて、その世界観は絶対。職人はその世界観に奉仕するために存在する。この世界観を崩さないために、職人は名前を出さないのだ…という話。その階級制がいまも強い、とのこと。

なるほど。職人はデザイナーの世界観に奉仕する労働者…。だからヨーロッパでは職人が「下」に見られがちなのか。一方、日本にはその壁がない。デザイナーはデザインしながら物も作る。職人もデザインする。だからこそ、寺西さんは、デザイナーが頂点にこない、「職人」の技術を活かすブランドを日本で作ったのだ。

丹後の民谷(螺鈿)さんを取材したときに、数多くのブランドとのコラボ作品を見せていただいた。ディオールオムのように名前を公表してくれるブランドもあれば、「守秘契約」を結ばされ、コラボの事実があったことを言ってはいけない契約を結ばされるブランドもある。半々ぐらいで、まだ過渡期なのだなと実感する。ヨーロッパにおける職人とデザイナーのこの上下構造、大工さんと建築家の関係と似た構造なのだろうか?

現場での寺西さん(左)と主催者の北林さん。プログラムの内容がイラスト化されている!

 

東洋流の文学芸術の理想は、新しい美を独創するのではなく、古えの詩聖や歌聖が到りえた境地へ、自分も到達すること……という谷崎潤一郎の指摘。日本の産地の職人さんが「無名でいたい」という背景の一部にはこうした美学があるかもしれない。

こうした背景も考慮しつつ、日本の職人さんの地位向上のため、現代にあった無理のない形でフィーチャーしていきたいと思います。

さて、本日は台風10号の影響で新幹線が名古屋~三島間で終日、運休になるため、Kyoto Design Week の本日の登壇はオンラインになりました。私は「そもそもラグジュアリーとは何か?日本の持続的なものづくりとの関連は?」について話す予定です。MIZENデザイナー寺西俊輔さん、伝統産業リデザインのMUJUN小林新也さんとご一緒です。

GQ 10月号 アルチザン特集。 クラフツマンシップとサステナビリティをテーマに斎藤幸平さんと対談しました。本誌をご覧いただけたら幸いです。

栗野宏文さんとsuzusan村瀬弘行さんのトークイベントがニッコースタイル名古屋にておこなわれました。
テーマはエモーション。

面倒なことを時間かけてやることの価値とか、
時を忘れて子供のようにひたすら遊ぶことの価値とか、
訓練されないことの価値とか、トークのあとは音楽好きなお二人によるDJタイム。

日本の伝統工芸を次世代に継承したい!という行政・メディア・経営者・ファンの方々のピュアな熱気が感じられた夜でした(実際、名古屋は暑かった…)。

 

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社主催のハイポテンシャル セールス エキスパートの研修で、“What is Luxury? Past, Present and Future” をテーマに講演させていただました。

翌日はレジェンドと呼ばれるトップ・オブ・トップのディスカッションを拝聴しました。

トップ層に行けば行くほど、方法論ではなく人間力を磨く話になってくる。売る人も一流であるからこそ顧客にとってのラグジュアリー体験を作れるのですね。新しい視点を提供していただいた思いがします。

I had the privilege of delivering a lecture on “What is Luxury? Past, Present and Future” at the High Potential Sales Expert training organized by LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton Japan.

The following day, I attended a discussion featuring top-tier professionals often referred to as “legends” in the industry.

It’s fascinating how, at the highest levels, the focus shifts from methodologies to personal growth and character development. It’s clear that only first-class professionals can create truly luxurious experiences for their clients. This event provided me with fresh perspectives on the luxury industry.

I would like to extend my heartfelt thanks to Ms. Aya Yamanouchi and the entire team for their tremendous support. Thank you very much!

有川一三さんが「これを読んで人生が変わった」と推薦していた、鈴木鎮一さん著『愛に生きる』を読む。バイオリンの「スズキメソード」の鈴木先生の本。人間が「才能をのばす」ために必要なシンプルな真理が豊富な具体例と共に紹介されていて、心が浄化されていくような読後感がある。盲目のこどもがバイオリンが弾けるようになるまでのプロセスには心がゆさぶられた。

鈴木先生の理想のイメージのなかには、アインシュタインとその知友のグループと共に過ごした体験がある。

人間の理解に基づいた深い思いやりに包まれ、「あの人びとの高い感覚、謙虚な姿、人間への深い愛情を持った人間に育てたい」という夢の実現に、鈴木先生はすべてをかけることになる。

こういう理想を共有しながら才能を育てあう、という社会が実現できたらすばらしいですね。次世代教育においても、企業研修においても、はたまた自身を育てることにおいても、このシンプルな真理を徹底・実践することで才能は自らのびていく。身近な愛に包まれることが、世界平和への最短の道でもある。

この考えに影響を受け世界一のジュエリーコレクターとなった有川さんの例を見ても、グローバル型ではない日本のラグジュアリーを「育てる」(という表現はおこがましいですが)上において鈴木先生の思想は大きなよりどころになる。

『愛に生きる』(講談社現代新書)は1966年発行で現在99刷。

中里唯馬さんが主催するFashion Frontier Program 、セミファイナリストの方々を対象に「新しい時代のラグジュアリー」というテーマでオンライン講演をいたしました。昨年に続き、二度目ですが、内容はこの一年の取材体験をまじえ、アップデートしました。

日本各地から、世界から、ファッションで社会を変えるという勇気と志をもったデザイナーのみなさまが熱心に聴いてくださいましたこと、心より感謝します。質問タイムでも逆に質問者の背景や志を知ることができて、最近の潮流もうっすらとですがわかり、充実した時間でした。こんな若い方々と接すると未来に希望を感じます。

このような教育活動を続けている唯馬さんも尊敬します。ブランドの社会貢献としてのCSRとしても、Yuima Nakazatoの価値観の延長にある活動なので、この上ない効果を発揮しています。パリに向けたコレクションを考えるだけでもたいへんなのに、これだけの労力をかけるなんて立派すぎる。親会社のSpiberも取材していますが、人類を救うという高い志を持って創業したCEOはじめ、すばらしい企業です。Yuima NakazatoもSpiberも目指す方向が北極星のように不動で光輝いているゆえに、応援していて誇らしい気持ちになるし、安心感があります。

 

 

☆西洋型ラグジュアリーの語源から導かれるイメージには

「色欲」(lust) 「繁茂」(luxus) 「光」(lux) がある、と『新ラグジュアリー』の中でも書いているのですが、

日本の取材を重ねて実感するのは、日本型ラグジュアリー(この言葉がふさわしいかどうかはともかく)にはむしろ

「観音菩薩の慈愛」

「空」(くう)

「闇の奥のほの暗い光」

がイメージとして似つかわしいこと。

まだまだ研究途上なので、この領域に強い方にご教授いただきたいです。

 

☆アルビオンアートの歴史的なジュエリーの威力はすさまじく、思考の根底から叩き直されている。

本物のジュエリーは、祈りの結晶だった。コストなんて一切関係なし。純粋な志が結晶して時を超えるジュエリーとして後代まで光り輝く。照らすのは魂、というスピリチュアルな言葉まででてきてしまうほど、光が心のすみずみにまで届く。結果、邪念に気づかされ、浄化される。

上記の「日本のラグジュアリー」の要素に気づかされたのも、有川さんのお話から。「今日から観音菩薩になれ」という一言。感謝することと、他人のために生きるということが幸福の鍵という話から。こういう人は磁場を作るので逆に多くのことを引き寄せるのですよね。源にあるイメージが、観音菩薩だったことに気づかされたのです。

アルビオンアート有川一三さんの講演を聞く機会があった。

世界一のジュエリーコレクターである。何点か持ってきていただいたジュエリーを間近に見たときのまばゆさというか「なんだこれは?!」という衝撃もすさまじかったのですが、それに負けず鮮烈だったのが、有川さんのお話。

心の闇の恐ろしさに向き合うことの大切さを説かれた。そこを突き詰めていくと見えてくる光。それが魂の充足。「ラグジュアリー」の構成要素の光というのは、表層のきらきらなんかではなく、闇を経た後に現れる、魂の充足としての光なんだなということを理解する。

全ての物質は安定の方向に向かい、波動が安定し固く透明になり結晶化が進む。そうして宝石に向かう。想念もそういう方向に向かう、という喩えにも考え方の根底を覆されたような思いがしている。

ほかにも魂に響くというか心を震わせるというか、なんだかとてつもなく崇高な経験をしたような思いを抱かせる言葉が満載だった。偉大なる達成の鍵は志にあり、その志は天の神々が天上にて感嘆絶賛するものでなくてはならぬという教えの尊さときたら。

 

「ハイブランド」がテーマのラジオ番組にお招きいただきおしゃべりしてきました。

笑いの絶えない楽しい時間になりましたが、あらためて実感したのは「普通の人はディオールの創業者のことを知らないし、どのコングロマリットの傘下なのかも知らない」。

ここに寄り添うことを徹底してはじめて「広がり」が生まれるのだな、と。

渋谷にあるスタジオの最寄り駅から3分ほど歩くだけで汗が噴き出す信じられない暑さでした…。(せっかくの記念写真が悲惨な状態に)

 

 

 

*写真は富山の呉羽丘陵フットパスの上からの眺め。歩いてから自分が高所恐怖症気味だったことを思い出す、という冷や汗体験でした。高さは約28mです。

 

 

DESIGN WEEK KYOTO 2024 が8月最後の週に開催されます。

8月31日の「モノづくり対話」第3部で、MUJUNの小林新也さん、MIZENの寺西俊輔さんとともに話をする機会をいただきました。コーディネーターは北林功さんです。テーマは、「モノづくりの持続性:循環の時代に価値を共有し、利益を創出する」。

https://designweek-kyoto.com/dwk2024/

京都にお出かけのタイミングが合いましたら是非お立ち寄りくださいね。

suzusanの2025年春夏展示会。テーマは「プレイ」。ディレクターの村瀬弘行氏が、子供のころの遊びの記憶をもとに有松絞を使って多様な「プレイ」柄をデザインしたコレクションです。

村瀬さんはこんな風に書きます。「ただひたすらに目の前のものに没頭して、何かを学ぼうとか誰かのためにとか、そういう考えから切り離して遊ぶ人間で在り続けたい。遊びは瞑想に通じるものもあるのか、そんな風にさえ思う。一生懸命に自分に素直に生きることは、一生懸命に毎日を遊ぶことのように思えてきた」。

こちらは涼し気なコットンワンピースを着こなすスタッフ、井上彩花さん(左)と杉戸友里さん。

井上さんとは、彼女が経産省のファッション未来研究会のご担当だった22年に知り合いました。研究会の成果を質量ともにすばらしいレポートにまとめられ、優秀な才能にほれぼれしていたものですが、なんと彼女の方も「ラグジュアリー」という概念に触発されてパリへ留学、ラグジュアリーマネージメントを学び始めたのです。行動力にびっくり。帰国して経産省に戻ったのですが、配属部署がファッション関係ではなかったこともあり、日本のラグジュアリーの研究を続けたい、と経産省をやめてsuzusanにジョインしたのです。大胆な決断力にさらにびっくり。

「フランスのラグジュアリーマネージメントは、中野さんが話していたこと(旧型)そのまんまでした…」と語る井上さんの言葉に、強力な味方が生まれた思いがしたりして(笑)。suzusanのモデルとしても完璧です。

右の杉戸さんもユナイテッド・アローズに20年ほどいらしたあと、suzusanにジョインされていらっしゃいます。優秀なスタッフぞろい。

suzusanディレクター、村瀬さんがどのように海外ビジネスを展開するようになったのかについては、こちらの記事にもまとめています。

ゼロニイ8月号掲載の記事がウェブ版に公開されました。こちらでご覧ください。

これまで下請け扱いされてきた地場産業の職人さんにもどしどし脚光を当てていきましょう。すばらしく美しいものを創る彼らが海外ブランドとも同格に扱われ、フェアで敬意のある扱いを社会から受けること。「日本発のラグジュアリー」を考えるには、まずはそこからです。

 

 

 

北日本新聞「ゼロニイ」8月号が発行されました。「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 21は丹後の豊島美喜也さんに取材した記事です。

麻布台ディオール内装のメタリック装飾(トップ写真)はこの方の作品。

ロンドンTOTO。

銀座ロレックスタワーのファサード。

ほか福岡リッツカールトンはじめホテルのアートなど。「丹後のレオナルド・ダ・ヴィンチ」こと美喜也さんは名のあるクリエーターとして扱われるべきなのです。ブランドとの守秘契約などもありません。っていうかなんだよ守秘契約って。

どこであれ産地の職人が海外ブランドとも対等の立場で共働できること。新しいラグジュアリーはそこからだ。

日本経済新聞連載「モードは語る」。本日夕刊では、丹後の「民谷螺鈿」に取材した螺鈿織を見ながら考えたことについて。伝統を未来につなぐには何が必要かを、話を聞き、考えてみました。電子版は有料会員のみですが、こちら

写真はグオ・ペイによる螺鈿織を使った2019年春夏クチュールコレクションです。©Guo Pei.

ブルネロ クチネリが表参道店地下アートスペースで能登・輪島で作られた漆器の展示販売会を開催。

土曜日に開催されたイベントでは、輪島千舟堂の社長、岡垣祐吾さん、塗師の余門晴彦さん、蒔絵師の代田和哉さんのトークと実演。
クチネリジャパンの社長、宮川ダビデさんが「輪島のためになにかできないか」と考えていたところ、ある日曜の散歩中に偶然、千舟堂の東京展示販売会を見つけ、そこからの発展でこの日に至っているとのこと。これぞ引き寄せですね。輪島にも2回、訪れていらっしゃいます。職人とアートを大切にするクチネリならではの支援で、輪島塗の技法ばかりか、現状や現地の人たちの思いも学ぶことができた意義深い日になりました。この道40年以上という職人さんたちのたたずまいも言葉も仕草も、深い味わいがあって、作品と同様、美しいなあ…。
表参道店アートスペースでは、日常に使える食器からハイアートにいたるまで、輪島塗の作品が、鑑賞できるだけでなく、購入もできます! 8月31日まで。ぜひ訪れてみてください。

今回の丹後取材で滞在したのは「かや山の家」。林間学校をリノベした、山の中にある素朴な、本当にシンプルな天空の宿です。ジビエや地元食材を使ったお料理もヘルシーでおいしい。何よりも朝起きて窓を開けたときの見晴らしは心のデトックス効果が高い。永遠に見ていられる佳景です。

 

今回、お世話になった方々とこの宿のレストランで夕食。

丹後織物工業組合の理事長(中央)はじめ今回お世話になったみなさま。

とりわけ北林功さんからは京都や丹後、亀岡まわりのさまざまな企業や地場産業にまつわるエピソードや歴史をふんだんにレクチャーしていただき、脳内アップデートを助けていただきました。時間の単位が1000年、100年なのが京都らしい。100年先を考える習慣、私も身につけたい…

ありがとうございました。

 

麻布台ヒルズのディオールの建築が隈研吾さんによるものと話題になってますが、そのキモとなる流れるような金属の織物素材(写真が紛らわしくて恐縮です。この建築のインテリアに使われています)を作ったのは丹後のレオナルド(ダ・ヴィンチ)こと豊島美喜也さんですよ。銀座ロレックスのファサードも、この方の作品が覆っています。

詳細記事後日。もっと職人にも正当な光を当てていきましょう! 海外ブランドが日本の伝統工芸の何かを使うとき、産地の名前は出るかもしれないけれど、職人の名前までは出ない。いや、出していこうよ。尊敬に値するクリエーターですよ。無名の職人が作ることが良いとされる民藝とはカテゴリーが違います。ご案内くださった北林功さん、豊島美喜也さんと。

丹後の螺鈿を手がける民谷共路さんを取材。きらきら光るものはやはりラグジュアリーの原点なのですよねえ。

そもそも丹後に来るきっかけになったのは、MIZENの展示会でした。螺鈿を使ったとんでもなく美しいアイテムたちを見てしまったことです。天然のきらきらの輝き。これがシルクと調和するとなんともいえない幻想的な作品になる。ぜひ一度、作るプロセスを見たいと思い、MIZENデザイナーの寺西さんにおつなぎいただいた次第です。

民谷さん取材中の光景。ご案内を引き受けてくださった北林功さん撮影。

ルイ・ヴィトン、ディオール、ハリー・ウィンストンはじめ高級ブランドが民谷さんの螺鈿や箔を使った生地で作品を発表しています。詳細記事は後日。しばしお待ちくださいませ。

北林さん、民谷さんと。ありがとうございました!

「ゼロニイ」7月号に掲載された、スパイバー社関山和秀さんのインタビューがウェブでも公開されました。こちらからご覧ください。

ファッションのための繊維は当初の目的ではなかったのですが、まっさきに反応してくれたのがファッション業界であったと。社内ではむしろ「ファッションのような軽いことをしたくない」という反対が起きていたそうなのです。それでも関山さんは、理解してくれる業界があるなら、そこから一緒にやっていけばいいではないか、と。大きな目標を掲げたらその程度の批判は「誤差」でしかなくなる、というものの見方にもスケールを感じたなあ。

人類が奪い合いをする必要のない無限の資源、それを作り出すことで世界平和を目指すという関山さんの志の高さに感銘を受けています。

北日本新聞ゼロニイ 7月号が発行されました。鶴岡市のスパイバー本社に伺い、CEOの関山和秀さんに取材した記事を書きました。

 

関山さんは最高にかっこいい方です。人類にとっての普遍的価値を紡ぎ出す、と決めているのですから。

 

なお、スパイバー社は、日本から唯一オートクチュールウィークに参加するYuima Nakazatoの親会社でもあります。

MIKIMOTOがパリ・オートクチュールコレクション期間にハイジュエリーのコレクション”The Bow”を発表しました。

中央はトルマリン。前後どちらでもつけられるというのもいいですね。後ろにつけたときの、この絶妙なVライン。

伝統のリボンモチーフです。とはいえこの現代性と芸術性とドラマ性はなにごとでしょうか。トップ写真のボディジュエリーのドラマティックな洗練ときたら。

ドラマティックといえば、このジュエリーを引き立てているドレス。オートクチュールデザイナー、Yuima Nakazatoの高度な技術が駆使された一着です。Mikimoto とYuimaのコラボレーション!

こんなふうに分けてブローチとしてもつけられるというのも。モデルが男性というのもいまどきです。2019年前後に、MIKIMOTOとギャルソンのコラボから仕掛けられたメンズパール。ジェンダーフリーの勢いにうまく乗り、いまではすっかり定着しましたね。

写真はすべてMIKMOTO広報部からのご提供です。

 

<よろしかったら、ご参考に>

*MIKIMOTO 2020カタログに寄稿したジェンダーニュートラルのパールの歴史に関する記事はこちら。同記事の英語版もあります。

*Men’sEXに寄稿したメンズジュエリーに関する記事はこちら。(2019年1月)

*Switchに寄稿した男性と真珠に関する記事はこちら。(2020年4月)

*婦人画報に寄稿した、歴史的瞬間を彩ったパールに関する記事はこちら。(2021年6月)

*『「イノベーター」で読むアパレル全史』(日本実業出版社)には創業者である御木本幸吉の生涯に関する項目を書いています。御木本幸吉は私が最も敬愛する実業家のひとりであり、御木本幸吉とMIKIMOTOブランドに関する講演もおこなっています。

SPUR 8 月号発売です。

SPUR初開催のベストフレグランスアワード2024 ss (上半期)。上半期に発売された100種類くらいの香水を試香し、そのなかから部門ごとに選びいくつかについてコメントしました。

それにしても日本でもこんなに多くの香水が発売されるようになっていたのか。たったの半年間ですよ? クリスマスを控える下半期はさらに増えそうですね。

選者それぞれに基準や好みがあるので多様な製品が選ばれているのが興味深いです。

私はエルメスの「H24 エルブ ヴィーヴ」を選んだのですが、基準は「ラグジュアリー(ブランド)のあり方を示している」という点です。これは世界初の最先端テクノロジーを自然と癒合させた新時代のフレグランスでした。「シャネルNO.5」もそうでしたけど、まだだれも使っていないテクノロジーや素材や考え方をいち早くとりいれて伝統に新しい視点をもたらすという姿勢、これがラグジュアリーを謳える最低必要条件になってくると思います(十分条件ではないですが)。

長いコメントが掲載される誌面の余白がなかったので、補足しました。

 

ラグジュアリー論はさておき、やはり個人的な好みの多くはバラ系に行きつきます。現在のヘビロテは先日ご紹介したセルジュルタンスの「鉄塔の娘」。バラのインパクトを強化すべく、飲むバラ水の飲用も始めました(笑)。

ECCIA(European Cultural and Creative Industries Alliance、欧州文化創造産業連合)という組織があります。イタリア、フランス、スペイン、スウェーデン、ポルトガル、ドイツ、そしてイギリスの7か国の欧州メンバーで構成され、ラグジュアリーセクターの共通の価値観をシェアし、協力しています。

英ラグジュアリー統括組織であるウォルポールが、各ECCIAメンバーのCEOを紹介し、それぞれの国のラグジュアリーセクターについて情報を発信しています。以下、翻訳していきます。原文はこちら、ウォルポールの公式HPをご参照ください。

シリーズの最初の回では、ニック・カーヴェルが、フランスのコルベール委員会のCEOであるベネディクト・エピネイさんにインタビューした記事を執筆しています。

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ウォルポール:コルベール委員会について教えていただけますか? 組織には何人のメンバーがいて、会員資格の要件は何ですか?

ベネディクト・エピネイ:1954年にジャン=ジャック・ゲランによって設立されたコルベール委員会は、公益を目的とした非営利団体です。現在、93のフランスのラグジュアリーメゾン、17の文化機関、そして6つのヨーロッパのラグジュアリーメゾンが平等に参加しています。すべてのメンバーが共通のビジョンを共有しています。「フランスのサヴォアフェールと創造を情熱的に促進し、持続可能に発展させ、忍耐強く伝えることで新たな驚きの感覚(センス・オブ・ワンダー)をもたらす」という私たちの存在意義に表現されるビジョンです。この存在意義が私たちの日々の活動の基盤となっています。

コルベール委員会に応募するには、国際的に著名なフランスのラグジュアリーブランドである必要があります。その他の基準は機密事項です。各応募は2名のメンバーによって推薦される必要があり、「最上級のもの」が認められるよう、長期間の審査プロセスを経ます。

ウォルポール:フランスのラグジュアリーセクターの特徴と特質は何ですか?

エピネイ:フランス国内外でこの産業がリーダーシップを発揮し、CAC 40(パリ証券取引所の主要指数)の38%を占めるにいたったのは、数百年にわたる歴史の積み重ねの結果です(パンデミック前は28%でした)。14世紀には、美食とギヨーム・ティレル(タイルヴァンとして知られ、シャルル5世のシェフ)の世界初の料理本の出版に始まり、続いて16世紀にはフランソワ1世の治世下でクラウンジュエリーの確立と宝飾業界の神聖化がおこなわれました。

この歴史は、私たちの名前の由来であるルイ14世の財務大臣ジャン=バティスト・コルベールにより受け継がれます。ジャン=バティスト・コルベールは、王室の工房を創設しましたが、フランス各地に散在するこの工房がラグジュアリー産業の前身となり、今日の私たちの基盤を形成しています。私たちは文化機関と同様に、職人技とサヴォアフェール(匠の技、専門知識に基づく創造性)への情熱を共有しています。今日では、現代性と創造性を注入しながら、業界の長期的な将来に向けて伝統を維持することが必要になっています。

ウォルポール:現在、あなたの国のラグジュアリーセクターにおける主要な話題は何ですか?

エピネイ: 私たちは地政学的、技術的、人材的、環境的に、多くの課題に直面しています。私たちは、メンバー間で競争がない分野、すなわち全体的な利益・関心にのみ焦点を置くことに決めました。次世代の職人の採用、持続可能性、およびフランスや欧州の規制によって業界が脅かされたときの業界防衛に関心を注いでいます。私たちはラグジュアリー業界の未来について団結して考えており、文化と工芸を紹介するために海外でイベントを開催しています。

ウォルポール:フランスのラグジュアリー産業の成長にとって、最大の課題は何ですか?

エピネイ: 直面している主要な課題の一つは、次世代の職人の採用です。私たちの役割は、若い世代にこの職業の魅力をアピールすることです。2022年にStation F(ヨーロッパ最大のスタートアップキャンパス)で開催された若者向けイベント「Les De(ux)mains du Luxe」の成功を受け、2023年12月に第2回目を開催します。4日間、12歳から18歳の若者、その親、教師は、コルベール委員会所属メゾンのサヴォアフェールのデモンストレーションを見学し、さまざまな職業を体験し、学校が提供するトレーニングコースを発見できます。今年は、より多くの若者にリーチするために、TikTokで初のメティエダール(職人技の芸術)・チャレンジを開始します!

第二の課題はエコロジカル・トランジションです。ラグジュアリー産業は模範を示す義務があります。原材料の調達、包装、新技術と新素材の使用から修理やアップサイクルにいたるまで、つまり製品ライフサイクルのあらゆる段階に、私たちのメゾンは深く関与しています。証拠として、コルベール委員会はすでに2つのCSRレポートを発表しており、最新のものはビジネス日刊紙Les Echosと一緒に配布されました。昨年11月には、ユネスコと提携してEarth Universityで初めてこうしたトピックについて発表しました。メゾンの代表とRSEディレクターが行動と考えを共有し、世界中の聴衆に向けて発表しました。最近では、Salon 1,618と提携し、8つのメゾンと共にラグジュアリー製品のライフサイクルに関する円卓会議を主導しました。

ウォルポール:年間を通じて開催する行事のハイライトは何ですか?

エピネイ:コルベール委員会はいくつかの実働委員会から編成されており、それぞれ年に2回会議を開き、その年の主要な課題を話し合います。各委員会はメゾンの代表が率いています。その後、その年の主要課題を推進するプロジェクトグループを決定します。こうしたことは、メンバーの希望や機会に応じて毎年異なります。

主要プロジェクトに加えて、コルベール・ラボのような毎年恒例のテーマもあります。コルベール・ラボでは、毎年、若い才能が、与えられた課題について考察します。また、ENSAAMA(国立装飾芸術学校)と提携したシャイア・コルベールは、過去12年間、マスター2の学生に、各メゾンから提案されたデザイン課題に取り組む機会を提供しています。

最後に、年間を通して、HR、ESG、コミュニケーション、公共政策などの専門分野に基づいて、メゾンの従業員のネットワークを導いています。優れた実践例について話し合う機会を生むと同時に、共同イニシアティブや特別なイベントも生まれています。例えば、イヴ・サンローラン博物館やカルティエ・ジュエリー・インスティテュートへの訪問、ブシュロンやブレゲによって組織されたヴァンドーム広場の遺産に関する会議などです。

ウォルポール:CEOとしての任期中で最も誇りに思った瞬間は何ですか?

エピネイ: 誇りに思った瞬間は数多くあります。過去3年間には多くの「初」がありました。新しいウェブサイト、反省と見通しツールを兼ね備えた年次報告書、2つのCSRレポートの発表、そしてユネスコとのEarth Universityへの参加などです。最も感動的だったのは、2022年12月にStation Fで開催された「Les De(ux)mains du Luxe」イベントで、3日間で4,300人が来場しました。3人の大臣も参加し、次世代に熟練の職業を見て体験する機会を提供できた、感動的な機会でした。

ウォルポール: ECCIAのような組織が重要である理由は何ですか?

エピネイ: 規制の数が増加している中、ブリュッセルでロビー活動を行うことは重要です。こうした規制は、私たちのメンバーのビジネスモデルに影響を与える可能性があります。ヨーロッパ全体のラグジュアリーセクターの集団としての声を伝えることが重要です。こゥした活動によって、コルベール委員会が創設メンバーであるECCIAは重要な連合となります。

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翻訳は以上です。ラグジュアリー業界になじみのない方のためにポイントだけお伝えしますと、以下の通り。

☆コルベール委員会とは?そのメンバーシップとは?

1954年に設立された非営利団体で、フランスのラグジュアリーブランドを中心に組織されている。メンバーシップは国際的に著名なフランスのラグジュアリーブランドに限られ、メンバーになるには厳格なプロセスを経る必要がある。

☆フランスのラグジュアリーセクターの特質とは?

数百年にわたる歴史があり、14世紀からのガストロノミーや宝飾品の発展に起源を持っている。ジャン=バティスト・コルベールが王室の工房を設立し、フランス全土に広がる職人技の基礎を築いたことが、現在のフランスのラグジュアリー産業の基盤となっている。

☆現在の主要な課題は?それに対して何をしている?

ラグジュアリー業界は、次世代の職人の採用や持続可能性、フランスおよび欧州の規制に対する業界の防衛など、多様な課題に直面している。それに対し、若者向けのイベントや職人技のプロモーション活動を通じて、次世代の育成にも力を入れている。

☆エコロジカル・トランジションに関しては?

ラグジュアリー業界はエコロジカル・トランジションの模範を示す義務があり、原材料の調達からアップサイクルまで持続可能な方法を追求している。

ECCIAの重要性とは?

ECCIAはヨーロッパ全体のラグジュアリー業界をブリュッセルで統合・代表する連合であり、規制の影響を受けるメンバーのビジネスモデルを守るために声を上げている。

(写真はPortrait of Jean=Baptiste Corbert 1666頃。Public Domain)

 

☆カキモトアームズ青山店の西岡さんが「今日の服にはコレです」と有無を言わせず作ったヘアです。

顧客の意見をきかず、むしろ提案、啓蒙する。そのくらいのサービスを提供してくれるからこそ高い価値がある、ということはいろんな場面で見られますね。

「ラグジュアリー」として高い価格を張れるのは、顧客の想定外を出してくる啓蒙型です。顧客の思い込みをむしろ打破して「こうきたか!」と驚かせることができるか。

エルメスも「マーケティングをしない」ことが知られていますね。

 

☆先日のカルティエ展覧会での驚きのひとつは、北野武さんの絵画がたくさん展示されていたこと。なにをやらせても一流なのですね。この方の、芸術の本質を見抜く力がよくわかるのがForbes Japan 掲載の記事

「本当の伝統のよさ」について語っているのです。以下、引用します。

「例えば、なんで俳句や短歌の七五調はこんなにリズムが心地いいのか。綾小路きみまろと川柳をやったとき、オイラは『5・7・5って素数じゃないか』と思ったんだ。5も7も素数。足しても素数。短歌もそう。5+7+5=17、5+7+5+7+7=31、どっちも素数なんだ。「古池や」に続く「蛙飛びこむ 水の音」の7・5は割り算では割れない。「古池や」以外の言葉じゃありえない。

で、奇数を足していくと二乗になる。1+3=4(2の二乗)、1+3+5=9(3の二乗)、1+3+5+7=16(4の二乗)。

これを映画に置き換えてみると、シーンを1秒撮って、次のシーンが3秒、5秒と足していくと、奇数だけ足して二乗になる。映像が倍返しみたいになって、心地よい「間」が生まれるんだ。漫才もそうでさ、奇数と偶数のかけ合いになると間が悪くなっちゃう。

尺の違いに着目して、居合いみたいに間合いを詰めていったら、単なる笑いじゃなくて二乗の笑いが爆発するかもわからない。いままで誰もつくったことがない「二乗のリズム」が映画に生まれるかもわからない。革新の発想だよね。」

まさか、俳句や短歌と映画のリズムの心地よさが「素数」でつながってくるなんて。こういう意外なことがつながる快感が、北野さんの描く絵にもあるんですよね。

 

そういえば、銀座に北野武さんの絵画がたくさん飾られている喫茶店があるんですよ(神田神保町にも支店があるそうです)。陶磁器もヨーロッパの一流ブランドがそろっていて、オーナーの趣味の良さを感じることができます。インバウンド勢に蹂躙されたくない(ゴメン)お店です。

斎藤幸平さんと対談のお仕事でした。駒場の斎藤さんの研究室にて。

大昔にトータル20年ほどお世話になった駒場はずいぶんきれいになっており、一方で昔のまんまという場所もあり、歩いているうちに眠っていた記憶の扉が開かれるような不思議な感覚がありました。

私はいったい何をしているのだろう。過去に夢見たこととのギャップをつきつけられ、こんな迷子感(と少しの絶望)に襲われたことはありませんか? 

東洋経済からご依頼を受け、最近のラグジュアリーファッションの動向をまとめてみました。

「『カルチャー帝国』築く高級ブランドのしたたかさ」というタイトルの記事になっております。

もちろん、ファッションに疎いという読者のためにやや煽情的?なタイトルになっており、文章も平易にトリミングされております。(それがよくないというわけではなく、一般読者にお読みいただくにはこのようなプロセスを経るのが通常ということかと)。

私のオリジナルのテキストは、こちらです。3700字くらいですが、情報量も多めです。ラグジュアリー業界を見る解像度(!)に慣れていらっしゃる方はどうぞこちらのオリジナルバージョンをご参照ください。

今回の旅の目的はスパイバー社ラボ見学&CEO関山和秀さんインタビューでした。

次世代の環境にやさしいブリュード・プロテイン・ファイバーという観点ばかりで見ていたのですが、関山さんの構想は全くスケールが大きく、見え方が一変しました。バイオにより本質的に人類の未来を考えていらっしゃいます。これだけの世界観を言葉で伝えきることができるのかどうか、不安も生じるくらいですが、じっくりお話を聞くことができて本当によかった。詳細は後日に。

たまたま、スパイバー海外部門の社員の方が「英和ファッション用語辞典」(研究社)を読み込んでくださっており、仕事にとても役立っている、とお伝えくださり、求められて辞典にサインさせていただきました。はるか昔に苦労していた仕事ですが、報われました!

今年1月の京都でのZETサミットがご縁になり、訪問が叶いました。広報の浅井茜さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。

「ラグジュアリーの羅針盤」、Tagiru.の回、ウェブ版で公開されました。

心は満たすものでも火をつけるものでもなく、本来の自分に戻ればおのずと「たぎる」もの。

「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 18は、スリランカでアーユルヴェーダを施すホテルを営む伊藤修司さんの起業ストーリーです。

身体をまるごとリセットして「生きること」を問い直した方、ぜひ訪れてみてください。

麗しく藍の5色グラデーションを形成する靴下は、いわき靴下ラボ&ファクトリー製です。藍染工房Watanabe’sとのコラボで、ケミカル不使用。糸は最高級のエジプト綿GIZA45を使用。
色目もさることながら、肌に触れたときの感触がとろけるようです。桐の箱に丁寧に入れられ、真田紐で結ばれて届きました。一足一足を心を込めて作っているいわきラボのみなさんのお顔が思い出され、あたたかさが心に広がります。靴下で驚かせ、感動させるって、なかなかできないこと。

いわきラボ取材記事はこちらです。

GQ 誌上でのDavid Marxさんとの「現代のジェントルマン」を考える対談が、全文、ウェブでも公開されました。

最新のイギリスメンズファッションの動向、日本の「紳士的」ビジネス、グローバル資本主義の価値観の次を提示する日本の伝統産業まで話題がつながっています。どうぞご高覧ください。

対談をまとめてくださった平岩さん、編集部の高杉さん、イラストレーターのNaoki Shoji さんにあらためて感謝します。

ケリング社名変更10周年おめでとうございます。記念の社史本をご恵贈いただきました(多謝)。1962年の木材業界進出から現在までを写真とテキストで力強く綴る豪華な一冊です。ラエネック病院改装本社でピノー氏にインタビューした6年前がのどかな大昔のように感じられます。ここまで時代が変わるとは。はたして6年後の未来、私たちはどうありたいのか? 

(2018年5月のパリ)

きものやまと社長、矢嶋孝行さんにインタビューした北日本新聞「ゼロニイ」連載記事が、ウェブ版に公開されました。

英語版も公開しています。

愛子さまがジュエリーをご愛用ということでがぜん注目を浴びているミキモトですが、製品としての完成度の高さ美しさは言うまでもありませんが、そもそも海産物のなかから一番高く売れるものとしての真珠に目をつけ、ならば養殖真珠を世に出そうというトンデモ発想を抱き、12年以上かけて真珠の養殖に成功し、国際社会からの「養殖真珠はにせもの」という総バッシングにもめげず7年かけてパリ裁判を闘い勝利を獲得し、「贅沢は敵だ」の第二次世界大戦の危機を耐え抜いた真珠王、御木本幸吉のことにも思いを馳せてほしいなと思います。高貴な輝きの真珠にひけをとらない、強くてしなやかで尊い御木本幸吉のスピリット。

銀座・ミキモトビルの前を通るたび、幸吉さんの屈託のない笑顔とユーモアあふれる言葉を思い出して元気になれるのです。

詳しくは拙著『「イノベーター」で読むアパレル全史』でも項目を立てて力説しておりますので、お読みいただければ幸いです。

 

「婦人画報」5月号発売。画報ではほぼ10年ぶりの香水特集が掲載されています。なので「再びのフレグランス道」というタイトルがついてますが、特集の巻頭でインタビューを受けました。歴史から最近の潮流まで、時代とフレグランスの関係を中心に解説しています。新しい季節の香水選びのご参考になれば幸いです。

北日本新聞「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 17。きもの「やまと」のパリ進出について、社長の矢嶋孝行さんにインタビューした記事です。

伝統文化に高い価格をつけて売る、という最近の風潮に矢嶋さんは抵抗します。「文化を楯にしたくはありません。私たちは伝統文化を着るために生きているのではありません。着たいと思ったものが文化になっていく」という言葉にはっとさせられます。

ほぼ一週間後、ウェブ版にも掲載されます。同時にnoteで英語版を掲載します。

 

日経新聞夕刊連載「モードは語る」、本日は、アリッサ・ハーディが念願だったキャリアと引き換えに業界の暗部を暴いた渾身のルポ『ブランド幻想』について書いています。

紙版、電子版、ともに掲載されています。電子版はこちら(会員限定公開)。

インフルエンサーに対しても、ご自分の影響力がどのように行使されるべきなのか、もっと責任を自覚すべきと促しています。

ファッションのキラキラした面はすてきですが、それを支える労働者がどのような扱いを受けているのか。知ってしまったら、商品を見る目も変わらざるをえないところがあります。

第10章は、私が遭遇したのと似たような経験が書かれていて、同情の涙なしには読めませんでした。社会正義の側に立とうとすれば、保守勢力から痛い目に遭うのは、どの領域でも変わらないですね。でも新しい味方がもっと増えているはず。アリッサの勇気を讃え、応援します。

「エルメス」が、「バーキンが買えない」とアメリカの消費者に提訴されたというブルームバーグの報道について、NewsPicksにコメントしました。会員でない方のために、以下にも掲載しておきます。

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そんな訴訟を起こされたらますますバーキンの価格が上がりますね(笑)
そこまでして欲しがられるというコンテクストを作ったブランディングはさすがエルメス、あっぱれです。

バーキンはもはや「バッグ」というカテゴリーを超えた神秘の偶像のようになっていますね。それはそれでブランディングの成功なので、良いことだと思います。自身のブランディングを主体的に、戦略的に貫くエルメスはリスペクトします。

ただ、これを買うために、「購買実績」を積み上げて、ようやく「購入させていただく資格をいただける」「購買を許可していただける」ことをありがたがる従属的な消費者って、天の視点から見ると、どう見えるのか。中古で高く売れる資産にもなるからなりふりかまわなくなるのか。偶像崇拝のあやうさと滑稽さを見る思いがします。

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自分の欲望の正体を今一度、頭を冷やして見つめてみたいものです。稀少性を高める、偶像化する、階級を与える、というのはラグジュアリー・マーケティングの定番的戦略であり、これはこれで成功させるのが難しいので、成功させたブランドはリスペクト、です。消費者がそこに従属的に盲目的に巻き込まれるのか、戦略を理解してその物語に参加するのかでは大きな違いがあります。主体性を貫いてそこには参画せず、自分が勝てる別のコンテクストを創り上げる、というのが最もかっこいいあり方だ、とは常々思っています。

日経連載、2月24日夕刊はバイオ繊維の可能性について書いています。機能性ばかりが追求されがちなバイオテクノロジー最先端の新素材ですが、新しい次元の美しさや情緒を切り開く可能性にも期待したいところ。

先日の京都府のZET summit 2024での議論の一部です。京都府、スパイバー社長関山さん、京都大大学院沼田教授、中里唯馬さんに感謝します。

写真は、Yuima Nakazato 2021より。ブリュードプロテインを西陣織に織り込んだ生地を用いています。写真だけでも幻想的な美しさが伝わりますね。

電子版は有料会員限定ではありますが、こちらでご覧いただけます。

唯馬さんはスイスにしばらく滞在し、オペラIDOMENEOの衣裳制作に携わっていらっしゃいました。一年がかりで準備されてきたプロジェクトが無事に22日にプレミアを迎えることができたそうです。このオペラが日本にも巡回することを願っています。

北日本新聞「ゼロニイ」発刊されました。連載第16回は、ラグジュアリーとまちづくりの関係について。

大量生産の世界で欠点とされた要素が、ラグジュアリーの世界では長所として生きる。こういう考え方にどうしようもなく魅了されます。

講演にご協力くださった高松太一郎さん、松井紀子さん、ありがとうございました。

2023年10月8日に富山・砺波の散居村の文化的景観を守るためのセミナー講演の内容が文字化されました。こちらでお読みいただけます。

セミナー後半の質疑応答はこちら

 

このセミナーの模様はNHK富山のニュースで放送され、北日本新聞にも掲載されました。

京都府主催のZET-summit 2024に登壇しました。「産学公で挑む技術革新 ゼロカーボンバイオ繊維はファッションの未来をどう変えるのか?」というセッションで、細菌を使って空気から作る「エアシルク」を開発した京都大学大学院教授の沼田圭司さん、プロテインファイバーの領域ですでに成功しているスパイバーの社長、関山和秀さんとご一緒させていただきました。

このイベントに向けてかなり時間をかけて下準備したのですが、当日、ハプニングがあり、終了時間の15分まで「あと5分」の音が鳴り、急いで途中を端折ってまとめに入ったところ、横からスタッフがいらして「あれは間違いでした」と。また端折った部分に無理やり話をつなげてなんとか場を持たせたのですが、ひとえに沼田先生、関山先生の的確で濃いお話のおかげでした。シナリオ通りにいかない場合に柔軟に対処できる胆力を鍛える必要を痛感した次第です。

よいチャレンジの機会を与えていただいた京都府のスタッフのみなさまに心より感謝いたします。また、この日はスパイバーのブリュードプロテイン×ロンハーマンのフーディーを着用させていただきました。近未来的な乳白色を活かすのは白コーデだと思い、全身白でまとめてみまひた。しっとりとやわらかい繊維で、着心地抜群です。

終了後に登壇者と記念撮影。左が沼田先生、右が関山さまです。下は会場になった永森重信市民会館。昨年できたばかりのすばらしい施設でした。

 

このセッションのために、多くの気鋭のデザイナーにヒヤリングをしました。印象的なお答えをくださったのは中里唯馬さんでした。「脱酸素というと機能性ばかりが重視されるが、これまでにない美しさを創造できる可能性がある」という趣旨のコメントで、実際、細尾の西陣織にプロテインファイバーを織り込んだ作品を作っていらっしゃいました。こちらも投影させていただきました。グレースーツの男性がずらりと並んでいたビジネスビジネスした会場で、ファッションデザイナーからの「美」に関する提言は想定外だったようで、すばらしい説得力がありました。スイスでオペラの衣装制作中の唯馬さんですが、ご多用の合間を縫って丁寧にご対応くださいました。心より感謝いたします。

 

 

日本経済新聞連載「モードは語る」。27日夕刊では、伝統工芸ディレクターの立川裕大さんに取材した記事を書いてます。有料会員限定ではありますが、電子版ではこちらでお読みになれます。

GPネットワーク主催「まちづくりセミナー2024」で講演しました。富山市図書館にて。新ラグジュアリーの考え方がどのようにまちづくりと関わってくるのかを話しました。トップ写真中央はGPネットワークの代表、橘泰行さんです。左が富山に移住したクチュリエの高松太一郎さん。オーディエンスには市会議員の方々や各自治体の関係者、富山の企業の社長さんたちがずらり。翌日には新田・富山県知事からも「ご講演ありがとうございました」とメッセージをいただきました。光栄です。

富山市図書館も地震の被害にあいました。蔵書がすべて落下し、展示するガラス作品の一部も破損。すべてを元に戻し、図書館を再開したのが1週間前の17日でした。大変な状況のなか、あたたかくお迎えいただきましたことに心より感謝します。まだ復興途上にある氷見地区はじめ、能登半島の被災地のみなさまに心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

講演で着用したのは、高松太一郎さんの作品です。ユーズドデニムを使い、ディオールのアトリエで鍛えたテクニックで美しいラインに仕上げてあります。

隣のトルソーのドレスは、松井機業の「しけ絹」を使った高松さんの作品です。

オーディエンスのなかに6代目・松井紀子さんのお顔も見えたので、急遽、少し話していただきました。

盛況のうちに無事終了しました。ありがとうございました。

*翌朝の読売新聞(富山版)に掲載されました。

北日本新聞「ゼロニイ」本日出版されました。連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.15は、いわき靴下ラボ&ファクトリーに取材した記事です。2~3週間後にウェブ版にも公開されます。

過去の本連載はこちらですべてお読みいただけます。

おもに富山のみなさまへのお知らせです。1月27日(土)、富山市図書館でまちづくりセミナーの講師を務めさせていただきます。ぜひご参加を。お待ちしております。

 

首都圏のJR東日本10線、ゆりかもめの車内のデジタルサイネージで日本のラグジュアリーについて語っております。18日(木)~21日(日)まで。

NewsPicksの番組The Updateに出演したときの映像の一部です。JR東日本にお乗りになる機会がありましたらドア上サイネージをちらっと見てみてください。

無音で字幕だけが流れることもあり、早速誤解された方もいらっしゃったので、補足しておきます。ここで話していることは、

・ヨーロッパは階級社会だったので農民発のものはラグジュアリーになりえない

・しかし日本の農民発のものは知的な思想や技巧があるもの多く、新しい視点をもたらして次世代のラグジュアリーになる可能性を秘める(だからあえて青森の庶民発のこぎん刺しを着ている)

上の部分の字幕だけ切り取って見て「農民を侮辱している」と勘違いされた方がいらしたのです。ストーリーを全部見ていただけないのはデジタルサイネージの弱みですね。めげずに発信します。

 

今週はラグジュアリー祭りでした。おつきあいありがとうございました。来週からがらっとテーマが変わる仕事が続きます。

WWDラグジュアリー特集号 インタビューを受けた記事のウェブ版が公開されました。会員でない方は「0円」を押すと、この記事だけ無料でご覧いただけます(期間限定かもしれません…その場合ご寛恕ください)。

Forbes Japan 連載 Post Luxury 360° 更新しました。「ニセコにルイ・ヴィトン。グローバル資本と日本の『さまざまな現実』」。

3年ちょっと書いてきた連載ですが、私のみ、今回で引退いたします。ご愛読に感謝します。ミュンヘン在住の前澤知美さんにバトンタッチし、連載は続きますので、引き続きご愛読をよろしくお願いいたします。

ラグジュアリーに関しては引き続き、多様なメディアで発信していきます。

ゼロニイ連載「ラグジュアリーの羅針盤」。宮古島で生産される宮古上布を取材した記事、ウェブ版が公開されました。「高齢女性の価値を高める宮古上布」。

新里玲子さんにご協力を賜りました。とても笑顔の美しい方で、高齢者ほど価値が上がる宮古上布の世界のお話を伺いながら私まで元気をいただきました。ありがとうございました。

 

5か月ほどHPにデータをアップロードすることができない状態が続いていました。サーバがこれ以上のデータを受け付けなくなったためです。それで、データ丸ごと大引っ越しをしまして、ようやく完了いたしました。新しいサーバじたいの容量はかなり余裕がありますが、空白の5か月間のデータを埋めていくのにもう少し時間がかかりそうです。合間をみながらアップロードしていきます。

また、お引っ越しに伴い、メールアドレスも変更になります。これは今月いっぱいかかるかもしれませんが、お仕事でご縁をいただいている皆様にお知らせするとともに、公開しておりますお問合せ用メールアドレスも変更いたします。

X(旧ツイッター)やインスタグラムには掲載記事、公開記事の情報、イベント情報を随時お知らせしております。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、早速ですが、公開記事のお知らせです。NewsPicksで、クワイエットラグジュアリーのトレンドと、それが日本の伝統技術や繊維産業に及ぼす(よい)影響について解説しています。会員限定で恐縮ですが、こちらからお読みいただけます。

 

NewsPicks ニュース解説「アパレル超え急成長『ブルネロ クチネリ』とは」に出演しています。会員限定で恐縮です。

クワイエットラグジュアリーの解説から始まり、追い風が吹いている日本の伝統産業の発展の可能性について話しています。

イギリス大使館ビジネス・通商部門主催 ウォルポール&イギリスブランドの日本マーケットの研究会で講演しました。

“Redefining Luxury: Bridging Cultures and Embracing New Narratives in the World of Fashion” というタイトルで、日本のマーケットでは英国文化への愛が英国ラグジュアリー製品の購入を支えている旨や、変わりゆくラグジュアリーの意味の話をしました。

全文を、こちらに掲載しました。

noteをこのスピーチ原稿掲載のために始めました。英語化した記事だけアップしていきます。英語化する時間を確保するのがなかなか困難で、とても散発的になるとは思いますが、noteのほうもどうぞよろしくお願いいたします。

水と匠主催、散居村の保全を考えるセミナー「人と自然がつくり合う価値の再生へ」において講演しました。となみ散居村ミュージアムにて。

富山大学の奥教授が文化的景観について講演、その後、私が変わりゆく豊かさの基準として新ラグジュアリーについて話しました。その後、「水と匠」の水口砂里さんをまじえてのトークセッションでした。文化的景観と新ラグジュアリーの考え方は方向が一致するんですよね。嬉しい発見でした。

翌日の北日本新聞で掲載いただきました。

 

 

NHK富山でもニュースとして放映されました。

楽土庵に泊まりました。3室だけの、それぞれに趣旨を極めたアートホテルです。

5月にファッションビジネス学会の講演にお招きいただいたときに提言したことがきっかけになり、この学会にラグジュアリービジネス部門が設置されることになりました。そのキックオフを兼ねた「装談」のトークイベント、「これからの日本のラグジュアリー」です。台東デザイナーズ・ヴィレッジにて。

トップ写真左はsuzusan村瀬弘行さん、右はMizenの寺西俊輔さんです。私がMCを務める形で、新ラグジュアリーについて若干のレクチャーをさせていただいたあと、お二人それぞれにお話しいただき、最後に会場からの質問に答える形でトークセッションがおこなわれました。

私が着用しているのは、村瀬さんのお父様が作った絞り染めの生地を、寺西さんがデザインしたセットアップです。

この日の内容を、記事化しました。

JBpress autograph その1「日本独自のあり方とは? 海外だけのビジネスを展開した有松絞り

JBpress autograph その2「『職人こそがブランド』 伝統工芸をラグジュアリーに昇華する、MIZENの革新性

JBpress autograph その3「日本のラグジュアリーの未来、ブランドロゴより重視される職人の仕事と価値

中里唯馬さんが運営する「ファッション・フロンティア・プログラム」にお招きいただき、新ラグジュアリーの講演をさせていただきました。参加者の方には海外の方も数名いらっしゃいます。

社会的責任と創造性をあわせもつデザイナーの育成、というプログラムの趣旨は、新ラグジュアリー的な世界観と重なります。中里さんによる、未来を見据えたグローバルスケールでの教育的活動、応援したいと思います。

NewsPicksではプロピッカーを務めておりますが、以下、本日ピックしたニュースにつけたコメントです。高校生にも話すことでもあり、過去のエッセイにも書いておりますが、転載し、補足をつけます。

☆☆☆☆☆

文章を書く仕事をしていますが、高校は理数科でした。いまの仕事に最も役に立ったのが数学です。

ひとつの数学の問題を解くのに、黒板いっぱいに数式を書いて正解を導いても、それは「エレファント」として却下されました。問題の本質を捉えてすっきり一行でおさまる数式を書いたとき、それがエレガントな解として認められたのです。「E=mc²」みたいな解ですね。

ファッションや生き方、文章におけるエレガンスも同じことかと気づいたのは、ずっと後になってからのことです。Eleganceは、Election (選挙)やElete(選び抜かれたエリート)と同じ語源から発生しています。選びぬくことがエレガンスの本質。つまり、必要な要素だけを選び抜き、本質をシンプルに表現することがエレガンスですが、それを教えてくれたのは数学だったのです。

直接、役に立たないように見えることでも、敬意を持って向き合ってみることで、あとから予想を超えるところで影響がもたらされることの醍醐味、こと数学にかぎったことではありません。何かを短絡的に役に立つ立たないの基準で切り捨てることは、未来の豊かな可能性をみずから切り捨てることと同じで、もったいないことと思います。

 

☆☆☆☆☆

これまでのささやかな経験を振り返っても、チャンスや転機はまったく予測もつかなかった過去の「圏外」の領域から飛んできました。共通するのは、当時「無関係」に見えていたとしても、決して排除したり軽視したりはしなかったということ。今日向き合うことや出会う人が、未来の可能性の種になるという確信は強くなっています。人に対してひどい態度をとれば利息付きで報いが返ってくるだろうし、敬意をもって接すれば(媚びることとは全く違います)遠い未来に思ってもみなかった恵みが降り注いでくることもあります。

 

ソーシャル・コーヒー・ハウスにお招きいただき、令和時代の新ラグジュアリーについて講演しました。オーディエンスは20代から30代、新ラグジュアリーととても相性のいいコミュニティでした。

たくさんの質問、コメントをいただきました。「日本はもうダメなんじゃないかという絶望感がありましたが、日本発のラグジュアリーを世界に届けるためにがんばっている人たちの話を聞いて希望がわいてきた」というのがあって、かえって衝撃を受けました。若い人に絶望感を与える社会ってなんなのか? 大人はそれでいいのか? 自分の利権ばっか、縄張りばっか大事にして、次世代から希望を奪うってなんなのか?

理想論すぎるのは重々承知の上で、私みたいな何の利権も権威もない人間が理想を語っていかないとダメなところまで日本は来ているのか?

権威のある偉い人は、若い人に希望を持たせる振る舞いもノーブレス・オブリージュとして遂行してくださるよう切に願います。

日本の未来、あなたの未来は大丈夫だよと明るい方向を示すこと、それも大人の義務なんじゃないかと気付かされた時間でした。

オーガナイズしてくださいましたソーシャル・コーヒー・ハウスのスタッフの皆様、メンバーの皆様に感謝します。

北日本新聞「ゼロニイ」連載記事、最新のエッセイがウェブ版に転載されました。富山のローカルコミュニティで生まれつつある新しいラグジュアリーの兆し。

7月31日18:00~ Social Coffe House にお招きいただき、新ラグジュアリーについて話します。オンラインです。

詳細、お申込みはこちらから。

きもの専門店やまとが、賃金問題はじめ伝統工芸をめぐる社会課題解決のために龍郷町と「ソーシャル・アクション・パートナー」協定を結んだことについて、29日付けの日経連載「モードは語る」で書きました。社長の矢嶋孝行さんに取材しました。

企業と自治体、できないことを補いあいながら大島紬を未来に繋ぐ努力をしています。産地の職人、都心のビルで働く社員、関わる人みんなが幸福であることが「新ラグジュアリー」的スタンスです。「それを作った職人は幸せであったか?」まで考えるラスキン的立場。

電子版はこちらです。

北日本新聞「ゼロニイ」8月号が発行されました。連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 9は「ママ振スーツと沙羅の花」。

エレガンスと車の歴史の前口上から始まりますが、富士スピードウェイホテル&モータースポーツミュージアムの取材記事を書きました。JBpress autograph の連載です。
お時間ゆるすときあればご笑覧くださいませ。
「富士スピードウェイホテルで深まる、ラグジュアリーとモータースポーツの関係」

アンチエイジングをはじめとする予防医療も、マーケティング的な意味での「ラグジュアリー領域」に含まれます。

ペニンシュラホテル4階にある9ru clinicで話題のNMN吸引療法を試す機会をいただきました。クリュと読みます。グランクリュのクリュ。

NMNはテロメアに働きかける、もともと体内にあった物質で、アンチエイジング、若返りに効果を発揮するそうです。発見したのは日本の医師。現在、「食品」扱いですが、サプリ、点滴などの形で多くのクリニックが採用していますね。こちらのクリニックは吸引という方法を考案しました。鼻から脳の視床下部にダイレクトに届き、代謝やホルモンバランスにすみやかに働きかけるとのこと。

ペニンシュラホテルの部屋の延長のような感覚の個室で30分。終了したら視界がくっきり明るく見えやすくなっていたのが驚きでした。(肌のアラなどがくっきりわかるのでショックも伴う!)

サプリなどで継続的に取り続け、ブースト的に吸引を取り入れることがお勧めだそうです。なんでもそうですが、続けることが大切ですね。お向かいには人間ドックを受けられる姉妹クリニックがあります。こちらもペニンシュラのテイストと矛盾しない雰囲気。9ruは基本、会員制ですが、インバウンドの宿泊客にも利用されているとのこと。日本の最新の予防医療を体験するプラン、なるほど!でした。「ラグジュアリー」カテゴリーのホテルが予防医療や美容皮膚科、人間ドックを併設するのがあたりまえ、という時代になりましたね。モノは要らない、健康に投資したい、という願望が見えます。

News Picks The Update に出演しました。

後半にお話ししたのが日本の庶民発のラグジュアリー。着ていったのは、青森のこぎんざしをフィーチャーしたMizen の服です。こぎんざしは、麻しか着られなかった津軽の農民が、防寒と生地補強のために粗い布目に糸を刺していったことから始まりました。

紬もそうですが、庶民の知恵と工夫と卓越した技術が貴重な伝統工芸になっている。そもそも高級な素材を使っているわけではないのがポイントです。高級素材は高級素材として王道的に素晴らしいのですが、それ以外にもやり方がある、ということです。Mizenの寺西俊輔さんはそうしたやり方を、ラグジュアリー製品を作る日本ならではの職人技術として世に問うています。

「弱者」を救う視点が新ラグジュアリー的です。

ご教示、ご助言いただきました寺西さんとモリー、そしてMizen出資者の珠代さんに感謝します。
NewsPicks スタッフのみなさま、ありがとうございました。

NewsPicksの番組 The Updateに出演します。25日22:00~23:05。いつも完全に眠っている時間なのですが、昼間に仮眠とってお伺いする予定(眠れるかなあ…)。

すごい方々ばかりで辞退しようとも思ったのですが、勉強させていただくまたとない機会と思って臨むことにしました。恥をかいてもそれはそれで後日ネタにすることにします(笑)

やまと2023秋冬展示会にお招きいただきました。伝統的なきものも美しく展開しているのですが、Double Maison や Nadeshiko 、Y & Sons といった各ブランドの斬新な解釈にもワクワクします。総レースのきものは同色の帯と合わせてドレス感覚で講演の機会などに着てみたい(スポンサー大募集(笑))。

インバウンドの延長で、広義での日本のファッションにも関心を引きつける大チャンスが到来しています。きものの可能性はこれからますます開花しますね。
大島紬をめぐる地域との協力のお話が興味深く、近日中に記事化します。

Forbes Post Luxury 連載更新しました。「非日常で贅沢な冒険こそが『究極のラグジュアリー』なのか?」

一部富裕層の間で流行している「エクストリーム・ツーリズム」について考えてみたくて書いてみました。後半の安西洋之さんによるアンサーが新ラグジュアリー的です。いっときの対処療法的な刺激ではなく、日々の生活に生活や冒険を持ち込むことができるという選択肢の提示。

 

写真は久々に出かけた軽井沢。涼しいところで仕事を集中的に終わらせる目的でしたが、横浜より暑いし東京より誘惑が多い。ここはもはや「避暑地」ではないのですね。脳内に「避暑地」を創る工夫もしてみようと思います(笑)

イギリスの老舗香水ブランド、クリードが日本でも8月30日より発売されます。川辺株式会社が日本国内における独占輸入販売権を取得しました。

クリードは1760年、ロンドンのテーラーがジョージ3世に香り付き革手袋を届けたことから始まっています。いま、ブランドはケリング傘下に入りました。

発表会は6月におこなわれたのですが、情報解禁を待って公開いたしました。下の写真はサラ・ロザラムCEOを囲み、ヘアサロンAMATAのオーナー、美香さん(左)と美容ジャーナリストの松本千登世さん(右)と。会場はフォーシーズンズ東京。

Vulcanize London にお招きいただき、チャールズ国王の愛するメニューをいただきながら、皇太子時代のチャールズに8年間仕えた経験をもつフェイフェイさんの話を聞くというランチョンに参加しました。メゾン・デュ・ミュゼにて。

リアルな宮廷のお仕事の話や、フェイフェイさんが現在日本で進めている教育の話が本当に面白くて、こちらは追って記事にしますね。

Vulcanize さんがギーヴズ&ホークスから借りたという本物の近衛兵の制服も着用させていただきました。重い暑い。

英国紳士世界のOSの、人間性を熟知したユニークな素晴らしさを再確認した機会になりました。フェイフェイさん、BLBG社長の田窪さんはじめPRの井上さん、室岡さん、ご一緒させていただきましたみなさま、ありがとうございました。

ランチョン後はVulcanie London に移動し、メンズの秋冬コレクションを鑑賞しました。

FASのローンチ発表会にお招きいただきました。Fermentation and Science の頭文字をとり作られたブランド名は、発酵と科学という意味。

素材(丹後の黒米)✖️酵母✖️発酵技術 の研究を3年間積み重ね、誕生したスキンケア。738種もの発酵由来成分から作られています。

発酵独特の香りがなく、アロマティックな快い香りも魅力ですが、香りのコンセプトは「晴れた日の哲学の道の6時」。ラストに残るフランキンセンスで、ああ、と納得。

発売元は株式会社シロク。あのN organic を生み出した会社です。専務取締役の向山雄登さんからイベント後にご連絡をいただきました。「実は、FASを企画してる途中で、『新ラグジュアリー』に大変インスピレーションを受けました。とくに日本のラグジュアリーとして紹介されるようなブランドになりたいと強く思いました」。感激です。よいブランドに育っていくよう、応援します。

6月におこなわれたForbes Japan × Brunello Cucinelliのイベントの模様がForbes Japan のサイトで記事化されました。ご参加の女性経営者のなかには、世界で活躍する著名な方も多々いらっしゃいます。質問のレベルも高く、密度の濃い時間でした。

女性経営者が注目の”人間主義的経営”に触れる 「ブルネロ クチネリ トークセッションイベント」

母校の富山中部高校で講演しました。富山県民会館大ホール。

質問タイムが爆笑タイムでした。
「感動しました。僕、政治家になります! 握手してください」と壇上まで来てくれた学生さんにはこちらがウルウルしてしまいました。楽屋まで来て「ファッションデザイナーになると決めています!」と決意表明してくれた学生さんも。

写真は生徒会副会長さんから花束をいただくの場面。撮影は北日本新聞田尻さん。

お招きくださいました神通会、富山中部高校、後援の富山県教育委員会に感謝します。

田中校長先生との記念写真です。

VOGUE JAPAN 8月号にて、トレンドの「静かなラグジュアリー」について取材を受けました。新しいラグジュアリーと静かなラグジュアリーとの関連をピンと察知して記事をまとめてくださいましたのは、編集部の中村真由美さんです。中村さんに『新・ラグジュアリー』が面白いと推薦してくださったのは小島慶子さんだそうです。ありがとうございました。

ラ・コゼット・パフメ様にお招きいただき、「これまで、そしてこれからのラグジュアリーと香水」というテーマで講演しました。主催者である地引由美さんと一緒に持っているのは、人間のための資本主義を掲げる新型ラグジュアリーの旗手、ブルネロ クチネリから2024年1月に発売される予定の香水です。貴重な現品を会のためにお貸し出しくださいましたブルネロ クチネリ ジャパンに感謝します。きめ細やかに盛り上げてくださった関係各位、ご参加のみなさま、ありがとうございました。

北日本新聞「ゼロニイ」、「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 8が掲載されました。トレンドの「クワイエット・ラグジュアリー」について書いています。

 

webunにも掲載されています。

ハイアットの「アンバウンド・コレクション」日本第一号として作られた富士スピードウェイホテル、およびホテル内にあるモータースポーツ・ミュージアムを取材しました。詳しくは後日、記事になります。

全く新しい体験のシャワーを丸二日にわたって浴び、充実の取材になりました。ホテルスタッフのホスピタリティ、ミュージアムスタッフの情熱もすばらしかった。お世話になりました関係者のみなさま、ありがとうございました。

kaori.nakano on Instagramでベントレーを360°から撮影してみたリール動画、サーキットの音がわかるホテルから見た動画を投稿しています。また、kaorimode1 on Twitter のほうでは、同動画およびフェラーリをシミュレーション運転している動画をシェアしています(プレスツアーをご一緒した方が投稿)。

Forbes Japan × Brunello Cucinelli のイベントに登壇させていただき、新・ラグジュアリーと人間主義的経営について話しました。

ソロメオ村のクチネリさん、ローマ、東京をつないだ三者オンライントークもあり、アフターにはご参加の女性経営者の方々(Forbesに登場した方々をはじめ著名なビジネスパーソン)との交流もあるなど、とても充実したイベントでした。

クチネリ・ジャパンの宮川ダビデ社長、PRの遠藤さくらさんはじめスタッフのみなさま、Forbes Japanの谷本有香さんはじめスタッフのみなさま、そしてご参加くださいました方々に感謝します。

*クチネリのワンピースとジャケットを着用しています。

各地でたいへんな雨でしたね。夜中の警報で不安な夜を過ごされた方も少なくないのではと拝察いたします。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

本日の日本経済新聞夕刊「モードは語る」で「カシミヤを着た狼」のレビューを書きました。ウェブ版にも掲載されています。お時間ゆるすときあればぜひHulu で本編全4章をご覧になってください。

北日本新聞別冊「ゼロニイ」が発刊されました。連載「ラグジュアリーの羅針盤」で「伝説のダイヤモンドは誰のもの?」というテーマで書いています。

ウェブ版にも掲載されています。

「愛のヴィクトリアンジュエリー」展にちなみ、ホテルオークラ東京でランチトークイベントに登壇しました。あたたかく盛り上げてくださいました多くのお客様、本当に楽しかったです、ありがとうございました。

大倉集古館、ホテルオークラ東京のスタッフの皆様にも心より感謝申し上げます。長谷川彰良さんがヴィクトリア時代のコートを再現した貴重なアイテムをお貸しくださいまして、入場時はそれを着用していきました。(見えづらいのですが、写真の壇上左のほうにハンガーにかけられております。どなたかコートのお写真を撮ってくださっていたらお送りくださいませ。)脱いだ後に来ているのは、内本久美子さん制作のヴィクトリアンベルベットのドレスです。コスチュームジュエリーはプリティウーマンのレプリカでした。連日ドレスで講演させていただく幸せをかみしめております(笑)。

Forbes Japan 連載「ポストラグジュアリー360°の風景」を更新しました。「ラグジュアリービジネスと日本、『翻訳不能』な国の勝ち筋は」

羽田未来研究所社長の大西洋さんにインタビューしました。後半は安西洋之さんが「これが日本文化だからと押し付ける儀礼は、海外の人にはコミュニケーションを絶たれた翻訳不能の世界」に見えることがあると指摘。

一万字くらいの長い記事なのですが、日本発ラグジュアリーや地方創生、日本文化の海外からの見え方に関心のある方、ぜひご一読ください。

写真©羽田未来総合研究所

大倉集古館で開催中の「愛のヴィクトリアン・ジュエリー」展を、ジュエリージャーナリストの本間恵子さんと対談しながら鑑賞しました。JBpress autographにて記事化しました。自分で言うのもなんですが、アンティークジュエリーの見方が深まる面白い記事になっています。ぜひご覧くださいませ。

また、5月24日にホテルオークラ東京で開催されるランチイベントのご参加もお待ちしております。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で、同学部教授の澤円さんにお招きいただき、講演しました。テーマは「ラグジュアリー文脈における本物と偽物」。澤さんのビジネス文脈への落とし込み方がが絶妙にうまく、学生さんの質問も活発で、大変楽しませていただきました。

KEAとバレンシアガ、グッチのダッパーダンコレクション、シャネルのコスチュームジュエリー、御木本の養殖真珠、ボディーポジティブ、美容整形、スーパーコピー。本物と偽物は互いに互いを必要とし、答えのない迷宮に私たちを連れていきます。本物と偽物を考える議論って、ほんとにおもしろい。

内容は、澤円さんの奥様の奈緒さんがvoicyで紹介してくださってます(教室にいらしたとは知らなかった・・・(笑))。

北日本新聞「ゼロニイ」で連載中の「ラグジュアリーの羅針盤」は、本紙を購読していない方にも過去アーカイブがウェブ版でお読みいただけます。

Vol.1 後世に語り継がれるオリジナルな生き方

Vol.2 グリコのおまけとティファニーの婚姻届

Vol, 3  豪華客船が難破する前に

Vol. 4   「商品」を「芸術」として演出する

ファッションビジネス学会の特別講演にお招きいただき、「新・ラグジュアリー 倫理、ローカル、ヒューマニティから始まる新しい文化」というテーマで話をさせていただきました。ありがとうございました。

5月6日、英ウェストミンスター寺院でおこなわれるチャールズ国王の戴冠式に向けて、当日、登場すると見込まれるローブやレガリアについて、Twitter で連続解説をしています。写真は中心的な役割を果たす聖エドワード王冠。王冠も複数、登場するのです。ローブも何度か着替えられます。よろしかったら、Twitter kaorimode 1 でご覧ください。

ラ・コゼット・パフメさんにお招きいただき、「これまで、そしてこれからの『ラグジュアリー』と香水」というタイトルで講演します。

日 時:
6月24日(土)14:00 – 16:00

会 場:
東京都港区南青山5丁目
※ 参加お申し込みを完了された後に、会場の詳細をお知らせ致します。

 

詳細とお申し込みは、ラ・コゼット・パフメのホームページからご確認くださいませ。お申し込みの際には「中野香織HPを見て」とお書き添えください。

スイス発のアクリスがブランド生誕100年を記念して東京国立博物館法隆寺宝物館で2023年秋冬のショーを開催。アルベルト・クリームラーも来日し、華やかなコレクションを披露しました。動画はTwitter kaorimode 1、衣装詳細はInstagram kaori.nakanoにてご覧くださいませ。

Forbes Japan「ポストラグジュアリー360°の風景」Vol. 30が公開されました。今回は安西さんスタート、私は後半を書いています。「丹後で考えた『中庸の究極』とジェントルマン文化の共通点」

GQ JAPAN 4月号に寄稿した「クラフツマンシップとラグジュアリー」に関する記事がウェブ版に転載されました。

日本経済新聞連載「モードは語る」。元エルメスのデザイナーが手掛ける「職人を主役にするラグジュアリー」プロジェクト、MIZENを取材しました。電子版、紙版、ともに掲載されています。

Forbes Japan 連載「ポストラグジュアリー360°」第28回が公開されました。環境副大臣の山田美樹さんにインタビューした記事です。後半は「新・ラグジュアリー」の共著者、安西さんが新・ラグジュアリーの視点からコメントしています。

「なぜ日本からラグジュアリーが育たないのか」という問いそのものを変える必要がありそうです。

 


Forbes 全体の人気記事2位になりました(3月25日の時点)。

4月4日から6月25日まで、大倉集古館において特別展「愛のヴィクトリアン・ジュエリー ~華麗なる英国のライフスタイル~」が開催されます。

それに伴い、5月24日(ヴィクトリア女王の誕生日)にホテルオークラ東京いて開催されるランチタイム・トークイベントに登壇します。ヴィクトリア時代から現代にいたるまでのジュエリー、ファッション、ライフスタイルについて話をします。

詳細、お申し込みはこちらです。

みなさまにお目にかかれますことを楽しみにしています。

GQ 4月号クラフツマンシップの特集。「新しいラグジュアリーが次の時代を創る 『その職人は、これを作ったとき幸福であったか」というタイトルで新・ラグジュアリーと職人の関係について書きました。

 

過去のエッセイは、本サイトWorks カテゴリーの「Essays」に収蔵しています。

パーソルキャリア エグゼクティブコミュニティで講演しました。テーマは「新しいラグジュアリーが生み出す文化と経済」です。コーディネートしていただきました中薗真理子さんはじめオーディエンスのみなさま、ありがとうございました。

Precious 12月号 特集「持たない時代に『持つ』ということ」。「つくり手の創造性が最大限に発揮されたものを選び時間をかけて『名品』に仕立てる」というテーマで寄稿しました。

ウェブ版にも掲載されています。

本記事は、J-cast news にも取り上げられました。

 

過去のエッセイに関しては、本サイトWorksカテゴリー内「Essays」に収蔵してあります。

Hotel the Mitsui Kyoto. 開業早々にForbes 5 Stars 獲得という驚異的なホテルです。京都の二条城近く、町中にあるのに完璧に外と隔てられた非日常感が演出されています。そもそもの設計がとてつもなく素晴らしかった。
部屋の動線からアメニティにいたるまで、徹底的に考えぬかれており、高レベルなブランディングに背筋がのびる思いがしました。

写真は不可ですが、広い洞窟のようなスパが快適でした。サウナもジャグジーも備え、神秘的な空間で異次元トリップできます。

なによりスタッフのホスピタリティがあたたかくて人間的、というか、マニュアル対応みたいなことをしない。

学びどころ満載の、充実した滞在をさせていただきました。総支配人の楠井学さんはじめスタッフのみなさまに感謝します。

 

 

Forbes Japan 連載「ポストラグジュアリー360°」更新しました。「英王室と美術館から考える、『旧型』の意義と存続条件」

新型ラグジュアリーの研究を進める中で、歴史の見え方も変わってきました。

19世紀ダンディズムは、王室に代表される権威(旧型)に抵抗する、当時の「新型ラグジュアリー」であったことに気づいたのです。

旧来のシステムのなかではどうあがいても影響力をもてなかった元祖ダンディ,ブランメルは、<自ら評価を上げるべくコンテクストを創造する>(安西さんの表現)ことをやってのけたのでした。

21世紀のラグジュアリーにとっても、評価を上げるためのコンテクストを創ることがカギになりそうです。

「新型」「旧型」の対比における「新しさ」とか「旧さ」は、中身そのものではなく、文脈も含めた総合的なあり方なのだ、ということを後半の安西さんのテキストが示唆してくれます。

 

過去のウェブ連載は、本サイトWorksカテゴリーの「Websites」に収蔵しています。

Forbes Japanにおける連載「ポストラグジュアリー360°の風景」はこちらにまとめてあります。

Men’s EX 秋号発売です。

特集記事のなかでブリティッシュ・ラグジュアリーについて解説しました。雑誌の性格上、マテリアリズムの世界全開ですが。

よろしかったら本誌でご覧ください。

本誌写真はイギリス大使館にて撮影していただいたものです。もう一枚の候補?だった没バージョンがこちらです。

富山の散居村地域に10月5日にオープンする「楽土庵」。一足早く取材に行きました。

歴史の継承と地域の幸福、自然との現代的な共存を視野に入れた「新ラグジュアリー」の世界を体現するアートホテルです。

家具一つ一つに、意味とストーリーがあります。お部屋は全3室。すべて異なるテーマで創られています。

詳しくは来月の北日本新聞「まんまる」にて。3ページにわたり紹介されます。

プロデューサーは林口砂里さん。下の写真左です。砂里さんがなにものなのか? なぜこのようなホテルを? というインタビューもあわせて誌面で紹介されます。お楽しみに!

14日、山縣良和さんの「ここのがっこう」で新・ラグジュアリーの講義をしてきました。ファッション関係の方々にこの話をするのは初めてかも? 政治・経済界からのご依頼が多かったです。

さすが山縣さんのがっこうだけあり、質問がレベル高いし熱心度が違うしで、がっちり手ごたえがあり、楽しかったです。唯一の正解がない分野で議論を重ねるって大事ですね。(それこそ贅沢なことなのかも)

トップ写真は、「ここのがっこう」がある浅草橋の風景です。上の写真、左が山縣さんです。writtenafterwardsのデザイナーでもいらっしゃいます。

 

過去の講演、トークイベントに関しては、本サイトWorks 内「Lecture / Seminar」にまとめてあります。

ニセコのラグジュアリーを考える記事、JBpress autograph にて公開されました。

前編 「ニセコHANAZONOリゾートだから実現できる、壮大な光のアートを体感

後編  「根源的で先進的な民主主義。ニセコに独創的なラグジュアリーが生まれる理由

紅葉のニセコ、もう一度行きたいな!

 

内閣府の地方創生推進事務局でお話してきました。永田町合同庁舎なんてこんな機会がないとなかなか足を踏み入れられず、楽しかったです。

話題は地方創生と新ラグジュアリー。スタッフの方々が『新・ラグジュアリー』を読み込んでくださっていて感激でした。雪国観光圏、有松、ニセコの記事も目に留まっていたようです。さすが、永田町の方々は感度が高いと感心いたしました。ローカリティの幸福に根ざす新しいラグジュアリーは、地域創生とダイレクトに結びついているのです。

 

 

エリザベスII世からチャールズIII世へと治世が変わり、時代の空気も一気に変わる予感がします。

チャールズIII世は筋金入りのエコビジョナリーです。世間がまだバブルに沸いていたころから有機農業を始め、地球環境を説いていました。現在もこの分野で積極的にリーダーシップをとっています。

チャールズ新国王についても、おびただしい量の記事を書いてきました。いくつかは本サイト「ウェブ記事」でもリンクをはっています。書籍にもまとまっていますので、もしよろしかったらご参考に。(表紙がいまいちなのですが、カバーをとると品の良いネイビーのチェック柄の本が現われます。私はカバーをとって本棚に飾っています。)

昨日はエリザベスII世のファッションについてメディアからの取材をいくつか受けました。NewsPicksではコメントランキング1位……。こんなところで1位というのを狙ったわけでも嬉しいわけでもないのですが、ただ、日本人が英国女王の訃報にこれだけ反応するということにあらためて深い感慨を抱きました。

ファッションもさることながら、私はエリザベスII世を究極の「ラグジュアリーブランド」としてとらえています。そのありかたは、ウォルポール(英国のラグジュアリー統括団体)も「ブリティッシュ・ブランド」の模範としています。ウォルポールによる2022年度のBook of LuxuryにはBe More Queen という記事もあり、最後のまとめとして、エリザベスII世の顔の隣にこんな言葉が書かれています。拙い訳ですが、つけておきます。

Know what you stand for & against.

Know what is authentic, unarguable & unreplaceable about you.

Never be tempted to forget what you stand for, or try to be something you’re not.

Be authentic.  Be credible.  Be personal.  Be adaptable.

あなたが体現することと、相いれないことは何か、自覚せよ。

あなた自身について確かなこと、議論の余地なく取り換えのきかないことは何か、自覚せよ。

あなたが体現することを忘れてはいけないし、自分ではないものになろうとしてもいけない。

本物であれ。信頼に足る人であれ。個性的であれ。柔軟であれ。

 

 

メディアの方は、服の色がどうしたとかバッグのブランドがどこかとかスタイリストは誰かとかだけで話を終わらせないで、その先に見える本質として、エリザベスII世のラグジュアリーなありかたの方に焦点を当てた報道をしていただけると嬉しく思います。

*トップ写真は2~3年くらい前に書いた「English Journal」のイギリス文化論特集の1ページ。

 

 

日本経済新聞「モードは語る」。先週、有松に取材したことのなかから書きました。。900字くらいではなかなかすべてを書ききれないのがもどかしいところではありますが。電子版でもお読みいただけます。

今回の名古屋取材では2年前にできたばかりのライフスタイル系のホテル、ニッコースタイルに泊まってみました。

ホテルでゆっくりする時間は全くないけど、快適で気持ちのいい空間で休みたいし、フットワーク軽く過ごしたいし、食事も美味しく楽しみたい、というニーズにはぴったりかもしれません。

解放感のあるおしゃれなラウンジではパソコンを広げてお仕事中の方も。

機能的な部屋には最先端の家電がさりげなく置かれて、BGMも選べ、いまどきの軽快な空気感。

なによりレストランがよくて、取材終えて疲れて帰ってきて、冷たいワイン1,2杯と美味しいおつまみ二皿だけほしい、という要望にもさらっと応えてくれる柔軟な気楽さ。価格も適正で安心できるし、1人でも豊かにリラックスして過ごせるインテリアとあたたかいおもてなしがありました。

結局、到着時のランチ、取材後の夜のワインとお料理、朝食、とレストランは3回利用。スペースにバリエーションがあって広いし、なにより美味しくて飽きません。

ビューもスパもクラブラウンジも不要という予定の詰まったビジネス旅にちょうどいい安心感と合理性があり、いまどきの若い感覚も体感できるユニークなホテルでした。

SUZUSAN のファクトリーも見学させていただきました。

細部まで一点一点、人の手による作業によって製作がおこなわれています。染め上げ、服を作る作業だけでなく、ラベル張りや梱包、発送まですべてここで。歴史の情緒をたたえた有松の町並みに、この絞り染め。

工場の外見も味わい深い。

トップ写真は、左から西谷浩登さん、坂田真実さん、そしてCFOの村瀬史博さん。代表弘行さんの弟さんでもあります。
外気温34度はあろうかという日に歩き回り、エルメスのシフォンスカーフは完全にタオルと化し、ヨレヨレになっておりますが、学びの多い有松でした。

こんなふうに三角形の板を使って染めていく。この工場では体験会なども開催されているそうです。

suzusanのある有松を散策。

歴史的な建物が保存されながら、それぞれ中では今日的なビジネスがおこなわれています。町全体がこのような感じなので、タイムスリップしたような不思議な錯覚におそわれます。とはいえ、村瀬さんたちにとっては「子供のころからふつうにこういう環境のなかにいたので、あたりまえの光景」なんですよね。その「あたりまえ」は、村瀬さんがいったん海外に出てみることで、新しい価値を帯びることになった。自分がもっているものの価値は、いちど「外」の目にさらしてみることでよくわかる。内にこもって同じ価値基準内の評価ばかり気にして小さくまとまり停滞するくらいなら、全然違う価値観のなかに飛び込んでみるのもいいですよ! 私はそればっかりやっているので永遠にアウトローなんですけどね(笑)。

suzusan 有松店にてsuzusan秋冬展示会。

ショップでは代表の村瀬さんのお姉さまである瀬霜千佳さんが歓迎してくださいました。その後、訪れる工場では、お父さまや弟さんにもお目にかかることになります。ファミリービジネスなのですね。

村瀬さん自身が描いたデザイン画。次のシーズンのテーマは「サークル」だそうです。抽象度の高いこのデザイン画から商品を作っていくスタッフ、すごいな……。

「もう廃れてなくなる」と言われていた有松絞の技術を世界で認めさせ、ラグジュアリーマーケットに食い込んでいく勢いのsuzusan。お宝を見つけるには、足元を深く掘れ。の好例でもありますね。ハウツーをガン無視して自らのキャラクターで淡々と前例なきビジネスを進めていく村瀬さんの「あり方」が一番のカギだとは思います。

 

雷雨の名古屋でしたが、名古屋イノベーターズガレージに取材に行きました。高島屋社長の村田善郎さんのレクチャーのあと、suzusan代表の村瀬弘行さんと村田さんによるトークセッション。
高島屋の海外展開の話が生々しく、意外な戦略を知って驚愕でした。教育(=学校)とセットにして展開していくとは。

ほかにも、

日本の百貨店の在り方が世界でも珍しいものであること。One Day Excursion(一日楽しめる空間)の特殊性。ワンストップ&おもてなし&文化発信を同時におこなうのが日本の百貨店。

最近の購買者は衣料品など買った瞬間から価値が下がるものではなく、資産化できるもの(時計、美術品、土地など)にお金を注ぐということ。

Z世代は高島屋の「オープンで正直」な姿勢を支持しているということ。

「非効率の効率」の重要性。文化催事など、「直接には儲からない」ものであっても、それを目当てに客が来るので全体的な効率を高めるということ。

日本らしさとは「一期一会のおもてなし」。雨が降ると店内の音楽が変わる。それを合図として、店員は、お客様のショッパーに雨用のビニールをかける。

百貨店は「伝え手」である。100万円の商品の価値を伝えきる。最近の若いお客様はとくに、商品の背後にあるストーリーを知りたがる。

企業文化や信頼を作るには時間がかかる。最初の5年、10年は赤字覚悟。地域と一緒になって、10年、20年と時間をかけて信頼を築いていく。テナントもまた「客」であり、彼らが出ていかないように信頼を築くことも大切。……などなど興味は尽きませんでした。

村瀬さんは日本で美術系の学校を受験するも全滅で、ヨーロッパに行ったら受け入れられたそうです。日本の学校は「上手い」人から合格させるけれど、ヨーロッパでは「伸びしろ」を見るのだとか。この話、「リトンアフターワーズ」の山縣さんのストーリーにも通じますね。日本で「落ちこぼれ」だった山縣さんは、イギリスに行ったらオセロがひっくり返るように全部プラスになっていった、と語っていました。

いま日本で不遇だと感じている人、それはただ環境が合わないだけかもしれないですよ!

 

イギリス大使館にて23日、スコットランドの新しい魅力を紹介するイベント”Scotland is Now”。主催はScottish Development International.香水、スキンケア、木製バッグ、アクセサリーといった、これまでのスコットランドのイメージにはなかった製品が新鮮でした。

ウイスキーの新しい楽しみ方を教えてくれるガラス製品も。Angel’s Share Glass.
Rocioの木のバッグは意外と軽くて、艶感、品格があります。パーティーバッグとしてよさそう。

Horus Stidioの香水も濃密で個性的。当然、ジェンダーフリーで使える今どきの洗練が感じられる高級ライン。調香師ユアン・マッコールはスコットランドにおける香水業界のパイオニア。Ishga の海藻を活かしたスキンケアはすでにフォーシーズンズのスパで採用されているとのこと。スコットランドの変化が垣間伺われる商品展開でした。しばらく訪れていないスコットランドですが、いつまでもタータン、バグパイプ、スコッチエッグのイメージにとどまっているはずもなく。

新しいスコットランドを体験しにいきたくなりますね!

 

超高級フレグランスブランド、アンリ・ジャックを取材しました。

こちらは100万円を超える香水でございます。

通常のタイプは15mlあたり8万円から20万円。

価格の根拠は何なのか? 魔性の魅力の本質は? などなど、あれこれ迫りながらも試香させていただき、陶酔の時間でした。詳しくは後日、活字化します。しばしお待ちくださいませ。

現在、Ginza Six 地下1階でポップアップ展開中です。香水好きの方はぜひ訪れてみてください。

JBpress autograph フィンランドのラグジュアリー観、後編が公開されました。「日本人が知らないリアルな『北欧スタイル』から考える新しい『ラグジュアリー』。

こちらでいったんフィンランドシリーズは終了です。ニセコに続き、人々の幸福感に政治が極めて重要な働きをしていることを、ひしひしと感じる取材となりました。機会があればぜひ訪れてみたい国です。

 

 

25日発売の週刊文春、森英恵さん追悼記事でコメントさせていただきました。

反骨のエレガンスで時代を切り開いた偉大なデザイナーである、とあらためて思います。

 

 

 

JBpress autograph フィンランドのラグジュアリー観、中編「ジェンダー平等とルッキズムからの脱却。フィンランド人の自然な付き合い方」が公開されました。

 

トップ写真は、©︎Visit Finland / Anneli Hongisto

 

第10回一青会がほぼ2年半ぶりくらいに開催されました。東京大神宮に併設されているマツヤサロンにて。

ファッション業界のリーダー(私を除く)の方々。主に経営サイドの方々です。

お食事もおめでたい席で出されるタイプの正統派のコース料理で、有意義な時間を過ごさせていただきました。

 

サンナマリン首相のダンス動画が話題になっておりますが。

フィンランドのラグジュアリーについて、大使館上席商務官に取材した記事を書きました。

本日より3回に分けて掲載されます。

1日目の今日は、フィンランドの幸福感とデザインの特徴についてです。JBpress autograph でお読みいただければ幸いです。

 

サンナマリン首相のダンス動画流出に関しては、英ガーディアン紙の反応がいちばんクールでした!モラルの是非は問わず、各国首脳のダンス映像とひたすら比較して、だれが一番うまく踊れるかという論点にすりかえてしまった記事。こういう反応、とてもイギリス的で痛快です。

今回の京都では、ダーワ・悠洛 京都に宿泊しました。先月泊まったギャリア二条と同じバンヤンツリーグループ、という安心感。

三条の町中にあり、外から見ると、ホテルなのかどうかわからない、さりげない佇まいで町にとけこんでいます。

ところが、一歩中に入ると、うわーっと高揚するロビー。吹き抜けの緑に気持ちがのびるだけでなく、和と洋がしっくりなじんで歓迎してくれる感じに、ワクワクしてきます。

お部屋の質感も高い。あらゆるタッチポイントに上質でいきとどいた感性が感じられます。スタッフもフレンドリー、フレキシブルですばらしい対応。このクオリティでこの価格でよいのか?というリーズナブルな価格にも驚いたのですが、浴槽だけないのですね。

シャワーだけで十分という海外ゲストや若いゲスト、多忙なビジネストラベルにはコストパフォーマンスの高い豊かな滞在になると思います。レストランのレベルも高い。 器もお料理もインテリアもいちいちリフレッシングです。


上はランチのコース。炭火焼が得意なシェフで、メインの火入れ加減が絶妙でした。

外からの見た目地味、中に奥深い世界が広がるという意味で、京都らしい隠れ家ホテル。

今年の3月にソフトオープン、6月に本格始動したばかりで、まだあまり知られてません。タクシーの運転手さんも知らなかった。従来のどのカテゴリーにも入らない、異空間が新鮮な穴場ホテル。

京都クリエイティブアッサンブラージュの仕事の続きです。

京大での収録のあとは山内裕先生のご自宅で、山内先生の手料理でおもてなしいただきました。ワインは山内先生と佐藤先生がフランスやイタリアで買い付けてきた稀少なナチュール(インポーターか⁈)。


築100年の建物を、柱を活かしながら最先端のテクノロジーで機能的にスタイリッシュに仕上げられたインテリアには、驚くばかり。キッチンには最先端のテクノロジーが搭載されており、スマホで指示するだけであとは機械がやってくれる、と。

お弟子さんたちはいつもこうして先生宅でごはん食べてるそうです。楽しそう。幸せなお弟子さんたちですね。

 

京都大学でレクチャーと鼎談の収録でした。

山内裕先生(下の写真左)がリーダーップをとる京都クリエイティブアサンブラージュのプログラムの一貫です。

文化ビジネスを創造する新ラグジュアリーの考え方が着実に広まっています。右はイタリアから来日中の共著者の安西洋之先生です。撮影は佐藤那央先生。


京大構内、はじめて入りましたが、山内先生の研究室がある建物は赤煉瓦造りで中もレトロな美しさ。

時間がゆったり流れている空間でした。

山内先生。京大に何人かいらっしゃる「変人」(京大では完全にほめ言葉ですね)のおひとりだそうですが、お弟子さんたちとともに、気さくであたたかいおもてなしで仕事をすすめてくださいました。

パークハイアット ニセコHANAZONOを舞台にイギリス人の光のアーチスト、ブルース・マンロー氏手がける壮大な光のインスタレーション、マウンテンライツ。


トークショーのあと「体験」しました。

ケタ違いのアートだった…。詳細はメディアで記事化しますので、あらためてお知らせしますね。

光の意味が変わった体験。ラグジュアリー研究者にとっては新しい視点をもたらされた衝撃の出会いとなりました。

アート体験のあとは、ハイアットのバーにてパーティー。

ブルース・マンローさん(右)と奥様のセリーナさん。今回の壮大な光のインスタレーションを創り上げたアーチストは、ピュアに光一筋に生きて、人生の可能性を広げています。”Don’t follow money. Follow your heart, then money will follow you” と言われました。


パークハイアットニセコのマーケティング、西山ユナタさん。今回のもりだくさんな取材中、きめ細やかに配慮していただきました。

ホテルのスタッフは30ヵ国から。ニセコの町にあるレストランなどもそうらしいですが、ここではサービススタッフとの会話がごくあたりまえのように英語。ほんと、外国にいるみたい。

 

 

パークハイアット ニセコHANAZONOは、ピエール・エルメとパートナーシップを結んでいます。

定番のピエール・エルメ・パリ アフタヌーンティーを体験しました。


セイボリーから始まる4つのコースにはそれぞれオリジナルモクテルやペアリングされた紅茶、ハーブティーがつき、ハイテンションで盛り上がれます。


ボリュームもかなりありますが、スイーツラバーであれば楽勝の量だと思われます(少食の私は3コース目から満腹してしまい、写真を撮ったあとに部屋にとどけていただきましたが)。

コースごとに変わるお茶、異なるティーポットなど小物も面白くて、飽きない。

新ラグジュアリースタディーズの一環としてツーリズムの現在を探っているうちに、いつのまにかニセコでアフタヌーンティーをしている自分を発見するわけですが、これって、トラベルライターをしていた19歳の頃と同じことをしているんじゃないか、と気づく。成長してないというか、還暦すぎて原点に一周戻ってきたというか。自分としてはこれまでの研究も経験も全部、巨大な網で伏線回収させていく予定でいるのですが、それまで生きていられるんだろうか。スイーツを食べながらビターな気持ちが一瞬、よぎります。機会はすべて神意とみなして受け止め、天に委ねるしかない。

ニセコの「道の駅」も花にあふれてかわいい。

「ルピシア」もニセコに本社を移したそうです。

道の駅では、ニセコでとれた野菜や果物が販売されています。長期滞在の方もここで野菜を買い、自炊されたりしているそうです。私もメロンをひとつ買いました(後日「食べごろ」にいただいたら、若返りそうなジューシーなおいしさでした!)


ニセコ町公用車(!)でご案内くださいました、ニセコ町役場の龍さんと百恵さん。龍さんは九州からの移住、百恵さんは名古屋からの移住。ニセコのことを移動中にたくさんお聞かせくださいました。町役場も訪問し、ニセコ副町長の山本契太さんにインタビュー。ニセコの町の民主主義の具体的あり方など、目から鱗のお話。町長の片山さんとお話する予定でしたが、片山さんがコロナ陽性で自宅療養となってしまい、急遽、山本さんにご対応いただきました次第。お話は後日、記事化します。
できたてほやほやの町役場は、木のよい香りがしました。
歓待いただき、ありがとうございました。

ニセコ蒸留所。

昨年、オープンしたばかりの蒸留所です。ニセコの軟水を活かし、ウイスキーやジンなどが作られています。

醸造所は見学可能で、林所長がじきじきに解説してくださいました。所長はもとニセコ副町長です。

モルトはイギリスから輸入。

蒸留のためのマシンはスコットランドから輸入。

「国産ウイスキー」となるまでには3年以上の国内醸造が必要で、倉庫には4種の樽の中で未来の国産ウイスキーたちがじっくり育っています。

左から、ご案内くださいましたニセコ町役場の龍さん、百恵さん、そしてニセコ蒸留所の所長、林知己さんです。龍さんも百恵さんも、ニセコを気に入り移住。ニセコの人口はこんなニセコ愛をもつ移住組のおかげで年々増えているそうです。


バーカウンターもあり、各種のドリンクを楽しめるようになっています。

ここで作られたオホロジンも爽やかでおいしい。定番のオホロジン(左から2本目)に、この季節限定のラベンダージン(左)も数量限定で販売されています。ラベンダーの香りに深呼吸したくなるようなフレッシュなジンです。

2年後、この倉庫もいっぱいになっていることでしょう。どのようなニセコウィスキーが誕生するのか……楽しみですね。

 

北海道初上陸。ニセコ取材です。

新千歳空港からパークハイアット・ニセコHANAZONOのリムジンに乗って延々と続く白樺林を2時間半。途中、林の向こうに見える支笏湖が雄大でした。

一休みしてから、ニセコ町役場の龍さん、百恵さんにご案内いただき、ニセコ髙橋牧場。


余って捨てていた牛乳をアイスクリームやお菓子に加工して販売することで有効利用しようと始まったビジネスが、地元の方々はじめ道内の方々に支えられて大繁盛しているそうです。

北海道もなかなか暑く(でもからっとしている)、撮影中、手に持ったアイスクリームがみるみる溶けるレベル。

トップ写真は羊蹄山です。こちらは牧場の建物のひとつ。

いまは「花の季節」とかで、いたるところに花が。とりわけアジサイがピークでした(ここにはありませんが)。

Forbes JAPAN 連載「ポストラグジュアリー360°」第20回は、観光と新ラグジュアリーの関係をテーマにしました。

「観光とラグジュアリーの未来 雪国の温泉宿ryugonの場合」

ラグジュアリー観光議連」なるものもあるそうですが、一晩一億の世界はたしかに利益を考えるうえでは重要。ただそんな「旧型」とは別に、次世代の価値観にあう新ラグジュアリーの視点でのインバウンドを考えることもこれからは必要なのではと思い、ryugonのプロデューサーである井口智裕さんと、ディレクターのフジノケンさんにインタビューしました。

TOPのうっとりものの写真はフジノさまご提供です。(Forbes掲載のryugon写真もフジノさま。本欄のTOP以外および近辺地域の写真は中野撮影です)

MATCHAの青木優さん、ご紹介ありがとうございました。

後半を書いている安西洋之さんは、観光地の地元民の生活を切り売りして観光ネタとして見せることを「文化の盗用」になぞらえ、注意を促します。たしかに、新ラグジュアリー視点では、地元民のライフスタイルの切り売りを地元民が快く思っていないとすれば、それを消費することは避けたいところ。盲点でした。

本日の日経連載は、フィンランドから上陸するスキンケアブランド「ヘヌア」について書いています。創始者にインタビューしました。フィンランドの女性首相や党首たちがなぜあれほどカジュアルでリラックスした装いで公務を務められるのかについても。

紙版とともに、電子版ではこちらからお読みいただけます。

猛暑の歩行者天国を抜けて、20代の人と「俺のフレンチ」銀座店。

店内ライブ演奏中で、20代と思しきゲストでほぼ満席。


フォアグラが牛フィレにどっしり搭載された「ロッシーニ」。かくも巨大なフォアグラが使われるのは、おそらくとんでもなく時代錯誤的で、いまではなかなか目にすることもできず、ゆえに感動しました。

昨日の動画撮影で質問に出たのは「UNIQLOは、無印良品は、(ラグジュアリーと見る若い一人も多いが)一般的にはラグジュアリーではないのか?」ということ。

UNIQLOにも無印良品にも俺フレンチにも「これで十分幸せ」な豊かさがあり、低賃金が続くいまの日本でラグジュアリーを議論するには、ここを避けて通るわけにはいかないであろう巨大な関門だと思いいたった次第です。

なみなみサービスも日本的ですね。

Forbes JAPAN 連載「ポストラグジュアリー360°」更新です。

今回は安西さんスタート。イタリアのドラーリという自転車(の歴史の継承)をめぐる新しいラグジュアリーの萌芽について。

これを受ける私は、あまりの完璧な世界にコメントのしようもなく(!)、マイケルブラスト、龍言、トップガンの三題伽でむりやり着地いたしました……。お時間許す時にでもご覧くださいませ。

 

龍言については、感激の余韻の勢いで、プロデューサーの井口智裕さんらにインタビューをしました。詳細は来月のこの連載で書きます。

新ラグジュアリーが人文学発ということにまだピンと来ていらっしゃらない方に、とてもわかりやすい安西さんの論考です。ぜひお読みください。「インバウンド論議を『孤立』させない --- 文化・ビジネスの全体的構図を描く」

 

なぜ海外に対して高価格交渉ができないのか? 日本のライフスタイルを<幸福>として自信とともに示し、人生哲学を誇らしくもつことの重要性がよくわかる必読の論考です。未来を作る新ラグジュアリーが個人の尊厳を大切にする人文学発という意味もまさにここに気づいていただけることと思います。

インバウンドにしても、表層を「京都っぽく」して客を呼ぼうというのはもう、絶対に違う。通販で買えるような土産ばかり売っているお土産屋さんもいらないし、おしゃれな抹茶カフェもいらない。その土地の人々がどのような人生観をもって地域と暮らし歴史を作ってきたのか。どこに幸福を感じてきたのか。それを自信をもって発信することが、高価格の交渉を可能にする根拠になります。イタリア、フランスはそのような「ライフ」観を自信をもって示すことでラグジュアリーの根拠を作ってきたのです。

 

新潟・六日市の旅ではその可能性の具体例を見た気がします。日本のインバウンドに通底させたい考え方と、メイドインジャパンのラグジュアリー製品の高価格を支えるべき哲学は、決して切り離すことができません。「ライフ」に対する哲学、幸福感を自信をもって示すことができるかどうか。「わたしたち」全体に問われています。

とはいえ現状の日本では相当にハードルの高い理想だということは、重々、承知しております。まずは、目指したい理想を書いてみました。

 

2日間にわたり、NewsPicksでじっくり取り上げていただきました。ありがとうございます。2日目の記事です。「ラグジュアリーで『社会課題』を解決する」。

発売後、日本経済新聞、東洋経済、日経ビジネス、LEON、そしてNewsPicksで書評やご紹介をいただきました 。「鳥の鳴き声か?」と言われた当初に比べたら、じわじわと広まっている手ごたえを感じます。SNSで応援してくださいました皆さまにも感謝します。

尊厳を守られた個人の内面に起点をもつ創造性が、ラグジュアリーを生み、結果としてそれが社会課題を解決し、これまでとは違う世界を現出させる。「新しいラグジュアリー」の世界観です。

 

さて、下の写真は、『新・ラグジュアリー』にも登場する、大阪大学のピエール・イヴ=ドンゼ先生が編集された大著。

カデミックな大著ですが、世界レベルでラグジュアリーを論ずる土俵に立とうとするときに、知っておくべき今の議論がひととおり、あります。戦略やマーケティングが中心となる「旧型」とは立場を異にする人文的「新ラグジュアリー」の土壌を耕すためにも、世界のアカデミックな現場では何がどのような言葉で論じられているのか、まとめて学べるのはたいへんありがたいです。

日本にも本格的なラグジュアリー・マネージメントの研究機関が作られることを願っています。

 

 

NewsPicks の「ザ・プロフェット」で二回にわたり『新・ラグジュアリー』が取り上げられます。今日は第一回目の記事の配信でした。『新・ラグジュアリーを知れば、社会がわかる』

NewsPicksの記者、藤田さんが、ラグジュアリーの歴史の要点をわかりやすく図解入りでまとめてくださっています。ありがとうございます。

この記事につけたNPコメントと重複しますが、あらためて以下のことはもう一度言いたい。

ラグジュアリーに対して日本人が抱くマイナスイメージ、ないし無関心はすさまじいものがあり、「金持ち相手の高級品ビジネスだろ」「鳥の鳴き声かと思った」「生活に手一杯で贅沢には関心がない」という声を露骨に聞きますが、まずはその偏見から取り外し、本来の意味や歴史を踏まえたうえでの最新の動向を知っていただければ幸いです。ラグジュアリー=ラグジュアリーブランド、でもありません。そんなイメージが支配的になったのはここ30年ぽっちのことです。

ラグジュアリーは社会の変化にいち早く反応し、今まさに次の姿へと変容を遂げつつあるまっただなかにあります。人々の「願い」の方向へと社会変化を先導する力を発揮しています。あと5年もすればラグジュアリー領域で起きていることが他の領域でも顕在化してくることが予想されます。

 

 

◇京都大学の山内裕先生による、けっこう詳しい『新・ラグジュアリー』評。山内先生は京都クリエイティブ・アッサンブラージュのリーダーです。

読む人にとって、反応する箇所がまったく異なるのが、ラグジュアリー論の面白さでもあります。

Gucci CEO、マルコ・ビッザーリ氏にインタビューした記事がForbes JAPANのウェブサイトにて公開されました。

コロナ後初の来日のタイミングでの独占インタビューです。編集部のもろもろのご配慮に感謝します。

2mはあると思われるマルコさん。

社会のできごとに対し、これからの企業は「中立」ではありえず、立場を明確に表明すべき時代になっている、という言葉が印象的でした。それが従業員にとっても誇らしいことになる、と。

数年前とは激変した価値観のひとつです。新疆問題でも「ノーコメント」はありえなくなっているということが記憶に新しいですね。スポーツ選手はスポーツだけやっていればいいという時代ではなくなっていることは、大坂なおみの行動を支持するラグジュアリーブランドの動きをみてもわかる。ラグジュアリー領域は変化に最も敏感に反応し、先手、先手で動いています。

 

カメラマン小田駿一さん、編集は鈴木奈緒さんです。小田さんによる写真は、マルコさんが大変気に入り、公式ポートレートに採用されたそうです。(袖口のタグに注目!)

昨日は「未来」に向けた仕事の打ち合わせが2件で、脳内は2023年、2028年でしたが、かんじんの2022年はあと半年なのですね。過去に実現されるはずだった仕事もまだ終わっていない(関係者の方、ごめんなさい、追いつきます)。

実績を残すにはある程度の時間、社交の世界ではゴーストになる必要も出てきますね。より大きな力で人のために貢献するためにも、一定期間はGo Ghost and Focus on Yourself という構えでいるのもいい。それを理解してくれるゆるいコミュニティにいるのがいい。

 

さて、『新・ラグジュアリー』掲載お礼です。

13日発売の「日経ビジネス」。小さな欄ですが、「編集部のお勧め」として掲載されました。ありがとうございます。

 

そしてダイヤモンドオンライン。京都大学山内先生が主導するKyoto Creative Assemblage紹介シリーズのなかで、新しいラグジュアリーの考え方が紹介されました。「ヴィトンなどラグジュアリーブランドがこぞって『人間性』を志向する理由とは? その新潮流を読み解く」

 

(本のなかでヴィトンは旧型に分類したのですが……笑)ダイヤモンドに関しては、この文脈とは別個に「リベラルアーツ」として「新ラグジュアリー」解説の機会が決まっております。さらにNewsPicks でも近日中にインタビュー記事が掲載される予定です。

日経新聞、東洋経済、日経ビジネス、ダイヤモンド、NewsPicksと好意的にとりあげていただいたことで、ビジネス界の情報の送り手にはじわじわと認知度が高まってきた感があります。ありがとうございます。ラグジュアリー領域で起きていることは、これから他の領域でも起きていくでしょう。勉強会における本條晴一郎先生の言葉を借りれば「ラグジュアリービジネスは、トイモデル」。

湯沢高原パーク。

世界最大級のロープウェイで上ると、雲の上に広がるパノラマが待っています。

はるか下に越後湯沢の駅周辺が見渡せる。雨が降ったり日がさしたり、光次第で高山植物園は白日夢のような世界になります。

 

白日夢的な景色に包まれてみると、「世界」の可能性が広がるように感じられるのですよね。

日々の現実が「広大な宇宙のほんの一部」でしかないとわかると、小さな悩みはどうでもよくなります。悩みですらなかったと気づくというか。

この地点を過ぎるとややきつめの山登りになっていきます。各カーブに小さなお墓や石造があったりして、ひやりとした霊気を感じます。

いかにもな「映え」スポットでなんだかな感はありますが、せっかくなので乗ってみました(笑)。

かなり歩き疲れて戻ると、本格釜焼きピザの店アルピナが目に入ります。

素朴で王道なお料理&ワインですが、運動の後にいただくスパークリングの美味しさはひとしおですね。

ウクライナ事変以降、平和祈願でしばらく禁酒していたのですが、久々にいただきました。なぜかまったく酔わない。

自然のエネルギーや霊気を浴びて、眠っていた本来の野生みたいなものが刺激されました。トレッキング途中、何度か先のわからぬ怖い思いをしました。これを乗り越えて崇高に至るというのがロマン主義1.0の考え方ですが(『新・ラグジュアリー』ロマン主義の章を参照してください)。野生の直感を研ぎ澄まし、崇高の感覚に近づくためにも時々自然の中に身をおくのは大切ですね。

急なミッションが下りてきて(詳しく説明すると長くなるので省略)、銀座での仕事の後そのまま東京駅へ向かい、越後湯沢→六日町へ移動しました。

東京から70分くらいで到着、あっという間です。越後湯沢からの在来線は、完全に「貸し切り」。自分で扉を開けて閉めるタイプのワンマン電車ですが、ほんと、大丈夫なのか経営はと心配になるくらい。

越後湯沢駅前の「中野屋」さんで、へぎそば。超美味。

六日町の「龍言(りゅうごん)」滞在が今回のミッションです。

有形文化財に登録されている豪農の家屋を2020年にリノベしたホテルです。

都市型ラグジュアリーホテルの画一性に疑問をもちはじめた、というかグローバル基準に合わせたホテルには全く新鮮味を感じなくなった身には、かなりワクワクさせてもらえます。


ふるい歴史はそのままに、最新のインテリアやサービスが提供され、快適です。「ああ、これが日本のおもてなしであり日本的なラグジュアリーなんだ……」とじわじわ満足感がくる感覚。

こちらは「クラッシック」タイプ(標準タイプ)の部屋。かなり広く感じます。

パブリックスペースもとても充実しており、目に映るものすべてが美しいように配慮されています。

全ての宿泊客に太っ腹なラウンジサービスがあるのにも感動しました。

東京から1時間半でこんな豊かな場所に行けるとは。熱海、箱根ばかりではなく、(スキー)シーズンオフの越後湯沢や妙高も穴場ですよ。何より人がほんとに少ない。酸素濃度は濃い。きわめて濃い。自然と歴史と現代が調和した、ほんとうによい「匂い」がします。

北日本新聞別冊「まんまる」発行です。またかという感じで恐縮ですが(笑)、ファッション歳時記第130回は『エリザベス 女王陛下の微笑み』に見る「女王が愛される本当の理由」。

エリザベス女王には70年間分のおびただしい量の名言があるのですが、タイトルにしたのはそのなかのひとつです。

I have to be seen to be believed.

国民から信頼されているように見られなくてはならない、という感じでしょうか。そのように振る舞い続けてきたということそのものに、信頼されるに足る絶大な根拠がある。やはり女王からは「ブランド」のエッセンスを学べます。

さて昨日、誕生日を迎えました。メッセージをお寄せくださった読者のみなさまに深く感謝いたします。イタリアでは誕生日は周囲の人に感謝する日で、自分がホストになってパーティーを開くのだそうです。私はパーティーという柄でもないので、「いちばん人に喜んでもらえて、自分もハッピーになれるのは何か?」と考えた結果、方々から頼まれていた無償の仕事をいくつか、一日どっぷり使っておこないました。この日だからこそのご恩返しとか恩送りというような感覚です。人に感謝されるためにやるわけでもないけど、結果として感謝されるのはとても気持ちがよいですね。誰かのお役に立てたと実感できるのは幸運なことです。まだまだ頼まれながらできていないこと、返さなくてはならないご恩が山積しています。心にエリザベス女王のお言葉を住まわせつつ(!)誰かのために貢献していけたら幸いです。

?ウォルポールのラグジュアリーリポート”Be More Queen“より、英国No.1ブランドとしてのエリザベス女王の在り方解説。以下ラフな抜粋です。

“ブランドの成功の要は「Authenticity (本物であること)」にある。「誰かの二番煎じではなく、あなた自身の第一級のバージョンであれ」(ジュディ・ガーランド)。

なかでも最重要なのが「本物の声のトーンを確立すること」。ナイキの「Just Do It」のように。それを書いた人は「ナイキにアイディアは与えなかった。彼らが自身の声を見つけることを助けただけ」と。

ブランド不可欠なこの「本物の声のトーン」を確立し、最もうまく使い続けているのがほかならぬエリザベス女王。すべてを支配するNo.1ルールは「タイムレスな信念と価値観を持ち、相手がだれであろうとこれを一貫させること」。

女王は変身などしない。守る価値は変わらない。自身ではない別のものになろうとはしない。強い信念をもち、目の前にいる人への共感をもとに、知的に柔軟に対応するだけ。 各ブランドはこの最高の例からラグジュアリーブランディングを学べ。”

ビジネスのインスピレーション源にもなるエリザベス女王でした。

 

?ZUU Online シリーズの続きです。

第4回 ショパン国際ピアノコンクールで優勝者使用。新興「ファツィオリ」のすさまじきこだわり

第5回 日本のラグジュアリーの元祖。秦ヴィトンから学ぶビジネスモデルとは

第6回 「何の役に立つ?」からの解放。宇宙ビジネスに見るラグジュアリーの喜び。

 

?青山ブックセンター主催、オンラインでのトークイベントのお知らせです。

これからのビジネス、文化、社会、ひいては生き方の方向を照らすのは、新しいラグジュアリーです。

ここ30年くらい世界に影響力をふるい、肥大化を起こしていたラグジュアリーブランド的なやり方を「旧型」と位置付けています。もちろん旧型も時代に合わせて急速に変化しています。旧型の変化、新型のあり方を解説します。

青山ブックセンターのイベントページからお申込みくださいませ。

6月15日(水)19:00~20:30 ズームにて。詳細はこちらです。

いきもの使いになりつつあるこの頃。


湯布院のフクロウに続き、品川のマンタとも気持ちが通じた(気がする……)。

ラグジュアリーの反対語は、ヴァルガー(下品)。この場合の下品とは、本来の自分ではないものになろうとすること。
いきものの在り方から、ラグジュアリーの根源的な本質とは何かを学ぶことができます。それぞれが本来のネイチャーを十全に発揮する。それが可能な環境を作ることまで視野に入れるのが新・ラグジュアリーの立場。

イルカのパフォーマンス。イルカと人間の楽しそうなコラボ。

こうやってイルカを「働かせる」ことを虐待と批判する声があることも知っている。でも目の前のイルカも人間も、能力をフルに発揮して幸せそうに見えた。心の中の声まではついぞわからない。

「トップガン マーヴェリック」をその後アイマックスで鑑賞。30年以上も前、ケンブリッジ生活に備えて「トップガン」のセリフを丸暗記して臨んだほどの身なので、エモーショナルなポイントが多々ありました。前作をはるかにしのぐ、愛情にあふれた完璧な映画になっていました。

「おまえのようなパイロットは絶滅する」と言われ、「たぶんそうでしょう、でも今日じゃない」と答えたマーヴェリックのセリフに、スーツ史「続編」のヒントとモチベーションをいただいた気がします。

 

 

 

 

 

KITOWA 展示会。

「木は永遠(とわ)」という意味をこめて名付けられた日本発のメゾンフレグランスのブランドです。2018年創業。

三重県産ヒノキ、屋久島産クスノキ,青森産ヒバ、などの和木が用いられた、こころが落ちつく香りもののバリエーション。

オードパルファム、インセンス、バスエッセンス、キャンドル、ハンドウォッシュなど、ひととおり揃います。スタイリッシュな容器は有田焼。すべて日本産で、調香師、デザイナーも日本人です。

伽羅のインセンスは40本で11000円という価格帯。世界のニッチトップをめざすブランディングですね。

貴重な香木、マンションが買える価格の数々の香木も目の当たりにして驚愕。そのあたりに落ちてても価値がわからなくてふつうの枯れ木だと思って拾わないだろうな。奥の棚に鎮座するのは高価な香木の数々。個々の香木の撮影は不可ですが、全体の雰囲気フォトならと許可をいただき、ぼんやりしたイメージではありますがアップさせていただきます。

香りの濃度が強くて深い。バスエッセンスを試したところ、家じゅうに木の香りが広がって癒されました。

ムエットまでおしゃれですね。横にすると「K」というアルファベットにも見えます。

本日発売の週間東洋経済5月28日号 書評欄に大きくとりあげていただきました。

評者は塩野誠さん。的確にお読みいただき、とてもわかりやすくご紹介くださいました。ありがとうございます。

 週末の日経書評効果でしょうか、現時点でずっと「ベストセラー」マークがついております。感謝。

日本経済新聞の書評欄で、『新・ラグジュアリー』をご紹介いただきました。

東洋経済オンラインでもご紹介いただきました。

ありがとうございます。

 

 

フィンランドからシンプル・ラグジュアリーコスメ、HENUAが上陸します。

発表会がフィンランド大使館でおこなわれました。


大使の挨拶に続き、ブランド創始者のひとり、Jenni Tuominenさんによる詳しいプレゼンテーション。


発表会のあと、Jenniさんに北欧的シンプル・ラグジュアリーの考え方を中心にインタビューしました。なんだか国旗を背負った「どうだ」写真になって恐縮です。

インタビューに加え、フィンランド大使館に来てみて、大使、そして大使館商務官のLaura Kopilow さんのお話もじっくり聞いて、北欧ラグジュアリーの感覚が少し理解できた気がします。ヨーロッパ的ラグジュアリーの旧型とも新型ともちょっと違う、北欧のラグジュアリー観。日本との親和性は高いと思う。
フィンランドといえばムーミン⁈

詳しくは媒体に書きますので、またご案内させてください。

HENUAの日本展開においては、candlewickがパートナーとなるそうです。PR会社のあり方も時代に応じて変わっていかなくてはならないというCEOのNoriko Silvester さんのお話も印象的でした。

このスキンケア、写真で見るより実物を見て、試してみるとそのレベルの高さを実感します。

容器にいたるまでテクノロジーが駆使されている。このケース、マグネットですっと閉じるのですよ。数々のデザイン賞をとっているというのも納得。シンプル・ラグジュアリーを体現する最先端オーガニックコスメ。フィンランドの底力を感じさせます。

こちらはフィンランドのガチャで、椅子のミニチュア。精巧に作られているのでコレクターもいらっしゃるそうです。大使館では一回400円で遊べます。

Forbes JAPANでのポストラグジュアリー360°連載、更新しました。「『柔らかい言葉』が新しいラグジュアリーをつくる」。

デュッセルドルフで起業した、有松絞り5代目でもあるsuzusan代表の村瀬弘行さんへのインタビューからスタートしています。

後半の安西さんによる論考は、<日本の伝統文化や技術を海外にもっていく>ときに留意したいことにふれています。新ラグジュアリーの文脈で海外進出を考える方は必読と思われます。

村瀬さんは、日本の伝統文化をヨーロッパという異文脈にもちこんで、まったくコネのない土地でファッションビジネスを成功させたユニークな方です。現地の方との関係の築き方からして驚愕(のち納得)でした。

村瀬さんは新しいラグジュアリーを理解し、それを自分なりの方法で実践する方でもあります。ヨーロッパにおける「旧型」の扱いの変化の話もあり、多岐にわたり示唆に富んでいて面白いと思う。よろしかったらぜひForbes JAPANのサイトでご覧ください。

日本経済新聞夕刊「モードは語る」。本日は、SHIROの砂川プロジェクトについて書きました。

20代の化粧品購買層の判断基準も「かわいい」ではなくなっている、と創始者の今井さんは話します。

木曜日にアップした北日本新聞「まんまる」の記事とあわせてお読みいただければ幸いです。

MIKAKO NAKAMURA 南青山サロン10周年おめでとうございます。

10周年を記念し、サロンが美のミュージアムになりました。

躍動をテーマにしたモノトーンのコレクションは、アーティスティックスイミングオリンピアンの藤丸真世さんがダイナミックに表現。


歴代のカシミアマント。上質なカシミアの美しさもさることながら、色使いが洗練されています。毎年、完売の人気アイテムだそうです。

ブラックフォーマル。裳の場面でも着用可能なものも。日本では地味でマットな黒が「常識」とされていますが、海外では黒で華やかにドレスアップした姿を見ることも多いですよね。

2022秋冬コレクション。ザ・ミカコという高品質な素材と、アート感ある構築的なシルエット。

10年前はファストファッションの全盛期。そのころから、「捨てることができない」ほど高品質な服を丁寧に作りつづけてきたブランド。いま、時代がついてきた、という感あります。時代を超えて世界で通用する、普遍的なラグジュアリー感を湛えています。

ミカドシルク、と呼ばれる最高級シルクを使った一着。間近でみるととんでもない迫力です。

 

 

北日本新聞別冊「まんまる」6月号が発行されました。「ファッション歳時記」No. 129 は「この昆布からどんなコスメができるのか?」

SHIROの会長、今井浩恵さん、取材ご協力ありがとうございました。

プリンス・オブ・サステナビリティことプリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)が、サステナブル・マーケッツ・イニシアティブの晩餐会をバッキンガム宮殿で開催したというニュース。

新ラグジュアリーの旗手、ブルネロ・クチネリは、フェデリコ・マルケッティ率いるファッションタスクフォースに参加表明。再生ファッションのプロジェクトです。

こうして影響力のある方々がどんどん新ラグジュアリーのあり方の例を見せてくれるのは頼もしいですね。チャールズ皇太子は1980年代からすでに筋金入りのサステナ王子。「時が来た」という力強さを感じます。今後の展開にますます期待したくなります。

写真はブルネロ クチネリからのご提供です。この3人のスーツスタイルも語りどころ満載ですね(今はその場でない?)

Netflix 「ホワイトホット アバクロンビー&フィッチの盛衰」。

1990年代に排他的な戦略(白人・美・マッチョ以外は排除)がウケてカルチャーを席巻したブランドが、その価値を貫いたゆえに2000年代に失速,凋落。その過程に2000年代、2010年代にうねりを見せた多様性と包摂の動き、#metoo 運動など社会の価値観大変動がありました。関係者の証言で生々しく描かれる内部の様子が非常に興味深い。

それにしても、言葉遣いにいたるまできめ細かく設定された「エリート主義+セクシー+エクスクルーシブ(+伝統)」なアバクロのブランド戦略=排他的文化の構築に驚愕。

アバクロのモデルは服を着ないで服を売った。ファッションビジネスは、服を売るんじゃなくて文化を売る、ということがよくわかる例にもなってます。ふつうに良いものがあふれる今は、ますます文化に細心の注意を払う必要がでてきます。

とりわけラグジュアリー領域にその兆候が現れやすい。新ラグジュアリーが文化盗用や人権、包摂性やローカリティー、倫理観に対して敏感になり、新しい文化を創るのとセットになっているというのは、そういう文脈に則っています。ラグジュアリーが特権的で神秘的で選ばれた人のための贅沢品という思い込みのままなのは、1990年代で止まっているのと同じ。あらゆる文化間に「上」「下」関係を作るのがダサくなっている今、ラグジュアリーの概念も大変動を起こしています。価値観をアップデートしましょう。

 

?ファッションジャーナリストの宮田理江さんが