プルデンシャル生命保険(日本)の社員および元社員 約100人以上が顧客約500人から不適切に金銭を受け取っていたことが明らかになりました。顧客への投資話の持ちかけや、個人的な貸借の名目で金銭を受領していたケースが含まれ、 約31億円相当 にのぼります。
これを受けて会社は広範な内部調査を実施し、謝罪会見が行われました。
炎上したのが、写真のようなスーツですね。Xのフォロワーさまのリクエストを受けて、短くコメントをポストしておりますが、ここで少しだけ詳しく書いておきます。
企業の謝罪会見において、スーツは言葉以前に社会へ発せられる「無言のメッセージ」になります。
今回の会見で注目されたのは、黒無地のスーツに白シャツ、黒タイという、いわゆる「謝罪の定型」を踏襲しながらも(ダークグレーという選択もあります)、ピークドラペルのタイトなスーツにダブルカフスのシャツ、カフリンクスという、エリートのにおい強めの完璧なスーツが選ばれていた点。
ピークドラペルは本来、礼装に由来する意匠であり、威厳や主張、舞台性を象徴します。一方、ダブルカフスにカフリンクスもまた、社交性や格式を示す装いです。いずれも「きちんとした服」ではありますが、「自己を目立たせない服」ではありません。
謝罪会見において最優先されるべきなのは、完成度の高さではなく、むしろ自己主張を消すくらいの姿勢でしょう。装いの役割は、信頼回復を助けることであって、個性や洗練を示すことではありません。理想とされるのは、控えめなノッチドラペルのスーツに、装飾性のない白シャツという、無個性で記憶されにくい装いです。
なぜそこまで「無難」である必要があるのかといえば、謝罪とは本質的に「社会的儀式」だからです。個人の美意識や趣味は、この場では一時的に封印されるべきもの。服が語り始めた瞬間、謝罪は演出に変わる危うさを見せ始めます。
今回の装いは、結果として、誠実さよりも美しいスーツの完成度が先に目に入り、炎上に至ったように見えます。
危機管理においては、「できるだけ普通に見えること」が最重要視されます。目立たないスーツ、ありふれたシャツ、記憶に残らない装い。服が沈黙できているかどうか。それが、誠意の深さを測る一つの物差しになるという、学びどころの多い事例でした。
少なくともこのスーツは、謝罪スーツNG例として今後、語り継がれるでしょう。


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