2010年4月22日
英各新聞のメンズスタイル欄に最近頻繁に登場しているのが、ニック・クレッグ。野党第二党のLib Dem(自由民主党)の党首で、童顔の43歳である。先だってのテレビ公開討論会では、現首相で労働党党首のゴードン・ブラウン、野党第一党の保守党党首デイヴィッド・キャメロンをおさえて、高ポイントを獲得していた。
ネクタイが象徴する3人のテーマカラーがわかりやすい。ブラウンは赤よりのパープル、キャメロンはブルー、そしてクレッグは金色である。
英「フィナンシャルタイムズ」17日付のヴァネッサ・フリードマンの記事によれば、金色のタイは、マークス&スペンサーのものであるようだ。ライラックやパープルのタイの政治家が多い中、金色はとにかく目立つし、暗い時代に輝かしさを与えてくれる。(日本の現首相も、いっとき金色のタイで話題になったことを思い出す・・・・・・)
クレッグのスーツスタイルも、政治的な立場のメタファーになっている、という指摘。ブラウンの「武装としてのスーツ」スタイルと、キャメロンの「サヴィルロウなんだけど袖をまくりあげたりワークブーツを合わせたりもする」いまどきリッチスタイルの、どちらにもころばない中庸のスタイルだと。クレッグのスーツはトラディショナルで、目立たない、既成服が多い(白かブルーのシャツ、ダークスーツでピンストライプなどはなし、イエーガーやポールスミス風のクラッシックスタイル)。このスタイルが、まさにクレッグの立場を象徴している、と。
指摘されてみると、たしかに、スタイルが「人」を表わしているなあ、と見えてくる。そういうふうな見方(言葉)を提示できるジャーナリストがいて、そういう言葉を掲載できるメディアがある、というのは、ちょっとうらやましいな、と思う。
政治家のファッション(特にネクタイの色)については、皆様ごぞんじのように「ニクソンvsケネディ」のTV討論会が有名ですね。ニクソン大統領はWG事件で一時評判を落としましたが、彼の著書「指導者とは」(今は手に入るのかな)で世界各国の著名な政治家が国を導く指導力を発揮する、彼らの強烈なまでの意志の強さ・個性を記述したものがあります。ファッションの世界とは違いますが機会があればぜひご一読してみてください。
私事ですが、10年ぶりくらいにグレンチェック(水色ライン入り)のスーツをオーダーしてしまい、合わせるネクタイが無いです(笑)。もうボーナス払いでも良いから奮発してシャルベのネクタイでも買おうかと考え中です。日本橋三越まで行くのが大変なのですが・・・
[E:happy01]初めまして。
中野先生のサイトがあるとは知りませんでした!
先生の本が大好きで、ほとんど拝読させて頂きました。
これからこちらのサイトで、時々読ませて頂きます。(本とは違い、料金が発生しないことが心苦しいですが・・。)
先生のエッセイがリアルタイムで読めるなんて、感無量です・・
以前は、雑誌の中から探してましたので・・。
新刊も楽しみにしています。
お邪魔致しました☆
>kichiroさん
亀レスで恐縮です。ニクソンとケネディの対決は、今はまっている「マッドメン」でもさらりと社会背景として出てきます。二人の対決には広告業界もからんでいた、という文脈がスリリングです。
ご紹介いただいた本も、「読みたいリスト」に入れておきます。感謝。
>ryokoさん
ご愛読ありがとうございます。こちらのブログは、読んだり見聞きしたりしたことの備忘録のようなものとして書いています。加齢にともなって加速度的に忘れっぽくなっていくので(笑)。
読者の方のレベルがとても高くて、教えられることも多いので、お金にはならなくても得してる気分ですよ。