幻想がくずれそうな気もして保留にしていた、「新潮45」付録の白洲次郎DVD、ようやく観た。

最初の数分は写真による次郎の生涯紹介。つづいてようやく「動く次郎」(!)が登場。1957年11月20日の、内閣総理大臣官邸でおこなわれた「憲法調査会」第6回総会。白洲次郎が参考人として召集されたときのNHKの映像とかで、ほんとに短くて、しかも前後の文脈がわかりづらいので(本誌に解説があったが、それが詳しすぎてよけいわからない)、「ええっ?これで終わり?」感もあり。

ほんの短い映像とはいえ、人柄はうっすらと伝わってくる。次郎の左右に座っていた人が「原稿読み上げるだけ」の、絵にかいたようなお役人タイプだったからよけいに違いが際立ったのかもしれないけど、ちゃんと相手に言葉を届けようとする話し方だった。でも声は意外としゃがれていて、話し方もべらんめえ風味入る。スーツの着こなしは、周囲に抜きんでて美しい。

「劇的かどうかということは、これは人間の感情問題なので、劇的と思う人もいるでしょうし、劇的と思わない人もいるでしょうから、劇的なシーンのように本に書いてあることが違っているとは申しませんがね」

こういう表現のしかたに、イギリス紳士階級によく見られるシニカルなものの言い方に通じるものを感じて、にやっとしてしまう。

これだけの映像だけでは、憲法調査会の内容なんてまったくわからないので、「動いてしゃべる次郎が見られる!」だけで喜んでしまう、マニアックな次郎ファン向けかな。

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