2010年12月9日
鹿島茂『「ワル姫さま」の系譜学 フランス王室を彩った女たち」(講談社)。445ページの大著。フランス史を動かしていたのは、宮廷に出入りする艶女と、その女たちをめぐる男たちの下世話な欲望だった!という週刊新潮風視点(?)で描かれる、ワル姫さまに焦点を当てたフランス史のエピソードの数々。
色恋をめぐる女たちのあの手この手の策略が、政治に直結して歴史を変えてしまう、という事実の驚愕の面白さに加え、鹿島先生のサービス精神たっぷりの、おやぢ目線入りの分析のおかしさが満載。
カトリーヌ・ド・メディシスの使った「くノ一軍団」ことエスカドロン・ヴォラン(遊撃騎兵隊)と呼ばれた美女軍団のエピソードが強く印象に残る。男を籠絡するためのありとあらゆる手練手管を仕込まれた最高の美女たちの軍団である。え?まさか大の男がひっかかるのか?といぶかったが、敵の大将がほんとにへなへなと落ちるのだ。
歴史を動かしてきたのは、政策なんぞよりもむしろ、宮廷内のベッドなのだなあと思わせられてしまうほどの、圧倒的な事実の迫力。
美女たちの名前がややこしくて覚えづらく、混同しがちなこともままあったが、名前を現代の任意の名前に置き換えると、あらゆる恋愛のパターンや変態の原型がたちあらわれることにも気づかされる。というか、現代「変態」に分類されることもある行動も、すでに数百年前から連綿と続いてきたフツーのことだということがわかる……。
痴情のもつれから読み解くイギリス史、っていうのもありだろう。読んでみたい。
マルグリットは「ワル姫さま」なんかじゃない!
鹿島茂・著の『「ワル姫さま」の系譜学』↓をチラリ拝読…
ルイの祖母にあたるイザボー・ド・バヴィエールから始まって、
フランス史に登場する数々の歴代王妃&愛妾が名を連ねる中、
(例によってギー・ブ……
中野さんの存在を知ったのは、
今は、廃刊になってしまった月刊「プレイ
ボーイ」での鹿島さんとの対談でした。
確か女心の研究とかいう連載ものでした。
あの中野さんのコメントは、ファンション
オンチの自分には、なるほどと思いました。
また、鹿島さんは、ユニークな存在ですね。
難しいことを簡単に表現してくれるセンス
が好ましいと感じます。
>たけいさん
月プレ対談……そんなこともありました。なつかしい。
ちょいワルファッション全盛期のころで、
それがいかに「まったくもってセクシーではない」か、
というような話をした記憶が、ぼんやりと。