おそろしく審美眼の高い「モノクル」の編集長、タイラー・ブリュレ様が、ミラノコレクション及びミラノのショウルームのトレンドを通して予測した、2011年秋のメンズウエア(マーケット)の予測。英「ファイナンシャルタイムズ」21日付。ざっと抜粋をメモ。
1.ミスター・USAを見限るな。
スーツにフォーカスした多くのイタリアのブランドは、アメリカの顧客向けの売上げを上昇させている。ビジネスを成功させたいと願うアメリカ人男性は、シャープな印象を作る必要があり、もはやドレスダウンによってなんらかのアピールができる時代ではない。アメリカのビジネスマンはヨーロッパやアジアの同僚にならって、すっきりスマートなシルエットを採用したがっているのだ。
2.日本を見限ってもいけない。
多くのイタリアのファッションブランドは(大なり小なり)日本ヌキでビジネスはできない。日本人男性は、わかりやすいラグジュアリーブランドには走らない。日本人男性が買うのは、Boglioliのブレザー、Felisiのバッグ、Butteroの靴、Bigiのネクタイである。実際、小さなイタリアのブランドは、日本において記録的な好況期を迎えている。
3.中国の「ファッション・ドラゴン」は「メイド・イン・チャイナ」をほしがらない。
ヨーロピアンブランドであっても中国に生産工場を移したものは、ビジネスが減速している。洗練された中国人は、自分ちの裏庭で縫製されていながら「メイド・イン・イタリー」のタグがついたバッグなどほしがらないのだ。
4.韓国のエンジンに注目。
中国の成長は興奮ものだが、今年大きな好況をもたらすのは、韓国の小売業者のバイヤーであろう。韓国の男は、東京の男のようにドレスアップしたがっている。日本に次いで大きな可能性を秘めるマーケットとしてこの市場を見ているバッグ、アクセサリーのブランドにとって、これはグッドニュース。
5.未来はテイラード
しばらく続いたワークウエアのブームは終わり。メンズウエアはテイラードの方向へ向かうだろう。
日本人男性のファッション行動の観察に関しては、さすがタイラーというか。日本の男性の、洗練されすぎなほどにマニアックなファッション感覚が、イタリアの小さなブランドの経済状況をうるおしているという報告に、あらためて日本男性のファッションパワーを実感する。海外投資もいいけど、ふんばっているドメスティックブランドにもお金をつかってあげてください。
中国の「ファッションドラゴン」の行動も痛快。中国製なのにバッグのハンドルだけイタリアでつけて「メイド・イン・イタリー」にしている某高級ブランドに対する、痛烈なしっぺがえし。
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