◇台風12号の被害が大きい。亡くなった方が30名近くも…。(その後の報道では、さらに日々大幅に犠牲者が増えている。)なんともむごいことだ。まだ見つかっていない方や、避難を余儀なくされている方々も多い。村ごと孤立しているところもある。何もできず、ありきたりの言葉で心苦しい限りだが、被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。孤立している村の方々の安全が一刻も早く確保されることを祈ります。こんなにも大きな水難が続くことなんて、かつてあっただろうか…。
◇鷲田清一先生の『くじけそうな時の臨床哲学クリニック』(筑摩書房)。2001年に『働く女性のための哲学クリニック』として出ていた本の、増補版文庫化。今年の8月10日に出たばかり。
新版には、小沼純一氏と鷲田清一氏の対談あり。震災後に鷲田先生が気になっていることとして、「子孫のことを社会が考えてこなかった」ことを指摘。
「明日は今日より絶対によりよくなるっていう感覚があって、将来のこと、つまり子孫のことをあんまり考えてこなかった。次の世代も何とかなるだろう、やっていけるんだろうって」。
だからエネルギーは使い放題。国債は発行し放題。子孫のために辛抱するとか蓄えるという人類の基本をまったく考えない社会になってしまった、と。財を残し、知恵を残し、言葉を残すということをしなくなった先に、いったい何がくるんだろう。「七世代先」のことまで考えていかなくては、みんな沈んでしまう。自戒をこめて。
この前から考えていた「かわいい=こわい」問題に対するヒントも。
鷲田「いまは、世の中にやたらかわいいキャラがあふれているけど、結局ああいうものは、想像力が一番乏しい。あのキャラクターが送ってくる電圧っていうのは、ほとんど均一ですよね。尖った議論であるとか、尖った感覚であるとか、拒絶の感覚であるとか、そういう強度の高いものを全部あらかじめシャットダウンするという感じがあります」
小沼「ある意味ではこの列島にずっとつながっているようなごまかしみたいな感じもありますよね」
かわいい=日本にずっとつながっているごまかし。
「かわいい」礼賛と、子孫を無視した国債発行やエネルギー浪費をしてしまうメンタリティは、一続きである。一見、乱暴に見えるが、いや、この視点も、あながち無視できないように感じる。
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