Signature 5月号の葉山考太郎さんの連載「スパークリングなスクリーン」10回目。
リュック・ベンソンの「ニキータ」に登場するテタンジュが、セリフと合ってないという指摘から、なぜそうなったかという推理。
ソムリエは「テタンジュ・コント・ド・シャンパーニュ・ミレジメです」というのだが、画面に映っているのが、ラベルが金色の「ブリュット・ミレジメ」。これは愛好家にとっては、「『ベンツSLです』と言われて『プリウス』が登場した感じ」らしい。
酒を飲まないと豪語しているリュック・ベンソンの映画で起きた、そのような取り違え事件。これについて葉山さんはきめ細かく推理をめぐらしていくわけである。
ユーモラスな推理の過程のなかで、各有名シャンパーニュの「イメージ」が表現されているのだが、それがなかなか興味深かったので、メモさせていただきたい。
「フランス人でも、知っている銘柄は多くても、モエ、ランソン、ポメリー、ルイ・ロデレール、ローラン・ペリエ、クリュッグ、テタンジェ、ヴーヴ・クリコ、ボランジェの9種ぐらいだろう。ボランジェは男性的すぎるし、クリュッグでは超マニアック。ヴーヴ・クリコでもいいが、いきなり『未亡人』は可哀相。モエ、ランソン、ポメリーは神秘性に欠ける。ロデレールは『円熟マダム』だし、ローラン・ペリエは颯爽とした青年だ。なら、『最もエレガント』なイメージのテタンジュで決まり」
ぼんやりと感じていながら「イメージの違い」がよくわかってなかったシャンパーニュの違いが、ほぼわかったような気分になれた文章。
とはいえ、同じテタンジュという銘柄の、最高級版コント・ド・シャンパーニュ・ミレジメと、1本98フランのブリュット・ミレジメの違いまではわかりようもない(~_~;)
その違いが画面にでてきた一瞬でわかるほどのマニアックぶりに感動。逆に、一つのことに対して「専門家」と称するには、これほどのマニアじゃないと説得力がないわよね。自戒をこめて。
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