イタリア大使館にて、ドルチェ&ガッバ―ナの「アルタ モーダ、アルタ サルトリアとアルタ ジョイエッレリア」という豪華絢爛なコレクションが発表されました。


今年の桜の季節に、20余年ぶりに来日を果たしたドメニコとステファノ。日本の文化や人々に感銘を受けたデザイナーが再来日したのです。好きになったら本当にすぐ来てしまうというところ、情熱的なイタリア人らしいですね。


今回は、美しい庭園をもつイタリア大使館全体がデザイナー自身のアトリエに見立てられ、デッサン画や仕立て途中のドレスが飾られた館内をモデルが練り歩くという前代未聞のスタイルでおこなわれました。

クラシックなイタリアのテーラリング技術を活かしたスーツや、美しいビジューやファーをあしらった芸術品のようなドレスが、100作品以上、紹介されました。日本の着物をデザイナー独自の解釈でとりいれたルックも登場。ひとつひとつが、贅沢このうえない生地で作られ、手縫いで作られています。ヘッドピース、アクセサリー、バッグ、靴、メイク、それぞれの細部にいたるまで、彼らの美意識に貫かれています。写真ではなかなかその迫力が伝わらないのですが、あまりの美しさに感動のあまり気絶しそうになります。美しさの表現に遠慮なし。制限なし。フルスイング。それがこのブランドのたまらない魅力です。



テーラードスタイルも圧巻。生地のなめらかな美しさ、シャープなライン、艶やかな色使いにため息が出ます。


こんなやりすぎなくらいのファー使いができるのも、ドル&ガバならでは。痛快です。



喝采を浴びながら登場するドメニコとステファノ。


ショウのあとは、大使館庭園に、この日のために特設された薔薇のテントでランチ。テントには天井画風の装飾も描かれ、金屏風が立ち、いたるところに薔薇、バラ、ばら。文字通り、ラ・ヴィ・アン・ローズな空間でした。

日本文化に対する敬意も表現されていました。厚かましくも箏の前で記念撮影させていただきました。

着ているのはドルチェ&ガッバ―ナのドレスですが、いつもながら、俗にいう「着心地」はほんとによくないのです。「デザイナーが理想とする女性美を表現した、この形の中に入りなさい」という厳しい服なのです。着るコルセットというか。背筋がいやおうなくのび、肩甲骨が後ろに引っ張られて胸郭が開き、必然的に自信あふれる姿勢になり、ゆったり堂々としたイタリアンマダムのような歩き方になる。これが、身体の苦しさをはるかに超える心の快感をもたらします。ほかの「楽な」服では絶対に得られない、心身の覚醒をもたらすほどの、「本物の着心地」の意味が、服を通して実感できるわけですね。西洋の女性が長らくコルセットを手放そうとしなかった理由のひとつも、そのあたりにあると思う。


ゲストは200人をゆうに超えていたように見えましたが、一人一人に、自宅から大使館までの送迎ハイヤーが用意されました。ハイヤーの運転手さんいわく、「うちの会社の全車がこの日のために出ています。それでも足りなくて、他の会社からも出ていますね。日曜日にこんなことがあるのは、前代未聞です」。前代未聞の心のこもったおもてなしで、ますますファンとの絆を強固にしたであろうドルチェ&ガッバ―ナ。また近々の来日を楽しみにしています!

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