「サライ」にご協力したこの記事を見て、テレビの番組制作者の方から何度もお問い合わせをいただきます。民放からも、NHKからも。
クイズ番組や「へ~っ」と思わせる番組では、「ビニール傘は日本で発明されたんだよ」というストーリーがウケるのだと思われ、「これ(=ビニール傘は日本のホワイトローズ社が発明した)は事実といって間違いないのか?」という問い合わせをいただくことになるのでしょう。
いちおう、日本の傘業界ではそのように周知されており、ホワイトローズ社のHPでもその旨を書いています。どこからも反証はなく、今に至りますし、私も反証するつもりなど毛頭ありません。
ただ、昭和女子大学経由でお問い合わせをいただいて大学にご面倒をおかけしたり、あまりにも「まちがいないですね?」と念押しされたりするので、いちおう、私の見解を書いておきます。
ホワイトローズさんはまず、ビニールの傘のカバーを作りました。1953年ごろから。
ビニール傘の完成形が世に出たのが1958年。
一方、イギリスのフルトンの創業が1956年です。フルトンは女王陛下のビニール傘でも知られていますね。
このころ、ニューヨークで大ヒットしている鳥かご型ビニール傘「バードケージ」はフルトンのもの。
ですから、何をもってビニール傘とするかによって微妙です。
傘のカバーをビニール傘に入れてしまうなら、記録がある日本が初でよいのではないでしょうか。ただ、完成形をもって「初」とするなら、フルトンの初期の記録も徹底的に調べる必要があるかと思います(ブランド創世期の記録はあいまいだったり、残っていなかったりすることも少なくありません)。
これ以上の断言は今のところできかねます。1956年から58年の間に、ビニール傘が新しいものとして世界で同時多発的に広まっているという状況が想像できるのみ、というところ。どうしても厳密に知りたい、という場合、傘の研究をご専門になさっている方にお伺いすればさらに詳しい状況がわかるかもしれません。
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