ゴールデンウィークといっても混雑が何よりも苦手なので日中は引きこもって仕事とファミリーの世話と家の手入れ、すべてノルマを終えたあとは試写です。ラグジュアリーな感覚とは遠いけれどユニークな2作、まとめてご紹介。

まずは、夏が近づいてくることを知らせる風物詩、サメものです。
ひたすら生々しい恐怖を味わえる今年の佳作はこちらでしょうか。
「海上48hours」。

教訓1: 友達が一緒だからって調子に乗るな
教訓2:調子に乗りやすい友達とつるむな
教訓3:調子に乗りやすい友達はだいだい裏切る

恐怖とスリルとアドレナリンで時間を忘れる没我の85分。
暑くて人生投げ出したくなるようなことあればそのタイミングでご鑑賞ください。この状況に比べればマシな人生にもどりたくなると思われます。納涼B級シネマ。

7月22日公開です。
監督ジェームズ・ナン、出演ホリー・アール、ジャック・トウールマンほか
配給GAGA 。

もう一作は、タイトルからして挑戦的な、”The Worst Person in the World.” 「わたしは最悪。」

オスロを舞台に、ひとりのアラサー女性の日常が淡々と描かれます。本人はいつも正直にその時々でこれしかないという選択をするのですが、引いて見ると、最悪のやらかしばかりにも見えてきます。でもことさら騒ぎもなく日常は続いていき、静かにチャンスを逸しながら人生は下降線、おそらくヒロインは一生、こんな最悪の人生の選択をしていくのであろうか…。ズキッとします。自分に正直に行動せよ、というスローガンが正義みたいになってますが、ほんとにそれがよい結果をもたらすのでしょうか? そもそも「よい結果」ってなんでしたっけ? ちょっと考え直してみようよ、と問いを投げかけられます(受け止め方は人によってずいぶん異なると想像します)。

どこかにきっと特別な自分がいる、と選択を否定し続けて次へ次へと行くヒロインに対し、いかにも私のことです、とおそらく多くの観客が共感し、カンヌで女優賞受賞。

本音のリアリティが静かに描かれるからいっそう、痛烈でぎょっとするほどアナーキーです。痛みと苦味とともに深い学びがちりばめられる映画です。語り口がちょっとこれまでになかったような感覚で、観客を退屈させるフリしてなかなか新鮮でした。北欧映画って人間の暗いところをぐいぐいえぐってきますね。

7月1日公開。
監督ヨアキム・トリアー 出演レナーテ・レインスヴェ
配給GAGA

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