NIGOが2010年に立ち上げたHUMAN MADEが2025年11月27日に東証グロース市場へ上場する。

NewsPicksの冨岡記者の記事によれば、

・2022年1月期に32億円だった売上は、2025年1月期に112億円を突破。年平均成長率は52%

・最大株主はNIGO氏の関係会社NIGOLD(43.42%)、NIGO氏の盟友で同社のアドバイザーであるファレル・ウィリアムス氏が25.70%、NIGO本人が19.49%。さらに松沼礼CEOと柳澤純一CFO、鳩山玲人CSOがそれぞれ2.92%を持ち、創業者・アーティスト・経営陣による強固な資本体制

松沼礼CEO兼COOへのインタビューも興味深い。

「HUMAN MADEを初めて知った海外のお客さんからすると、イメージはわかるけれども、実際のブランドの世界観や商品がわからない中で、初めて日本の店舗に来てくれる。そこで、おしゃれでカッコよくて、良い人たちが多いスタッフに出会い、日本人らしい、忙しい中でも笑顔があって、おもてなしの心がある接客を受ける。ブランドの世界観がデザインされた店舗の中で買っていただいたとき、そのギャップに「好き」という感情が生まれるんだと思います。今のSNSの時代、知っちゃったものに対する興味関心って抱きにくいですよね。あえて知りたいとか、興味を湧いてもらうことを、どう顧客体験の中でデザインできるかが大事だと思っています。(中略)語り過ぎない、言い過ぎない、見せすぎない。あえて人の匂いを感じさせない」。

ぜひ、NewsPicksで全文をお読みになってみてください。

 

国際的な報道機関からもインタビューを受けたので(記事になりましたらご案内します)、私なりに考えたことを列挙しておきます。

まず、今回の上場は、ストリートブランドの上場というより、カルチャー産業の上場であり、日本文化の上場でもあるということ。

NIGOは、30年以上にわたり、日本発のカルチャーに市場価値をつけてきた人です。日本で初めて、ストリートカルチャーを基盤にしたクリエイティブ事業が資本市場で価値ある事業体として認定された、という象徴性があります。

だからこそ、この企業の上場は、日本ファッション史のターニングポイントでもありますね。日本の次世代ラグジュアリーがいよいよ視界に入ってきたという感もあります。

また、NIGOはデザイナーであると同時に、世界の潮流を動かしてきたカルチャー・クリエーターでもあります。その彼が創業したブランドが上場するということは、日本のストリートカルチャーはもはやサブカルではなく世界市場を動かす産業であるという国際的なメッセージにもなりますね。

ファッション産業にとっての影響も大きい。近年、業界のデザイナー交替の高速化や財務・投資主導のブランド再建が進み、クリエーションよりKPIという流れが優先されがちでした。しかしHUMAN MADEの上場は、クリエーション起点でも持続的な成長は可能という実例になります。

さらに、世界では中国の消費減速を背景に、クリエイティブな国としての日本への関心が回復しています。上場は投資家に対し、日本ブランドはグローバル市場でも戦えるという証明になり、他の日本ブランドの資金調達にも追い風になります。

HUMAN MADEがクールジャパン文脈と関係が薄い感じもそこはかとなくしています。むしろ、国とは距離をおいた文化のパッケージングが受けているのではないか。世界の若い世代から見ると、東京の空気感、ストリートの自由、職人性と遊び心の両立、オタク文化の多層性がぎゅっと濃縮されたものが嬉しい。この濃度がHUMAN MADEには高い。ニッチが巨大化してこうなった、という印象があります。

今後の展開に期待します。

 

NIGOについては『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』にも項目を立てて書いているので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

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