「北原照久の超驚愕現代アート展」@六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリー。

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精巧でキッチュな、おどろおどろしくて驚きあきれる現代アートの世界。山下信一のフェティッシュなフィギュア、荒木博志のロボット型巨大オーディオ、逆柱いみりの少年白日夢的世界、堀哲郎の正確すぎるドールハウス、松井えり菜の「ブキミながら、なるほど」な「ふたつのきもち」の絵、武藤政彦のSFちっくな自動人形からくり箱、柳生忠平の妖怪画、山本高樹の超リアルな昭和の心象風景・・・・・・。ぶっとんだ発想そのもの、それを実現するテクニックや執念(!)、認めてくれる人(=北原氏)との出会い、すべてをふくめて「才能」だなあ、と感じ入る。

巨匠・横尾忠則は期待を裏切らず力強く、加山雄三、石坂浩二というマルチな才能のスターの作品も味わい深い。

唐沢俊一が逆柱いみりの「赤いタイツの男」という本の帯に書いたというコピー、「困った 内容がない」に笑いつつ共感する。

なんだか得体のしれない電磁波のようなものを深いところまで浴びた気分がする。

森美術館のほうでは、「ネイチャーセンス展」。体感型のアートな空間を歩く。こっちはどちらかといえば「癒し」系アート。でもちょっと歩き疲れる。

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講義終了後、シャガール展@東京藝術大学大学美術館。終了間近だからか、雨なのにたいへんな混雑。入場制限にひっかかり、およそ20分待ちでようやく入場できる。

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強い色彩で描かれた、幻想的というか白日夢のようなシャガールワールド。超有名な「ロシアとロバとその他のものに」(1911)はやはり圧巻で、しばらく絵の前で呪縛にあう。

1966年から67年にかけて、シャガールがニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のために「魔笛」の舞台美術の仕事をしていたということを初めて知る。舞台の背景幕の下絵もシャガール印の濃厚さがうずまいてこってり楽しいが、シャガールによる衣装デザイン画の数々がなかなかかキュートで、思わぬ拾いものをした気分。

ただ期待が大きすぎたせいか、肝心のシャガールの作品の点数が少なかったことと(ほかのロシア前衛芸術家たちとの出会いもそれなりによかったけれど)、関連ドキュメンタリー映画を観たかったのに、立ち見の人が外まであふれていてまったく観られなかったことが、残念。52分の上映なので、交替まで小一時間も待たねばならないのだ(待てません)。この映像だけDVDで発売してないだろうか。

そんなわけで若干の不完全燃焼感は残るものの、戦争やら革命やら亡命やら愛妻の急逝やら再婚やらのさまざまな劇的なできごとを経ながら描き続け、90歳でなお傑作「イカルスの墜落」を完成させているシャガールの画家人生に、静かに励まされた。

藝大周辺は、独特の雰囲気のあるところで、しばし散策。雨にけぶる「旧東京音楽学校奏楽堂」のたたずまいも、味わい深い。

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