日本はまだ外気温35度だが、カレンダーの上ではようやく「ファッションの秋」到来、ということで、夏枯れ状態だった各紙スタイルニュース欄に、記事が目白押し。印象に残った記事をピックアップ。
◇ロンドンの「紳士の聖地」ジャーミン・ストリートで、4日、12時から5時まで、交通規制のもと「ジャーミン・ストリート・ガーデン・パーティー」がおこなわれた模様。
フォスターズ&サン、チャーチ、T・M・ルーウィン、ハウズ&カーティス、ヒルディッチ&キイ、デュークスホテル、ダヴィドフ、フォートナム&メイソン、パクストン、そしてリッツなどのセント・ジェイムズ界隈の名店が参加。「ブリティッシュであること」をテーマにショウやピクニックやパーティーなどの形式を通じて、イギリス的商品のプロモーションをおこなうという趣旨。あー行きたかった。
このイベントにちなみ、テレグラフ紙(1日付)では、チャールズ皇太子をイギリススタイルを象徴するアイコンとしてあらためて称揚していた。ここ数年「ワグズ」とかスーパーモデル的なものとかがもてはやされていたけど、やっぱりイギリススタイルの変わらぬ骨格は、チャールズ皇太子にあるよね、と。
皇太子は昨年、エスクワイア誌の「世界のベストドレッサー」の第一位に輝いていた。不況とエコトレンドも後押ししてたのかもしれないが、「40年前の靴をリサイクルしてはく」という態度が、シック、ともてはやされている。
ジャーミン・ストリートには、そんなチャールズ皇太子が御用達とする店舗も目白押しだが、もともと王室の庇護のもとに発達してきた。記事によれば、1664年にチャールズ2世(「衣服改革宣言」をおこなった王様だ)が、宮廷用品をそろえることができる地域としてこの一帯を開発する権限を、ヘンリー・ジャーミンに与えたのがはじまり、という。サヴィル・ロウはスーツの聖地だが、ジャーミン・ストリートは総合パッケージ。テイラー、シャツメイカー、革製品店、香水店、帽子店、理髪店、食品とワイン専門店、レストラン、ホテル、王室の趣味にかなうものがすべてそろう。
ぎらぎらせず、適度に控えめで、守るべき分をわきまえたほどよい堅実さ。伝統と趣味のよさと高品質。自己主張しない慎み深さの魅力が、再認識されている。過激な方へ行ってはまたこっちに戻る、みたいな繰り返しなんだけど、そうやって戻ってくる基本が何百年も淡々と存在し続けていることじたいが、素敵だと思う。
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