「ナガホリ」秋の創美展@帝国ホテル。「孔雀の間」にひしめく豪華な宝石の数々に目の保養をさせていただく。「スカヴィア」や「レポシ」などの遊び心のある大胆なデザインのジュエリーを目にすると、いつもながら、脳内を電気が走る感じ。スケールと歴史と発想が違う。値札には「0」が数え切れないほどついているのでチェックする気にもなれない。ひたすら美術品として崇める。

今回、感動的な出会いだったのは、「ロイヤル・アッシャー」のダイヤモンドである。なんでも「セックス&ザ・シティ」に登場してからアメリカでの売り上げが急上昇したというダイヤモンドなのだが。もとよりそんなミーハーなブランドではない。

1854年、オランダのアムステルダム発祥、創設者は技術者のアイザック・ジョセフ・アッシャー。1907年に、史上最大のダイヤモンド原石「カリナン」(3106カラット、621.2グラム)のカットを、当時の英国王エドワード7世にゆだねられる。

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カリナンのレプリカは写真左から2番目。あとの道具は、これをクリービングするためだけに準備された特別なツールたち。

このカリナンは、9個の大きなダイヤモンドと、96個の小さなダイヤモンドにカットされたのだが、そのうち最大のものは、「偉大なアフリカの星」と呼ばれて英王室の王笏に、二番目に大きなものは大英帝国王冠に飾られている。会場にはそのレプリカが飾られる。レプリカとはいえ、金銀ダイヤ3000個、真珠270個、ルビー、サファイア、エメラルド、オコジョの毛皮がついた、かのインペリアル・ステイト・クラウン実物大を間近に感じて、しばし静かに感慨にふける。

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王笏は、十字架のもとでの君主の俗界における権威を象徴し、戴冠式の時に、国王または女王の右手に渡される。この引き渡しの時の式文が、タイトルに記した文句。

GOD SAVE THE QUEEN.

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