島地勝彦さんの本三冊まとめ読み。『甘い生活』(講談社)、『乗り移り人生相談』(講談社)、『愛すべきあつかましさ』(小学館101新書)。購入とほぼ同時に、「メンズプレシャス」編集長からお話をいただいて、年明けに島地さんご本人にお会いすることになる。奇遇。
3冊にはそれぞれ、ほかのシマジ本で紹介されていた同じエピソードが出てくるが、それも「愛すべきあつかましさ」としてのご愛敬。熱いハートからあふれ出すようなヒューマン・エネルギー(毒気あり)に、気力のおすそ分けをいただく。遠慮していては、人生も仕事も切り開くことなどできない。相手の懐にあつかましく全力で飛び込んでいってこそ、運が開けてくる。ただしそのあつかまさは、繊細な想像力と真の思いやりに支えられていなくてはならない、ということが爆笑(ときに噴飯すれすれ)もののエピソードの数々から伝わってくる。
柴田練三郎、今東光、開高健がときどきあの世から降臨してくる『乗り移り人生相談』が抱腹モノのおもしろさだった。回答に関しては、「?!」あるいは「・・・・・・」と反応するしかないのも多々あったが、おそらくその反応はシマジ氏の計算済み。「ごもっとも。なんの異論もありません」と思わせられる模範回答ほど退屈なものはない。
「人間関係を築くうえでいちばんいけないのは遠慮だ。『好きだ』『尊敬している』『鐘愛している』という対象には絶対に遠慮しちゃいけない。恋愛と一緒だ」
「人生は冥土までの暇つぶし。だから極上の暇つぶしをしなくてはならない」
「女は男とつき合う以上、少しでもその男を磨いてやらねばならない。女がみんな、それを実行すれば、いい男がどんどん増えて、結局は女たちの利益につながる」
「『忙しい』を口癖にするやつに本当に優秀な人間はめったにいない」
「才能の花を咲かすには、その才能を発揮する戦場が必要であり、その戦場を用意してくれる人間が必要なんだ。実力さえあれば誰に媚びを売らずとも、必ず評価されると単純に考えるのは、俺にいわせれば傲慢だ」
「子どもをどこの幼稚園に入れるかで張り合っているような主婦からは文化は生まれない。また、官僚と政治家からも文化は生まれない。文化を生み出すのは男と女のスケベ光線だ。(中略)ただ男女の強烈なスケベ光線が交差するところに、小説も詩も音楽もオペラも映画も生まれるんだ」
「人生の勝利者というのは己のコンプレックスを武器に変えられた人間」
「恋情というのは男と女の戦争だ。匂わせ、謎をかけ、焦らし、相手の心を奪う偉大なゲームだよ。マネーゲームで十億円の金を得るより、俺はいい女との恋のゲームを取るね。こっちのほうが断然刺激的だ。金なんて身の丈だけあればいいんだよ」
「雑誌は新興宗教でなければいけない」
「編集会議の前に、信頼する編集部員を飲みに連れて行き、『この企画を会議に出せ』と言い含めておく。そいつが会議の場でアイディアを披露したら、大声で『おもしろい!お前は天才かもしれない』と叫ぶ。おもしろいも何も自分のアイディアだから、自分でも『よくいうよ』と思ったがね。そういう役割の人間を何人か決めておき、ほとんどの編集部員には『自分たちが作りたいものを作っている』と意識を持たせたんだ」
「集めた部下たちには愛情を注ぐ。功績はすべて部下に持っていかせ、責任は編集長が取る。いい加減な仕事の結果、失敗した場合は裁くが、一生懸命やった結果の失敗は徹底的にかばったね」
文学にどっぷり耽溺したことのある人ならではの、骨太な人生観がきらきら。文学が軽視されるようになって、日本人の精神の土壌がやせ細り、日本の社会もヒヨワになっていったような気がする。
紹介されている本、どれも強烈に面白そうですね! 年末の楽しみにしようと思います[E:happy01]
>ミミーさん
面白がって読んではいますが、
ほかの人、とりわけ日頃の読書レベルが
高いミミーさんのような方が読んだら
それほどでもないかも、
というものも多々あります(笑)。
mixiでは完全にユーレイになっていて、
ご無沙汰していました。すみません。
またときどき訪問します。