「デスパレート・ロマンティクス」、見始めたら止まらず最後(エピソード6)まで。6時間あっという間だった。これは傑作。

プレ・ラファエロ・ブラザーズのメンバーそれぞれの「リレーションシップ」がメインテーマになっている。ダンテ・ガブリエル・ロセッティとリジー、ウィリアム・ハントとアニー、そしてジョン・ミレーとエフィ、ジョン・ラスキン。彼らのそれぞれのリレーションシップがユニークで本気で複雑でデスパレート、だからこそ普遍性をもつテーマとして深く迫ってくる。

ロセッティなんて、嘘つきで女たらしで口ばっかりで自己チューのどうしようもない奴として描かれるんだけど、瞬間瞬間の自分に対して正直なので、憎めなかったりもする。しかも演じているのがエイダン・ターナー。美しいというのは、それだけで「正しい」んだよな…と思わせる。理不尽だけど、美にはそれだけの力がある。

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この花柄のウェストコートはごくごく一例なのだが、とにかく出てくるヴィクトリアン&ボヘミアンのコスチュームがすばらしい。

Desperateromantics_2

聞き取りづらいところを字幕で追うのに必死で、コスチュームの細部をじっくり観察できなかったが、ぱっと見の色彩の組み合わせだけでも絶妙なのである。

それぞれの人物造形が生々しいし、ささいなエピソードも感情をゆさぶるので、このドラマを見てから、「ザ・ビューティフル」展と「ラファエル前派」展を見たら、味わいが全く違ったものになること必至。

ぐっとくる名せりふも散りばめられている。たとえば、アカデミーの全員が笑い、文豪ディケンズがプレ・ラファエル・ブラザーズをけちょんけちょんに貶すなか、ただひとり彼らの擁護に立ったラスキンのセリフ。

「ワーズワースも、ターナーを笑った(Of course Wordsworth mocked Turner)」。

ディケンズがプレラファエルを笑ったこととオーヴァーラップさせての一言。

口八丁で本能に生きるロセッティがリジーについて語るセリフも。

「彼女は、僕の才能という宝を解放する鍵だ (She is the key to unlock the treasure of my talent.)」

そのリジーをボロボロにするのがロセッティなんだけどね…。

一人でも多くの美術ファン、ファッション好き、BBCドラマ愛好家に見て欲しいドラマなので、ポニー・キャニオンさんあたりに、ぜひ、日本語版を出していただきたい!!!

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