日本経済新聞連載「モードは語る」。12日付夕刊では、ブルネロ クチネリ・ジャパンと輪島千舟堂の交流「秘話」を書いています。

この内容は、私が自主的に輪島に取材に行ってはじめて判明したことでした。紙幅の関係で書ききれなかったのですが、クチネリは複数回、輪島に行き支援を続けています。紙面に書いた内容と同様、この事実は、一切、PRされていません。

国や宗教をもはや信じられなくなった時代に、「真・善・美」を示すのがラグジュアリーブランドになった、というのはフランソワ=アンリ・ピノー(ケリングCEO)のことばですが、それを先鋭的に実践しているのがクチネリだと認識しました。

これからのラグジュアリーは、職人に自由に創造力を発揮してもらう環境と待遇を与え、そこから生まれた高価格製品の利益は地域全体の環境の向上のために再分配する。それによって、特権階級の排他的幸福ではない、「包摂」=全体の幸福を目指す必要がある。クチネリ・ジャパンはそれを淡々と実践していました。

富裕層のみのことを考えるラグジュアリーは古い、というのはそういう意味でもあります。

 

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