ダブルスーツを「右前」で着ていることに対し疑問を呈されることがあります。Youtube番組Be Suits! のコメント欄でも質問をいただきました。(私はいまのところ自分のYoutubeアカウントをもっていないので、直接、コメントにお返事することができませず、こちらで考えを述べさせていただきます。)

「右前」の起源は、歴史的に右利きの人が多く、右手で剣を抜きやすくするため、男性服で右前が定着しました。 一方、女性服の「左前」は、自分で服を着ない上流階級の女性の使用人が、女主人に向き合って服を着せやすいように左前が便利だったことからこの形式が定着したといわれています。

そもそもダブルそのものの起源は防寒・防風のための軍服で、風が吹いてくる方向にあわせて(風が身体に入らないよう)打ちあわせていたということがあります。

そういう諸起源をかんがみて、使用人に服を着せてもらうこともないし、むしろ自分で剣を抜いて闘うタイプだとすれば右前でも問題ない、と判断した結果です。

ジェンダーフリー時代にはさらにどっちでもよくなっている問題かと思います。

(着物の伝統はまた別だと思いますので、ここでは触れません)

 

ダブルついでに。女性のダブルスーツ、とりわけ日本で流通する主流のダブルの着方には、抵抗したいと感じています。サイズ大きめのダブルジャケットを前を留めずにカジュアルに着る、というあの着方ですね。もちろん、そういう着こなしもありですし、かわいらしくカーディガンのように着ている若い女性もいて、反対するものではありません。

ただ、「女性のダブルとはそういう風にカジュアルに着るもの」という潮流が主流になっていることには抵抗いたします。ジャストサイズにしてボタンを上ひとつだけとめて、身体にほどよく沿うように端正に着る。これが本来のダブルの力を活かす、王道で基本のあり方ではないかと思われます。

 

 

Be Suits! にはたくさんのご質問やコメントありがとうございます。4回のレクチャーでトータル20万ビューを超えています…。本を1万部売るのも大変なのに(そんな数字までほとんどいかない)。動画で興味をもっていただいたら、本を手にとってさらに深く学んでいただければ幸いです。

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