S.T.Dupontの銀座旗艦店にご案内いただき、ブランドの商品について具体的に学ぶ機会をいただきました。
S.T. Dupont は 1872年にパリで創業したラグジュアリーメゾン。旅行用トランク/レザーグッズを起点としながら、後にライターや筆記具、そしてバッグを展開してきました。

たとえば、1953年にはオードリー・ヘプバーンのためにバッグ「Riviera(リヴィエラ)」をデザイン。底に秘密の仕切り(シークレットコンパートメント)を忍ばせた斬新な構造が特徴でした。ほかにも指摘されないとわからない小さな仕切りがいくつかあって、スパイ気分を楽しめます。

また、1973年にはジャクリーン・ケネディから、愛用していたライターに合うペンをデザインしてほしいという要望を受けて、ボールペン/筆記具の制作へと道を開きます。
こうした歴史のなかで、火(Lighter)と書く道具(Toos to Write)がブランドの核となり、レザーアートを通じてバッグという領域へ回帰していきます。
銀座7丁目にオープンした旗艦店は、パリに次ぐ世界5店目の 新コンセプトストア として、従来の旗艦店とは異なる体験を意図した設計になっています。
入口にはライター本体を思わせる リードメタルピラーが立ち、壁面や什器にはブランドの象徴的モチーフである「ダイヤモンドヘッド ギヨシェ彫り」「双炎(ツインフレーム)モチーフ」が、グラフィカルに配されています。
天井には和紙と金属を組み合わせた逆ピラミッド型のシャンデリア、空間全体にはブルーからオレンジへのグラデーションが施され、ライターの炎が瞬く火の時間を仄かに感じさせます。
デュポンのライターは、20世紀中盤から ラグジュアリーライターとして広く知られてきました。ダイヤモンドヘッドのパターンを金属表面に施す意匠が象徴的です。また、火をつけるときの、ピーンという特別な音も特徴のひとつ。
筆記具では、ジャクリーン・ケネディの要望から開発されたボールペンに始まり、今も万年筆/ローラーボールなどがラインに入り、ライターとペアで愛用されることも多いそうです。
この新旗艦店では、バッグの展開を強めている点が目を引きます。
主なモデルをご紹介すると:
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Riviera(リヴィエラ)
1953年発表の初代モデルをアップデート。シークレットコンパートメントを、裏地側の隠しポーチに昇華させ、内部には ライターパドロック”をあしらうなど、オリジナルの秘密性を現代的に再解釈しています。

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X-Bag(エックスバッグ)
バッグの前面に大胆に描かれた Xモチーフは、ライターのギヨシェ彫りを拡張した視覚的表現。3Dエンボス加工や立体構造を取り入れ、モチーフが浮き立つような表現を施しています。 -
Apex(アペックス)/ミニトランク
創業期のトランクをヒントとした「ミニトランク」は、レザー素材にファイヤーヘッドモチーフを立体的にあしらった意欲作。性別を問わず使えるユニセックス性も重視されています。
コンパクトながらS.T.Dupontの世界観がつまった旗艦店。メンズのアイテムも充実しています。バーニーズニューヨークのななめ向かい側、ブルネロクチネリのお向かい、と立地もリッチ感あり(あ、そんなつもりでは…)。




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