パリ発のジュエリーブランド〈Gemmyo(ジェミオ)〉が日本に上陸して一年。創業者夫妻、ポリーヌ&レニョ―とシャリフ・デべス氏が来日し、渋谷トランクホテルでプレスランチが開催された。ブランドの今後と日本市場への展望などを伺った。

初年度が当初の予想よりも2倍上回る売り上げを記録するという好調な滑り出しを見せ、次なる拠点として関西出店も視野に入れているという。「観光地すぎず、文化と静けさが共存する場所を探しています」とポリーヌは語る。

Gemmyoの最大の特徴は、すべてのジュエリーを受注生産(made to order)とすること。注文を受けてからフランスの工房で製作し、約3週間後に届けられる。大量生産を排し、在庫を持たない構造により、高品質を公正価格で提供する。顧客の約3割はオンラインからの購入で、グローバルにみても効率的なD2Cモデルを確立している。

ターゲットは観光客ではなく、地元の文化的・知的層(働く男女)。顧客の購入理由の多くは「意味」で、個人的な物語や感情を重視する人々。婚約指輪・ブライダルが主力だが、男女共に日常使いのジュエリーを購入しているという。「私たちの顧客は、美しいから、ではなく、自分の物語を映すから、という理由でジュエリーを選びます」とポリーヌ。ブランド理念は、スマートラグジュアリー。知的で誠実な贅沢、である。

デザイン面では、肩甲骨のカーブに沿うネックレスや、動いてもずれないイヤリングなど、工学的精度と美学を融合させた設計が特徴。色石の多様性もGemmyoらしさであり、顧客自身が石を選び、自分の物語を形にするプロセスがブランド体験そのものとなっている。ちなみにトップ写真はLEFKOSのシリーズだが、新作ダイヤのパヴェリングの中央にあるのは「チョコレート・ダイヤモンド」。

「日本はフランスと同じく、静けさの中の豊かさを理解してくれる国」と二人は言う。日本顧客はフランスブランドへの信頼と憧れが強く、接客過剰な高級店を敬遠し、Gemmyoのような「控えめで誠実なブランド体験」を好むという。ジュエリーに「個人的意味」「ストーリー性」を求める点は、欧州と共通している。外国人観光需要よりも「内需の質」を重視すべきとポレーヌは語る。

上にメモしたのはビジネス上の話ばかりですが、実はポリーヌと、共同創業者である夫さんシャリフのヒューマンな魅力が強く記憶に残っている。特にシャリフさんは人を笑わせて場を和ませるユニークなキャラクターの方だ。今回のランチでは「小指」という日本語を覚えて盛んに使っていらした(笑)。ふたりともスーパーエリートだが、とても気さくであたたかい。

ポリーヌと記念写真。彼女はpodcastでビジネスを語り続け、起業家志望の女性をエンパワーしている。

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