ジェームズ・ボンドはなぜ半世紀以上も文化的・商業的影響力をあたえているのか?に関するレクチャー。材料が多すぎてなかなかまとめきれず、しばらく延期してきたが、
I shall not waste my days in trying to prolong them. (時間をだらだらと引き延ばそうとして、かえって時間をムダにするようなことはしたくない)
という原作者フレミングの言葉に行き当たって、それもそうだな、とけりをつけた格好。締め切りをひきのばしたって、その間の時間が空疎になりがちなことは体験済み。やたら長生きだけしようとしても、その間、濃く太く生きなかったらかえってその時間は空しいだけ…という気もする。もちろん、濃く太く長く生きられれば、それにこしたことはないとは思うが。
ジャマイカの別荘で10年間だけ小説を書く。一年に一作ずつ、確実に残るヒット作を。だらだらと引き延ばさず、短期集中決戦でそれをなしとげたフレミングは潔くてかっこいい。
ボンドワールドは、マッチョでアナクロな、偉大なるマンネリズムでできている。男が幻想の男らしさにひたれる数少ないファンタジ―世界、というのがやはり根強い人気の秘密のひとつかなあ。永久に立ち入れない、というところが探究心をかきたてますね。恋愛と同じ?
そのほかに好きな(というか、印象に残る)フレミングのことば。
A woman should be an illusion, (女は幻想であるべきだ)
You only live twice. Once when you are born and once when you look death in the face. (生まれるのは二度。この世に生をうけたときと、死に直面したとき)
後者のぴたりとくる訳語を模索中…。映画のタイトルでは「007は二度死ぬ」だったけど、原語は逆なんだよねえ。
新作はSkyfall 、悪役がハビエル・ハルデム、ますます楽しみ。
タイミングよく「ジョニー・イングリッシュ・リボーン」の試写状も届く。日本語のタイトルが「気休めの報酬」。久々に笑えるナイスな邦題!
予告編を見たが、ローウァン・アトキンソンの髪が白くなって老けたなあ…という印象。これも「不老不死」のボンドに対するパロディか?
そんなこんなの調査をしているうちに、過去に自分が書いたボンドに関する記事の中に、調べ方が不足していたための間違いを発見。恥ずかしい。申し訳ない。消え入りたい。ホント、どれだけ研究しても enough というレベルにいきつけない。
<追記>
‘You only live twice’ に関し、ボンドマニアの友人がさっそく解釈のヒントをくれた。「一度目の生を受けたときは自覚もなく、危機を感じて初めて『生』を意識する…」ということでは、と。
それでようやく理解できた!つまりこういうこと?
『生』を感じられるのはたった二度。一度目は生を受けた瞬間。二度目は死に直面したとき。でも、一度目は自覚がないから、実は本当の意味で『生』を感じられるのは、死に直面したとき、ただその時一度のみである。
そこからさらに解釈を発展させれば、生きていることを実感したければ、死と隣り合わせのつもりでいけ、と。
そこまでは読みすぎかもしれないけど(笑)。
この解釈で ’only’ の意味もくみとることができた。ありがとう!
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