数年前に5年間アドバイザーを務めていた大好きなホテルでランチに招かれた。すれ違ったスタッフが全員覚えていてくれた。

当時は年柄年中イベントばかり企画開催していたが、スタッフにとっては成長の機会になり仕事の大きなモチベーションになった、と聞かされた。ホテルの仕事は意外と単調なので、カルチャーイベントは利益のためというよりむしろ、(ゲストの幸せのためであることはもちろんだが、ひいては)ホテリエの喜びにも貢献するようだ。ホテル内のチャペルや宴会場やレストランを利用した真夏のミュージッククルーズは、ミュージシャンたちにも喜ばれた。打ち上げの場でシンガーのプライベートな悩みごと相談をされて一緒に泣いたこともあったなあ。

時間はあっという間に経って、すぐに「昔」になってしまう。でも感情が動いたことはみずみずしく記憶にとどまっており、だからこそ、確実に経験値になっていくのだろう。表層を適当にやり過ごしたことは、すぐ忘れるし、ゆえに何も身につかない。

企業の管理職が、「監視」するのではなく、働く人を信じリスペクトしてよい環境を整えていくと、おのずから創造性を発揮していい仕事をする、という鮮やかな例を見せていただいた5年間でもありました。

感謝をこめて。

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