80年代のメンズファッションに多大な影響を与えたオリバー・ストーンの「ウォール・ストリート」(1987)、その続編が間もなく公開ということで、あちこちで「ウォール・ストリート」ファッション特集が組まれる。(日本では来年1月末公開のようである。)

続編のタイトルは’Wall Street : Money Never Sleeps’(「ウォール・ストリート: 金は決して眠らない」)。リーマン・ショック版ウォール街? ゴードン・ゲッコーを演じるのは前と同じ、マイケル・ダグラスで、コスチューム・デザイナーも前と同じ、Ellen Mirojnick。チャーリー・シーンがやってた役の立場に相当する若手俳優には、シャイア・ブラーフ。

80年代の映画が世のメンズファッションに影響を与えた「パワールック」アイテムといえば、ネイビーのストライプスーツ、シルクのポケットスクウェア、フレンチカフのシャツ、サスペンダー、襟とカフスだけ白の、カラフルなクレリックシャツ。

The Wall Street Journal、22日付けの記事によれば、ファッション業界はすでに続編の映画の影響が波及することに備えているとのこと。NYのトレンディなシャツメイカー、Jack Robie からMohan’s Custom Tailors まで、映画のスタイルを紹介するプレスリリースを顧客に送っているらしい。(ということは、備える、というよりもむしろ、映画にあやかって新商品を売りたいという戦略?)

ゲッコーの着る「不況期のパワールック」に興味がひかれるところだが、コスチューム・デザイナーのことばを借りれば、ゲッコーはテイラーに行って新しいスーツを"Gekko-ized"(ゲッコー化)していく。写真のなかで目を引いたものは、スリーピーススーツで、ウェストコートに襟がついているタイプ。服地はドーメルやホランド&シェリー。水平ストライプのスーツもあるそうで、いったいどんな仕上がりなのか。

ポイントはむしろアクセサリーの方にあるようだ。ヴァシェロン・コンスタンタンやIWCの時計、ダンヒルの諸々のメンズアクセサリー、ヒッキー・フリーマンのシャツ、バートン・ピエイラの透明セルフレームのメガネ、懐中時計チェーンなど。

シャイア・ブラーフも、一着6500ドルのスーツを6着、映画のなかで着用するとのこと。シャツは白の2ボタンカラーでタイはエルメス。カジュアルではベルスタッフの革ジャケット。

おそらくブランドとのタイアップも無関係ではないと思われるが、不況時代のアメリカ的パワースーツがどんな風に表現されるのか、現実のメンズファッションに影響があるのかないのか、ウォッチしたいところ。

2 返信
  1. Ken
    Ken says:

    本作、とても楽しみです。
    話は少しそれるのですが、ご著書でアーンスト&ヤング(大手会計事務所)の服装指南のご紹介をされていたことを思い出しました。
    僕は別の会計事務所に勤めておりますが、先日トップの講和が会った際に、ネイビースーツに真っ赤なタイと、まるで某国大統領のような装い。
    気合はわかるのですが、ちょっとげんなりしてしまいました。

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  2. kaori nakano
    kaori nakano says:

    >Kenさん
    げんなり…って(笑)。
    ネイヴィースーツに赤タイが「最強のパワースーツである」という幻想は、根強いですよね(とりわけアメリカの影響が強い文化圏で)。
    トップに人をげんなりさせるほどの強さがないと指導力を発揮しづらい、という世界もあるんだろうなあとは思いますが…。

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